特許第6190951号(P6190951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190951
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】確実にマウントされる耐衝撃システム
(51)【国際特許分類】
   G04B 31/04 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   G04B31/04
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-518959(P2016-518959)
(86)(22)【出願日】2014年6月9日
(65)【公表番号】特表2016-520848(P2016-520848A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】EP2014061938
(87)【国際公開番号】WO2014202418
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2015年12月9日
(31)【優先権主張番号】13173255.4
(32)【優先日】2013年6月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラール・イヴァン
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 スイス国特許出願公開第00705075(CH,A3)
【文献】 西独国特許出願公開第01917064(DE,A)
【文献】 実開昭52−026569(JP,U)
【文献】 特開2006−234818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 31/02
31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周部リム(203)が上にマウントされている基底カップ(201)を有する支持体(200)を有する計時器要素のアーバー用のショックアブソーバーデバイス(100)であって、
この周部リム(203)は、前記基底カップの反対側にて、上側面(213)によって限界を定められており、外壁(214)を有し、
前記基底カップ(201)及び前記リム(203)は、凹部(206)をともに定め、
当該ショックアブソーバーデバイスは、さらに、少なくとも1つの回転モジュール(400)を有し、
前記少なくとも1つの回転モジュール(400)は、前記凹部内に配置されており、中央軸(C)に沿って延びる前記アーバーと連係することができ、
当該ショックアブソーバーデバイスは、さらに、前記周部リム上で前記支持体に固定され内壁(513)を有する中空部品(511)によって形成されるキャップ(510)を有し、
前記内壁には、少なくとも1つの溝(520a、522)が設けられ、これによって、この溝の中に弾性手段(300)を配置することができ、前記弾性手段がその上部と下部で前記キャップによって軸方向に保持され、
前記弾性手段は、前記回転モジュールに力を与えるように構成し、
前記中空部品(511)は、円筒状であり、当該中空部品(511)の前記内壁(513)を前記支持体(200)の前記周部リム(203)の前記外壁(214)に固定するための第1の直径(D1)と、及び衝撃があり前記弾性手段が変形した場合に前記弾性手段(300)のための支持領域(517)を形成する第2の直径(D2)とを有する
ことを特徴とするショックアブソーバーデバイス(100)。
【請求項2】
前記弾性手段(300)は、前記回転モジュールを前記支持体の前記凹部に押すために、前記ばねリングの軸中心の方に延びる少なくとも2つのアーム(302)を有するばねリング(301)を有する
ことを特徴とする請求項に記載のショックアブソーバーデバイス(100)。
【請求項3】
前記少なくとも2つのアーム(302)は、直径上の反対側にある
ことを特徴とする請求項に記載のショックアブソーバーデバイス(100)。
【請求項4】
前記手段(300)は、環状の部分(303)の間に配置された半径方向内側への拡張部(303)を有するばねリング(301)を有し、
前記半径方向内側への拡張部は、内側の方に曲がっているリングを形成するバンドで形成されている
ことを特徴とする請求項に記載のショックアブソーバーデバイス(100)。
【請求項5】
前記半径方向内側への拡張部(303)は、規則的に分布している
ことを特徴とする請求項に記載のショックアブソーバーデバイス(100)。
【請求項6】
前記ばねリングは、さらに、前記ばねリング(301)の軸中心(C)から離れる方向に延びる少なくとも2つのキャッチ(305)を有する
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のショックアブソーバーデバイス(100)。
【請求項7】
前記ばねリング(301)は、さらに、前記ばねリング(301)の軸中心(C)から離れる方に延びる少なくとも2つのキャッチ(305)を有し、
