(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6191206
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】蓄熱器及び収容庫
(51)【国際特許分類】
F25D 16/00 20060101AFI20170828BHJP
F28D 20/00 20060101ALI20170828BHJP
F25D 3/00 20060101ALN20170828BHJP
【FI】
F25D16/00
F28D20/00 Z
!F25D3/00 C
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-82407(P2013-82407)
(22)【出願日】2013年4月10日
(65)【公開番号】特開2014-206292(P2014-206292A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2016年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】榎並 義晶
(72)【発明者】
【氏名】吉田 仁
【審査官】
西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−234778(JP,A)
【文献】
実公昭55−010812(JP,Y2)
【文献】
特開平09−280714(JP,A)
【文献】
特開平09−318222(JP,A)
【文献】
特開2000−220978(JP,A)
【文献】
特開2000−241092(JP,A)
【文献】
特開2014−137209(JP,A)
【文献】
実開昭57−097869(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00 − 16/00
F28D 1/00
F28D 20/00
F28F 1/12 − 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷媒を通過させる冷媒配管と、
前記冷媒配管の所定領域の外周面において、それぞれが該冷媒配管の径外方向に向けて延在するとともに該冷媒配管の軸方向に並ぶ態様で設けられた複数のフィン部材と、
内部に蓄熱剤が封入された状態で前記フィン部材を含む前記冷媒配管の所定領域の外周域を覆うよう配設されたカバー部材と
を備えた蓄熱器であって、
前記カバー部材は、互いに隣接するフィン部材間に対応する部位が該フィン部材の径外方向端部よりも前記冷媒配管に近接する態様で配設されており、
前記カバー部材における互いに隣接するフィン部材間に対応する部位の一部を覆う態様で配設され、かつ自身が覆う被覆部分を該フィン部材の径外方向端部よりも前記冷媒配管に近接させる態様で該被覆部分の径方向の大きさを規制する環状の規制部材を備えたことを特徴とする蓄熱器。
【請求項2】
内部に冷媒を通過させる冷媒配管と、
前記冷媒配管の所定領域の外周面において、それぞれが該冷媒配管の径外方向に向けて延在するとともに該冷媒配管の軸方向に並ぶ態様で設けられた複数のフィン部材と、
内部に蓄熱剤が封入された状態で前記フィン部材を含む前記冷媒配管の所定領域の外周域を覆うよう配設されたカバー部材と
を備えた蓄熱器であって、
前記カバー部材は、互いに隣接するフィン部材間に対応する部位が該フィン部材の径外方向端部よりも前記冷媒配管に近接する態様で配設され、かつ前記冷媒配管を覆うよう封止された部分が前記蓄熱剤よりも上方となるよう設けられたことを特徴とする蓄熱器。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記冷媒配管を覆うよう封止された部分が前記蓄熱剤よりも上方となるよう設けられたことを特徴とする請求項1に記載の蓄熱器。
【請求項4】
前記カバー部材は、樹脂材料から構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の蓄熱器。
【請求項5】
前記カバー部材と前記フィン部材との間に介在し、かつ前記蓄熱剤の通過を許容する孔部が形成された薄膜状の保護部材を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の蓄熱器。
【請求項6】
