(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6191307
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】スロープ構造
(51)【国際特許分類】
A61G 3/06 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
A61G3/06 705
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-154743(P2013-154743)
(22)【出願日】2013年7月25日
(65)【公開番号】特開2015-23958(P2015-23958A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】小野口 芳男
【審査官】
山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−166971(JP,A)
【文献】
米国特許第06430769(US,B1)
【文献】
特開2006−341952(JP,A)
【文献】
特開2007−306997(JP,A)
【文献】
国際公開第03/104133(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗降口の床面の縁部にヒンジを介し表裏面を反転させる事が出来る様に取り付けられ、不使用時は前記乗降口の内側に於いて前記床面に重ねて格納され、使用時は不使用時に対し表裏面を反転され前記乗降口の外側に於いて前記床面と路面との間に掛け渡されるスロープ板を備え、前記ヒンジは、前記縁部に沿って前記乗降口の幅方向に延在する軸と、前記縁部に形成され前記床面と同一平面上に於いて前記軸を支持する床面側軸筒と、前記縁部に前記ヒンジを介し取り付けられる前記スロープ板の端部に形成され前記スロープ板と非同一平面上に於いて前記床面側軸筒と共に前記軸を支持するスロープ板側軸筒と、を有し、前記スロープ板の使用時に於いて前記スロープ板側軸筒が前記スロープ板の上面に突出して位置する、スロープ構造であって、
前記スロープ板側軸筒は、前記スロープ板の使用時に於いて前記スロープ板の上面に突出して位置する前記スロープ板側軸筒の頂部と前記スロープ板の上面とを傾斜面を介し接続するヒンジ用スロープ部を有する
事を特徴とするスロープ構造。
【請求項2】
前記床面側軸筒と前記スロープ板側軸筒は、前記乗降口の幅方向に沿って前記軸を互い違いに支持する様に複数形成され、互いに離間した複数の前記スロープ板側軸筒の夫々が前記ヒンジ用スロープ部を有し、
前記床面は、前記スロープ板を前記乗降口の内側に於いて前記床面に重ねて格納する時に複数の前記ヒンジ用スロープ部の夫々を収容する複数の切欠溝を有する
請求項1に記載のスロープ構造。
【請求項3】
隣り合う前記ヒンジ用スロープ部の離間幅は、車椅子の車輪の幅より小さく形成される
請求項2に記載のスロープ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスに車椅子利用者が乗降するための車椅子乗降用スロープ板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バリアフリー化の推進に伴って路線バスは、床面が低床にされてきており、床面から路面にかけて車椅子乗降用スロープ板を掛け渡すことで、車椅子での乗降ができるようになっている。
【0003】
車椅子乗降用スロープ板としては、上記のように掛け渡すものから、バスの乗降口の縁部にヒンジなどで回動自在に連結し、常時は床面に折り畳んだ状態とし、車椅子の乗降の際に、これを床面から反転させて路面に掛け渡すもの(特許文献1)が提案されている。
【0004】
図2(a)、
図2(b)は、バスの床面から反転して展開する車椅子乗降用スロープ板の構造を示したもので、バスВの乗降口Pの床面Fの縁部31に位置して、スロープ板30をヒンジ32にて回動自在に設けたものである。乗降口Pの床面Fには、スロープ板30を折り畳んだときに格納する凹部33が形成される。
【0005】
ヒンジ32は、凹部33の底面となる底面板40に軸筒41が形成されると共に、その軸筒41と互い違いにスロープ板30に軸筒42が形成され、これら軸筒41、42に軸43を挿通して形成される。
