特許第6191034号(P6191034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6191034
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】LED点灯装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-118623(P2013-118623)
(22)【出願日】2013年6月5日
(65)【公開番号】特開2014-235960(P2014-235960A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000180450
【氏名又は名称】四変テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(74)【代理人】
【識別番号】100180068
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 怜史
(72)【発明者】
【氏名】池尻 裕一
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−123681(JP,A)
【文献】 特開2012−221595(JP,A)
【文献】 特開2012−099334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を整流して平滑する入力整流平滑回路と、この入力整流平滑回路から出力される直流電圧を所定の交流電圧に変換して出力するインバータ回路と、このインバータ回路から出力される交流電圧を整流するとともに平滑して直流電圧を出力して発光ダイオードを点灯させる出力整流平滑回路と、調光器の調光制御信号に基づいて前記発光ダイオードの明るさを変える調光回路とを備え、
前記インバータ回路は、入力整流平滑回路から出力される直流電圧を断続するスイッチング素子と、パルスを一定周期毎に出力してスイッチング素子を一定周期でオン・オフさせる制御装置と、前記スイッチング素子による直流電圧の断続によって所定の交流電圧に変換して出力するトランスとを有するLED点灯装置であって、
前記制御装置は、電源投入直後の過渡状態にあるときに、前記発光ダイオードが一瞬だけ全光状態で点灯することがないように、出力するパルスの幅を除々に大きくしてソフトスタートするソフトスタート機能を有することを特徴とするLED点灯装置。
【請求項2】
前記入力整流平滑回路に入力される交流電圧を検出する入力電圧検出回路と、
この入力電圧検出回路が入力される交流電圧を検出しなくなった際、前記ソフトスタート機能をリセットするソフトスタートリセット回路とを設けたことを特徴とする請求項1に記載のLED点灯装置。
【請求項3】
前記調光回路は、電源がオフされた時点で発光ダイオードを、そのオフ時の直前の明るさ以下の明るさにした後に消灯させることを特徴とする請求項1に記載のLED点灯装置。
【請求項4】
前記入力電圧検出回路が入力される交流電圧を検出しなくなった際、前記調光回路をリセットして該調光回路から出力される調光信号の出力を停止させる調光信号リセット回路を設けたことを特徴とする請求項2に記載のLED点灯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光ダイオードを点灯させるLED点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、PWM制御型の調光器を用いたLED点灯装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかるLED点灯装置は、交流電圧を整流平滑する整流平滑回路と、定電流出力部と、PWM電流出力部とを備えている。
【0004】
定電流出力部は、調光器から出力される調光信号に応じて一定振幅の定電流を出力する。
【0005】
PWM電流出力部は、一定周期のパルス電流を出力しており、調光器から出力される調光信号に応じてパルス電流の幅が調整されるようになっている。
【0006】
そして、定電流出力部から出力される一定振幅の定電流と、PWM電流出力部から出力されるパルス電流とが合わせられて発光ダイオードに供給されて発光ダイオードを点灯させる。
【0007】
ところで、このようなLED点灯装置にあっては、一般に、調光器から出力される調光信号を入力していない場合、発光ダイオードは全光状態で点灯するように設定されている。
