特許第6190963号(P6190963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャントウ チェンネンリャン ハーベイシャス プランツ リサーチ インスティテュートの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190963
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】汚水活性化粒子及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/00 20060101AFI20170821BHJP
   C02F 1/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   C02F3/00 D
   C02F1/00 F
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-538073(P2016-538073)
(86)(22)【出願日】2015年3月17日
(65)【公表番号】特表2017-507769(P2017-507769A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】CN2015074350
(87)【国際公開番号】WO2016112583
(87)【国際公開日】20160721
【審査請求日】2016年6月7日
(31)【優先権主張番号】201510022213.9
(32)【優先日】2015年1月16日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】316014331
【氏名又は名称】シャントウ チェンネンリャン ハーベイシャス プランツ リサーチ インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チェン,グオフェン
【審査官】 佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−326090(JP,A)
【文献】 特開2013−144275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/00− 3/02
C02F 1/00
C02F 3/12
C02F 3/28− 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)重量パーセント1.5−2.5%のキンギンカ、重量パーセント1.5−2.5%のジャショウシ、重量パーセント1.5−2.5%のカンジュウ、重量パーセント1.5−2.5%の海塩、重量パーセント1.5−2.5%のジフシ、重量パーセント1.5−2.5%のシツリシ、重量パーセント1.5−2.5%の古根ショウガ、重量パーセント14−18%の黒糖を粉枠し、混合して均一に撹拌するステップと、
(1’)アスパラガス、トマト、エンドウ、ニンジン、ジャガイモ、キクイモ、レンコンのうちの1つ又は複数を、野菜3部、水10部、黒糖1部の比で3か月以上連続して漬けて発酵させ、濾過しアルコールで抽出することで環境に優しい雌性ホルモンを得るステップと、
(2)重量パーセント20−25%の蒸留木酢液、重量パーセント20−25%の前記環境に優しい雌性ホルモンを取って混合して撹拌し、清澄化するステップと、
(3)200メッシュの篩で火山性土を濾過し、濾過した後の重量パーセント15−20%の火山性土をステップ(1)の混合物に加え、均一に撹拌するステップと、
(4)ステップ(3)の混合物をステップ(2)の澄明溶液に流し込み、重量パーセント8−12%のふすまを振りかけ、球状に練り込むステップと、
(5)木製の棚に置き、環境温度を摂氏36.5−37度に保持し、15−30日後に、球体の表面が白色になると、使用できるステップと、を含む汚水活性化粒子の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚水処理分野に関し、特に汚水活性化粒子及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
汚水は通常、ある程度汚染された生活排水と生産排水のことをいう。汚水には主として生活排水、産業廃水及び初期雨水がある。汚水の主な汚染物としては、病原体、酸素消費物質、植物栄養素、有毒物などがある。地表水の汚染は顕在化しているものの、地下水の汚染は目に見えなくとも驚くほどである。「2013−2017年の中国汚水処理業界における市場動向と投資・戦略計画に関する分析報告書」においては、中国の13億人口のうち、70%は地下水を飲用しており、660あまりの都市のうち、400あまりの都市では地下水を飲用水源としていることが提示されている。それにもかかわらず、中国の都市部地下水の90%はすでに汚染されているという。
【0003】
