特許第6190984号(P6190984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6190984質問回答支援装置、及び質問回答支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6190984
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】質問回答支援装置、及び質問回答支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/30 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   G06F17/30 180A
   G06F17/30 170A
   G06F17/30 350C
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-81139(P2017-81139)
(22)【出願日】2017年4月17日
【審査請求日】2017年4月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506246232
【氏名又は名称】株式会社バリュープレス
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】大木 佑輔
【審査官】 齊藤 貴孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−009471(JP,A)
【文献】 特開2006−244262(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/068178(WO,A1)
【文献】 特開2006−119991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの質問に回答するオペレータを支援する質問回答支援装置であって、
少なくとも1文を含む前記ユーザの質問に基づく質問文字列を取得する取得部と、
前記質問文字列から質問データを導出する導出部と、
蓄積された過去の複数の質問に対応する参照用データ群、及び蓄積された過去の複数の回答に対応する回答文字列群が記憶されたデータベースと、
前記質問データと、前記参照用データ群との類似度を算出し、前記類似度に基づき前記参照用データ群の有する第1参照用データを選択する算出部と、
前記第1参照用データに基づき前記回答文字列群の有する第1回答文字列を選択する選択部と、
前記第1回答文字列を出力する出力部とを備え
前記データベースには、前記過去の複数の質問に基づいて算出された参照用行列が記憶され、
前記導出部は、
前記質問文字列を形態素に分割し、
分割した前記形態素のそれぞれを質問行列に変換し、
前記質問行列に対して前記参照用行列の加算、減算、乗算、及び除算の少なくとも何れかを行うことで前記質問データを導出すること
を特徴とする質問回答支援装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記質問データと前記参照用データ群との内積を前記類似度として算出すること
を特徴とする請求項記載の質問回答支援装置。
【請求項3】
前記算出部は、
前記質問データと、前記第1参照用データとの第1類似度を算出し、
前記質問データと、前記参照用データ群の有する第2参照用データとの第2類似度を算出し、
前記第1類似度と前記第2類似度との相対値に基づいて、前記第1参照用データに加えて前記第2参照用データを選択するか否かを判断すること
を特徴とする請求項1又は2記載の質問回答支援装置。
【請求項4】
ネットワークを介してユーザからの質問に回答するヘルプデスクに用いられる質問回答支援装置であって、
少なくとも1文を含む前記ユーザの質問に基づく質問文字列を取得する取得部と、
前記質問文字列から質問データを導出する導出部と、
蓄積された過去の複数の質問に対応する参照用データ群、及び蓄積された過去の複数の回答に対応する回答文字列群が記憶されたデータベースと、
前記質問データと、前記参照用データ群との類似度を算出し、前記類似度に基づき前記参照用データ群の有する第1参照用データを選択する算出部と、
前記第1参照用データに基づき前記回答文字列群の有する第1回答文字列を選択する選択部と、
前記第1回答文字列を前記ユーザのユーザ端末に出力する出力部とを備え
前記データベースには、前記過去の複数の質問に基づいて算出された参照用行列が記憶され、
前記導出部は、
前記質問文字列を形態素に分割し、
分割した前記形態素のそれぞれを質問行列に変換し、
前記質問行列に対して前記参照用行列の加算、減算、乗算、及び除算の少なくとも何れかを行うことで前記質問データを導出すること
を特徴とする質問回答支援装置。
【請求項5】
ユーザからの質問に回答するオペレータを支援する質問回答支援システムであって、
少なくとも1文を含む前記ユーザの質問に基づく質問文字列を取得する取得手段と、
前記質問文字列から質問データを導出する導出手段と、
蓄積された過去の複数の質問に対応する参照用データ群、及び蓄積された過去の複数の回答に対応する回答文字列群が記憶されたデータベースと、
前記質問データと、前記参照用データ群との類似度を算出し、前記類似度に基づき前記参照用データ群の有する第1参照用データを選択する算出手段と、
前記第1参照用データに基づき前記回答文字列群の有する第1回答文字列を選択する選択手段と、
前記第1回答文字列を前記オペレータの利用する端末に出力する出力手段とを備え
前記データベースには、前記過去の複数の質問に基づいて算出された参照用行列が記憶され、
前記導出手段は、
前記質問文字列を形態素に分割し、
分割した前記形態素のそれぞれを質問行列に変換し、
前記質問行列に対して前記参照用行列の加算、減算、乗算、及び除算の少なくとも何れかを行うことで前記質問データを導出すること
