(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
四角形の布線基台上の少なくとも2側辺の端部に沿って複数の電線保持部が配置され、同じ側辺に沿って配置された前記電線保持部を一つの群とする複数の電線端末保持群と、前記布線基台上に配置された電線配索案内部とを有し、
複数の電線がそれぞれの予め定められた前記電線保持部で電線端末を保持し、且つ、前記電線配索案内部で配索経路を形成して前記布線基台上で予め定められた経路に沿って配索する布線工程と、
前記布線工程の後に、前記電線端末部によって保持された電線端末を処理する電線端末処理工程と、
電線端末処理がなされた複数の前記電線からなるワイヤーハーネスに外装品を装着する外装品装着工程とを備えたワイヤーハーネス製造方法であって、
前記電線端末処理工程は、処理位置に位置する前記電線端末保持群に電線端末処理を行う端末処理過程と、端末処理前の前記電線端末保持群を端末処理位置に変位させるべく前記布線基台を回転する回転過程とを有することを特徴とするワイヤーハーネス製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1〜
図9は、本発明の第1実施形態を示す。
図1に示すように、ワイヤーハーネス製造装置1Aは、互いに平行で、二本の各エンドレスなレール2と、レール2上を移動する搬送台3と、搬送台3上に配置された布線基台10とを備えている。
【0018】
布線基台10は、搬送台3の移動によって電線Wの布線工程を行う布線処理位置S1と、電線端末処理工程を行う電線端末処理位置S2と、外装品未装着のワイヤーハーネスWHを布線基台10から取り外すワイヤーハーネス取り外し位置S3とに移動できる。
【0019】
布線処理位置S1には、作業員の作業スペースの横に電線載置台4が置かれている。電線載置台4には、布線を行う多種類の電線Wが多数載せられ、準備されている。布線処理作業については、下記で説明する。
【0020】
電線端末処理位置S2には、電線端末処理装置である端子圧接装置20が配置されている。端子圧接装置20は、電線端末処理位置S2における布線基台10の移動方向(X)に対して直交方向(Y)に移動可能に設けられている。つまり、端子圧接装置20は、布線基台10に近接する電線端末処理位置S2と回転時の布線基台10との干渉を回避する離間位置との間で移動可能である。端子圧接装置20は、電線端末処理位置S2にあって、布線基台10上の電線端末に対し、コネクタハウジング本体(図示せず)に収容された圧接端子(図示せず)を圧接する圧接作業と、コネクタハウジング本体にカバー(図示せず)を装着するコネクタ装着作業とを行う。
【0021】
ワイヤーハーネス取り外し位置S3では、作業員の作業スペースが設けられている。ワイヤーハーネス取り外し作業については、下記で説明する。
【0022】
ワイヤーハーネス取り外し位置S3の近くには、外装品装着工程を行う外装品装着テーブル5と導通検査を行う導通検査テーブル6が置かれている。この各工程の処理作業についても、下記で説明する。
【0023】
図2及び
図3に示すように、布線基台10は、搬送台3に対し回転軸11を中心として回転可能に設けられている。布線基台10は、四角形である。布線基台10は、その上面に4側辺の内の隣り合う2側辺(第1側辺と第2側辺)の端部に沿って電線保持部12a〜12iが設けられている。同じ側辺に沿って配置された電線保持部12a〜12e,12f〜12iは、それぞれ電線端末保持群12A,12Bを構成している。つまり、第1側辺の第1の電線端末保持群12Aは、5つの電線保持部12a〜12eから成り、第2側辺の第2の電線端末保持群12Bは、4つの電線保持部12f〜12iから成る。各電線保持部12a〜12e,12f〜12iは、
