【実施例】
【0027】
以下、実施例を用いて、本発明にかかるアップコンバージョン蛍光体について詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0028】
〔実施例1〕 ZnCO
3;0.433g、MoO
3;0.9596g、TmCl
3・6H
2O;0.0026g、Yb
2O
3;0.134g、K
2CO
3;0.046gの各粉末を用い、乳鉢内で乳棒及びエタノールを用いて湿式混合した。 上記混合後、130℃で4時間乾燥し、乳棒で粉砕して、混合粉末を得た。 次に、上記で得られた混合粉末を二軸押出成形してペレット(Φ13×3mm)を得、空気雰囲気中、650℃で4時間焼成した(加熱速度5℃/min)。 焼成後のペレットを振動ミルで細かく粉砕した。 以上のようにして、実施例1にかかる試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Tm
3+,K
+で表され、Yb
3+の含有比率10at%,Tm
3+の含有比率0.1at%,K
+の含有比率10at%の粉末を得た。
【0029】
〔実施例2〜7〕 原料となる各粉末を下表1のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜7にかかる各試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Tm
3+,K
+で表され、Yb
3+,Tm
3+及びK
+の各含有比率が下表1のとおりである各粉末を得た。
【0030】
【表1】
【0031】
〔実施例8〜12、比較例1〕 原料となる各粉末を下表2のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例8〜12にかかる各試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Tm
3+,K
+で表され、Yb
3+,Tm
3+及びK
+の各含有比率が下表2のとおりである各粉末を得た。 同様に、比較例1にかかる試料として、ZnMoO
4:Tm
3+,K
+で表され、Tm
3+及びK
+の各含有比率が下表2のとおりである粉末を得た。
【0032】
【表2】
【0033】
〔実施例13〜15、比較例2〕 原料となる各粉末を下表3のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例13〜15にかかる各試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Tm
3+,M
+で表され、Yb
3+,Tm
3+及びM
+の各含有比率が下表3のとおりである各粉末を得た。なお、M
+はK
+、Na
+、Li
+、Rb
+の何れかを表す。 同様に、比較例2にかかる試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Tm
3+で表され、Yb
3+及びTm
3+の各含有比率が下表3のとおりである粉末を得た。
【0034】
【表3】
【0035】
〔実施例16〜20〕 原料となる各粉末を下表4のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例16〜20にかかる各試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Tm
3+,K
+で表され、Yb
3+,Tm
3+及びK
+の各含有比率が下表4のとおりである各粉末を得た。
【0036】
【表4】
【0037】
〔実施例21〜26、比較例3〕 原料となる各粉末を下表5のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例21〜26にかかる各試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Er
3+,K
+で表され、Yb
3+,Er
3+及びK
+の各含有比率が下表5のとおりである各粉末を得た。 同様に、比較例3にかかる試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,K
+で表され、Yb
3+及びK
+の各含有比率が下表5のとおりである粉末を得た。
【0038】
【表5】
【0039】
〔実施例27〜31、比較例4〕 原料となる各粉末を下表6のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例27〜31にかかる各試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Er
3+,K
+で表され、Yb
3+,Er
3+及びK
+の各含有比率が下表6のとおりである各粉末を得た。 同様に、比較例4にかかる試料として、ZnMoO
4:Er
3+,K
+で表され、Er
3+及びK
+の各含有比率が下表6のとおりである粉末を得た。
【0040】
【表6】
【0041】
〔実施例32〜34、比較例5〕 原料となる各粉末を下表7のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例32〜34にかかる各試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Er
3+,M
+で表され、Yb
3+,Er
3+及びM
+の各含有比率が下表7のとおりである各粉末を得た。なお、M
+はK
+、Na
+、Li
+、Rb
+の何れかを表す。 同様に、比較例5にかかる試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Er
3+で表され、Yb
3+及びEr
3+の各含有比率が下表7のとおりである粉末を得た。
【0042】
【表7】
【0043】