【0008】
調光器の調光信号レベルは、JISC8120に基づき製造各社で統一されているが、電源のオンから調光器の調光信号が出力されるまでの期間や、電源のオフから調光器の調光信号の停止までの期間はまちまちである。
【0009】
このため、起動の早いLED点灯装置と調光信号の出力の遅い調光器とが組み合わせられて使用されると、電源の入力時に、調光信号の出力が遅いことにより、一瞬だけ全光状態で発光ダイオードが点灯し、この後に調光状態に移行する。このため、使用者は違和感を感じてしまう問題があった。
【0010】
この問題を解決するために、特許文献2の電源装置が提案されている。この電源装置は、電源のオン時点から一定期間だけ、調光信号をキャンセルするとともに、この一定期間だけ最小光量で発光ダイオードを点灯させるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011−181454号公報
【特許文献2】特許第4636102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような電源装置にあっては、微分回路やトランジスタやオペアンプなどを設ける必要があるため、部品点数が多くなってしまう問題があった。
【0013】
この発明の目的は、電源の入力時に発光ダイオードが一瞬だけ全光状態で点灯してしまうことがなく、しかも部品点数を少なくすることのできるLED点灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、 交流電圧を整流して平滑する入力整流平滑回路と、この入力整流平滑回路から出力される直流電圧を所定の交流電圧に変換して出力するインバータ回路と、このインバータ回路から出力される交流電圧を整流するとともに平滑して直流電圧を出力して発光ダイオードを点灯させる出力整流平滑回路と、調光器の調光信号に基づいて前記発光ダイオードの明るさを変える調光回路とを備え、
前記インバータ回路は、入力整流平滑回路から出力される直流電圧を断続するスイッチング素子と、パルスを一定周期毎に出力してスイッチング素子を一定周期でオン・オフさせる制御装置と、前記スイッチング素子による直流電圧の断続によって所定の交流電圧に変換して出力するトランスとを有するLED点灯装置であって、
前記制御装置は、電源投入時に、出力するパルスの幅を除々に大きくしてソフトスタートするソフトスタート機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、電源の入力時に発光ダイオードが一瞬だけ全光状態で点灯してしまうことがなく、しかも部品点数を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明に係るLED点灯装置の構成を示すブロック図である。
図2図1のLED点灯装置の一例を示す回路図である。
図3】(a)〜(c)は、図2に示したLED点灯装置の起動と調光器からの調光制御信号との関係を示すタイムチャートである。
図4】(a)〜(c)は、図2に示したLED点灯装置の停止と調光器からの調光制御信号の停止との関係を示すタイムチャートである。
図5】(a)〜(c)は、従来のLED点灯装置の起動と調光器からの調光制御信号との関係の一例を示すタイムチャートである。
図6】(a)〜(c)は、従来のLED点灯装置におけるLED点灯装置の停止と調光器からの調光制御信号の停止との関係の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明に係るLED点灯装置の実施の形態である実施例を図面に基づ
いて説明する。
【実施例】
【0018】
図1に示すLED点灯装置2は、LED照明モジュール3の各発光ダイオードを点灯させるLED点灯回路2aと、リセット制御部2bと、PWM制御型調光器(調光器)4から出力される調光制御信号を受信する調光信号受信部2cとを有している。PWM制御型調光器4は、図示しない調光操作部の操作により変調操作されたパルス幅の調光制御信号Vsを出力する。
[LED点灯回路]
LED点灯回路2aは、入力フィルタ回路5と、入力整流平滑回路6と、インバータ回路7と、出力整流平滑回路8と、LED照明モジュール3の点灯の明るさを調整する調光回路9とを備えている。
[リセット制御部]
