特許第6190852号(P6190852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190852
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】車両アクセス制御システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/04 20090101AFI20170821BHJP
   H04W 76/02 20090101ALI20170821BHJP
   G07F 17/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   H04W4/04 110
   H04W76/02
   G07F17/00 Z
【請求項の数】44
【外国語出願】
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2015-158802(P2015-158802)
(22)【出願日】2015年8月11日
(62)【分割の表示】特願2012-536792(P2012-536792)の分割
【原出願日】2010年10月29日
(65)【公開番号】特開2016-7035(P2016-7035A)
(43)【公開日】2016年1月14日
【審査請求日】2015年9月2日
(31)【優先権主張番号】12/914,839
(32)【優先日】2010年10月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/256,647
(32)【優先日】2009年10月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512112367
【氏名又は名称】ゲッタラウンド・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】GETAROUND INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザイド・サム
(72)【発明者】
【氏名】アンマ・ビジャイ
(72)【発明者】
【氏名】クルー・エリオット
(72)【発明者】
【氏名】リー・クローガン・マイケル
【審査官】 青木 健
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−304751(JP,A)
【文献】 特開2003−058795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
H04B 7/24 − 7/26
G07F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両アクセス制御システムであって、
車両予約を受信する運転手のパーソナル無線デバイスから前記車両予約を車両で受信するよう構成された通信インターフェースであって、前記通信インターフェースは、短距離2地点間無線通信リンクを介して前記パーソナル無線デバイスと通信するよう構成された無線通信インターフェースを含、通信インターフェースと、
前記短距離2地点間無線通信リンクを介して前記パーソナル無線デバイスから受信した前記車両予約に基づいて前記車両予約を認証し、前記車両予約を認証した後に前記車両への前記運転手のアクセスを提供するよう構成された車両アクセス制御要素と、
を備え、
前記車両予約は、使用される前記車両に関連付けられており、
前記車両への前記運転手のアクセスは、前記車両予約が無効になると取り消され、
前記車両アクセス制御システムは、さらに、前記車両アクセス制御システムへの更新を前記パーソナル無線デバイスから受信するよう構成される、車両アクセス制御システム。
【請求項2】
車両アクセス制御システムであって、
運転手のパーソナル無線デバイスからの車両予約を車両で受信するよう構成された通信インターフェースであって、前記通信インターフェースは、短距離2地点間無線通信リンクを介して前記パーソナル無線デバイスと通信するよう構成された無線通信インターフェースを含み、前記運転手の前記パーソナル無線デバイスは、前記車両予約を受信する、通信インターフェースと、
前記短距離2地点間無線通信リンクを介して前記パーソナル無線デバイスから受信した前記車両予約に基づいて前記車両予約を認証し、前記車両予約を認証した後に前記車両への前記運転手のアクセスを提供するよう構成された車両アクセス制御要素と、
を備え、
前記車両予約は、使用される前記車両に関連付けられており、
前記車両への前記運転手のアクセスは、前記車両予約が無効になると取り消され、
前記車両予約は、前記車両予約の一意性を示す固有のインクリメントを含む、車両アクセス制御システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両予約は、予約時間帯の終了時に無効になる、車両アクセス制御システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両予約は、前記パーソナル無線デバイスが前記車両アクセス制御システムの前記通信インターフェースの無線通信範囲から外れた時に無効になる、車両アクセス制御システム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両予約は、前記パーソナル無線デバイスが前記車両アクセス制御システムの前記通信インターフェースの無線通信範囲から外れた時に無効になり、
前記車両アクセス制御要素は、前記パーソナル無線デバイスが前記車両アクセス制御システムとの通信を失った時に前記車両へのアクセスを拒否するよう構成される、車両アクセス制御システム。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
別の車両予約は、前記車両の所有者による前記車両への無制限のアクセス期間を含む、車両アクセス制御システム。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記運転手の前記パーソナル無線デバイスが前記車両予約をリモートサイトから受信した後に、前記運転手の前記パーソナル無線デバイスは、前記車両予約を前記車両アクセス制御システムの前記通信インターフェースに送信する、車両アクセス制御システム。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両予約は、グループまたは団体のメンバで共有される、車両アクセス制御システム。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記パーソナル無線デバイスは、長距離無線通信リンクを介してデータネットワークから前記パーソナル無線デバイスへのリモートサイトからの前記車両予約を受信し、
前記長距離無線通信リンクは、GSM(登録商標、以下同じ)、SMS、UTMS、HSDPA、および、LTEからなる群より選択される、車両アクセス制御システム。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両予約は、暗号化された通信に含まれる、車両アクセス制御システム。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両予約は、暗号化された通信に含まれ、前記車両アクセス制御システムのための公開鍵を用いて暗号化される、車両アクセス制御システム。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両予約は、暗号化された通信に含まれ、前記車両アクセス制御システムのための公開鍵を用いて暗号化され、
前記車両アクセス制御システムは、さらに、ローカルに格納された秘密鍵を用いて、前記暗号化された車両予約を復号するよう構成される、車両アクセス制御システム。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両予約は、暗号化された通信に含まれ、前記車両アクセス制御システムのための公開鍵を用いて暗号化され、
前記車両アクセス制御システムは、さらに、前記車両予約が真正であることを確認するために前記暗号化された通信を復号するよう構成される、車両アクセス制御システム。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記短距離2地点間無線通信リンクは、Bluetooth(登録商標)およびWiFiからなる群より選択される、車両アクセス制御システム。
【請求項15】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記通信インターフェースは、有線接続を介して前記パーソナル無線デバイスと通信するよう適合された物理アクセスポートを備える、車両アクセス制御システム。
【請求項16】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
車両アクセス制御システムは、さらに、前記パーソナル無線デバイスに対称鍵を返すよう構成される、車両アクセス制御システム。
【請求項17】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
車両アクセス制御システムは、さらに、前記パーソナル無線デバイスに対称鍵を返すよう構成され、
前記対称鍵は前記車両予約の予約期間に関連付けられる、車両アクセス制御システム。
【請求項18】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両アクセス制御システムは、さらに、前記車両アクセス制御システムへの更新を前記パーソナル無線デバイスから受信するよう構成され、
前記更新は、前記車両アクセス制御システムの新しい秘密鍵を含む、車両アクセス制御システム。
【請求項19】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両予約は、使用される前記車両を特定する車両IDを含む、車両アクセス制御システム。
【請求項20】
請求項に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記固有のインクリメントは、カウンタおよびタイムスタンプからなる群より選択される、車両アクセス制御システム。
【請求項21】
請求項1又2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両アクセス制御システムは、さらに、前記車両アクセス制御システムから前記パーソナル無線デバイスに至り、前記パーソナル無線デバイスからリモートサイトに至る保護された通信チャネル/プロトコルを用いて、車両アクセス制御システム情報を前記リモートサイトに通信するよう構成される、車両アクセス制御システム。
【請求項22】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両アクセス制御要素は、キーフォブをエミュレートする、車両アクセス制御システム。
【請求項23】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両アクセス制御要素は、車両制御部に接続された車両バスと通信するための車両バスアダプタを備える、車両アクセス制御システム。
【請求項24】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両アクセス制御要素は、車両制御部に接続された車両バスと通信するための車両バスアダプタを備え、
前記車両アクセス制御要素は、車両CANバスと通信するためのCANバスアダプタを備える、車両アクセス制御システム。
【請求項25】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両アクセス制御要素は、車両制御部に接続された車両バスと通信するための車両バスアダプタを備え、
前記車両アクセス制御要素は、車両LINバスと通信するためのLINバスアダプタを備える、車両アクセス制御システム。
【請求項26】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、さらに、
前記パーソナル無線デバイスの長距離無線通信インターフェースにテザリングしてテザリング無線ネットワークアクセスを行うための要素を備え、
前記要素は、ハードウェアおよびソフトウェアからなる群より選択される少なくとも1つを含む、車両アクセス制御システム。
【請求項27】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、さらに、