【0006】
この車椅子乗降用スロープ板は、不使用時にはスロープ板30が凹部33に格納されるように折り畳まれて、スロープ板30の裏面が床面Fと略同じ高さとなり、使用時には、乗降口PのドアDを開けたときに運転手がスロープ板30を図示のように床面Fから反転させてスロープ板30の先端34を路面Rに着地させることで、車椅子での乗降ができるようになっており、構造が簡単であり、不使用時のスロープ板を、そのままバスの床面として使用できるメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1837233号(A1)明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ヒンジ32の軸筒41、42は、スロープ板30の面に対して突出しており、この軸筒41、42が段差となって車椅子の乗降性が悪化する問題がある。
【0009】
このヒンジ32は、スロープ板30の角度を緩くするためには、ヒンジ32の位置を下げるのが好ましいため、スロープ板30側の軸筒42は、スロープ板30の上面に設けられるため、角度を緩くすると段差が大きくなることが避けられない。
【0010】
特に、車椅子の前輪の寸法は、6インチ(152.4mm)や5インチ(127mm)であり、しかも前輪は、首振り自在に設けられているため、軸筒41、42の段差が大ききと、前輪が、首を振って横を向いてしまうなど、乗降性が悪化しやすい問題となる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、路面から反転式のスロープ板に乗り移る際に、ヒンジの軸筒で形成される段差の問題を解消できる車椅子乗降用スロープ板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
車両の乗降口の床面の縁部にヒンジを介し
表裏面を反転させる事が出来る様に取り付けられ、不使用時は前記乗降口の内側に於いて前記床面に重ねて格納され、使用時は不使用時に対し表裏面を反転され前記乗降口の外側に於いて前記床面と路面との間に掛け渡されるスロープ板を
備え、前記ヒンジは、前記縁部に沿って前記乗降口の幅方向に延在する軸と、前記縁部に形成され前記床面と同一平面上に於いて前記軸を支持する床面側軸筒と、前記縁部に前記ヒンジを介し取り付けられる前記スロープ板の端部に形成され前記スロープ板と非同一平面上に於いて前記床面側軸筒と共に前記軸を支持するスロープ板側軸筒と、を有し、前記スロープ板の使用時に於いて前記スロープ板側軸筒が前記スロープ板の上面に突出して位置する、スロープ構造であって、前記スロープ板側軸筒は、前記スロープ板の使用時に於いて前記スロープ板の上面に突出して位置する前記スロープ板側軸筒の頂部と前記スロープ板の上面とを傾斜面を介し接続するヒンジ用スロープ部を有するスロープ構造を提供する。
【0013】
前記床面側軸筒と前記スロープ板側軸筒は、前記乗降口の幅方向に沿って前記軸を互い違いに支持する様に複数形成され、互いに離間した複数の前記スロープ板側軸筒の夫々が前記ヒンジ用スロープ部を有し、前記床面は、前記スロープ板を前記乗降口の内側に於いて前記床面に重ねて格納する時に複数の前記ヒンジ用スロープ部の夫々を収容する複数の切欠溝を有する事が望ましい。
【0014】
隣り合う前記ヒンジ用スロープ部の
離間幅は、車椅子の
車輪の幅より小さく形成される
事が望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、路面から反転式のスロープ板に乗り移る際に、スロープ板とバスの床面間のヒンジの軸筒で形成される段差をなくすことができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)本発明の一実施の形態を示す全体斜視図、(b)は
図1(a)の詳細拡大概略図である。
【
図2】従来例を示し、(a)は全体斜視図、(b)は、
図2(b)の詳細拡大概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0019】
図1(a)、