リセット制御部2bは、入力整流平滑回路6の平滑回路(後述する)へ入力する入力電圧を検出する入力電圧検出回路10と、この入力電圧検出回路10が検出する入力電圧に基づいてインバータ回路7のソフトスタートをリセットするソフトスタートリセット回路11と、その検出した入力電圧に基づいて調光回路9の調光信号をリセットする調光信号リセット回路12とを備えている。
[入力フィルタ回路]
入力フィルタ回路5は、図2に示すように、電源ループ(商用電源1−入力整流平滑回路6−インバータ回路7−出力整流平滑回路8のループ)で発生する減衰振動を防止するとともに外部への雑音を防止するものであり、コンデンサC1とラインフィルタL1とを有している。なお、F1はヒューズ、Z1はバリスタである。
[入力整流平滑回路]
入力整流平滑回路6は、商用電源1の交流電圧を全波整流する4つのダイオード(図示せず)から構成される整流回路RC1と、この整流回路RC1から出力される整流電圧を平滑するコンデンサC3とを有している。コンデンサC3はダイオードD1を介して整流回路RC1の出力端子間に接続されている。コンデンサC2はノイズ除去用のコンデンサである。
[インバータ回路]
インバータ回路7は、入力整流平滑回路6のダイオードD1のカソードに接続された一次巻線T1aと二次巻線T1bとを備えたトランスT1と、トランスT1の一次巻線T1aに直列接続されたスイッチング素子Q3と、このスイッチング素子Q3をオン・オフさせる制御装置IC1等とを有している。
【0019】
そして、制御装置IC1の端子TsはコンデンサC5を介してアースラインLaに接続され、制御装置IC1の端子TiはコンデンサC6を介してアースラインLaに接続され、このコンデンサC6にフォトカプラPH1のフォトトランジスタPd1が並列接続されている。また、制御装置IC1の端子TcはコンデンサC7を介してアースラインLaに接続され、制御装置IC1の端子Toは抵抗R5を介してスイッチング素子Q3のゲートに接続されている。
[制御装置IC1]
制御装置IC1は、端子Tiの電圧に応じたパルス幅のパルスを所定の周期で端子Toから出力してスイッチング素子Q3をオン・オフさせていくものである。すなわち、端子Tiの電圧が大きい場合にはパルス幅を大きくし、その電圧が小さい場合にはパルス幅を小さくする。
【0020】
また、制御装置IC1は、起動時に端子TsからコンデンサC5に電圧を印加してコンデンサC5を充電していき、この充電時のコンデンサC5の電圧(端子Tsの電圧)の上昇に合わせて端子Toから出力されるパルスの幅を徐々に大きくしてソフトスタートをさせる。コンデンサC5の電圧が所定の電圧に達したら、端子Tiの電圧に応じたパルス幅のパルスを端子Toから出力させていくものである。制御装置IC1は、端子Tsの電圧が所定以上のとき、端子Toからパルスを所定周期で出力し続け、端子Tsの電圧が約「0」ボルトになると端子Toからのパルスの出力を停止する。
【0021】
制御装置IC1は、コンデンサC7の充電により端子Tcの電圧が定電圧電源Vcの電圧Vc(定電圧電源Vcの電圧をVcとする)になると起動開始して端子Tsから電圧を出力してコンデンサC5を充電させていく。
[出力整流平滑回路]
出力整流平滑回路8は、インバータ回路7のトランスT1の二次巻線T1bから出力される交流電圧を半波整流するダイオードD2と、このダイオードD2で半波整流された整流電圧を平滑する平滑コンデンサC8とを有している。
[調光回路]
調光回路9は、オペアンプIC2と、フォトカプラPH1の発光ダイオードLd1と、LED照明モジュール3に流れる電流を検出する電流検出抵抗R7などとを有している。オペアンプIC2の出力端子は抵抗R11を介して発光ダイオードLd1のアノードに接続され、発光ダイオードLd1のカソードはアースラインLbに接続されている。
【0022】
オペアンプIC2の出力端子と−端子との間には抵抗R10とコンデンサC10からなる直列回路が接続され、その−端子は抵抗R6を介して定電圧電源Vcに接続されるとともにコンデンサC9を介してアースラインLbに接続されている。オペアンプIC2の+端子は抵抗R8を介して電流検出抵抗R7とLED照明モジュール3との間の接続点に接続され、電流検出抵抗R7に生じる電圧すなわちLED照明モジュール3に流れる電流に応じた電圧がオペアンプIC2の+端子に抵抗R8を介して入力するようになっている。
【0023】
オペアンプIC2は、−端子に入力される電圧を基準電圧とし、この基準電圧となる接続点P4の電圧と電流検出抵抗R7に生じる電圧との差に応じた出力電圧(調光制御信号)を出力し、この調光制御信号に応じた出力電流がフォトカプラPH1の発光ダイオードLd1に流れ、発光ダイオードLd1が調光指令信号に応じた明るさで発光する。
