(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ロール状に巻回した印刷媒体の巻回終端付近に、この印刷媒体の終端が近づいたことを示す印が施されたロール紙を繰り出し、前記印刷媒体に印字部で印字を行う印刷装置において、
前記印を検出する検出部と、
前記検出部と前記印刷媒体の表面との間の離間距離を所定の間隔に保つガイド部と、
前記印刷装置に開閉自在に取り付けられる上部ケースと、
を備え、
前記印字部を構成するサーマルヘッドと前記検出部と前記ガイド部とを前記上部ケースに設置すると共に、
前記検出部と前記ガイド部を、前記サーマルヘッドより印刷媒体引出方向の上流で、ロール紙より下流の位置に設置したことを特徴とする印刷装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ロール紙からレシートを繰り出す繰出部や、レシートの搬送路上に何らかの問題が生じると、レシートが正しく繰り出されなくなり、レシートの繰り出しにムラが生じてしまい、レシートがうねったり、蛇行したりするという現象が生じる場合があった。
【0005】
このような現象が生じると、検出センサにレシートが接近し過ぎる、または離れ過ぎてしまうという現象が生じるため、検出センサがレシートの印を正しく検出することができない状況となってしまう。そのため、レシートエンドでない箇所でレシートエンドであると誤った判断をしたり、或いはレシートエンドであるのにも係わらずレシート交換等のメッセージを報知できなかったりし、これらのことからレシートに正しく印字することが出来ないという問題が生じる可能性があった。
【0006】
また検出センサは、紙粉などによって汚れてしまうことがあるが、このような場合も検出センサがレシートの印を正しく検出することができず、そのため上記と同様に、レシートに正しく印字することが出来ない場合があった。この問題を解決するには、検出センサの清掃が必要であるが、従来、検出センサは印刷装置の奥側や側端部等、手の届きにくい場所に設けられていたので、検出センサの汚れの確認や清掃を容易に行うことができなかった。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、印刷媒体の終端を示す印を正しく検出することにより、レシート印字が正しく行えると共に、正しいタイミングで消耗品の交換の報知を行うことができる印刷装置及びその印刷装置を備えた販売データ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ロール状に巻回した印刷媒体の巻回終端付近に、この印刷媒体の終端が近づいたことを示す印が施されたロール紙を繰り出し、前記印刷媒体に印字部で印字を行う印刷装置において、前記印を検出する検出部と、前記検出部と前記印刷媒体の表面との間の離間距離を所定の間隔に保つガイド部と、
前記印刷装置に開閉自在に取り付けられる上部ケースと、を備え、前記印字部を構成するサーマルヘッドと前記検出部と前記ガイド部とを前記上部ケースに設置すると共に、前記検出部と前記ガイド部を、前記サーマルヘッドより印刷媒体引出方向の上流で、ロール紙より下流の位置に設置したことを特徴とする。
検出部と印刷媒体との離間距離がガイド部によって一定の間隔に保たれるので、検出部と印刷媒体との間の隙間が無くなる、または前記隙間が空き過ぎるという現象を防止できる。これによって検出部は印刷媒体のニアエンドを正しく検出することができるので、印字に関するトラブルを無くすことができる。
また開閉自在の上部ケースに検出部を設け、且つこの検出部は、開いた上部ケースの手前側に位置するサーマルヘッドより上流で、ロール紙より下流に設置されるので、検出部の汚れの確認や清掃が容易に行える。これによって検出部は印刷媒体のニアエンドを正しく検出することができるので、印字に関するトラブルを無くすことができる。
【0009】
また本発明は、前記サーマルヘッドが前記上部ケースの下面前方側に設置されていることが好ましい。
また本発明は、前記検出部と前記ガイド部とを、
前記サーマルヘッドの後方側近傍に組み付けることが好ましい。
これによって検出部による印の検出位置から印字部までの距離が接近するので、両者間が長い場合に生じる印刷媒体の無駄が生じることがなく、また、印が施された印刷媒体に会計明細等が印字されたレシートを発行することがないので体裁のよいレシートを発行できる。
【0010】
また本発明は、
前記ガイド部が一対であって、それらガイド部の間に、前記検出部を収納する検出部収納部を形成することが好ましい。