を特徴とする質問回答支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質問回答支援装置、及び質問回答支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットを介してユーザの質問に対して回答を送信するシステム等として、例えば特許文献1のQ&Aシステムや、特許文献2の質問応答装置等が開示されている。また、ユーザの問い合わせ等に対応するオペレータを支援するシステムとして、例えば特許文献3のヘルプデスク支援システムが開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されたQ&Aシステムは、通信ネットワークを介して接続されるサーバに接続された複数のクライアントシステムを介して、ユーザ間で質問と、該質問に対する回答を送受信するQ&Aシステムであって、前記クライアントシステムは、画面上に画像を表示する表示手段と、情報を入力する入力手段と、前記画面上の箇所を指定する指定手段と、サーバに通信ネットワーク経由でアクセスして、(1)関連付けられて蓄積されている質問と回答を分離し、それぞれ蓄積された情報について別個に検索することによって得られた検索結果質問情報又は検索結果回答情報と、(2)質問又は回答を検索するための検索情報を入力するための検索情報入力領域と、検索された質問又は回答を複数表示する検索結果表示領域とを前記画面上に表示するための画面データを当該サーバから受信する受信手段と、前記受信手段から受信された検索結果質問情報、検索結果回答情報に基づいて、検索された質問及び回答の質問回答表示領域を前記画面に表示するように、前記表示手段を制御する制御手段と、ユーザを識別する識別情報、前記入力手段により入力された、質問又は回答を検索するための検索情報を、前記通信ネットワーク経由で前記サーバに送信する送信手段とを備える。
【0004】
特許文献2に開示された質問応答装置は、質問応答装置においては、質問受付部が質問文を受け付け、部分質問抽出部が質問文の一部である部分質問を抽出し、回答取得部が部分質問の回答を取得し、質問編集部が質問文における部分質問の箇所を、部分質問の回答に置き換えて、回答取得部が、置き換えた質問の回答を取得し、回答出力部が、置き換えた質問の回答を出力する。
【0005】
特許文献3に開示されたヘルプデスク支援システムは、顧客からの問合せの電話を受けたオペレータが顧客対応するための参考情報を提供するヘルプデスク支援システムであって、顧客とオペレータとの通話の内容についての音声データをテキストデータに変換する音声認識サーバと、音声認識サーバにより取得されたテキストデータから1つ以上のキーワードを抽出する対応テキスト解析部と、対応テキスト解析部により抽出されたキーワードに基づいてナレッジデータを検索して参考情報を取得するキーワード検索部と、キーワードと当該キーワードに対応する参考情報の書誌情報とを、オペレータ端末に表示する表示部と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−214294号公報
【特許文献2】特開2014−229275号公報
【特許文献3】特開2014−174938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、企業内に設けられたヘルプデスクにおいて、ユーザからの質問が比較的専門的な内容を含む場合がある。また、ヘルプデスクのオペレータには、ユーザからの質問に対して早期に回答することが求められている。このため、経験の少ないオペレータは、質問に対する回答を提供するまでに時間を費やす場合や、ユーザの望む回答を提供できない場合がある。
【0008】
この対策として、例えば過去の質問や回答等の膨大なデータを蓄積し、ユーザの質問に近い過去のデータをキーワード検索等によって回答を取得する方法が用いられる。しかし、ヘルプデスクには比較的専門的な質問が多いため、同じキーワードを含む質問に対して、全く異なる回答をする場合がある。このため、質問の内容を単純なキーワード検索のみで限定することが難しい。これにより、検索結果からユーザの望む回答を判断できない場合や、不正確な回答を提供する可能性があり、ユーザの満足度の低下につながる恐れがある。
【0009】
この点、特許文献1では、蓄積された質問と回答とを分離して個別に検索する構成を備える。この構成をヘルプデスク用に転用した場合、過去に受けた内容と同様の質問に対して、異なる回答をユーザに提供する可能性がある。このため、ヘルプデスク内で統一された回答を提供できず、ユーザの満足度の低下につながる恐れがある。
【0010】
また、特許文献2及び特許文献3では、質問の一部やキーワード等を抽出して回答を取得するため、回答の選択肢が多くなり、適切な回答を特定することが難しい。このため、検索結果からユーザの望む回答を探す時間を費やす必要があり、ユーザの満足度の低下につながる恐れがある。
【0011】
上述した事情により、ユーザからの質問に対して適切な回答を早期に提供でき、ユーザの満足度の向上を可能にすることが望まれている。
【0012】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、ユーザからの質問に対して適切な回答を早期に提供でき、ユーザの満足度を向上させることが可能となる質問回答支援装置、及び質問回答支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1発明に係る質問回答支援装置は、ユーザからの質問に回答するオペレータを支援する質問回答支援装置であって、少なくとも1文を含む前記ユーザの質問に基づく質問文字列を取得する取得部と、前記質問文字列から質問データを導出する導出部と、蓄積された過去の複数の質問に対応する参照用データ群、及び蓄積された過去の複数の回答に対応する回答文字列群が記憶されたデータベースと、前記質問データと、前記参照用データ群との類似度を算出し、前記類似度に基づき前記参照用データ群の有する第1参照用データを選択する算出部と、前記第1参照用データに基づき前記回答文字列群の有する第1回答文字列を選択する選択部と、前記第1回答文字列を出力する出力部とを備え、前記データベースには、前記過去の複数の質問に基づいて算出された参照用行列が記憶され、前記導出部は、前記質問文字列を形態素に分割し、分割した前記形態素のそれぞれを質問行列に変換し、前記質問行列に対して前記参照用行列の加算、減算、乗算、及び除算の少なくとも何れかを行うことで前記質問データを導出することを特徴とする。
【0015】
発明に係る質問回答支援装置は、第発明において、前記算出部は、前記質問データと前記参照用データ群との内積を前記類似度として算出することを特徴とする。
【0016】
発明に係る質問回答支援装置は、第1発明又は第2発明において、前記算出部は、前記質問データと、前記第1参照用データとの第1類似度を算出し、前記質問データと、前記参照用データ群の有する第2参照用データとの第2類似度を算出し、前記第1類似度と前記第2類似度との相対値に基づいて、前記第1参照用データに加えて前記第2参照用データを選択するか否かを判断することを特徴とする。
