特許第6190981号(P6190981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190981
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/013 20060101AFI20170821BHJP
   F28D 7/02 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   F28F9/013 F
   F28D7/02
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-23973(P2017-23973)
(22)【出願日】2017年2月13日
(62)【分割の表示】特願2012-253354(P2012-253354)の分割
【原出願日】2012年11月19日
(65)【公開番号】特開2017-83169(P2017-83169A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2017年2月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390002886
【氏名又は名称】株式会社長府製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】武長 勇
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−151473(JP,A)
【文献】 米国特許第05016706(US,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02787875(FR,A1)
【文献】 特開昭49−117354(JP,A)
【文献】 特開昭54−125565(JP,A)
【文献】 実開昭60−176383(JP,U)
【文献】 米国特許第05213155(US,A)
【文献】 特開2008−151474(JP,A)
【文献】 特開2009−008287(JP,A)
【文献】 特開2012−137253(JP,A)
【文献】 特開2011−007353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/013
F28F 9/00
F24H 1/10−1/16
F24H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流路部を有する1又は2以上の管を備え、筺体内で該管内を流れる流体Aと該筐体内に取り込まれた流体Bとを熱交換する熱交換器において、
前記筺体は、底部と、該底部に対向して配置された天井板とを有し、前記流路部は前記天井板及び前記底部に対して平行なX方向に複数列並べられて配置され、該X方向に前記流路部を複数列並べた流路部群を、少なくとも3つ前記X方向に直交するY方向に並列に配置し、前記Y方向両端の前記流路部群を除く前記流路部群は、該流路部群の前記Y方向の凹凸形状に合わせて形成された波状支持体によって位置決めされ、前記波状支持体は、該波状支持体が取り付けられている前記流路部群の前記Y方向一側に当接する波状片Cと、該波状支持体が取り付けられている前記流路部群の前記Y方向他側に当接する波状片Dとを有し、前記Y方向一端にある前記流路部群の複数の前記流路部それぞれに、前記Y方向一端から2つ目の前記流路部群に取り付けられた前記波状支持体の前記波状片Cの前記Y方向一側に突出した山部が前記Y方向他側から当接し、前記Y方向他端にある前記流路部群の複数の前記流路部それぞれに、前記Y方向他端から2つ目の前記流路部群に取り付けられた前記波状支持体の前記波状片Dの前記Y方向他側に突出した谷部が前記Y方向一側から当接していることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
請求項1記載の熱交換器において、前記波状支持体は、棒材によって形成されていることを特徴とする熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筺体内で、管内を流れる流体と筺体内に取り込んだ流体とを熱交換する熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
管内を流れる流体と筺体内に取り込んだ流体とを熱交換する熱交換器は、筺体と管を非接触にする設計や、筺体と管の接触面積を小さくする設計が採用されている。これは、筺体内に取り込まれた流体が筺体と管の間を円滑に流れて筺体内全体に万遍無く流通するようにし、熱交換効率を高水準に保つためである。また、筺体内に取り込まれた流体が、水分を含む燃焼ガスであった場合に発生する結露水を外部に排出する必要のある熱交換器では、筺体の底部を排出口に向かう結露水の流れを管によって遮るのを防止する点でも前記設計は有効である。
