(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検出手段は、前記先端側画像データに基づき、前記エッジ画像データとして、前記原稿の前側の端部を含む前側画像データと、当該原稿の左側の端部の一部を含む左側画像データと、当該原稿の右側の端部の一部を含む右側画像データとを作成し、
前記変換手段は、前記ハフ変換データとして、前記前側画像データから前端ハフ変換データを、前記左側画像データから左端ハフ変換データを、前記右側画像データから右端ハフ変換データを、それぞれ作成し、
前記決定手段は、前記前端ハフ変換データから求められた前端角度と、前記左端ハフ変換データから求められた左端角度と、前記右端ハフ変換データから求められた右端角度とに基づいて、前記傾斜角度を決定すること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像読み取り装置。
前記検出手段が作成した前記エッジ画像データから、前記原稿の端部以外と判断されたエッジ成分を除外して前記変換手段に供給する除外手段をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像読み取り装置。
前記検出手段は、前記原稿の前側の端部、当該原稿の左側の端部および当該原稿の右側の端部を含む前記先端側画像データを取得し、当該右側の端部、当該左側の端部および当該右側の端部が得られるように前記エッジ画像データを作成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像読み取り装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像読み取り装置の全体構成の一例を示す図である。
この画像読み取り装置は、積載された原稿束から原稿Mを順次搬送する原稿送り装置10と、スキャンによって原稿の画像を読み取るスキャナ装置40とを備えている。
【0011】
原稿送り装置10は、複数枚の原稿Mからなる原稿束を積載する原稿収容部11、この原稿収容部11の下方に設けられ、読み取りが終了した原稿Mを積載する排紙収容部12を備える。また、原稿送り装置10は原稿収容部11の原稿Mを取り出して搬送する取り出しロール13を備える。さらに、取り出しロール13の原稿搬送方向下流側には、原稿Mを1枚ずつに捌く捌き機構14が設けられる。原稿Mが搬送される搬送路15には、原稿搬送方向上流側から順に、第1搬送ロール16、第2搬送ロール17、第3搬送ロール18および第4搬送ロール19が設けられる。これらのうち、第1搬送ロール16および第2搬送ロール17は、スキャナ装置40による読み取り位置に向けて原稿Mを送り出す。第3搬送ロール18は、読み取り位置を通過することによりスキャナ装置40にて読み込まれた原稿Mをさらに下流に搬送する。そして、第4搬送ロール19は、読み込まれた原稿Mをさらに搬送するとともに排紙収容部12に排出する。
【0012】
また、読み取り位置には、図中手前側から奥側に向かって伸び白色の板状部材にて構成され、読み取り位置を通過する原稿Mの背景ともなる反射板20が設けられている。この反射板20は、シェーディング補正用の白基準としても用いられる。
【0013】
また、原稿送り装置10は、原稿収容部11に収容される原稿の幅(主走査方向の長さ)を検知する原稿幅検知センサ21を備えている。
【0014】
一方、スキャナ装置40は、上述した原稿送り装置10を開閉可能に支持すると共に、この原稿送り装置10を装置フレーム41によって支え、また、原稿送り装置10によって搬送される原稿Mの画像読み取りを行う。このスキャナ装置40は、筐体を形成する装置フレーム41、画像を読み込むべき原稿Mが静止させた状態で置かれる第1プラテンガラス42A、反射板20の下方に設けられ、原稿送り装置10によって搬送される原稿Mを読み取るための光の開口部を構成する第2プラテンガラス42Bを備えている。
【0015】
また、スキャナ装置40は、第2プラテンガラス42Bの下に静止し、あるいは第1プラテンガラス42Aの全体にわたってスキャンして画像を読み込むフルレートキャリッジ43、フルレートキャリッジ43から得られた光を結像部へ供給するハーフレートキャリッジ45を備えている。ここで、フルレートキャリッジ43は、原稿Mに光を照射する光源装置44A(白色光源)および光源装置44Aからの光を原稿Mに向けて反射する光源ミラー44Bと、原稿Mから得られた反射光を受光する第1ミラー46Aとを備えている。一方、ハーフレートキャリッジ45は、第1ミラー46Aから得られた光を結像部へ提供する第2ミラー46Bおよび第3ミラー46Cを有している。
【0016】
さらにまた、スキャナ装置40は、結像用レンズ47および受光部48を備えている。これらのうち、結像用レンズ47は、第3ミラー46Cから得られた光学像を光学的に縮小する。また、受光部48は、結像用レンズ47によって結像された光学像を光電変換する。つまり、スキャナ装置40では、所謂縮小光学系を用いて受光部48に像を結像させている。また、本実施の形態では、受光部48として、主走査方向に沿って設けられた赤色用、緑色用および青色用の各撮像素子列を、副走査方向に並べて配置したものを用いている。これにより、読み取り手段の一例としての受光部48を用いて、原稿Mに形成された画像をフルカラー画像として読み取るようになっている。
【0017】
そして、スキャナ装置40は、制御・画像処理ユニット49をさらに備える。この制御・画像処理ユニット49は、受光部48から入力される原稿Mの画像データに各種画像処理を施す。また、制御・画像処理ユニット49は、読み取り装置の読み取り動作における各部の動作を制御する。
【0018】
