【実施例】
【0063】
実験例1 血漿バランスアミノ酸濃度の決定
(1)検体
血漿バランスアミノ酸濃度を求めるための検体として、6469のヒト血漿検体を使用した。
【0064】
(2)外部標準液
市販品のアミノ酸混合標準溶液H型とB型(和光純薬工業(株)製)に、下記表中の濃度となるように下記表中の各種アミノ酸を加えて、上記ヒト血漿検体に添加するための外部標準液7種を調製した。表中の濃度は、調製後の濃度を示す。
【0065】
【表2】
【0066】
(3)内部標準液
下記の安定同位体標識したアミノ酸を、味の素(株)及びCambridge Isotope Laboratories、Isotecから入手して、Gln-U
13C
5,
15N
2(100μM)、Arg-U
15N
4(100μM)、His-U
15N
3(100μM)(一部はHis-U
13C
6,
15N
3(100μM))、Glu-U
13C
5,
15N(200μM)、Ser-U
13C
3,
15N(100μM)、Gly-2,2-d2
2(50μM)、Ala-3,3,3-d
3(80μM)、Leu-5,5,5-d
3(80μM)、Lys-4,4,5,5-d
4(100μM)、Val-2,3,4,4,4,5,5,5-d
5(25μM)、Met-methyl-d
3(25μM)、Pro-d
7(100μM)、Trp-U
13C
11,
15N
2(100μM)、Phe-phenyl-d
5(100μM)、Orn-U
13C
5(80μM)及びCit-4,4,5,5-d
4(100μM)を含有する内部標準液を調製した。
【0067】
(4)検体の前処理
上記の内部標準液50μLに上記検体50μLを加えてよく混和した後、アセトニトリル100μLを加えて更によく混和した。該溶液を、微量高速冷却遠心機で遠心分離した後、その上清画分を抽出した。
【0068】
(5)プレカラム誘導体化
得られた上清画分、標識試薬(3-アミノピリジル-N-ヒドロキシスクシンイミジルカルバメート試薬)を用いて、プレカラム誘導体化を行った。具体的には、200mMホウ酸緩衝液(pH8.8)12μLに、上清画分4μLを添加し、よく混和し、さらに、3-アミノピリジル- N-ヒドロキシスクシンイミジルカルバメート試薬(20mgをアセトニトリル1mLに溶解したもの)4μLを添加して良く混合した後、55℃で5分間加温した。次いで、該溶液に、25mMギ酸アンモニア水溶液(pH6.0)60μLと0.1%ギ酸水溶液20μLを加えてよく混合したものを、高速液体クロマトグラフ-質量分析の分析用試料とした。
【0069】
(6)高速液体クロマトグラフ-質量分析装置での分析
下記条件で分析を行った。
高速液体クロマトグラフ:L-2100シリーズ(日立ハイテクノロジーズ)
分析カラム :Wakosil-II 3C8-100HG(和光純薬工業)
ガードカラム :Wakosil-II 3C8-100HG(和光純薬工業)
移動相:移動相A:25mMギ酸(pHをアンモニア水で6.0に調製)
移動相B:アセトニトリル/水(6:4(v/v))
カラム温度 :40℃
試料注入量 :5μL
質量分析装置 : Thermo Scientific Surveyor MSQ Plus(Thermo Fisher Scientific)
モニターイオン:
EtONH2:182、 Gly:196、 Ala:210、 Sar:210、 GABA:224、 β-AiBA:224、α-ABA:224、 Ser:226、 Pro:236、 Val:238、 Thr:240、 Tau: 246、 HyPro:252、 Ile:252、 Leu:252、 Asn:253、 Asp:254、 Gln:267、 Glu:268、 Met:270、 His:276、 α-AAA:282、 Phe:286、 1MeHis:290、 3MeHis:290、 Arg:295、 Cit:296、 Tyr:302、 Trp:325、 Car:347、 Ans:361、 Orn:373、 Lys:387、 δ-HyLys:403、 Cys
2:481
【0070】
(7)検量線の作製
外部標準液については表2の濃度1〜7の7点のうち5点以上(正確性が±15%(下限は±20%)の範囲内から外れる点については除外)を用い、原点を通らず、重み付けには1/xを利用した。
