【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の基礎を成す目的は、何れの場合も調整がより楽に行えるように、導入部で言及した種類の着座用および/またはリクライニング家具、および/またはリフトアジャスタを設計および改良することである。
【0009】
この目的は、請求項1の前提部分に記載のリフトアジャスタによって達成される。このリフトアジャスタにおいては、少なくとも1つのクランプ要素が挟持位置と少なくとも1つの調整位置との間で調整ブラケットに対して変位可能に設けられ、この少なくとも1つのクランプ要素は、ハウジング内への調整ブラケットの摺動が防止されるように、調整ブラケットとハウジングとの間の挟持間隙内の挟持位置に挟持式に収容される。
【0010】
上記の目的は、リフトアジャスタが請求項1〜
12の何れか一項により設計された、請求項
13の前提部分に記載の着座用および/またはリクライニング家具によっても達成される。
【0011】
したがって、本発明は、調整ブラケットとハウジングとの間の段階的掛合を省き、挟持式連結を好都合に採用できることを認識している。ただし、調整ブラケットをハウジングから引き出すときにハウジング内への調整ブラケットの不測の逆方向摺動を防止するために、少なくとも1つのクランプ要素が調整ブラケットに対して変位可能に、すなわち調整位置から挟持位置に、およびこの逆方向に、変位可能に、設けられる。これにより、少なくとも1つのクランプ要素は、調整レバーとハウジングとの間の挟持間隙に、すなわち調整ブラケットとハウジングとの間の挟持位置にこのクランプ要素が挟持式に配置されるように、到達できる。挟持間隙内へのクランプ要素のこの挟持式係合は、例えば調整ブラケットとクランプ要素との間に押し込み式係合を形成することによって、ハウジング内への調整ブラケットの逆方向摺動を防止する。
【0012】
ただし、調整ブラケットは、この挟持位置からの更なる引き出しが可能である。この場合、クランプ要素は調整ブラケットに対して調整位置まで変位される。この位置にあるとき、クランプ要素は、調整ブラケットの更なる引き出しを妨げない。
【0013】
クランプ要素は、基本的に、さまざまな形態を備えることができる。この点において、確実な挟持が実現されて高い挟持力の伝達が可能であるように、クランプ要素の形態が選択されることが好ましい。ただし、クランプ要素は、調整ブラケットが更に引き出される場合に挟持間隙内でのクランプ要素の挟持を容易に再び中止できるように設計される必要もある。この点において特に好適であるのは、球状または円筒状のクランプ要素である。容易な挟持を保証し、かつ調整ブラケットが更に引き出されるときに容易に挟持に打ち勝つことを保証するために、挟持間隙は、使用されるクランプ要素に適合させる必要もある。大きな挟持力を受け止められるように、調整ブラケット、ハウジング、および/またはクランプ要素は金属材料製であることが基本的に推奨される。
【0014】
更に、1つのクランプ要素を設ければ基本的に十分であり得る。リフトアジャスタの操作時の快適さを向上するために、および必要に応じて力の伝達をより均衡化するために、複数のクランプ要素を設けることもできる。これらクランプ要素を共通の1つの挟持間隙内に設け、この挟持間隙内の挟持位置に挟持式に保持できる。ただし、特に好適なのは、複数の挟持間隙が設けられ、各挟持間隙に少なくとも1つのクランプ要素、特に厳密には1つのクランプ要素、が設けられる場合である。
【0015】
製造入力および製造コストを同時に低く維持するには、2つのクランプ要素を設けることが特に好適である。代わりに、または加えて、2つの挟持間隙を設けると、同じ理由で好適である。均等な力の分散を保証するために、この2つの挟持間隙を調整レバーの両面とハウジングの両内面との間に形成できると好適である。
【0016】
本発明によるリフトアジャスタでは、少なくとも1つのクランプ要素が挟持間隙内に挟持されることによってハウジング内への調整ブラケットの不測の摺動が防止されるので、リフトアジャスタの操作時の雑音が極めて小さい。従来技術の場合のように調整ブラケットがハウジングの対応する収容凹部に掛止要素が掛合するときの可聴掛止音はもはや発生しない。これにより、使用者の快適さが更に向上される。
【0017】
リフトアジャスタの第1の好適な実施形態の場合、少なくとも1つの挟持間隙は、調整ブラケットの引き出し方向に先細になる。これにより、挟持間隙内でのクランプ要素の変位によって挟持を実現でき、クランプ要素を反対方向に変位することによって挟持を再び中止できる。
【0018】
この点において、少なくとも1つのクランプ要素は、挟持間隙内の両位置に収容されることが好ましい。これにより、挟持間隙へのクランプ要素の導入時のクランプ要素の不測のブロックを回避できる。挟持間隙は、簡略化のために楔状に設計可能であり、互いに対して鋭角を成す平坦面を備えることができる。このことに関係なく、構造上の観点から、ハウジングの表面と調整ブラケットの表面とは、挟持間隙の2つの対向面によって形成されることが推奨される。
【0019】
調整ブラケットが少なくとも一方の側に向かって先細になる端部を備え、その端部がハウジング内に収容される場合は、少なくとも1つの挟持間隙を簡単な方法で設けることができる。これにより、少なくとも1つの挟持間隙を設けることができる。調整ブラケットの端部が複数の、好ましくは2つの、側において、先細になる場合は、複数の、好ましくは2つの、挟持間隙の形成も可能である。この場合、少なくとも1つのクランプ要素が調整ブラケットの先細の端部の少なくとも一方の側面とハウジングの内側面との間の挟持位置に挟持されると、必要な挟持が容易に実現される。
【0020】
調整ブラケットに対して、および/または対応する少なくとも1つの挟持間隙に対して、クランプ要素をより容易に、かつ正確に案内可能にするために、少なくとも1つのクランプ要素を保持するクランプスライドを設けることが推奨される。この点において、各クランプ要素の機能を保証するために、クランプスライドは、調整ブラケットに対して変位可能に、すなわち、挟持位置から調整位置に、およびその逆に、変位可能に設けられることが好ましい。
【0021】