【0017】
発明に係る質問回答支援装置は、ネットワークを介してユーザからの質問に回答するヘルプデスクに用いられる質問回答支援装置であって、少なくとも1文を含む前記ユーザの質問に基づく質問文字列を取得する取得部と、前記質問文字列から質問データを導出する導出部と、蓄積された過去の複数の質問に対応する参照用データ群、及び蓄積された過去の複数の回答に対応する回答文字列群が記憶されたデータベースと、前記質問データと、前記参照用データ群との類似度を算出し、前記類似度に基づき前記参照用データ群の有する第1参照用データを選択する算出部と、前記第1参照用データに基づき前記回答文字列群の有する第1回答文字列を選択する選択部と、前記第1回答文字列を前記ユーザのユーザ端末に出力する出力部とを備え、前記データベースには、前記過去の複数の質問に基づいて算出された参照用行列が記憶され、前記導出部は、前記質問文字列を形態素に分割し、分割した前記形態素のそれぞれを質問行列に変換し、前記質問行列に対して前記参照用行列の加算、減算、乗算、及び除算の少なくとも何れかを行うことで前記質問データを導出することを特徴とする。
【0018】
発明に係る質問回答支援システムは、ユーザからの質問に回答するオペレータを支援する質問回答支援システムであって、少なくとも1文を含む前記ユーザの質問に基づく質問文字列を取得する取得手段と、前記質問文字列から質問データを導出する導出手段と、蓄積された過去の複数の質問に対応する参照用データ群、及び蓄積された過去の複数の回答に対応する回答文字列群が記憶されたデータベースと、前記質問データと、前記参照用データ群との類似度を算出し、前記類似度に基づき前記参照用データ群の有する第1参照用データを選択する算出手段と、前記第1参照用データに基づき前記回答文字列群の有する第1回答文字列を選択する選択手段と、前記第1回答文字列を前記オペレータの利用する端末に出力する出力手段とを備え、前記データベースには、前記過去の複数の質問に基づいて算出された参照用行列が記憶され、前記導出手段は、前記質問文字列を形態素に分割し、分割した前記形態素のそれぞれを質問行列に変換し、前記質問行列に対して前記参照用行列の加算、減算、乗算、及び除算の少なくとも何れかを行うことで前記質問データを導出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
第1発明〜第発明によれば、算出部は、質問データと参照用データ群との類似度を算出し、算出された類似度に基づき第1参照用データを選択する。また、選択部は、第1参照用データに基づき第1回答文字列を選択する。このため、データ毎の類似度を用いることで、例えばユーザの質問におけるキーワード等に基づいて回答を検索する場合に比べて、質問の内容に適した過去の回答を探索することができる。すなわち、ユーザの質問に対して精度の高い回答を得ることができる。これにより、ユーザからの質問に対して適切な回答を早期に提供でき、ユーザの満足度を向上させることが可能となる。
【0020】
第1発明〜第発明によれば、質問データは、少なくとも一文を含むユーザの質問に基づく質問文字列から導出される。このため、回答の候補として探索される件数を少なくすることができる。すなわち、過去の質問や回答等の膨大なデータを用いる場合や、比較的専門的な質問が多い場合においても、必要とする回答を短時間で探索することができる。これにより、ユーザの望む回答を短時間で取得することが可能となる。
【0021】
第1発明〜第発明によれば、参照用データ群及び回答文字列群は、蓄積された過去の質問及び回答に対応する。このため、過去に受けた質問に対応する回答文字列を選択し、ユーザに回答を提供することができる。これにより、ヘルプデスク内で統一された適切な回答を提供することが可能となる。
【0022】
また、第発明〜第4発明によれば、導出部は、質問行列に対して参照用行列の加算、減算、乗算、及び除算の少なくとも何れかを行うことで質問データを導出する。このとき、質問データには、質問文字列に含まれる各形態素の前後に他の形態素が用いられる可能性を含ませることができる。このため、同じ形態素を用いているが僅かに内容が異なる質問の場合においても、各形態素における前後関係を踏まえて参照用データ及び回答文字列を選択することができる。これにより、ユーザの質問に対して精度の高い回答を得ることができ、ユーザの満足度をさらに向上させることができる。
【0023】
また、第発明、第発明によれば、算出部は、質問データと参照用データ群との内積を類似度として算出する。参照用データ群の有する参照用データを選択する条件の幅を広げることができる。これにより、ユーザの質問に応じて選択される回答文字列の数等を任意に変更することができ、ユーザの満足度をさらに向上させることが可能となる。
【0024】
また、第発明によれば、算出部は、第1類似度と第2類似度との相対値に基づいて、第2参照用データを選択するか否かを判断する。このため、例えば第2類似度が第1類似度よりも僅かに劣る場合においても、第2参照用データを漏らさずに選択することができる。これにより、ユーザの質問に対して最適な回答を取得することができ、ユーザの満足度をさらに向上させることが可能となる。
【0025】
発明によれば、算出手段は、質問データと参照用データ群との類似度を算出し、算出された類似度に基づき第1参照用データを選択する。また、選択手段は、第1参照用データに基づき第1回答文字列を選択する。このため、例えばユーザの質問におけるキーワード等に基づいて回答を検索する場合に比べて、データ毎の類似度を用いるため、質問の内容に適した過去の回答を探索することができる。すなわち、ユーザの質問に対して精度の高い回答を得ることができる。これにより、ユーザからの質問に対して適切な回答を早期に提供でき、ユーザの満足度を向上させることが可能となる。
【0026】
発明によれば、質問データは、少なくとも一文を含むユーザの質問に基づく質問文字列から導出される。このため、回答の候補として探索される件数を少なくすることができる。すなわち、過去の質問や回答等の膨大なデータを用いる場合や、比較的専門的な質問が多い場合においても、必要とする回答を短時間で探索することができる。これにより、ユーザの望む回答を短時間で取得することが可能となる。
【0027】
