(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ランプユニットは、前記半導体型光源と、リフレクタと、投影レンズと、を備えるプロジェクタ型のランプユニットであって、集光配光パターンを照射するランプユニットであり、
前記第2ランプユニットは、前記半導体型光源と、リフレクタと、投影レンズと、を備えるプロジェクタ型のランプユニットであって、拡散配光パターンを照射するランプユニットであり、
前記第1配光パターン切替部材は、シェード部材であって、前記第2位置よりも前記投影レンズ側の前記第1位置に位置するときには、前記リフレクタからの反射光の一部をカットオフしてカットオフラインを有する前記ロービーム配光パターン用の前記集光配光パターンを形成し、
前記第2配光パターン切替部材は、反射部材であって、前記第1位置よりも前記投影レンズ側の前記第2位置に位置するときには、前記リフレクタからの反射光の一部を上側に反射させて前記拡散配光パターンの手前の配光パターンの一部を減光して前記拡散配光パターンの上側の配光パターンとする前記ハイビーム配光パターン用の前記拡散配光パターンを形成する、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明にかかる車両用灯具の実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。この明細書および別紙の特許請求の範囲において、前、後、上、下、左、右とは、この発明にかかる車両用灯具を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。また、
図8、
図9において、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。さらに、
図8、
図9は、コンピュータシミュレーションにより作図されたスクリーン上の配光パターンを簡略化して示す等光度曲線の説明図である。この等光度曲線の説明図において、中央の等光度曲線は、高光度を示し、外側の等光度曲線は、低光度を示す。さらにまた、
図1、
図4、
図5において、レンズおよび光制御部材の断面のハッチングは、省略してある。
【0013】
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態における車両用灯具の構成について説明する。この例は、たとえば、自動車用前照灯のヘッドランプについて説明する。
【0014】
(車両用灯具の説明)
この実施形態における車両用灯具は、車両(図示せず)の前部の左右両側にそれぞれ搭載されている。前記車両用灯具は、図に示すように、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、第1ランプユニット1と、第2ランプユニット2と、第1配光パターン切替部材3と、第2配光パターン切替部材4と、駆動部材5と、を備える。
【0015】
前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)は、灯室(図示せず)を区画する。前記第1ランプユニット1および前記第2ランプユニット2および前記第1配光パターン切替部材3および前記第2配光パターン切替部材4および前記駆動部材5は、前記灯室内に配置されていて、かつ、取付ブラケット6および上下方向用光軸調整機構(図示せず)および左右方向用光軸調整機構(図示せず)を介して前記ランプハウジングに取り付けられている。
【0016】
(第1ランプユニット1の説明)
前記第1ランプユニット1は、
図1、
図4に示すように、半導体型光源10と、リフレクタ11と、投影レンズ12と、ヒートシンク部材13と、を備えるプロジェクタ型のランプユニットである。前記第1ランプユニット1は、
図8(A)に示すカットオフラインCL1、CL2、CL3を有するロービーム配光パターン用の集光配光パターンSP1、および、
図8(B)に示すハイビーム配光パターン用の集光配光パターンSP2を、それぞれ照射するランプユニットである。
【0017】
