特許第6190983号(P6190983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6190983加熱器が改善された電気加熱式喫煙システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6190983
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】加熱器が改善された電気加熱式喫煙システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   A24F47/00
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-77352(P2017-77352)
(22)【出願日】2017年4月10日
(62)【分割の表示】特願2012-535676(P2012-535676)の分割
【原出願日】2010年10月28日
(65)【公開番号】特開2017-127321(P2017-127321A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2017年4月10日
(31)【優先権主張番号】09252501.3
(32)【優先日】2009年10月29日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】グレム オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】プロジュー ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ルッシオ ダニー
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−041654(JP,A)
【文献】 特開平08−069862(JP,A)
【文献】 特開平05−115272(JP,A)
【文献】 実開昭56−110595(JP,U)
【文献】 特開平07−018447(JP,A)
【文献】 特表2009−509521(JP,A)
【文献】 実開昭61−093994(JP,U)
【文献】 特開平03−192677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであって、
前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器、及び前記加熱器に電力を供給するための電源であって、前記加熱器が、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックが、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む、加熱器及び電源と、
前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように、前記電源から前記少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記電気絶縁基体は、管状であることを特徴とする請求項1に記載の電気加熱式喫煙システム。
【請求項3】
前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、前記管状電気絶縁基体の内側にあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気加熱式喫煙システム。
【請求項4】
前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、前記管状電気絶縁基体の外側にあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気加熱式喫煙システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの加熱器を絶縁するための熱絶縁材料を更に含み、前記熱絶縁材料は、金属を含むことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の電気加熱式喫煙システム。
【請求項6】
前記電気絶縁基体は、ポリイミドで形成されることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の電気加熱式喫煙システム。
【請求項7】
前記導電トラックは、ステンレス鋼を含むことを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の電気加熱式喫煙システム。
【請求項8】
前記システムは、加熱時に前記エーロゾル形成基体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むエーロゾル形成基体を含むことを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の電気加熱式喫煙システム。
【請求項9】
作動中に、前記エーロゾル形成基体は、前記電気加熱式喫煙システム内に部分的に収容されることを特徴とする請求項8に記載の電気加熱式喫煙システム。
【請求項10】
前記エーロゾル形成基体は、個別の物品の一部を形成し、作動中に、ユーザは、前記個別の物品を直接に吸煙することを特徴とする請求項9に記載の電気加熱式喫煙システム。
【請求項11】
電気加熱式喫煙システムにおける加熱器の使用であって、
前記電気加熱式喫煙システムが、前記加熱器に電力を供給するための電源を含み、
前記加熱器が、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、該1つ又はそれよりも多くの導電トラックが、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含み、
前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されることを特徴とする加熱器の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エーロゾル形成基体を加熱するための加熱器を含む電気加熱式喫煙システムに関する。
【背景技術】
【0002】
US−A−5 353 813は、電気喫煙物品に外部加熱要素として使用するためのブレード付き管状アレイを開示している。加熱要素は、螺旋巻き板紙の補強管の周りに配置されたいくつかのカーボンブレードを含む。ブレードの自由端に1つの電気接続部が形成され、一方、カーボンの共通リングが、カーボンブレードの他方の端部に接続して共通電気接続部を形成する。ブレードに電力が供給されると、それらは、加熱して300℃から約900℃の範囲の温度を有する加熱区間をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US−A−5 353 813