【0024】
発光ダイオードLd1で発光した光は、インバータ回路7のフォトカプラPH1のフォトトランジスタPd1が受光し、この受光量に応じた電流がフォトトランジスタPd1に流れる。インバータ回路7の制御装置IC1の端子Tiには、その電流に応じて電圧が生じるようになっている。すなわち、オペアンプIC2の調光制御信号の電圧に応じた電圧が制御装置IC1の端子Tiから出力される状態となる。
【0025】
制御装置IC1は、端子Tiの電圧に応じたパルスを端子Toから出力するので、調光回路9のオペアンプIC2から出力される調光制御信号の電圧に応じたパルス幅のパルスを出力することになる。
【0026】
また、オペアンプIC2は、基準電圧が高くなるにしたがって、基準電圧と電流検出抵抗R7に生じる電圧との差が大きくなり、LED照明モジュール3に流れる電流が減少した状態となる。オペアンプIC2は電圧差の大きい調光制御信号を出力するので、結果的にインバータ回路7の制御装置IC1の端子Toから出力されるパルスの幅が大きくなり、LED照明モジュール3は明るく点灯することになる。
【0027】
逆に、基準電圧が低くなると、LED照明モジュール3に流れる電流が増加した状態となり、オペアンプIC2は基準電圧と電流検出抵抗R7に生じる電圧と差の小さい調光制御信号を出力する。このため、インバータ回路7の制御装置IC1の端子Toから出力されるパルスの幅が小さくなり、LED照明モジュール3は暗く点灯することになる。
【0028】
すなわち、基準電圧に応じた明るさでLED照明モジュール3が点灯することになる。
【0029】
また、調光回路9は、LED照明モジュール3に流れる電流が変動により低下してLED照明モジュール3の発光が低下した場合、電流検出抵抗R7に生じる電圧が低下するので、基準電圧と電流検出抵抗R7に生じる電圧との差が大きくなり、オペアンプIC2は電圧差の大きい調光制御信号を出力し、この結果インバータ回路7の制御装置IC1の端子Toから出力されるパルスの幅が大きくなり、LED照明モジュール3の明るさは一定に保たれることになる。
【0030】
逆に、LED照明モジュール3に流れる電流が増加してLED照明モジュール3の発光が大きくなった場合、電流検出抵抗R7に生じる電圧が大きくなることにより、基準電圧と電流検出抵抗R7に生じる電圧との差が小さくなって、インバータ回路7の制御装置IC1の端子Toから出力されるパルスの幅が小さくなり、LED照明モジュール3の発光は低下され、LED照明モジュール3の明るさは一定に保たれることになる。
[入力電圧検出回路]
入力電圧検出回路10は、スイッチ素子Q1と抵抗R1とコンデンサC4とを有し、抵抗R1とコンデンサC4からなる直列回路が整流回路RC1の出力端子間に接続され、抵抗R1とコンデンサC4の接続点P2がスイッチ素子Q1のベースに接続されている。
【0031】
入力電圧検出回路10は、入力整流平滑回路6の整流回路RC1から整流電圧が出力されると、コンデンサC4が充電されて接続点P2の電圧が上昇していく。この電圧が所定電圧以上になると、スイッチ素子Q1がオンする。すなわち、整流回路RC1から出力される整流電圧が平滑コンデンサC3へ入力されると、スイッチ素子Q1がオンするものであり、このスイッチ素子Q1のオンによって整流電圧の入力を検出するものである。
【0032】
入力電圧検出回路10は、スイッチ素子Q1と抵抗R1とコンデンサC4とから構成されているので、部品点数は少なく簡単な回路構成となっている。
[ソフトスタートリセット回路]
ソフトスタートリセット回路11は、スイッチ素子Q2と抵抗R4とを有している。スイッチ素子Q2のゲートは抵抗R4を介して後述する抵抗R2,R3間の接続点P3に接続され、スイッチ素子Q2のドレインはインバータ回路7の制御装置IC1の端子Tsに接続されており、スイッチ素子Q2のソースはアースラインLaに接続されている。
【0033】
入力電圧検出回路10のスイッチ素子Q1がオフすると、スイッチ素子Q2がオンし、これによりインバータ回路7のコンデンサC5が放電され、制御装置IC1のソフトスタートがリセットされることになる。
【0034】
ソフトスタートリセット回路11は、スイッチ素子Q2と抵抗R4とから構成されているので、部品点数は少なく簡単な回路構成となっている。
[調光信号リセット回路]