前記半導体型光源10は、この例では、たとえば、LED、OELまたはOLED(有機EL)などの自発光半導体型光源である。前記半導体型光源10は、発光チップ(LEDチップ)100を封止樹脂部材で封止したパッケージ(LEDパッケージ)から構成されている。前記パッケージは、基板101に実装されている。前記基板101に取り付けられているコネクタ(図示せず)を介して前記発光チップ100には、電源(バッテリー)からの電流が供給される。前記半導体型光源10は、前記ヒートシンク部材13に取り付けられている。
【0018】
前記発光チップ100は、長方形形状の発光面102を有する。前記発光面102は、上側に向いていて、前記リフレクタ11と対向する。前記発光面102の長手方向は、基準光軸(前記第1ランプユニット1の基準光軸、前記リフレクタ11の基準光軸、前記投影レンズ12の基準光軸、基準軸)Z1と平行もしくはほぼ平行である。このために、マックス光度(最大光度、最大照度)を高くすることができ、かつ、光を集中させやすく、しかも、光を上方に広げやすい。この結果、前記集光配光パターンSP1、SP2を形成するのに適している。前記発光面102の中心O1は、前記基準光軸Z1上もしくはその近傍に位置し、また、前記リフレクタ11の第1焦点F11上もしくはその近傍に位置する。
【0019】
前記リフレクタ11は、光不透過性の材料からなる。前記リフレクタ11は、前記ヒートシンク部材13に取り付けられている。前記リフレクタ11は、前側部分および下側部分が開口し、かつ、後側部分および上側部分および左右両側部分が閉塞した中空形状をなす。前記リフレクタ11の閉塞部分の凹内面には、回転楕円面(楕円)を基本(基調)とした自由曲面からなる反射面(収束型反射面)110が設けられている。前記反射面110は、前記半導体型光源10からの光を反射光L1として前記投影レンズ12側に反射させるものである。前記反射面110は、前記基準光軸Z1と、前記第1焦点F11と、第2焦点F12と、を有する。前記反射面110は、比較的集光した配光パターン、すなわち、前記集光配光パターンSP1、SP2を形成するように設計されている。
【0020】
前記投影レンズ12は、ホルダ(図示せず)を介して前記ヒートシンク部材13に取り付けられている。前記投影レンズ12は、前記半導体型光源10からの光であって、前記リフレクタ11の前記反射面110からの前記反射光L1を、前記集光配光パターンSP1、SP2として、外部すなわち車両の前方に照射する。前記投影レンズ12は、非球面を基本とする投影レンズである。前記投影レンズ12は、前記基準光軸Z1と、レンズ焦点(物空間側の焦点面であるメリジオナル像面、後側焦点)F13と、を有する。
【0021】
前記投影レンズ12の前記基準光軸Z1と、前記リフレクタ11の前記反射面110の前記基準光軸Z1とは、一致もしくはほぼ一致する。前記投影レンズ12の前記レンズ焦点F13と、前記リフレクタ11の前記反射面110の前記第2焦点F12とは、一致もしくはほぼ一致する。
【0022】
前記ヒートシンク部材13は、たとえば、熱伝導率が高い材料からなる。前記ヒートシンク部材13は、板形状の取付部と、フィン形状の放熱部と、から構成されている。前記ヒートシンク部材13は、前記半導体型光源10において発生する熱を外部に放出するものである。前記ヒートシンク部材13は、前記半導体型光源10および前記リフレクタ11および前記投影レンズ12を取り付ける取付部材を兼用する。
【0023】
(第2ランプユニット2の説明)
前記第2ランプユニット2は、
図1、
図5に示すように、半導体型光源20と、リフレクタ21と、投影レンズ22と、ヒートシンク部材23と、を備えるプロジェクタ型のランプユニットである。前記第2ランプユニット2は、
図9(A)に示すカットオフラインCLを有するロービーム配光パターン用の拡散配光パターンWP1、および、
図9(B)に示すハイビーム配光パターン用の拡散配光パターンWP2を、それぞれ照射するランプユニットである。
【0024】
前記半導体型光源20は、この例では、たとえば、LED、OELまたはOLED(有機EL)などの自発光半導体型光源である。前記半導体型光源20は、発光チップ(LEDチップ)200を封止樹脂部材で封止したパッケージ(LEDパッケージ)から構成されている。前記パッケージは、基板201に実装されている。前記基板201に取り付けられているコネクタ(図示せず)を介して前記発光チップ200には、電源(バッテリー)からの電流が供給される。前記半導体型光源20は、前記ヒートシンク部材23に取り付けられている。