発明によれば、参照用データ群及び回答文字列群は、蓄積された過去の質問及び回答に対応する。このため、過去に受けた質問に対応する回答文字列を選択し、ユーザに回答を提供することができる。これにより、ヘルプデスク内で統一された適切な回答を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、実施形態における質問回答支援システムの全体構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態における質問回答支援装置により出力された回答文字列の一例を示す模式図である。
図3図3(a)は、実施形態における質問回答支援装置の構成の一例を示す模式図であり、図3(b)は、実施形態における質問回答支援装置の機能の一例を示す模式図である。
図4図4は、実施形態における質問回答支援装置の各機能の一例を示す模式図である。
図5図5は、実施形態における質問データの一例を示す模式図である。
図6図6は、実施形態における類似度の一例を示す模式図である。
図7図7は、実施形態における質問回答支援システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を適用した実施形態における質問回答支援システム100の一例について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
(実施形態:質問回答支援システム100の構成)
図1図3を参照して、本実施形態における質問回答支援システム100の構成の一例について説明する。図1は、本実施形態における質問回答支援システム100の全体構成を示すブロック図である。
【0031】
質問回答支援システム100は、質問回答支援装置1を備える。質問回答支援装置1は、例えば公衆通信網4を介して、サーバ2、オペレータ端末3、及びユーザ端末5の少なくとも何れかと接続される。
【0032】
<質問回答支援装置1>
本実施形態における質問回答支援装置1は、主に企業のヘルプデスクに用いられ、ユーザからの質問に回答するオペレータを支援する装置として用いられる。例えば図2(a)に示すように、ユーザから質問を受けたオペレータが、ユーザの質問に基づく質問文字列をオペレータ端末3に入力する。質問回答支援装置1は、オペレータ端末3から質問文字列を取得したあと、質問文字列に対して最適な回答文字列を選択し、回答文字列をオペレータ端末3に出力する。オペレータは、回答文字列を確認した上で、ユーザへ回答を作成して送信する。なお、例えば図2(b)に示すように、オペレータが質問回答支援装置1に質問文字列を直接入力することにより、質問回答支援装置1が質問文字列を取得してもよい。この場合、質問回答支援装置1は、質問文字列に対して最適な回答文字列を選択し、回答文字列を出力する。
【0033】
図3(a)は、質問回答支援装置1の構成の一例を示す模式図である。質問回答支援装置1として、パーソナルコンピュータ(PC)等の電子機器が用いられる。質問回答支援装置1は、筐体10と、CPU101と、ROM102と、RAM103と、記憶部104と、I/F105〜107とを備える。各構成101〜107は、内部バス110により接続される。
【0034】
CPU(Central Processing Unit)101は、質問回答支援装置1全体を制御する。ROM(Read Only Memory)102は、CPU101の動作コードを格納する。RAM(Random Access Memory)103は、CPU101の動作時に使用される作業領域である。記憶部104は、回答文字列等の各種情報が記憶される。記憶部104として、例えばHDD(Hard Disk Drive)の他、SSD(solid state drive)やフロッピーディスク等のデータ保存装置が用いられる。なお、例えば質問回答支援装置1は、図示しないGPU(Graphics Processing Unit)を有してもよい。GPUを有することで、通常よりも高速演算処理が可能となる。
【0035】
I/F105は、公衆通信網4を介してサーバ2等との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。I/F106は、入力部分108との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部分108として、例えばキーボードが用いられ、質問回答支援システム100の管理者等は、入力部分108を介して、各種情報又は質問回答支援装置1の制御コマンド等を入力する。I/F107は、出力部分109との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。出力部分109は、記憶部104に保存された各種情報、又は質問回答支援装置1の処理状況等を出力する。出力部分109として、ディスプレイが用いられ、例えばタッチパネル式でもよい。
【0036】
図3(b)は、質問回答支援装置1の機能の一例を示す模式図である。質問回答支援装置1は、取得部11と、導出部12と、算出部13と、選択部14と、出力部15と、入力部16と、情報DB17とを備える。なお、図3(b)に示した機能は、CPU101が、RAM103を作業領域として、記憶部104等に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。また、各構成11〜17は、例えば人工知能により制御されてもよい。ここで、「人工知能」は、いかなる周知の人工知能技術に基づくものであってもよい。
【0037】
<取得部11>
取得部11は、少なくとも1文を含むユーザの質問に基づく質問文字列を取得する。取得部11として、例えば図4に示すように、ユーザが「○○の△△が□□となったのですが、どうすればよろしいでしょうか。」のような内容をオペレータに質問する。この質問に基づいて、オペレータはオペレータ端末3等に質問文字列を作成することにより、取得部11が質問文字列を取得する。取得部11は、例えばユーザ端末5から送られてきたユーザの質問文に基づいて、オペレータが作成した質問文字列を取得するほか、例えばユーザから送られてきた質問を直接質問文字列として取得してもよく、ユーザとの音声対話に基づいてオペレータが作成した質問文字列を取得してもよく、予め用意された質問をユーザが選択した質問を、質問文字列として取得してもよい。なお、ここで「1文」とは、例えば少なくとも主語及び述語を有する文字列を含むほか、ユーザからの質問の意図を理解できる文字列を含んでもよい。
【0038】