図3に詳しく示すように、複数の挟持溝(特に符号を付さず)を有し、電線Wを挟み込むことによって4本の電線Wの端部を保持する。各電線保持部12a〜12e,12f〜12iは、電線Wの先端を所定寸法以上突出させた状態で保持する。
【0024】
布線基台10の上面には、複数の各電線Wをそれぞれ予め定められた経路に沿って配索する電線配索案内部である多数の配索ピンP1〜P9が設けられている。各電線Wの予め定められた経路は、ワイヤーハーネス配索形態となる経路ではなく、布線された各電線Wの要所の配索寸法を維持しつつ配索スペースを小さくしたコンパクトな布線形態の経路である。
【0025】
配索ピンP1〜P9は、
図4(a)に示すように、布線基台10の上面よりも突出し、この突出箇所で電線Wを掛け渡すことができるようになっている。配索ピンPは、
図4(b)に示すものであっても良い。
図4(b)の配索ピンPは、布線基台10の上面より突出する箇所が二股状になっており、この二股状の間に電線Wを掛け渡すようになっている。
【0026】
次に、ワイヤーハーネスWHの製造手順を説明する。布線処理位置S1では、作業者は布線処理工程を行う。布線処理工程での作業は、電線Wの一端を予め定められた電線保持部(12a〜12iの一つ)の位置で保持し、電線Wを予め定められた配索ピンP1〜P9に掛け渡しながら配索し、電線Wの他端を予め定められた電線保持部(12a〜12iの一つ)の位置で保持する。このようにして電線Wを予め定められた配索経路に沿って配索する。このような電線Wの布線を全ての電線Wについて行う。つまり、
図5に示すように、複数の電線Wは、それぞれの予め定められた電線保持部12a〜12e,12f〜12iで電線端末を保持し、且つ、配索ピンP1〜P9で配索経路を形成して布線基台10上で予め定められた経路に沿って配索される。
【0027】
布線処理位置S1で布線処理された後、布線基台10は搬送台3によって電線端末処理位置S2に搬送される。この搬送台3による布線基台10の搬送によって、第1の電線端末保持群12Aが電線端末処理位置S2に位置する。電線端末処理位置S2では、電線端末処理工程を行う。電線端末処理工程での作業は、端子圧接装置20がコネクタハウジング本体(図示せず)に収容された各圧接端子(図示せず)に対して各電線Wを圧接し、電線Wが圧接された後にコネクタハウジング本体にカバー(図示せず)を装着する。これで、
図6に示すように、各電線Wの端末にコネクタ13a〜13eが装着される。圧接端子(図示せず)への各電線Wの圧接は、電線Wを1本づつ行っても、コネクタ単位で行っても、全てのコネクタについて一括して行っても良い。コネクタハウジング本体へのカバーの装着も、コネクタ単位で行っても、全てのコネクタについて一括して行っても良い。
【0028】
次に、端子圧接装置20を
図6のYb矢印方向(布線基台10より離間する方向)に移動し、その後、布線基台10を
図6のR矢印方向に90度回転し、その後、端子圧接装置20を
図6のYa矢印方向(布線基台10に近接する方向)に移動する。
【0029】
これで、
図7に示すように、第2の電線端末保持群12Bが電線端末処理位置S2に位置する。第2の電線端末保持群12Bについても、端子圧接装置20が上記したように、コネクタハウジング本体(図示せず)に収容された各圧接端子(図示せず)に対して各電線Wを圧接し、コネクタハウジング本体にカバー(図示せず)を装着する。これで、
図8に示すように、各電線Wにコネクタ13f〜13iが装着される。圧接端子(図示せず)への各電線Wの圧接は、電線Wを1本づつ行っても、コネクタ単位で行っても、全てのコネクタについて一括して行っても良い。コネクタハウジング本体へのカバーの装着も、コネクタ単位で行っても、全てのコネクタについて一括して行っても良い。
【0030】