そして、そのような設計がなされた具体例が例えば特許文献1に記載され、筺体内には、それぞれ直線部及び湾曲部を備えた複数の管が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−151474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の熱交換器では、管を筺体に接触しない状態で保つために支持体が用いられており、熱交換器を構成する部品点数が多くなるという課題があった。
また、熱交換効率の観点上、複数の管は、隣り合う直線部(管体部)と直線部、及び隣り合う湾曲部(ループ部)と湾曲部がそれぞれ所定の間隔で配置されるのが望ましいが、支持体は、管の位置決めを行う機能を備えていない。従って、新たに部材を設ける場合、その部材は、支持体に頼ることなく単体で、複数の管の隣り合う部位を所定の配置で保つ必要があり、構造が複雑となる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、筺体に、管の隣り合う部位を所定の間隔で保つ機構を設けた熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係る熱交換器は、複数の流路部を有する1又は2以上の管を備え、筺体内で該管内を流れる流体Aと該筐体内に取り込まれた流体Bとを熱交換する熱交換器において、前記筺体は、底部と、該底部に対向して配置された天井板とを有し、前記流路部は前記天井板及び前記底部に対して平行なX方向に複数列並べられて配置され、該X方向に前記流路部を複数列並べた流路部群を、少なくとも3つ前記X方向に直交するY方向に並列に配置し、前記Y方向両端の前記流路部群を除く前記流路部群は、該流路部群の前記Y方向の凹凸形状に合わせて形成された波状支持体によって位置決めされ、前記波状支持体は、該波状支持体が取り付けられている前記流路部群の前記Y方向一側に当接する波状片Cと、該波状支持体が取り付けられている前記流路部群の前記Y方向他側に当接する波状片Dとを有し、前記Y方向一端にある前記流路部群の複数の前記流路部それぞれに、前記Y方向一端から2つ目の前記流路部群に取り付けられた前記波状支持体の前記波状片Cの前記Y方向一側に突出した山部が前記Y方向他側から当接し、前記Y方向他端にある前記流路部群の複数の前記流路部それぞれに、前記Y方向他端から2つ目の前記流路部群に取り付けられた前記波状支持体の前記波状片Dの前記Y方向他側に突出した谷部が前記Y方向一側から当接している。
【0006】
【0007】
本発明に係る熱交換器において、前記波状支持体は、棒材によって形成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る熱交換器によれば、Y方向に流路部群を少なくとも3つ並列に配置し、Y方向両端の流路部群を除く流路部群のY方向の凹凸形状に合わせて波状支持体を形成するので、波状支持体によって流路部を確実に位置決め可能である。
【0009】
本発明に係る熱交換器において、波状支持体が、棒材によって形成されている場合、筺体内における流体Bの進行が波状支持体によって妨げられるのを抑制でき、更に、波状支持体の製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る熱交換器の一部省略側断面図である。
図2】同熱交換器の天井板を取り除いた状態の一部省略平面図である。
図3図1の一部省略H−H’矢視断面図である。
図4】(A)、(B)は、波状支持体と流路部の位置関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図3に示すように、本発明の一実施の形態に係る熱交換器10は、複数の流路部11を有する1又は2以上の管22を備え、筺体12内で管22内を流れる流体Aと筺体12内に取り込まれた流体Bとを熱交換する。以下、詳細に説明する。
【0012】
箱状の筺体12は、図1図2に示すように、流体Bの一例である燃焼ガスを取り込む取込口13が形成された底部(壁部Qの一例)14と、燃焼ガスを排出する吹出口15が形成された側壁部16とを備えた管収容部材17を有し、この管収容部材17の上側に、天井板(壁部Pの一例)18が固定されている。
側壁部16は、平面視して、四角形状の底部14を囲むように形成され、底部14と一体化して形成されている。
なお、図2は、熱交換器10から天井板18を取り除いた状態が記載され、排出口19の記載が省略されている。
【0013】
底部14は、図1に示すように、筺体12内で発生し、底部14に溜まったドレン水が、底部14の一側に設けられた排出口19に向かって流れるように、全体が傾斜して形成され、底部14に対向して配置された天井板18も、底部14の傾斜角度と同じ角度で傾斜して配置されている。
底部14には、図1図2に示すように、筺体12内へ突出する複数の突起20(第2の突起)が形成され、天井板18にも、図1図3に示すように、筺体12内に突出する複数の突起21(第1の突起)が形成されている。なお、図3は、底部14を取り除いた状態が記載されている。