前記少なくとも2つのキャッチは、前記環状の部分(304)に配置されている
ことを特徴とする請求項4又は5のいずれかに記載のショックアブソーバーデバイス(100)。
【請求項8】
前記キャップ(510)は、前記周部リムにねじで留められている
ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のショックアブソーバーデバイス(100)。
【請求項9】
前記キャップ(510)は、取り外しできないように前記周部リムに固定されている
ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のショックアブソーバーデバイス(100)。
【請求項10】
前記キャップ(510)は、前記周部リムに力をかけて嵌められる
ことを特徴とする請求項に記載のショックアブソーバーデバイス(100)。
【請求項11】
前記キャップ(510)は、前記周部リムに接合される
ことを特徴とする請求項に記載のショックアブソーバーデバイス(100)。
【請求項12】
前記キャップ(510)は、前記周部リムに溶接される
ことを特徴とする請求項に記載のショックアブソーバーデバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時器の車セットのアーバー用の耐衝撃システムに関する。このアーバーは、支持体を有する回転シャンクを有し、この支持体には、回転システムを受ける凹部が設けられており、この回転システムの中に回転シャンクが挿入される。当該耐衝撃システムは、さらに、回転システムに少なくとも軸方向の力を与えるように構成する弾性手段を有する。
【0002】
本発明が属する技術分野は、精密機械の技術分野である。
【背景技術】
【0003】
本発明は、計時器用のベアリングに関し、より詳細には、ショックアブソーバータイプのベアリングに関する。機械式腕時計の設計者達は、長年、ばねの作用の下で安静位置に戻る前に回転シャンクの一時的運動を可能にしつつ、アーバーが通り抜ける基底ブロックに設けられた穴にある壁に対してアーバーを支えることによって、衝撃、特に、横方向の衝撃、に起因するエネルギーを吸収することを可能にする多くのデバイスを作ってきた。
【0004】
図1及び2は、二重逆円錐型デバイスと呼ばれるデバイスである。これは、現在、市販計時器において用いられている。
【0005】
支持体1の基底には、回転シャンク3aを端とするバランススタッフ3のための穴2が設けられており、この支持体1によって、回転シャンク3aが通り抜ける穴の開いた石4と受け石5とが固定されるように、セッティング20を配置させることが可能になる。セッティング20は、ばね10によって支持体1の凹部6内に保持される。このばね10は、この例において、受け石5を押す半径方向の拡張部9を有する。支持体1は、環状のリム11を有する回転部品である。このリム11は、2つの準環状のリム11a、11bとなるように、直径上の反対側の2つの位置にて、空き部分12によって中断されている。2つの戻し部分を形成するように、2つの準環状のリム11a、11bにおいて空き部分12が部分的に設けられている。セッティング20は、ばね10のような弾性手段によって支持体1の凹部6内に保持される。この弾性手段は、この例においては、受け石5を押す半径方向の拡張部9を有する。ばね10は、軸方向のタイプのものであってリラ(lyre)形であり、これによって、準環状のリム11a、11bの戻し部分上にて安静となる。凹部6には、逆円錐型の形をしている2つの肩部7、7aがあり、この上にてセッティング20の相補的な肩部8、8aが安静となる。これらの肩部は、高い精度で作られていなければならない。軸方向の衝撃があった場合には、穴の開いたジュエル4、受け石5及びバランススタッフが動き、バランススタッフ3をその初期位置に戻すようにばね10が単独ではたらく。ばね10は、当該移動距離の限界を超えるとバランススタッフ3が止めメンバー14と接触してスタッフ3が衝撃を吸収することが可能となるような移動距離の限界を有するような寸法を有する。このようなことは、スタッフ3の回転シャンク3aでは、壊れずに実現することができない。横方向の衝撃があった場合、すなわち、回転シャンクの端によってセッティング20がその安静平面から均衡を失う場合、ばね10は、相補的な斜面7、7a;8、8aと連係して、セッティング20を再度中心に合わせる。これらのベアリングは、例えば、商標Incabloc(登録商標)を使用して販売されているものである。これらのばねは、Phynox又は黄銅で作ることができ、伝統的な切断手段によって製造される。
【0006】
これらのショックアブソーバーシステムの課題の1つは、マウントするのが容易ではないということである。実際に、支持体1やばね10のようないくつかの部品を組み立てるためには、マウント操作時に特定の方法で向きを合わせて操作する必要性がある。したがって、ショックアブソーバーシステムの組み立てにおいては、まず、支持体を取り、次に、セッティングをそのジュエルとともに取る。セッティングは、支持体の凹部内に配置される。次に、リラ形の軸方向のばねを用意する。このばねは、支持体の準環状のリム11a、11bの戻し部分の下で安静となることができるように操作される。