電線端末処理位置S2で電線端末処理された後、布線基台10は搬送台3によってワイヤーハーネス取り外し位置S3に搬送される。ワイヤーハーネス取り外し位置S3では、ワイヤーハーネス取り外し工程を行う。ワイヤーハーネス取り外し工程での作業は、作業者が各配索ピンP1〜P9で掛け渡された電線箇所の位置をテープ等で仮止めし、各電線Wの各要所の配索寸法を維持して布線基台10よりワイヤーハーネスWHを取り外す。取り外したワイヤーハーネスWHを外装品装着テーブル5に移し、外装品装着工程を行う。外装品装着工程での作業は、
図9に示すように、作業者がワイヤーハーネスWHをワイヤーハーネスレイアウト形態とし、外装品(チューブ15、テープ16、バンドクリップ17等)を装着する。
【0031】
次に、外装品を装着したワイヤーハーネスWHを導通検査テーブル6に移し、ここで導通検査を行えば、これで、完了する。
【0032】
以上説明したように、ワイヤーハーネス製造装置1Aは、四角形の2側辺の端部に沿って複数の電線保持部12a〜12e,12f〜12iが配置され、同じ側辺に沿って配置した電線保持部12a〜12e,12f〜12iを一つの群とする複数の電線端末保持群12A,12Bと、電線Wの経路をガイドする配索ピンP1〜P9とを有する布線基台10を回転可能にしたものである。
【0033】
ワイヤーハーネス製造装置1Aの製造方法は、四角形の布線基台10上の少なくとも2側辺の端部に沿って複数の電線保持部12a〜12iが配置され、同じ側辺に沿って配置された電線保持部12a〜12e,12f〜12iを一つの群とする複数の電線端末保持群12A,12Bと、布線基台10上に配置された電線配索案内部P1〜P9とを有し、複数の電線Wがそれぞれの予め定められた電線保持部12a〜12iで電線端末を保持し、且つ、電線配索案内部P1〜P9で配索経路を形成して布線基台10上で予め定められた経路に沿って配索する布線工程と、布線工程の後に、電線端末部12a〜12iによって保持された電線端末を処理する電線端末処理工程と、電線端末処理がなされた複数の電線WからなるワイヤーハーネスWHに外装品を装着する外装品装着工程とを備えたワイヤーハーネス製造方法であって、電線端末処理工程は、処理位置に位置する電線端末保持群12A,12Bに電線端末処理を行う端末処理過程と、端末処理前の電線端末保持群12A,12Bを端末処理位置に変位させるべく布線基台10を回転する回転過程とを有するものである。
【0034】
従って、複数の電線端末保持群12A,12Bを布線基台10の回転によって同じ処理位置にできるため、単一の処理位置で全ての電線端末を処理できる。従って、低コストで、しかも、できるだけ電線端末の処理速度を遅くすることなく電線端末処理作業ができる。
【0035】
具体的には、この実施形態のように、端子圧接装置(電線端末処理装置)20で電線端末の処理を行う場合には、1台で端末処理を行うことができ、低コストである。作業者が手作業で電線端末の処理を行う場合には、作業者が作業位置を変更しないで作業可能で、作業性が良い。
【0036】
電線保持部12a〜12e,12f〜12iは、四角形の布線基台10の内の2側辺の端部に配置したが、3側辺の端部、4側辺の端部に配置しても良い。又、電線保持部12a〜12e,12f〜12iは、隣り合う2側辺の端部に配置したが、対向する2側辺に配置しても良い。電線端末処理工程は、処理位置に位置する電線端末保持群12A,12Bに電線端末処理を行う端末処理過程と、端末処理前の電線端末保持群12A,12Bを端末処理位置に変位させるべく布線基台10を回転する回転過程とを有するが、対向する2側辺に電線保持部を設けた場合には、布線基台10を180度回転することになる。
電線保持部を対向する2側辺に配置する場合には、処理位置に位置する電線端末保持群12Aに電線端末処理を行う第1の端末処理過程後に、端末処理前の電線端末保持群12Bを端末処理位置に変位させるべく布線基台10を180度回転する回転過程とを有する。