取得部11の取得する質問文字列は、例えばユーザの性別や年齢等のユーザ情報を有してもよい。これにより、質問回答支援装置1は、ユーザ情報に応じた回答を選択することが可能となる。
【0039】
<導出部12>
導出部12は、質問文字列から質問データを導出する。質問データは、例えば図5に示すように、行列で表される。なお、ここで「行列」とは、n行m列等で示される行列のほか、1行n列又はn行1列で示されるベクトルも含まれ、以下も同様である。
【0040】
導出部12は、例えば形態素、単語、句、節等、あらゆる文法上の構造単位(以下、形態素等とする)の中から何れか1以上の単位に亘り、質問文字列の文を分割する。このとき、例えば質問文字列に含まれる文は、m個の形態素等に分割される。
【0041】
導出部12は、分割したm個の質問文字列の形態素等のそれぞれを、m個の質問行列(第1質問行列、第2質問行列、・・・、第m質問行列)に変換する。導出部12は、例えば基準行列を参照して、分割した質問文字列の形態素等のそれぞれを、1行n列の行列(ベクトル)として表される質問行列に変換する。なお、導出部12は、例えば分割したm個の質問文字列の形態素に基づいて、m行n列で表される1個の質問行列に変換してもよい。
【0042】
基準行列は、予め取得された複数の形態素等のそれぞれに、行列を割り当てた情報を有する。基準行列は、形態素等に対応する列を「1」とし、その他の列を「0」とする1行n列の行列を複数有する。基準行列は、予め取得された過去の複数の質問から抽出された形態素等や、予め管理者等が設定した形態素等が用いられる。なお、nの値は、基準行列として予め取得された形態素等の数に依存する。
【0043】
導出部12は、質問行列に対して参照用行列の加算、減算、乗算、及び除算の少なくとも何れかを行うことでし、質問データを導出する。このとき、例えば1行n列の各質問行列に参照用行列を乗算し、1行n列で表されるm個の質問ベクトル(第1質問ベクトル、第2質問ベクトル、・・・、第m質問ベクトル)を有する質問データを導出する。なお、導出部12は、例えばm行n列の質問行列に参照用行列を乗算して、m行n列で表される1個の質問データを導出してもよい。
【0044】
参照用行列は、例えばn行n列の共起行列で表される。参照用行列の行及び列の数は、基準行列に予め取得された形態素等の数(n個)に対応する。参照用行列の値は、例えば基準行列内の形態素等を文で用いたとき、特定の形態素等の前後に他の形態素等が用いられる可能性を示す。このため、例えば第1質問ベクトル(5、13、2、20、3、・・・)の値は、第1質問ベクトルに対応する「○○」の前後に、「□□」、「××」、「△△」、「の」等が用いられる可能性を示している。参照用行列は、蓄積された過去の複数の質問に基づいて算出された行列である。
【0045】
導出部12は、上述した基準行列及び参照用行列を用いて質問データを導出するほか、例えば基準画像データ及び参照用画像データを用いて質問データを導出してもよい。この場合、基準画像データとして、予め取得された複数の形態素等、及び各形態素等に割り当てられた画像(質問画像)が用いられ、参照用画像データとして、質問画像、及び質問画像に割り当てられた1行n列で表される複数の行列が用いられる。
【0046】
導出部12は、質問文字列を分割した各形態素等を、基準画像データを参照して、対応する質問画像に変換する。導出部12は、参照用画像データを参照して、変換された質問画像に対応する行列を選択することで、質問データを導出する。この場合においても、参照用画像データの内容は、例えば質問画像に割り当てられた形態素等を文で用いたとき、特定の形態素等の前後に他の形態度等が用いられる可能性を示す。
【0047】
基準画像データは、予め取得された過去の質問から抽出された形態素等や、予め管理者等が設定した形態素等に質問画像を割り当てることで形成される。参照用画像データは、予め取得された過去の質問から抽出された形態素等に基づいて算出された行列を、質問画像に割り当てることで形成される。
【0048】
<算出部13>
算出部13は、 図4に示すように、質問データと、参照用データ群との類似度を算出し、類似度に基づき参照用データ群の有する参照用データを選択する。参照用データ群は、蓄積された過去の複数の質問に対応するデータ群であり、複数の参照用データを有する。
【0049】
類似度は、100分率又は10段階若しくは5段階等の3段階以上で算出されるほか、例えば閾値を基準とした2段階で算出されてもよい。例えば類似度が高くなるにつれて、質問データに対応する質問文字列が、参照用データに対応する過去の質問に類似する可能性が高いことを示す。
【0050】
参照用データは、少なくとも1文を含む過去の質問に対応する。参照用データは、行列で表されるほか、例えば「○○ / の / △△ / が / □□ / となった/の / ですが /、 / どうすれば / よろしい / でしょう / か / 。」のように質問が形態素等に分割された形式、又は「□□に関する質問」のような複数の質問の上位概念で表示された形式で記憶されてもよい。参照用データが行列の場合、例えば複数の1行n列の行列で表される。
【0051】
算出部13は、例えば図6に示すように、質問データと参照用データ群との内積を類似度(コサイン類似度)として算出してもよい。この場合、類似度の値は−1以上1以下の値が算出される。参照用データ群の各参照用データ(第1参照用データ、第2参照用データ、・・・)として、予め分割された形態素等に基づく行列が用いられる。各参照用データの行列は、例えば上述した質問文字列から質問データを導出する場合と同様に、導出部12によって過去の質問の文字列から導出される。
【0052】
例えば、質問データにおける第1質問ベクトル〜第m質問ベクトルのそれぞれをD11〜D1mとし、第1参照用データにおける各行列をD21〜D2mとする。この場合、算出部13は、D11とD21との内積に対してD11及びD21の絶対値を割った値を算出する。算出部13は、上述と同様の算出をD12〜D1mとD22〜D2mとのそれぞれに対して実施し、得られた値を加算することで、質問データと第1参照用データとの類似度を算出する。算出部13は、上述した内容と同様に、質問データと各参照用データとの類似度を算出し、質問データと参照用データ群との類似度を算出する。なお、算出部13は、質問データ及び各参照データを予め規格化した行列を用いて、上述した算出を行ってもよい。その場合、内積に対して絶対値を割る必要がない。なお、質問データと参照用データ群との個数が揃わない場合は、少ない個数にあわせて算出され、余分の個数については算出の対象外とする。