前記所定領域が互いに平行となる態様で複数の冷媒配管が並設される場合、あるいは前記所定領域が互いに平行となる態様で1つの冷媒配管が蛇行する態様で配設される場合において、それぞれの所定領域を覆うカバー部材の外周端部が該所定領域における冷媒の通過方向から見て互いに重なり合うように配置されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の蓄熱器。
【請求項7】
上記請求項1〜6のいずれか1つに記載の蓄熱器を備えたことを特徴とする収容庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱器及び収容庫に関し、より詳細には、収納する蓄熱剤に蓄えられた熱により周囲温度を所望の温度に調整する蓄熱器と、この蓄熱器を備えた収容庫とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、収納する蓄熱剤に蓄えられた熱により周囲温度を所望の温度に調整する蓄熱器として、複数の伝熱ケースと、蓄冷部材と、冷媒配管とを備えたものが知られている。
【0003】
伝熱ケースは、一対の伝熱板が結合されることにより構成される平板状のものであり、それぞれが支持部材に支持されて所定間隔毎に並設されている。蓄冷部材は、可撓性を有する袋体にゾル状又はゲル状の蓄冷剤を収容してなるもので、各伝熱ケース内に収容されている。冷媒配管は、冷凍機から供給された冷媒が通過する配管であり、各伝熱ケース内において蓄冷部材に包み込まれるよう挿入されている。
【0004】
このような蓄熱器においては、冷媒配管に冷媒が通過することにより、冷媒の熱(冷熱)が蓄冷部材の蓄冷剤に蓄えられ、蓄冷剤に蓄えられた冷熱により伝熱ケースの周囲空気を冷却することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−280714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したような蓄熱器では、蓄冷部材を収容する伝熱ケースは平板状の形態を成していたために、蓄冷剤に蓄えた冷熱により自身の周囲空気を冷却するための伝熱面積を拡大させるには伝熱ケースの容積を拡大させる必要があり、蓄熱器自体を大型化しなければならなかった。また、上記蓄熱器では、各伝熱ケース内において冷媒配管が蓄冷部材に包み込まれるよう挿入されていたので、冷媒配管の外周面を通じて該冷媒配管の径外方向に向かって冷媒の冷熱が蓄冷剤に伝達されることになる。つまり、蓄冷剤への冷熱の伝達は冷媒配管の径外方向という放射状の方向のみとなり、蓄冷剤によってはかかる放射状の方向に沿って冷媒配管から大きく離間した部位が存在すると、蓄冷剤を凍結させるための凍結時間、すなわち蓄熱剤に熱を蓄えさせるための蓄熱時間が長大化してしまう。このように蓄熱時間が長大化してしまうと、結果的に周囲温度を所望の冷却温度に要する時間の長大化を招来していた。
【0007】
尚、ここでは蓄冷剤に冷熱を伝達して蓄えさせる蓄熱器について説明したが、蓄熱剤に例えば温熱を伝達して蓄えさせる蓄熱器においても同様の問題が生ずることはいうまでもない。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて、大型化を招来せずに周囲温度を所望の温度に調整する時間の短縮化を図ることができる蓄熱器及び収容庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る蓄熱器は、内部に冷媒を通過させる冷媒配管と、前記冷媒配管の所定領域の外周面において、それぞれが該冷媒配管の径外方向に向けて延在するとともに該冷媒配管の軸方向に並ぶ態様で設けられた複数のフィン部材と、内部に蓄熱剤が封入された状態で前記フィン部材を含む前記冷媒配管の所定領域の外周域を覆うよう配設されたカバー部材とを備えた蓄熱器であって、前記カバー部材は、互いに隣接するフィン部材間に対応する部位が該フィン部材の径外方向端部よりも前記冷媒配管に近接する態様で配設されて
おり、前記カバー部材における互いに隣接するフィン部材間に対応する部位の一部を覆う態様で配設され、かつ自身が覆う被覆部分を該フィン部材の径外方向端部よりも前記冷媒配管に近接させる態様で該被覆部分の径方向の大きさを規制する環状の規制部材を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る蓄熱器は、