【0011】
また本発明は、
前記ガイド部の先端辺が、前記印刷媒体の表面に当接する印刷媒体当接部であり、当該印刷媒体当接部が前記印刷媒体の繰り出し方向に沿う方向を向いていることが好ましい。
【0013】
また本発明は、
ロール状に巻回した印刷媒体の巻回終端付近に、この印刷媒体の終端が近づいたことを示す印が施されたロール紙を繰り出し、前記印刷媒体に印字部で印字を行う印刷装置において、前記印を検出する検出部と、前記検出部と前記印刷媒体の表面との間の離間距離を所定の間隔に保つガイド部と、を備え、前記印字部は、サーマルヘッドと、前記サーマルヘッドの発熱部との間で印刷媒体を挟持して搬送するプラテンローラとを具備し、前記検出部と前記ガイド部は、前記サーマルヘッドに一体に取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記印刷装置を備えた販売データ処理装置にある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明を適用した会計用POSレジスタ300を用いて構成されたPOSシステム1の概略構成図である。同図に示すようにPOSシステム1は、ストアコントローラ100と、N台(Nは1以上の整数)の印刷用POSレジスタ(登録手段)200と、M台(Mは1以上の整数)の会計用POSレジスタ(会計手段)300と、L台(Lは1以上の整数)の携帯端末(端末装置)400とを有している。
【0017】
印刷用POSレジスタ200は、LAN110を介してストアコントローラ100に接続されているものと、接続されていないものとが存在する。また、会計用POSレジスタ300も同様に、LAN110を介してストアコントローラ100に接続されているものと、接続されていないものとが存在する。つまり、各印刷用POSレジスタ200と会計用POSレジスタ300とは、LAN110を介して接続されていなくても良いことを示している。なおLAN接続の形態は、有線、無線を問わない。
【0018】
ストアコントローラ100は、POSシステム1を制御するコンピュータであって、商品マスタなどの種々の情報を管理する。ストアコントローラ100は、適宜、最新の商品マスタを各印刷用POSレジスタ200と会計用POSレジスタ300に送信する。なお、商品マスタは、各商品の商品識別情報、商品名称、販売価格などの商品情報を格納したファイルであって、適宜、更新される。
【0019】
印刷用POSレジスタ200は、顧客が購入する商品の全ての買上情報をコードにしてレシートへ印刷するための装置である。印刷用POSレジスタ200は、種々の操作キーや表示部などを備える。印刷用POSレジスタ200は、店員の操作により顧客が購入する商品に付されたバーコード(商品コード)を読み取るスキャナ部が接続されている。印刷用POSレジスタ200は、顧客が購入する商品に付されたバーコードを読み取り、読み取ったコード情報に基づいて、顧客の買上情報を表すコード(会計用コード、例えば2次元コード)に変換する。印刷用POSレジスタ200は、内蔵する印刷装置によって変換後のコード(会計用コード)をレシート(印刷媒体)へ印刷する。
【0020】
会計用POSレジスタ300は、レシートに印刷されたコード(会計用コード)を読み取って会計を行うための装置である。会計用POSレジスタ300は、最新の商品マスタをストアコントローラ100から直接的に適宜取得し、会計用POSレジスタ300が備える後述するRAM303に記憶することができる。
【0021】
図2は、印刷用POSレジスタ200の一例を示す機能ブロック図である。同図に示すように印刷用POSレジスタ200は、このレジスタの動作を制御するCPU201と、CPU201が実行するプログラムを記憶するROM202と、種々の情報を記憶するRAM203と、商品に付されているバーコード(商品コード)を光学的に読み取るスキャナ部(読み取り手段)204と、商品の名称や価格などを表示する表示部(店員用)205及び表示部(客用)205aと、各種操作ボタンからなる操作部206と、LAN110を介してストアコントローラ100と通信する通信部207と、操作の確認が必要なとき等に音を発生させるブザー208と、2次元コードをレシートへ印刷するレシート印刷部(印刷装置)209と、顧客の買上情報を記憶するハードディスク210とを備えて構成されている。各構成要素は互いにバスを介して接続されている。
【0022】
