特許第6191338号(P6191338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6191338
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】筐体および筐体部品
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
   H05K5/02 P
   H05K5/02 N
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-183238(P2013-183238)
(22)【出願日】2013年9月4日
(65)【公開番号】特開2015-50430(P2015-50430A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】石倉 昌幸
【審査官】 久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−147094(JP,A)
【文献】 特開2008−94464(JP,A)
【文献】 特開2000−151773(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/133276(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00 − 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の側壁部を有する第一の筐体部と、
第二の側壁部を有する第二の筐体部と、を備え、
前記第一の側壁部は、内周面に第一の突出部を有し、
前記第二の側壁部は、外周面に前記第一の突出部が嵌合する第一の凹部を有し、
前記第一の筐体部は、前記第一の側壁部よりも内側に第三の側壁部を有し、
前記第三の側壁部は、外周面に第二の突出部を有し、
前記第二の側壁部は、内周面に前記第二の突出部が嵌合する第二の凹部を有する、
筐体。
【請求項2】
前記第一の突出部および前記第二の突出部それぞれは、1または複数のリブを有する、
請求項に記載の筐体。
【請求項3】
前記第一の突出部および前記第二の突出部それぞれは、複数のリブを有する、
請求項に記載の筐体。
【請求項4】
前記第二の側壁部は、少なくとも一部において前記第一の凹部と前記第二の凹部とを交互に有する、
請求項に記載の筐体。
【請求項5】
前記第一の筐体部および前記第二の筐体部それぞれは、前記第一の筐体部と前記第二の筐体部とが外れることを妨げる固定部材を有する、
請求項1に記載の筐体。
【請求項6】
前記第一の筐体部および前記第二の筐体部それぞれは、前記第一の筐体部と前記第二の筐体部とが外れることを妨げる固定部材を有する、
請求項に記載の筐体。
【請求項7】
内周面に第一の突出部を有する第一の側壁部を備え、
前記第一の側壁部よりも内側に第三の側壁部を備え、
前記第一の突出部は、他の筐体部品が有する第二の側壁部の外周面に備えられた第一の凹部に嵌合し、
前記第三の側壁部は、外周面に第二の突出部を有し、
前記第二の突出部は、前記他の筐体部品が有する前記第二の側壁部の内周面に備えられた第二の凹部に嵌合する、
筐体部品。
【請求項8】
外周面に第一の凹部を有するとともに内周面に第二の凹部を有する第二の側壁部を備え、
前記第一の凹部には、他の筐体部品が有する第一の側壁部の内周面に備えられた第一の突出部が嵌合し、
前記第二の凹部には、前記他の筐体部品が前記第一の側壁部よりも内側に有する第三の側壁部の外周面に備えられた第二の突出部が嵌合する、
筐体部品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、筐体および筐体部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な種類の筐体が開発されている。例えば、複数の筐体部によって形成される筐体が存在する。複数の筐体部によって形成される筐体の例として、第一の筐体部における側壁部の第二の筐体部側の面に備えられた突出部が第二の筐体部における側壁部に備えられた溝に嵌合することによって形成される筐体が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−54950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、筐体の強度をより向上させることが可能な技術が提供されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によれば、第一の側壁部を有する第一の筐体部と、第二の側壁部を有する第二の筐体部と、を備え、前記第一の側壁部は、内周面に第一の突出部を有し、前記第二の側壁部は、外周面に前記第一の突出部が嵌合する第一の凹部を有する、筐体が提供される。
【0006】
また、本開示によれば、内周面に第一の突出部を有する第一の側壁部を備え、前記第一の突出部は、他の筐体部品が有する第二の側壁部の外周面に備えられた第一の凹部に嵌合する、筐体部品が提供される。
【0007】