【0037】
電線配索案内部は、布線基台10上に立設された配索ピンP1〜P9であるが、電線Wを予め定められた経路に沿って配索するようガイドできるものであれば良く、例えば、ガイド壁でも良い。
【0038】
布線基台10は、搬送台3に対し回転可能とされ、電線端末処理装置である端子圧接装置20が布線基台10に対して近接・離間方向(Ya方向,Yb方向)に移動可能とされ、布線基台10の回転時における布線基台10と電線端末処理装置である端子圧接装置20の干渉を回避しているが、布線基台10と電線端末処理装置である端子圧接装置20の一方若しくは双方が干渉しないように移動できるようにすれば良く、種々の手段が考えられる。例えば、布線基台10を電線端末処理装置である端子圧接装置20に対して近接・離間方向に移動可能としても良い。
【0039】
電線端末処理装置は、この実施形態では、電線Wと端子を圧接接続で接続するものであるため、圧接端子(図示せず)への圧接によって電線Wと端子間を接続し、且つ、コネクタハウジング本体(図示せず)へのカバー装着作業も可能な端子圧接装置20であるが、電線Wと端子を加締め接続で接続する場合には、電線皮むき装置、電線端末を端子に加締め接続する加締め装置、及び、端子をコネクタハウジング内に装着する装置より構成される。
【0040】
布線基台10の回転は、手作業でもアクチュエータによる場合を問わない。
【0041】
布線工程などの各工程での作業は、手作業で行う場合及び布線ヘッドを有する自動布線機で行う場合を問わない。
【0042】
この実施形態では、導通検査工程は、外装品装着工程の後に行っているが、外装品装着工程の前に行っても良い。
【0043】
(第2実施形態)
図10〜
図18は、本発明の第2実施形態を示す。
図10に示すように、第1実施形態と同様に、ワイヤーハーネス製造装置1Bは、無限端の二本の平行なレール2と、レール2上を移動する搬送台3と、搬送台3上に配置された布線基台10とを備えているが、第1実施形態と異なり、布線基台10上には布線治具30が配置されている。布線基台10は、搬送台3の移動によって電線Wの布線工程を行う布線処理位置S1と、電線端末処理工程を行う電線端末処理位置S2と、電線Wに外装品を装着する外装品装着位置S4とに移動できる。
【0044】
布線処理位置S1には、作業員の作業スペースの横に電線載置台4が置かれている。電線載置台4には、布線を行う多数の電線Wが載せられている。布線処理作業については、下記で説明する。
【0045】
電線端末処理位置S2には、電線端末処理装置である端子圧接装置20が配置されている。端子圧接装置20は、前記第1実施形態のものと同一構成であるため、説明を省略する。
【0046】
外装品装着位置S4では、作業員の作業スペースが設けられている。外装品装着作業については、下記で説明する。
【0047】
外装品装着位置S4の近くには、導通検査を行う導通検査テーブル6が置かれている。
【0048】
図11に示すように、布線基台10は、搬送台3に対し回転軸11を中心として回転可能に設けられている。布線基台10は、四角形である。
【0049】
布線治具30は、
図12及び
図13に示すように、それぞれ配策ピンP1〜P9を兼用する回転支持ピンによって連結された13本の布線アーム31より構成されている。具体的には、13本の布線アーム31は、それぞれストレート状の平板である。13本の布線アーム31は、2本の基幹用布線アーム31a,31bと3本の長さ調整用布線アーム31c〜31eと8本の分岐用布線アーム31f〜31lからなる。
【0050】
電線配索案内部である配索ピンP1〜P9は、布線アーム31を転結する回転支持ピンを利用している。配策ピンP1〜P9は、そのうちの配策ピンP4〜P8が四角形の布線基台10に固定され、配策ピンP1〜P3,P9が四角形の布線基台10に固定されていない。