【0025】
前記発光チップ200は、長方形形状の発光面202を有する。前記発光面202は、上側に向いていて、前記リフレクタ21と対向する。前記発光面202の長手方向は、基準光軸(前記第2ランプユニット2の基準光軸、前記リフレクタ21の基準光軸、前記投影レンズ22の基準光軸、基準軸)Z2に対して直交もしくはほぼ直交する。このために、光を左右に広げやすく、かつ、マックス光度(最大光度、最大照度)を低くすることができる。この結果、前記拡散配光パターンWP1、WP2を形成するのに適している。前記発光面202の中心O2は、前記基準光軸Z2上もしくはその近傍に位置し、また、前記リフレクタ21の第1焦点F21上もしくはその近傍に位置する。
【0026】
前記リフレクタ21は、光不透過性の材料からなる。前記リフレクタ21は、前記ヒートシンク部材23に取り付けられている。前記リフレクタ21は、前側部分および下側部分が開口し、かつ、後側部分および上側部分および左右両側部分が閉塞した中空形状をなす。前記リフレクタ21の閉塞部分の凹内面には、回転楕円面(楕円)を基本(基調)とした自由曲面からなる反射面(収束型反射面)210が設けられている。前記反射面210は、前記半導体型光源20からの光を反射光L2として前記投影レンズ22側に反射させるものである。前記反射面210は、前記基準光軸Z2と、前記第1焦点F21と、第2焦点F22と、を有する。前記反射面210は、比較的拡散された配光パターン、すなわち、前記拡散配光パターンWP1、WP2を形成するように設計されている。
【0027】
前記投影レンズ22は、ホルダ(図示せず)を介して前記ヒートシンク部材23に取り付けられている。前記投影レンズ22は、前記半導体型光源20からの光であって、前記リフレクタ21の前記反射面210からの前記反射光L2を、前記拡散配光パターンWP1、WP2として、外部すなわち車両の前方に照射する。前記投影レンズ22は、非球面を基本とする投影レンズである。前記投影レンズ22は、前記基準光軸Z2と、レンズ焦点(物空間側の焦点面であるメリジオナル像面、後側焦点)F23と、を有する。
【0028】
前記投影レンズ22の前記基準光軸Z2と、前記リフレクタ21の前記反射面210の前記基準光軸Z2とは、一致もしくはほぼ一致する。前記投影レンズ22の前記レンズ焦点F23と、前記リフレクタ21の前記反射面210の前記第2焦点F22とは、一致もしくはほぼ一致する。
【0029】
前記ヒートシンク部材23は、たとえば、熱伝導率が高い材料からなる。前記ヒートシンク部材23は、板形状の取付部と、フィン形状の放熱部と、から構成されている。前記ヒートシンク部材23は、前記半導体型光源20において発生する熱を外部に放出するものである。前記ヒートシンク部材23は、前記半導体型光源20および前記リフレクタ21および前記投影レンズ22を取り付ける取付部材を兼用する。
【0030】
(第1配光パターン切替部材3の説明)
前記第1配光パターン切替部材3は、垂直な平板形状のシェード部材である。前記第1配光パターン切替部材3は、前記第1ランプユニット1の前記半導体型光源10および前記リフレクタ11と前記投影レンズ12との間に配置されている。前記第1配光パターン切替部材3は、前記第1ランプユニット1の前記集光配光パターンSP1、SP2を切り替えるものである。前記第1配光パターン切替部材3は、前記駆動部材5により、第1位置(
図1、
図2、
図4、
図6中の実線にて示す位置)と、第2位置(
図1、
図2、
図4、
図6中の二点鎖線にて示す位置)とに、側面から見て(
図4参照)、前記基準光軸Z1と平行もしくはほぼ平行に切り替わって位置する。前記第1配光パターン切替部材3の前記第1位置は、前記第1配光パターン切替部材3の前記第2位置に対して、前記投影レンズ12側の位置である。
【0031】
前記第1配光パターン切替部材3は、前記第1位置に位置するときには、前記リフレクタ11の前記反射面110からの前記反射光L1、L10の一部L10をカットオフして(
図6中の実線矢印および二点鎖線矢印を参照)、