内部に冷媒を通過させる冷媒配管と、前記冷媒配管の所定領域の外周面において、それぞれが該冷媒配管の径外方向に向けて延在するとともに該冷媒配管の軸方向に並ぶ態様で設けられた複数のフィン部材と、内部に蓄熱剤が封入された状態で前記フィン部材を含む前記冷媒配管の所定領域の外周域を覆うよう配設されたカバー部材とを備えた蓄熱器であって、前記カバー部材は、互いに隣接するフィン部材間に対応する部位が該フィン部材の径外方向端部よりも前記冷媒配管に近接する態様で配設され、かつ前記冷媒配管を覆うよう封止された部分が前記蓄熱剤よりも上方となるよう設けられたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に係る蓄熱器は、上述した請求項
1において、前記カバー部材は、前記冷媒配管を覆うよう封止された部分が前記蓄熱剤よりも上方となるよう設けられたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4に係る蓄熱器は、上述した請求項1〜3のいずれか1つにおいて、前記カバー部材は、樹脂材料から構成されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項5に係る蓄熱器は、上述した請求項1〜4のいずれか1つにおいて、前記カバー部材と前記フィン部材との間に介在し、かつ前記蓄熱剤の通過を許容する孔部が形成された薄膜状の保護部材を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項6に係る蓄熱器は、上述した請求項1〜5のいずれか1つにおいて、前記所定領域が互いに平行となる態様で複数の冷媒配管が並設される場合、あるいは前記所定領域が互いに平行となる態様で1つの冷媒配管が蛇行する態様で配設される場合において、それぞれの所定領域を覆うカバー部材の外周端部が該所定領域における冷媒の通過方向から見て互いに重なり合うように配置されたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項7に係る収容庫は、上記請求項1〜6のいずれか1つに記載の蓄熱器を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カバー部材は、互いに隣接するフィン部材間に対応する部位が該フィン部材の径外方向端部よりも冷媒配管に近接する態様で配設されているので、蓄熱剤を封入するカバー部材の表面には凹凸が形成されることとなり、この結果、自身の周囲空気に対する伝熱面積を拡大させることができ、これにより、大型化を抑制することができる。また、カバー部材は、互いに隣接するフィン部材間に対応する部位が該フィン部材の径外方向端部よりも冷媒配管に近接する態様で配設されていることで、冷媒配管及びフィン部材と、カバー部材との離間距離を略一定にすることができ、つまり冷媒配管及びフィン部材から大きく離隔した局部を形成しないので、蓄熱剤に熱を蓄えさせるための蓄熱時間の短縮化を図ることができる。従って、大型化を招来せずに周囲温度を所望の温度に調整する時間の短縮化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である蓄熱器が適用された収容庫、すなわち本発明の実施の形態である収容庫の内部構造を模式的に示す模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した蓄熱器の縦断面を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る蓄熱器及び収容庫の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態である蓄熱器が適用された収容庫、すなわち本発明の実施の形態である収容庫の内部構造を模式的に示す模式図である。ここで例示する収容庫は、内部に収容された商品を所望の温度に冷却した状態に保持するためのもので、収容庫本体1と蓄熱器30とを備えて構成されている。
【0020】