前記パーソナル無線デバイスの長距離無線通信インターフェースにテザリングしてテザリング無線ネットワークアクセスを行うための要素を備え、
前記要素は、ハードウェアおよびソフトウェアからなる群より選択される少なくとも1つを含み、
前記テザリング無線ネットワークアクセスは、前記車両の地理的位置の自動追跡を提供する、車両アクセス制御システム。
【請求項28】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両アクセス制御システムは、さらに、ソーシャルネットワークサイトを用いて車両予約を広告するよう構成されたリモートサイトを備え、
前記広告される車両予約は地理的位置情報を含む、車両アクセス制御システム。
【請求項29】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、さらに、
1または複数の走行中に前記車両の加速度を監視するための加速度計を備え、
前記車両アクセス制御システムは、車両利用データを提供して定期的に前記車両利用データをリモートサイトに報告するために、1または複数の走行中に前記車両の加速度を監視するよう構成される、車両アクセス制御システム。
【請求項30】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、さらに、
1または複数の走行中に前記車両の加速度を監視するための加速度計を備え、
前記車両アクセス制御システムは、車両利用データを提供して定期的に前記車両利用データをリモートサイトに報告するために、1または複数の走行中に前記車両の加速度を監視するよう構成され、
前記加速度計は、前記パーソナル無線デバイスの加速度計にテザリングすることによって作成されたテザリング加速度計である、車両アクセス制御システム。
【請求項31】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、さらに、
1または複数の走行中に前記車両の加速度を監視するための加速度計を備え、
前記車両アクセス制御システムは、車両利用データを提供して定期的に前記車両利用データをリモートサイトに報告するために、1または複数の走行中に前記車両の加速度を監視するよう構成され、
前記車両アクセス制御システムは、さらに、前記車両利用データを1または複数の車両ユーザに関連付け、前記車両利用データに基づいて走行距離連動型保険を提供する保険会社に、前記1または複数の車両ユーザに関連付けられた前記車両利用データを通信するよう構成される、車両アクセス制御システム。
【請求項32】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記短距離2地点間無線通信インターフェースは、第1の車両における第1の短距離2地点間無線通信インターフェースであり、
前記第1の短距離2地点間無線通信インターフェースは、第2の車両の車両アクセス制御システムの第2の短距離2地点間無線通信インターフェースと通信し、前記第1の車両および前記第2の車両を含む複数の車両を含むメッシュアドホックネットワークを形成するよう構成される、車両アクセス制御システム。
【請求項33】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記短距離2地点間無線通信インターフェースは、第1の車両における第1の短距離2地点間無線通信インターフェースであり、
前記第1の短距離2地点間無線通信インターフェースは、第2の車両の車両アクセス制御システムの第2の短距離2地点間無線通信インターフェースと通信し、前記第1の車両および前記第2の車両を含む複数の車両を含むメッシュアドホックネットワークを形成するよう構成され、
前記メッシュアドホックネットワークは、さらに、情報を第2の車両を介して前記第1の車両からリモートサイトに中継するよう構成され、
前記情報は、位置情報、交通関連情報、ならびに、緊急または事故情報からなる群より選択される、車両アクセス制御システム。
【請求項34】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記パーソナル無線デバイスは、USBパック、スマートフォン、携帯電話機、PDA、ラップトップコンピュータ、スマートブック、および、ネットブックの内の1または複数を含む、車両アクセス制御システム。
【請求項35】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、さらに、
長距離無線通信プロトコルによってデータネットワークと通信するよう構成されたGSM無線機を備える、システム。
【請求項36】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、さらに、
特徴的な音声信号に基づいて音声信号を特定するよう構成されたマイクロホンシステムを備え、
前記車両アクセス制御システムは、前記特徴的な音声信号が特定された後に低電力モードから通常電力モードに移行する、車両アクセス制御システム。
【請求項37】
請求項1又は2に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記パーソナル無線デバイスは、位置追跡機能を備え、
前記パーソナル無線デバイスは、無線通信を介して車両の位置および利用可能性を予約システムに更新するよう構成され、
前記更新は、前記パーソナル無線デバイスのユーザによって自動的または手動で開始されうる、車両アクセス制御システム。
【請求項38】
車両アクセス制御システムを用いた車両アクセス制御方法であって、
車両予約を受信する運転手のパーソナル無線デバイスから前記車両予約を車両で受信する工程と、
短距離2地点間無線通信リンクを介して前記パーソナル無線デバイスから受信した前記車両予約に基づいて前記車両予約を認証する工程と、
前記車両予約を認証した後に前記車両への前記運転手のアクセスを提供する工程と、
を備え、
前記車両予約は、使用される前記車両に関連付けられており、
前記車両への前記運転手のアクセスは、前記車両予約が無効になると取り消され、
前記方法は、さらに、前記車両アクセス制御システムへの更新を前記パーソナル無線デバイスから受信する、方法。
【請求項39】
車両アクセス制御のための方法であって、
車両予約を受信する運転手のパーソナル無線デバイスから前記車両予約を車両で受信する工程と、
短距離2地点間無線通信リンクを介して前記パーソナル無線デバイスから受信した前記車両予約に基づいて前記車両予約を認証する工程と、
前記車両予約を認証した後に前記車両への前記運転手のアクセスを提供する工程と、
を備え、
前記車両予約は、使用される前記車両に関連付けられており、
前記車両への前記運転手のアクセスは、前記車両予約が無効になると取り消され、
前記車両予約は、前記車両予約の一意性を示す固有のインクリメントを含む、方法。
【請求項40】
請求項38又は39に記載の方法であって、
前記車両予約は、予約時間帯の終了時に無効になる、方法。
【請求項41】
請求項38又は39に記載の方法であって、
前記車両予約は、前記パーソナル無線デバイスが前記車両内に配置された車両アクセス制御システムの無線通信範囲から外れた時に無効になる、方法。
【請求項42】
請求項38又は39に記載の方法であって、
前記車両予約は、前記パーソナル無線デバイスが前記車両内に配置された車両アクセス制御システムの無線通信範囲から外れた時に無効になり、
前記車両へのアクセスは、前記パーソナル無線デバイスが前記車両アクセス制御システムとの通信を失った時に拒否される、方法。
【請求項43】
請求項38又は39に記載の方法であって、
別の車両予約は、前記車両の所有者による前記車両への無制限のアクセス期間を含む、方法。
【請求項44】
請求項38又は39に記載の方法であって、
前記運転手の前記パーソナル無線デバイスは前記車両予約をリモートサイトから受信する、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
<他の出願の相互参照>
本願は、2009年10月30日出願の米国仮特許出願第61/256,647号(代理人整理番号GETTP001+)「WIRELESSLY TETHERED COMMUNICATION SERVICES AND PLATFORM」の優先権を主張する。当該出願は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
カーシェアリングは、短期間(しばしば時間単位で)自動車をレンタルするカーレンタルの一形態である。車を時々使用するだけの顧客にとっても、日常的に使うものと異なるタイプの車をたまに利用したいという顧客にとっても魅力的である。車を貸し出す組織は、営利事業であってもよいし、ユーザが、民主的に管理された会社または公的機関として組織されてもよい。多くの大都市では、営利企業および非営利企業の両方がカーシェアリングサービスを提供している。
【0003】
カーシェアリングは、従来のカーレンタルとは様々な違いがある。例えば、カーシェアリングサービスは、以下の特徴の内の1または複数を備えうる:(a)カーシェアリングは営業時間に制限されない;(b)予約、受け取り、および、返却をセルフサービスで行うことができる;(c)時間単位でも日単位でも車両をレンタルできる(d)ユーザは会員であり、運転を事前に承認されている(運転経歴の確認が行われ、支払方法が確立されている);(e)自動車の配置はサービスエリア全体に分散されており、しばしば、公共交通機関でアクセスしやすいように配置される;(f)保険および燃料費が料金に含まれる;(g)車両は各利用後に保守(清掃、燃料補充)されない。
【発明の概要】
【0004】
以下の詳細な説明と添付の図面において、本発明の様々な実施形態を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】いくつかの実施形態に従って、車両アクセス制御のためのシステムの一実施形態を示すブロック図。
【0006】
図2】いくつかの実施形態に従って、車両アクセスを提供するための車両アクセスキットの一実施形態を示す図。
【0007】
図3】いくつかの実施形態に従って、車両アクセスキットと車両とのインターフェース接続の一実施形態を示す図。
【0008】
図4】いくつかの実施形態に従って、車両アクセス制御のフローの一例を示すフローチャート。
【0009】
図5】いくつかの実施形態に従って、無線通信デバイスから車両予約を受信するためのフローの一例を示すフローチャート。
【0010】
図6】いくつかの実施形態に従って、車両予約が車両アクセス制御システムで受信された時に車両アクセスを提供するための処理の一例600を示すフローチャート。
【0011】
図7】いくつかの実施形態に従って、車両アクセス制御システムを備えた車両を含むアドホックネットワークを示す図。
【0012】
図8】いくつかの実施形態に従って、車両アクセス制御システムを用いて収集された情報を用いて走行距離連動型(PAYD)保険を提供するための処理の一実施形態を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、処理、装置、システム、物質の組成、コンピュータ読み取り可能な格納媒体上に具現化されたコンピュータプログラム製品、および/または、プロセッサ(プロセッサに接続されたメモリに格納および/またはそのメモリによって提供される命令を実行するよう構成されたプロセッサ)を含め、様々な形態で実装されうる。本明細書では、これらの実装または本発明が取りうる任意の他の形態を、技術と呼ぶ。一般に、開示された処理の工程の順序は、本発明の範囲内で変更されてもよい。特に言及しない限り、タスクを実行するよう構成されるものとして記載されたプロセッサまたはメモリなどの構成要素は、ある時間にタスクを実行するよう一時的に構成された一般的な構成要素として、または、タスクを実行するよう製造された特定の構成要素として実装されてよい。本明細書では、「プロセッサ」という用語は、1または複数のデバイス、回路、および/または、コンピュータプログラム命令などのデータを処理するよう構成された処理コアを指すものとする。
【0014】