例えば第1プラテンガラス42Aに置かれた原稿Mの画像を読み取る固定読み取りモードでは、フルレートキャリッジ43とハーフレートキャリッジ45とが、2:1の割合で矢印方向に移動する。このとき、フルレートキャリッジ43に設けられた光源装置44Aからの光が、原稿Mの被読み取り面に照射される。そして、原稿Mからの反射光が第1ミラー46A、第2ミラー46B、および第3ミラー46Cの順に反射されて結像用レンズ47に導かれる。結像用レンズ47に導かれた光は、受光部48の受光面に結像される。受光部48を構成する各色用の撮像素子列はそれぞれ1次元のセンサで構成されており、1ライン分を同時に処理している。このライン方向(読み取りの主走査方向)と交差する方向(読み取りの副走査方向)にフルレートキャリッジ43およびハーフレートキャリッジ45を移動させ、原稿Mの次の1ラインを読み取る。これを原稿Mの全体に亘って実行することで、1ページの原稿読み取りを完了させる。
【0019】
一方、原稿送り装置10によって搬送される原稿Mの画像を読み取る搬送読み取りモードでは、副走査方向に搬送される原稿Mがこの第2プラテンガラス42Bの上を通過する。このとき、フルレートキャリッジ43およびハーフレートキャリッジ45は、
図1に示す実線の位置に停止した状態におかれる。そして、搬送されてくる原稿Mの1ライン目の反射光が、第1ミラー46A、第2ミラー46B、および第3ミラー46Cを経て結像用レンズ47にて結像され、受光部48によって画像が読み込まれる。すなわち、受光部48によって主走査方向の1ライン分を同時に処理した後、原稿送り装置10によって搬送される原稿Mの次の主走査方向の1ライン分が読み込まれる。そして、原稿Mの先端が第2プラテンガラス42Bの読み取り位置に到達した後、この原稿Mの後端が第2プラテンガラス42B上の読み取り位置を通過することによって、原稿Mを主走査方向1ラインずつ順次読み取ることで、副走査方向に亘って1ページの原稿読み取りが完了する。
【0020】
なお、本実施の形態の画像読み取り装置では、搬送読み取りモードにおいて、搬送路15内に供給されてきた原稿Mを、搬送路15内で一時的に停止させることなく、そのまま排紙収容部12に向けて搬送するようになっている。すなわち、この画像読み取り装置では、原稿Mを搬送している最中には、特に原稿Mの位置合わせを行っていない。
【0021】
本実施の形態の画像読み取り装置では、標準状態(標準モード)における読み取り解像度が、600dpi(主走査方向)×600dpi(副走査方向)に設定されている。また、この画像読み取り装置には、上記標準モードよりも読み取りの生産性を向上させるために、標準モードよりも原稿Mの搬送速度を高速(例えば2倍)に増加させた状態で読み取りを行う高速モードが存在している。この高速モードにおける読み取り解像度は、600dpi(主走査方向)×300dpi(副走査方向)に設定されている。
【0022】
図2は、
図1に示す画像読み取り装置において読み取り対象となる原稿Mの構成を説明するための図である。
この例において、原稿Mは長方形状を呈するようになっており、原稿Mの短辺側が主走査方向FSに沿い、且つ、原稿Mの長辺側が副走査方向SSに沿うようになっている。ただし、原稿Mの長辺側が主走査方向FSに沿い、且つ、原稿Mの短辺側が副走査方向SSに沿う場合もあり得る。なお、以下の説明においては、原稿Mのうち、副走査方向SSの上流側となる辺を原稿前端Mtと呼び、副走査方向SSの下流側となる辺を原稿後端Mbと呼び、原稿Mの被読み取り面(図中手前側を向く面)の左側となる辺を原稿左端Mlと呼び、原稿Mの被読み取り面の右側となる辺を原稿右端Mrと呼ぶ。
【0023】
図3は、
図1に示す制御・画像処理ユニット49の機能ブロック図である。この制御・画像処理ユニット49は、受光部48に設けられた赤色用撮像素子列、緑色用撮像素子列および青色用撮像素子列(すべて図示せず)から入力されてくる読み取り画像データに処理を施す信号処理部50と、原稿送り装置10およびスキャナ装置40の動作を制御する制御部70とを備えている。なお、信号処理部50の詳細については後述する。
【0024】
制御部70は、読み取りコントローラ71、受光部ドライバ72、光源ドライバ73、スキャンドライバ74および搬送機構ドライバ75を有している。
読み取りコントローラ71は、各種原稿読み取りの制御等を含め、
図1に示す原稿送り装置10およびスキャナ装置40の全体を制御する。
受光部ドライバ72は、
図1に示す受光部48(赤色用撮像素子列、緑色用撮像素子列および青色用撮像素子列)による画像データの取り込み動作を制御する。
光源ドライバ73は、点灯信号を出力し、原稿の読み取りタイミングに合わせて
図1に示す光源装置44Aの点灯・消灯を制御する。
スキャンドライバ74は、スキャナ装置40におけるモータのオン/オフなどを行い、
図1に示すフルレートキャリッジ43およびハーフレートキャリッジ45によるスキャン動作を制御する。
搬送機構ドライバ75は、
図1に示す原稿送り装置10におけるモータの制御、各種ロール、クラッチ、およびゲートの切り替え動作等を制御する。
【0025】
これらの各種ドライバからは、原稿送り装置10およびスキャナ装置40に対して制御信号が出力され、かかる制御信号に基づいて、これらの動作制御が可能となる。読み取りコントローラ71は、ホストシステムからの制御信号や、例えば自動選択読み取り機能に際して検出されるセンサ出力、UI(図示せず)を介して受け付けたユーザからの選択等に基づいて、読み取りモードを設定し、原稿送り装置10およびスキャナ装置40を制御している。この読み取りモードとしては、上述した、固定読み取りモードおよび搬送読み取りモードや、標準モードおよび高速モード等が挙げられる。
【0026】
図4は、
図3に示す信号処理部50の機能ブロック図である。
本実施の形態の信号処理部50は、画像前処理部51と、出力先設定部52と、画像データ記憶部53と、スキュー量演算部54と、スキュー補正処理部55と、画像後処理部56とを有している。
【0027】
画像前処理部51は、受光部48から入力されてくるアナログの読み取り画像データに、ゲイン調整、A(アナログ)/D(デジタル)変換、シェーディング補正およびギャップ補正などの前処理を施し、デジタル化された読み取り画像データDiとして出力する。
【0028】
出力先設定部52は、画像前処理部51から入力されてくる読み取り画像データDiを画像データ記憶部53に出力するとともに、これと並行して、この読み取り画像データDiの一部を、原稿Mのスキュー量を検出するための検出用画像データDdとしてスキュー量演算部54に出力する。
