(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190954
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】航空機において廃熱により飲料水を予熱するための装置
(51)【国際特許分類】
B64D 11/04 20060101AFI20170821BHJP
B67D 1/08 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
B64D11/04
B67D1/08 A
【請求項の数】12
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-521476(P2016-521476)
(86)(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公表番号】特表2016-524569(P2016-524569A)
(43)【公表日】2016年8月18日
(86)【国際出願番号】US2014042337
(87)【国際公開番号】WO2014204808
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2015年12月21日
(31)【優先権主張番号】61/836,400
(32)【優先日】2013年6月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/301,547
(32)【優先日】2014年6月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500413696
【氏名又は名称】ビーイー・エアロスペース・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】B/E Aerospace, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】バード、ピーター ジョン レスリー
【審査官】
諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0087039(US,A1)
【文献】
特表2007−516889(JP,A)
【文献】
特表2007−537077(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0048509(US,A1)
【文献】
米国特許第07925143(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 11/04
B67D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機において廃熱により飲料水を予熱するための装置であって、
ギャレーインサート、ギャレー機器及び冷却器から分離して配置されるとともに吸気口端及び排出口端を備える熱交換器筐体を有する空気/水熱交換器であって、前記吸気口端は、前記ギャレーインサート及び前記ギャレー機器のうちいずれかからの加熱された排気を受け入れるよう構成された第1の吸気口と、前記冷却器からの加熱された排気を受け入れるよう構成された第2の吸気口と、を備え、前記第1および第2の吸気口のそれぞれは、前記空気/水熱交換器と熱交換するように接続されるとともに、前記ギャレーインサート及び前記ギャレー機器のうちいずれか、及び、前記冷却器からの熱を前記空気/水熱交換器に伝達するように構成され、前記排出口端は、前記空気/水熱交換器と熱交換するように接続された排気排出口であって、前記空気/水熱交換器からの冷却された空気を排出するように構成された排気排出口を備える、空気/水熱交換器と、
前記空気/水熱交換器と流体連通するように接続された飲料水供給注入口であって、前記飲料水供給注入口は、飲料水を前記空気/水熱交換器に供給するように構成され、前記空気/水熱交換器は、前記ギャレーインサート及び前記ギャレー機器のうちいずれかからの前記加熱された排気、及び、前記冷却器からの前記加熱された排気からの熱を前記飲料水供給注入口からの飲料水に伝達するように構成される、飲料水供給注入口と、
前記空気/水熱交換器と流体連通するように接続された飲料水供給排出口であって、前記飲料水供給排出口は、前記空気/水熱交換器からの加熱された飲料水を供給するように構成される、飲料水供給排出口と、
を備える装置。
【請求項2】
航空機において廃熱により飲料水を予熱するための装置であって、
ギャレーインサート、ギャレー機器及び冷却器から分離して配置されるとともに吸気口端及び排出口端を備える熱交換器筐体を有する空気/水熱交換器であって、前記吸気口端は、前記空気/水熱交換器と熱交換するように接続されるとともにギャレーインサート及びギャレー機器のうち少なくとも1つからの排気からの熱を前記空気/水熱交換器に伝達するように構成される第1の排気吸気口と、前記空気/水熱交換器と熱交換するように接続されるとともに前記冷却器からの排気からの熱を前記空気/水熱交換器に伝達するように構成される第2の排気吸気口と、を備え、前記排出口端は、前記空気/水熱交換器と熱交換するように接続された排気排出口であって、前記空気/水熱交換器からの冷却された空気を排出させるように構成される排気排出口を備える、空気/水熱交換器と、
前記空気/水熱交換器と流体連通するように接続された飲料水供給注入口であって、前記飲料水供給注入口は、飲料水を前記空気/水熱交換器に供給するように構成され、前記空気/水熱交換器は、前記ギャレーインサート及び前記ギャレー機器のうちいずれかからの前記加熱された排気、及び、前記冷却器からの前記加熱された排気からの熱を前記飲料水供給注入口からの飲料水に伝達するように構成される、飲料水供給注入口と、