以下では、本発明の原理を示す図面を参照しつつ、本発明の1または複数の実施形態の詳細な説明を行う。本発明は、かかる実施形態に関連して説明されているが、どの実施形態にも限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されるものであり、多くの代替物、変形物、および、等価物を含む。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細事項が記載されている。これらの詳細事項は、例示を目的としたものであり、本発明は、これらの具体的な詳細事項の一部または全てがなくとも特許請求の範囲に従って実施可能である。簡単のために、本発明に関連する技術分野で周知の技術事項については、本発明が必要以上にわかりにくくならないように、詳細には説明していない。
【0015】
カーシェアリング会社およびサービスは、通例、自動車を共有する処理を自動化するために独自または市販の車両位置自動特定(AVL, Automatic Vehicle Location)ハードウェアを車両に導入することを必要とする。典型的なAVLハードウェアに加えて、カーシェアリングでは、一般に、各ユーザは、AVLハードウェアを備える自動車を開錠するために用いるIDカードを持ち運ぶ必要がある。特に、識別、承認、および、アクセスを行うには、通例、固有のIDカードを各ユーザに与えることが必要になる。次いで、各車両は、デバイス上の識別コードを読み取ることができる無線自動識別(RFID)または近接場通信(NFC)リーダ(「カードリーダ」)を備えられる。カードリーダは、AVLハードウェアに統合され、車両位置自動特定マイクロプロセッサユニット(AVL MPU)と直接通信する。カードがリーダに近接されると、ユーザの識別コードが取得され、無線でバックエンドシステムへ送信される。ユーザが承認されると、MPUは、バスアダプタを通してドアロックを作動させ、自動車のドアを開錠する。ユーザは、車を返す時に、カードをカードリーダに近接させて再びスワイプすることにより、車を施錠しレンタル取引を終了させる。請求および予約の状況が自動的に更新され、システムバックエンドに送信される。
【0016】
現在のカーシェアリングの方法には、様々な制限がある。固有のIDカードすなわち物理的アクセスカード/キーが、各ユーザに発行される必要があり、かかるカード/キーをまだ取得していない新規ユーザについては、車へのアクセスの許可または取得が不便である。自動車におけるハードウェア構成要素(例えば、AVLハードウェア)は、さらに、セルラー通信または衛星通信の機能を備える必要があり、自動車は、現行の車両アクセス制御システムが、中央サーバと通信して、アクセス制御情報を更新し車両のアクセス要求を処理するために、セルラー通信または衛星通信のアクセス範囲にとどまる必要がある。しかしながら、セルラー通信または衛星通信のサービス料金は高い場合がある。また、地下駐車場または大きい高層ビルのある都市の中心街などで、自動車が衛星通信範囲外になる場合、最小限の待ち時間で車両へのアクセスの許可を確認して最新の車両アクセス制御情報を受信するために中央サーバへの適切な承認を得ることが妨げられることがある。さらに、衛星通信は、特に、自動車が長期間駐車された場合に、自動車のバッテリを完全に消費する場合がある。したがって、カーシェアリングサービスを提供するための改良方法が必要である。
【0017】
用語の概説:
一般用語
自動車:自動車は、本明細書の本文では車両と同義語として用いられている。本明細書で用いられているように、自動車は、自動車、バス、RV車、バイク、スクータ、ボート、および/または、任意の他の形態の乗り物を含むものと理解されるべきである。
【0018】
無線通信およびネットワーク
GSM(登録商標):移動通信用グローバルシステム(GSM)は、携帯電話のための一般的な規格である。これは、第二世代(2G)モバイル規格であり、通話および信号伝達の両方にデジタルチャネルを用いる。例えば、GSMは、汎用パケット無線サービス(GPRS)規格およびGSM進化型高速データレート(EDGE)規格によるデータ伝送機能を含む。
【0019】
SMS:ショートメッセージサービス(SMS)は、GSM移動通信システムで標準化された通信サービスであり、携帯電話デバイス間でのショートテキストメッセージのやり取りを可能にする標準通信プロトコルを用いる。SMSテキストメッセージは、現在、世界で最も広く用いられているデータアプリケーションであり、約24億のアクティブユーザすなわち全携帯電話加入者の約74%が電話でテキストメッセージを送受信している。
【0020】
UMTS:ユニバーサル移動通信システム(UMTS)は、GSM規格の概念を基礎とする第三世代(3G)移動通信技術である。ほとんどのUMTSハンドセットは、GSM規格もサポートしており、シームレスなデュアルモード動作を可能にする。
【0021】
HSDPA:高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)は、UMTSネットワーク上でのより高速なデータ転送スピードを可能にする高度な3G携帯電話通信プロトコルである。
【0022】
LTE:ロングタームエボリューション(LTE)は、携帯電話ネットワークの容量および速度を高めるために設計された第四世代(4G)移動通信規格のための規格である。LTEは、UMTSを基礎として、短い待ち時間および高いデータ伝送速度を有する全IPフラットネットワーキングアーキテクチャを作成する。
【0023】
Bluetooth(登録商標):Bluetoothは、固定および携帯デバイスから短距離を隔ててデータを交換するためのオープン無線プロトコルであり、パーソナルエリアネットワーク(PAN)を作成する。もともと、RS−232データケーブルに対する無線の代替手段として考案された。いくつかのデバイスを接続することが可能であり、同期の問題を克服している。
【0024】
Wi−Fi:本明細書で用いられているように、Wi−Fiとは、一般に、同じ基本プロトコルを用いる無線変調技術のためのIEEE802.11規格のグループを指す。Wi−Fiは、コンピュータ通信用の無線ローカルエリアネットワークを作成するために用いられる。
【0025】
テザリング:テザリングとは、ある種の携帯デバイスを用いて、別のデバイス上でインターネットアクセスを行うことである。テザリングは、インターネットにアクセスできるデバイスをインターネットに直接接続できない別のデバイスに接続することによって機能する。これは、無線技術(例えば、Bluetoothまたは802.11Wi−Fi)によって、または、直接的な接続ケーブル(例えば、USB)を用いて実現することが可能であり、アクセス機能を組み込まれていないデバイスが、接続されたデバイスをモデムとして用いて、(例えば、HSDPAで)インターネットに接続することを可能にする。
【0026】
携帯電話機/スマートフォン:携帯電話機とは、一般に、電子メール、高速インターネットアクセス、オーディオおよびビデオ機能、リッチな視覚インターフェース、高度な相互作用技術(例えば、マルチタッチ)、ならびに/もしくは、GPS機能など、パーソナルコンピュータの種々の高度な機能を提供する携帯型デバイスを指す。本明細書で用いられているように、携帯電話機は、スマートフォン、インターネット接続携帯電話、スマートブック、ネットブック、無線接続をサポートする任意のその他の多機能携帯電話機、および、任意の形態の多機能電話機(例えば、NFC対応の電話機)を含むと理解されるべきである。
【0027】
近接場通信(NFC):約4インチの距離を隔てたデバイス間のデータ交換を可能にする短距離無線通信技術。NFCは、スマートカードのインターフェースとリーダとを組み合わせて、単一のデバイスにする。NFCデバイスは、既存のISO/IEC14443スマートカードおよびリーダの両方、ならびに、他のNFCデバイスと通信することができる。公共交通機関および支払いですでに用いられている既存の非接触式インフラストラクチャと互換性がある。NFCは、主に、携帯電話での利用を意図されている。
【0028】
無線自動識別(RFID):通常は、電波を用いて識別および追跡を行うために、製品、動物、または、人物に付けられるRFIDタグを取り付けることを示唆する。
【0029】
仮想プライベートネットワーク(VPN):ノード間のリンクのいくつかが、いくつかのより大きいネットワーク(例えば、インターネット)を通して共有接続または仮想回路によって実現されるコンピュータネットワーク。これは、ノード間のすべてのリンクが共有されるわけではないプライベートネットワークと対照的である。VPNは、しばしば、公衆インターネットを通しての通信を保護するために認証およびコンテンツ暗号化と共に用いられる。
【0030】
レイヤ2トンネリング(L2TP、L2CAPトンネリング):コンピュータネットワークにおけるトンネリングは、上位レベルプロトコル(例えば、トランスポート層)内に下位レベルプロトコル(例えば、リンク層)をラップして、リンク層の範囲を拡張および仮想化することを含む。これは、しばしば、互換性のないネットワークをブリッジするため、または、信頼できないネットワークを通して安全なパスを提供するために行われる。
【0031】
アドホックネットワーク:各ノードが他のノードのためにデータを転送し、転送ノードの決定が接続性に基づいて動的に行われる分散型無線ネットワーク。本明細書で用いられているように、モバイルアドホックネットワーク(MANET)とは、相互接続された携帯デバイスで構成されたアドホックネットワークを指す。本明細書で用いられているように、車両アドホックネットワーク(VANET)とは、相互接続された車両、携帯デバイス、および、道路沿いの装置で構成されたアドホックネットワークを指す。
【0032】
ZigBee:ZigBeeは、無線の照明スイッチとランプ、電気メータと家庭内ディスプレイ、短距離無線通信を用いる家電機器など、低レート無線パーソナルエリアネットワーク(LR−WPAN)のためのIEEE802.15.4−2003規格に基づく小型低電力デジタル無線機を用いる一連の高レベル通信プロトコルの仕様である。ZigBee仕様によって規定された技術は、他のWPAN(Bluetoothなど)よりも簡単かつ安価であることを意図されている。ZigBeeは、低データレート、長いバッテリ寿命、および、安全なネットワーク構築を必要とする高周波(RF)用途を対象とする。
【0033】
IEEE 802.11s:IEEE 802.11sは、メッシュネットワーキングのためのIEEE802.11修正案であり、無線デバイスがWLANメッシュネットワークを作成するために相互接続しうる方法を規定しており、WLANメッシュネットワークは、静的トポロジおよびアドホックネットワークのために利用されうる。
【0034】
802.11は、無線ネットワーキング伝送方法を規定する一連のIEEE規格である。現在では、家庭、オフィス、および、いくつかの商業施設で無線接続を提供するために、802.11a、802.11b、802.11g、および、802.11nが一般に利用されている。
【0035】
自動車制御システム
ECU:電子制御ユニット(ECU)は、自動車内の1または複数のサブシステムを制御する任意の埋め込みシステムである。現代の自動車は、多くて80のECUを有しており、しばしば、それら複数のECUを集合的にECUと呼ぶ。
【0036】
MPU/MCU:マイクロプロセッサユニット(MPU)は、コンピュータコードを実行することができる単一の集積回路(IC)上の小型コンピュータ処理ユニットである。デスクトップコンピュータのチップは、現在、マイクロプロセッサの形態を取っている。マイクロコントローラユニット(MCU)は、特殊用途、小型、かつ、単純な形態のマイクロプロセッサである。MCUは、通例、スモールフォームファクタデバイス、専用の用途、および、特定用途で用いられる。
【0037】
CANバス:コントローラエリアネットワーク(CANバスまたはCanバス)は、マイクロコントローラおよびデバイス(例えば、センサ、アクチュエータ、および、制御ユニット)が、ホストコンピュータを用いることなく車両内で互いに通信することを可能にするように設計された車両用バス規格である。CANは、マルチマスタシリアルバス規格であり、複数の電子制御ユニット(ECU)を互いに接続するためにメッセージベースのプロトコルを用いる。
【0038】
LINバス:LINバス(ローカルインターコネクトネットワーク)は、車両用バス規格、すなわち、現在の自動車用ネットワークアーキテクチャ内で用いられるコンピュータネットワーキングバスシステムである。LIN仕様は、LINコンソーシアムによって施行され、最初のバージョン1.1が1999年にリリースされた。それ以来、仕様は、現在のネットワーキング需要を満たすためにバージョン2.1までバージョンアップされた。
【0039】
LINバスは、インテリジェントセンサデバイスまたはアクチュエータを現在の車に組み込むためにCANバスの低コストサブネットワークとして用いられる小型低速ネットワークシステムである。近年、LINは、特別なDC−LINトランシーバによって車両バッテリの電力ラインを介して利用される場合もある。