【0029】
ここで、
図5(a)は出力先設定部52から画像データ記憶部53に出力される読み取り画像データDiを説明するための図であり、
図5(b)は出力先設定部52からスキュー量演算部54に出力される検出用画像データDdを説明するための図である。なお、
図5に示す読み取り画像データDiおよび検出用画像データDdは、同じ原稿Mを読み取った結果に基づいて得られたものを例示している。
【0030】
まず、
図5(a)に示す読み取り画像データDiについて説明を行う。
本実施の形態の読み取り画像データDiは、読み取り対象となる原稿Mよりも広く且つ原稿Mの被読み取り面すなわち原稿前端Mt、原稿後端Mb、原稿左端Mlおよび原稿右端Mrを全て含むように、その対象領域が設定されている。なお、読み取り画像データDiにおける原稿Mの外側は、
図1に示す反射板20を読み取った領域となる。そして、この例においては、反射板20と原稿Mとの反射率の違いにより、原稿Mにおける各端部位置を検出できるようになっている。また、この例では、
図5(a)における左側が主走査方向FSの上流側となっており、
図5(a)における上側が副走査方向SSの上流側となっている。したがって、読み取り画像データDiは、副走査方向SSの上流側から下流側(図中上側から下側)に向かって、主走査方向FS1ライン分ずつ、順次取得されていくことになる。
【0031】
なお、
図5(a)は、主走査方向FSおよび副走査方向SSに対し、原稿Mが傾斜(スキュー)した状態で読み込まれた場合を例示している。このため、原稿Mの原稿前端Mtおよび原稿後端Mbは、主走査方向FSに対して傾いており、原稿Mの原稿左端Mlおよび原稿右端Mrは、副走査方向SSに対して傾いている。
【0032】
次に、
図5(b)に示す検出用画像データDdについて説明を行う。
先端側画像データの一例としての検出用画像データDdは、
図5(a)に示す読み取り画像データDiのうち、副走査方向SS上流側であって原稿Mの被読み取り面の一部を含むように、その対象領域が設定されている。ここで、本実施の形態では、検出用画像データDdが、原稿Mにおける原稿前端Mtの全て、原稿左端Mlにおける副走査方向SS上流側の一部および原稿右端Mrにおける副走査方向SS上流側の一部を含み、且つ、原稿Mにおける原稿後端Mbの全てを含まないようになっている。
【0033】
では、
図4に戻って説明を続ける。
記憶手段の一例としての画像データ記憶部53は、出力先設定部52から入力されてくる読み取り画像データDiを記憶する。なお、画像データ記憶部53は、例えばRAM(Random Access Memory)で構成されている。
【0034】
また、スキュー量演算部54は、出力先設定部52から入力されてくる検出用画像データDdに各種演算処理を施すことにより、この検出用画像データDdの元となった原稿Mのスキュー量である原稿スキュー角度θmを出力する。なお、スキュー量演算部54の詳細については後述する。
【0035】
補正手段の一例としてのスキュー補正処理部55は、画像データ記憶部53から読み出した1ページ分の原稿Mの読み取り画像データDiに対し、スキュー量演算部54から入力されてくる、この原稿Mに対応する原稿スキュー角度θmを用いたスキュー補正(画像データの回転)を実行し、得られたスキュー補正済画像データDjを出力する。
【0036】
画像後処理部56は、スキュー補正処理部55から入力されてくるスキュー補正済画像データDjに対し、必要に応じて、色空間を変換する処理や拡大・縮小処理等を施し、得られた出力画像データDkを、
図1に示す画像読み取り装置の外部に設けられた機器(プリンタやコンピュータ装置等)に出力する。
【0037】
なお、信号処理部50を構成する各部の機能は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。すなわち、信号処理部50に設けられた図示しないCPU(Central Processing Unit)が、信号処理部50における各機能を実現するプログラムを、例えばハードディスク等の外部記憶装置からメインメモリに読み込んで、これらの各機能を実現する。ただし、これに限られるものではなく、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を用いて、信号処理部50を構成する各部の機能を実現するようにしてもかまわない。
【0038】
図6は、
図4に示すスキュー量演算部54の機能ブロック図である。
画像処理装置の一例としてのスキュー量演算部54は、単色化処理部541と、縮小化処理部542と、エッジ検出処理部543と、エッジ特定処理部544と、ハフ変換処理部545と、スキュー角度決定部546とを備えている。
【0039】
単色化処理部541は、受光部48(
図1参照)から入力されてくる、赤用画像データDr、緑用画像データDgおよび青用画像データDbを含む検出用画像データDdを単色化する処理を実行し、得られた単色化画像データDsを出力する。
【0040】
縮小化処理部542は、単色化処理部541から入力されてくる単色化画像データDsを縮小化する処理を実行することで画像データの解像度を低下させ、得られた縮小化画像データDcを出力する。
【0041】
検出手段の一例としてのエッジ検出処理部543は、縮小化処理部542から入力されてくる縮小化画像データDcに対しエッジを検出する処理を実行し、得られたエッジ画像データの一例としてのエッジ検出データDeを出力する。
【0042】
除外手段の一例としてのエッジ特定処理部544は、エッジ検出処理部543から入力されてくるエッジ検出データDeに対し、原稿Mにおける3つの端部(原稿前端Mt、原稿左端Mlおよび原稿右端Mr)を特定する処理を実行し、得られたエッジ特定データDfを出力する。
【0043】