図8(A)に示すように、前記カットオフラインCL1、CL2、CL3を有するロービーム配光パターン用の前記集光配光パターンSP1を形成する。前記第1配光パターン切替部材3は、前記第2位置に位置するときには、前記リフレクタ11の前記反射面110からの前記反射光L1、L10のほとんど全部L1、L10(
図6中の実線矢印および二点鎖線矢印を参照)を前記投影レンズ12側に進めて、
図8(B)に示すように、ハイビーム配光パターン用の前記集光配光パターンSP2を形成する。
【0032】
前記第1配光パターン切替部材3の上側のエッジ(上縁)31、32、33は、前記カットオフラインCL1、CL2、CL3を形成する。すなわち、左側の上エッジ31は、右側の下水平カットオフラインCL1を形成する。中間の斜めエッジ32は、中間の斜めカットオフラインCL2を形成する。右側の下エッジ33は、左側の上水平カットオフラインCL3を形成する。なお、前記第1配光パターン切替部材3は、平板形状ではなく、湾曲板形状であっても良い。すなわち、前記エッジ31、32、33の平面形状が直線ではなく、曲線(メリジオナル像面に沿った曲線)であっても良い。また、前記エッジ31、32、33の平面形状の幅は、前記投影レンズ12の幅(前記投影レンズ12の前記基準光軸Z1に対して直交もしくはほぼ直交する方向の幅)とほぼ同等もしくは若干大きい。これにより、前記投影レンズ12の外側に光が漏れるのを防ぐことができる。
【0033】
(第2配光パターン切替部材4の説明)
前記第2配光パターン切替部材4は、ほぼ水平に(前記半導体型光源20側の端部が上側に、前記投影レンズ22側の端部が下側に)傾斜している平板形状の反射部材である。前記第2配光パターン切替部材4は、前記第2ランプユニット2の前記半導体型光源20および前記リフレクタ21と前記投影レンズ22との間に配置されている。前記第2配光パターン切替部材4は、前記第2ランプユニット2の前記拡散配光パターンWP1、WP2を切り替えるものである。前記第2配光パターン切替部材4は、前記駆動部材5により、第1位置(
図1、
図2、
図5、
図7中の実線にて示す位置)と、第2位置(
図1、
図2、
図5、
図7中の二点鎖線にて示す位置)とに、側面から見て(
図5参照)、前記基準光軸Z2と平行もしくはほぼ平行に切り替わって位置する。切り替わって位置する。前記第2配光パターン切替部材4の前記第1位置は、前記第2配光パターン切替部材4の前記第2位置に対して、前記半導体型光源20側の位置である。
【0034】
前記第2配光パターン切替部材4は、前記第1位置に位置するときには、前記リフレクタ21の前記反射面210からの前記反射光L2のうち、ほとんど全部L2、L20(
図7中の実線矢印を参照)を前記投影レンズ12側に進めて、
図9(A)に示すように、前記カットオフラインCLを有するロービーム配光パターン用の前記拡散配光パターンWP1を形成する。ロービーム配光パターン用の前記拡散配光パターンWP1の前記カットオフラインCLは、水平もしくはほぼ水平をなしていて、ロービーム配光パターン用の前記集光配光パターンSP1の前記カットオフラインCL1、CL2、CL3よりも下側に位置する。
【0035】
また、前記第2配光パターン切替部材4は、前記第1位置に位置するときには、前記リフレクタ21の前記反射面210からの前記反射光L2のうち、僅かな一部L21を上側に反射させて、前記上側の反射光L22(
図7中の二点鎖線矢印を参照)により、
図9(A)に示すように、ロービーム配光パターン用の前記拡散配光パターンSP1の前記カットオフラインCLより上側のオーバーヘッドサイン配光パターンOPを形成する。
【0036】
前記第2配光パターン切替部材4は、前記第2位置に位置するときには、前記リフレクタ21の前記反射面210からの前記反射光L2の一部L20を上側に反射させて、前記上側の反射光L23(
図7中の二点鎖線矢印を参照)が、
図9(B)中の実線矢印に示すように、前記拡散配光パターンWP2の手前の配光パターンの一部(
図9(B)中の破線にて囲まれた一部)DPを減光して、前記拡散配光パターンWP2の上側の配光パターン(
図9(B)中の実線にて示されている配光パターン)UPとする。そして、前記上側の反射光L23と前記反射光L2、L21とにより、
図9(B)に示すように、ハイビーム配光パターン用の前記拡散配光パターンWP2を形成する。