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、製造がより簡単でその構成に必要な構成要素がより少ない電気加熱式喫煙システムを提供することが有利であると考えられると認めたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様により、エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムを提供し、システムは、基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器と、少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源とを含み、少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、1つ又はそれよりも多くの導電トラックが抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用をすることができるような抵抗温度係数特性を有する。
【0006】
本発明の第1の態様により、電気加熱式喫煙システムに使用するための加熱器も提供し、加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む。
【0007】
本発明の第1の態様により、電気加熱式喫煙システムにおける加熱器の使用も提供し、加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、1つ又はそれよりも多くの導電トラックが抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用をすることができるような抵抗温度係数特性を有する。
【0008】
加熱器及び温度センサとして両方の作用をすることができる導電トラックを電気絶縁基体上に含む加熱器を使用することにより、電気加熱式喫煙システムに必要とされる構成要素の数及びサイズを低減することができる。それによって電気加熱式喫煙システムのサイズが低減される。更に、電気絶縁基体は、非常に薄くすることができ、更にサイズを縮小することが可能である。更に、必要な電子機器、配線、及び接続部の一部又は全ては、加熱器と同じ電気絶縁基体上に組み込むことができる。更に、加熱器は、各加熱要素を個々に形成する必要がある一部の従来技術の加熱器よりも直接的かつ費用効率よく製造することができる。加熱器は、設計の大きな柔軟性を可能にし、すなわち、導電トラックは、望むようにかつ望ましい熱分布を与えるように電気絶縁基体上に配置することができる。
【0009】
好ましくは、電気加熱式喫煙システムは、電源から少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路を更に含む。
【0010】
好ましくは、電源は、1つ又はそれよりも多くの導電トラックによって感知された温度及び望ましい温度に基づいて少なくとも1つの加熱器に電力を供給する。すなわち、電源が加熱器及びエーロゾル形成基体の温度を特定の望ましい温度に維持することを可能にするフィードバックが提供される。これは、個別の温度センサの必要なく達成される。好ましくは、電気加熱式喫煙システムは、この目的のように配置された電子回路を含む。好ましくは、望ましい温度とは、加熱器がエーロゾル形成基体を加熱するが燃やさない温度である。
【0011】
好ましくは、電気加熱式喫煙システムは、少なくとも1つの加熱器を絶縁するための熱絶縁材料を更に含む。熱絶縁材料は、電気加熱式喫煙システムの外側から材料を絶縁することができる。好ましくは、加熱器は、その上に熱絶縁性又は/及び反射性構造体を有する電気絶縁基体の一部分を含む。
【0012】
本発明の第2の態様により、エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムを提供し、システムは、基体を加熱してエーロゾルを形成するために電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む少なくとも1つの加熱器と、少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、少なくとも1つの加熱器を絶縁するための熱絶縁材料とを含む。
【0013】
本発明の第2の態様により、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む加熱器を有する電気加熱式喫煙システムに使用するための熱絶縁材料も提供する。
【0014】
本発明の第2の態様により、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む加熱器を有する電気加熱式喫煙システムにおける熱絶縁材料の使用も提供する。
【0015】
熱絶縁材料は、加熱器からの熱損失を低減し、かつ電気加熱式喫煙システムを使用するユーザをやけどから保護する。熱絶縁材料は、好ましくは、最大の熱絶縁を提供するようにエーロゾル形成基体の周りに位置決めされる。熱絶縁材料は、電気加熱式喫煙システムにおいて到達する高温度で劣化しないことになる材料でなければならない。全ての熱絶縁材料が適切になるとは限らない。好ましくは、熱絶縁材料は、金属又は別の不燃材料を含む。一例では、金属は、金である。別の例では、金属は、銀である。金属は、電気加熱式喫煙システム内に熱を反射することができるので有利である。
【0016】
好ましくは、熱絶縁材料は、複数の空気腔を含む。空気腔は、規則的なパターンで配置される。1つの好ましい実施形態において、空気腔は、六角形であり、ハニカム構造に配置される。熱絶縁材料は、導電トラックに加えて電気絶縁基体上に設けることができる。それによって導電トラック及び熱絶縁材料の単一要素としての製造が可能になる。一部の製造方法の場合、導電トラック及び熱絶縁材料は、同じ工程の一部として作ることができる。代替的に、熱絶縁材料は、個別の要素として電気加熱式喫煙システムに設けることができる。
【0017】
本発明の第1の態様におけるように、電気絶縁基体は、非常に薄くしてサイズを縮小することができる。更に、必要な電子機器、配線、及び接続部の一部又は全ては、同じ電気絶縁基体上に加熱器として組み込むことができる。更に、加熱器は、各加熱要素を別々に形成する必要がある一部の従来技術の加熱器よりも直接的かつ費用効率よく製造することができる。加熱器は、かなり柔軟な設計を可能にし、すなわち、導電トラックは、望むようにかつ望ましい熱分布を与えるように電気絶縁基体上に簡単に配置することができる。
【0018】
好ましくは、電気加熱式喫煙システムは、電源から少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路を更に含む。