【0053】
算出部13は、参照用データを複数選択してもよい。この場合、類似度は3段階以上で算出されることが好ましい。この理由として、例えば質問データと類似度の高い参照用データを複数選択するように設定する場合、選択方法を大幅に増加させることができる。すなわち、算出部13は、類似度の高い順に参照用データを複数選択するほか、参照用データ群のうち、相対的に近い類似度を示す参照用データを1グループとして選択することもできる。このため、質問回答支援装置1が用いられるヘルプデスク等の対応している質問の分野に応じて、参照用データを選択する方法を任意に設定することができる。これにより、質問の分野に応じた精度の高い回答を得ることができ、ユーザの満足度をさらに向上させることが可能となる。
【0054】
算出部13は、例えば類似度が60%以上の参照用データを選択する。この場合、従来のキーワード検索等に比べて、参照用データの選択数を限定することが可能となる。また、算出部13は、例えば類似度の高い順に3つの参照用データを選択する。この場合、精度の高い参照用データの選択を実現することができる。
【0055】
算出部13は、例えば算出された各類似度の値を比較して、参照用データを選択してもよい。例えば、算出部13は、質問データと第1参照用データとの第1類似度、及び、質問データと第2参照用データとの第2類似度を算出し、第1類似度と第2類似度との相対値に基づいて、第1参照用データに加えて第2参照用データを選択するか否かを判断してもよい。
【0056】
算出部13は、例えば参照用データ群における特定の形態素等の出現頻度に基づいて、質問データとの類似度を算出してもよい。この場合、質問データから特定の形態素等の利用頻度を抽出し、参照用データにおける特定の形態素等の出現頻度と比較する。このため、上述した内積を算出する場合に比べて、算出の処理に伴う負荷を軽減することができる。また、参照用行列において、各形態素等に対応する行列の値が、重要度に応じて大きく設定されてもよい。これにより、ユーザからの質問の分野において重要となる形態素等に対応した算出が可能となる。
【0057】
<選択部14>
選択部14は、図4に示すように、算出部13により選択された参照用データに基づいて、回答文字列群の有する回答文字列を選択する(図4の破線枠)。回答文字列群は、蓄積された過去の複数の回答に対応するデータ群であり、複数の回答文字列(第1回答文字列、第2回答文字列、第3回答文字列、・・・)を有する。各回答文字列は、過去の質問及び回答に基づいて、対応する参照用データと紐づいている。1つの回答文字列は、例えば「回答1 ××することを推奨しております。」、及び「回答2 ○○としてください。」のように、複数の回答を有してもよい。
【0058】
<出力部15>
出力部15は、選択部14において選択された回答文字列を出力する。出力部15は、I/F105を介してオペレータ端末3に回答文字列を出力するほか、例えばI/F107を介して出力部分109に回答文字列を出力してもよい。
【0059】
<入力部16>
入力部16は、オペレータ端末3や質問回答支援装置1に入力された質問文字列等を受信する。入力部16は、I/F105を介してオペレータ端末3から入力された各種情報を受信するほか、例えばI/F106を介して入力部分108から入力された各種情報を受信する。
【0060】
<情報DB17>
情報DB17には、基準行列、参照用行列、参照用データ群、回答文字列群等の各種情報が記憶され、設定に応じて基準画像データ及び参照用画像データが記憶される。情報DB17には、例えば質問文字列、質問行列、質問データ、類似度等が記憶されてもよい。各種情報は、HDDやSSD等で具現化された記憶部104に、各種情報のデータベースとして保存される。
【0061】
基準行列、参照用行列、参照用データ群、回答文字列群、基準画像データ、及び参照用画像データは、例えば予め取得された過去の質問又は回答に基づき、機械学習を用いて構築される。機械学習には、公知の技術を用いることができ、ニューラルネットワーク、サポートベクタ―マシン、ナイーブベイズ法、又はディープラーニング等を用いてもよい。なお、基準行列、参照用行列、参照用データ群、回答文字列群、基準画像データ、及び参照用画像データは、例えばExcelファイルやcsvファイルの形式で保存されるほか、管理者等の利便性に応じた任意のファイル形式で保存されてもよい。
【0062】
各構成11〜16は、必要に応じて情報DB17に各種情報を記憶させ、又は各種情報を取出す。なお、基準行列、参照用行列、参照用データ群、回答文字列群等の各種情報は、例えば公衆通信網4を介したインターネット上に公開された質問や回答に基づいて構築されてもよい。
【0063】
<サーバ2>
サーバ2には、各種情報に関するデータ(データベース)が記憶されている。このデータベースには、例えば公衆通信網4を介して送られてきた情報が蓄積される。サーバ2には、例えば情報DB17と同様の情報が記憶され、公衆通信網4を介して質問回答支援装置1と各種情報の送受信が行われてもよい。サーバ2として、例えばネットワーク上のデータベースサーバが用いられてもよい。サーバ2は、上述した記憶部104や情報DB17の代わりに用いられてもよい。
【0064】
<オペレータ端末3>
オペレータ端末3は、質問回答支援装置1を利用するヘルプデスクに設置されるほか、例えばヘルプデスクの委託業者等が保有してもよい。オペレータ端末3として、例えば、パーソナルコンピュータ等の電子機器が用いられる。
【0065】
<公衆通信網4>
公衆通信網4(ネットワーク)は、質問回答支援装置1及びオペレータ端末3等が通信回路を介して接続されるインターネット網等である。公衆通信網4は、いわゆる光ファイバ通信網で構成されてもよい。また、公衆通信網4は、有線通信網には限定されず、無線通信網で実現してもよい。
【0066】
<ユーザ端末5>
ユーザ端末5として、主に携帯電話が用いられ、それ以外ではスマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ、IoT(Internet of Things)デバイス等の電子機器の他、あらゆる電子機器で具現化されたものが用いられてもよい。ユーザは、例えばユーザ端末5を用いてオペレータ端末3に質問を送信する。
【0067】