収容庫本体1は、本体キャビネット10と前面扉20とを備えて構成されている。本体キャビネット10は、複数の金属板を適宜組み合わせることによって前面が開口した直方体状に構成されており、その内面に予め板状に成形した断熱ボード(図示せず)が配設されることにより断熱構造を有するものである。断熱ボードは、発泡ウレタン等の断熱材によって成形した板状部材の表裏両面にそれぞれ面材として樹脂フィルムやクラフト紙が貼着されたものである。
【0021】
このような本体キャビネット10の下部にはキャスタ11が配設されており、本体キャビネット10は移動可能なものである。本体キャビネット10の内部は、仕切板12により上下に区画されており、仕切板12の上部空間は、蓄熱器30を収容するための装置収容空間10aであり、仕切板12の下部空間は、商品を収容するための商品収容空間10bである。図には明示しないが、仕切板12には、装置収容空間10aと商品収容空間10bとを連通するための複数の連通孔が穿設されている。
【0022】
前面扉20は、本体キャビネット10の前面開口を開閉するためのものであり、断熱構造を有している。
【0023】
蓄熱器30は、仕切板12の上面に載置されている。
図2は、
図1に示した蓄熱器の縦断面を模式的に示す断面図である。この
図2に示すように、蓄熱器30は、冷媒配管31と、カバー部材32と、規制部材33とを備えて構成されている。
【0024】
冷媒配管31は、例えば金属等の熱伝導性に優れた材料から構成されており、内部に冷媒を通過させるための冷媒通路31aが形成されている。この冷媒配管31は、全体として略コ字状に屈曲されている。より詳細には、冷媒配管31は、水平方向に沿って延在する水平延在部311と、この水平延在部311の左端部より上方に向けて延在する左方上延部312と、該水平延在部311の右端部より上方に向けて延在する右方上延部313とを有している。
【0025】
水平延在部311は、本発明の所定領域に相当するものであり、左右方向が長手方向となる長尺状のものである。この水平延在部311の外周面には、該水平延在部311の軸方向(左右方向)に沿って複数のフィン部材34が所定間隔毎に並設されている。これらフィン部材34は、それぞれ外径及び内径が略同じ大きさの円環状の形態を成しており、特に内径は冷媒配管31(水平延在部311)の外径と同等か僅かに大きいものである。このようなフィン部材34は、それぞれの中空部分341に水平延在部311が相対的に進入してロウ付け等されることで該水平延在部311に熱的に接続されており、それぞれが水平延在部311(冷媒配管31)の径外方向に向けて延在するよう放射状に配設されている。
【0026】
左方上延部312は、水平延在部311に配設されたフィン部材34よりも上方に向けて延在しており、その上端部が冷媒供給管2に連結されている。右方上延部313は、水平延在部311に配設されたフィン部材34よりも上方に向けて延在しており、その上端部が冷媒送出管3に連結されている。
【0027】
冷媒供給管2及び冷媒送出管3は、それぞれ蓄熱器30(冷媒配管31)と冷凍機40とを接続するための配管である。
【0028】
冷凍機40は、
図1に示すように、圧縮機41及び凝縮器42を備えて構成されている。圧縮機41は、その入口側が冷媒送出管3に接続されており、この冷媒送出管3を通じて蓄熱器30から冷媒を吸引し、吸引した冷媒を圧縮して高温高圧の状態にするものである。凝縮器42は、その入口側が圧縮機41の出口側に接続された配管に接続されており、その出口側が冷媒供給管2に接続されている。この凝縮器42は、圧縮機41で圧縮されて吐出された冷媒を周囲空気と熱交換させて凝縮させ、冷媒供給管2を通じて凝縮させた冷媒を蓄熱器30に供給するものである。
【0029】
このような冷凍機40は、本発明の実施の形態においては、収容庫に対して着脱可能に設けられている。図には明示しないが、冷媒供給管2の供給端部と、左方上延部312の上端部とはコネクタ部材を介して着脱可能となっており、冷媒送出管3の送出端部と、右方上延部313の上端部とはコネクタ部材を介して着脱可能となっている。
【0030】
そして、冷媒配管31に冷媒を通過させる場合には、冷媒供給管2及び冷媒送出管3と、冷媒配管31とを接続し、冷媒配管31に冷媒を通過させる必要がない場合には、冷媒供給管2及び冷媒送出管3と、冷媒配管31とを離脱させるようにしている。
【0031】