本実施の形態では、図1図3に示すように、各突起20は平面視して円形であり、各突起21も筺体12の底側から見て円形であるが、この形状に限定されるものではない。
【0014】
側壁部16には、吹出口15の形成箇所とは別位置に、それぞれ流体Aが流れる複数の管22が固定されている。本実施の形態では、流体Aは液体であり、具体的には水(湯を含む)であるが、不凍液であってもよい。各管22は、水の流入側と水の流出側が、側壁部16を貫通した状態で側壁部16に固定され、筺体12内にある部分が、水の筺体12内を流れる距離を長くすべく螺旋状に巻かれている。
筺体12外で各管22に流入した水は、筺体12内を通過中に筺体12内の燃焼ガスによって加熱され、筺体12の外に送り出される。
本実施の形態では、熱交換器10は、図示しない顕熱熱交換器と共に用いられる潜熱熱交換器であり、燃焼ガスは、顕熱熱交換器を通過して水を加熱した後に、熱交換器10に送られる。熱交換器10で加熱され筺体12外に送り出された水は、各管22の流出側に連結された接続管23(図2図3参照)を介して顕熱熱交換器に送られ、更に加熱され、給湯用の湯として用いられる。
【0015】
筺体12内で螺旋状に巻かれた複数の管22は、複数の管状の流路部11が一体的に連結されて形成され、流路部11は天井板18及び底部14に対して平行であるX方向に複数列(本実施の形態では、4列)、近接して並列に並べられて配置されている。
X方向は、天井板18及び底部14に対して傾斜していてもよく、例えば、30°以下、好ましくは10°以下の範囲で傾斜していてもよい。
【0016】
各管22が有する複数の流路部11は、図1に示すように、X方向に流路部11を4列並べた流路部群24がX方向一側に、X方向に直交するY方向(本実施の形態では上下方向)に並列に3つ配置され、X方向他側に、同じく流路部11をX方向に4列並べた流路部群25がY方向に並列に3つ配置されている。
並列に並べられた3つの流路部群24と同じく並列に並べられた3つの流路部群25は、X方向に距離を有して配置され、上からN段目(Y方向一端からN番目)の流路部群24が上からN段目の流路部群25より高く位置するように配置されている(N=1、2、3)。
なお、流路部群24(流路部群25についても同じ)の各流路部11は、X方向に隣り合う流路部11が、異なる管22の流路部11である必要はなく、同じ管22の流路部11が隣り合って配置されていてもよい。また、X方向とY方向は、実質的に直交していればよく、Y方向がX方向に直交する方向に対して、例えば、±3°の範囲で傾斜していてもよい。
【0017】
天井板18には、図3に示すように、複数の突起21が近接して配された突起群26、27、28が複数箇所(本実施の形態では、3箇所)に分散して配されている。このうち、複数(本実施の形態では、5つ)の突起21からなる突起群26は、X方向一側にあり、それぞれ複数(本実施の形態では、4つ)の突起21からなる突起群27、28は、X方向他側に設けられている。
【0018】
突起群26にある5つの突起21は、図1図3に示すように、2つの突起21が、最上段の(Y方向一端にある)流路部群24の流路部11の片側に当接するように配置され、残りの3つの突起21が、最上段の流路部群24の流路部11の両側に当接するように配置されている。突起群26の5つの突起21は、この配置によって、突起21が当接している4つの流路部11が所定のピッチで配置されるように、流路部11のX方向の位置決めをしている。
【0019】
また、突起群27(突起群28についても同じ)の4つの突起21は、1つの突起21が、最上段の流路部群25の流路部11の片側に当接するように配置され、残りの3つの突起21が、最上段の流路部群25の流路部11の両側に当接するように配置されている。突起群27の4つの突起21は、この配置によって、突起21が当接している4つの流路部11が所定のピッチで配置されるように、流路部11のX方向の位置決めをしている。
【0020】
天井板18は、図1に示すように、突起群27、28の形成箇所が筺体12内に窪んで形成されている。これは、突起群27、28の突起21の突出長を、突起群26の突起21より長くすることなく、突起群27の突起21及び突起群28の突起21が最上段の流路部群25に当接するようにするためである。
【0021】
また、筺体12の底部14にも、図2に示すように、複数の突起20が近接して配された突起群29、30、31が複数箇所(本実施の形態では、3箇所)に分散して配されている。このうち、それぞれ複数(本実施の形態では、4つ)の突起20からなる突起群29、30は、X方向一側にあり、複数(本実施の形態では、4つ)の突起20からなる突起群31は、X方向他側に設けられている。
【0022】