図3は、本発明の一実施形態にかかる印刷装置10を装着した会計用POSレジスタ300の斜視図である。同図に示すように会計用POSレジスタ300は、基台330上に、スキャナ部304及び表示部305と、表示ポール340とを設置して構成されている。基台330の正面側には、釣銭釣札部310(310a,310b,310c)とレシート発行部311が設置されている。
【0023】
スキャナ部304は、前記レシートに印刷されたコード(会計用コード)を読み取る。表示部305は、買上明細の情報を表示する。釣銭釣札部310は、硬貨出金口310aと、硬貨入金口310bと、紙幣入出金口310cとを有している。レシート発行部311からは、その内部に収納設置されている本実施形態にかかる印刷装置10によって印刷された会計済のレシート73が排出される。表示ポール340の先端には会計用POSレジスタ300に生じた状況に応じて選択的に発光状態(点灯・点滅状態等)が変化する発光部343が設置されている。
【0024】
図4は、本実施形態にかかる印刷装置10を示す概略斜視図である。なお以下の説明において、印刷装置10内に収納するロール紙70のレシート(印刷媒体)73を引き出していく方向(矢印A方向)を前方、その反対方向を後方ということとする。同図に示すように印刷装置10は、下部ケース11と、下部ケース11の後方側の上辺近傍部分を軸として揺動して前記下部ケース11の上面を開閉する上部ケース90とを具備して構成されている。
【0025】
下部ケース11の上面前方側には印刷媒体載置面15が設けられ、後方側にはロール紙70を収納する凹状のロール紙収納部13が形成されている。印刷媒体載置面15の前方には、プラテンローラ17が設置されている。プラテンローラ17は図示しないステッピングモータ等の駆動手段によって回転駆動される。ロール紙収納部13はロール紙70の略全体を収納する寸法形状に形成されており、この例の場合、ロール紙70の回転軸を支持しないでロール紙収納部13に投入するだけの、いわゆるドロップインタイプのものを用いている。プラテンローラ17の前方には、カッター(可動側)19Aが設置されている。
【0026】
上部ケース90の下面前方側にはサーマルヘッド21が設置され、さらにサーマルヘッド21の前方側には、カッター(固定側)19Bが設置されている。サーマルヘッド21の後方側の一側部には、検出センサ(検出部)35が設置され、検出センサ35の両側には、一対の板状のガイド部31が設けられている。
【0027】
図5はサーマルヘッド21を示す図であり、同図(a)は平面図、同図(b)は裏面図、同図(c)は右側面図、同図(d)は正面図である。同図に示すようにサーマルヘッド21は、回路基板等を収納した略横長矩形状の本体部24の一方(後方側)の辺近傍に、その辺の略全長にわたる発熱部26を設置して構成されている。発熱部26は下記するロール紙70から繰り出される感熱紙からなるレシート73を選択的に加熱して印字する。本体部24の発熱部26を設けた反対側の辺の一端近傍には、検出部取付部27が設けられている。検出部取付部27は、開口部分を下方向に向けた横断面コ字状であり、開口部分を検出部収納部29とし、その両側の板状に突出する側壁を一対のガイド部31としている。両ガイド部31の先端辺(下端辺)は、レシート73の表面に当接する印刷媒体当接部33であり、これら印刷媒体当接部33はレシート73の繰り出し方向に沿う方向を向いている。検出部収納部29にはチップ型の検出センサ35が収納、設置されている。検出センサ35の発光受光部35aは下方向に向かって露出している。検出センサ35の発光受光部35aを設けた下面と印刷媒体当接部33の間には所定の間隔L1が設けられている。この間隔L1は、検出センサ35がレシート73表面の下記する印75を精度よく検出できる寸法に設定されている。なお検出部取付部27はサーマルヘッド21の本体部24に一体に取り付けられているが、本体部24の外装ケースが合成樹脂製の場合はこれと一体成形によって取り付けても良く、本体部24の外装ケースが金属製の場合はこれに組み付けることによって一体化しても良い。
【0028】
図6はロール紙70を管状体71とレシート(印刷媒体)73に分解し、且つレシート73の終端近傍部分を示す図である。ロール紙70は、管状体71にレシート73を巻回して構成されている。レシート73の終端近傍部分の一方の面の一側辺近傍には、レシート73の終端(又はその近傍でもよい)から、レシート73の長手方向に向けて所定長さL2で帯状の印(マーク)75が印刷されている。この印75は、レシート73のその他の部分の色とは別の色とすることによって形成されている。例えばレシート73の色が白の場合、印75の色は黒色、ピンク色等の白色以外の色にする。また印75には模様等を付しても良い。また印75は2本以上であってもよい等、種々の変更が可能である。