【0007】
結果的に、適所にばねをセットして支持体に固定するために、特定の操作が必要となる。その結果、ショックアブソーバーシステムを部分的に人手で組み立てる必要性がある。なぜなら、ロボットではこのような複雑な操作を行うことができないからである。
【0008】
また、人手による組み立てが好ましい。なぜなら、人間であれば、ショックアブソーバーシステムの部品どうしが互いに対してどのような向きを向かなければならないかということを瞬間的に理解することができるからである。実際に、部品の形にかかわらず、人間であれば、部品を操作して組み立てる方法を即座に把握することができる。これは、ロボットが1つの部品の向きを他の部品の向きと区別することができたとしてもである。このことによって、複雑で高コストなロボットが必要となり、また、多くの時間を必要とする。結果的に、このことは、生産高に悪影響を及ぼす。
【0009】
このように、組み立て工程の完全な自動化を行うことができず、したがって、ショックアブソーバーシステムを組み立てる方法は高コストとなる。
【0010】
また、マウント工程の自動化によって、ショックアブソーバーシステムにおいて伝搬する振動を発生させることがある。この振動によって、ショックアブソーバーシステムの部品が動くことがあり、これによって、互いに対して完璧な位置合わせされている状態ではなくなる。このように位置合わせされなくなると、他の損害を引き起こすことがある。実際に、第1の部品を第2の部品にマウントする際に、第1の部品と第2の部品の間に配置されることが必要とされる第3の部品が第1の部品と第2の部品の間で押されて、破損してしまうことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、組み立て工程が単純で、確実で、自動化することが容易なショックアブソーバーシステムを提供することによって、従来技術の課題を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このために、本発明は、周部リムが上にマウントされている基底カップを有する支持体を有する計時器要素のアーバー用のショックアブソーバーデバイスに関し、この周部リムは、前記基底カップの反対側にて、上側面によって限界を定められており、外壁を有し、前記基底カップ及び前記リムは、凹部をともに定め、当該ショックアブソーバーデバイスは、さらに、少なくとも1つの回転モジュールを有し、前記少なくとも1つの回転モジュールは、前記凹部内に配置されており、中央軸Cに沿って延びる前記アーバーと連係することができ、当該ショックアブソーバーデバイスは、さらに、前記周部リム上で前記支持体に固定され内壁を有する中空部品によって形成されるキャップを有し、前記内壁には、少なくとも1つの溝が設けられ、これによって、この溝の中に弾性手段を配置することができ、前記弾性手段がその上部と下部で前記キャップによって軸方向に保持され、前記弾性手段は、前記回転モジュールに力を与えるように構成する。
【0013】
本発明の第1の利点は、常に完全に位置合わせされる弾性手段を有することによる確実性とともに組み立て工程の自動化を行うことができることである。実際に、本発明に係るデバイスは、弾性手段を保持するキャップに対して弾性手段があらかじめ位置合わせされているという利点を有する。結果的に、ショックアブソーバーデバイスのマウントの際に弾性手段が不適当に配置されるというおそれがなくなる。
【0014】
本発明のいくつかの好ましい実施形態が、従属請求項の主題を構成する。
【0015】
第1の実施形態において、弾性手段は、支持体における凹部内に回転モジュールを押すために、ばねリングの軸中心の方に延びる少なくとも2つのアームを有するばねリングを有する。
【0016】
第2の実施形態において、前記少なくとも2つのアームは、直径上の反対側にある。
【0017】
第3の実施形態において、前記弾性手段は、環状の部分の間で配置された半径方向内側への拡張部を有するばねリングを有し、この半径方向内側への拡張部は、内側に曲がっているリングを形成するバンドで形成されている。
【0018】
別の実施形態において、中空部品は円筒状であり、弾性手段が衝撃があった後に変形する場合、環状の部分を支持体の周部リムに固定するための第1の直径と、及び弾性手段のために支持領域を形成する第2の直径とを有する。
【0019】
別の実施形態において、前記半径方向内側への拡張部は規則的に分布している。
【0020】
別の実施形態において、前記ばねリングは、さらに、ばねリングの軸中心から離れるように延びる2つのキャッチを有する。
【0021】
別の実施形態において、ばねリングは、方向にばねリングの軸中心から離れるように延びる少なくとも2つのキャッチをさらに有し、この少なくとも2つのキャッチは、環状の部分上に配置されている。
【0022】
別の実施形態において、前記キャップは、周部リムにねじで留められる。
【0023】