【0071】
以上より、高速液体クロマトグラフ-質量分析装置の結果を、検量線に当てはめて6469検体のアミノ酸濃度(血漿バランスアミノ酸濃度)を算出した。その平均濃度、最大濃度、最小濃度、標準偏差を下記表3に示す。また、そのグラフを
図1に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
実施例1 本発明の外部標準液(血漿バランスアミノ酸混合物質含有溶液)の調製
各種アミノ酸製品(EtONH
2、Gly、Sar、Ala、GABA、β-AiBA、α-ABA、Ser、Pro、Val、Thr、Tau、Hypro、Leu、Ile、Orn、Asp、Lys、Glu、Met、His、α-AAA、δ-HyLys、Phe、1MeHis、3MeHis、Arg、Cit、Tyr、Car、Ans、Cys
2、以上、和光純薬工業(株)製)を用い、血漿中のアミノ酸濃度比率[つまり、実験例1で決定したヒト血漿バランスアミノ酸濃度(表3及び
図1参照)]及びアミノ酸の安定性を加味し、下記アミノ酸混合液1及び2を調製した。
【0074】
アミノ酸混合液1:
β-AiBA、HyPro、Asp、α-AAA、Sar、δ-HyLys、EtONH
2、3MeHis、1MeHis、Ans、CarおよびGABAを200μM、α-ABAを500μM、Cit、Cys
2、GluおよびMetを1000μM含有する水溶液
アミノ酸混合液2:
Arg及びOrnを2500μM、Ile、Leu、Phe、Pro、Ser、Thr、Tyr、Tau、His及びLysを5000μM、Gly、Ala、及びValを10000μM含有する水溶液
【0075】
その後、アミノ酸混合溶液1、2および用事調製を行ったAsn、Gln及びTrp(シグマ社製)を混合し、以下に示す組成でアミノ酸を混合した外部標準液(血漿バランスアミノ酸混合標準液)を調製した。
Asp、3MeHis、EtONH2、1MeHis、HyPro、Sar、α-AAA、β-AiBA、δ-HyLys、GABA、Ans及びCarを20μM、α-ABAを50μM、Met、Cit、Glu及びCys
2を100μM、Trp、Orn、Asn及びArgを250μM、Phe、Tyr、Tau、His、Ile、Ser、Leu、Thr、Pro及びLysを500μM、Val、Gly、Ala及びGlnを1000μM含有。
【0076】
下記の表4は、上記の結果から調製した本発明の外部標準液(血漿バランスアミノ酸混合標準液)の内容を示す。また、濃度1と濃度5についてのグラフを
図1に示す。
【0077】
比較例1 従来品としての外部標準液
実施例1の本発明の外部標準液の比較対照として、上記アミノ酸混合液1および2の代わりに、アミノ酸混合標準液Type B(和光純薬工業(株)製)およびアミノ酸混合標準液Type ANII(和光純薬工業(株)製)を用いて、アミノ酸混合標準液を調製した。
【0078】
下記の表4には、上記本発明の外部標準液と併せて、該アミノ酸混合標準液の内容を示す。また、濃度1’と濃度5’についてのグラフを
図1に示す。
【0079】
【表4】
【0080】
実施例2 本発明の内部標準液の調製
下記の安定同位体標識したアミノ酸を、味の素(株)、Cambridge Isotope Laboratories、Isotecから入手して、Gln-U
13C
5,
15N
2(100μM)、Arg-U
15N
4(100μM)、His-U
13C
6,
15N
3(100μM)、Glu-U
13C
5,
15N(100μM)、Ser-U
13C
3,
15N(100μM)、Gly-U
13C
2,
15N(50μM)、Ala-3,3,3-d
3(100μM)、Leu-5,5,5-d
3(80μM)、Lys-U
13C
6,
15N
2(130μM)、Val-U
13C
5,
15N(50μM)、Met-U
13C
5,
15N(50μM)、Pro-U
13C
5,
15N(25μM)、Trp-U
13C
11,
15N
2(80μM)、Phe-U
13C
9,
15N(80μM)、Orn-U
13C
5(80μM)、Cit-4,4,5,5-d