クランプスライドは、変位可能であるにも拘らず、調整ブラケット自体の表面に保持され、かつ必要であればハウジング内に収容されることが構造上の観点からも好適である。基本的に、複数のクランプスライドを設けることもできる。これらクランプスライドは、何れの場合も、少なくとも1つのクランプ要素を備え、前記クランプ要素を調整ブラケットに対して変位可能に案内する。ただし、リフトアジャスタの製造に必要な構成要素の数を制限するために、単一のクランプスライドを設けることが基本的に好ましい。この点において、クランプ要素は、クランプスライドと一体に設計可能であり、結果としてクランプスライドによって形成可能である。ただし、2部品構成の設計が好適である。クランプスライドは、クランプ要素に比べ、より小さな力を受け止めればよいので、コスト上の理由により、クランプスライドはプラスチックでほぼ形成されることが好ましい。
【0022】
少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドを調整ブラケットに対して変位可能に設けるために、および同時に分離不能な連結をもたらすために、調整ブラケットは長方形の穴を備えることができる。この場合、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドは、この長方形の穴に押し込み式に、かつ変位可能に、係合する。
【0023】
リフトアジャスタを常時固定して不測の伸縮を防止するには、この少なくとも1つのクランプ要素を調整ブラケットに対して単に変位不能に保持するだけでは足りない。調整ブラケットがより大きな長さ増分で更に引き出されるときは、この少なくとも1つのクランプ要素を調整ブラケットと共にハウジングに沿って移動できる必要がある。したがって、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドを調整ブラケットと共により長い距離引き出せるようにするために、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドの間に押し込み式係合を形成できることが好ましい。ただし、挟持間隙に対して挟持を僅かに中止して少なくとも1つのクランプ要素を変位させるために、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドを伴わずに、調整ブラケットを僅かに引き出せることが好ましい。
【0024】
調整ブラケットをハウジングから正常に引き出した後に調整ブラケットをハウジング内に逆摺動可能にするために、少なくとも1つのクランプ要素が挟持間隙内に挟持式に係合されない、調整ブラケット上の位置に少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドが固定されるようにすることができる。この目的のために、調整ブラケットと少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドとの間の別の解除可能な連結が役立つ。
【0025】
この場合、調整ブラケットは、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドとの別個の連結によって連結された状態で、終端位置からハウジング内に、例えば少なくとも初期位置に、摺動可能であることが好ましい。この連結が別個の連結と称される理由は、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドは、別の連結によって調整ブラケットの表面に依然として変位可能に保持されているからである。
【0026】
この別個の連結は、調整ブラケットが逆方向に摺動されるときにのみクローズされる、例えば、終端位置まで引き出された調整ブラケットが初期位置まで摺動されたときにのみクローズされる、解除可能な連結である必要があるので、簡素化のために挟持式連結および/または掛止式連結が別個の連結として可能である。
【0027】
調整ブラケットが引き出されたときに終端位置で調整ブラケットと少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドとの間の別個の連結を強制的にクローズさせるために、ハウジングはクランプ要素および/またはクランプスライドのためのエンドストップを提供できる。これにより、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドの更なる変位が妨げられているとき、必要であれば、調整ブラケットを更に引き出し方向に変位させることができる。これにより、一方の少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドと、他方の調整ブラケットとの間にもたらされる相対移動は、使用者による更なる操作なしに、別個の連結を強制的にクローズするために使用可能である。
【0028】
したがって、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドが、好ましくはエンドストップによって、調整ブラケットの引き出し方向に固定されているとき、調整ブラケットを更に僅かに引き出すことができる。したがって、必要に応じて設けられた、ハウジングと調整ブラケットとの間のエンドストップは、調整ブラケットが更に僅かに引き出されたときにのみ機能する。ハウジングと調整ブラケットの分離を回避するために、ハウジングと調整ブラケットとの間のエンドストップは、調整ブラケットがハウジングから完全に引き出されないことを保証する。少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドのためのエンドストップに到達してから調整ブラケットのエンドストップまでの調整ブラケットの調整経路(解除経路)は、使用者によるリフトアジャスタの操作を楽にするべく、極めて短くなるべく選択可能である。
【0029】