前記空気/水熱交換器と流体連通するように接続された飲料水供給排出口であって、前記飲料水供給排出口は、前記空気/水熱交換器からの加熱された飲料水を供給するように構成される、飲料水供給排出口と、
を備える装置。
【請求項3】
前記第1の排気吸気口は、ギャレーインサート排気吸気口を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ギャレーインサート排気吸気口は、ギャレーインサートから加熱されたギャレー排気を受け入れるように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記空気/水熱交換器は、前記ギャレーインサートからの加熱された排気からの熱を前記飲料水供給注入口からの飲料水に伝達するように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の排気吸気口は、ギャレー機器排気吸気口を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記ギャレー機器排気吸気口は、ギャレー機器からの加熱されたギャレー排気を受け入れるように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記空気/水熱交換器は、前記ギャレー機器からの加熱された排気からの熱を前記飲料水供給注入口からの飲料水に伝達するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の排気吸気口は、冷却器排気吸気口を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記冷却器排気吸気口は、冷却器からの加熱された冷却器排気を受け入れるように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記空気/水熱交換器は、前記冷却器からの加熱された排気からの熱を前記飲料水供給注入口からの飲料水に伝達するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
航空機において廃熱により飲料水を予熱する方法であって、
ギャレーインサート及びギャレー機器のうち少なくとも1つからの加熱された排気、及び、冷却器からの加熱された排気を空気/水熱交換器の吸気口端における第1及び第2の吸気口へそれぞれ提供するステップと、
前記空気/水熱交換器の飲料水供給注入口に飲料水を供給するステップと、
前記ギャレーインサート及び前記ギャレー機器のうち少なくとも1つ、及び、前記冷却器からの前記加熱された排気からの熱を前記飲料水供給注入口からの飲料水に伝達するステップと、
前記空気/水熱交換器の排気排出口から冷却された排気を排出するステップと、
前記空気/水熱交換器から加熱された飲料水を供給するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年6月18日に出願された米国仮特許出願第61/836,400号、及び、2014年6月11日に出願された米国非仮特許出願第14/301,547号の優先権を主張し、それらの内容を参照により組み込む。
【0002】
本発明は、一般的に、航空機の飲料水システムに関し、特に、航空機において、ギャレーインサートまたはギャレー機器の排気及び冷却装置の排気からの廃熱により飲料水を予熱するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
機内食サービスを提供する民間航空機は、一般的に、廃水用排水機能だけでなく、加圧下で供給される飲料水の供給機能を有する、航空機上に設置された1つ以上のギャレーを有する。飲料水は、例えば、お茶やコーヒーなどの飲料を作るため、及び、スチームオーブンや炊飯器などの料理用に用いられることがある。
【0004】
従来、飲料を作るため、または、料理用のギャレーインサートまたはギャレー機器の飲料水は、一般的に、航空機から電力を引き込む従来のギャレーインサートまたはギャレー機器の温水システムにのみ頼って加熱されることが一般的であった。また、従来、冷却器の排気及びギャレーインサートまたはギャレー機器の排気は、従来の航空機の冷却システムのみに頼って、航空機の環境制御システムまたは航空機の温度の影響を受ける領域に排出される前に冷却されることが一般的であった。
【0005】
冷蔵庫、オーブン、湯沸かし器、電子機器などの1つ以上の冷却器及びギャレーインサートまたはギャレー機器によって生成された廃熱を用いて、航空機で使用されるために供給される飲料水の温度を上げることで、航空機の消費電力を削減する空気/水熱交換器を提供することが望ましい。また、1つ以上の冷却器及びギャレーインサートまたはギャレー機器からの排気を冷却して、これらの排気が排出される航空機環境制御システムまたは温度の影響を受ける領域に恩恵をもたらす空気/水熱交換器を提供することが望ましい。さらに、飲料水供給システムにおいて固定された器具として随意的に実装され得る空気/水熱交換器であって、従来のギャレーインサートまたはギャレー機器の温水システムを補完し、ギャレーの蛇口による飲料水供給とは独立し、ギャレーの蛇口による飲料水供給とは独立してろ過され得る空気/水熱交換器を提供することが望ましい。本発明は、これら及び他の要求を満たす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