また、本開示によれば、外周面に第一の凹部を有する第二の側壁部を備え、前記第一の凹部には、他の筐体部品が有する第一の側壁部の内周面に備えられた第一の突出部が嵌合する、筐体部品が提供される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本開示によれば、筐体の強度をより向上させることが可能な技術が提供される。なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1の実施形態に係る筐体の分解斜視図である。
図2】第一の筐体部を第二の筐体部側から見た図である。
図3】第二の筐体部を第一の筐体部側から見た図である。
図4】第一の突出部が第一の凹部に嵌合した状態における嵌合部分の拡大横断面図である。
図5】第一の突出部が第一の凹部に嵌合した状態における固定部分の拡大縦断面図である。
図6】第一の突出部が第一の凹部に嵌合した状態における筐体の斜視図である。
図7】本開示の第2の実施形態に係る筐体の分解斜視図である。
図8】第一の筐体部を第二の筐体部側から見た図である。
図9】第一の突出部が第一の凹部に嵌合し、かつ、第二の突出部が第二の凹部に嵌合した状態における各嵌合部分の拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施の形態(第一の筐体部の側壁部が一重の例)
1.1.筐体の概要説明
1.2.第一の突出部および第一の凹部
1.3.固定部材
1.4.筐体を接合した状態
2.第2の実施の形態(第一の筐体部の側壁部が二重の例)
2.1.第二の突出部および第二の凹部
3.むすび
【0012】
<1.第1の実施形態>
まず、本開示の第1の実施形態について説明する。
【0013】
[1.1.筐体の概要説明]
まず、本開示の第1の実施形態に係る筐体1Aの概要について説明する。図1は、本開示の第1の実施形態に係る筐体1Aの分解斜視図である。図1に示すように、筐体1Aは、第一の筐体部10Aと第二の筐体部20とを備える。また、図2は、第一の筐体部10Aを第二の筐体部20側から見た図であり、図3は、第二の筐体部20を第一の筐体部10A側から見た図である。
【0014】
図1および図2に示したように、第一の筐体部10Aは、第一の側壁部110と板状部150とを有する。図1および図2には、板状部150の形状が丸みを帯びた角を有する略矩形である場合が示されているが、板状部150の形状は尖った角を有する矩形であってもよいし、矩形以外の形状であってもよい。また、板状部150の表面は必ずしも平面ではなく曲面であってもよい。
【0015】
また、図1および図2に示したように、第一の側壁部110は、板状部150の周縁部に存在している。図1および図2に示した例では、第一の側壁部110が板状部150に対して垂直な方向に立設されているが、第一の側壁部110は板状部150に対して傾斜していてもよい。図1および図2に示したように、第一の側壁部110は、外周面111と、内周面112と、第二の筐体部側の面113とを有する。
【0016】
図1および図3に示したように、第二の筐体部20は、第二の側壁部210と板状部250とを有する。図1および図3には、板状部250の形状が丸みを帯びた角を有する略矩形である場合が示されているが、板状部250の形状は尖った角を有する矩形であってもよいし、矩形以外の形状であってもよい。また、板状部250の表面は必ずしも平面ではなく曲面であってもよい。
【0017】
また、図1および図3に示したように、第二の側壁部210は、板状部250の周縁部に存在している。図1および図3に示した例では、第二の側壁部210が板状部250に対して垂直な方向に立設されているが、第二の側壁部210は板状部250に対して傾斜していてもよい。図3に示したように、第二の側壁部210は、外周面211と、内周面212と、第一の筐体部側の面213とを有する。
【0018】
第一の筐体部10Aと第二の筐体部20とを接合する場合、第一の側壁部110と板状部150と第二の側壁部210と板状部250とによって囲まれる空間には、種々の物体を収容することが可能である。収容される物体の種類は特に限定されず、電子回路などであってもよい。したがって、筐体1Aは、様々な電子機器の筐体であってもよい。電子機器は、例えば、電卓であってよいし、読取装置によってデータを読み取り可能なカードであってもよいし、携帯電話などの携帯端末であってもよい。
【0019】
ここで、一般的には、第二の筐体部側の面113に突出部を形成し、この突出部が第二の側壁部210に備えられた溝に嵌合することによって筐体が形成される。しかし、第二の筐体部側の面113は第一の側壁部110の厚み部分に相当し得るため、厚み部分が狭い場合などには、突出部は第二の筐体部側の面113に垂直な方向に細長くなりやすく、筐体の強度を向上させるのは容易ではない。
【0020】
そこで、本開示の第1の実施形態においては、筐体の強度をより向上させることが可能な技術を主に説明する。筐体の強度は、筐体の外部から加えられる力に対する耐力であってよい。筐体の外部から加えられる力には、筐体を曲げる力、筐体をねじる力、筐体を圧縮する力などといった種々の力が想定され得る。以上、本開示の第1の実施形態に係る筐体1Aの概要について説明した。
【0021】
[1.2.第一の突出部および第一の凹部]
続いて、筐体の強度を向上させる技術について詳細に説明する。図1および図2に示したように、本開示の第1の実施形態においては、第一の側壁部110は、内周面112に第一の突出部130を有する。また、図1および図3に示したように、第二の側壁部210は、外周面211に第一の凹部280を有する。第一の筐体部10Aと第二の筐体部20とを接合する場合には、第一の突出部130は、第一の凹部280に嵌合するものである。