4(100μM)、Thr-U
13C
4(100μM)、Tyr-Ring-
13C
6(100μM)、Tau-U
13C
2(250μM)、Ile-U
13C
6,
15N(80μM)、Asn-U
13C
4,
15N
2(90μM)、3MeHis-methyl-d
3(100μM)、Asp-2,3,3-d
3(100μM)、Cys
2-3,3,3',3'-d
4(200μM)及びEtONH
2-1,1,2,2-d
4(100μM)を含有する内部標準液を調製した。
【0081】
比較対照として、非特許文献4に記載の内部標準液を調整し、実施例2に対する比較例としての内部標準液(従来の内部標準液)とした。
【0082】
下記の表5は、上記内部標準液(本発明の内部標準液)または比較例の内部標準液(従来の内部標準液)を用いてヒト血漿中の各種アミノ酸濃度を測定する際の、各種アミノ酸に対する内部標準液を示す。表中、枠内にグレーを付しているものは、内部標準液として、それ自身の安定同位体が用いられていないアミノ酸であることを表す。これらグレーを付した枠内のアミノ酸については、安定同位体で標識されていないアミノ酸との保持時間の近さ、化合物の物性、添加回収試験の結果等を考慮して、種々の安定同位体で標識されたアミノ酸の中から最適なものを選定した。
【0083】
【表5】
【0084】
実施例3 本発明の外部標準液を用いたアミノ酸の定量分析
(1)生体試料の調製
生体試料として、健常人ボランティア5名の採血を行い、血漿分離後に血漿を混合し、プール血漿とした。
【0085】
(2)既知濃度アミノ酸添加血漿及びコントロール血漿の調製
得られたプール血漿と下記表6に記載の既知濃度アミノ酸混合溶液とを1:1で混合した検体を既知濃度アミノ酸添加血漿とし、得られたプール血漿と水とを1:1で混合した検体をコントロール血漿とした。
【0086】
(3)検体の前処理
上記の既知濃度アミノ酸添加血漿又はコントロール血漿50μLに、実施例2の内部標準液50μLを添加した後、良く混和してアセトニトリル100μLを加えて良く混和した。
次いで、それぞれを微量高速冷却遠心機で遠心分離した後、得られた上清画分を分析に用いた。
【0087】
(4)プレカラム誘導体化
得られた上清画分、標識試薬(3-アミノピリジル-N-ヒドロキシスクシンイミジルカルバメート試薬)を用いて、プレカラム誘導体化を行った。具体的には、200mMホウ酸緩衝液(pH8.8)60μLに、上清画分20μLを添加し、よく混和した。さらに3-アミノピリジル-N-ヒドロキシスクシンイミジルカルバメート試薬(20mgをアセトニトリル1mLに溶解したもの)20μLを添加して良く混合後、55℃で10分間加温した。次いで、該溶液を室温で放冷した後、0.1%ギ酸水溶液を100μL添加してよく混合したものを、高速液体クロマトグラフ-質量分析の分析用試料とした。
【0088】
(5)高速液体クロマトグラフ-質量分析装置での分析
下記条件で分析を行った。
高速液体クロマトグラフ:10Avpシリーズ(島津製作所)
分析カラム :Inartsil C8-3(ジーエルサイエンス)
ガードカラム:Inartsil ODS-3(ジーエルサイエンス)
移動相:移動相A:25mMギ酸(pHをアンモニア水で6.0に調製)
移動相B:アセトニトリル/水(6:4(v/v))
カラム温度 :40℃
試料注入量 :3μL
質量分析装置 :API3000 LC/MS/MSシステム(AB SCIEX)
モニターイオン(Q1/Q3):
EtONH
2:182/121、 Gly:196/121、 Ala:210/121、 Sar:210/121、 GABA:224/121、 β-AiBA:224/121、 α-ABA:224/121、Ser:226/121、 Pro:236/121、 Val:238/121、 Thr:240/121、 Tau:246/121、 HyPro:252/121、 Ile:252/121、 Leu:252/121、 Asn:253/121、 Asp:254/121、 Gln:267/121、 Glu:268/121、Met:270/121、 His:276/121、 α-AAA:282/121、 Phe:286/121、1MeHis:290/121、 3MeHis:290/121、 Arg:295/121、 Cit:296/121、 Tyr:302/121、 Trp:325/121、 Car:347/121、 Ans:361/121、 Orn:373/121、 Lys:387/121、 δ-HyLys:403/121、 Cys