【0051】
配索ピンP1〜P9は、
図13(a)に示すように、各布線アーム31a〜31lの上面よりも突出し(
図3参照)、この突出箇所で電線Wを掛け渡すことができるようになっている。配索ピンP1〜P9は、
図13(b)に示すものであっても良い。
図13(b)の配索ピンPは、布線アーム31a〜31l上より突出する箇所が二股状になっており、この二股状の間に電線Wを掛け渡すようになっている。
【0052】
基幹用布線アーム31a,31bと分岐用布線アーム31f〜31lは、その一端に複数の電線Wの端末を保持する電線保持部12a〜12iをそれぞれ有する。電線保持部12a〜12iは、布線治具30の布線形態にあって、布線基台10の上面に4側辺の内の隣り合う2側辺(第1側辺と第2側辺)の端部に沿って配置されている。同じ側辺に沿って配置された電線保持部12a〜12e,12f〜12iは、それぞれ電線端末保持群12A,12Bを構成している。つまり、第1側辺の第1の電線端末保持群12Aは、5つの電線保持部12a〜12eから成り、第2側辺の第2の電線端末保持群12Bは、4つの電線保持部12f〜12iから成る。各電線保持部12a〜12e,12f〜12iは、
図3に詳しく示すように、複数の挟持溝(特に符号を付さず)を有し、電線Wを挟み込むことによって4本の電線Wの端部を保持する。各電線保持部12a〜12e,12f〜12iは、電線Wの先端を所定寸法以上突出させた状態で保持する。
【0053】
このように構成された布線治具30は、
図11に示す布線形態と、
図18に示すワイヤーハーネスレイアウト形態の間で形態変形できる。
【0054】
布線形態は、全体としてコンパクトで、且つ、電線端末処理作業が容易な形態である。布線形態は、電線保持部12a〜12e,12f〜12iを第1側辺や第2側辺の端部に配置させる形態ともいえる。
【0055】
次に、ワイヤーハーネスWHの製造手順を説明する。布線処理位置S1では、作業者は布線処理工程を行う。布線処理工程での作業は、電線Wの一端を予め定められた電線保持部(12a〜12iの一つ)の位置で保持し、電線Wを予め定められた配索ピンP1〜P9に掛け渡しながら配索し、電線Wの他端を予め定められた電線保持部(12a〜12iの一つ)の位置で保持する。これにより、電線Wを予め定められた配索経路に沿って配索する。このような電線Wの布線を全ての電線Wについて行う。つまり、
図14に示すように、複数の電線Wは、それぞれの予め定められた電線保持部12a〜12e,12f〜12iで電線端末を保持し、且つ、配索ピンP1〜P9で配索経路を形成して布線基台10上で予め定められた経路に沿って配索される。
【0056】
布線処理位置S1での布線工程後、布線基台10は搬送台3によって電線端末処理位置に搬送される。この搬送台3による布線基台10の搬送によって、第1の電線端末保持群12Aが電線端末処理位置S2に位置する。電線端末処理位置S2では、電線端末処理工程を行う。電線端末処理工程での作業は、端子圧接装置20がコネクタハウジング本体(図示せず)に収容された各圧接端子(図示せず)に対して各電線Wを圧接し、電線Wが圧接された後にコネクタハウジング本体にカバー(図示せず)を装着する。これで、
図15に示すように、各電線Wの端末にコネクタ13a〜13eが装着される。圧接端子(図示せず)への各電線Wの圧接は、電線Wを1本づつ行っても、コネクタ単位で行っても、全てのコネクタについて一括して行っても良い。コネクタハウジング本体へのカバーの装着も、コネクタ単位で行っても、全てのコネクタについて一括して行っても良い。
【0057】
次に、端子圧接装置20を
図15のYb矢印方向(布線基台10より離間する方向)に移動し、その後、布線基台10を