【0019】
好ましくは、電源は、望ましい温度に基づいて少なくとも1つの加熱器に電力を供給する。好ましくは、電気加熱式喫煙システムは、この目的のように配置された電子回路を含む。好ましくは、望ましい温度とは、加熱器がエーロゾル形成基体を加熱するが燃やさない温度である。
【0020】
好ましくは、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、1つ又はそれよりも多くの導電トラックが抵抗加熱器及び温度センサとして作用することができるような抵抗温度係数特性を有する。
【0021】
本発明のいずれかの態様による一実施形態において、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、複数の部分を含み、各部分は、電源に別々に接続可能である。これは、いくつかの利点を提供する。第1に、異なる部分が異なる持続時間にわたって加熱されるようになり、それによってエーロゾル形成基体の性質に応じて喫煙体験を高めることができる。第2に、異なる部分が異なる温度で加熱されるようになり、それによってエーロゾル形成基体の性質に応じて同じく喫煙体験を高めることができる。第3に、これは、加熱器の特定部分がいずれの時点でも導通されることを可能にする。それによってエーロゾル形成基体の一部分だけがいずれの時点でも加熱されるようになる。これは、エーロゾル形成基体の各部分が一度だけ加熱され、かつ再加熱されないことを意味するので有利であると考えられる。
【0022】
本発明のいずれかの態様による一実施形態において、1つ又は複数の導電トラックは、導電材料の単一のトラックを含む。単一のトラックの第1の端部は、電源に接続可能であり、単一のトラックの第2の端部も、電源に接続可能である。その場合、電源はまた、各部分が電源に個々に接続可能である複数の部分を提供するために単一のトラックの1つ又はそれよりも多くの中心区画に接続可能である。本発明のいずれかの態様による別の実施形態において、1つ又は複数の導電トラックは、各トラックが電源に個々に接続可能である導電材料の複数のトラックを含む。
【0023】
本発明の両方の態様では、導電トラックは、エーロゾル形成基体を加熱するのに最も適切な構成で電気絶縁基体上に配置される。あらゆる数の構成が利用可能である。
【0024】
本発明のいずれかの態様の第1の実施形態において、電気絶縁基体は、剛体であり、かつエーロゾル形成基体内に挿入されるように配置される。電気絶縁基体は、適切に寸法決めされて剛体である場合、エーロゾル形成基体内に直接に挿入することができる。電気絶縁基体は、十分な剛性を提供するために補強することができる。その場合、熱絶縁材料が提供される場合には、それがエーロゾル形成基体を取り囲むように提供することができる。
【0025】
本発明のいずれかの態様の第2の実施形態において、電気絶縁基体は、管状であり、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、管状電気絶縁基体の内側になる。そのような構成は、外部加熱器として使用することができる。外部加熱器は、エーロゾル形成基体を取り囲むように又は部分的に取り囲むように使用することができる。一実施形態において、エーロゾル形成基体は、固体であり、かつ円筒形プラグ形態をしている。その場合、好ましくは、外部加熱器の内径は、エーロゾル形成プラグの外径と同じか又はそれよりも僅かに大きい。第2の実施形態において、熱絶縁材料が提供される場合、それは、エーロゾル形成基体及び外部加熱器を取り囲むように提供される。熱絶縁材料は、電気絶縁基体上に設けることができ、外部加熱器は、導電トラックが管の内側に向き、熱絶縁材料が管の外側に向くように電気絶縁基体をローリングすることによって形成することができる。
【0026】
本発明のいずれかの態様の第3の実施形態において、電気絶縁基体は、管状であり、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、管状電気絶縁基体の外側にある。そのような構成は、内部加熱器として使用することができる。内部加熱器は、エーロゾル形成基体内に挿入することができる。一実施形態において、エーロゾル形成基体は、固体であり、かつエーロゾル形成基体の中空管を含む。その場合、好ましくは、内部加熱器の外径は、エーロゾル形成基体の管の内径と同じか又はそれよりも僅かに小さい。その場合、熱絶縁材料が設けられる場合には、それは、エーロゾル形成基体を取り囲むように設けられる。
【0027】
本発明の両方の態様では、少なくとも1つの加熱器は、エーロゾル形成基体の端部を加熱するための端部加熱器を含むことができ、端部加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む。一実施形態において、端部加熱器は、円形又は実質的に円形の電気絶縁基体上に螺旋導電トラックを含む。
【0028】
本発明の両方の態様では、導電トラックは、好ましくは、電気抵抗材料を含む。より好ましくは、導電トラックは、金属性である。最も好ましくは、導電トラックは、銀、プラチナ、銅、ニッケル、及びパラジウムのうちの1つ又はそれよりも多くを含む。例えば、電気「伝導性」セラミック(例えば、ケイ化モリブデンのような)、カーボン、グラファイト、金属合金、及びセラミック材料及び金属性材料で作られた複合材料のような他の材料も利用可能である。そのような複合材料は、ドープ又は非ドープセラミックを含むことができる。適切なドープセラミックの例は、ドープ炭化珪素を含む。適切な金属の例は、上に列挙したもの、並びにチタン、ジルコニウム、及びタンタルを含む。適切な金属合金の例は、ステンレス鋼−、ニッケル−、コバルト−、クロム−、アルミニウム−、チタン−、ジルコニウム−、ハフニウム−、ニオブ−、モリブデン−、タンタル−、タングステン−、錫−、ガリウム−、マンガン−、及び鉄−含有合金、及びニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼−ベースの超合金、Timeta1(登録商標)、及び鉄−マンガン−アルミニウムベースの合金を含む。Timeta1(登録商標)は、Co1orado州Denver、1999、Broadway、Suite、4300所在の「Titanium Meta1s Corporation」の登録商標である。複合材料では、エネルギ移送の動力学及び必要とされる外部物理化学特性に応じて、電気抵抗材料は、任意的に、絶縁材料に埋め込むか又は封入され、又は絶縁材料で被覆されるか又はその逆とすることができる。
【0029】
本発明の両方の態様では、導電トラックは、保護層を用いてメッキすることができる。導電トラックは、金、ニッケル、及びガラスの1つ又はそれよりも多くを用いてメッキすることができる。導電トラックをメッキすることは、導電トラックが何らかの方法で簡単に酸化又は腐食する材料を含む場合に有利とすることができる。