【0029】
図7は会計用POSレジスタ300の機能ブロック図である。同図に示すように、会計用POSレジスタ300は、このレジスタの動作を制御するCPU301と、CPU301が実行するプログラムを記憶するROM302と、種々の情報(例えばレシートから読み取られた商品の買上情報等)を記憶するRAM303と、前記印刷用POSレジスタ200で印刷されたレシートの会計用コード(2次元コード)を光学的に読み取るスキャナ部(読み取り手段)304と、種々の情報を表示(例えばスキャナ部304で読み取られた買上情報に基づき、顧客が購入する商品の買上明細を表示する等)する表示部305と、各種操作ボタンからなる操作部306と、LAN110を介してストアコントローラ100と通信する通信部307と、会計処理のエラー等を示すブザー音を発生させるブザー308と、顧客の会計終了後に顧客が持ち帰る会計済レシートを印刷する印刷部(印刷装置)10と、硬貨出金口310a及び硬貨入金口310b及び紙幣入出金口310cを有する釣銭釣札部310と、表示ポール340の発光部343を発光等させる報知部320と、携帯端末400に無線送信する無線通信部312と、を備えて構成されている。各構成要素は互いにバスを介して接続されている。
【0030】
次にPOSシステム1の動作について説明する。まず印刷用POSレジスタ200において、店員が顧客の購入する商品のバーコードを、スキャナ部204によって読み取る。スキャナ部204が顧客の購入する全ての商品を読み取ると、読み取った買上情報に基づいて、会計用コードをレシート印刷部209にてレシートに印刷する。次に顧客は、そのレシートを持って、何れかの会計用POSレジスタ300の前まで移動する。そして顧客は、会計用POSレジスタ300のスキャナ部304において、レシートに印刷された買上情報を読み取らせる。この会計操作が開始されると同時に、発光部343を点灯する。会計用POSレジスタ300は、読み取った買上情報に基づいて、買上総額を含む買上明細を表示部305に表示する。次に、会計用POSレジスタ300は、顧客により投入された紙幣又は硬貨を計数し、投入された金額と買上総額とを比較し、投入された金額が買上総額に達するのを待つ。投入された金額が買上総額と同一又はそれ以上に投入された場合は、投入された金額から買上総額を減算し、お釣りを算出する。そして印刷部(印刷装置)10において顧客が持ち帰る会計済レシート73を印刷してレシート発行部311から排出し、次に釣銭釣札部310から釣銭を排出する。一連の会計処理が終了すると、発光部343を消灯する。
【0031】
図8は印刷装置10の印刷動作部分の概略機構図である。同図は、ロール紙70をロール紙収納部13に投入し、そのレシート73をプラテンローラ17の前方まで引き出した上で、
図4に示す上部ケース90を下部ケース11上に被せた状態を示している。このとき引き出されたレシート73は、下部ケース11の印刷媒体載置面15とサーマルヘッド21の間の隙間、及びプラテンローラ17と発熱部26の間を通過している。
【0032】
そしてプラテンローラ17を図示しないステッピングモータ等の駆動手段によって回転することにより、レシート73がロール紙70から繰り出されて搬送され、同時に発熱部26によってレシート73に印字が行われる。印字が行われたレシート(会計済レシート)73は、
図3に示すレシート発行部311から外部に排出され、その根元側が
図8に示すカッター19(19A,19B)によって切断される。
【0033】
レシート73がその終端に近づいた場合は、前記検出センサ35が、前記レシート73の印75を検出する。この検出は、検出センサ35の発光受光部35aからレシート73に照射した光の反射率の違いによる発光受光部35aの受光量の相違を求めること等によって行う。検出センサ35はレシート73の繰出し方向と直交する(レシート73の面に直交する)前記印75と対応する位置に設けられているので、印75を検出することができる。検出センサ35から前記印75を検出したことをCPU301が検知すると、CPU301は、印刷部(印刷装置)10に指令を出し、現在行っている1単位の印刷が終了した段階でレシート73の繰出し・印字を中止、または即座にレシート73の繰出し・印字を中止、または表示部305にロール紙70を取り替えることを警告表示する等の各種の処理を行う。