中国市町部の汚水処理場では、汚泥の一次削減はほぼ実現されているが、投入コストが高すぎるため、小さい河川、渓流などに適さず、特に農業用養魚池や水路に適しないため、これらの、汚染されやすく処理が困難な水域に関しては、人々の環境保護意識に頼るしかない。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、化学成分を全く含まない汚水活性化粒子及びその調製方法を提供し、汚水中の有益微生物を効果的に増加させ、有害物質を分解し、臭気を除去することを目的とする。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決手段を採用する。
【0006】
汚水活性化粒子であって、キンギンカ1.5−2.5%、ジャショウシ1.5−2.5%、カンジュウ1.5−2.5%、海塩1.5−2.5%、ジフシ1.5−2.5%、シツリシ1.5−2.5%、古根ショウガ1.5−2.5%、黒糖14−18%、ふすま8−12%、火山性土15−20、蒸留木酢液20−25%、環境に優しい雌性ホルモン20−25%の重量パーセントの原料から調製される。
【0007】
上記解決手段においては、環境に優しい雌性ホルモンは、アスパラガス、トマト、エンドウ、ニンジン、ジャガイモ、キクイモ、レンコンのうちの1つ又は複数を漬けて発酵させ、濾過しアルコール化して抽出した活性酵素であり、ここで、野菜3部、水10部、黒糖1部の比で3か月以上連続して漬けて発酵させる。
【0008】
汚水活性化粒子の調製方法であって、
(1)重量パーセント1.5−2.5%のキンギンカ、重量パーセント1.5−2.5%のジャショウシ、重量パーセント1.5−2.5%のカンジュウ、重量パーセント1.5−2.5%の海塩、重量パーセント1.5−2.5%のジフシ、重量パーセント1.5−2.5%のシツリシ、重量パーセント1.5−2.5%の古根ショウガ、重量パーセント14−18%の黒糖を粉枠し、混合して均一に撹拌するステップと、
(2)重量パーセント20−25%の蒸留木酢液、重量パーセント20−25%の環境に優しい雌性ホルモンを混合して撹拌し、清澄化するステップと、
(3)200メッシュの篩で火山性土を濾過し、濾過した後の重量パーセント15−20%の火山性土をステップ(1)の混合物に加え、均一に撹拌するステップと、
(4)ステップ(3)の混合物をステップ(2)の澄明溶液に流し込み、重量パーセント8−12%のふすまを振りかけ、球状に練り込むステップと、
(5)木製の棚に置き、環境温度を摂氏36.5−37度に保持し、15−30日後に、球体の表面が白色になると、使用できるステップと、を含む。
【0009】
本発明の利点は以下のとおりである。
【0010】
1.汚染された水域に汚水活性化粒子を投入すると、水流の作用で活性化粒子は緩やかに溶解し、活性化物質を放出し、汚水中の有益微生物を増加させ、有害物質を分解し、悪臭を除去し、二次汚染を効果的に防止する。
【0011】
2.汚水活性化粒子1つで約20リットル又は1M3の汚水を浄化することができ、週に1回投入し、1周目は汚水がさらに臭くなるが、2周目から回復に転じ、1か月後に、汚水は自然な状態に戻り、低コストであり、効き目が速い。
【0012】
3.全成分は漢方薬であり、副作用がなく、環境に優しい雌性ホルモンは陽性の汚水と対応しており、陰陽の理論と合致し、それにより汚水の各属性のバランスを図る。
【0013】
4.有機物分解時の化学的酸素要求量を抑え、COD指数を低下させる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、実施例を踏まえて本発明についてさらに説明する。
【実施例】
【0015】
実施例1
汚水活性化粒子であって、
キンギンカ2.5%、ジャショウシ2.5%、カンジュウ2.5%、海塩2.5%、ジフシ2.5%、シツリシ2.5%、古根ショウガ2.5%、黒糖17%、ふすま8%、火山性土17.5%、蒸留木酢液20%、環境に優しい雌性ホルモン20%の原料から調製される。
【0016】
上記解決手段においては、環境に優しい雌性ホルモンはアスパラガス、トマト、エンドウ、ニンジン、ジャガイモ、キクイモ、レンコンのうちの1つ又は複数を漬けて発酵させ、濾過しアルコール化して抽出した活性酵素である。
【0017】
汚水活性化粒子の調製方法であって、
(1)重量パーセント2.5%のキンギンカ、重量パーセント2.5%のジャショウシ、重量パーセント2.5%のカンジュウ、重量パーセント2.5%の海塩、重量パーセント2.5%のジフシ、重量パーセント2.5%のシツリシ、重量パーセント2.5%の古根ショウガ、重量パーセント17%の黒糖を粉枠し、混合して均一に撹拌するステップと、
(2)重量パーセント25%の蒸留木酢液、重量パーセント25%の環境に優しい雌性ホルモンを混合して撹拌し、清澄化するステップと、
(3)200メッシュの篩で火山性土を濾過し、濾過した後の重量パーセント17.5%の火山性土をステップ(1)の混合物に加え、均一に撹拌するステップと、