本実施形態によれば、算出部13は、質問データと参照用データ群との類似度を算出し、算出された類似度に基づき参照用データ(例えば第1参照用データ)を選択する。また、選択部14は、参照用データに基づき回答文字列(例えば第1回答文字列)を選択する。このため、データ毎の類似度を用いることで、例えばユーザの質問におけるキーワード等に基づいて回答を検索する場合に比べて、質問の内容に適した過去の回答を探索することができる。すなわち、ユーザの質問に対して精度の高い回答を得ることができる。これにより、ユーザからの質問に対して適切な回答を早期に提供でき、ユーザの満足度を向上させることが可能となる。
【0068】
また、本実施形態によれば、質問データは、少なくとも一文を含むユーザの質問に基づく質問文字列から導出される。このため、回答の候補として探索される件数を少なくすることができる。すなわち、過去の質問や回答等の膨大なデータを用いる場合や、比較的専門的な質問が多い場合においても、必要とする回答を短時間で探索することができる。これにより、ユーザの望む回答を短時間で取得することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態によれば、参照用データ群及び回答文字列群は、蓄積された過去の質問及び回答に対応する。このため、過去に受けた質問に対応する回答文字列を選択し、ユーザに回答を提供することができる。これにより、ヘルプデスク内で統一された適切な回答を提供することが可能となる。
【0070】
また、本実施形態によれば、導出部12は、質問行列に対して参照用行列の加算、減算、乗算、及び除算の少なくとも何れかを行うことで質問データを導出する。このとき、質問データには、質問文字列に含まれる各形態素等の前後に他の形態素等が用いられる可能性を含ませることができる。このため、同じ形態素を用いているが僅かに内容が異なる質問の場合においても、各形態素における前後関係を踏まえて参照用データ及び回答文字列を選択することができる。これにより、ユーザの質問に対して精度の高い回答を得ることができ、ユーザの満足度をさらに向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、算出部13は、質問データと参照用データ群との内積を類似度として算出する。このため、参照用データ群の有する参照用データを選択する条件の幅を広げることができる。これにより、ユーザの質問に応じて選択される回答文字列の数等を任意に変更することができ、ユーザの満足度をさらに向上させることが可能となる。
【0072】
また、本実施形態によれば、算出部13は、第1類似度と第2類似度との相対値に基づいて、第2参照用データを選択するか否かを判断する。このため、例えば第2類似度が第1類似度よりも僅かに劣る場合においても、第2参照用データを漏らさずに選択することができる。これにより、ユーザの質問に対して最適な回答を取得することができ、ユーザの満足度をさらに向上させることが可能となる。
【0073】
また、本実施形態によれば、3段階以上で算出された類似度を用いることで、算出部13は、質問データと完全一致又は部分一致する参照用データの選択に加え、質問データと類似(同一概念、類語等を含む)する形態素等を含む参照用データを選択できる。このため、前例のない内容の質問に対しても、最適な回答文字列を取得することができる。これにより、ユーザの満足度をさらに向上させることができる。
【0074】
(第1実施形態:質問回答支援システム100の動作)
次に、本実施形態における質問回答支援システム100の動作の一例について説明する。図7は、本実施形態における質問回答支援システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0075】
<取得手段:S110>
図7に示すように、先ず、ユーザの質問に基づく質問文字列を取得する(取得手段:S110)。取得部11は、質問回答支援装置1に入力又は受信された質問文字列を取得する。
【0076】
質問文字列は、オペレータによりオペレータ端末3から質問回答支援装置1に送信されるほか、例えばオペレータにより質問回答支援装置1に直接入力されてもよい。
【0077】
なお、取得部11は、取得した質問文字列を情報DB17に記憶させてもよい。
【0078】
<導出手段:S120>
次に、取得部11が取得した質問文字列から質問データを導出する(導出手段:S120)。導出部12は、取得部11又は情報DB17から質問文字列を取得し、情報DB17から基準行列及び参照用行列を取得する。
【0079】
導出部12は、例えば図5に示すように、質問文字列の文を形態素等に分割し、各形態素等を基準行列に基づいて質問行列に変換する。例えば、質問文字列の1番目の形態素「○○」は、基準行列に基づいて第1質問行列(1、0、0、0、・・・)に変換され、質問文字列の2番目の形態素「の」は、基準行列に基づいて第2質問行列(0、0、0、0、1、・・・)に変換される。導出部12は、各形態素等を1行n列で表される質問行列(第1質問行列、第2質問行列、・・・、第m質問行列)へ変換するほか、例えば各形態素等に対応する1行n列の行列を含むm行n列の行列に変換してもよい。
【0080】
その後、導出部12は、質問行列に対して参照用行列の加算、減算、乗算、及び除算の少なくとも何れかを行うことで、質問データを導出する。このとき、例えば各質問行列に参照用行列を乗算して得られた各質問ベクトル(第1質問ベクトル、第2質問ベクトル、・・・、第m質問ベクトル)を有する質問データを導出するほか、例えばm行n列の質問行列に参照用行列を乗算してm行n列の行列で表される質問データを導出してもよい。
【0081】
なお、導出部12は、導出した質問データ及び変換した質問行列を情報DB17に記憶させてもよい。
【0082】
<算出手段:S130>
次に、図4に示すように、質問データと、参照用データ群との類似度を算出し、類似度に基づき参照用文字列群の有する参照用データ(例えば第1参照用データ)を選択する(算出手段:S130)。算出部13は、導出部12又は情報DB17から質問データを取得し、情報DB17から参照用データ群を取得する。
【0083】
算出部13は、例えば図6に示すように、質問データと参照用データ群との内積を類似度として算出する。この場合、算出部13は質問データに対して各参照用データの内積を算出する。算出部13は、算出された内積の値(類似度)に基づいて、参照用データを選択する。算出部13は、例えば類似度の1番高い参照用データを選択するほか、類似度の高い順に任意の数の参照用データを選択してもよく、類似度の近いグループに含まれる複数の参照用データを選択してもよく、選択する基準は管理者等により任意に設定することができる。