【0034】
上述のように、印75の検出は検出センサ35によって行われるが、検出センサ35の両側にはガイド部31が設置されており、検出センサ35上を通過するレシート73は、ガイド部31の印刷媒体当接部33と下部ケース11の印刷媒体載置面15の間の隙間に常に位置し、この位置よりも検出センサ35側に移動したり、検出センサ35から離れる方向に移動したりすることはない。つまり、検出センサ35とレシート73との離間距離を一定の間隔(≒L1)に保てるので、検出センサ35とレシート73との間の隙間が無くなる、または前記隙間が空き過ぎるという現象を確実に防止でき、これによって検出センサ35はレシート73の印75を常に正しく検出することができ、印字に関するトラブルを無くすことができる。
【0035】
レシート73の撓みは、例えばレシート73の無駄を省く等のために、レシート73に印字してカットして印字済みのレシート73を排出した後に、プラテンローラ17からカッター19までの間のレシート73をバックフィードさせるような場合に生じ易い。またこの印刷装置10のように、ロール紙70をロール紙収納部13にドロップインするタイプの場合、ロール紙70に巻回しているレシート73の厚みが薄くなると軽くなり、プラテンローラ17とロール紙70間のテンションが弱くなり、これによってレシート73が撓む場合もある。これに対して本発明によれば、レシート73をバックフィードしたり、またロール紙70をドロップインタイプで収納するように構成しても、常に検出センサ35はレシート73の印75を正しく検出することができる。言い換えれば、このような構造の印刷装置に本発明を適用すれば、特に効果的である。
【0036】
またこの印刷装置10の場合、サーマルヘッド21の近傍に、検出センサ35とガイド部31とを設置したので、検出センサ35による印75の検出位置からサーマルヘッド21(特にその発熱部26)までの距離が短く、両者間が長い場合に生じるレシート73の無駄が生じなくなる。即ち、もし両者間が長いと、例えば印75を検出した際に即座に印刷を中止する場合、サーマルヘッド21から離れた位置で印75を検出すると、その分、レシート73終端から使用されないで残る部分の長さが長くなる。またこの残りの長さが短くなるように、印75を検出してから所定長さ移動した後に印刷を停止するようにすると、その分制御が複雑になる。
【0037】
またこの印刷装置10では、検出センサ35とガイド部31をサーマルヘッド21(その本体部24)に一体に取り付けているので、装置のコンパクト化が図れる。また容易に検出センサ35及びガイド部31とサーマルヘッド21間の距離を接近して設置することが可能となる。
【0038】
またこの印刷装置10では、検出センサ35が開閉自在の上部ケース90の下面に設けられ、且つこの検出センサ35は、下部ケース11から上方に向けて開いた上部ケース90の手前側に位置するサーマルヘッド21より上流で、ロール紙70より下流に設置されているので、検出センサ35の汚れの確認や清掃が容易に行える。これによって検出センサ35はレシート73の印75を正しく検出することができるので、この点からも印字に関するトラブルを無くすことができる。
【0039】
図9は他の実施形態にかかる印刷装置10−2の印刷動作部分の概略機構図である。同図に示す印刷装置10−2において、前記
図1〜
図8に示す印刷装置10と同一又は相当部分には同一符号を付す(但し添え字「−2」を付す)。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記
図1〜
図8に示す印刷装置10と同じである。
図9に示す印刷装置10−2において、前記印刷装置10と相違する点は、サーマルヘッド21に一体に設けていたガイド部31を省略し、その代りにサーマルヘッド21−2の後方にガイド部31−2を設置した点である。ガイド部31−2は、略棒状であり、レシート73―2の進行方向に対して垂直な方向に交差するように2本設置されている。ガイド部31−2は図示しない上部ケースのサーマルヘッド21−2よりも後方(上流側)に設置されている。つまりこの印刷装置10−2の場合、ガイド部31−2をサーマルヘッド21−2と別体として設置している。このとき検出センサ35−2の下面とガイド部31−2の下面(この下面が印刷媒体当接部となる)間の隙間寸法をL1としておく。
【0040】