【0022】
かかる構成によれば、内周面112が第一の突出部130を形成するための広さを十分に確保し得るため、第一の突出部130は内周面112に垂直な方向に細長くなりにくく、筐体の強度をより向上させることが可能である。また、第一の側壁部110および第二の側壁部210が二重壁として機能するため、筐体の強度をより向上させることが可能である。さらに、筐体を生成するための特別な装置や部品を用意しなくてもよいため、簡易な手法によって筐体の強度を向上させることが可能である。
【0023】
ここで、第一の突出部130の数は特に限定されず、1個であってもよいし、複数であってもよい。図1および図2に示した例では、板状部150の各短辺部に立設された第一の側壁部110が、それぞれ7個の第一の突出部130を有しており、板状部150の各長辺部に立設された第一の側壁部110は、それぞれ11個の第一の突出部130を有している。第一の凹部280の数も特に限定されず、例えば、第一の突出部130の数と同数の第一の凹部280が形成されていればよい。
【0024】
第一の突出部130と第一の凹部280との嵌合についてさらに詳細に説明を続ける。図4は、第一の突出部130が第一の凹部280に嵌合した状態における嵌合部分の拡大横断面図である。図4を参照すると、それぞれの第一の突出部130は、2個のリブ131を有している。しかし、第一の突出部130が有するリブ131の数は特に限定されない。したがって、例えば、第一の突出部130は、1または複数のリブ131を有していればよい。1または複数のリブ131が第一の凹部280に嵌合することによって、嵌合部分の強度が向上され得る。なお、本明細書において記載されているリブは、平面に垂直な方向に取り付けられる部材を意味している。
【0025】
より望ましくは、第一の突出部130は、複数のリブ131を有しているとよい。第一の突出部130が複数のリブ131を有する場合には、第一の突出部130が1つの太いリブを有する場合と比較して、第一の側壁部110の厚みの大きい部分が減少し、第一の筐体部10Aの成型時にヒケが発生する可能性を低減することが可能となる。
【0026】
また、第一の突出部130が複数のリブ131を有する場合には、リブ131が嵌合する第一の凹部280の幅がより広くなる。そのため、第二の側壁部210の厚みの大きい部分が減少し、第二の筐体部20の成型時にヒケが発生する可能性を低減することが可能となる。また、第一の凹部280の幅がより広くなることによって、第二の側壁部210の成型時の離形性を向上させることが可能となる。
【0027】
一方、第一の突出部130が有するリブ131の数が増加するにつれて、第一の側壁部110と第二の側壁部210との間に生じる空間が大きくなり得る。第一の側壁部110と第二の側壁部210との間に生じる空間が大きくなり過ぎると、この空間に接している部分の強度が低下してしまうおそれがある。図4に示したように、第一の突出部130が2個のリブ131を有するようにすれば、第一の側壁部110と第二の側壁部210との間に生じる空間をより小さくし、この空間に接している部分の強度の低下も抑えることが可能となる。
【0028】
なお、第二の筐体部20の外周面211が第一の凹部280を有しているのは既に述べた通りであるが、図3を参照すると、第二の筐体部20の内周面212も第二の凹部285を有しており、外周面211の凹凸に合わせるようにして内周面212も凹凸を有している。このように、第二の側壁部210が、少なくとも一部において第一の凹部280と第二の凹部285とを交互に有するようにすれば、第二の側壁部210の厚みの大きい部分が減少し、第二の筐体部20の成型時にヒケが発生する可能性を低減することが可能となる。
【0029】
[1.3.固定部材]
以上に説明したように、第二の側壁部210の外周面211に備えられる第一の凹部280に、第一の側壁部110に備えられる第一の突出部130が嵌合することによって、筐体1Aの強度をより向上させることが可能である。しかし、筐体1Aの強度を向上させるための構成が追加的に備えられていてもよい。
【0030】
例えば、第一の筐体部10Aおよび第二の筐体部20それぞれは、第一の筐体部10Aと第二の筐体部20とが外れることを妨げる固定部材を有していてもよい。図1に示した例では、第一の筐体部10Aが固定部材140を有しており、第二の筐体部20が固定部材290を有している。第一の筐体部10Aと第二の筐体部20とが接合されると、固定部材290が固定部材140に固定されることによって、筐体1Aの強度がより向上することが期待される。固定部材は爪状の固定部材でもよいし、他の固定部材であってもよい。
【0031】
固定部材290が固定部材140に固定されている状態についてさらに詳細に説明を続ける。図5は、第一の突出部130が第一の凹部280に嵌合した状態における固定部分の拡大縦断面図である。図5を参照すると、固定部材290が固定部材140に固定されており、第一の側壁部110と第二の側壁部210とが外れることを妨げる機能を有していることが把握される。
【0032】