【0030】
本発明の両方の態様では、好ましくは、電気絶縁基体は、紙、ガラス、セラミック、陽極酸化金属、被覆した金属、及びポリイミドの1つ又はそれよりも多くを含む。セラミックは、アルミナ(Al23)又はジルコナ(ZrO2)を含むことができる。他の適切な材料を使用することもできる。
【0031】
本発明のいずれかの態様の第1の実施形態において、少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体を準備し、導電ペーストのパターンを形成するようにテンプレートを使用して電気絶縁基体上に導電ペーストを堆積させ、かつ導電ペーストを乾燥させて導電トラックを形成することによって形成される。
【0032】
その第1の実施形態において、電気絶縁基体は、あらゆる適切な電気絶縁材料とすることができるが、セラミック又は陽極酸化金属が好ましい。その第1の実施形態において、導電ペーストは、あらゆる適切なペーストとすることができるが、好ましくは、金属粒子を含む。金属は、銀とすることができる。導電ペーストはまた、結合剤及び可塑剤を含むことができる。
【0033】
本発明のいずれかの態様の第2の実施形態において、少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体を準備し、導電材料を用いて電気絶縁基体の実質的に全表面を覆い、導電材料のパターンを形成するマスクを用いて導電材料の各部分を保護し、かつ導電材料の保護されていない部分を除去することによって形成される。
【0034】
その第2の実施形態において、電気絶縁基体は、あらゆる適切な電気絶縁材料とすることができるが、ポリイミドが好ましい。その第2の実施形態において、導電材料は、あらゆる適切な材料とすることができるが、好ましくは、金属合金を含む。金属は、銅とすることができる。導電トラックは、1つ又はそれよりも多くの保護層を用いてメッキすることができる。一実施形態において、銅の導電トラックは、ニッケルの第1の層及び金の第2の層を用いてメッキされる。
【0035】
本発明のいずれかの態様の第3の実施形態において、少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体を準備し、金属フィルムを用いて電気絶縁基体を被覆し、フォトレジスト材料の層を用いて金属フィルムを被覆し、導電ペーストのパターンを形成するマスクを用いてフォトレジスト材料の部分を保護し、光源及び化学物質を使用してフォトレジスト材料の保護されていない部分を取り除き(露出したフォトレジスト材料は、特定の溶剤に溶解する)、フォトレジスト材料によって保護されていない金属フィルムの部分を取り除き、かつフォトレジスト材料の残りの部分を取り除いて導電トラック形態の金属フィルムを露出することによって形成される。
【0036】
その第3の実施形態において、電気絶縁基体は、あらゆる適切な電気絶縁材料とすることができるが、セラミックが好ましい。最も好ましくは、基体は、アルミナ(Al23)又はジルコナ(Zr02)である。その第3の実施形態において、金属フィルムは、あらゆる適切な金属フィルムとすることができるが、プラチナフィルムが好ましい。導電トラックは、1つ又はそれよりも多くの保護層を用いてメッキすることができる。一実施形態において、導電トラックは、ガラスの層を用いてメッキすることができる。
【0037】
本発明の両方の態様では、エーロゾル形成基体は、好ましくは、加熱時にエーロゾル形成基体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含む。代替的に、エーロゾル形成基体は、非タバコ材料を含むことができる。
【0038】
本発明の両方の態様では、好ましくは、エーロゾル形成基体は、エーロゾル形成剤を更に含む。適切なエーロゾル形成剤の例は、グリセリン及びプロピレングリコールである。
【0039】
本発明の両方の態様では、エーロゾル形成基体は、好ましくは、固体基体である。好ましい実施形態において、エーロゾル形成基体は、少なくとも1つの加熱器を収容するための空洞を有する管状基体を含む。固体基体は、例えば、ハーブ葉、タバコ葉、タバコ葉脈の破片、再構成タバコ、均質化タバコ、押し出し成形タバコ、及び発泡タバコのうちの1つ又はそれよりも多くを含有する粉末、顆粒、ペレット、細片、スパゲッティ、ストリップ、又はシートのうちの1つ又はそれよりも多くを含むことができる。固体基体は、ばら詰め形態とするか、又は適切な容器又はカートリッジに入れて提供することができる。任意的に、固体エーロゾル形成基体は、基体の加熱時に放出される付加的なタバコ又は非タバコ揮発性香味化合物を収容することができる。
【0040】
本発明の両方の態様では、固体エーロゾル形成基体は、任意的に、熱安定性担体上に又はそこに埋め込んで提供することができる。好ましい実施形態において、担体は、その内面、又はその外面、又はその内外面の両方に堆積させた固体基体の薄い層を有する管状担体である。そのような管状担体は、例えば、紙、又は紙状材料、不織カーボン繊維マット、低質量開放メッシュ金属スクリーン、又は穿孔された金属箔、又はいずれかの他の熱安定性ポリマーマトリックスで形成することができる。代替的に、担体は、粉末、顆粒、ペレット、細片、スパゲッティ、ストリップ、又はシートの形態を取ることができる。
【0041】
本発明の両方の態様では、固体エーロゾル形成基体は、例えば、シート、フォーム、ゲル、又はスラリの形態の担体の表面上に堆積させることができる。固体エーロゾル形成基体は、使用中に不均一香味を送出するために、担体の全表面上に又は代替的にある一定のパターンで堆積させることができる。
【0042】
本発明の両方の態様では、代替的に、担体は、内部にタバコ化合物が組み込まれた不織繊維又は繊維束とすることができる。不織繊維又は繊維束は、例えば、カーボン繊維、天然セルロース繊維、又はセルロース誘導体繊維を含むことができる。
【0043】
本発明の両方の態様では、代替的に、エーロゾル形成基体は、液体基体とすることができる。液体エーロゾル形成基体が提供される場合、電気加熱式喫煙システムは、好ましくは、液体を保持するための手段を含む。例えば、液体エーロゾル形成基体は、容器内に保持することができる。代替的に又は追加的に、液体エーロゾル形成基体は、多孔性担体材料内に吸収させることができる。多孔性担体材料は、例えば、発泡金属又はプラスチック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維、又はセラミックのようなあらゆる適切な吸収プラグ又は吸収体から作ることができる。液体エーロゾル形成基体は、電気加熱式喫煙システムの使用前に多孔性担体材料内に保持することができ、又は代替的に、液体エーロゾル形成基体材料は、使用時又は使用直前に多孔性担体材料内に放出させることができる。例えば、液体エーロゾル形成基体は、カプセル状で提供することができる。カプセルのシェルは、好ましくは、加熱する時に溶解して多孔性担体材料内に液体エーロゾル形成基体を放出する。カプセルは、任意的に、液体と組み合わせて固形物を収容することができる。