【0040】
(例えば、高速制御、冗長性、および、耐故障性が求められない場合に)LINバスによって制御される可能性が最も高いアクチュエータおよび自動車構成要素の例としては、以下が挙げられる:
a.ルーフ センサ、光センサ、光制御、サンルーフ
b.ハンドル クルーズコントロール、ワイパ、方向指示器、エアコン、ラジオ
c.シート シートポジションモータ、乗員検知センサ、コントロールパネル
d.エンジン センサ、小型モータ
e.環境 小型モータ、コントロールパネル
f.ドア ミラー、中央ECU、ミラースイッチ、ウィンドウリフト、シートコントロールスイッチ、ドアロック
【0041】
OBD:オンボード診断(OBD)とは、車両の自己診断および報告の機能を意味する。OBDシステムにより、車両の所有者または整備士は、様々な車両サブシステムの健全性情報の状態にアクセスできる。
【0042】
現在のOBD実装は、自動車内の異常を速やかに特定および修理することを可能にする標準化された一連の診断トラブルコードすなわちDTCに加えて、標準の高速デジタル通信ポートを用いてリアルタイムデータを提供する。
【0043】
OBD−II仕様は、標準ハードウェアインターフェースすなわちメス16ピン(2×8)J1962コネクタを提供する。OBD−IIコネクタは、ほとんどの場合、車室の運転手側で中央コンソール付近に配置される。SAE J1962は、コネクタ規格のピン配列を規定する。
【0044】
OBD−IIは、ECUからの多くのデータへのアクセスを可能にし、車両内の問題を解決する際に有益な情報源を提供する。SAE J1979規格は、様々な診断データを要求するための方法と、ECUから入手されうる標準的なパラメータのリストとを規定する。利用できる様々なパラメータは、J1979に規定された「パラメータ識別番号」すなわちPIDで呼ばれる。基本PIDのリスト、それらの定義、および、OBDーIIの生出力を意味のある診断単位に変換するための式は、OBD−II PID仕様に含まれている。
【0045】
キーレスエントリシステム:物理的な車のキーを用いることなく自動車を遠隔で開錠して自動車へのアクセスを許可するシステム。車への任意の物理的接触なしに数フィート離れてパワードアロックを施錠または開錠することを可能にする。
【0046】
ほとんどのリモートキーシステムは、予めプログラムされた無線周波数で疑似ランダムコードと共にコマンドを伝送することによって機能する。リモコン上の施錠または開錠ボタンが押下されるごとに、疑似ランダムシーケンス内の次の番号が、所望のコマンド(例えば、ドアの施錠または開錠のコマンド)と共に車両に伝送される。
【0047】
車両のECUが、伝送されたコードを有効と認識した場合、コマンドが受け入れられる。実際的には、車両のECUは、疑似ランダムシーケンス内の次の256コードの中のいずれかを受け入れ、最後の有効な伝送コードをメモリに格納することによって、自身をリモートキーと同期させる。
【0048】
KeeLoq:KeeLoqは、独自のハードウェア専用のNLFSR(非線形フィードバックシフトレジスタ)に基づくブロック暗号であり、コードホッピングシーケンスを生成するためのものである。KeeLoqは、Chrysler、Daewoo、Fiat、GM、Honda、Toyota、Volvo、VW、Clifford、Shurlok、Jaguarの各社、および、その他の自動車メーカーなどの企業によって、キーレスエントリシステムの大多数に採用されている。
【0049】
キーレスゴーシステム:運転手がリモートキー上のどのボタンも押下することなしに自動的に車両を施錠および開錠することを可能にする自動車技術。さらに、車両内に入ると、キーレスゴーは、運転手がキーを用いることなくエンジンを始動および停止することを可能にする。運転手識別および自動機能は、キーに内蔵されたトランスポンダを用いて実現される。システムは、自動車の内部および外部の両方に一連のLF(低周波数125kHz)伝送アンテナを有することによって機能する。外部アンテナはドアハンドル内に配置される。ハンドルを引くことまたはハンドルに触ることによって車両がトリガされると、LF信号がアンテナからキーへ伝送される。キーは、十分に閉じると起動され、自身のIDをRF(例えば、RF>300MHz)によって車両内に配置されたレシーバに返す。キーが正しいIDを有する場合、PASEモジュールが車両を開錠する。
【0050】
車両位置自動特定(AVL)
GPS:全地球測位システム(GPS)は、宇宙を利用した米国の地球規模ナビゲーション衛星システムである。一般に、ほぼすべての天候、日中および夜間、ならびに、有効な衛星通信が行える地球上または地球付近のほぼすべての場所で、信頼性の高い測位、ナビゲーション、および、タイミングサービスを連続的に世界中のユーザに提供する。
【0051】
AVL:車両位置自動特定は、車両の地理的位置を自動的に決定し、その情報を要求者に伝送するための手段である。地理的測位は、通常、衛星測位(例えば、GPS)または無線位置特定システム(例えば、RTLS)を用いて決定される。
【0052】
位置が捕捉されると、衛星、地上波、または、セルラー通信のネットワークを介して、データ伝送が行われる。最も一般的に用いられるのは、SMS、GPRS、または、EDGEによってデータを伝送するセルラーネットワークである。
【0053】
AVLハードウェア:車両内のハードウェアは、AVLシステムをサポートする必要がある。車両内に通例組み込まれるハードウェア構成要素は、一般に、以下のデバイスを含む:
a.正確かつリアルタイムな地理的位置捕捉を行うためのGPSユニット
b.所望の媒体(衛星、地上波無線、セルラー)を介して、捕捉された位置データを伝送するためのテレメトリデバイス。一般的な実装の選択肢は、SMSまたはGPRS/EDGEのいずれかによってデータを伝送するGSMモデムである
c.車両センサの測定値(例えば、RPM、エンジン状態)を捕捉すると共に車両の作動装置(例えば、ドアロック)をトリガするための車両制御バスおよび主ECUへのハードウェアインターフェース。これは、通例、CANバスおよび/またはLINバスなどのSAE規格を利用する
d.コンピュータ通信を処理し、データを格納し、AVLシステム全体の動作を調整するためのMPU(マイクロプロセッサユニット)またはMCU(マイクロコントローラユニット)
e.メインの自動車バッテリが上がるのを防ぐために、車のエンジンがオフの時にAVLハードウェア構成要素に電力供給するバックアップバッテリ
【0054】
暗号化および通信セキュリティ
公開鍵暗号化:公開鍵および秘密鍵という2つの鍵を利用することを特徴とする非対称暗号化方法。暗号化のために秘密鍵を用いると、メッセージを復号するために公開鍵を用いる必要があり、逆もまた同様である。
【0055】
対称鍵暗号化:送信側および受信側が同じ秘密鍵を共有する一連の暗号化方法。
【0056】
実施例の説明
本明細書では、車両アクセス制御の技術について開示する。様々な実施形態において、車両アクセス制御のための方法は、無線通信デバイスから車両予約を受信する工程と、受信した予約に基づいて車両アクセスを提供する工程とを備える。様々な実施形態において、車両アクセス制御のためのシステムは、車両へのアクセスを提供するよう構成された車両アクセス制御要素と、無線通信デバイスと通信するための通信インターフェースとを備えており、車両へのアクセスは、車両予約が無線通信デバイスから受信された時に提供される。
【0057】
様々な実施形態において、車両アクセスを提供することは、車両のドアを開くこと、車両のエンジンの始動を可能にすること、および/または、様々な他の車両機能の作動を可能にすることを含む。
【0058】
様々な実施形態において、車両予約は、指定された期間にわたる予約を含む。様々な実施形態において、車両予約は、予約時間帯と、車両を特定する車両識別子とを含む。様々な実施形態において、予約は、例えば車両の所有者による車両への無制限のアクセス期間を含む。様々な実施形態において、車両予約は、車両レンタル予約を含む。
【0059】
様々な実施形態において、予約は、確認された通信(verified communication)に含まれる。様々な実施形態において、予約は、暗号化された通信に含まれる。様々な実施形態において、車両予約は、公開鍵・秘密鍵方式を用いて暗号化される。様々な実施形態において、車両予約は、復号を必要とする複数の暗号化層でラップされた保護された通信に含まれる。様々な実施形態において、車両予約を認証するために、各通信リレーにおいて復号が求められる。様々な実施形態において、予約は、グループおよび/または団体(家族および会社など)のメンバで共有される。
【0060】
様々な実施形態において、無線通信デバイスから車両予約を受信する工程は、短距離無線通信などの無線通信リンクを介して、または、USB接続などの有線通信リンクを介して実行されうる。
【0061】
様々な実施形態において、受信された車両予約は、コンピュータデバイスに表示されたユーザインターフェースを介して中央サーバに予約される。様々な実施形態において、予約は、FourSquare(登録商標)およびFacebook(登録商標)など、1または複数のソーシャルネットワーキングウェブサイトを通して予約される。ユーザは、まず、ソーシャルネットワーキングウェブサイトにログインする必要があり、その後に、広告を閲覧して予約を行うことができる。例えば、グループメンバの運転履歴および評判を追跡して、車両の所有者が車両を貸出/共有/レンタルしているユーザのタイプをより良好に管理できるようにするために、追跡メカニズムが確立されてよい。
【0062】
様々な実施形態において、予約の送信元である無線通信デバイスは、様々なセルラーおよび衛星ネットワーク(例えば、GSM、SMS、UMTS、HSPA、および/または、LTE)などの無線ネットワークへの長距離無線接続をサポートする任意の適切な無線通信デバイスであってよい。例としては、スマートフォン、携帯電話機、PDA、スマートブック、ネットブック、および、ラップトップコンピュータが挙げられる。様々な実施形態において、無線通信デバイスは、セルラー通信リンクおよび衛星通信リンクなどの長距離無線通信リンクを介してデータネットワークに接続され、データネットワーク内の中央サーバから車両予約を受信する。
【0063】
様々な実施形態において、無線通信デバイスはUSBパックの形態であってよく、その場合、車両予約情報は、コンピュータデバイスへの有線接続(例えば、コンピュータデバイスのUSBポートにUSBパックを差し込むことによるUSB接続)を介してコンピュータデバイスからUSBパックにダウンロードされうる。例えば、ユーザは、(例えば、インターネットと無線または有線ネットワーク通信を行う)ラップトップまたはその他のコンピュータデバイスにUSBパックを接続できる。その後、ユーザは、ブラウザまたはその他の通信インターフェースを用いてオンライン予約システムにアクセスできる。次いで、ユーザは、オンラインで予約を行うことができる。予約は、ユーザのラップトップコンピュータにダウンロードされ、USBパックに格納される。様々な実施形態において、USBパックは、車両に接続された車両アクセス要素と通信するために、短距離無線通信インターフェースを備える。様々な実施形態において、USBパックは、有線接続を介して車両アクセス要素と通信するよう構成された物理アダプタを備える。
【0064】
図1は、いくつかの実施形態に従って、車両アクセス制御のためのシステム100の一実施形態を示すブロック図である。様々な実施形態において、車両アクセス制御のためのシステムは、車両予約が通信リンク108を介して無線通信デバイス106から受信された時に車両104へのアクセスを提供するよう構成された車両アクセス要素102を備える。
【0065】
無線通信デバイスは、セルラー通信リンクおよび/または衛星通信リンクなどの長距離無線通信リンク112を介してデータネットワーク114に接続される。車両予約は、長距離無線通信リンク112または有線リンク(図示せず)を介して、データネットワーク114上に設けられた中央サーバ110から無線通信デバイス106によって受信される。
【0066】