【0037】
前記第2配光パターン切替部材4の前側のエッジ(前縁)40は、前記カットオフラインCLを形成する。前記第2配光パターン切替部材4の上側の面の反射面41は、前記反射光L2の僅かな一部L21あるいは一部L20を上側に反射させて、前記上側の反射光L22あるいはL23とする。なお、前記第2配光パターン切替部材4は、平板形状ではなく、湾曲板形状であっても良い。すなわち、前記エッジ40が直線ではなく、曲線であっても良いし、前記反射面41が平面ではなく、曲面であっても良い。また、前記エッジ40の平面形状の幅は、前記投影レンズ22の幅(前記投影レンズ22の前記基準光軸Z2に対して直交もしくはほぼ直交する方向の幅)とほぼ同等もしくは若干大きい。これにより、前記投影レンズ22の外側に光が漏れるのを防ぐことができる。
【0038】
(駆動部材5の説明)
前記駆動部材5は、前記第1配光パターン切替部材3および前記第2配光パターン切替部材4を同時に駆動させる。すなわち、前記第1配光パターン切替部材3および前記第2配光パターン切替部材4をそれぞれ第1位置にまたは第2位置に同時に切り替えて位置させる。前記駆動部材5は、
図1〜
図3に示すように、回転軸50と、回転部51と、駆動部52と、を有する。
【0039】
前記回転軸50は、円柱形状をなす。前記回転軸50は、前記第1ランプユニット1と前記第2ランプユニット2との間に配置されている。前記回転軸50の下端は、前記取付ブラケット6に垂直もしくはほぼ垂直に固定されている。この結果、前記回転軸50の中心線Oは、垂直もしくはほぼ垂直である。
【0040】
前記回転軸50の中間部には、前記回転部51が前記回転軸50の前記中心線O回りに回転可能に取り付けられている。前記回転部51は、たとえば、軸受部材などから構成されている。前記回転部51の右側部と左側部とには、前記第1配光パターン切替部材3の一端(左端)と前記第2配光パターン切替部材4の一端(右端)とが、一直線もしくはほぼ一直線にそれぞれ取り付けられている。前記回転部51には、取付部53が固定されている。
【0041】
前記駆動部52は、この例では、ソレノイドからなる。前記駆動部52は、前記取付ブラケット6に固定されている。前記駆動部52のプランジャ54の先端が前記回転部51の前記取付部53であって前記回転軸50の近傍に取り付けられている。前記プランジャ54と前記取付部53とは、前記プランジャ54の直線移動と前記取付部53の回転移動とが相互に干渉されずにスムーズに移動できるように取り付けられている。
【0042】
前記駆動部52は、前記プランジャ54および前記取付部53を介して、前記回転部51を前記回転軸50に対して回転させて、前記第1配光パターン切替部材3および前記第2配光パターン切替部材4をそれぞれ第1位置にまたは第2位置に同時に位置させるものである。すなわち、前記駆動部52に通電すると、
図2中の二点鎖線矢印に示すように、前記プランジャ54が実線の状態から二点鎖線の状態に後退する。それに伴って、
図2中の二点鎖線矢印に示すように、前記取付部53および前記回転部51が、前記回転軸50の前記中心線O回りに時計方向に回転する。その結果、
図2中の二点鎖線矢印に示すように、実線で示す前記第1位置に位置する前記第1配光パターン切替部材3および前記第2配光パターン切替部材4が、それぞれ同時に前記回転軸50の前記中心線O回りに時計方向に回転して、二点鎖線で示す前記第2位置に位置する。
【0043】
前記駆動部52への通電を遮断すると、
図2中の実線矢印に示すように、前記プランジャ54が二点鎖線の状態から実線の状態に前進する。それに伴って、
図2中の実線矢印に示すように、前記取付部53および前記回転部51が、前記回転軸50の前記中心線O回りに反時計方向に回転する。その結果、
図2中の実線矢印に示すように、二点鎖線で示す前記第2位置に位置する前記第1配光パターン切替部材3および前記第2配光パターン切替部材4が、それぞれ同時に前記回転軸50の前記中心線O回りに反時計方向に回転して、実線で示す前記第1位置に位置する。
【0044】