2:481/121
【0089】
(6)検量線の作製
実施例1の外部標準液を用いて、上記既知濃度アミノ酸添加血漿と同様に、上記(4)の誘導体化処理を行い、(5)の分析を行った。その分析結果より、上限濃度と下限濃度の差を20倍とした検量線を作製した。外部標準液としては、表4の濃度1〜5(血漿バランスアミノ酸混合標準液)の5点を用い、原点を通らず、重み付けには1/xを利用した。
【0090】
(7)血漿中へのアミノ酸添加回収
既知濃度アミノ酸添加血漿の測定結果より、添加回収率を求めた。添加回収率は以下のように算出した。
添加回収率={(既知濃度アミノ酸添加血漿中アミノ酸濃度)-(コントロール血漿中アミノ酸濃度)}×2÷添加既知濃度アミノ酸(%)
尚、各濃度は、ピーク面積比{(各成分のピーク面積)÷(内部標準液のピーク面積)}を求め、上述の検量線を用いて算出した。その結果を表6に示す。ここで、実施例の添加回収率は、実施例1の外部標準液(血漿バランスアミノ酸混合標準液)を用い作製した検量線を元に計算した値である。
【0091】
比較例2 比較例1の外部標準液を用いたアミノ酸の定量分析
実施例3の(6)において、外部標準液として、表4の濃度1’〜5’(従来のアミノ酸混合標準液)の5点を用いた以外は、実施例3と同様の方法により、ヒト血漿中にアミノ酸を添加した時の、添加回収率を求めた。その結果を実施例3の結果と併せて表6に示す。表中、比較例の添加回収率は、比較対照として調製した外部標準液(従来のアミノ酸混合標準液)を用い作製した検量線を元に計算した値である。
【0092】
【表6】
【0093】
実施例1で調製した本発明の外部標準液(血漿バランスアミノ酸混合標準液)を用いた場合、標準品として用いた35種の化合物の回収率は、80〜111%であったが、比較例の外部標準液(従来品のアミノ酸混合標準液)を用いた場合、0〜392%であった。即ち、比較例の外部標準液(従来品のアミノ酸混合標準液)を用いて、下限濃度が上限濃度の20倍希釈となる範囲で5点の検量点で検量線を作製した場合には、定量値が検量線範囲外である化合物も多く、精度に欠く結果であった。言い換えれば、比較例の外部標準液(従来品のアミノ酸混合標準液)を用いて、各種アミノ酸を検量線の範囲内にするためには、上限濃度に対する下限濃度の希釈倍率を増やし、且つ、検量点を増やす(例えば1000倍濃度で10検量点等)必要があることがわかった。
【0094】
一方、実施例1で得られた本発明の外部標準液(血漿バランスアミノ酸混合標準液)を用いて検量線を作製した場合、最低濃度が最高濃度の20倍希釈となる範囲で、且つ、検量点が5点あっても、各種アミノ酸濃度は検量線の範囲内に入るため、各種アミノ酸を精度よく測定できることが分かった。よって、本発明の外部標準液(血漿バランスアミノ酸混合標準液)は生体試料中のアミノ酸測定において非常に有用であることがわかった。
【0095】
実施例4 本発明の内部標準液を用いた外部標準液中のアミノ酸の定量分析
(1)本発明の内部標準液及び外部標準液
実施例2で調製した本発明の内部標準液(表5中の実施例2)を、内部標準として用いた。また、比較例として、実施例2で調製した従来の内部標準液(表5中の比較例)を、内部標準として用いた。
また、実施例1で得られた表4の濃度1の本発明の外部標準液(血漿バランスアミノ酸混合標準液)を、順次5/4倍、5/3倍、2倍、5/2倍、10/3倍、5倍、10倍、20倍、40倍まで段階希釈し、測定用のアミノ酸として10濃度を調製した。
【0096】
実施例1の外部標準液(血漿バランスアミノ酸混合標準液)75μLに対して、実施例2の本発明の内部標準液75μLを添加した後に、良く混和し、アセトニトリル150μL加え、良く混和した。同様に、実施例1の外部標準液(血漿バランスアミノ酸混合標準液)75μLに対して、実施例2の従来の内部標準液75μLを添加した後に、良く混和し、アセトニトリル150μL加え、良く混和した。