図15のR矢印方向に90度回転し、その後、端子圧接装置20を
図15のYa矢印方向(布線基台10に近接する方向)に移動する。
【0058】
これで、
図16に示すように、第2の電線端末保持群12Bが電線端末処理位置S2に位置する。第2の電線端末保持群12Bについても、端子圧接装置20が上記したように、コネクタハウジング本体(図示せず)に収容された各圧接端子(図示せず)に対して各電線Wを圧接し、コネクタハウジング本体にカバー(図示せず)を装着する。これで、
図17に示すように、各電線Wにコネクタ13f〜13iが装着される。圧接端子(図示せず)への各電線Wの圧接は、電線Wを1本づつ行っても、コネクタ単位で行っても、全てのコネクタについて一括して行っても良い。コネクタハウジング本体へのカバーの装着も、コネクタ単位で行っても、全てのコネクタについて一括して行っても良い。
【0059】
電線端末処理位置S2で電線端末処理された後、布線基台10は搬送台3によって外装品装着位置S4に搬送される。外装品装着位置S4では、外装品装着工程を行う。外装品装着工程での作業は、
図18に示すように、作業者が布線治具30を布線形態よりワイヤーハーネスレイアウト形態に形態変更する。各配索ピンP1〜P9によって、各電線Wの各要所の配索寸法を維持して形態変更される。そして、
図9に示すように、ワイヤーハーネスWHに外装品(チューブ15、テープ16、バンドクリップ17等)を装着する。
【0060】
次に、外装品を装着したワイヤーハーネスWHを導通検査テーブル6に移し、ここで導通検査を行えば、これで、完了する。
【0061】
以上説明したように、ワイヤーハーネス製造装置1Bは、四角形の2側辺の端部に沿って複数の電線保持部12a〜12e,12f〜12iが配置され、同じ側辺に沿って配置した電線保持部12a〜12e,12f〜12iを一つの群とする複数の電線端末保持群12A,12Bと、電線Wの経路をガイドする配索ピンP1〜P9とを有する布線基台10を回転可能にしたものである。
【0062】
ワイヤーハーネス製造装置1Bの製造方法は、四角形の布線基台10上の少なくとも2側辺の端部に沿って複数の電線保持部12a〜12iが配置され、同じ側辺に沿って配置された電線保持部12a〜12e,12f〜12iを一つの群とする複数の電線端末保持群12A,12Bと、布線基台10上に配置された電線配索案内部P1〜P9とを有し、複数の電線Wがそれぞれの予め定められた電線保持部12a〜12iで電線端末を保持し、且つ、電線配索案内部P1〜P9で配索経路を形成して布線基台10上で予め定められた経路に沿って配索する布線工程と、布線工程の後に、電線端末部12a〜12iによって保持された電線端末を処理する電線端末処理工程と、電線端末処理がなされた複数の電線WからなるワイヤーハーネスWHに外装品を装着する外装品装着工程とを備えたワイヤーハーネス製造方法であって、電線端末処理工程は、処理位置に位置する電線端末保持群12A,12Bに電線端末処理を行う端末処理過程と、端末処理前の電線端末保持群12A,12Bを端末処理位置に変位させるべく布線基台10を回転する回転過程とを有するものである。
【0063】
従って、複数の電線端末保持群12A,12Bを布線基台10の回転によって同じ処理位置にできるため、単一の処理位置で全ての電線端末を処理できる。従って、低コストで、しかも、できるだけ電線端末の処理速度を遅くすることなく電線端末処理作業ができる。
【0064】
具体的には、この実施形態のように、端子圧接装置(電線端末処理装置)20で電線端末の処理を行う場合には、1台で端末処理を行うことができ、低コストである。作業者が手作業で電線端末の処理を行う場合には、作業者が作業位置を変更しないで作業可能で、作業性が良い。
【0065】