変換手段の一例としてのハフ変換処理部545は、エッジ特定処理部544から入力されてくるエッジ特定データDfに対しハフ変換を実行し、得られたハフ変換データDhを出力する。この例において、ハフ変換処理部545は、xy画像空間で定義されるエッジ特定データDfを、距離ρおよび角度θで規定されるθρパラメータ空間へと変換することで、ハフ変換データDhを得ている。
【0044】
決定手段の一例としてのスキュー角度決定部546は、ハフ変換処理部545から入力されてくるハフ変換データDhに基づいて、ハフ変換データDhの元となった原稿Mの原稿スキュー角度θmを決定し、スキュー補正処理部55(
図4参照)に出力する。
【0045】
図7は、
図6に示すエッジ検出処理部543、エッジ特定処理部544およびハフ変換処理部545の機能ブロック図である。
本実施の形態のエッジ検出処理部543は、前側エッジ検出部5431と、左側エッジ検出部5432と、右側エッジ検出部5433とを有している。また、エッジ特定処理部544は、前側エッジ特定部5441と、左側エッジ特定部5442と、右側エッジ特定部5443とを有している。さらに、ハフ変換処理部545は、前端ハフ変換部5451と、左端ハフ変換部5452と、右端ハフ変換部5453とを有している。
【0046】
まず、エッジ検出処理部543において、前側エッジ検出部5431は、縮小化処理部542から入力されてくる縮小化画像データDcに空間フィルタを用いたフィルタ処理を実行し、原稿Mにおける原稿前端Mtの情報を含む前側エッジ検出データDet(前側画像データの一例)を出力する。また、左側エッジ検出部5432は、縮小化処理部542から入力されてくる縮小化画像データDcに別の空間フィルタを用いたフィルタ処理を実行し、原稿Mにおける原稿左端Mlの情報を含む左側エッジ検出データDel(左側画像データの一例)を出力する。さらに、右側エッジ検出部5433は、縮小化処理部542から入力されてくる縮小化画像データDcにさらに別の空間フィルタを用いたフィルタ処理を実行し、原稿Mにおける原稿右端Mrの情報を含む右側エッジ検出データDer(右側画像データの一例)を出力する。なお、本実施の形態では、これら前側エッジ検出データDet、左側エッジ検出データDelおよび右側エッジ検出データDerによって、エッジ検出データDeが構成されている。
【0047】
次に、エッジ特定処理部544において、前側エッジ特定部5441は、前側エッジ検出部5431から入力されてくる前側エッジ検出データDetから、原稿前端Mtに対応するエッジを特定(抽出)する処理を実行し、得られた前側エッジ特定データDftを出力する。また、左側エッジ特定部5442は、左側エッジ検出部5432から入力されてくる左側エッジ検出データDelから、原稿左端Mlに対応するエッジを特定(抽出)する処理を実行し、得られた左側エッジ特定データDflを出力する。さらに、右側エッジ特定部5443は、右側エッジ検出部5433から入力されてくる右側エッジ検出データDerから、原稿右端Mrに対応するエッジを特定(抽出)する処理を実行し、得られた右側エッジ特定データDfrを出力する。なお、本実施の形態では、これら前側エッジ特定データDft、左側エッジ特定データDflおよび右側エッジ特定データDfrによって、エッジ特定データDfが構成されている。
【0048】
そして、ハフ変換処理部545において、前端ハフ変換部5451は、前側エッジ特定部5441から入力されてくる前側エッジ特定データDftにハフ変換を施し、得られた前端ハフ変換データDhtを出力する。また、左端ハフ変換部5452は、左側エッジ特定部5442から入力されてくる左側エッジ特定データDflにハフ変換を施し、得られた左端ハフ変換データDhlを出力する。さらに、右端ハフ変換部5453は、右側エッジ特定部5443から入力されてくる右側エッジ特定データDfrにハフ変換を施し、得られた右端ハフ変換データDhrを出力する。なお、本実施の形態では、これら前端ハフ変換データDht、左端ハフ変換データDhlおよび右端ハフ変換データDhrによって、ハフ変換データDhが構成されている。
【0049】
ここで、
図8(a)は
図7に示す前側エッジ検出部5431で使用される前側エッジ検出用フィルタ(空間フィルタ)を、
図8(b)は
図7に示す左側エッジ検出部5432で使用される左側エッジ検出用フィルタ(別の空間フィルタ)を、
図8(c)は
図7に示す右側エッジ検出部5433で使用される右側エッジ検出用フィルタ(さらに別の空間フィルタ)を、それぞれ示している。
これら前側エッジ検出用フィルタ、左側エッジ検出用フィルタおよび右側エッジ検出用フィルタは、それぞれ、微分フィルタと平滑化フィルタとを組み合わせたプリューウィットフィルタで構成されている。
【0050】
図9は、
図6に示すスキュー角度決定部546の機能ブロック図である。
本実施の形態のスキュー角度決定部546は、前端角度決定部5461と、左端角度決定部5462と、右端角度決定部5463と、スキュー角度演算部5464とを有している。
【0051】
前端角度決定部5461は、
図7に示す前端ハフ変換部5451から入力されてくる前端ハフ変換データDhtに基づいて、原稿Mにおける原稿前端Mtの傾斜角度である前端スキュー角度θt(前端角度の一例)を決定する。また、左端角度決定部5462は、
図7に示す左端ハフ変換部5452から入力されてくる左端ハフ変換データDhlに基づいて、原稿Mにおける原稿左端Mlの傾斜角度である左端スキュー角度θl(左端角度の一例)を決定する。さらに、右端角度決定部5463は、
図7に示す右端ハフ変換部5453から入力されてくる右端ハフ変換データDhrに基づいて、原稿Mにおける原稿右端Mrの傾斜角度である右端スキュー角度θr(右端角度の一例)を決定する。そして、スキュー角度演算部5464は、前端角度決定部5461から入力されてくる前端スキュー角度θt、左端角度決定部5462から入力されてくる左端スキュー角度θlおよび右端角度決定部5463から入力されてくる右端スキュー角度θrの三者に基づき、原稿Mの傾斜角度である原稿スキュー角度θm(傾斜角度の一例)を演算し、得られた原稿スキュー角度θmを、
図4に示すスキュー補正処理部55に出力する。
【0052】