(4)ステップ(3)の混合物をステップ(2)の澄明溶液に流し込み、重量パーセント8%のふすまを振りかけ、球状に練り込むステップと、
(5)木製の棚に置き、環境温度を摂氏36.5度に保持し、25日後に、球体の表面が白色になると、使用できるステップとを含む。
【0018】
実施例2
汚水活性化粒子であって、
キンギンカ2%、ジャショウシ2%、カンジュウ2%、海塩2%、ジフシ2%、シツリシ2%、古根ショウガ2%、黒糖15%、ふすま12%、火山性土15%、蒸留木酢液22%、環境に優しい雌性ホルモン22%などの原料から調製される。
【0019】
2.請求項1に記載の汚水活性化粒子であって、前記環境に優しい雌性ホルモンはアスパラガス、トマト、エンドウ、ニンジン、ジャガイモ、キクイモ、レンコンのうちの1つ又は複数を漬けて発酵させ、濾過しアルコール化して抽出した活性酵素であることを特徴とする。
【0020】
3.汚水活性化粒子の調製方法であって、
(1)重量パーセント2%のキンギンカ、重量パーセント2%のジャショウシ、重量パーセント2%のカンジュウ、重量パーセント2%の海塩、重量パーセント2%のジフシ、重量パーセント2%のシツリシ、重量パーセント2%の古根ショウガ、重量パーセント16%の黒糖を粉枠し、混合して均一に撹拌するステップと、
(2)重量パーセント22%の蒸留木酢液、重量パーセント22%の環境に優しい雌性ホルモンを混合して撹拌し、澄明化するステップと、
(3)200メッシュの篩で火山性土を濾過し、濾過した後の重量パーセント15%の火山性土をステップ(1)の混合物に加え、均一に撹拌するステップと、
(4)ステップ(3)の混合物をステップ(2)の澄明溶液に流し込み、重量パーセント12%のふすまを振りかけ、球状に練り込むステップと、
(5)木製の棚に置き、環境温度を摂氏37度に保持し、20日後に、球体の表面が白色になると、使用できるステップと、を含むことを特徴とする。
【0021】
実施例3
汚水活性化粒子であって、
キンギンカ1.5%、ジャショウシ1.5%、カンジュウ1.5%、海塩1.5%、ジフシ1.5%、シツリシ1.5%、古根ショウガ1.5%、黒糖17.5%、ふすま10%、火山性土20%、蒸留木酢液21%、環境に優しい雌性ホルモン21%の原料から調製される。
【0022】
2.請求項1に記載の汚水活性化粒子であって、
前記環境に優しい雌性ホルモンはアスパラガス、トマト、エンドウ、ニンジン、ジャガイモ、キクイモ、レンコンのうちの1つ又は複数を漬けて発酵させ、濾過しアルコール化して抽出した活性酵素であることを特徴とする。
【0023】
3.汚水活性化粒子の調製方法であって、
(1)重量パーセント1.5%のキンギンカ、重量パーセント1.5%のジャショウシ、重量パーセント1.5%のカンジュウ、重量パーセント1.5%の海塩、重量パーセント1.5%のジフシ、重量パーセント1.5%のシツリシ、重量パーセント1.5%の古根ショウガ、重量パーセント17.5%の黒糖を粉枠し、混合して均一に撹拌するステップと、
(2)重量パーセント20%の蒸留木酢液、重量パーセント20%の環境に優しい雌性ホルモンを混合して撹拌し、澄明化するステップと、
(3)200メッシュの篩で火山性土を濾過し、濾過した後の重量パーセント20%の火山性土をステップ(1)の混合物に加え、均一に撹拌するステップと、
(4)ステップ(3)の混合物をステップ(2)の澄明溶液に流し込み、重量パーセント10%のふすまを振りかけ、球状に練り込むステップと、
(5)木製の棚に置き、環境温度を摂氏37度に保持し、15日後に、球体の表面が白色になると、使用できるステップと、を含むことを特徴とする。
【0024】
3つのサンプルを測定し、30日中に実施例1の汚水活性化粒子が捺染廃水の化学的酸素要求量(COD)に与える影響を検討し、結果は表1のとおりである:
【0025】
【表1】
【0026】
比較したところ、本発明の汚水の活性化粒子を好気性捺染廃水に投入すると、そのCOD指数が著しく低下し、分解率が70.6%に上がり、その色度と臭気に大きな変化があったことが判明した。汚水の活性化粒子に含まれる微生物及び活性酵素により有機物分解時の化学的酸素要求量に対して高い抑制効果があることを表している。
【0027】
排水溝から水を収集し、水質測定を行い、約30日中に、実施例2の汚水活性化粒子が水質に与える影響を検討し、結果は表2のとおりである:
(pH及び明記する項目を除き、単位はmg/L)
【0028】
【表2】
【0029】
表2の測定結果では、「ND」は未検出を表している。該水質サンプルの30日中と60日中の各測定データの変化を把握することができる。pHでは、弱酸から弱アルカリに変わった;水中のアンモニア態窒素、全窒素、リン酸塩及び各種の重金属の相対的含有量が低減した;変化が最も顕著なのは化学的酸素要求量であった。
【0030】
無論、上記実施例は本発明の技術的解決手段の説明のみに用いられ、それを限定するためのものではない。本発明の要旨及び範囲から離れずに行われるすべての修正または局所的な置換は、本発明の特許請求の範囲内に含まれるものとする。