【0044】
エーロゾル形成基体が液体エーロゾル形成基体の場合、電気加熱式喫煙システムは、一度に少量の液体を加熱するための手段を更に含むことができる。一度に少量の液体を加熱するための手段は、例えば、液体基体と連通している液体通路を含むことができる。液体エーロゾル形成基体は、典型的には毛管力によって液体通路内に強制的に押し込まれる。少なくとも1つの加熱器は、好ましくは、使用中に容器内の液体ではなく液体通路内の少量の液体エーロゾル形成基体だけが加熱されて揮発するように配置される。
【0045】
代替的に又は追加的に、エーロゾル形成基体が液体エーロゾル形成基体の場合、電気加熱式喫煙システムは、液体エーロゾル形成基体源と接触して少なくとも1つの加熱器を含む噴霧器を更に含むことができる。加熱器に加えて、噴霧器は、圧電要素のような1つ又はそれよりも多くの電気機械要素を含むことができる。追加的に又は代替的に、噴霧器はまた、静電気、電磁気、又は空気効果を使用する要素を含むことができる。電気加熱式喫煙システムは、更に、凝縮チャンバを含むことができる。
【0046】
本発明の両方の態様では、エーロゾル形成基体は、代替的に、例えば、気体エーロゾル形成基体、又は様々な形式のエーロゾル形成基体のあらゆる組合せのようないずれかの他の種類のエーロゾル形成基体とすることができる。
【0047】
本発明の両方の態様では、作動中に、エーロゾル形成基体は、電気加熱式喫煙システム内に完全に収容することができる。その場合、ユーザは、電気加熱式喫煙システムのマウスピースを吸煙することができる。代替的に、作動中に、エーロゾル形成基体は、電気加熱式喫煙システム内に部分的に収容することができる。その場合、エーロゾル形成基体は、個別の物品の一部を形成し、ユーザは、個別の物品を直接に吸煙することができる。
【0048】
本発明の両方の態様では、電気加熱式喫煙システムは、ユーザが吸煙していることを示す空気流を検出するセンサを更に含むことができる。その実施形態において、好ましくは、センサは、電源に接続され、システムは、センサが、ユーザが吸煙していることを感知すると、少なくとも1つの加熱器に通電するように配置される。代替的に、システムは、ユーザが吸煙を開始するために手動で作動可能なスイッチを更に含むことができる。
【0049】
本発明の両方の態様では、好ましくは、電気加熱式喫煙システムは、エーロゾル形成基体を受け取るためにユーザによって把持されるように設計されたハウジングを更に含む。ハウジングは、好ましくは、少なくとも1つの加熱器、電源、及び電子回路のようなシステムに必要ないずれかの他の構成要素を収容する。一実施形態において、ハウジングは、シェル及び交換可能なマウスピースを含む。
【0050】
本発明の両方の態様では、1つの好ましい実施形態において、電源は、DC電圧供給源である。一実施形態において、電源は、リチウムイオンバッテリである。代替的に、電源は、ニッケル−金属水素化物バッテリ、ニッケルカドミウムバッテリ、又はリン酸リチウムバッテリとすることができる。
【0051】
本発明の1つの態様に関して説明した特徴は、本発明の別の態様にも同じく適用可能であるとすることができる。特に、本発明の第1の態様に関して説明した抵抗加熱器及び温度センサの両方として作用する1つ又はそれよりも多くの導電トラックの特徴及び利点は、本発明の第2の態様にも同じく適用可能とすることができる。本発明の第2の態様に関して説明した熱絶縁材料の特徴及び利点も、本発明の第1の態様に同じく適用可能とすることができる。
【0052】
添付図面を参照して本発明を単に一例として以下に更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1a】電気喫煙システムのための加熱器を形成する方法の第1の実施形態を示す図である。
図1b】電気喫煙システムのための加熱器を形成する方法の第1の実施形態を示す図である。
図1c】電気喫煙システムのための加熱器を形成する方法の第1の実施形態を示す図である。
図1d】電気喫煙システムのための加熱器を形成する方法の第1の実施形態を示す図である。
図2a】電気喫煙システムのための加熱器を形成する方法の第2の実施形態を示す図である。
図2b】電気喫煙システムのための加熱器を形成する方法の第2の実施形態を示す図である。
図2c】電気喫煙システムのための加熱器を形成する方法の第2の実施形態を示す図である。
図2d】電気喫煙システムのための加熱器を形成する方法の第2の実施形態を示す図である。
図2e】電気喫煙システムのための加熱器を形成する方法の第2の実施形態を示す図である。
図3a】電気喫煙システムのための加熱器を形成する方法の第3の実施形態を示す図である。
図3b】電気喫煙システムのための加熱器を形成する方法の第3の実施形態を示す図である。
図3c】電気喫煙システムのための加熱器を形成する方法の第3の実施形態を示す図である。
図3d】電気喫煙システムのための加熱器を形成する方法の第3の実施形態を示す図である。
図3e】電気喫煙システムのための加熱器を形成する方法の第3の実施形態を示す図である。
図3f】電気喫煙システムのための加熱器を形成する方法の第3の実施形態を示す図である。
図4】電気加熱式喫煙システムに使用するための加熱器の第1の実施形態を示す図である。
図5a】電気加熱式喫煙システムに使用するための加熱器の第2の実施形態を示す図である。
図5b】電気加熱式喫煙システムに使用するための加熱器の第2の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
上述のように、本発明は、加熱器を含む電気加熱式喫煙システムを提供する。加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む。加熱器は、いくつかの異なる製造工程によって形成することができる。図1aから1dは、第1の製造工程を示す図である。図2aから2dは、第2の製造工程を示している。図3aから3dは、第3の製造工程を示している。
【0055】
図1aから1dは、スクリーン印刷で使用される技術と類似の技術を使用した製造工程を示している。この製造工程は、本発明の第1又は第2の態様と共に使用することができる。図1aを参照すると、第1に電気絶縁基体101を準備する。電気絶縁基体は、例えば、以下に限定されるものではないが、MICAのようなセラミック、ガラス、又は紙のようなあらゆる適切な電気絶縁材料を含むことができる。代替的に、電気絶縁基体は、例えば、その表面の酸化又は陽極酸化又はその両方により導電トラックから絶縁された電気導体を含むことができる(図1bで作り出され、かつ以下に説明する)。一例は、陽極酸化アルミニウムである。代替的に、電気絶縁基体は、電気導体を含むことができ、それにグレーズと呼ばれる中間のコーティングが追加される。その場合、グレーズは、基体を導電トラックから電気絶縁し、基体の曲がりを軽減するという2つの機能を有する。電気絶縁基体に存在する折り目は、抵抗器が損傷する原因になる導電ペーストの亀裂(図1bで適用され、以下に説明する)をもたらす可能性がある。