電線保持部12a〜12iは、四角形の布線基台10の内の2側辺の端部に配置したが、3側辺の端部、4側辺の端部に配置しても良い。又、電線保持部12a〜12iは、隣り合う2側辺の端部を配置したが、対向する2側辺に配置しても良い。
【0066】
複数の布線アーム31a〜31lが回転自在に連結された布線治具30を使用し、布線治具30を全体としてコンパクトとなる布線形態とし、布線形態の各布線アーム31a〜31lに沿って複数の電線Wをそれぞれの所望経路で布線する。従って、布線形態がコンパクトであるため、布線作業スペースがコンパクトになる。コンパクトな布線形態で布線作業を行うため、布線(配索)作業の効率化になる。
【0067】
布線治具30は、布線形態からワイヤーハーネスレイアウト形態に展開可能に構成されている。布線治具30を布線形態からワイヤーハーネスレイアウト形態に展開しても、布線された各電線Wの各要所の配索寸法が維持される。従って、配索寸法管理を行うことなくワイヤーハーネスレイアウト形態で正確な位置に外装部品(チューブ15、テープ16、バンドクリップ17等)を装着でき、作業の効率化になる。
【0068】
布線治具30は、複数の布線アーム31a〜31lが回転自在に連結され、全体としてコンパクトとなる布線形態とワイヤハーネスレイアウト形態に変形可能であり、布線形態の各布線アーム31a〜31lに沿って複数の電線Wをそれぞれの所望経路で布線できるものである。
【0069】
従って、布線形態がコンパクトであるため、布線作業スペースがコンパクトになる。コンパクトな布線形態で布線作業を行うため、電線Wの移動領域が小さく済み、布線(配索)作業の効率化になる。また、布線治具30を布線形態からワイヤーハーネスレイアウト形態に展開(変形)しても、布線された各電線Wの配索寸法が維持されるため、配索寸法管理を行うことなく容易に、且つ、正確な位置に例えば外装品を装着でき、作業の効率化になる。
【0070】
布線治具30は、複数の布線アーム31a〜31lの回転自在に支持された各箇所には、回転支持ピンを兼用する配索ピンP1〜P9がそれぞれ設けられている。従って、布線治具30を布線形態からワイヤハーネスレイアウト形態に展開(変形)しても、配索ピンP1〜P9の位置が変化しないため、布線された各電線Wの配索寸法が維持され、配索寸法管理を回転支持ピンを兼用する配索ピンP1〜P9という簡単な構造で精度良くできる。
【0071】
布線基台10と布線基台10上を移動する布線アーム31a〜31l(具体的には分岐用布線アーム31f〜31lと長さ調整用布線アーム31c〜31e)のいずれか一方にガイドピンを、他方にガイドピンをガイドするガイド孔を設け、布線治具30の布線形態とワイヤーハーネスレイアウト形態との間の変形をガイドするようにしても良い。このように構成すれば、布線治具30の布線形態とワイヤーハーネスレイアウト形態間の変形を容易に、且つ、スムーズに行うことができる。特に、布線形態とワイヤーハーネスレイアウト形態間の変形を繰り返し多数回に亘って行っても正確に布線治具30の形態変形が可能である。
【0072】
ワイヤーハーネスWHの製造方法、及び、これに使用する布線治具30は、全体的に線長の短いワイヤーハーネス(例えばドアハーネス)の生産に適し、且つ、多種少量生産に適している。
【0073】
電線配索案内部は、布線基台上に立設された配索ピンP1〜P9であるが、電線Wを予め定められた経路に沿って配索するようガイドするものであれば良く、例えば、ガイド壁でも良い。そして、配索ピンP1〜P9は、複数の布線アーム31a〜31lを回転自在に連結する回転支持ピンを利用している。従って、部品点数の削減、構造の単純化になる。
【0074】