手短に大まかに言うと、本発明は、1つ以上の冷却器及び/またはギャレーインサートまたはギャレー機器の排気からの廃熱を利用する空気/水熱交換器であって、排気を航空機環境制御システムまたは温度の影響を受ける領域に排出する前に冷却する空気/水熱交換器を提供する。
【0007】
従って、本発明は、航空機において廃熱により飲料水を予熱するための装置を提供する。当該装置は、吸気口端及び排出口端を備える熱交換器筐体を有する空気/水熱交換器を備える。熱交換器筐体の吸気口端は、ギャレーインサート排気吸気口、ギャレー機器排気吸気口及び冷却器排気吸気口のうち1つ以上を備え、当該ギャレーインサート排気吸気口、ギャレー機器排気吸気口及び冷却器排気吸気口は、空気/水熱交換器と熱交換するように接続され、ギャレーインサート排気、ギャレー機器排気及び冷却器排気のうち1つ以上からの熱を空気/水熱交換器に伝達するように構成される。熱交換器筐体の排出口端は、空気/水熱交換器に接続された排気排出口であって、冷却された排気を空気/水熱交換器から排出するように構成された排気排出口を備える。
【0008】
空気/水熱交換器は、飲料水を空気/水熱交換器に供給するように構成された飲料水供給注入口を備える。空気/水熱交換器は、ギャレーインサートまたはギャレー機器の加熱された排気及び冷却器の加熱された排気のうちの1つ以上からの熱を飲料水供給注入口からの飲料水に伝達するように構成される。空気/水熱交換器は、空気/水熱交換器からの加熱された飲料水を、例えば、ギャレーインサートやギャレー機器などに供給するように構成された飲料水供給排出口を備える。
【0009】
別の現在好適な態様において、本発明は、航空機において廃熱により飲料水を予熱する方法を提供する。当該方法は、ギャレーインサート排気、ギャレー機器排気及び冷却器排気のうち1つ以上からの加熱された排気を空気/水熱交換器の吸気口端に供給し、飲料水を空気/水熱交換器の飲料水供給注入口に供給することを含む。熱は、ギャレーインサート排気、ギャレー機器排気及び冷却器排気のうち1つ以上から飲料水供給注入口からの飲料水に伝達され、冷却された排気は、空気/水熱交換器の排気排出口から排出され、加熱された飲料水が空気/水熱交換器から、例えば、ギャレーインサートやギャレー機器などに供給される。
【0010】
本発明の他の特徴および利点が、例として、本発明の作用を図示する添付の図面と合わせて以下の好適な実施形態の詳細な記載から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る、空気/水熱交換器の概略図である。
【
図2】
図1の空気/水熱交換器の上部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
例示の目的のため及び例として提供される図面を参照すると、本発明は、吸気口端14及び排出口端16を備える筐体12を有する空気/水熱交換器10を提供する。筐体の吸気口端は、ギャレーインサートまたはギャレー機器の排気20を受け入れるためのギャレーインサートまたはギャレー機器排気吸気口18と、冷却器の排気24を受け入れるための冷却器排気吸気口22とを備えることが好ましい。筐体の排出口端は、冷却された排気28を排出するための冷却排気排出口26を備えることが好ましい。ギャレーインサート排気吸気口またはギャレー機器排気吸気口及び冷却器排気吸気口は、空気/水熱交換器と熱交換するように接続され、ギャレーインサート排気、ギャレー機器排気及び冷却器排気のうち1つ以上からの熱を空気/水熱交換器に伝達するように構成される。熱交換器筐体の排気排出口は、空気/水熱交換器と熱交換するように接続され、空気/水熱交換器からの冷却された排気を排出するように構成される。
【0013】
空気/水熱交換器はまた、空気/水熱交換器と流体連通するように接続された飲料水供給注入口30及び飲料水供給排出口32も備える。飲料水供給注入口は、飲料水を空気/水熱交換器に供給するように構成され、空気/水熱交換器は、ギャレーインサートまたはギャレー機器の加熱された排気及び冷却器の加熱された排気のうち1つ以上からの熱を飲料水供給注入口からの飲料水に伝達するように構成される。空気/水熱交換器は、空気/水熱交換器から、例えば、ギャレーインサートやギャレー機器などに予熱された飲料水供給34を提供するように構成された飲料水供給排出口を備える。
【0014】
空気/水熱交換器は、有利には、冷却器、または、冷蔵庫、オーブン、湯沸かし器、電子機器などのギャレーインサートまたはギャレー機器によって生成された廃熱を用いて、航空機によって供給される飲料水の温度を上げることで、消費電力を削減して、航空機の電力を節電する。結果として、空気/水熱交換器は、冷却器、ギャレーインサートまたはギャレー機器からの排気の温度を下げることで、冷却器、ギャレーインサートまたはギャレー機器からの排気が排出される航空機環境制御システムまたは温度の影響を受ける領域に恩恵をもたらす。空気/水熱交換器は、ギャレーの飲料水供給システムの一部を形成し、通常のギャレー供給システムのパージの一部としても排水し得る。空気/水熱交換器は、随意的な固定された器具であってもよく、従来のギャレーインサートまたはギャレー機器温水機能を交換するのではなく、補完することが好ましい。空気/水熱交換器の飲料水供給は、ギャレーの蛇口による供給と独立し、独立してろ過され得る。
【0015】
本発明の特定の形態について例示及び記載したが、種々の改良が、本発明の要旨及び範囲を逸脱しない範囲で可能であることは、前述により明らかであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲以外によって限定を受けることを意図されていない。