様々な実施形態において、無線通信デバイスは、(a)車両の位置を広告または公表するため、(b)ユーザの位置を広告または公表するため、(c)車両の共有利用が可能になる時点を広告または公表するため(例えば、車両の共有利用が可能になる時点を車両の所有者が公表する、および/または、車両が返却されて他の人による共有利用が可能になる時点を車両のユーザが公表する)、および/または、(d)共有利用が可能な付近の車両のリストを取得するために、車両のユーザ(例えば、借り手および所有者)が1または複数のバックエンドサーバ(例えば、オンライン車両予約システム)と通信することを可能にする車両予約アプリケーションまたはその他のソフトウェア機能(例えば、iPhoneまたはDroidアプリケーション)を備える。
【0067】
様々な実施形態において、車両予約システムは、無線通信デバイスの位置追跡機能(例えば、GPS)を用いて車両ユーザの位置および/または車両の位置を取得する「チェックイン」メカニズムを備える。様々な実施形態において、無線通信デバイスの位置が、(例えば、予約期間中の車両ユーザの位置および/または車両ユーザが所有する車両の位置の指標として用いられる。様々な実施形態において、付近の場所(例えば、ホテル、空港、事務所、駐車場、および/または、その他の場所)のリストを取得するために、無線通信デバイスのGPS位置が1または複数のバックエンドサーバ(例えば、オンライン車両予約システム)に送信される。車両ユーザは、場所を選択するか、もしくは、(例えば、車両および/またはユーザの位置を示す)場所がまだ存在しない場合にシステム内で新たな場所IDを作成することが可能であり、次いで、車両の利用可能なスケジュールを入力する。様々な実施形態において、「チェックイン」メカニズムは、「ソーシャルチェックイン」メカニズムを用いて実装され、その場合、車両予約システムは、Facebook(登録商標)および/またはTwitter(登録商標)などの1または複数のソーシャルネットワークを通して「チェックイン」情報を公開および/または共有するよう構成される。いくつかの実施形態において、車両予約システムは、付近の場所(例えば、車両が位置する場所すなわち共有利用が可能な場所)のリストを取得するよう構成されており、それらの場所は、Facebook(登録商標)およびFoursquare(登録商標)などのソーシャルネットワークから増補または直接取得されうる。
【0068】
様々な実施形態において、車両予約システムは、車両ユーザおよび所有者が、車両要求を動的に送信すること、ならびに/もしくは、車両利用可能性および車両位置などの様々な車両関連情報について1または複数のサーバ(例えば、オンライン車両予約システム)を更新することを可能にする。様々な実施形態において、動的に更新された車両位置および利用可能性情報は、共有利用可能であるとして車両を登録するためにバックエンド車両シェアリングシステムによって利用される。これにより、車両シェアリングネットワークにこれまで登録されていなかった動的な位置群(例えば、バックエンドサーバとの通信を通して動的に更新された位置)から車両をレンタルすることが可能になる。
【0069】
車両予約は、コンピュータデバイス118に表示されたユーザインターフェース116を介してサーバ110で予約される。サーバは、複数の車両に対するアクセス制御を提供するために複数の車両アクセス制御システムと相互作用するよう構成されてよい。複数の車両アクセス制御システムは、異なる位置に地理的に分散されうる。様々な実施形態において、コンピュータデバイス118は、サーバ110に接続すると共にユーザインターフェース116をサポートしうる任意の適切なコンピュータデバイスであってよい。様々な実施形態において、コンピュータデバイス118は、車両にアクセスするためにユーザが利用するのと同じ無線コンピュータデバイス108である。
【0070】
様々な実施形態において、車両アクセス制御システム(例えば、車両アクセス制御要素)は、車両アクセス制御システムに対するサーバ更新を無線通信デバイスから受信するよう構成される。様々な実施形態において、サーバ更新は、車両アクセス制御システムの新しい秘密鍵を含む。様々な実施形態において、車両アクセス制御のために無線通信デバイスから車両アクセス制御システムによって受信された通信(車両予約通信を含む)は、反復メッセージ攻撃(repeat message attack)を回避するために各メッセージに固有のインクリメントを含む。様々な実施形態において、固有のインクリメントは、反復メッセージ攻撃を回避するためにメッセージの一意性を示すカウンタおよび/またはタイムスタンプの形態である。様々な実施形態において、車両アクセス制御システム(例えば、車両アクセス制御要素)は、例えば、保護された通信チャネル/プロトコルによって、車両アクセス制御システム情報を中央サーバに返すよう構成される。
【0071】
様々な実施形態において、車両アクセスが提供されると、無線通信デバイス106は、車両アクセス制御システム(例えば、車両アクセス制御要素)にテザリングされることが可能であり、車両アクセス制御システムは、無線通信デバイスのオーディオ、ビデオ、GPS、加速度計、および/または、その他の構成要素/機能など、無線通信デバイスの様々な機能にテザリングすることができる。
【0072】
様々な実施形態において、車両アクセス制御システムの様々な機能は、車両が製造される時に製造業者によって直接車両に組み込まれる。様々な実施形態において、車両アクセス制御システムの様々な機能は、製造後に有線または無線通信リンクを介して車両に接続された別個の車両アクセスキットに組み込まれる。様々な実施形態において、車両アクセスキットは、短距離無線通信リンクを介して車両と通信する携帯可能な車両のキーまたはリモコンの形態を取る。様々な実施形態において、車両アクセスキットは、車両制御システムに物理的に接続され、物理ポート(車両のバスポートなど)を介して車両と通信する。
【0073】
図2は、いくつかの実施形態に従って、車両アクセスを提供するための車両アクセスキット200の一実施形態を示す図である。
【0074】
様々な実施形態において、車両アクセスキットは、既存の車両に導入できる別個のユニットとして構築される。様々な実施形態において、車両アクセスキットの仕様および/または構成要素は、車両の製造中に車両製造業者によって生産時に直接組み込まれる。様々な実施形態において、車両アクセスキットの仕様および/または構成要素の組み込みは、アフターマーケット業者によって行われる。例えば、正確なハードウェア実装は、様々であってよいが、機能的には一般に以下の構成要素/機能を必要とする:車両の作動インターフェース、マイクロプロセッサ、短距離トランシーバ、および、テザリングプロトコル。これは、サードパーティが、遠隔車両制御、アクセス制御、カーシェアリング、および、本明細書に記載したような複数のその他のサービスのテザリングをサポートする自動車およびデバイスを製造することを可能にする。
【0075】
様々な実施形態において、車両アクセスキット200は、さらに、無線通信デバイスと通信するための無線デバイス通信インターフェース202を備える。
【0076】
様々な実施形態において、無線デバイス通信インターフェース202は、車両アクセスキット200と、近くにある無線通信デバイスとの間の双方向通信のための短距離無線インターフェース(例えば、Bluetoothおよび/またはWiFi)を備える。
【0077】
様々な実施形態において、無線デバイス通信インターフェース202は、車両アクセスキットと無線通信デバイスとの間の物理的/有線接続を確立するための物理アダプタ(USBインターフェースなど)を備える。
【0078】
様々な実施形態において、車両アクセスキット200は、さらに、アドホックネットワーキング通信インターフェースを備えた車両のメッシュアドホックネットワークを形成するために、1または複数の付近の自動車と通信するためのアドホックネットワーク通信インターフェース204を備える。様々な実施形態において、アドホックネットワーク通信インターフェースは、BluetoothおよびWiFiよりも長距離の通信を可能にする短距離通信プロトコルを用いる。かかる通信プロトコルの例は、ZigBeeおよびIEEE802.11sを含む。
【0079】
様々な実施形態において、車両アクセスキット200は、例えば、車両のドアを開錠すること、および/または、車両のエンジンの始動を可能にすることによって車両へのアクセスを提供する車両アクセス制御要素206を備える。様々な実施形態において、車両アクセス制御要素206は、標準的なOEMキーレスリモコンと同様に、統合されたハードウェア(KeeLoq、NLSFR、および/または、キーレスゴー)ならびに/もしくはソフトウェアコンポーネントを備えて車両に同期できるキーレスエントリリモコンを含むキーフォブをエミュレートする。キーレスエントリリモコンは、自動車の制御システムに無線信号を送信することによって車両の機能(例えば、施錠、開錠、エンジン始動、ミラー調節、および/または、その他の機能)を作動させることができる。
【0080】
様々な実施形態において、車両アクセス制御要素206は、自動車の機能(例えば、ドアの開錠、エンジン始動)を作動させると共にセンサ(例えば、燃料計、オドメータ)を読み取ることができるように車両の車両バスに接続された物理アダプタを備える。様々な実施形態において、車両アクセス要素は、車両制御部に接続された車両バスと通信するための車両バスアダプタを備える。様々な実施形態において、車両アクセス要素は、車両CANバスと通信するためのCANバスアダプタを備える。様々な実施形態において、車両アクセス要素は、車両LINバスと通信するためのLINバスアダプタを備える。
【0081】
様々な実施形態において、車両アクセスキット200は、さらに、車両アクセスキット200が、車両アドホックネットワークを通して直接的(例えば、有線接続)または間接的(例えば、無線)に、無線通信デバイス(例えば、携帯電話機)にテザリングして、テザリングされたデバイスの長距離無線接続(例えば、セルラー通信および衛星通信)、短距離無線接続(Bluetooth、WiFi、802.11s)、インターネット接続(例えば、HSDPA、WiFi)、ならびに/もしくは、様々なその他の機能(位置検出用のGPS、カメラ、オーディオ、および/または、ビデオ機能など)を利用することを可能にする独自のテザリングファームウェア/ソフトウェア208を備える。様々な実施形態において、車両アクセスキットは、さらに、物理的な外部コネクタポートを備えており、コネクタポートには、車両の外部からアクセス可能である。そうすれば、車両アクセスキット内に短距離無線トランシーバを必要とすることなく、かつ、携帯電話機内に互換性のある短距離無線トランシーバを必要とすることなく、有線テザリングが可能である。
【0082】
様々な実施形態において、車両アクセスキット200は、さらに、車両アクセスキット200に電力を供給するため、および/または、直接的にテザリングされた無線通信デバイスに電力を供給するためのバッテリシステム210を備える。様々な実施形態において、バッテリシステム210は、例えば、無線通信インターフェース、バスアダプタを無効にすることによって、低電力モードに移行するよう、および/または、低電力モードへの移行時にマイクロプロセッサを低電力モードにするよう構成される。様々な実施形態において、車両アクセスキット200は、車両のエンジンが停止し、無線通信デバイスとの通信がなく、確認された予約時間が過ぎてからタイムアウト時間が経過した後に、低電力モードに移行するよう構成される。
【0083】
様々な実施形態において、車両アクセスキット200は、さらに、マイクロホン212および低電力プロセッサ(例えば、マイクロホンと通信するピコ電力プロセッサ)を備えており、マイクロホンは、低電力モードから通常電力モードへ移行するか否かを決定するために車両の窓をノックするなど特徴的な音声信号に基づいて、音声信号を特定するよう構成される。様々な実施形態において、マイクロホン212は、車両アクセスキットに含まれるローカルマイクロホンである。例えば、マイクロホン212は、特徴的な信号(例えば、運転席側の車の窓を2回ノックする音声信号など、車両の窓のノック)を検出して、特徴的な音声信号が特定された後に低電力モードから通常電力モードへ移行することができる。
【0084】
様々な実施形態において、車両アクセスキット200は、さらに、車両利用データを提供するために1または複数の予約中に車両の加速度を監視するための加速度計214を備える。様々な実施形態において、加速度計は、車両アクセスキットに組み込まれたローカル加速度計である。様々な実施形態において、加速度計は、テザリングされた(例えば、有線接続または短距離無線接続を通してテザリングされた)無線通信デバイスの加速度計にテザリングすることによって作成されたテザリング加速度計である。
【0085】