調光信号リセット回路12は、フォトカプラPH2と抵抗R2,R3とを有している。フォトカプラPH2の発光ダイオードLd2のカソードはアースラインLaに接続され、発光ダイオードLd2のアノードは抵抗R3及び抵抗R2を介して定電圧電源Vcに接続されている。
【0035】
フォトカプラPH2のフォトトランジスタPd2は、調光回路9のコンデンサC9に並列接続され、フォトトランジスタPd2のエミッタがアースラインLbに接続され、フォトトランジスタPd2のコレクタが調光回路9のオペアンプIC2の−端子に接続されている。
【0036】
入力電圧検出回路10のスイッチ素子Q1がオフすると、抵抗R2,R3の接続点P3の電圧が上昇するので、フォトカプラPH2の発光ダイオードLd2に電流が流れ、発光ダイオードLd2が発光する。この発光ダイオードLd2の発光により、フォトカプラPH2のフォトトランジスタPd2が受光してオンし、調光回路9のコンデンサC9が放電され、調光回路9のオペアンプIC2の−端子の電位がアース電位となって調光回路9はリセットされることになる。
【0037】
調光信号リセット回路12は、フォトカプラPH2と抵抗R2,R3とから構成されているので、部品点数は少なく簡単な回路構成となっている。
[調光信号受信部]
調光信号受信部2cは、整流回路RC2と出力素子Q4などとを有している。整流回路RC2の出力端子間には、2つの抵抗R13,R14からなる直列回路が接続され、抵抗R13,R14の接続点P1が出力素子Q4のゲートに接続され、このゲートはコンデンサC11を介してアースラインLcに接続されている。出力素子Q4のドレインは調光回路9の抵抗R9に接続され、出力素子Q4のソースはアースラインLcに接続されている。
【0038】
整流回路RC2は、PWM制御型調光器4から抵抗R12を介して出力される調光用のパルス変調信号(調光制御信号Vs)を整流し、この整流された整流電圧が抵抗R13,R14に分圧され、この分圧された整流電圧がコンデンサC11により平滑されて一定の直流電圧なって出力素子Q4のゲートに入力し、出力素子Q4のドレインにはゲート電圧に応じた電流が流れ、この電流は定電圧電源Vcから抵抗R6,R9を介して流れるため、調光回路9の接続点P4の電圧を下げることになる。
【0039】
すなわち、PWM制御型調光器4の調光制御信号Vsに応じた調光信号が出力素子Q4から出力されて、調光回路9の接続点P4の電圧Vcをその調光信号に応じて低下させることになる。
【0040】
PWM制御型調光器4から出力される調光制御信号Vsは、LED照明モジュール3の照度を高くする信号であるほどその調光制御信号Vsのパルス幅が小さく、照度が100%のときパルス幅はゼロとなる。このとき、出力素子Q4はオフとなる。
【0041】
出力素子Q4がオフとなると、調光回路9の接続点P4の基準電圧は定電圧電源Vcの電圧となる。このとき、LED照明モジュール3が100%の照度で点灯するように設定されている。
[動 作]
次に、上記のように構成されるLED点灯装置2の動作について説明する。
《電源スイッチオン》
[LED点灯装置2の動作開始が遅い場合]
先ず、図示しないAC電源スイッチの投入時において、PWM制御型調光器4から出力される調光制御信号Vsの出力のタイミングよりLED点灯装置2の動作開始が遅い場合について図3を参照しながら説明する。
【0042】
AC電源スイッチ(図示せず)を投入すると(時点t1)、PWM制御型調光器4から調光制御信号Vsが出力され、調光信号受信部2cから調光信号が出力される。
【0043】
時点t1から所定時間遅れて、LED点灯装置2が立ち上がっていき(時点t2)、時点t3でLED点灯装置2が動作を開始する。
【0044】
LED点灯装置2の立ち上がりにより、すなわち、定電圧電源Vcによりインバータ回路7のコンデンサC7が充電されて制御装置IC1の端子Tcが定電圧電源Vcの電圧になり、制御装置IC1は起動を開始する(時点t3)。
【0045】
制御装置IC1は、起動すると端子TsからコンデンサC5に電圧を印加してコンデンサC5を充電していくとともに端子Toから所定周期のパルスを出力していく。
【0046】
制御装置IC1は、充電によるコンデンサC5の電圧の上昇に合わせて端子Toから出力されるパルスの幅を徐々に大きくしていく。
【0047】
一方、AC電源スイッチの投入により、入力整流平滑回路6により交流電圧が整流されるとともに平滑されて直流電圧となって出力され(時点t3)、トランスT1の一次巻線T1aに印加する。他方、制御装置IC1の端子Toからパルスが所定周期で出力されていくので(時点t3)、トランスT1の一次巻線T1aに印加する直流電圧は断続されて一次巻線T1aに断続電流が流れる。