突起群29(突起群30についても同じ)にある4つの突起20は、図1図2に示すように、1つの突起20が、最下段の(Y方向他端にある)流路部群24の流路部11の片側に当接するように配置され、残りの3つの突起20が、最下段の流路部群24の流路部11の両側に当接するように配置されている。突起群29の4つの突起20は、この配置によって、突起20が当接している4つの流路部11が所定のピッチで配置されるように、流路部11のX方向の位置決めをしている。
【0023】
突起群31の4つの突起20も、1つの突起20が、最下段の流路部群25の流路部11の片側に当接し、残りの3つの突起20が、最下段の流路部群25の流路部11の両側に当接するように配置され、突起20が当接している4つの流路部11のX方向の位置決めをしている。
本実施の形態では、両側から突起20が当接している流路部11は、流路部11の長さ方向の異なる位置で両側から突起20が当接しているが、流路部11の長さ方向の同一位置で両側から突起20が当接していてもよい。これは、両側から突起21が当接している流路部11についても同じである。
【0024】
底部14は、図1に示すように、突起群29、30の形成箇所が底上げして形成され、底上げがなされていない場合に比べて突起群29、30が上位置に配されるようにしている。これは、突起群29、30の突起20の突出長を、突起群31の突起20より長くすることなく、最下段の流路部群25に比べて上位置にある最下段の流路部群24に、突起群29の突起20及び突起群30の突起20が当接するようにするためである。
【0025】
また、図1図4に示すように、Y方向に3段ある流路部群24において最上段及び最下段を除く2段目の流路部群24には、流路部群24の各流路部11のX方向の位置決めを行う波状支持体32が取り付けられ、同じくY方向に3段ある流路部群25において最上段及び最下段を除く2段目の流路部群25には、流路部群25の各流路部11のX方向の位置決めを行う波状支持体33が取り付けられている。
【0026】
金属製の棒材を曲げ加工することによって形成される波状支持体32(波状支持体33についても同じ)はそれぞれ、図4(A)に示すように、X方向に延びる波状片34(波状片C)と、この波状片34に連結され、波状片34の下位置に配置された、同じくX方向に延びる波状片35(波状片D)とを備えている。
そして、波状片34は、図4(A)に示すように、X方向に山部36及び谷部37が複数回繰り返され、波状片35も、X方向に山部38及び谷部39が複数回繰り返されている。波状片34の複数の山部36は等ピッチで配置され、波状片35の複数の谷部39も等ピッチで配置され、波状片34の各山部36は、波状片35の各谷部39の上位置に設けられている。波状支持体32は、この構成によって、波状支持体32が取り付けられている流路部群24のY方向の凹凸形状に合わせるように形成されている。
【0027】
波状支持体32は、図4(A)に示すように、2段目の流路部群24の4つの流路部11に対し、上(Y方向一側)から波状片34の1の山部36をそれぞれ当接させ、下(Y方向他側)から波状片35の1つの谷部39をそれぞれ当接させて、その4つの流路部11を挟んでいる。波状支持体32は、この構成によって、2段目の流路部群24の各流路部11が、X方向に波状片34の山部36(波状片35の谷部39)の形成ピッチで配置されるように位置決めしている。
【0028】
また、最上段の流路部群24の4つの流路部11に、上から2段目(Y方向一端から2つ目)の流路部群24に取り付けられた波状支持体32の波状片34の複数の山部36がそれぞれ下から当接している。そして、最下段の流路部群24の4つの流路部11に、下から2段目(Y方向他端から2つ目)の流路部群24に取り付けられた波状支持体32の波状片35の複数の谷部39がそれぞれ上から当接している。
従って、最上段の流路部群24の各流路部11は、図1に示すように、上から当接する突起群26の突起21と、下から当接する波状支持体32とによって確実に固定された状態が保たれている。最下段の流路部群24の各流路部11も、上から当接する波状支持体32と、下から当接する突起群29の突起20及び同じく下から当接する突起群30の突起20とによって、確実に固定されている。
【0029】
最上段にある流路部群24と2段目の流路部群24の間、及び2段目の流路部群24と最下段にある流路部群24の間には、波状支持体32の波状片34、35によってそれぞれ同じ間隔の隙間が確保されている。そして、最上段の流路部群24は、突起群26の突起21によって、各流路部11が天井板18に部分的に接するように配置され、最下段の流路部群24は、突起群29、30それぞれの突起20によって、各流路部11が底部14に部分的に接するように配されている。
従って、天井板18と最上段の流路部群24の間、最上段の流路部群24と2段目の流路部群24の間、2段目の流路部群24と最下段の流路部群24の間、及び最下段の流路部群24と底部14との間を、燃焼ガスが円滑に流動可能な設計となっている。
【0030】