様々な実施形態において、車両アクセスキット200は、さらに、車両予約確認ユニット216を備える。いくつかの実施形態において、車両アクセスキットは、さらに、車両アクセスキットおよびリモートシステムの間の通信用の公開鍵暗号モジュールを備える。これは、潜在的に悪意のある携帯電話機所有者による介入者攻撃を防ぐ。
【0086】
様々な実施形態において、車両アクセスキット200は、さらに、ローカルに設置されたGPSまたはテザリングされた無線コンピュータデバイス(例えば、携帯電話機)のテザリングされたGPSの高速接続およびGPS機能を利用することによって運転中の車両の位置を追跡するためのリアルタイム位置追跡システム218を備える。これは、車両の所有者が、任意の時点に車両の位置を把握することを可能にする。
【0087】
様々な実施形態において、車両アクセスキットは、さらに、車両の様々なセンサ出力(例えば、速度/加速度、ペダル位置、吸気量、高度、温度)を読み取るためのリアルタイム車両センサ読み取りユニット220を備える。様々な実施形態において、リアルタイムセンサ読み取りユニット220は、テザリングされた無線コンピュータデバイスのテザリングされた機能を利用する。これは、ユーザによる車両の診断と、技術者による問題の遠隔診断とを可能にする。概して、このデータは、車両、交通、および、道路データに関心のある都市、政府、および、任意の第三者にとって有用である。
【0088】
様々な実施形態において、車両アクセスキットは、例えば短距離無線リンクを介して車両アクセスキットとの無線接続を確立された付近の無線通信デバイスによって中央サーバに報告を返すよう構成された車両利用データ報告ユニット222を備える。様々な実施形態において、車両利用データおよびその他の情報が、保護された通信チャネル/プロトコルによって中央サーバに返される。例えば、メッセージは、複数の暗号化層でラップされてよく、複数の暗号化層は、無線通信デバイスの公開鍵を用いて暗号化され、メッセージを中継媒介するよう機能し、無線通信デバイスの秘密鍵を用いて無線通信デバイスによって復号される第1の層と、サーバの公開鍵を用いて暗号化され、サーバの秘密鍵を用いて復号できる第2の暗号化層とを含む。
【0089】
様々な実施形態において、車両アクセスキット200は、さらに、車両バスアダプタおよび短距離無線リンクに接続されたマイクロプロセッサ224ユニット(MPU)を備える。MPUは、システムが短距離無線リンクを介して近くの携帯電話機を認証することを可能にする独自のファームウェアコードを備える。認証された場合、MPUは、(例えば、短距離無線リンクを通して送信された)無線通信デバイスからのコマンド(例えば、ドア開錠、エンジン始動、および/または、その他のコマンド)を受け入れ、対応する自動車の機能を作動させるよう車両バスに命令する。
【0090】
様々な実施形態において、車両アクセスキット200は、さらに、様々な命令、コード、および、データ情報を格納するためのメモリ226ユニットを備える。例えば、メモリは、車両アクセスキットの様々な機能を実行するためにマイクロプロセッサ206によって実行される様々なコンピュータ命令示を格納できる。メモリは、車両アクセスキット200のためにローカルに格納された秘密鍵を含むことができる。
【0091】
様々な実施形態において、車両アクセスキット200は、さらに、図に示していない以下の特徴の内の1または複数を備えうる。
【0092】
携帯電話機ドックの追加
【0093】
いくつかの実施形態において、車両アクセスキットは、さらに、無線通信デバイスをドッキングさせるための物理的なドックおよびコネクタポートを備える。デバイス用の電力は、直接配線または外部プラグ(例えば、シガレットライタ)を通して車両から引かれる。これは、コネクタポートを通した有線テザリングを可能にし、ユーザが運転中に携帯電話機を充電することを可能にする。
【0094】
移動通信無線機の追加
【0095】
いくつかの実施形態において、車両アクセスキットは、さらに、車両予約またはシェアリングシステムへの無線通信のために(例えば、追加的および/または予備のネットワーク通信チャネルとして)用いることができる長距離移動通信無線機/インターフェース(GSM無線機など)を備える。長距離移動通信無線機/インターフェースは、例えば、GPRSおよびEDGE規格によるデータ伝送機能を備える。様々な実施形態において、GSM無線機は、テザリングされたデバイスによるテザリングされた長距離無線通信が可能でないか(例えば、ソフトウェア/ハードウェアの不適合)もしくは現在利用できない場合に、予備の長距離無線通信媒体として機能しうる。様々な実施形態において、長距離移動通信無線機/インターフェースは、セルラーネットワーク、衛星ネットワーク、および/または、データネットワーク上の様々な要素と通信するために利用可能である。
【0096】
スピーカシステムおよびオープンマイクロホンの追加
【0097】
いくつかの実施形態において、車両アクセスキットは、さらに、ユーザの携帯電話機と連動するスピーカシステムおよびオープンマイクロホンを備える。これにより、ユーザは、運転中にハンズフリーのスピーカホンを利用できる。
【0098】
モニタスクリーンの追加
【0099】
いくつかの実施形態において、車両アクセスキットは、さらに、ユーザの携帯電話機と連動するスクリーンを備える。これは、運転中にユーザのハンズフリービデオホンとなり、豊富な視覚媒体を表示することができる。
【0100】
リアルタイム交通解析および予測システムの実現
【0101】
いくつかの実施形態において、車両アクセスキットは、さらに、リアルタイム車両センサネットワークから取得された観測に基づいた交通パターンのリアルタイム解析・予測アルゴリズムを備える。これは、これから起きる交通渋滞に関するリアルタイムの警告を可能にするため、ユーザは移動時間を最小化することができる。概して、このデータは、車両、交通、および、道路データに関心のある都市、政府、および、任意の第三者にとって有用である。
【0102】
自動ドアロック検知の追加
【0103】
いくつかの実施形態において、車両アクセスキットは、さらに、携帯電話機が短距離無線近接状態から離れた時の自動ドア開錠・施錠機能を備える。これは、車両所有者に高度な車両セキュリティを与え、自動車のドアが必ず施錠されることを保証する。
【0104】
無線近接に基づく自動課金の追加
【0105】
いくつかの実施形態において、車両アクセスキットは、さらに、携帯電話機が車両アクセスキットの短距離無線トランシーバの近傍に入った/近傍から出た時間の検出に基づく自動課金を備える。これは、無線信号の電力レベルを検出することによって達成できる。これは、カーシェアリングシステムが、車両シェアリングの課金を開始および終了する時点を自動的に検出することを可能にする。
【0106】
その他のサービスを組み込むためのオープンプラットフォームの追加
【0107】
いくつかの実施形態において、車両アクセスキットは、さらに、サードパーティによる車両アクセスキットの新しいサービスを提供するためのオープンプラットフォームを備える。例えば、これは、保険会社が、運転の傾向に基づいて個人向けの低コスト保険プランを作り出すことを可能にする。別の例として、これは、広告主が車両アクセスキットを介して自動車に広告を流すことを可能にする。さらに別の例として、これは、メディアの提供業者が車両アクセスキットを介して自動車に音楽を流すことを可能にする。さらに別の例として、これは、メンテナンス業者が自動車の状態を遠隔で診断および追跡することを可能にする。
【0108】
RFID、磁気ストライプ、NFCステッカ、もしくは、Bluetoothトークンリーダ(または等価の識別トークン)の追加
【0109】
いくつかの実施形態において、車両アクセスキットは、さらに、車両アクセスキットへのトークンリーダを備える。これは、ユーザの認証のために電話の代わりに用いられ、各ユーザは固有の識別トークンを与えられる。トークンは、RFID鍵、磁気ストライプカード、Bluetoothトークン、NFCステッカ、または、任意の等価のデバイスの形態を取りうる。密接な近接接触を必要とするデバイスに対して、リーダは、車両の外側、ガラス窓の内部、または、ガラス窓の内面上に取り付けられる。これは、トークン識別子に基づくアクセス制御を可能にし、ユーザは、ユーザの電話にアクセスできないか充電切れの場合にトークンを用いて車両にアクセスできる。
【0110】
アクセス制御のための汎用のテザリングキットへの拡張
【0111】
いくつかの実施形態において、車両アクセスキットは、低コストの通信、位置検出、または、アクセス制御システムを必要とする任意のシステムのための汎用のテザリングキットに拡張されることができる。応用例としては、物理的建造物へのアクセス制御システム、バイク、セグウェイ、および/または、その他のタイプの乗り物のための汎用の輸送キット、安全な支払およびチェックアウトシステム、ならびに、同様の特性を持つ任意のその他の応用例が挙げられる。例えば、車両作動ハードウェア(例えば、キーレスゴー)を組み込む代わりに、汎用のキットが、様々な作動メカニズムをサポートする。物理的建造物へのアクセス制御については、車両バスインターフェースの代わりに電気ストライクまたは磁気施錠を組み込む。これは、建物の入り口が、リモートシステムによる身元確認およびアクセス制御のために携帯電話機に安全にテザリングすることを可能にする。アクセス制御用の汎用のテザリングキットは、複数のユーザが単一の資源を共有する場合に有用である。そのキットは、ホテルのキーカード認証の代わりに用いることができる。倉庫、駐車場などへのユーザの認証にも用いることができる。
【0112】
図3は、いくつかの実施形態に従って、車両アクセスキットと車両とのインターフェース接続300の一実施形態を示す図である。図の例において、車両アクセスキット302は、車両アクセスキットの車両バスアダプタ304を介して車両バス306(例えば、CANバス、LINバス)に接続される。したがって、車両アクセスキットは、車両のエンジン制御ユニット(ECU)308に接続されており、ECU308は、様々な車両作動装置310(例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、ウィンドウ制御、温度制御、ルーフ制御、および/または、エンジン始動装置)、様々な車両センサ312(例えば、温度、速度、および/または、加速度センサ)、ならびに、車両エンジン314に接続される。
【0113】
図4は、いくつかの実施形態に従って、車両アクセス制御のフローの一例を示すフローチャートである。工程402で、車両の予約が、無線通信デバイスから受信される。様々な実施形態において、車両予約は、WiFiまたはBluetooth接続などの短距離無線通信リンク/プロトコルを用いて無線通信デバイスから受信される。工程404で、受信された予約に基づいて、車両アクセスが提供される。様々な実施形態において、車両アクセスが提供されると、ユーザは、車両に接続された車両アクセス制御要素に無線通信デバイスからコマンドを送信して、車両のドアを開ける、エンジンを始動する、および/または、ユーザが車両を利用することをその他の方法で可能にするなど、様々な車両の機能を作動させることができる。
【0114】
図5は、いくつかの実施形態に従って、無線通信デバイスから車両予約を受信するためのフローの一例を示すフローチャートである。工程502で、車両の予約がなされる。様々な実施形態において、車両予約は、コンピュータデバイスに表示されたユーザインターフェースを介してユーザによって中央サーバに予約される。コンピュータデバイスは、ネットワークにアクセス可能であると共にユーザインターフェースをサポートできる任意の適切なコンピュータデバイスであってよい。様々な実施形態において、コンピュータデバイスは、予約の送信先である無線通信デバイスと同じデバイスである。工程504で、車両予約が暗号化される。様々な実施形態において、中央サーバは、車両予約を含むメッセージを暗号化する。様々な実施形態において、暗号化は、複数の層を含む。様々な実施形態において、車両予約は、車両予約の送信先である無線通信デバイスの公開鍵を用いて、第1の暗号化層で暗号化される。第1の暗号化層は、無線通信デバイスの秘密鍵を用いて復号できる。車両予約は、さらに、車両に対するアクセス制御を提供する車両アクセスキットの公開鍵を用いて第2の暗号化層で暗号化される。第2の暗号化層は、車両アクセスキットの秘密鍵を用いて復号できる。
【0115】