尚、本発明においては、冷凍機40は、収容庫に対して着脱可能なものではなく、常時収容庫に収容されるものであってもよい。この場合、冷凍機40は、本体キャビネット10において商品収容空間10bの下方において該商品収容空間10bと画成された収容室に収容されてもよいし、本体キャビネット10の強度が十分に大きければ、本体キャビネット10の上面に載置されてもよい。
【0032】
冷媒供給管2は、冷凍機40から蓄熱器30に冷媒を供給するための配管であり、上述したように冷媒配管31の左方上延部312の上端部に接続されている。この冷媒供給管2には、図には明示しないが、その途中に膨張機構が配設されている。膨張機構は、膨張弁若しくはキャピラリーチューブ等により構成されており、凝縮器42で凝縮された冷媒を減圧して断熱膨張させるものである。
【0033】
冷媒送出管3は、蓄熱器30から冷凍機40に冷媒を送出するための配管であり、上述したように送出端部が右方上延部313に接続されている。
【0034】
カバー部材32は、例えばフィルム等の薄膜状の樹脂材料から構成されるものであり、両端部が開放した筒状の形態を成すものである。ここでカバー部材32は、その内部に樹脂繊維等が埋め込まれて補強されたものであることが好ましい。
【0035】
このカバー部材32は、フィン部材34を含む冷媒配管31の水平延在部311の外周域を覆うよう、内部に例えば塩水等の蓄冷剤35が封入された状態で両端部がそれぞれ封止部材36に封止されている。より詳細には、カバー部材32の一端部は、左方上延部312の下方部を覆った状態で一方の封止部材36に封止されており、カバー部材32の他端部は、右方上延部313の下方部を覆った状態で他方の封止部材36に封止されている。ここで、カバー部材32は、封止部材36により封止される部分が蓄冷剤35よりも上方、すなわち蓄冷剤35の液面よりも高さHだけ上方となるよう配設されている。
【0036】
図2中の符号37は保護部材である。保護部材37は、例えばメッシュ材のように複数の孔部(図示せず)が形成された薄膜状のものであり、両端部が開放した筒状の形態を成している。この保護部材37は、両端部37aがゴム等の弾性体によりその径方向が伸縮可能となっており、フィン部材34とカバー部材32との間に介在する態様ですべてのフィン部材34を内包するよう、両端部37aが水平延在部311の両端近傍に取り付けられている。この保護部材37の孔部は、蓄冷剤35が通過することを許容するものである。
【0037】
規制部材33は、左右一対の半円環状の規制部331どうしの端部332を合わせて接合させることで円環状の形態を成すものである。このような規制部材33の外径は、フィン部材34の外径よりも小さいものであり、内径は、冷媒配管31の外径よりも大きいものである。かかる規制部材33は、互いに隣接するフィン部材34間、最も左方のフィン部材34と左方上延部312との間、並びに最も右方のフィン部材34と右方上延部313との間において、カバー部材32の一部を覆うようにして対応する規制部331どうしを接合することにより設けられている。これにより、規制部材33は、自身が覆う被覆部分をフィン部材34の径外方向端部よりも冷媒配管31に近接させる態様で該被覆部分の径方向の大きさを規制している。この結果、カバー部材32は、少なくとも互いに隣接するフィン部材34間に対応する部位が該フィン部材34の径外方向端部よりも冷媒配管31に近接する態様で配設されている。
【0038】
このような構成を有する収容庫においては、蓄熱器30の蓄冷剤35を凍結させる場合、すなわち蓄冷剤35を蓄熱させる場合には、冷媒供給管2及び冷媒送出管3と、冷媒配管31とを接続して冷凍機40を駆動させる。
【0039】
これにより、圧縮機41で圧縮された高温高圧の冷媒が凝縮器42で凝縮された後に冷媒供給管2を通過し、その途中で膨張機構により断熱膨張して低温低圧の冷媒となって蓄熱器30の冷媒配管31を通過する。冷媒配管31を通過する冷媒は、該冷媒配管31を通過中にフィン部材34等を通じて蓄冷剤35と熱交換を行うことで蒸発し、その後に冷媒送出管3を通じて圧縮機41に吸引されて循環を繰り返す。この結果、蓄冷剤35は、冷媒配管31を通過する冷媒により冷却されて凍結する。
【0040】