【0056】
図1bを参照すると、電気絶縁基体は、例えば、真空によって確実に保持されるが、金属ペースト105は、切り欠き107を使用して電気絶縁基体上に被覆される。あらゆる適切な金属ペーストを使用することができるが、一例として、金属ペーストは、銀ペーストである。特に有利な例では、ペーストは、20%から30%の結合剤及び可塑剤、及び70%から80%の金属粒子、典型的には銀粒子を含む。切り欠き107は、望ましい導電トラックのためのテンプレートを提供する。電気絶縁基体101上に金属ペースト05が被覆された後に、電気絶縁基体及びペーストは、例えば、焼結炉内で焼成される。200℃と400℃の間の第1の焼成相では、有機結合剤及び溶剤が燃え尽きる。350℃と500℃の間の第2の焼成相では、金属粒子が焼結される。
【0057】
図1cを参照すると、電気絶縁基体101は、その上に1つ又は複数の導電トラック103を有するという結果になる。1つ又は複数の導電トラックは、加熱抵抗器及び必要な接続パッドを含む。
【0058】
最後に、電気絶縁基体101及び導電トラック103は、電気加熱式喫煙システム内で加熱器として使用するための適切な形態に形成される。図1dを参照すると、電気絶縁基体101は、導電トラックが電気絶縁基体の内側に位置するように(図1d(i))管状の形態に巻くことができる。その場合、管は、エーロゾル形成材料の中実プラグの外部加熱器として機能することができる。管の内径は、エーロゾル形成プラグの直径と同じか又はそれよりも僅かに大きくすることができる。代替的に、電気絶縁基体101は、導電トラックが電気絶縁基体の外側に位置するように(図1d(ii))管状の形態に巻くことができる。その場合、管は、内部加熱器として機能し、かつエーロゾル形成基体内に直接に挿入することができる。これは、エーロゾル形成基体が、例えば、タバコマットのようなタバコ材料の管の形態を取る時に良好に作用する。その場合、管の外径は、エーロゾル形成基体の内径と同じか又はそれよりも僅かに小さくすることができる。代替的に、電気絶縁基体に十分剛性があるか又は何らかの方法で補強されている場合、電気絶縁基体及び導電トラックの一部又は全ては、単に電気絶縁基体及び導電トラックをエーロゾル形成基体内に直接挿入することにより内部加熱器として直接使用することができる(図1d(iii))。
【0059】
図2aから2eは、電気加熱式喫煙システムのための加熱器の第2の製造工程を示している。この製造工程は、本発明の第1又は第2の態様と共に使用することができる。この製造工程は、PCB製造技術に基づいている。図2aを参照すると、第1に電気絶縁基体201が準備される。ここでもまた、電気絶縁基体は、あらゆる適切な電気絶縁材料を含むことができる。この例では、電気絶縁基体201は、ポリイミドを含む。
【0060】
図2bを参照すると、第2に、実質的に電気絶縁基体201全体にわたって金属箔205が付加される。これは、積層によって又は物理蒸着(PVD)工程により、続いて化学反応電気補強によって達成することができる。あらゆる適切な金属を使用することができるが、一例では、金属箔は、銅である。銅は、抵抗温度係数が高いという利点を有する。これは、それが、導電トラックを温度センサとして並びに加熱器として使用するために比較的簡単であることを意味すると考えられる。これは、以下でより完全に説明する。他の金属を使用することもできるが、例えば、以下に限定されるものではないが、ニッケル又はプラチナを使用することができる。
【0061】
金属箔205が電気絶縁基体に付加された後に、減法を用いて銅の不要な区域が取り除かれる。図2cを参照すると、通常は化学エッチングと組み合わせてマスク207が使用され、それによってマスクによって保護されていない全区域の銅が溶解する。それによって導電区域209を備えた電気絶縁基体201を含む図2cに示すデバイスがもたらされる。
【0062】
図2dを参照すると、導電区域209は、次にメッキすることができる。図2dは、簡単にするために1つの導電区域209を示している。メッキは、銅を使用する場合、銅が急速に酸化するので有利である。酸化層が既に形成されている場合、必要な接続部を形成するために銅を半田付けすることが困難であることがある。この例では、導電区域209は、ニッケルの第1の層211と続いて金の第2の層213とを含む二重層を用いてメッキされる。結果は、1つ又は複数の導電トラック203をその上に有する電気絶縁基体201である。1つ又は複数の導電トラックは、加熱抵抗器及び必要な接続パッドを含む。
【0063】
最後に、電気絶縁基体201及び導電トラック203は、電気加熱式喫煙システム内で加熱器として使用するための適切な形態に形成される。図2eを参照すると、電気絶縁基体201は、導電トラック203が電気絶縁基体の内側に位置するように(図2e(i))、管状の形態に巻くことができる。その場合、管は、エーロゾル形成基体のための外部加熱器として機能することができる。代替的に、電気絶縁基体201は、導電トラックが電気絶縁基体の外側に位置するように(図2e(ii))、管状形態に巻くことができる。その場合、管は、内部加熱器として機能し、かつエーロゾル形成基体内に直接に挿入することができる。代替的に、電気絶縁基体に十分剛性があるか又は何らかの方法で補強されている場合、電気絶縁基体及び導電トラックの一部又は全ては、単に電気絶縁基体及び導電トラックをエーロゾル形成基体内に直接挿入することにより、内部加熱器として使用することができる(図2e(iii))。
【0064】
図2aから2eに関して説明した方法はまた、付加的な熱絶縁反射層を形成するのに使用することができることに注意されたい。これは、以下で詳細に説明する。
【0065】
図3aから3eは、電気加熱式喫煙システムのための加熱器の第3の製造工程を示している。この製造工程は、本発明の第1又は第2の態様と共に使用することができる。この製造工程は、フォトリソグラフィ技術に基づいている。図3aを参照すると、第1に電気絶縁基体301を準備する。ここでもまた、電気絶縁基体は、あらゆる適切な電気絶縁材料を含むことができる。この例では、電気絶縁基体301は、以下に限定されるものではないが、例えば、アルミナ(Al23)又はジルコナ(Zr02)のような厚いセラミックを含む。
【0066】
図3bを参照すると、構造化金属フィルム305が、電気絶縁基体301の上に形成される。あらゆる適切な金属を使用することができるが、この例では、金属フィルムはプラチナである。
