特許第6190919号(P6190919)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6190919-軒樋支持具 図000002
  • 特許6190919-軒樋支持具 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6190919
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】軒樋支持具
(51)【国際特許分類】
   E04H 15/58 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   E04H15/58 A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-109894(P2016-109894)
(22)【出願日】2016年6月1日
【審査請求日】2016年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】593178409
【氏名又は名称】株式会社オーティス
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】北村 昌司
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3057257(JP,U)
【文献】 実公平01−044659(JP,Y2)
【文献】 実開昭58−020034(JP,U)
【文献】 特開2003−097097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テントを固定するために軒先側に架設された固定フレームに掛け下げられ、軒樋をその長手方向の複数個所で支持する軒樋支持具であって、
前記固定フレームに引っ掛ける掛部と、該掛部の下方に配され、前記軒樋を受け支持する樋支持部とがS字状に一体に形成されており、
前記樋支持部は、板状体を加工形成してなり、受け支持本体部と、前記軒樋の前端部を固定する前端固定片と、前記軒樋の後端部を固定する後端固定片とを備えており、
前記前端固定片は、前記樋支持部の前部に突片状に形成され、前記受け支持本体部に重なるように後方に折り曲げが可能とされている一方、前記後端固定片は、前記樋支持部の後部に切り込み加工により形成され、前記受け支持本体部に重なるように前方に折り曲げが可能とされていることを特徴とする軒樋支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テントの軒先に取り付けられる軒樋を支持する軒樋支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外に設置されるテントには軒樋を支持する軒樋支持具が取り付けにくいため、一般住宅などに用いる軒樋(たとえば、特許文献1参照)の取り付けは困難である。そのような軒樋および軒樋支持具を用いようとすれば、軒樋支持具を固定するための構造物をテントに付加する必要がある。なお、テント専用の軒樋として、軒樋とそれをテントに吊り支持するための軒樋支持具が一体となった軒樋セットが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−332729号公報
【特許文献2】特開2003−97097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、テントは一時的に設置するものであるため、時間をかけてテントに構造物を付加して軒樋を取り付けても、テント設営中に雨が降らず、無用となる可能性がある。その一方で、雲行きが怪しくなってから軒樋を取り付けようとすれば、取り付けに時間がかかり間に合わないおそれがある。
【0005】
また、軒樋セットを用いれば取り付けは多少しやすくなるが、利用頻度が少なく費用対効果が低いものであるから、テントのためにわざわざ軒樋セットを購入するまでにはいたらない。
【0006】