工程506で、車両予約は、ユーザの無線通信デバイスに送信される。様々な実施形態において、車両予約を管理する中央サーバが、車両ユーザの無線通信デバイスに車両予約を送信する。インターネットなどの有線ネットワーク、および/または、長距離無線通信リンク/プロトコルを用いるセルラーネットワークなどの無線ネットワークが、車両予約を通信するために利用可能である。工程508で、無線通信デバイスは、予約を受信してキャッシュする。様々な実施形態において、無線通信デバイスは、無線通信デバイスの公開鍵を用いて暗号化された第1の暗号化層を、無線通信デバイスのローカルに格納された秘密鍵を用いて復号する。様々な実施形態において、車両予約を傍受するデバイスではなく、意図された無線通信デバイスが車両予約を受信していることを保証および確認するために、復号が用いられる。工程510で、無線通信デバイスは、車両アクセスキットとの通信リンクを構築する。
【0116】
様々な実施形態において、車両アクセスキットは、短距離無線通信インターフェース(例えば、WiFiおよび/またはBluetooth)を備える。様々な実施形態において、無線通信デバイスが車両アクセスキットの短距離無線通信範囲内に入るように、ユーザが、無線通信デバイスを車両に近づけると、車両アクセスキットおよび無線通信デバイスの間に、短距離無線通信リンクが構築される。様々な実施形態において、車両アクセス制御キットがその短距離無線通信範囲内に無線通信デバイスの存在を検出すると、車両アクセス制御キットによって自動的にリンクが開始される。様々な実施形態において、リンクは、無線通信デバイスから車両アクセスキットにコマンドを送信することによってユーザが開始する。様々な実施形態において、車両アクセスキットは、無線通信デバイスと通信するための物理アクセスポート(例えば、USBポート)を備える。ユーザがアクセスポートを介して車両アクセスキットに無線通信デバイスを物理的に接続すると、通信リンクが確立される。
【0117】
工程512で、予約は、無線通信デバイスから車両アクセスキットへ転送される。様々な実施形態において、第1の暗号化層を除去された車両予約が、無線通信デバイスから車両アクセスキットに転送される。工程514で、車両アクセスキットは、車両予約を受信し、車両予約を復号する。様々な実施形態において、車両アクセスキットの公開鍵を用いて暗号化された第2の暗号化層は、車両アクセスキットにローカルに格納された車両アクセスキットの秘密鍵を用いて復号される。様々な実施形態において、無線通信デバイスが車両予約の対象デバイスであることを確認するために、予約が復号される。
【0118】
図6は、いくつかの実施形態に従って、車両予約が車両アクセス制御システムで受信された時に車両アクセスを提供するための処理の一例600を示すフローチャートである。工程602で、車両予約が、無線通信デバイスから受信される。様々な実施形態において、車両予約は、車両アクセス制御システムで復号および認証される。工程604で、車両アクセスが許可される。様々な実施形態において、アクセスの許可は、車両のドアを開けること、および/または、ユーザによるエンジンの始動を可能にすることを含む。様々な実施形態において、車両アクセス制御システムは、ドアを開けるためのコマンドなど、無線通信デバイスからコマンドの受け入れを開始する。様々な実施形態において、車両アクセス制御システムは、無線通信デバイスに対称鍵を送信することによって車両アクセスを許可する。様々な実施形態において、対称鍵は予約に関連付けられており、その有効期限は車両予約の予約期間に関連付けられている。
【0119】
工程606で、車両アクセス制御情報がやり取りされる(例えば、中央サーバとの間で送受信される)。様々な実施形態において、その情報は、保護された通信チャネル/プロトコルによってやり取りされる。様々な実施形態において、車両アクセス制御情報のやり取りは、中央サーバから情報を受信することと、中央サーバに情報の報告を返すこととを含む。様々な実施形態において、車両アクセス制御情報のやり取りは、短距離無線通信プロトコル(例えば、802.11sおよび/またはZigBee)を用いて1または複数の近くの車両とアドホック通信を行うことができる車両からなるアドホック車両ネットワーク内の車両によって中継される。様々な実施形態において、走行情報(例えば、位置情報、交通情報、緊急情報、および/または、事故情報)が中央サーバに報告される。様々な実施形態において、車両利用情報などの走行関連情報が、無線通信デバイスのテザリングされた無線通信機能を用いて定期的に中央サーバに報告される。様々な実施形態において、無線通信デバイスからの車両アクセス制御の更新(例えば、サーバ更新)が、中央サーバから受信される。様々な実施形態において、サーバ更新は、車両アクセス制御のための新しい秘密鍵を含む。様々な実施形態において、車両予約および更新などの情報をやり取りするための各メッセージは、反復メッセージ攻撃を回避するために各メッセージに固有のインクリメントを含む。様々な実施形態において、固有のインクリメントは、反復メッセージ攻撃を回避するためにメッセージの一意性を示すカウンタおよび/またはタイムスタンプの形態を取ってよい。
【0120】
工程608で、車両予約が無効になると、車両アクセスが取り消される。様々な実施形態において、タイムアウト時間が経過して、車両予約が無効になると、車両アクセスが取り消される。様々な実施形態において、車両予約は、車両予約期間の終了時に無効になる。様々な実施形態において、車両予約は、無線通信デバイスが車両アクセス制御システムの通信範囲から外れた時、例えば、無線通信デバイスが車両の無線通信デバイスとの物理的通信または無線通信から外された時に無効になる。様々な実施形態において、車両アクセス制御システムは、無線通信デバイスと定期的に通信して、無線通信デバイスの対称鍵を確認することによって、真正な無線通信デバイスが車両アクセス制御システムと通信していることを確認する。
【0121】
図7は、いくつかの実施形態に従って、車両アクセス制御システムを設置した車両702を含むアドホックネットワーク700を示す図である。様々な実施形態において、各車両アクセス制御システムは、無線通信リンク704を用いて、車両のメッシュネットワーク内の1または複数の付近の自動車の車両アクセス制御システムと通信するよう構成される。様々な実施形態において、WiFiおよびBluetoothよりは長いがセルラーおよび衛星無線通信リンクなどの長距離無線通信リンクよりは短い通信範囲を有する無線通信リンクが、アドホックネットワーキングのために用いられる。様々な実施形態において、車両アクセス制御システムは、新しい秘密鍵などの車両アクセス制御情報を車両アクセス制御要素に中継し、位置情報、道路条件などの走行情報、ならびに、緊急情報および事故情報などの交通関連情報を、通信範囲に入って車両アクセス制御システムとの通信リンクを確立したメッシュネットワーク内の1または複数の付近の自動車に中継する。様々な実施形態において、メッシュネットワーク内の各車両アクセス制御システムからの情報は、アドホックネットワークを介して中央サーバ706に中継される。
【0122】
図8は、いくつかの実施形態に従って、車両アクセス制御システムを用いて収集された情報を用いて走行距離連動型(PAYD)保険を提供するための処理の一実施形態を示すフローチャートである。工程802で、走行情報が収集される。様々な実施形態において、走行情報は、例えば、車両の速度および加速度プロファイルならびに車両位置情報を含む。様々な実施形態において、走行情報は、走行に用いられる車両の車両アクセス制御システムから中央サーバに報告される。様々な実施形態において、走行情報は、例えば、車両アクセス制御システムにテザリングされた無線通信デバイスのテザリングされた長距離無線通信インターフェースを介して、中央サーバに報告される。様々な実施形態において、走行情報は、保護された通信またはメッセージ内に含まれる。様々な実施形態において、保護された通信は、複数の暗号化層にラップされている。様々な実施形態において、暗号化は、メッセージが経由する無線通信デバイスの公開鍵を用いて暗号化された第1の層(例えば、最外層)と、通信の接続先サーバの公開鍵を用いて暗号化された第2の層とを含む。様々な実施形態において、走行に用いられる車両に接続された車両アクセス制御システムは、走行情報を含む暗号化された通信を最初に無線通信デバイスに送信する。無線通信デバイスは、無線通信デバイスのローカルに格納された秘密鍵を用いて、保護された通信の第1の層(例えば、最外層)を復号する。次いで、無線通信デバイスは、接続先サーバに、第1の暗号化層を除去された状態の保護された通信を送信する。接続先サーバは、接続先サーバのローカルに格納された秘密鍵を用いて通信を復号する。
【0123】
工程804で、走行情報は、運転手の運転プロファイルおよび/または自動車の運転プロファイルを生成するために解析される。様々な実施形態において、走行情報は、自動車の運転手および/または自動車の所有者に関連付けられる。一例では、無線通信デバイスのIDが、運転手を識別するために用いられ、車両アクセス制御システムのIDが、自動車および自動車の所有者を識別するために用いられる。工程806で、運転手/車両の運転プロファイルに基づいて、保険が評価される。様々な実施形態において、保険は、特定の走行に対して提供されうる走行距離連動型(PAYD)保険である。様々な実施形態において、保険は、自動車の運転手またはユーザに対して評価される。様々な実施形態において、保険は、自動車の所有者に対して評価される。一例では、特定の運転手に関連付けられた運転プロファイル用いて、運転手の将来の走行に対して保険を評価することができる。安全な運転プロファイルを有する運転手は、保険料率を低く評価されることになる。別の例では、特定の自動車の全運転手に関連付けられた運転プロファイルを将来に用いて、自動車の所有者に対して自動車の将来の走行の保険を評価することができる。過去の安全な運転プロファイルを有する運転手に自動車を貸している車両所有者は、保険料率を低く評価されることになる。
【0124】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された技術は、以下に記載するように、以下の利点の内の1または複数を提供する。典型的なAVLハードウェアシステムにおける最も高価な構成要素は、長距離無線通信およびGPSのハードウェアである。近接したスマートフォン(または、等価の携帯コンピュータデバイス)にテザリングすることによって、はるかに低いコストで車両アクセス制御キットを構築することができる。ほとんどのAVLシステムは、衛星テレメトリまたはセルラーテレメトリのいずれかを用いる。いずれの場合でも、無線アクセスの料金は、月単位で課金される。衛星データ伝送は、非常に高価であり、待ち時間が長いという欠点がある。セルラー伝送では、月当たりのシステムアクセス料金と、各クエリに対するKb当たりまたはSMS当たりの料金とを支払う必要がある。対照的に、ほとんどのスマートフォン(または、等価のデバイス)は、バルクデータ伝送プランを有しており、その支払いはスマートフォン所有者によって行われている。近接するスマートフォンにテザリングすることは、車両アクセスキットがスマートフォンのデータプランを利用して、システムアクセスおよびデータ伝送のための月単位の料金を回避しうることを意味する。複雑な長距離無線およびGPSチップセットの必要性を排除することにより、車両アクセスキットの複雑さが低減される。長距離無線接続およびGPSロックの維持は、特に、車両エンジンがオフの時に電力が限られている場合に、途方もなく複雑になることを示唆する。テザリングを利用すれば、これらの要件を満たす必要がなくなる。これは、サポートすべき要素が少ないために、車両アクセスキットの設計の回復力がはるかに高いことを意味する。テザリングを利用すれば、急速に進歩するセルラー技術を車両アクセスキットで利用できる。車両アクセスキットは、無線通信デバイスにテザリングされると、スマートフォンの機能を十分に活用できる。例えば、4Gスマートフォンをテザリングすれば、4Gセルラーネットワーキング機能および高いGPS精度が車両アクセスキットに与えられる。ほとんどのAVLハードウェアシステムは、バッテリの問題を有する。セルラー無線接続または衛星接続ならびにGPSロックを維持するには、かなりの電力量を必要とする。この理由から、AVLハードウェアシステムは、別個のバッテリユニットを必要とする。低電力環境向けに設計された短距離無線通信(例えば、Bluetooth Low Energy)のみをサポートすることにより、車両アクセスキットは、長期間にわたって自動車のエンジンがオフであった場合でもバッテリを枯渇させる危険性なしに車両バッテリで動作することができる。
【0125】