ここで、本実施の形態では、スキュー量演算部54に入力される検出用画像データDdに、原稿Mの原稿後端Mbの情報が存在していないことから、スキュー量演算部54では、原稿後端Mbについて、エッジ検出やスキュー角度の決定等を行わない。
【0053】
図10は、画像読み取り動作においてスキュー量演算部54(
図6参照)が実行する処理の内容を説明するためのフローチャートである。
この処理では、まず、単色化処理部541が、入力されてくる検出用画像データDdから単色化画像データDsを作成する(ステップ110)。次に、縮小化処理部542が、入力されてくる単色化画像データDsから縮小化画像データDcを作成する(ステップ120)。
【0054】
次いで、エッジ検出処理部543が、入力されてくる縮小化画像データDcからエッジ検出データDeを作成する(ステップ130)。このとき、エッジ検出処理部543では、前側エッジ検出部5431が縮小化画像データDcから前側エッジ検出データDetを作成し、左側エッジ検出部5432が縮小化画像データDcから左側エッジ検出データDelを作成し、右側エッジ検出部5433が縮小化画像データDcから右側エッジ検出データDerを作成する。
【0055】
そして、エッジ検出処理部543は、エッジ検出データDeの元となる原稿Mの副走査SSの解像度情報を取得する(ステップ140)。ここで、解像度情報は、上記標準モードの場合には600dpiとなり、上記高速モードの場合には300dpiとなる。
【0056】
その後、エッジ検出処理部543は、ステップ140で取得した解像度情報に基づき、必要に応じて、エッジ検出データDeを修正する(ステップ150)。このとき、エッジ検出処理部543では、前側エッジ検出部5431が解像度情報に基づいて前側エッジ検出データDetを修正し、左側エッジ検出部5432が解像度情報に基づいて左側エッジ検出データDelを修正し、右側エッジ検出部5433が解像度情報に基づいて右側エッジ検出データDerを修正する。
【0057】
続いて、エッジ特定処理部544は、原稿送り装置10に設けられた原稿幅検知センサ21(
図1参照)から、エッジ検出データDeの元となる原稿Mの原稿サイズ情報(原稿幅:原稿Mの主走査方向FSの長さ)を取得する(ステップ160)。
【0058】
そして、エッジ特定処理部544は、エッジ検出データDeからエッジ特定データDfを作成する(ステップ170)。このとき、エッジ特定処理部544では、前側エッジ特定部5441が前側エッジ検出データDetから前側エッジ特定データDftを作成する。また、左側エッジ特定部5442は、左側エッジ検出データDelから、ステップ160で取得した原稿サイズ情報を利用して、左側エッジ特定データDflを作成する。さらに、右側エッジ特定部5443は、右側エッジ検出データDerから、ステップ160で取得した原稿サイズ情報を利用して、右側エッジ特定データDfrを作成する。
【0059】
次に、ハフ変換処理部545は、エッジ特定データDfからハフ変換データDhを作成する(ステップ180)。このとき、ハフ変換処理部545では、前端ハフ変換部5451が前側エッジ特定データDftから前端ハフ変換データDhtを作成し、左端ハフ変換部5452が左側エッジ特定データDflから左端ハフ変換データDhlを作成し、右端ハフ変換部5453が右側エッジ特定データDfrから右端ハフ変換データDhrを作成する。
【0060】
それから、ハフ変換処理部545は、ハフ変換データDhを修正する(ステップ190)。このとき、ハフ変換処理部545では、左端ハフ変換部5452が左端ハフ変換データDhlにおけるρ成分を修正し、右端ハフ変換部5453が右端ハフ変換データDhrにおけるρ成分を修正する。一方、前端ハフ変換部5451は前端ハフ変換データDhtの修正を行わない。
【0061】
次いで、スキュー角度決定部546は、ハフ変換データDhから原稿スキュー角度θmを決定する(ステップ200)。このとき、スキュー角度決定部546では、前端角度決定部5461が前端ハフ変換データDhtから前端スキュー角度θtを決定し、左端角度決定部5462が左端ハフ変換データDhlから左端スキュー角度θlを決定し、右端角度決定部5463が右端ハフ変換データDhrから右端スキュー角度θrを決定し、さらに、スキュー角度演算部5464が、前端スキュー角度θt、左端スキュー角度θlおよび右端スキュー角度θrに基づき、原稿スキュー角度θmを決定する。
【0062】
では、上述した各処理について、具体例を挙げて説明する。なお、ここでは、上記搬送読み取りモードを実行する場合を例とする。
図11は、上記ステップ110に示す、検出用画像データDdから単色化画像データDsを作成する処理を説明するための図である。ここで、
図11(a)は、赤用画像データDr、緑用画像データDgおよび青用画像データDbを含む検出用画像データDdの一例を示しており、
図11(b)は、
図11(a)に示す検出用画像データDdに基づいて得られる単色化画像データDsの一例を示している。
【0063】
図11(a)に示すように、検出用画像データDdを構成する赤用画像データDr、緑用画像データDgおよび青用画像データDbは、それぞれ、原稿Mの搬送方向先端側の画像を含んでいる。すなわち、これら赤用画像データDr、緑用画像データDgおよび青用画像データDbは、それぞれが原稿前端Mt、原稿左端Mlおよび原稿右端Mrの情報を含んでいる。そして、この例では、これら赤用画像データDr、緑用画像データDgおよび青用画像データDbが、それぞれ、第2プラテンガラス42B(
図1参照)上に存在していたゴミに起因して生じた、副走査方向SSに延びるスジ画像Lgの情報も含むものとなっている。この例において、スジ画像Lgは、原稿左端Mlよりも左側(原稿Mから遠ざかる側)に存在しているものとする。
【0064】
本実施の形態において、単色化処理部541(
図6参照)は、検出用画像データDdを構成する赤用画像データDr、緑用画像データDgおよび青用画像データDbのそれぞれに、色に応じて設定された係数を乗じた上で、画素毎に合算を行うことにより、
図11(b)に示す単色化画像データDsを得ている。このため、単色化画像データDsは、原稿前端Mt、原稿左端Mlおよび原稿右端Mrの情報に加えて、スジ画像Lgの情報も含んだものとなっている。