【0084】
なお、算出部13は、選択した参照用データ及び算出した類似度を情報DB17に記憶させてもよい。このとき、類似度を算出した質問データも情報DB17に記憶させてもよい。
【0085】
<選択手段:S140>
次に、図4に示すように、参照用データ(例えば第1参照用データ)に基づき回答文字列群の有する回答文字列(例えば第1回答文字列)を選択する(選択手段:S140)。選択部14は、算出部13又は情報DB17から参照用データを取得し、情報DB17から回答文字列群を取得する。
【0086】
選択部14は、例えば参照用データ「□□に関する質問」に基づき、質問に対応する回答文字列を選択する。回答文字列は、「××とすることを推奨しております」等の回答を有し、例えば複数の回答を有してもよい。この場合、選択部14は、1つの参照用データに対して複数の回答を選択することができる。選択部14が回答を選択する基準は、管理者等により任意に設定することができる。
【0087】
なお、選択部14は、選択した回答文字列を情報DB17に記憶させてもよい。このとき、回答文字列に対応する参照用データも情報DB17に記憶させてもよい。
【0088】
<出力手段:S150>
次に、回答文字列(例えば第1回答文字列)を出力する(出力手段:S150)。出力部15は、選択部14又は情報DB17から回答文字列を取得する。
【0089】
出力部15は、オペレータ端末3に回答文字列を出力するほか、例えば出力部分109に回答文字列を出力してもよい。出力部15は、例えば回答文字列に加えて、参照用データに対応する過去の質問を出力してもよい。出力部15は、例えば回答文字列の有する回答を選択して出力してもよい。出力部15が回答を選択する基準は、管理者等により任意に設定することができる。
【0090】
これにより、本実施形態における質問回答支援システム100の動作が終了する。なお、出力手段S150により出力された回答文字列に基づき、オペレータは回答を検討した上でユーザに回答してもよく、回答の方法は任意である。また、出力された回答文字列に基づき、オペレータ等がさらに質問文字列を作成し、取得手段S110を行ってもよい。
【0091】
本実施形態によれば、算出手段S130は、質問データと参照用データ群との類似度を算出し、算出された類似度に基づき参照用データ(例えば第1参照用データ)を選択する。また、選択手段S140は、参照用データに基づき回答文字列(例えば第1回答文字列)を選択する。このため、例えばユーザの質問におけるキーワード等に基づいて回答を検索する場合に比べて、データ毎の類似度を用いるため、質問の内容に適した過去の回答を探索することができる。すなわち、ユーザの質問に対して精度の高い回答を得ることができる。これにより、ユーザからの質問に対して適切な回答を早期に提供でき、ユーザの満足度を向上させることが可能となる。
【0092】
また、本実施形態によれば、質問データは、少なくとも一文を含むユーザの質問に基づく質問文字列から導出される。このため、回答の候補として探索される件数を少なくすることができる。すなわち、過去の質問や回答等の膨大なデータを用いる場合や、比較的専門的な質問が多い場合においても、必要とする回答を短時間で探索することができる。これにより、ユーザの望む回答を短時間で取得することが可能となる。
【0093】
また、本実施形態によれば、参照用データ群及び回答文字列群は、蓄積された過去の質問及び回答に対応する。このため、過去に受けた質問に対応する回答文字列を選択し、ユーザに回答を提供することができる。これにより、ヘルプデスク内で統一された適切な回答を提供することが可能となる。
【0094】
なお、本実施形態によれば、取得部11は、例えば出力部15により出力された回答文字列、又は、回答文字列を参考にしてオペレータがユーザに回答した回答文字列を取得してもよい。この場合、取得部11が取得した質問文字列と回答文字列とを情報DB17に蓄積し、蓄積された質問文字列と回答文字列に基づいて、基準行列、参照用行列、参照用データ群、回答文字列群の少なくとも何れかを更新してもよい。これにより、出力される回答の精度を向上させることができ、ユーザの満足度をさらに向上させることが可能となる。
【0095】
上記に加え、本実施形態によれば、ユーザは、ユーザ端末5を用いて公衆通信網4を介して質問回答支援装置1に直接質問を送信してもよい。この場合、ユーザの質問を受信した質問回答支援装置1の取得部11は、ユーザの質問を質問文字列として取得する。その後、上述した動作を実行し、出力部15は、質問文字列に基づく回答文字列をユーザ端末5に出力してもよい。このため、ユーザは、オペレータを介さずに、質問に対する適切な回答を早期に取得できる。これにより、ユーザの満足度を向上させることが可能となる。また、ヘルプデスク内のオペレータ数を削減できるため、人件費の削減を図ることが可能となる。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1…質問回答支援装置、
10…筐体、
11…取得部、
12…導出部、
13…算出部、
14…選択部、
15…出力部、
16…入力部、
17…情報DB、
100…質問回答支援システム、
101…CPU、
102…ROM、
103…RAM、
104…記憶部、
105〜107…I/F、
108…入力部分、
109…出力部分、
110…内部バス、
2…サーバ、
3…オペレータ端末、
4…公衆通信網、
5…ユーザ端末
【要約】
【課題】ユーザからの質問に対して適切な回答を早期に提供でき、ユーザの満足度を向上させることが可能となる質問回答支援装置及び質問回答支援システムを提供する。
【解決手段】少なくとも1文を含む前記ユーザの質問に基づく質問文字列を取得する取得部11と、前記質問文字列から質問データを導出する導出部12と、蓄積された過去の複数の質問に対応する参照用データ群、及び蓄積された過去の複数の回答に対応する回答文字列群が記憶されたデータベース17と、前記質問データと、前記参照用データ群との類似度を算出し、前記類似度に基づき前記参照用データ群の有する第1参照用データを選択する算出部13と、前記第1参照用データに基づき前記回答文字列群の有する第1回答文字列を選択する選択部14と、前記第1回答文字列を出力する出力部15とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7