車両アクセスキットにキーレスリモートハードウェアを統合することにより、導入が簡単になる。これにより、車両バスへの物理的配線が必要なくなるため、自動車にアクセスできる誰でも車両アクセスキットを導入することが可能であり、熟練した技術者はもはや必要ない。これは、車両にアフターマーケットハードウェアを導入することによって保険条項の違反にならないことを保証するさらなる利点である。
【0126】
上述の実施形態は、理解しやすいようにいくぶん詳しく説明されているが、本発明は、提供された詳細事項に限定されるものではない。本発明を実施する多くの代替方法が存在する。開示された実施形態は、例示であり、限定を意図するものではない。
本発明は、以下の適用例としても実現可能である。
[適用例1]
車両アクセス制御システムであって、
車両へのアクセスを提供する車両アクセス制御要素と、
無線通信デバイスとの通信のための通信インターフェースと、
を備え、
前記無線通信デバイスから車両予約を受信すると、前記車両へのアクセスが提供される、車両アクセス制御システム。
[適用例2]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両予約は、指定された期間にわたる予約を含む、車両アクセス制御システム。
[適用例3]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記予約は、予約時間帯と、前記車両を特定する車両識別子とを含む、車両アクセス制御システム。
[適用例4]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記予約は、車両レンタル予約を含む、車両アクセス制御システム。
[適用例5]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両予約は、前記車両への無制限のアクセス期間を含む、車両アクセス制御システム。
[適用例6]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両予約は、家族または会社などのグループまたは団体のメンバで共有される、車両アクセス制御システム。
[適用例7]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記無線通信デバイスは、長距離無線通信リンクを介してデータネットワークから前記無線通信デバイスへの前記車両予約を受信する、車両アクセス制御システム。
[適用例8]
適用例7に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記長距離無線通信リンクは、GSM、SMS、UTMS、HSDPA、および、LTEからなる群より選択される、車両アクセス制御システム。
[適用例9]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両予約は、確認された通信に含まれる、車両アクセス制御システム。
[適用例10]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両予約は、暗号化された通信に含まれる、車両アクセス制御システム。
[適用例11]
適用例10に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両予約は、前記車両アクセス制御システムのための公開鍵を用いて暗号化される、車両アクセス制御システム。
[適用例12]
適用例11に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記システムは、さらに、ローカルに格納された秘密鍵を用いて、前記暗号化された車両予約を復号するよう構成される、車両アクセス制御システム。
[適用例13]
適用例10に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記システムは、さらに、前記予約が真正であることを確認するために前記暗号化された通信を復号するよう構成される、車両アクセス制御システム。
[適用例14]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記通信インターフェースは、短距離無線通信リンクを介して前記無線通信デバイスと通信するよう構成された無線通信インターフェースである、車両アクセス制御システム。
[適用例15]
適用例14に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記短距離無線通信リンクは、BluetoothおよびWiFiからなる群より選択される、車両アクセス制御システム。
[適用例16]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記通信インターフェースは、有線接続を介して前記無線通信デバイスと通信するよう適合された物理アクセスポートを備える、車両アクセス制御システム。
[適用例17]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両アクセス制御システムは、さらに、前記無線通信デバイスに対称鍵を返すよう構成される、車両アクセス制御システム。
[適用例18]
適用例17に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記対称鍵は前記予約に関連付けられ、前記対称鍵の有効期限は前記車両予約の予約期間に関連付けられる、車両アクセス制御システム。
[適用例19]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両アクセス制御システムは、さらに、前記車両アクセス制御システムへの更新を前記無線通信デバイスから受信するよう構成される、車両アクセス制御システム。
[適用例20]
適用例19に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記更新は、前記車両アクセス制御システムの新しい秘密鍵を含む、車両アクセス制御システム。
[適用例21]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両予約は、固有のインクリメントを含む、車両アクセス制御システム。
[適用例22]
適用例21に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記固有のインクリメントは、カウンタおよびタイムスタンプからなる群より選択される、車両アクセス制御システム。
[適用例23]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両アクセス制御システムは、さらに、前記車両アクセス制御システムから前記無線携帯デバイス、かつ、前記無線携帯デバイスから中央サーバに至る保護された通信チャネル/プロトコルを用いて、車両アクセス制御システム情報を前記中央サーバに通信するよう構成される、車両アクセス制御システム。
[適用例24]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両アクセス制御要素は、キーフォブをエミュレートする、車両アクセス制御システム。
[適用例25]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両アクセス要素は、車両制御部に接続された車両バスと通信するための車両バスアダプタを備える、車両アクセス制御システム。
[適用例26]
適用例25に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両アクセス要素は、車両CANバスと通信するためのCANバスアダプタを備える、車両アクセス制御システム。
[適用例27]
適用例25に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両アクセス要素は、車両LINバスと通信するためのLINバスアダプタを備える、車両アクセス制御システム。
[適用例28]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両アクセス制御要素は、前記無線通信デバイスが前記車両アクセス制御システムとの通信を失った時に前記車両へのアクセスを拒否するよう構成される、車両アクセス制御システム。
[適用例29]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、さらに、
前記無線通信デバイスの長距離無線通信インターフェースにテザリングしてテザリング無線ネットワークアクセスを行うためのハードウェア/ソフトウェア要素を備える、車両アクセス制御システム。
[適用例30]
適用例29に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記テザリング無線ネットワークアクセスは、前記車両の地理的位置の自動追跡を提供する、車両アクセス制御システム。
[適用例31]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記車両アクセス制御システムは、さらに、ソーシャルネットワークサイトを用いて車両予約を広告するよう構成された中央サーバを備え、前記広告される車両予約は地理的位置情報を含む、車両アクセス制御システム。
[適用例32]
適用例1に記載の車両アクセス制御システムであって、さらに、
1または複数の走行中に前記車両の加速を監視するための加速度計を備え、
前記車両アクセス制御システムは、車両利用データを提供して定期的に前記車両利用データを中央サーバに報告するために、1または複数の走行中に前記車両の加速度を監視するよう構成される、車両アクセス制御システム。
[適用例33]
適用例33に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記加速度計は、前記無線通信デバイスの加速度計にテザリングすることによって作成されたテザリング加速度計である、車両アクセス制御システム。
[適用例34]
適用例33に記載の車両アクセス制御システムであって、
前記システムは、さらに、前記車両利用データを1または複数の車両ユーザに関連付け、前記車両利用データに基づいて前記1または複数の車両ユーザおよび/または前記車両の所有者に走行距離連動型保険を提供する保険会社に、前記1または複数の車両ユーザに関連付けられた前記車両利用データを通信するよう構成される、車両アクセス制御システム。
[適用例35]
適用例1に記載のシステムであって、
前記短距離無線通信インターフェースは、第1の短距離無線通信インターフェースであり、
前記車両アクセス制御システムは、さらに、1または複数の他の車両とのアドホックネットワーク通信を専用に行う第2の短距離無線通信インターフェースを備える、システム。
[適用例36]
適用例36に記載のシステムであって、
前記アドホックネットワークは、さらに、位置情報、交通関連情報、ならびに/もしくは、緊急または事故情報を中央サーバに中継するよう構成される、システム。
[適用例37]
適用例1に記載のシステムであって、
前記無線通信デバイスは、USBパック、スマートフォン、携帯電話機、PDA、ラップトップコンピュータ、スマートブック、および、ネットブックの内の1または複数を含む、システム。
[適用例38]
適用例1に記載のシステムであって、さらに、
長距離無線通信プロトコルによってデータネットワークと通信するよう構成されたGSM無線機を備える、システム。
[適用例39]
適用例1に記載のシステムであって、さらに、
特徴的な音声信号に基づいて音声信号を特定するよう構成されたマイクロホンシステムを備え、
前記システムは、前記特徴的な音声信号が特定された後に低電力モードから通常電力モードに移行する、システム。
[適用例40]
適用例1に記載のシステムであって、
前記無線通信デバイスは、位置追跡機能を備え、
前記無線通信デバイスは、無線通信を介して車両の位置および利用可能性を予約システムに更新するよう構成され、前記更新は、前記無線通信デバイスのユーザによって自動的または手動で開始されうる、システム。
[適用例41]
車両アクセス制御のための方法であって、
無線通信デバイスから車両予約を受信する工程と、
前記車両予約を認証する工程と、
前記車両予約を認証した後に前記車両へのアクセスを提供する工程と、
を備える、方法。
[適用例42]
適用例41に記載の方法であって、前記予約は、予約時間帯と、前記車両を特定する車両識別子とを含む、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8