〔実施例35〜38〕 原料となる各粉末を下表8のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例35〜38にかかる各試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Er
3+,K
+で表され、Yb
3+,Er
3+及びK
+の各含有比率が下表8のとおりである各粉末を得た。
【0044】
【表8】
【0045】
〔実施例39〜46〕 原料となる各粉末を下表9のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例39〜46にかかる各試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Ho
3+,K
+で表され、Yb
3+,Ho
3+及びK
+の各含有比率が下表9のとおりである各粉末を得た。
【0046】
【表9】
【0047】
〔実施例47〜51、比較例6〕 原料となる各粉末を下表10のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例47〜51にかかる各試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Ho
3+,K
+で表され、Yb
3+,Ho
3+及びK
+の各含有比率が下表10のとおりである各粉末を得た。 同様に、比較例6にかかる試料として、ZnMoO
4:Ho
3+,K
+で表され、Ho
3+及びK
+の各含有比率が下表10のとおりである粉末を得た。
【0048】
【表10】
【0049】
〔実施例52〜54、比較例7〕 原料となる各粉末を下表11のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例52〜54にかかる各試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Ho
3+,M
+で表され、Yb
3+,Ho
3+及びM
+の各含有比率が下表11のとおりである各粉末を得た。なお、M
+はK
+、Na
+、Li
+、Rb
+の何れかを表す。 同様に、比較例7にかかる試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Ho
3+で表され、Yb
3+及びHo
3+の各含有比率が下表11のとおりである粉末を得た。
【0050】
【表11】
【0051】
〔実施例55〜58〕 原料となる各粉末を下表12のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例55〜58にかかる各試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Ho
3+,K
+で表され、Yb
3+,Ho
3+及びK
+の各含有比率が下表12のとおりである各粉末を得た。
【0052】
【表12】
【0053】
〔実施例59〜62〕 原料となる各粉末を下表13のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例59〜62にかかる各試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Tm
3+,Ho
3+,K
+で表され、Yb
3+,Tm
3+,Ho
3+及びK
+の各含有比率が下表13のとおりである各粉末を得た。
【0054】
【表13】
【0055】
〔実施例63〜65〕 原料となる各粉末を下表14のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例63〜65にかかる各試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Tm
3+,Er
3+,K
+で表され、Yb
3+,Tm
3+,Er
3+及びK
+の各含有比率が下表14のとおりである各粉末を得た。
【0056】
【表14】
【0057】
〔実施例66〜68〕 原料となる各粉末を下表15のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例66〜68にかかる各試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Er
3+,Ho
3+,K
+で表され、Yb
3+,Er
3+,Ho
3+及びK
+の各含有比率が下表15のとおりである各粉末を得た。
【0058】
【表15】
【0059】
〔実施例69〜74〕 原料となる各粉末を下表16のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例69〜74にかかる各試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Tm
3+,Er
3+,Ho
3+,K
+で表され、Yb
3+,Tm
3+,Er
3+,Ho
3+及びK
+の各含有比率が下表16のとおりである各粉末を得た。
【0060】
【表16】
【0061】
〔実施例75〜79〕 ペレットの焼成温度を550℃、600℃、700℃、750℃又は800℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例75〜79にかかる試料として、ZnMoO
4:Yb
3+,Tm
3+,K
+で表され、Yb
3+の含有比率10at%,Tm
3+の含有比率0.1at%,K
+の含有比率10at%の各粉末を得た。
【0062】
〔物性評価1:試料の同定〕 上記実施例1,75,79の各試料について、XRDにより結晶相の同定を行った。X線回折装置としては、島津製作所社製の「XRD−6300」を用い、CuKαを使用した。結果を
図1に示す。 また、実施例1の試料について、走査型電子顕微鏡(SEM)画像を
図2に示す。