別の実施形態において、前記キャップは、取り外しできないように周部リムに固定されている。
【0024】
別の実施形態において、前記キャップは、周部リムに圧入される。
【0025】
別の実施形態において、前記キャップは、周部リムに接合される。
【0026】
別の実施形態において、前記キャップは、周部リムに溶接される。
【0027】
例としてのみ与えられ(これに制限されない)添付図面に示されている本発明の少なくとも1つの実施形態についての下の詳細な説明を読むことによって、本発明に係る耐衝撃ないしショックアブソーバーシステムの目的、利点及び特徴をより明確に理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】既に引用しており、従来技術による計時器用のショックアブソーバーシステムの概略図である。
図2】既に引用しており、従来技術による計時器用のショックアブソーバーシステムの概略図である。
図3】マウントされていない状態とマウントされている状態の本発明に係る計時器用のショックアブソーバーシステムの概略図である。
図4】マウントされていない状態とマウントされている状態の本発明に係る計時器用のショックアブソーバーシステムの概略図である。
図5】本発明に係る計時器用ショックアブソーバーシステムの弾性手段の別の手法を示す。
図6】本発明に係る計時器用ショックアブソーバーシステムの弾性手段の別の手法を示す。
図7】本発明に係る計時器用ショックアブソーバーシステムの弾性手段の別の手法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、分解することができないショックアブソーバーデバイス、又はマウントするのが容易でマウントの際に問題が少ないような単純な耐衝撃デバイスを提供することを伴う大きな創造性のある考えから生まれたものである。このショックアブソーバーシステムは、計時器用ムーブメントのメインプレート及び/又は少なくとも1つのブリッジにマウントされるように構成する。計時器用ムーブメントは、裏蓋と風防によって閉じられる中間部を有する計時器内に配置される。
【0030】
図3及び4は、第1の実施形態によるショックアブソーバーデバイス又はベアリング100又は耐衝撃システムを示している。このショックアブソーバーデバイス又は耐衝撃システム100は、計時器用ムーブメントの基底要素にマウントされる。具体的には、ムーブメントのメインプレート又はブリッジは、本発明に係る耐衝撃システム100が配置される基底要素である。この耐衝撃システム100は、支持体200を有する。支持体200は、穴202が設けられたカップ201の形態であり、このカップ201の上側には、周部リム203がマウントされており、この周部リム203は、カップの反対側にて上側面213によって限界が定められている。また、この周部リム203は、外壁214及び内壁215を有する。リム203及び基底カップ201は、凹部206の形を定めており、この中に、回転モジュール400が挿入される。伝統的な回転モジュール400は、セッティング401を有する。これは、すなわち、中央の環状オリフィス、外壁及び内壁を有する部分である。穴の開いたジュエル402の直径は、中央オリフィスの直径に対応するものであり、このジュエル402が中央オリフィス内に挿入される。内壁は、肩部を有し、これによって、受け石403を固定することが可能になる。そして、回転モジュール400が支持体200の凹部206の内側に配置され、アーバーの回転シャンクと連係する。
【0031】
耐衝撃システム100は、さらに、回転モジュール400と連係するように構成する弾性手段300を有する。これによって、衝撃を吸収すること、そして、衝撃によって与えられた応力が次第に弱まったときに回転モジュール400をその安静位置に戻すことが可能になる。弾性手段300は、支持体200に固定される。好ましくは、弾性手段300は、回転モジュール400上にも配置される。そして、耐衝撃システム100は、ムーブメントのメインプレート又はブリッジの1つに設けられたオリフィス内に挿入される。
【0032】
固定手段500は、弾性手段300を支持体200固定するために用いられる付加的部品510を有する。この付加的部品510は、支持体200に固定されているキャップ510の形態である。キャップ510は、支持体200に固定されているときに、弾性手段300が回転モジュール400に力をはたらかせるように設計される。この力によって、衝撃があった際に、ムーブメントに害を与えずに、回転モジュール400が不動であることが可能になる。実際に、衝撃があった際に、アーバーが回転モジュール400に当接し、これが動き、弾性手段300を弾性変形させる。
【0033】
キャップ510は、開口512が設けられた部品511の形態である。この部品511は、内壁513、外壁514、上端515及び下端516を有する。要素511の開口は、周部リム203と連係するように第1の内側寸法を有する。実際に、部品511は、下端515を介して周部リム203に固定される。したがって、要素511を周部リム203に固定することができることを前提に、支持体20、リム203及びキャップ510は、正方形又は他の可能な形をいずれも有することができる。