【0067】
図3cを参照すると、フォトレジスト層307が、次に、金属フィルム305の上に付加される。フォトレジスト層は、例えば、以下に限定されるものではないが、スピンコーティングのようなあらゆる適切な技術によって付加することができる。
【0068】
図3dを参照すると、フォトレジストの不要な区域が取り除かれる。これは、マスク309を使用して光源311から高輝度の光線にフォトレジストを露出させることによって達成される。フォトレジストの露出された区域に化学変化が起こり、それによってこれらの層は、次に現像液と呼ばれる化学作用物によって除去することができる。
【0069】
非保護区域内でフォトレジストが取り除かれた状態で、ウェット又はドライエッチングによって金属フィルム305がエッチングされる。これは、フォトレジストによって保護されていない全ての区域の金属フィルムを溶解する。金属がエッチングされた状態で、残っているフォトレジストは、溶剤によって除去される。それによって導電区域313を備えた電気絶縁基体301を含む図3eに示すデバイスがもたらされる。
【0070】
図3fを参照すると、最後に、電気絶縁基体301及び導電区域313が、保護層315を用いて任意的に被覆され、導電区域の腐食又は酸化を防止することができる。この例では、保護層は、ガラス層である。結果は、1つ又は複数の導電トラックをその上に有する電気絶縁基体301である。1つ又は複数の導電トラックは、加熱抵抗器及び必要な接続パッドを含む。
【0071】
この加熱器は、例えば、金属クランプのような特殊なフレームを使用して電気加熱式喫煙システム内に装着することができ、あるいは、加熱器は、電気加熱式喫煙システム内に位置するモノリシックセラミックベースの一体部分とすることができる。
【0072】
図4と5a及び5bは、本発明の加熱器の2つの代替的な実施形態を示している。
【0073】
図4は、エーロゾル形成基体と共に使用される加熱器の第1の実施形態を示している。図4では、加熱器400は、導電トラック403をその上に有する平坦で剛体の電気絶縁基体401を含む(加熱器は、図1d(iii)又は図2e(iii)に示す形態とすることができる)。導電トラックは、接続部405を通じて電源(図示せず)に接続可能である。加熱器400は、概略407に示したエーロゾル形成基体のプラグ内に直接挿入することができる。図4に示す加熱器は、本発明の第1又は第2の態様のいずれにも使用することができる。導電トラックが適切な抵抗温度係数特性を有する場合、それらは、抵抗加熱器として並びに温度センサとして作用をすることができる。加熱器は、それと共に使用される電気加熱式喫煙システムの外側から少なくとも1つの加熱器を熱絶縁するための熱絶縁材料と組み合わせることができる。
【0074】
図5a及び5bは、加熱器の第2の実施形態を示している。図5a及び5bでは、加熱器は、電気絶縁基体501を含む。電気絶縁基体の第1の部分509上には、導電トラック503がある。導電トラック503は、接続部505を通じて電源(図示せず)に接続可能である。電気絶縁基体501の第2の部分511上では、電気絶縁基体上に熱絶縁反射ハニカム構造体507が形成される。図5aの加熱器は、導電トラックを有する電気絶縁基体の部分509が内側になり、かつ熱絶縁ハニカム構造体507を有する電気絶縁基体の部分511が外側になるように、左から右に管内に巻かれるように設計される。好ましくは、熱絶縁材料はまた、高反射性である。得られる加熱器は、図5bに概略示されている。ハニカム構造体は、次に、加熱器を熱絶縁するように使用され、好ましくは、金属とすることができる。図5bに示す加熱器は、それと共に使用される電気加熱式喫煙システムの外側から加熱器を絶縁するように、熱絶縁反射ハニカム構造体507を外側にして外部加熱器を使用することができる。それによって熱損失が低減し、またユーザの手がやけどから保護される。
【0075】
図5a及び5bでは、熱絶縁反射ハニカム構造体が加熱器の一体部分として示されている。しかし、代替的に、ハニカム構造体は、個々に形成されて独立要素として電気加熱式喫煙システムに使用することができる。外部加熱器の場合、ハニカム構造体は、電気絶縁基体及び導電トラックの周りに包むことができる。内部加熱器の場合、ハニカム構造体は、エーロゾル形成基体の周りに設けることができる。更に、熱絶縁材料のための代替的な構造的配置が可能である。
【0076】
図5a及び5bに示す加熱器はまた、本発明の第1の態様に使用することができ、すなわち、導電トラックが適切な抵抗温度係数特性を有する場合、それらは、抵抗加熱器として並びに温度センサとして作用することができる。
【0077】
既に上述のように、図2aから2eに示す製造工程はまた、ハニカム構造体507を作り出すために使用することができる。図2dと類似の方法で、電気絶縁基体の個々の区域をメッキすることができる。下にある区域が次に溶解するか又は別の方法で取り除かれると、メッキが熱絶縁を提供する空気腔を形成することになる。好ましい構成では、空気腔は、ハニカム構造体内に設けられるが、他の構成も考えられる。更に、例えば、いくつかの層を巻くか又は積み重ねることによって熱絶縁構造体のいくつかの層が使用されると、最大の熱絶縁を提供する。有利な態様では、メッキは、1つの金の層だけを含むことができる。金は、電気加熱式喫煙システムの内側に向けて熱を反射させて熱損失を更に低減することになるので特に有用である。代替的に、メッキは、銀のような別の金属の1つの層を含むことができる。代替的に、メッキは、図2dに示すものと類似の2つの層を含むことができる。
【0078】
電気絶縁基体上に形成された導電トラックを含む加熱器を使用することにより、いくつかの利点がもたらされる。電気加熱式喫煙システムに必要とされる構成要素のサイズは、縮小することができる。それによって電気加熱式喫煙システムのサイズが縮小される。更に、電気絶縁基体は、非常に薄くすることができ、更なるサイズの縮小を可能にする。更に、必要な電子機器、配線、及び接続部の一部又は全ては、加熱器として同じ電気絶縁基体上に組み込むことができる。
【0079】
加えて、加熱器は、各加熱要素を別々に形成する必要がある一部の従来技術の加熱器よりも直接的かつ費用効率よく製造することができる。加熱器は、かなり柔軟な設計になり、すなわち、導電トラックは、望むようにかつ望ましい熱分布を与えるように電気絶縁基体上に直接に配置することができる。
【0080】
加えて、導電トラックのために使用される材料が適切な抵抗温度係数特性を有するものと仮定すると、導電トラックは、抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用をすることができる。それによって個別の温度センサを必要としないことになるので、電気加熱式喫煙システムのサイズを更に縮小することができる。ここで、これをより詳細に以下に説明する。
【0081】