【0065】
なお、赤用画像データDr、緑用画像データDgおよび青用画像データDbを単色化する処理としては、これ以外に、3色の画像データの中からいずれか1色の画像データ(例えば緑用画像データDg)を選択する手法を採用してもかまわない。ただし、この場合にも、得られた単色化画像データDsの中に、スジ画像Lgの情報が残ってしまうことになる。
【0066】
図12は、上記ステップ120に示す、単色化画像データDsから縮小化画像データDcを作成する処理を説明するための図である。ここで、
図12(a)は、単色化画像データDsにおける画素の配列の一例を示しており、
図12(b)は、
図12(a)に示す単色化画像データDsに基づいて得られる縮小化画像データDcにおける画素の配列の一例を示している。
【0067】
本実施の形態では、標準モードまたは高速モードにて読み取りが行われる。このため、標準モードでは、読み取り画像データDiの読み取り解像度が600dpi(主走査)×600dpi(副走査)に設定されていることから、単色化画像データDsの解像度も600dpi(主走査)×600dpi(副走査)となる。一方、高速モードでは、読み取り画像データDiの読み取り解像度が600dpi(主走査)×300dpi(副走査)に設定されていることから、単色化画像データDsの解像度も600dpi(主走査)×300dpi(副走査)となる。ここで、
図12(a)は、標準モードにおいて取得された単色化画像データDsを示している。
【0068】
本実施の形態において、縮小化処理部542(
図6参照)は、単色化画像データDsに対して一部の画素の間引きあるいは複数の画素の合成を行うことで、標準モードでの読み取りか高速モードでの読み取りかに関わらず、150dpi(主走査)×75dpi(副走査)に縮小化(低解像度化)された縮小化画像データDcを出力するようになっている。ここで、
図12(b)は、標準モードにて取得された単色化画像データDs(
図12(a)参照)に、縮小化処理を施すことによって得られた縮小化画像データDcを示している。この例では、単色化画像データDsにおける4画素(主走査方向FS)×8画素(副走査方向SS)が、縮小化画像データDcにおける1画素となるように、縮小化処理を施している。
【0069】
図13は、上記ステップ130に示す、縮小化画像データDcからエッジ検出データDeを作成する処理を説明するための図である。ここで、
図13(a)は、縮小化画像データDcの一例を示しており、
図13(b)は、
図13(a)に示す縮小化画像データDcに
図8に示す各種空間フィルタを用いて処理を施すことによって得られるエッジ検出データDeの一例を示している。なお、
図13(a)に示す縮小化画像データDcは、解像度が低解像度化されていることを除いて、基本的に
図11(b)に示す単色化画像データDsと同じであるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0070】
本実施の形態において、エッジ検出処理部543に設けられた前側エッジ検出部5431(
図7参照)は、
図8(a)に示す前側エッジ検出用フィルタを用いて、各画素に対し空間フィルタ処理を施す。その結果、
図13(b)の上段に示す前側エッジ検出データDetが得られる。この前側エッジ検出データDetにおいては、前側エッジ検出用フィルタを用いた空間フィルタ処理に伴い、原稿左端Mlおよび原稿右端Mrの情報が除去される一方、原稿前端Mtの情報は残る。また、前側エッジ検出データDetにおいては、スジ画像Lgの情報も除去される。ただし、前側エッジ検出データDetには、原稿Mに形成されていた画像のうち、主走査方向FSに沿って延びる線画像に起因するスジ画像Li(この例では1本)が加わる。
【0071】
また、エッジ検出処理部543に設けられた左側エッジ検出部5432(
図7参照)は、
図8(b)に示す左側エッジ検出用フィルタを用いて、各画素に対し空間フィルタ処理を施す。その結果、
図13(b)の中段に示す左側エッジ検出データDelが得られる。この左側エッジ検出データDelにおいては、左側エッジ検出用フィルタを用いた空間フィルタ処理に伴い、原稿前端Mtおよび原稿右端Mrの情報が除去される一方、原稿左端Mlの情報は残る。また、左側エッジ検出データDelにおいては、スジ画像Lgの情報も残る。さらに、左側エッジ検出データDelにおいては、原稿Mに形成されていた画像のうち、副走査方向SSに沿って延びる線画像に起因するスジ画像Li(この例では3本)が加わる。
【0072】
さらに、エッジ検出処理部543に設けられた右側エッジ検出部5433(
図7参照)は、
図8(c)に示す右側エッジ検出用フィルタを用いて、各画素に対し空間フィルタ処理を施す。その結果、
図13(b)の下段に示す右側エッジ検出データDerが得られる。この右側エッジ検出データDerにおいては、右側エッジ検出用フィルタを用いた空間フィルタ処理に伴い、原稿前端Mtおよび原稿左端Mlの情報が除去される一方、原稿右端Mrの情報は残る。また、右側エッジ検出データDerにおいては、原稿Mに形成されていた画像のうち、副走査方向SSに沿って延びる線画像に起因するスジ画像Li(この例では3本)が加わる。
【0073】
図14は、読み取りモード(副走査方向SSの読み取り解像度)と、得られる読み取り画像データDiとの関係を説明するための図である。ここで、
図14(a)は、標準モード(読み取り解像度:600dpi(主走査)×600dpi(副走査))における読み取り画像データDiの一例を示しており、
図14(b)は、高速モード(読み取り解像度:600dpi(主走査)×300dpi(副走査))における読み取り画像データDiの一例を示している。なお、
図14(a)、(b)は、同じ原稿Mを異なる読み取りモード(標準モード、高速モード)で読み取った結果を示している。
【0074】