【0034】
好ましくは、キャップ510は、中央軸(C)に沿って延び開口512が設けられた円筒状の環状部品511の形態である。この円筒状の環状部品511は、上端515及び下端516に加えて、内壁513及び外壁514を有する。円筒状の環状部品511の開口は、周部リム203と連係するように、第1の内径D1を有する。実際に、円筒状の環状部品511はそれぞれ、下端515を介して周部リム203内に挿入される。円筒状の環状部品511を周部リム203に固定することは、圧入、ねじ込み、溶接、又は接着結合によって達成される。円筒状の環状部品511を周部リム203に固定することが、圧入、ねじ込み、溶接、又は接着結合によって達成される場合、ショックアブソーバーデバイスは取り外し可能ではないことを理解できるであろう。
【0035】
内壁513上に保持領域520が設けられる。この保持領域520は、弾性手段300を中に挿入することができるように、溝520a(図示せず)の形態であることができる。このことによって、弾性手段300をその上部及び下部によって軸方向に保持することが可能になり、耐衝撃システム100のマウントの際にキャップ510と支持体200の間で弾性手段300がクランプされることを防ぐ。内壁513は、外壁514とは異なる形を有することができ、例えば、内壁513は環状で、外壁514は正方形であることができる。また、内壁513が上端515においては第1の形、下端516においては第2の形を有するようにすることをあり得る。したがって、内壁513は、その上端515において、弾性手段300を保持する領域に適した形を有し、その下端516において、周部リム203を介してキャップ510を支持体200に固定することに適した形を有することができる。
【0036】
図3に示す第1の好ましい変種において、円筒状の環状要素511の上端515が、第1の内径D1よりも小さい第2の内径D2を有する。この直径における差によって、弾性手段300のための支持領域517を設けることが可能になる。保持領域520は、第2の内径D2を有する円筒状の環状部品511の上端に設けられる。
【0037】
この保持領域520は、円筒状の環状部品511の内壁513から延びる隆起部521を有する。この隆起部521は、支持領域517とともに、弾性手段300が中に挿入される溝522を形成している。弾性手段300は、隆起部521に支持される。計時器が衝撃を受けた場合、アーバーは、回転モジュール400が動くように、耐衝撃システム100に当接する。弾性手段300は変形し、支持領域517に支えられる。
【0038】
例えば、弾性手段300は、ばねリング301の形態であることができる。このばねリング301は、平坦なタイプである。すなわち、細長片ないしバンドで作られる。すなわち、厚みよりも大きな幅を有するもので作られる。ばねリング301を形成する細長片ないしバンドは、金属性のものであり、中央軸(C)のまわりに延びるように環状である。
【0039】
図5に示すこのばねリング301の第1の実施形態において、弾性手段300は、ばねリング301の軸中心の方に延びる2つのアーム302を有するばねリング301の形態である。これらのアーム302は、直径上の反対側にあり、回転モジュール400を支持体200の凹部206内に押すために用いられる。
【0040】
図6に示すこのばねリング301の第2の実施形態において、ばねリング301は、環状部品304どうしの間に配置された半径方向内側への拡張部303を有する。これらの半径方向内側への拡張部303は、リング301の内側の方に曲がっているリング301を形成する細長片によって形成されている。図5に示すように、これらの半径方向内側への拡張部303は、好ましくは、ピストンリング301が均質的に作用することができるように、平坦なリング301の周部にわたって規則的に分布する。なお、ピストンリング301は、支持体200に対して任意の形態の向きを有することができる。
【0041】
次に、このばねリング301は、キャップ510の内壁513に設けられた溝520a、522内に挿入されるように構成する。より詳細には、溝520a内に挿入されるのは環状部品303である。この構成によって、キャップ510と一体的なばねリング301を設けることができる。すなわち、ばねリング301は、キャップ510とあらかじめ組み立てられる。したがって、キャップ510のマウントを単純化することができる。
【0042】
溝520a、522は、ばねリング301を設置後にばねリング301がわずかに動くことができるような寸法を有する。このことによって、キャップ510が支持体200にマウントされるときに、ばねリング301が動いて、完璧に心合わせすることができる。このようにして、自動組み立てプロセスの際に発生する振動の影響がなくなる。
【0043】
第2の変種において、図7に示すように、ばねリング301は、環状部品303にて、ばねリング301の軸中心から離れるように延びるキャッチ305を有する。これらのキャッチ305は、ばねリング301をキャップ510に保持するように構成する。実際に、ばねリング301とキャップ510の寸法は、溝520a内にキャッチ305のみが挿入されるように計算される。