【0048】
この断続電流によりトランスT1の二次巻線T1bに交流電圧が誘起される。この二次巻線T1bの交流電圧は、出力整流平滑回路8により半波整流されて平滑され、直流電圧(出力電圧)となってLED照明モジュール3に印加し、LED照明モジュール3の各発光ダイオードに電流が流れて各発光ダイオードが点灯していく。
【0049】
ここで、入力整流平滑回路6の整流回路RC1で交流電圧が整流されると、入力電圧検出回路10のコンデンサC4が充電されて接続点P2が所定電圧以上になり、スイッチ素子Q1がオンする(時点t3)。スイッチ素子Q1のオンにより、調光信号リセット回路12の接続点P3がアース電位となり、フォトカプラPH2の発光ダイオードLd2に電流は流れず、また、ソフトスタートリセット回路11のスイッチ素子Q2はオフを維持し、調光信号リセット回路12及びソフトスタートリセット回路11は動作しない。
【0050】
制御装置IC1は、時点t3からソフトスタートしていき、LED照明モジュール3は時点t3から除々に明る点灯していく。コンデンサC5が所定電圧に達すると、ソフトスタートが終了し(時点t4)、制御装置IC1は、端子Tiの電圧に応じたパルス幅のパルス、すなわち、調光回路9のオペアンプIC2の出力端子から出力される調光制御信号に基づいた幅のパルスを出力していき、調光制御信号に応じた明るさでLED照明モジュール3が点灯することになる(時点t5)。
【0051】
このように、AC電源スイッチを投入した直後(時点t2〜t5)に、一瞬明るくなるような問題は生じない。
【0052】
図5の(a)に、ソフトスタート機能を有しない場合のタイムチャートを示す。
【0053】
この場合も、時点t2〜t4間で一瞬明るくなるような問題は生じないが、時点t3〜t4の短時間で調光制御信号に応じた明るさでLED照明モジュール3が点灯されることになる。
[調光制御信号の出力タイミングが遅い場合]
調光制御信号の出力のタイミングがLED点灯装置2の動作開始より遅い場合、図3の(b)に示すように、AC電源スイッチを投入した時点t1でLED点灯装置2が立ち上がっていき、時点t2でLED点灯装置2のインバータ回路7の制御装置IC1が起動して、LED点灯装置2が動作を開始していく。この制御装置IC1の起動により、時点t2からソフトスタートが開始されていく。
【0054】
そして、時点t3になると、PWM制御型調光器4から調光制御信号が出力されていく。この後、時点t4で制御装置IC1のソフトスタートが終了する。このソフトスタートの期間が時点t3から時点t4までとなるように、コンデンサC5の容量を設定しておき、PWM制御型調光器4から調光制御信号Vsが出力されるまでの時間(t1〜t3)より長くなるように設定しておく。
【0055】
時点t4以後は、PWM制御型調光器4から出力される調光制御信号Vsに基づいて調光が行われてLED照明モジュール3が点灯されることになる。
【0056】
ここで、例えば、調光制御信号VsがLED照明モジュール3を50%の明るさで点灯させる信号の場合、時点t4以後は、LED照明モジュール3は50%の明るさで点灯されることになる。
【0057】
この場合、図3の(b)に示すように、時点t2から時点t3の期間では、PWM制御型調光器4から調光制御信号は出力されていないが、この期間ではインバータ回路7の制御装置IC1がソフトスタートしているので、その期間(時点t2〜時点t3)中に、LED照明モジュール3が100%の全光点灯してしまうことがない。
【0058】
すなわち、AC電源スイッチを投入した直後に、50%の明るさで点灯される直前で100%の全光状態で点灯されてしまうという不具合は生じない。
【0059】
図5の(b)は、ソフトスタート機能を有しない場合のタイムチャートを示す。この場合、時点t2〜t3間で調光制御信号Vsがないため、この時点t2〜t3間でLED照明モジュール3が100%の全光点灯する調光制御が行われてしまい、時点t3でLED照明モジュール3が100%の全光点灯してしまう。これ以後は、調光制御信号Vsによる明るさ例えば50%の明るさで点灯する。
【0060】
このように、ソフトスタート機能を有しない場合、時点t2〜t3間で一瞬明るくなってしまうが、この実施例ではこのような問題は生じない。
[調光制御信号が出力されていない場合]