このように本実施の形態である蓄熱器30においては、カバー部材32は、互いに隣接するフィン部材34間に対応する部位、最も左方のフィン部材34と左方上延部312との間に対応する部位、並びに最も右方のフィン部材34と右方上延部313との間に対応する部位が該フィン部材34の径外方向端部よりも冷媒配管31に近接する態様で配設されているので、蓄冷剤35を封入するカバー部材32の表面には凹凸が形成されることとなり、この結果、大型化を抑制して自身の周囲空気に対する伝熱面積を拡大させることができる。また、カバー部材32は、互いに隣接するフィン部材34間に対応する部位等が該フィン部材34の径外方向端部よりも冷媒配管31に近接する態様で配設されていることで、冷媒配管31及びフィン部材34と、カバー部材32との離間距離を略一定にすることができ、つまり冷媒配管31及びフィン部材34から大きく離隔した局部を形成しないので、蓄冷剤35を凍結させるための凍結時間、すなわち蓄熱剤に熱を蓄えさせるための蓄熱時間の短縮化を図ることができる。
【0041】
従って、本発明の実施の形態である蓄熱器30によれば、大型化を招来せずに周囲温度を所望の温度に調整する時間の短縮化を図ることができる。
【0042】
また、上記蓄熱器30によれば、カバー部材32は、封止部材36により封止される部分が蓄冷剤35よりも上方、すなわち蓄冷剤35の液面よりも高さHだけ上方となるよう配設されているので、蓄冷剤35の凍結及び融解等による蓄冷剤35の体積変動が生じても蓄冷剤35を良好に封止させることができる。
【0043】
また、上記蓄熱器30によれば、蓄冷剤35の通過を許容する複数の孔部が形成された保護部材37が、カバー部材32とフィン部材34との間に介在するよう設けられているので、フィン部材34のエッジ部分等でカバー部材32が損傷等することを防止することができる。
【0044】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0045】
上述した実施の形態では、規制部材33は、左右一対の半円環状の規制部331どうしの端部332を合わせて接合させることで円環状の形態を成すものであったが、本発明では、弾性体を内蔵することで径方向に伸縮可能な円環状のものであっても良い。また、本発明では、かかる規制部材33は、必須ではなく、加熱等により、カバー部材における互いに隣接するフィン部材間に対応する部位を熱収縮させることで当該部位をフィン部材の径外方向端部よりも冷媒配管に近接させるようにしても良い。
【0046】
上述した実施の形態では、保護部材37が設けられていたが、本発明においては、かかる保護部材37は設けられていなくても良い。
【0047】
上述した実施の形態では、略コ字状に屈曲された1つの冷媒配管31を備えた蓄熱器30について説明したが、本発明においては、所定領域である水平延在部311が互いに平行となる態様で複数の冷媒配管31が並設された蓄熱器30に対しても適用することができる。この場合、各冷媒配管31の水平延在部311を覆うカバー部材32は、
図3に示すように、それぞれの水平延在部311を覆うカバー部材32の外周端部が該水平延在部311における冷媒の通過方向から見て互いに重なり合うように配置されていることが好ましい。このような構成によれば、単位体積あたりのカバー部材32表面と周囲空気との接触面積を増大させることができ、蓄熱器30全体の大型化を抑制しつつ周囲温度を所望の温度に調整する時間の短縮化を図ることができる。
【0048】
上述した実施の形態では、略コ字状に屈曲された1つの冷媒配管31を備えた蓄熱器30について説明したが、本発明においては、所定領域である水平延在部311が互いに平行となる態様で1つの冷媒配管31が蛇行する態様で設けられた蓄熱器30に対しても適用することができる。この場合、各水平延在部311を覆うカバー部材32は、
図4に示すように、外周端部が該水平延在部311における冷媒の通過方向から見て互いに重なり合うように配置されていることが好ましい。このような構成によれば、単位体積あたりのカバー部材32表面と周囲空気との接触面積を増大させることができ、蓄熱器30全体の大型化を抑制しつつ周囲温度を所望の温度に調整する時間の短縮化を図ることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 収容庫本体
10 本体キャビネット
20 前面扉
30 蓄熱器
31 冷媒配管
31a 冷媒通路
311 水平延在部
312 左方上延部
313 右方上延部
32 カバー部材
33 規制部材
331 規制部
34 フィン部材
35 蓄冷剤(蓄熱剤)
36 封止部材
37 保護部材