【0044】
この構成は、溝520a、522がばねリング301に与える影響を制限することができるという利点を有する。実際に、ばねリング301が溝520a、522内に配置されていれば、溝520a、522によって、応力があった場合の機械的な応答が変わる。なぜなら、溝520a、522がばねリングに対して応力をはたらかせるからである。特に、前記ばねリング301の環状部品303に対してである。これらの環状部品303は、活性領域である。すなわち、それらは、ばねリング301の弾性作用に関わる。このようにして、ばねリング301の反作用を変えることができる。このような反作用は、ばねリング301の設計において考慮に入れられる。
【0045】
キャッチ305の存在のおかげで、キャップ510の溝520a、522によってばねリング301に与えられる応力は、キャッチ305の範囲のみに制限される。結果的に、キャッチ305が受動領域にあるので、すなわち、ばねリング301のふるまいに影響を与えないので、ばねリング301の初期のふるまいは、キャップ510の溝520a、522内におけるばねリング301の構成によっては変更されない。
【0046】
第3の変種において、少なくとも凹部206、回転モジュール400及び弾性手段300は、様々な部品どうしが角度的に自由であるように構成する。このことは、少なくとも凹部206、回転モジュール400及び弾性手段300のようなショックアブソーバーシステム100を構築する様々な部品が、いずれの特定の操作をも必要とせずに、互いに対して組み立てられることを意味する。したがって、マウント工程時には、回転、操作又はねじれはまったく発生しない。好ましくは、少なくとも凹部206、回転モジュール400、キャップ510、及び弾性手段300は、回転部品である。すなわち、概して環状であって中央軸(C)に沿って延びるような部品である。この環状の形によって、任意の形の支持体200に対して適合することが可能になる。実際に、凹部206、回転モジュール400及び弾性手段300が特定の向きがなく環状であることは、支持体200が、マウントの際に、ショックアブソーバーベアリング100のマウント工程に何らかの影響を与えずに任意の形態で位置合わせされるような任意の形とすることができることを意味する。また、支持体200、凹部206、回転モジュール400及び弾性手段300も回転部品であることができる。すなわち、環状である部品であることができる。
【0047】
このような本発明に係るショックアブソーバーベアリング100の部品の構成によって、組み立て工程を促進することができる。実際に、部分どうしが互いに対して特定の向きを有する場合には、組み立てるためにそれらを操作する必要性がある。例えば、2つの三角形の幾何学的な形の一方を他方の内側にはめるためには、各辺が平行でなければならず、したがって、位置合わせが必要である。
【0048】
支持体200、凹部206、回転モジュール400及び弾性手段300の様々な部品どうしが互いに対して角度的に自由であるようにすることによって、事前に操作せずに、例えば、回転モジュール400を取って凹部206内に配置することができる。
【0049】
ショックアブソーバーベアリング100が一部品として配置され、したがって、支持体200及びムーブメントの要素が一部品であるような支持体200及びムーブメントの要素を作ることをあり得る。したがって、基底要素には、穴の開いた底を形成するように構成する凹部が設けられ、中に回転モジュール400が配置される凹部206を形成することがわかるであろう。また、この第2の変種は、第1の変種と共存するようにしてもいいことかわかるであろう。実際に、ブリッジ又はメインプレートが任意の形であることができるので、マウント領域の構成によって、固定手段を設置することができ、したがって、回転モジュール400を凹部に保持することができることが確実になる。
【0050】
添付の請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱せずに、当業者にとって明らかな様々な変更及び/又は改善及び/又は組み合わせを、上記の本発明の様々な実施形態に対して行うことができる。
【0051】
実際に、回転モジュール400を単一のジュエルで形成したり、穴の開いたジュエル及び受け石どうしを互いに固定したりすることができる。なお、穴の開いたジュエル及び受け石を、一方が他方の内側になるように埋め込むことができることを理解できるであろう。これらの可能性によって、ショックアブソーバーベアリングの部品数を制限することが可能になる。
【0052】
また、溝520a、522内に挿入することができることを前提に、いずれの形の弾性手段をもあり得ることを理解できるであろう。
【0053】
また、キャップ510が2つのばねリング301を挿入するために2つの溝520a、522を有するようにすることもあり得る。
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