PWM制御型調光器4から調光制御信号Vsが出力されていない場合、すなわち、PWM制御型調光器4が操作されない場合のタイムチャートを図3の(c)に示す。
【0061】
図3の(c)において、AC電源スイッチを投入した時点t1でLED点灯装置2が立ち上がっていき、時点t2でLED点灯装置2のインバータ回路7の制御装置IC1が起動し、時点t2からソフトスタートが開始されていく。そして、ソフトスタートの終了後の時点t4から、調光制御信号Vsが出力されていないことにより、LED照明モジュール3が100%の全光点灯されていく。
【0062】
このように、AC電源スイッチを投入した直後に一瞬明るくなるような問題は生じない。
【0063】
図5の(c)は、ソフトスタート機能を有しない場合のタイムチャートを示す。この場合、ソフトスタート機能を有しないことにより、時点t2から時点t3までの短時間でLED照明モジュール3が100%の全光点灯で点灯されることになる。
《電源スイッチオフ》
[LED点灯装置2の立ち下がりが遅い場合]
次に、AC電源スイッチをオフにした時点からPWM制御型調光器4の調光制御信号Vsの出力停止よりLED点灯装置2の立ち下がりが遅い場合について説明する。
【0064】
図4の(a)に示すように、時点t5でAC電源スイッチがオフされると、この時点t5でPWM制御型調光器4の調光制御信号Vsの出力が停止される。
【0065】
また、AC電源スイッチのオフにより(時点t5)、入力整流平滑回路6の整流回路RC1から整流電圧が出力されなくなる。このため、入力電圧検出回路10のスイッチ素子Q1がオフし、接続点P3の電位がアースラインLaより高くなることにより、調光信号リセット回路12のフォトカプラPH2の発光ダイオードLd2に電流が流れ、発光ダイオードLd2が発光する。この発光ダイオードLd2の発光により、フォトカプラPH2のフォトトランジスタPd2が受光し、フォトトランジスタPd2がオンする。 フォトトランジスタPd2のオンにより、調光回路9のコンデンサC9の放電が開始され(時点t5)、調光回路9はリセットされる(時点t6)。
【0066】
コンデンサC9の放電とともに調光回路9のオペアンプIC2は、基準電圧と電流検出抵抗R7に生じる電圧との差が短時間(時点t5〜時点t6)で大きくなっていき、インバータ回路7の制御装置IC1の端子Toから出力されるパルスの幅が急激に小さくなっていく。このため、LED照明モジュール3は時点t5から急激に減光していく。
【0067】
一方、調光信号リセット回路12のフォトカプラPH2の発光ダイオードLd2に電流が流れることにより、抵抗R2,R3の接続点P3が所定電圧となり、ソフトスタートリセット回路11のスイッチ素子Q2がオンする。この場合、AC電源スイッチのオフにより、定電圧電源Vcからの電源電圧の供給が停止されていても、コンデンサC7の放電によりフォトカプラPH2の発光ダイオードLd2に電流が流れることになる。
【0068】
スイッチ素子Q2がオンすると、インバータ回路7のコンデンサC5は放電され、制御装置IC1の端子Tsはアース電位となり、制御装置IC1の端子Toからのパルスの出力は停止される(時点t6)。
【0069】
パルスの出力停止により、LED照明モジュール3は消灯し(時点t6)、この後、時点t7でLED点灯装置2は立ち下がっていき、時点t8でLED点灯装置2は完全にオフとなる。
【0070】
このように、時点t5でPWM制御型調光器4の調光制御信号Vsの出力が停止された後も、時点t7まではLED点灯装置2は動作しているが、調光信号リセット回路12により調光回路9が時点t5からリセットされて、LED照明モジュール3は急激に減光されていくため、時点t5から時点t7までの期間で、LED照明モジュール3が明るく点灯し続けてしまうことがない。
【0071】
また、ソフトスタートリセット回路11により、AC電源スイッチがオフされてから(時点t5)から短時間でLED照明モジュール3を消灯(時点t6)させることができ、調光信号リセット回路12によりAC電源スイッチがオフされてから(時点t5)からLED照明モジュール3を急激に減光させることができる。
【0072】
図6の(a)は、ソフトスタートリセット回路11や調光信号リセット回路12などがない場合のタイムチャートを示す。
【0073】
上記と同様に、調光制御信号Vsの出力停止後も時点t5−時点t7の期間でLED点灯装置が動作する場合、調光制御信号Vsが出力されていないことにより、LED照明モジュール3は100%の照度で点灯することになる。