前記駆動部52への通電を遮断して、前記第1配光パターン切替部材3および前記第2配光パターン切替部材4および前記回転部51および前記取付部53および前記プランジャ54などの移動部材を復帰させる手段としては、前記駆動部52に内蔵されているスプリング、あるいは、前記移動部材と前記回転軸50、前記駆動部52、前記取付ブラケット6、前記ランプハウジングなどの固定部材との間に設けられているスプリングを使用する。図面では省略されているが、前記移動部材と前記固定部材とには、前記第1位置および前記第2位置を決めるストッパがそれぞれ設けられている。
【0045】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態における車両用灯具は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0046】
駆動部52が無通電状態の通常状態においては、第1配光パターン切替部材3および第2配光パターン切替部材4が、それぞれ実線で示す第1位置に位置する。この状態において、第1ランプユニット1の半導体型光源10および第2ランプユニット2の半導体型光源20を同時に点灯する。
【0047】
すると、第1ランプユニット1の半導体型光源10の発光面102から放射された光がリフレクタ11の反射面110で投影レンズ12側に反射される。その反射光L1、L10の一部L10が、
図6中の実線矢印および二点鎖線矢印に示すように、第1位置に位置する第1配光パターン切替部材3によりカットオフされる。そして、残りの反射光L1が、
図8(A)に示すように、カットオフラインCL1、CL2、CL3を有するロービーム配光パターン用の集光配光パターンSP1として、投影レンズ12から車両の前方に照射される。
【0048】
一方、第2ランプユニット2の半導体型光源20の発光面202から放射された光がリフレクタ21の反射面210で投影レンズ22側に反射される。その反射光L2のうち、ほとんど全部L2、L20が、
図7中の実線矢印に示すように、投影レンズ12側に進み、かつ、
図9(A)に示すように、カットオフラインCLを有するロービーム配光パターン用の拡散配光パターンWP1として、投影レンズ12から車両の前方に照射される。
【0049】
また、第2ランプユニット2のリフレクタ21の反射面210からの反射光L2のうち、僅かな一部L21が、上側の反射光L22として、
図7中の二点鎖線矢印に示すように、第1位置に位置する第2配光パターン切替部材4の反射面41で上側に反射する。その上側の反射光L22が、
図9(A)に示すように、ロービーム配光パターン用の拡散配光パターンSP1のカットオフラインCLより上側のオーバーヘッドサイン配光パターンOPとして、投影レンズ12から車両の前方に照射される。
【0050】
そして、
図8(A)に示すカットオフラインCL1、CL2、CL3を有するロービーム配光パターン用の集光配光パターンSP1と、
図9(A)に示すカットオフラインCLを有するロービーム配光パターン用の拡散配光パターンWP1とが、合成(重畳)されて、ロービーム配光パターン(図示せず)が得られる。また、そのロービーム配光パターンのカットオフラインCL、CL1、CL2、CL3より上側のオーバーヘッドサイン配光パターンOPが得られる。
【0051】
ここで、駆動部52に通電する。すると、プランジャ54が、スプリングのスプリング力に抗して、
図2中の二点鎖線矢印に示すように、実線の状態から二点鎖線の状態に後退する。それに伴って、
図2中の二点鎖線矢印に示すように、取付部53および回転部51が、回転軸50の中心線O回りに時計方向に回転する。その結果、
図2中の二点鎖線矢印に示すように、実線で示す第1位置に位置する第1配光パターン切替部材3および第2配光パターン切替部材4が、それぞれ同時に回転軸50の中心線O回りに時計方向に回転して、二点鎖線で示す第2位置に位置する。
【0052】
第1配光パターン切替部材3が第2位置に位置すると、第1ランプユニット1のリフレクタ11の反射面110からの反射光L1のほとんど全部L1、L10が、
図6中の実線矢印および二点鎖線矢印に示すように、投影レンズ12側に進み、かつ、
図8(B)に示すように、ハイビーム配光パターン用の集光配光パターンSP2として、投影レンズ12から車両の前方に照射される。
【0053】