布線基台10は、回転可能とされ、電線端末処理装置である端子圧接装置20が布線基台10に対して近接・離間方向に移動可能とされ、回転時における布線基台10と電線端末処理装置である端子圧接装置20との干渉を回避しているが、布線基台10と電線端末処理装置である端子圧接装置20の一方若しくは双方が干渉しないように移動できるようにすれば良く、種々の手段が考えられる。例えば、布線基台10を電線端末処理装置である端子圧接装置20に対して近接・離間方向に移動可能としても良い。
【0075】
各電線保持部12a〜12iと各電線配索案内部P1〜P9は、この実施形態では、全て布線治具30に設けられているが、布線基台10上より変位しないものは布線基台10に設けても良い。
【0076】
電線端末処理装置は、この実施形態では、電線Wと端子を圧接接続で接続するものであるため、圧接端子(図示せず)への圧接によって電線Wと端子間を接続し、且つ、コネクタハウジング本体(図示せず)へのカバー装着作業も可能な端子圧接装置20であるが、電線Wと端子を加締め接続で接続する場合には、電線皮むき装置、電線端末を端子に加締め接続する加締め装置、及び、端子をコネクタハウジング内に装着する装置より構成される。
【0077】
布線基台10の回転は、手作業でもアクチュエータによる場合を問わない。
【0078】
布線工程などの各工程での作業は、手作業で行う場合及び布線ヘッドを有する自動布線機で行う場合を問わない。
【0079】
この実施形態では、布線基台10上を各布線アーム31a〜31lが二次元で移動して布線治具30が変形するものについて説明したが、布線基台10上を一部の布線アームが三次元(布線治具平面と直交する方向)で移動して布線治具30が変形するものであっても良い。
【0080】
この実施形態では、布線アーム31a〜31lが13本の例を示したが、布線アーム31a〜31lの本数を問わない。つまり、布線アーム31a〜31lの本数等は、ワイヤーハーネスWHのレイアウト形態によって適宜決定される。
【0081】
この実施形態では、布線アーム31a〜31lは、すべてストレート形状であるが、L形状等であっても良く、形状を問わない。
【0082】
この実施形態では、導通検査工程は、外装品装着工程の後に行っているが、外装品装着工程の前に行っても良い。
【0083】
(従来例と本願発明との具体的な効果の検討)
従来例(特開平1−221813号公報)の場合、つまり、四角形の布線基台の対向する2側辺に電線保持部を設けた場合と、発明の場合(最大で、布線基台の4側辺に電線保持部)とを比較検討する。本発明にあっては、従来例と同じワイヤーハーネス(同じ回路数、端末数、コネクタ数・・)を製造する場合、四角形(特に正方形)の布線基台の4側辺を使用可能(隣接する2辺以上)である。従って、従来例では、長い対向する2側辺である場合、1.8M(メートル)×2(辺)=3.6Mが電線保持部として利用できる長さである。これに対し、本発明では4辺が0.9M×4(辺)=3.6Mとなり、布線基台を回転し、各側辺の電線端末の処理を行うことにより電線保持部を同等の長さとし、同じワイヤーハーネスを製造することが出来ることになる。このように、布線基台の4側辺の有効利用により、次のような効果がある。(1)布線基台(布線作業スペース)を略1/2の面積とコンパクトしながら、電線保持部の長さを従来例と同等に出来る。(2)ワイヤーハーネスの布線の全長は同等であるが、電線の配索ピンによる折り返し布線により直線移動距離が短く効率的に出来る。(3)電線の布線を自動布線機で行う場合、布線ヘッドでの配線のリターン化により、布線ヘッド自体の直線長距離布線が極端に短くなり(略1/2)、引いては自動布線機自体の小型化に繋がる(4)電線の布線を作業者が手作業で行う場合、布線基台を回転し、各側辺の電線端末の処理を行うことができるため、足を使わずして(徒歩での移動距離を少なくして)、手の届く範囲での配索が可能となり、作業員の体力の消耗を少なくし、効率的な作業が出来、能率も上がる。