【0097】
(2)プレカラム誘導体
3-アミノピリジル-N-ヒドロキシスクシンイミジルカルバメート試薬を用いて、プレカラム誘導体化を行った。200mMホウ酸緩衝液(pH8.8)185μLに、上記(1)の本発明の内部標準液を含む溶液のうち10μLを添加し、良く混和した。さらに3-アミノピリジル-N-ヒドロキシスクシンイミジルカルバメート試薬(20mgをアセトニトリル1mLに溶解したもの)5μLを添加し、良く混合後、60℃で5分間加温したものを、分析用試料とした。同様に、200mMホウ酸緩衝液(pH8.8)185μLに、上記(1)の従来の内部標準液を含む溶液のうち10μLを添加して、良く混和した。さらに、3-アミノピリジル-N-ヒドロキシスクシンイミジルカルバメート試薬 5μLを添加して、良く混合後、60℃で5分間加温し、これを、比較例としての分析用試料とした。
【0098】
(3)高速液体クロマトグラフ-質量分析装置での分析
上記分析用試料それぞれを、下記条件で分析した。
高速液体クロマトグラフ:20Aシリーズ(島津製作所)
分析カラム :Inertsil ODS-3(ジーエルサイエンス)
プレフィルタ:0.5μmディスク、プレフィルタ用(島津製作所)
移動相:移動相A :25mMギ酸(pHをアンモニア水で6.0に調製)
移動相B :アセトニトリル
カラム温度 :40℃
試料注入量 :5μL
質量分析装置 :LCMS2020(島津製作所)
モニターイオン:
EtONH
2:182、Gly:196、Ala:210、Sar:210、GABA:224、β-AiBA:224、α-ABA:224、Ser:226、Pro:236、Val:238、Thr:240、Tau:246、HyPro:252、Ile:252、Leu:252、Asn:253、Asp:254、Gln:267、Glu:268、Met:270、His:276、α-AAA:282、Phe:286、1MeHis:290、3MeHis:290、Arg:295、Cit:296、Tyr:302、Trp:325、Car:347、Ans:361、Orn:373、Lys:387、δ-HyLys:403、Cys
2:481
【0099】
測定後、得られた測定結果を用いて、規格化したレスポンスファクターの算出を行った。即ち、ピーク面積比を濃度値で割り、レスポンスファクターを算出し、濃度8のレスポンスファクターを1.0とし、規格化した。
【0100】
下記の表7は、本発明の内部標準液を用いた結果より得たレスポンスファクターを、表8は、従来の内部標準液を用いた結果より得たレスポンスファクターを表す。尚、表7及び表8は、内部標準液が異なるアミノ酸についてのみ記載する。
【0101】
尚、上記結果に基づき、実施例と比較例とで直線性に差がみられたものについては、表中の枠内にグレーを付してあり(グレー:表3に示したヒト血漿中のアミノ酸の最小濃度〜最大濃度に該当する濃度範囲)、アミノ酸略号の横に、それぞれ、◎:グレー部分において実施例と比較例との差が0.3より大きいもの、○:差が0.2〜0.3であるもの、△:差が0.1〜0.2であるもの、▲:差が0.1未満であるものを、付してある。また、*は、このような差がみられるもののうち、標識された元素が異なるものを表し、**については差がみられるもののうち、異なるアミノ酸の安定同位体を使用しているものを表す。
【0102】
【表7】
【0103】
【表8】
【0104】
本発明の内部標準液を用いると、従来の内部標準液と比較し、Asn、Gly、Tau、Pro、Tyr、Val、Met、Ile、Phe、Trpの直線性は改善されていることがわかった。つまり、本発明の内部標準液は、広い濃度範囲で定量性を担保でき、生体試料中のアミノ酸測定において非常に有用であることが示唆された。また、ヒト血漿中のアミノ酸の濃度範囲(表中のグレー部分)においては、従来の内部標準液と比較し、特に、Gly、Tau、Pro、Tyr、Val、Met、Trpで直線性が改善されたおり、その中でも特に、Tau、Proで直線性が改善されていることがわかった。
【0105】
上記の各実施形態を組み合わせ、又は当業者に公知の方法で種々の変更を加えたその他の実施形態もまた本発明の範囲に含まれる。