図1(b)において、バスВの乗降口Pの床面Fの縁部11には、スロープ板10がヒンジ12にて回動自在に設けられる。乗降口Pの床面Fには、スロープ板10を折り畳んだときに格納する凹部13が形成される。
【0020】
このスロープ板10は、不使用時はスロープ板10が凹部13に格納されるように折り畳まれて、スロープ板10の裏面が床面Fと略同じ高さとなり、使用時には、乗降口PのドアDを開けたときに運転手や乗務員等がスロープ板10を図示のように床面Fから反転させてスロープ板10の先端部14を路面Rに着地させることで、車椅子(図示せず)での乗降ができるようになっている。
【0021】
スロープ板10は、アルミ押出材やスチール材などで形成された枠材15を方形に形成し、その方形の枠材15内に、ハニカム構造体やトラス構造で形成された床板16が設けられて形成される。スロープ板10の板厚は、例えば15mmで、最大荷重300kgに耐えうるように形成され、またヒンジ12から先端部14までの長さは、先端が路面Rに着地した際に、その路面Rに対するスロープ板10の角度が約7度以下となるように形成される。
【0022】
先端部14側の枠材15は、路面Rからスロープ板10に乗り移る際に、車椅子の前輪が乗り上げ易いように、前部傾斜面17が形成される。また、スロープ板10の左右両端部の枠材15には、側部傾斜面18が形成される。
【0023】
本発明においては、ヒンジ12は、凹部13の底面となる底面板20に軸筒21が形成されると共に、その軸筒21と互い違いにスロープ板10に軸筒22が形成され、これら軸筒21、22に軸23を挿通して形成されるが、スロープ板10側の軸筒22には、その頂面からスロープ板10の面にかけてヒンジ用スロープ部24を形成し、底面板20にスロープ板10を折り畳んだときに、ヒンジ用スロープ部24を収容する切欠溝25を形成したものである。
【0024】
底面板20側の軸筒21は、図では底面板20の厚さと軸筒21の直径とが同じ例で形成しているが、底面板20の厚さが軸筒21の直径より薄いときには、軸筒21の頂面と底面板20の上面が一致するように軸筒21を形成する。
【0025】
スロープ板10側の軸筒22は、スロープ板10の上面に位置するように形成され、ヒンジ用スロープ部24は、その軸筒22とスロープ板10と一体で、軸筒22の頂面からスロープ板10の面に緩く傾斜するように形成される。
【0026】
このヒンジ用スロープ部24を含む軸筒22と、底面板20側の軸筒21の幅は、同じ幅に、例えば5mm以下の幅に形成される。すなわち、前輪の幅は、通常20〜30mmであり、軸筒21、22の幅を5mm以下とすることで、前輪が、隣接する2つのヒンジ用スロープ部24に少なくとも乗り上げることができる。
【0027】
底面板20に切欠溝25は、ヒンジ用スロープ部24を収容すべく、そのヒンジ用スロープ部24の幅よりやや大きく形成される。
【0029】
スロープ板10は、バスВの走行時は、折り畳まれて床面Fの凹部13に格納された状態にあり、スロープ板10の裏面側は床面Fと略同一面となっている。
【0030】
バスВが停車し、乗降口PのドアDが開けられた後、運転手が、凹部13に格納されたスロープ板10を持ち上げて回動して反転し、その先端部14を路面Rに着地させる。
【0031】
この状態で、車椅子利用者は、スロープ板10に乗り移り、スロープ板10を登って、床面Fに乗り移ることができる。この際、ヒンジ12の軸筒21、22では段差があるが、スロープ板10側の軸筒22には、ヒンジ用スロープ部24が形成されているため、そのヒンジ用スロープ部24に乗り上げることで段差がなくなり、凹部13に乗り移ることができる。
【0032】
この場合、ヒンジ用スロープ部24は、隣接するヒンジ用スロープ部24の幅は前輪の幅より狭く形成されており、前輪は、少なくとも2つのヒンジ用スロープ部24を乗り上げて移動することができる。
【0033】
このように、乗降が終了したならば、着地状態のスロープ板10を持ち上げ、これを折り畳んで凹部13に格納する。
【0034】
また降車する際にも、前輪は、ヒンジ用スロープ部24を乗り上げて、スロープ板10に移動できるため、円滑な降車ができる。
【符号の説明】
【0035】
10 スロープ板
11 縁部
12 ヒンジ
20 底面板
21、22 軸筒
24 ヒンジ用スロープ部
25 切欠溝
B バス
F 床面
P 乗降口