図14に示したように、高速モードにおいては、標準モードと比べて副走査方向SSの解像度が半分となる(600dpi→300dpi)となることから、原稿Mのスキュー角度が、見かけ上2倍となってしまう。そこで、本実施の形態では、ステップ140において解像度情報を取得し、高速モードすなわち副走査方向SSの解像度が300dpiとなっている場合には、エッジ検出処理部543が、標準モードと同じ条件となるように、ステップ150において、エッジ検出データDe(前側エッジ検出データDet、左側エッジ検出データDelおよび右側エッジ検出データDer)に修正を施している。なお、標準モードである場合には、エッジ検出データDeに対する修正は、特に行わない。
【0075】
図15は、検出用画像データDdにおける原稿端部領域Aeと原稿内部領域Aiと原稿外部領域Aoとの関係を説明するための図である。ここで、
図15(a)は、第1のサイズの原稿M(例えばJISA3サイズ縦送り)の場合を示しており、
図15(b)は第2のサイズの原稿M(例えばJISA4縦送り)の場合を示している。
【0076】
本実施の形態において、原稿端部領域Aeは、検出用画像データDdにおいて、原稿Mにおける原稿左端Mlおよび原稿右端Mrが存在すると想定される領域である。なお、原稿端部領域Aeは、原稿Mのスキューや主走査方向FSにおける位置ずれ等を考慮し、予め決められた幅をもって設定される。
【0077】
また、原稿内部領域Aiは、検出用画像データDdにおいて、2つの原稿端部領域Aeに挟まれた領域である。この原稿内部領域Aiには、原稿M上に形成された画像を読み取った領域が含まれる。
【0078】
さらに、原稿外部領域Aoは、検出用画像データDdにおいて、2つの原稿端部領域Aeよりも外側に位置する領域である。この原稿外部領域Aoには、原稿Mが存在しない領域を読み取った結果が含まれる。
【0079】
なお、
図15(a)、(b)からも明らかなように、原稿Mのサイズ(主走査方向FSの長さ)が異なれば、原稿端部領域Aeの位置は異なる。
【0080】
図16は、上記ステップ170に示す、エッジ検出データDeからエッジ特定データDfを作成する処理を説明するための図である。ここで、
図16(a)は、前側エッジ検出データDet(上段)、左側エッジ検出データDel(中段)および右側エッジ検出データDer(下段)を含むエッジ検出データDeの一例を示している。また、
図16(b)は、
図16(a)に示すエッジ検出データDeに処理を施すことによって得られるエッジ特定データDfの一例を示している。なお、
図16(a)は、
図13(b)に示すものと同じであるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0081】
本実施の形態において、エッジ特定処理部544に設けられた前側エッジ特定部5441は、
図16(a)の上段に示す前側エッジ検出データDetに対し、最も外側(副走査方向SSにおいて最上流側)となるエッジを抽出する処理を施す。その結果、
図16(b)の上段に示す前側エッジ特定データDftが得られる。この前側エッジ特定データDftにおいては、上述した処理に伴い、線画像に起因するスジ画像Liの情報が除去される一方、原稿前端Mtの情報は残る。
【0082】
また、エッジ特定処理部544に設けられた左側エッジ特定部5442は、
図16(a)の中段に示す左側エッジ検出データDelに対し、ステップ160で取得した原稿サイズ情報に基づき、
図15に示す原稿端部領域Ae、原稿内部領域Aiおよび原稿外部領域Aoのうち、原稿端部領域Aeの内部に存在するエッジを抽出する処理を施す。その結果、
図16(b)の中段に示す左側エッジ特定データDflが得られる。この左側エッジ特定データDflにおいては、上述した処理に伴い、ゴミに起因するスジ画像Lgの情報および線画像に起因するスジ画像Liの情報が除去される一方、原稿左端Mlの情報は残る。
【0083】
さらに、エッジ特定処理部544に設けられた右側エッジ特定部5443は、
図16(a)の下段に示す右側エッジ検出データDerに対し、ステップ160で取得した原稿サイズ情報に基づき、
図15に示す原稿端部領域Ae、原稿内部領域Aiおよび原稿外部領域Aoのうち、原稿端部領域Aeの内部に存在するエッジを抽出する処理を施す。その結果、
図16(b)の下段に示す右側エッジ特定データDfrが得られる。この右側エッジ特定データDfrにおいては、上述した処理に伴い、ゴミに起因するスジ画像Lgの情報および線画像に起因するスジ画像Liの情報が除去される一方、原稿右端Mrの情報は残る。
【0084】
このように、ノイズ成分を含むエッジ検出データDeに上述したような処理を施すことにより、ノイズ成分が除外されたエッジ特定データDfが得られる。
【0085】
図17は、エッジ特定データDfからハフ変換データDhを作成する処理およびハフ変換データDhから原稿スキュー角度θmを決定する処理を説明するための図である。ここで、
図17(a)は、前側エッジ特定データDft、左側エッジ特定データDflおよび右側エッジ特定データDfrを含むエッジ特定データDfの一例を示している。また、
図17(b)は、
図17(a)に示すエッジ特定データDfにハフ変換を施すことによって得られるハフ変換データDhの一例を示している。さらに、
図17(c)は、
図17(b)に示すハフ変換データDhの一部に修正を施して得られる修正済のハフ変換データDhの一例を示している。なお、
図17(a)は、
図16(b)に示すものと同じであるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0086】
本実施の形態において、ハフ変換処理部545に設けられた前端ハフ変換部5451は、
図17(a)の上段に示す前側エッジ特定データDftに対し、主走査方向FSをx方向とし且つ副走査方向SSの逆方向をy方向とするxy画像空間からθρパラメータ空間へのハフ変換を実行する。その結果、
図17(b)の上段に示す前端ハフ変換データDhtが得られる。
【0087】
また、ハフ変換処理部545に設けられた左端ハフ変換部5452は、
図17(a)の中段に示す左側エッジ特定データDflに対し、副走査方向SSをx方向とし且つ主走査方向FSをy方向とするxy画像空間からθρパラメータ空間へのハフ変換を実行する。その結果、