【0074】
すなわち、従来のものは、調光制御信号Vsの出力が停止した後も一定期間の間、LED照明モジュールは明るく点灯し続けてしまい、しかも、減光してから消灯するまでの時間(時点t6〜t8)が長くなってしまう。また、LED照明モジュール3の減光の度合いが低く、除々に減光して消灯することになり、減光している時間が長いものとなる。
【0075】
図4の(b)は、PWM制御型調光器4の調光制御信号Vsによって、図4の(a)よりもLED照明モジュール3が点灯する照度を低く設定した場合を示す。
【0076】
この図4の(b)の場合も、上記と同様に、時点t5でAC電源スイッチがオフされ、時点t5でPWM制御型調光器4の調光制御信号Vsの出力が停止され、この時点t5から調光信号リセット回路12により調光回路9がリセットされてLED照明モジュール3が急激に減光されて消灯されるため、時点t5から時点t7までの期間で、調光制御信号Vsが出力されていないにも関わらず、LED照明モジュール3が明るく点灯されてしまうことがない。
【0077】
図6の(b)は、調光信号リセット回路12などがない場合のタイムチャートを示す。
【0078】
この場合、時点t5以後でもLED点灯装置は動作しているので、調光制御信号Vsの出力が停止されていることにより、LED照明モジュールは時点t6〜時点t7の期間で100%の照度で点灯されてしまう。
【0079】
時点t5以前では、例えば50%の照度でLED照明モジュールが点灯されていた場合、時点t5でAC電源スイッチをオフにすると、LED照明モジュールは時点t6−時点t7の期間で100%の照度で点灯され、その後消灯されることになる。すなわち、AC電源スイッチをオフにすると、このオフにする前の明るさより一瞬明るくなって消灯するという不自然な問題が生じる。
【0080】
この実施例では、図4の(b)に示すように、このような不自然な問題は生じない。
[調光制御信号が出力されない場合]
図4の(c)は、調光制御信号Vsが出力されていない場合のタイムチャートを示す。
【0081】
図4の(c)において、時点t5でAC電源スイッチがオフされ、時点t5でPWM制御型調光器4の調光制御信号Vsの出力が停止される。
【0082】
一方、LED点灯装置2は立ち下がりが遅いことにより、時点t7まで動作し、その後立ち下がって時点8で完全にオフとなる。
【0083】
ところで、時点t5以後では、調光信号リセット回路12により調光回路9がリセットされていくため、時点t5から時点t7までの期間で、調光制御信号Vsが出力されていないにも関わらず、上述のように調光信号リセット回路12により調光回路9がリセットされることによって、LED照明モジュール3が明るく点灯されてしまうことがない。しかも、調光信号リセット回路12により時点t5から時点t6までの短時間でLED照明モジュール3は消灯することになる。
【0084】
図6の(c)は、調光信号リセット回路12などがない場合のタイムチャートを示す。
【0085】
この場合、AC電源スイッチがオフされた時点t5以後でもLED点灯装置は時点t6まで動作しているので、調光制御信号の出力が停止されていることにより、LED照明モジュールは時点t5〜t6の期間で100%の照度で点灯する。そして、時点t6でLED点灯装置が立ち下がっていくことにより、LED照明モジュールは、徐々に照度が低下して、時点t8で消灯することになる。
【0086】
調光信号リセット回路12がないので、時点t6〜t8は図4の(c)の時点t5〜t6の期間より長くなる。
【0087】
上述したように、入力電圧検出回路10とソフトスタートリセット回路11と調光信号リセット回路12とは、簡単な回路構成でその部品点数は少ないものとなっている。また、AC電源スイッチをオンした直後やオフした直後にLED照明モジュール3が一瞬明るく点灯してしまうことがないので、使用者に違和感を感じさせてしまうことがない。
【0088】
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0089】
2 LED点灯装置
4 PWM制御型調光器(調光器)
6 入力整流平滑回路
7 インバータ回路
8 出力整流平滑回路
9 調光回路
10 入力電圧検出回路
11 ソフトスタートリセット回路
12 調光信号リセット回路
Q3 スイッチング素子
IC1 制御装置
T1 トランス
図1
図2
図3
図4
図5
図6