調整ブラケットが初期位置まで摺動されたときに調整ブラケットとクランプ要素および/またはクランプスライドとの間の別個の連結の強制解除を可能にするために、ハウジングは、代わりに、または加えて、クランプ要素および/またはクランプスライドのための初期ストップを提供することができる。これにより、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドが初期ストップに当たった後、調整ブラケットがハウジング内で別の終端位置に向けて初期位置の方向に更に僅かに摺動されたときに、それにより一方の少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドと、他方の調整ブラケットとの間にもたらされる相対移動は、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドと調整ブラケットとの間の別個の連結を再び解除するために使用可能である。初期ストップがハウジング内への少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドの移動を制限しているとき、調整ブラケットをハウジング内に更に僅かに摺動させることができる。その後にハウジング内への調整ブラケットの最大摺動距離を制限するのは、調整ブラケットとハウジングとの間に必要に応じて設けられた初期ストップのみである。代わりに、少なくとも1つの挟持間隙内に調整ブラケットに対して再び変位可能に保持されている少なくとも1つのクランプ要素を調整ブラケットの初期ストップの方向にロックすることによってハウジング内への最大摺動距離を制限することもできる。少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドの初期ストップに達してから調整ブラケットの初期ストップまでの調整ブラケットの調整経路(解除経路)は、使用者によるリフトアジャスタの操作を楽にするべく極めて短くするべく選択可能である。
【0030】
調整ブラケットが少なくとも1つのピン等を備える場合は、調整ブラケットと少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドとの間の別個の連結を構造的に単純かつ確実にもたらすことができる。この場合、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドは、別個の連結がクローズされた場合にピンまたは匹敵する連結要素の背後で係合する、および/または締め付ける、少なくとも1つの連結要素を、代わりに、または加えて、備えることができる。この場合、調整ブラケットの少なくとも1つのピンは、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドの凹部に収容可能である。代わりに、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドに少なくとも1つのピンを設けることも勿論可能である。この場合、前記ピンは調整ブラケットの少なくとも1つの連結要素と協働、ひいては連結、可能である。何れの場合も、対応する連結は、力式および/または押し込み式係合を形成することが好ましい。少なくとも押し込み式係合の場合は、掛止式連結が特に推奨される。
【0031】
基本的に、ハウジングおよび調整ブラケットは、ハウジングと少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドとの間に、エンドストップとは独立に、対応する当たり面をそれぞれ備えることもできる。これら当たり面が互いに当たっているときに調整ブラケットの終端位置において引き出し力を安全に偏向させてハウジングに伝達するために、これら対応する当たり面はエンドストップを形成することができる。したがって、調整ブラケットとハウジングが分離されるまで調整ブラケットがハウジングから引き出されることが回避される。
【0032】
挟持位置と調整位置との間における、一方の調整ブラケットと、他方の少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドとの間の相対変位を構造的に単純な方法で保証するために、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドは、ハウジングの少なくとも複数の部分に摩擦係合式に当たることができる。したがって、調整ブラケットが挟持位置からハウジングの外に更に引き出されるとき、例えば、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドはハウジングに対する位置を初期において維持することができる。一方の少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドと、他方の調整ブラケットとの間の対応する相対移動によって、クランプ要素は挟持間隙内に挟持式に保持されなくなる。
【0033】
この場合、調整ブラケットがハウジングに対して更に調整されるとき、例えば、調整ブラケットと少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドとの間の押し込み式連結により、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドをハウジングに沿って変位させることができる。この場合、調整ブラケットは、別の位置において、クランプ要素が再び挟持間隙内の挟持位置に達してハウジング内への調整ブラケットの更なる摺動を防ぐ前に、極めて短距離だけハウジング内に再摺動可能である。必要であれば、調整ブラケットが調整されているときに、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドをハウジングに引き続き当てておくことができる。この場合、少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドが調整されているとき、すなわち調整ブラケットと少なくとも1つのクランプ要素および/またはクランプスライドとの間の押し込み式連結の結果として、対応する静止摩擦に打ち勝つ。
【0034】
リフトアジャスタの特に好適な一実施形態においては、ハウジングに沿って少なくともほぼ連続的に複数の領域において調整ブラケットを調整できるようになっている。したがって、ハウジング内の対応する挟持力によって調整ブラケットを固定できるので、ハウジング内への調整ブラケットの摺動を調整経路の広範な部分にわたって防止できる。
【0035】
すなわち、公知のリフトアジャスタとは異なり、特定の収容凹部の領域だけではなく、好ましくはハウジングの各箇所の領域においても、挟持をもたらすことができる。
【0036】
以下においては、例示的実施形態のみを示している図面によって本発明を更に説明する。