図1,2に示す結果から、上記各実施例に示す操作によって、目的とするアップコンバージョン蛍光体が微小な粉末状で得られていることが確認できた。
【0063】
〔物性評価2:発光特性〕 上記実施例及び比較例にかかる各試料について、980nmレーザーを照射した場合の発光スペクトルを「USB 4000 UV/VIS/NIR」(小型光ファイバースペクトロメータ、オーシャンオプティクス社製)により測定した。測定は室温で行った。 結果は
図3〜25に示すとおりである。 以下、
図3〜25に示す結果について、全体的な考察を示した後(下記(1))、各成分の種類、含有量等による発光特性への影響について、個別的な考察を示す(下記(2)〜(6))。
【0064】
(1)全体的考察 希土類金属イオンとしてYb
3+を添加した実施例1〜20,75〜79の試料においては、480nm付近及び800nm付近にピークが認められた。 これらの試料において、人間の視覚によって観察される発光色は青色であったが、これは、480nm付近のピークに対応する発光によるものと推察される。なお、800nm付近のピークは近赤外発光に対応するものであり、可視領域外の波長域にあるため、人間の視覚によっては観察されない。
【0065】
また、希土類金属イオンとしてEr
3+を添加した実施例21〜38の試料においては、520〜565nm付近及び630〜670nm付近にピークが認められた。 これらの試料において、人間の視覚によって観察される発光色は明るい緑色であったが、これは、主として520〜565nm付近のピークに対応する発光によるものであり、630〜670nm付近の微小なピークに対応する発光の影響も若干受けていると推察される。
【0066】
さらに、希土類金属イオンとしてHo
3+を添加した実施例39〜58の試料においては、550nm付近及び650nm付近にピークが認められた。 これらの試料において、人間の視覚によって観察される発光色は明るい赤橙色であったが、これは、主として650m付近のピークに対応する発光によるものであり、550nm付近のピークに対応する発光の影響も受けていると推察される。
【0067】
また、希土類金属イオンとしてTm
3+,Er
3+及びHo
3+の2種以上を組み合わせて添加した実施例59〜74の試料においては、その組合せに応じて、Tm
3+に基づくものと推測される480nm付近のピーク、Er
3+及びHo
3+に基づくものと推測される550nm付近のピーク、Ho
3+に基づくものと推測される650nm付近のピークが認められた。 これらの試料において、人間の視覚によって観察される発光色は、Tm
3+とHo
3+の組合せ(実施例59〜62)では白色、Tm
3+とEr
3+の組合せ(実施例63〜65)では青色〜緑色、Er
3+とHo
3+の組合せ(実施例66〜68)では黄色、Tm
3+とEr
3+とHo
3+の組合せ(実施例69〜74)では、これらの相互割合に応じて、白色、青色〜緑色、黄色等、様々であった。 これらの発光色は、各希土類金属イオンに由来する複数の波長の発光の組み合わせにより生じたものであると推察される。
【0068】
(2)Tm
3+含有のアップコンバージョン蛍光体についての考察(2−1)Tm
3+の含有率の発光特性への影響
図3,4は、実施例1〜7の各試料の発光スペクトルの測定結果(
図3:450〜510nmの波長域、
図4:750〜850nmの波長域)を示すものである。
図3,4に示す結果から、Tm
3+の含有比率が発光特性に影響を与えていることが確認できるとともに、優れた発光特性を得るためには、0.05〜1at%の範囲、特に0.05〜0.5at%の範囲が好ましいことが確認できた。
【0069】
(2−2)Yb
3+の含有率の発光特性への影響
図5,6は、実施例1,8〜12、比較例1の各試料の発光スペクトルの測定結果(
図5:450〜510nmの波長域、
図6:750〜850nmの波長域)を示すものである。
図5,6に示す結果において、まず、比較例1(Yb
3+非含有)と他の実施例との対比から、Yb
3+が、目的のアップコンバージョン発光を得る上で必須の含有成分であることが確認できた。 また、各実施例の結果から、Yb
3+含有比率が発光特性に影響を与えていることが確認できるとともに、優れた発光特性を得るためには、Yb
3+の含有比率が20at%以下、特に5〜15at%の範囲が好ましいことが確認できた。
【0070】
(2−3)1価金属イオン含有による発光特
性への影響
図7,8は、実施例1,13〜15、比較例2の各試料の発光スペクトルの測定結果(
図7:450〜510nmの波長域、
図8:750〜850nmの波長域)を示すものである。
図7,8に示す結果において、まず、比較例2(1価金属イオン非含有)と他の実施例との対比から、本発明所定の1価金属イオンが必須の含有成分であることが確認できた。 また、各実施例の結果から、優れた発光特性を得るためには、K
+,Na
+,Li
+が好ましく、K
+,Na
+がより好ましく、K
+が特に好ましいことが確認できた。
【0071】
(2−4)1価金属イオンの含有率の発光特性への影響
図9,10は、実施例1,16〜20、比較例2の各試料の発光スペクトルの測定結果(
図9:450〜510nmの波長域、
図10:750〜850nmの波長域)を示すものである。
図9,10に示す結果から、1価金属イオンの含有比率が発光特性に影響を与えていることが確認できるとともに、優れた発光特性を得るためには、1価金属イオンの含有比率が20at%以下、特に5〜15at%の範囲が好ましいことが確認できた。
【0072】
(3)Er
3+含有のアップコンバージョン蛍光体についての考察(3−1)Er
3+の含有率の発光特性への影響
図11は、実施例21〜26、比較例3の各試料の発光スペクトルの測定結果を示すものである。なお、
図11では、533nm及び555nmにおける各実施例及び比較例の発光強度をプロットしたグラフも併記した。