抵抗温度係数は、与えられた温度変化に伴う抵抗の変化の尺度である。一般公式は、次式で与えられる。
R=R0(1+αT)
ここで、Rは抵抗値、R0は、与えられた温度(典型的には0℃)における抵抗値、Tは温度、αは抵抗温度係数である。導体の温度依存性は、実質的に線形である。
【0082】
1つの方法では、導電トラックにわたる電圧及びそこを通る電流が測定され、抵抗値を求めることができる。次に、R0及びα(両方とも与えられた材料に対して既知であることになる)が既知であると仮定すると、温度を求めることができる。すなわち、導電トラックは、温度センサとして並びに抵抗加熱器として作用することができる。
【0083】
材料の抵抗温度係数αは、適度に信頼性がなければならない。すなわち、時間にわたって又はある一定の条件下で有意に変動しないものである。更に、抵抗温度係数αの値が大きい材料を使用することは、それが、温度の比較的小さい変化が抵抗値の大きい変化をもたらすことを意味するので、有利であるとすることができる。αの値が大きい材料は、プラチナ、ニッケル、及び銅を含む。
【0084】
1.エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであって、
基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器と、
前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、
を含み、
前記少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、該1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、該1つ又はそれよりも多くの導電トラックが抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用をすることができるような抵抗温度係数特性を有する、
ことを特徴とするシステム。
2.前記電源は、前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックによって感知された前記温度及び望ましい温度に基づいて前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給することを特徴とする1に記載の電気加熱式喫煙システム。
3.前記望ましい温度は、前記加熱器が前記エーロゾル形成基体を加熱するが燃やさない温度であることを特徴とする2に記載の電気加熱式喫煙システム。
4.前記少なくとも1つの加熱器を絶縁するための熱絶縁材料を更に含むことを特徴とする1から3のいずれか1項に記載の電気加熱式喫煙システム。
5.エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであって、
基体を加熱してエーロゾルを形成するために電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む少なくとも1つの加熱器と、
前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、
前記少なくとも1つの加熱器を絶縁するための熱絶縁材料と、
を含むことを特徴とするシステム。
6.前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、該1つ又はそれよりも多くの導電トラックが抵抗加熱器としてかつ温度センサとして作用することができるような抵抗温度係数特性を有することを特徴とする5に記載の電気加熱式喫煙システム。
7.前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含むことを特徴とする1から6のいずれか1項に記載の電気加熱式喫煙システム。
8.前記電気絶縁基体は、剛体であり、かつ前記エーロゾル形成基体内に挿入されるように配置されることを特徴とする1から7のいずれか1項に記載の電気加熱式喫煙システム。
9.前記電気絶縁基体は、管状であり、前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、該管状電気絶縁基体の内側にあることを特徴とする1から7のいずれか1項に記載の電気加熱式喫煙システム。
10.前記電気絶縁基体は、管状であり、前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、該管状電気絶縁基体の外側にあることを特徴とする1から7のいずれか1項に記載の電気加熱式喫煙システム。
11.前記少なくとも1つの加熱器は、前記エーロゾル形成基体の端部を加熱するために電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む端部加熱器を含むことを特徴とする1から10のいずれか1項に記載の電気加熱式喫煙システム。
12.前記導電トラックが、銀、プラチナ、銅、ニッケル、及びパラジウムのうちの1つ又はそれよりも多くを含み、
前記導電トラックが、金、ニッケル、及びガラスのうちの1つ又はそれよりも多くを用いてメッキされ、
電気絶縁基体が、紙、ガラス、セラミック、陽極酸化金属、被覆金属、及びポリイミドのうちの1つ又はそれよりも多くを含む、
ことのうちの少なくとも1つであることを特徴とする1から11のいずれか1項に記載の電気加熱式喫煙システム。
13.電気加熱式喫煙システムに使用するための加熱器であって、
電気絶縁基体上の1つ又はそれよりも多くの導電トラック、
を含み、
前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、該1つ又はそれよりも多くの導電トラックが抵抗加熱器及び温度センサの両方として作用することができるような抵抗温度係数特性を有する、
ことを特徴とする加熱器。
14、電気加熱式喫煙システムにおける加熱器の使用であって、
加熱器が、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、該1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、該1つ又はそれよりも多くの導電トラックが抵抗加熱器及び温度センサの両方として作用することができるような抵抗温度係数特性を有する、
ことを特徴とする加熱器の使用。
15.電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む加熱器を有する電気加熱式喫煙システムに使用するための熱絶縁材料。
【符号の説明】
【0085】
401 電気絶縁基体
403 導電トラック
405 導電トラックの接続部
407 エーロゾル形成基体のプラグ
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図4
図5a
図5b