一方、第2配光パターン切替部材4が第2位置に位置すると、第2ランプユニット2のリフレクタ21の反射面210からの反射光L2の一部L20が、上側の反射光L23として、
図7中の二点鎖線矢印に示すように、第2位置に位置する第2配光パターン切替部材4の反射面41で上側に反射する。その上側の反射光L23が、
図9(B)中の実線矢印に示すように、拡散配光パターンWP2の手前の配光パターンの一部(
図9(B)中の破線にて囲まれた一部)DPを減光して、拡散配光パターンWP2の上側の配光パターン(
図9(B)中の実線にて示されている配光パターン)UPとする。上側の反射光L23と反射光L2、L21とが、
図9(B)に示すように、ハイビーム配光パターン用の前記拡散配光パターンWP2として、投影レンズ12から車両の前方に照射される。
【0054】
そして、
図8(B)に示すハイビーム配光パターン用の集光配光パターンSP2と、
図9(B)に示すハイビーム配光パターン用の拡散配光パターンWP2とが、合成(重畳)されて、ハイビーム配光パターン(図示せず)が得られる。
【0055】
ここで、駆動部52への通電を遮断する。すると、プランジャ54が、スプリングのスプリング力により、
図2中の実線矢印に示すように、二点鎖線の状態から実線の状態に前進する。それに伴って、
図2中の実線矢印に示すように、取付部53および回転部51が、回転軸50の中心線O回りに反時計方向に回転する。その結果、
図2中の実線矢印に示すように、二点鎖線で示す第2位置に位置する第1配光パターン切替部材3および第2配光パターン切替部材4が、それぞれ同時に回転軸50の中心線O回りに反時計方向に回転して、実線で示す第1位置に位置する。この結果、ハイビーム配光パターンからロービーム配光パターンに切り替わる。
【0056】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態における車両用灯具は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0057】
この実施形態における車両用灯具は、2つの配光パターン切替部材すなわち第1配光パターン切替部材3および第2配光パターン切替部材4を1つの駆動部材5で同時に駆動させることができる。このために、2つのランプユニットすなわち第1ランプユニット1および第2ランプユニット2を使用しても、駆動部材5を1つ使用するだけで良い。その結果、製造コストを安価にすることができ、しかも、構造が簡単である。その上、2つのランプユニットを使用するので、十分な光束が得られる。
【0058】
この実施形態における車両用灯具は、駆動部材5の回転軸50が第1ランプユニット1と第2ランプユニット2との間に配置されていて、その回転軸50に回転部51が回転可能に取り付けられていて、その回転部51の取付部53のうち回転軸50の近傍に駆動部52のプランジャ54が取り付けられている。このために、プランジャ54の短い距離の前進後退により、第1配光パターン切替部材3および第2配光パターン切替部材4をそれぞれ第1位置にまたは第2位置に同時に十分に切り替えて位置させることができる。これにより、駆動部材5特に駆動部52を小型化することができる。
【0059】
この実施形態における車両用灯具は、第1ランプユニット1が集光配光パターンSP1、SP2を照射するプロジェクタ型のランプユニットであり、第1配光パターン切替部材3がシェード部材であって、第1位置に位置するときには、リフレクタ11からの反射光L1の一部L10をカットオフしてカットオフラインCL1、CL2、CL3を有するロービーム配光パターン用の集光配光パターンSP1を形成するものである。この結果、良好なロービーム配光パターンを得ることができる。
【0060】
この実施形態における車両用灯具は、第2ランプユニット2が拡散配光パターンWP1、WP2を照射するプロジェクタ型のランプユニットであり、第2配光パターン切替部材4が反射部材であって、第2位置に位置するときには、リフレクタ21からの反射光L2の一部L2、L20を上側に反射させて拡散配光パターンWP2の手前の配光パターンの一部DPを減光して拡散配光パターンWP2の上側の配光パターンUPとするハイビーム配光パターン用の拡散配光パターンWP2を形成するものである。この結果、良好なハイビーム配光パターンを得ることができる。