このように構成しても、検出センサ35−2とレシート73−2との離間距離を一定の間隔(≒L1)に保てるので、検出センサ35−2とレシート73−2との間の隙間が無くなる、または前記隙間が空き過ぎるという現象を防止でき、これによって検出センサ35−2はレシート73−2の印を常に正しく検出することができ、印字に関するトラブルを無くすことができる。なお、ガイド部31−2は1本で構成しても良いし、3本以上で構成しても良い。またガイド部31−2は棒状以外の各種形状であっても良い。
【0041】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記説明では、商品の登録を店員が行い、会計を顧客が行うPOSシステム1の会計用POSレジスタ300の印刷装置10に本発明を適用した例を示したが、印刷用POSレジスタ200のレシート印刷部209に本発明の印刷装置を適用しても良い。また本発明は、登録と会計の全てを顧客が1台の装置で行うPOSシステムや、店員が登録と会計の全てを行うPOSシステムに本発明の印刷装置を適用しても良い。即ち本発明は、商品の販売データを処理し且つ印刷部を有する商品販売データ処理装置であれば、どのような装置にも適用できる。さらに本発明は、商品販売データ処理装置以外の各種印刷部を有する装置にも適用が可能であり、例えば台紙レスラベルや台紙付きラベルを用いてラベルを発行する印刷装置(ラベルプリンタ)等にも適用できる。
【0042】
また上記例ではガイド部を一対設けたが、場合によっては何れか一方のみであっても良く、その形状も種々の変更が可能である。また検出センサの周囲を四角形に囲む4辺又は3辺にガイド部を設けても良い。検出センサの周囲を囲むガイド部の形状は、円弧状、多角形状等、さらに種々の変更が可能である。またガイド部の上流側にガイド部よりも少し高さの高い第2ガイド部を設け、この第2ガイド部の先端辺に印刷媒体を当接させて通過させた後に、この印刷媒体がガイド部上を通過するように構成しても良い。例えば第2ガイド部の先端辺と検出センサ間の上下方向の離間距離を検出センサによる印検出のための許容範囲の最大値以下とし、一方ガイド部の先端辺(印刷媒体当接部)と検出センサ間の上下方向の離間距離を検出センサによる印検出のための許容範囲の最小値以上としておけば、レシートが検出センサに対してぶれても、そのぶれは、検出センサによる印検出のための離間距離の最大値と最小値の間に収まる。またレシートの幅方向(レシート進行方向に直交する方向)に長尺なブロックの下面に設けたガイド部の間に検出センサを露出させてなるセンサブロックを設置しても良い。さらにセンサブロックの下面の上流側の長手方向(レシート進行方向に交差する方向)の辺を前記第2ガイド部とすれば、この第2ガイド部の辺上にレシートを当ててレシートの移動方向を例えば水平方向に方向転換させた後にこのレシートをガイド部及び検出センサ上に通過させることができ、検出センサに対して好適な離間間隔及び角度でレシートを移動できる。
【0043】
以上の説明に関し、さらに以下の項を開示する。
(付記1)
前記印を前記検出部が検出すると、前記ロール紙の繰出し、または前記印刷媒体への印字を中止するか、或いは前記印の検出を報知することを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の印刷装置。これによってロール紙に巻回した印刷媒体が終端に近づいた際、正しいタイミングでロール紙の取り換えなどを行うことができ、印字に関するトラブルを回避することができる。
(付記2)
前記検出部は、前記ロール紙の繰出し方向と直交する幅方向に移動自在であることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の印刷装置。これにより、印刷媒体の終端が近づいたことを示す印の位置が異なるロール紙であったとしても改造等を行うことなく即時対応することができる。
(付記3)
前記ガイド部は一対であって、それらガイド部の間に、前記検出部を収納する検出部収納部を形成し、且つ前記ガイド部の先端辺は、前記印刷媒体の表面に当接する印刷媒体当接部であり、これら印刷媒体当接部は前記印刷媒体の繰り出し方向に沿う方向を向いていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の印刷装置。検出部の両側にガイド部を設置したので、より確実に検出部と印刷媒体間の離間距離を一定に保つことができる。また印刷媒体当接部が印刷媒体の繰り出し方向に沿う方向を向いているので、印刷媒体の移動に抵抗となることはなく、その移動をスムーズに行わせることができる。