ようするに、上述した内容から判断すれば、テントへの軒樋の取り付けの条件としては、軒樋を支持する軒樋支持具が簡単な構成であること、それを簡易に設置できることが求められる。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、簡単な構造に構成でき、かつ、軒樋支持具のテントへの取り付けも、軒樋の軒樋支持具への取り付けも簡易にできる軒樋支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の軒樋支持具は、テントを固定するために軒先側に架設された固定フレームに掛け下げられ、軒樋をその長手方向の複数個所で支持する軒樋支持具であって、固定フレームに引っ掛ける掛部と、掛部の下方に配され、軒樋を受け支持する樋支持部とがS字状に一体に形成されており、樋支持部は、樋支持部は板状体を加工形成してなり、受け支持本体部と、軒樋の前端部を固定する前端固定片と、軒樋の後端部を固定する後端固定片とを備えており、前端固定片は、樋支持部の前部に突片状に形成され、受け支持本体部に重なるように後方に折り曲げが可能とされている一方、後端固定片は、樋支持部の後部に切り込み加工により形成され、受け支持本体部に重なるように前方に折り曲げが可能とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の軒樋支持具によれば、上述した構成となっているため、簡単な構造に構成でき、かつ、軒樋支持具のテントへの取り付けも、軒樋の軒樋支持具への取り付けも簡易にできる。その結果、軒樋の製造コストおよび施工コストを低減化することができる。また、樋支持部材の樋支持部を従来一般住宅に使用されていた軒樋の形状に合わせれば、従来の軒樋をそのまま利用することができる。また、軒樋支持具が前端固定片および後端固定片を備えているので軒樋の支持をしっかりとできる。
【0011】
さらに請求項1に記載の軒樋支持具によれば、上述した構成となっているため、軒樋の固定を簡単にできる。また、前端固定片および後端固定片が簡易に形成されているため、製造コストを低減化できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る軒樋支持具の分解斜視図である。
図2】(a)は図1の軒樋支持具を取り付けるテントの斜視図、(b)は軒樋支持具をテントに取り付けた状態における(a)のA−A線に対応した拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面をもとに説明する。まず、以下に説明する軒樋支持具1の共通的な基本構成について説明する。
【0014】
図1に示した軒樋支持具1は、テント3(図2(a)参照)を固定するために軒先側に架設された固定フレーム3aに掛け下げられ、軒樋2をその長手方向の複数個所で支持するように構成された支持具である。この軒樋支持具1は、固定フレーム3aに引っ掛ける掛部10と、掛部10の下方に配され、軒樋2を受け支持する樋支持部20とがS字状に一体に形成されており、樋支持部20は、受け支持本体部21と、軒樋2の前端部2aを固定する前端固定片22と、軒樋2の後端部2bを固定する後端固定片23とを備えている。
【0015】
このような軒樋支持具1によれば、上記のような構成となっているため、軒樋支持具1を簡単な構造に構成でき、その結果、製造コストを低く抑えることができる。また、軒樋支持具1が上記のような構成となっているため、軒樋支持具1のテント3への取り付けも、テント3へ取り付けた軒樋支持具1への軒樋2の取り付けも簡易に行うことができる。そのため、施工コストもあまりかからない。
【0016】
また、軒樋支持具1は、軒樋2の前端部2a(図2(b)参照)を固定する前端固定片21および軒樋2の後端部2b(図2(b)参照)を固定する後端固定片23を備えているので、簡易な構造であっても、軒樋2をしっかりと支持することができる。
【0017】
ついで、図1に示した実施形態に係る軒樋支持具1の詳細について、以下に順に説明する。
【0018】
この軒樋支持具1は、上述したように掛部10および樋支持部20で構成され、それらがステンレスなどの金属帯板材料で一体に加工形成されている。
【0019】
掛部10は、図1に示すように、固定フレーム3aに吊り下げるために上部が凸湾曲したフック形状とされている。なお、掛部10と樋支持部20とは図1のように連成一体化されており、連成部分30には特に境界部はない。このような連成一体化の構成は成形が簡易となるので望ましい。
【0020】
掛部10は、本体部11がテント3の固定フレーム3aの断面外形に合致し、上方に突出した略半円(半円よりもやや大きめ)の形状とされる。その本体部11の開放側の端部には凹所13への固定フレーム3aの装着をガイドするガイド片12が形成されている。つまり、掛部10の凹所13に固定フレーム3aが嵌まり込むように掛部10を押し下げた際に、固定フレーム3aの押圧により、本体部11が半円よりもやや大きめであるためガイド片12および本体部11の端部が外側に開くように弾性変形し、固定フレーム3aが凹所13に完全に嵌まり込んだときには、概ね元の状態に復帰する。