波状支持体33も波状支持体32と同様に、図4(B)に示すように、2段目の流路部群25の4つの流路部11に対し、上から波状片34の1つの山部36をそれぞれ当接させ、下から波状片35の1つの谷部39をそれぞれ当接させて、その4つの流路部11を挟み、各流路部11がX方向に所定のピッチ(波状支持体33の波状片34の山部36の形成ピッチ)で配置されるように位置決めする。
【0031】
また、最上段の流路部群25の4つの流路部11に、2段目の流路部群25(上から2段目の流路部群25)に取り付けられた波状支持体33の波状片34の複数の山部36がそれぞれ下から当接し、最下段の流路部群25の4つの流路部11に、2段目の流路部群25(下から2段目の流路部群25)に取り付けられた波状支持体33の波状片35の複数の谷部39がそれぞれ上から当接している。
従って、最上段の流路部群25の各流路部11は、図1に示すように、上から当接する突起群27の突起21及び突起群28の突起21と、下から当接する波状支持体33とによって確実に固定された状態が保たれている。最下段の流路部群25の各流路部11も、上から当接する波状支持体33と、下から当接する突起群31の突起20とによって、確実に固定されている。
【0032】
最上段にある流路部群25と2段目の流路部群25の間、及び2段目の流路部群25と最下段にある流路部群25の間には、波状支持体33の波状片34、35によってそれぞれ同じ間隔の隙間が確保されている。そして、最上段の流路部群25は、突起群27の突起21及び突起群28の突起21によって、各流路部11が天井板18に部分的に接するように配置され、最下段の流路部群25は、突起群31の突起20によって、各流路部11が底部14に部分的に接するように配されている。
従って、天井板18と最上段の流路部群25の間、最上段の流路部群25と2段目の流路部群25の間、2段目の流路部群25と最下段の流路部群25の間、及び最下段の流路部群25と底部14との間を、燃焼ガスが円滑に流動可能な設計となっている。
【0033】
本実施の形態では、図2図3に示すように、間隔を空けて配置された2つの波状支持体33と1つの波状支持体32とが用いられているが、波状支持体32、33の数は、管22の配置や長さに応じて変更される。
また、筺体12の側壁部16には、図1図3に示すように、それぞれ筺体12の内側に突出し、波状支持体32の位置決めをする2つの突出構造40が形成され、波状支持体32は、この2つの突出構造40の間に配置されている。
そして、筺体12内には、取込口13から筺体12内に入った燃焼ガスが、筺体12内全体に万遍無く送られるようにするメッシュ状の整流板41が設けられ、波状支持体33は、一側が、この整流板41に設けられた貫通孔42に挿通されて、位置決めされている。
【0034】
複数の突起20、21及び波状支持体32、33は、熱交換器10が長年使用されても、複数の管22が所定の配置を保てるようにしているのは言うまでもないが、熱交換器10の製造工程で、複数の管22が所定の配置に保たれた状態で筺体12にろう付けされるようにする機能も兼用している。従って、複数の突起20、21及び波状支持体32、33は、複数の管22をろう付けする際に、各管22を位置決めする治具を別個に用いる必要がない点においても有効である。
【0035】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、第1、第2の突起による流路部の位置決めや、波状支持体による流路部の位置決めは、潜熱熱交換器だけでなく、顕熱熱交換器や、単体で用いられる熱交換器に対しても採用可能である。
また、管は筺体内で螺旋状に巻かれている必要はなく、X方向に流路部が複数列並べられるものであれば、他の形状、例えば、直線状、クランク状に配管されていてもよい。
そして、流路部群の配列は、Y方向に3列である必要はなく、1列、2列、あるいは、4列以上であってもよい。流路部のX方向の位置決めは、流路部群の配列がY方向に1列又は2列である場合、波状支持体を用いることなく、第1、第2の突起で行われ、流路部群の配列がY方向にN個(N≧4)の場合、Y方向両端にある流路部群を除く、N−2個の流路部群それぞれに波状支持体が取り付けられる。
更に、管の配管によっては、第1、第2の突起が、それぞれ筺体の対向する側壁部に形成され、流路部の位置決めを行うように設計してもよい。
また、波状支持体は金属製に限らず、例えば、エンジニアリングプラスチックを素材にして形成することもでき、エンジニアリングプラスチックを用いる場合は、成形機により製造される。
【符号の説明】
【0036】
10:熱交換器、11:流路部、12:筺体、13:取込口、14:底部、15:吹出口、16:側壁部、17:管収容部材、18:天井板、19:排出口、20、21:突起、22:管、23:接続管、24、25:流路部群、26〜31:突起群、32、33:波状支持体、34、35:波状片、36:山部、37:谷部、38:山部、39:谷部、40:突出構造、41:整流板、42:貫通孔
図1
図2
図3
図4