図17(b)の中段に示す左端ハフ変換データDhlが得られる。
【0088】
さらに、ハフ変換処理部545に設けられた右端ハフ変換部5453は、
図17(a)の下段に示す右側エッジ特定データDfrに対し、副走査方向SSをx方向とし且つ主走査方向FSをy方向とするxy画像空間からθρパラメータ空間へのハフ変換を実行する。その結果、
図17(b)の下段に示す右端ハフ変換データDhrが得られる。
【0089】
ここで、ハフ変換は、xy画像空間中の直線(例えば原稿Mの端部)を次式で表現することによって行われる。
ρ=xcosθ+ysinθ
上式によれば、xy画像空間中の直線は、異なる初期位相と振幅とをもつ複数の正弦波で表現することができる。そして、複数の正弦波が通る座標値のうち、最も頻度が高くなっていた座標値によって、直線の傾きが決まる。
【0090】
ここで、本実施の形態では、原稿Mの原稿スキュー角度θmが、予め決められた範囲(例えば0°±5°)に収まるように、原稿送り装置10による原稿Mの搬送精度を設定している。これに伴い、ハフ変換処理部545では、ハフ変換で用いるcosθおよびsinθについて、それぞれのθの範囲を0°±5°とした演算結果のテーブルを予めメモリに記憶しておき、この記憶内容を用いてハフ変換を行うことで、メモリ容量の増大を抑制している。
【0091】
本実施の形態では、上述したように、検出用画像データDd内に、原稿前端Mtの情報が全て含まれているのに対し、原稿左端Mlおよび原稿右端Mrについては、その一部の情報が含まれているに過ぎない。このため、原稿左端Mlおよび原稿右端Mrの情報から得られる複数の線候補画素は、原稿前端Mtの情報から得られる複数の線候補画素に比べて、それぞれの値が近いものとなる。その結果、
図17(b)の中段に示す左端ハフ変換データDhlを構成する複数の曲線および
図17(b)の下段に示す右端ハフ変換データDhrを構成する複数の曲線は、
図17(b)の上段に示す前端ハフ変換データDhtを構成する複数の曲線に比べて、間隔がより詰まったものとなっている。このため、前端ハフ変換データDhtから前端スキュー角度θtを求めることは容易であるものの、左端ハフ変換データDhlから左端スキュー角度θlを求めること、および、右端ハフ変換データDhrから右端スキュー角度θrを求めることは比較的困難である。
【0092】
そこで、本実施の形態では、ステップ190において、左端ハフ変換データDhlおよび右端ハフ変換データDhrのρ成分にそれぞれ係数掛けによる修正を施している。
より具体的に説明を行うと、ハフ変換処理部545に設けられた左端ハフ変換部5452は、
図17(b)の中段に示す左端ハフ変換データDhlのρ軸を整数倍(2〜10倍程度)する処理を行う。その結果、
図17(c)の中段に示す修正済の左端ハフ変換データDhlが得られる。また、ハフ変換処理部545に設けられた右端ハフ変換部5453は、
図17(c)の下段に示す右端ハフ変換データDhrのρ軸を整数倍する処理を行う。その結果、
図17(c)の下段に示す修正済の右端ハフ変換データDhrが得られる。
【0093】
そして、ステップ200では、スキュー角度決定部546に設けられた前端角度決定部5461が、
図17(b)の上段に示す前端ハフ変換データDhtから前端スキュー角度θtを決定し、スキュー角度決定部546に設けられた左端角度決定部5462が、
図17(c)の中段に示す修正済の左端ハフ変換データDhlから左端スキュー角度θlを決定し、スキュー角度決定部546に設けられた右端角度決定部5463が、
図17(c)の下段に示す修正済の右端ハフ変換データDhrから右端スキュー角度θrを決定する。
【0094】
また、ステップ200では、続いて、スキュー角度決定部546に設けられたスキュー角度演算部5464が、これら前端スキュー角度θt、左端スキュー角度θlおよび右端スキュー角度θrに基づき、原稿スキュー角度θmを決定する。ここで、本実施の形態では、これら前端スキュー角度θt、左端スキュー角度θlおよび右端スキュー角度θrを平均化し、得られた平均値を原稿スキュー角度θmとしている。ただし、これに限られるものではなく、これらの中の1つの値(例えば前端スキュー角度θt)を原稿スキュー角度θmとしてもかまわない。
【0095】
以上説明したように、本実施の形態では、原稿Mの傾きである原稿スキュー角度θmを取得するための手法として、ハフ変換による解析を実行するようにした。これにより、原稿前端Mt等の原稿Mの端部に、破れによって生じた凹部やタブによって生じた凸部等が存在している場合においても、原稿スキュー角度θmを的確に把握することが可能となる。
【0096】
特に、本実施の形態では、原稿Mの全面の読み取り結果から原稿スキュー角度θmを取得するのではなく、原稿Mのうち最初に読み取りが行われる原稿前端Mt側の読み取り結果を用いて原稿スキュー角度θmを取得するようにした。これにより、原稿Mを読み取りながら、これと並行してこの原稿Mの原稿スキュー角度θmを演算することが可能となる。その結果、例えば搬送読み取りモードにおける読み取りの生産性を向上させることができる。
【0097】
また、本実施の形態では、原稿前端Mtのみならず、原稿左端Mlの一部および原稿右端Mrの一部も利用して、原稿スキュー角度θmを決定するようにした。これにより、得られる原稿スキュー角度θmの精度を高めることができる。
【0098】
さらに、本実施の形態では、ハフ変換による解析を実行する前に、原稿Mの端部(原稿前端Mt、原稿左端Mlおよび原稿右端Mr)以外のノイズ成分(ゴミに起因するスジ画像Lgや線画像に起因するスジ画像Li)を除外するようにした。これにより、原稿Mの端部の検出精度を高めることが可能となり、結果として、原稿スキュー角度θmの精度も高めることができる。
【0099】
さらにまた、本実施の形態では、読み取り時の副走査倍率の伸縮に応じて、検出用画像データDdに基づいて得られたエッジ検出データDeを伸縮させるようにした。これにより、副走査倍率の違いに起因して、見かけ上の原稿スキュー角度θmが変化するのを抑制することができる。