【0021】
なお、掛部10の形状は固定フレーム3aの断面外形に合致したものが望ましく、種々の形状の固定フレーム3aに合わせて種々の形状が許容されることは言うまでもない。
【0022】
一方、樋支持部20は板状体を加工形成して、軒樋2を受け支持できるように凹湾曲した形状となっており、その凹湾曲部分が受け支持本体部21を構成する。受け支持本体部21には、長手方向に沿って外面側に突出した補強用のリブ24が形成されている。
【0023】
また、前端固定片22は、樋支持部20の前部に突片状に形成され、受け支持本体部21に重なるように後方に折り曲げが可能とされている一方、後端固定片23は、樋支持部20の後部に切り込み加工により形成され、受け支持本体部21に重なるように前方に折り曲げが可能とされている。
【0024】
図1の軒樋支持具1では、樋支持部20の前端固定片22が板状体の幅方向の中央の一部が延びた形状とされ、一方、後端固定片23は2片とされ、板状体の幅方向の両側端のそれぞれをL字状に切り込みを入れて形成されている。
【0025】
なお、前端固定片22、後端固定片23はこのような構造、形状に限られず、その他のものであってもよい。たとえば、前端固定片22が2片であってもよいし、後端固定片23がいずれか一方の側端または中央の切り込みで形成された1片のものであってもよい。
【0026】
このような軒樋支持具1が複数用いられ、図3(a)に例示したようなテント3の軒先に離間状態に取り付けられ、それらで軒樋2を支持するようになっている。
【0027】
具体的には図2(b)に示すように、軒樋支持具1は、その掛部10がテント3の固定フレーム3aに引っ掛けられて吊り下げられ、樋支持部20の受け支持本体部21の凹湾曲部分で軒樋2が受け支持されるようになっている。軒樋支持具1でこのように軒樋2を支持することで、軒樋2はテント3の幕材3bの前垂れ部3dの下端の略真下に位置するように保持される。軒樋2を適正な位置に調整した後に、前端固定片22を後方に折り曲げ、後端固定片23を前方に折り曲げることで軒樋2を軒先に固定することができる。
【0028】
このようにして、幕材3bの屋根面部3c、前垂れ部3dを伝ってくる雨水を軒樋2で受け止めることができる。また、複数の軒樋支持具1により軒樋2の水勾配を設定することで、軒樋2を傾斜状態に設置することができる。その結果、軒樋2に落下した雨水を長手方向に沿って流し、いずれかの支柱3e側に落下させることができる。
【0029】
軒樋2としては、テント3用の小さめのものを取り付けてもよいが、一般住宅で使用される軒樋2の寸法に合うような樋支持部20を形成すれば、一般住宅用のものをそのまま用いることができる。また、軒樋支持具1は固定フレーム3aに引っ掛けるだけで設置でき、かつ軒樋2は樋支持部20に嵌め入れるだけで設置できるので、雨が降り始めてからでも十分に間に合う。
【0030】
複数の軒樋支持具1で水勾配を設定するためには、設置したときに下端位置が異なるように高さ寸法の異なる軒樋支持具1を準備すればよい。また、水勾配はわずかな傾斜でもよいため、掛部10と樋支持部20との連成部分30の傾斜を垂直に近づけるように、図2(b)の白抜き矢印方向へ曲げることで、高さ寸法を変更することもできる。
【0031】
また、連成部分30に連結構造を設け、掛部10と樋支持部20とを分離自在となるようにしてもよい。このような分離自在な構成とすることで、掛部10を同一寸法にし、高さ寸法が種々異なる樋支持部20を用いて組み合わせれば、軒樋2を傾斜させて設置することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 軒樋支持具
10 掛部
11 本体部
12 ガイド片
13 凹所
20 樋支持部
21 受け支持本体部
22 前端固定片
23 後端固定片
24 リブ
30 連成部分
2 軒樋
2a 前端部
2b 後端部
3 テント
3a 固定フレーム
3b 幕材
3c 屋根面部
3d 前垂れ部
3e 支柱


【要約】
【課題】簡単な構造に構成でき、かつ、軒樋支持具のテントへの取り付けも、軒樋の軒樋支持具への取り付けも簡易にできる軒樋支持具を提供する。
【解決手段】軒樋支持具1は、固定フレーム3aに引っ掛ける掛部10と、掛部10の下方に配され、軒樋2を受け支持する樋支持部20とがS字状に一体に形成されている。樋支持部20は、受け支持本体部21と、軒樋2の前端部2aを固定する前端固定片22と、軒樋2の後端部を固定する後端固定片23とを備えている。
【選択図】図1
図1
図2