【0061】
しかも、第2配光パターン切替部材4が第1位置に位置するときには、リフレクタ21からの反射光L2のうち僅かな一部L21を上側に反射させてオーバーヘッドサイン配光パターンOPを得ることができる。
【0062】
この実施形態における車両用灯具は、第1ランプユニット1の半導体型光源10が長方形形状の発光面102を有し、発光面102の長手方向が基準光軸Z1と平行もしくはほぼ平行となるように、配置されている。この結果、第1ランプユニット1から集光配光パターンSP1、SP2を照射するのに最適である。
【0063】
この実施形態における車両用灯具は、第2ランプユニット2の半導体型光源20が長方形形状の発光面202を有し、発光面202の長手方向が基準光軸Z2に対して直交もしくはほぼ直交するように、配置されている。この結果、第2ランプユニット2から拡散配光パターンWP1、WP2を照射するのに最適である。
【0064】
この実施形態における車両用灯具は、駆動部52が無通電状態時にはロービーム配光パターンを照射し、駆動部52が通電状態時にはハイビーム配光パターンを照射するものである。このために、駆動部52において故障などが発生した場合には、必ずロービーム配光パターンが照射されるので、フェイルセイフ機能が確保されている。
【0065】
(実施形態以外の例の説明)
なお、この実施形態においては、ロービーム配光パターンとハイビーム配光パターンとを切り替えて照射するヘッドランプについて説明するものである。ところが、この発明においては、ロービーム配光パターンと、ハイビーム配光パターン以外の配光パターンとを切り替えて照射するもの、あるいは、ハイビーム配光パターンと、ロービーム配光パターン以外の配光パターンとを切り替えて照射するもの、あるいは、ロービーム配光パターンおよびハイビーム配光パターン以外の2つの配光パターンを切り替えて照射するものであっても良い。
【0066】
また、この実施形態においては、第1ランプユニット1と第2ランプユニット2とが左右に並べて配置されているものである。ところが、この発明においては、第1ランプユニット1と第2ランプユニット2とを、前後に、あるいは、上下に、あるいは、左右にずらして配置しても良い。
【0067】
さらに、この実施形態においては、駆動部52としてソレノイドを使用するものである。ところが、この発明においては、駆動部としてモータなどを使用しても良い。
【0068】
さらにまた、この実施形態においては、半導体型光源10、20の発光面102、202が長方形形状をなすものである。ところが、この発明においては、半導体型光源の発光面が正方形であっても良い。
【0069】
さらにまた、この実施形態においては、第1ランプユニット1の半導体型光源10の発光面102の長手方向が基準光軸Z1と平行もしくはほぼ平行である。ところが、この発明においては、第1ランプユニット1の半導体型光源10の発光面102の長手方向が基準光軸Z1と斜めに交差するものであっても良い。
【0070】
さらにまた、この実施形態においては、第2ランプユニット2の半導体型光源20の発光面202の長手方向が基準光軸Z2に対して直交もしくはほぼ直交するものである。ところが、この発明においては、第2ランプユニット2の半導体型光源20の発光面202の長手方向が基準光軸Z2に対して斜めに交差するものであっても良い。
【0071】
さらにまた、この実施形態においては、第1配光パターン切替部材3および第2配光パターン切替部材4を、
図4、
図5に示すように、側面から見て基準光軸Z1、Z2に平行もしくはほぼ平行に移動させるものである。ところが、この発明においては、
図3に示すように、回転軸50の中心線Oを、上端が半導体型光源10、20に、下端が投影レンズ12、22側に、傾斜させた中心線O3にして、第1配光パターン切替部材3および第2配光パターン切替部材4を、
図6、
図7に示すように、基準光軸Z1、Z2に対して、交差するように移動させるようにしても良い。
【0072】
さらにまた、この実施形態においては、通電するとプランジャ54が後退する駆動部52(ソレノイド)を使用するものである。ところが、この発明においては、通電するとプランジャが前進する駆動部(ソレノイド)を使用するものであっても良い。