図11に示す結果において、まず、比較例3(本発明所定の希土類金属イオン非含有)と他の実施例との対比から、各実施例のピークがEr
3+に由来するピークであることが確認できた。 また、各実施例の結果から、Er
3+含有比率が発光特性に影響を与えていることが確認できるとともに、優れた発光特性を得るためには、Er
3+の含有比率が0.1〜2at%の範囲、特に0.2〜0.6at%の範囲が好ましいことが確認できた。
【0073】
(3−2)Yb
3+の含有率の発光特性への影響
図12は、実施例21,27〜31、比較例4の各試料の発光スペクトルの測定結果を示すものである。なお、
図12では、522nm、533nm、547nm及び554nmにおける各実施例及び比較例の発光強度をプロットしたグラフも併記した。
図12に示す結果において、まず、比較例4(Yb
3+非含有)と他の実施例との対比から、Yb
3+が、目的のアップコンバージョン発光を得る上で必須の含有成分であることが確認できた。 また、各実施例の結果から、Yb
3+含有比率が発光特性に影響を与えていることが確認できるとともに、優れた発光特性を得るためには、Yb
3+の含有比率が5〜15at%の範囲が好ましいことが確認できた。
【0074】
(3−3)1価金属イオン含有による発光特性への影響
図13は、実施例21,32〜34、比較例5の各試料の発光スペクトルの測定結果を示すものである。なお、
図13では、522nm、533nm及び555nmにおける各実施例及び比較例の発光強度をプロットしたグラフも併記した。
図13に示す結果において、まず、比較例5(1価金属イオン非含有)と他の実施例との対比から、本発明所定の1価金属イオンが、目的のアップコンバージョン発光を得る上で必須の含有成分であることが確認できた。 また、各実施例の結果から、優れた発光特性を得るためには、K
+,Na
+,Rb
+が好ましく、K
+,Na
+がより好ましく、K
+が特に好ましいことが確認できた。
【0075】
(3−4)1価金属イオンの含有率の発光特性への影響
図14は、実施例21,35〜38、比較例5の各試料の発光スペクトルの測定結果を示すものである。なお、
図14では、533nm及び555nmにおける各実施例及び比較例の発光強度をプロットしたグラフも併記した。
図14に示す結果から、1価金属イオンの含有比率が発光特性に影響を与えていることが確認できるとともに、優れた発光特性を得るためには、1価金属イオンの含有比率が5〜15at%の範囲が好ましいことが確認できた。
【0076】
(4)Ho
3+含有のアップコンバージョン蛍光体についての考察(4−1)Ho
3+の含有率の発光特性への影響
図15は、実施例39〜46の各試料の発光スペクトルの測定結果を示すものである。
図15に示す結果に示す結果から、Ho
3+含有比率が発光特性に影響を与えていることが確認できるとともに、優れた発光特性を得るためには、Ho
3+の含有比率が2at%以下、特に0.03〜1at%の範囲が好ましいことが確認できた。
【0077】
(4−2)Yb
3+の含有率の発光特性への影響
図16は、実施例41,47〜51、比較例6の各試料の発光スペクトルの測定結果を示すものである。
図16に示す結果において、まず、比較例6(Yb
3+非含有)と他の実施例との対比から、Yb
3+が、目的のアップコンバージョン発光を得る上で必須の含有成分であることが確認できた。 また、各実施例の結果から、Yb
3+含有比率が発光特性に影響を与えていることが確認できるとともに、優れた発光特性を得るためには、Yb
3+の含有比率が20at%以下、特に5〜15at%の範囲が好ましいことが確認できた。
【0078】
(4−3)1価金属イオン含有による発光特性への影響
図17は、実施例41,52〜54、比較例7の各試料の発光スペクトルの測定結果を示すものである。
図17に示す結果において、まず、比較例7(1価金属イオン非含有)と他の実施例との対比から、本発明所定の1価金属イオンが、目的のアップコンバージョン発光を得る上で必須の含有成分であることが確認できた。 また、各実施例の結果から、優れた発光特性を得るためには、K
+,Na
+,Rb
+が好ましく、K
+,Na
+がより好ましいことが確認できた。
【0079】
(4−4)1価金属イオンの含有率の発光特性への影響
図18は、実施例41,55〜58、比較例7の各試料の発光スペクトルの測定結果を示すものである。
図18に示す結果から、1価金属イオンの含有比率が発光特性に影響を与えていることが確認できるとともに、優れた発光特性を得るためには、1価金属イオンの含有比率が5〜15at%の範囲が好ましいことが確認できた。
【0080】
(5)本発明所定の希土類金属イオンを複数組み合わせて含有させたアップコンバージョン蛍光体についての考察
図19は、実施例59〜62の各試料(Tm
3+とHo
3+の併用)の発光スペクトルの測定結果を示すものであり、
図20は、実施例63〜65の各試料(Tm
3+とEr
3+の併用)の発光スペクトルの測定結果を示すものであり、
図21は、実施例66〜68の各試料(Er
3+とHo
3+の併用)の発光スペクトルの測定結果を示すものであり、実施例69〜74の各試料(Tm
3+とEr
3+とHo
3+の3者併用)の発光スペクトルの測定結果を示すものである。
図19〜22に示す結果から、本発明所定の希土類金属イオンを複数組み合わせた場合に、それらの含有割合に応じて、ピーク強度に変化を持たせることができ、発光色をコントロールすることができることが確認できた。
【0081】
(6)その他:焼成温度の発光特性への影響
図23〜25は、実施例1,75〜79の各試料の発光スペクトルの測定結果を示すものである。
図23〜25に示す結果から、焼成温度が発光特性に多少の影響を与えていることが確認できるとともに、優れた発光特性を得るためには、550〜800℃の範囲、特に550〜700℃の範囲が好ましいことが確認できた。