なお、図3に示した例では、板状部150の各短辺部に立設された第一の側壁部110が、それぞれ2個の固定部材140を有しており、板状部150の各長辺部に立設された第一の側壁部110は、それぞれ3個の固定部材140を有している。しかし、固定部材140の数は特に限定されない。また、図3に示した例では、第一の突出部130が有する2つのリブ131の間に固定部材140が設けられているが、固定部材140の位置も特に限定されない。
【0033】
[1.4.筐体を接合した状態]
以上に説明したように、第一の凹部280に第一の突出部130が嵌合することにより、筐体1Aの強度が向上し得る。また、固定部材140に固定部材290が固定されることによって筐体1Aの強度がさらに向上し得る。図6は、第一の筐体部10Aと第二の筐体部20とが接合された状態における筐体1Aの斜視図である。図6に示したように、第一の筐体部10Aと第二の筐体部20とが接合された状態においては、第一の凹部280に第一の突出部130が嵌合しており、筐体1Aの強度が向上している。また、固定部材140に固定部材290が固定されており、筐体1Aの強度がさらに向上している。
【0034】
以上、本開示の第1の実施形態について説明した。
【0035】
<2.第2の実施形態>
続いて、本開示の第2の実施形態について説明する。
【0036】
図7は、本開示の第2の実施形態に係る筐体1Bの分解斜視図である。図7に示すように、筐体1Bは、第一の筐体部10Bと第二の筐体部20とを備える。本開示の第2の実施形態においては、本開示の第1の実施形態と同様に、筐体1Bが第二の筐体部20を有している。しかし、本開示の第2の実施形態においては、筐体1Bが第一の筐体部10Aとは異なる第一の筐体部10Bを有している。そこで、本開示の第2の実施形態においては、第一の筐体部10Bについて主に説明する。
【0037】
図8は、第一の筐体部10Bを第二の筐体部20側から見た図である。図7および図8に示したように、第一の筐体部10Bは、本開示の第1の実施形態に係る第一の筐体部10Aと同様に、第一の側壁部110と板状部150とを有する。また、第一の筐体部10Bは、第一の側壁部110よりも内側に第三の側壁部160を有する。図7および図8に示した例では、第三の側壁部160が板状部150に対して垂直な方向に立設されているが、第三の側壁部160は板状部150に対して傾斜していてもよい。
【0038】
第一の筐体部10Bと第二の筐体部20とを接合する場合、第三の側壁部160と板状部150と第二の側壁部210と板状部250とによって囲まれる空間には、種々の物体を収容することが可能である。本開示の第2の実施形態においても、本開示の第1の実施形態と同様に、収容される物体の種類は特に限定されない。
【0039】
[2.1.第二の突出部および第二の凹部]
続いて、筐体の強度をより向上させる技術について詳細に説明する。図8に示したように、本開示の第2の実施形態においては、第三の側壁部160は、外周面に第二の突出部180を有する。また、図8に示したように、第三の側壁部160は、外周面に第二の突出部180を有する。第一の筐体部10Bと第二の筐体部20とを接合する場合には、第二の突出部180は、第二の凹部285に嵌合するものである。
【0040】
かかる構成によれば、筐体の強度をより向上させることが可能である。また、第一の側壁部110、第二の側壁部210および第三の側壁部160が三重壁として機能するため、筐体の強度をより向上させることが可能である。特に、第二の筐体部20の第二の側壁部210が、第一の筐体部10Bの第三の側壁部160によって内側からも支えられる状態となる。このため、第二の側壁部210が内側に変形してしまう可能性をより低減し、第二の側壁部210が第一の筐体部10Bから外れてしまう可能性をより低減することが可能となる。
【0041】
ここで、第二の突出部180の数は特に限定されず、1個であってもよいし、複数であってもよい。図8に示した例では、板状部150の各短辺部に立設された第三の側壁部160が、それぞれ6個の第二の突出部180を有しており、板状部150の各長辺部に立設された第三の側壁部160は、それぞれ10個の第二の突出部180を有している。第二の凹部285の数も特に限定されず、例えば、第二の突出部180の数と同数の第二の凹部285が形成されていればよい。
【0042】
第二の突出部180と第二の凹部285との嵌合についてさらに詳細に説明を続ける。図9は、第一の突出部130が第一の凹部280に嵌合し、かつ、第二の突出部180が第二の凹部285に嵌合した状態における各嵌合部分の拡大横断面図である。図9を参照すると、それぞれの第二の突出部180は、2個のリブ181を有している。しかし、第二の突出部180が有するリブ181の数は特に限定されない。したがって、例えば、第二の突出部180は、1または複数のリブ181を有していればよい。1または複数のリブ181が第二の凹部285に嵌合することによって、嵌合部分の強度が向上され得る。
【0043】
より望ましくは、第二の突出部180は、複数のリブ181を有しているとよい。第二の突出部180が複数のリブ181を有している場合には、第二の突出部180が1つの太いリブを有する場合と比較して、第三の側壁部160の厚みの大きい部分が減少し、第一の筐体部10Bの成型時にヒケが発生する可能性を低減することが可能となる。
【0044】
また、第二の突出部180が複数のリブ181を有する場合には、リブ181が嵌合する第二の凹部285の幅がより広くなる。そのため、第二の側壁部210の厚みの大きい部分が減少し、第二の筐体部20の成型時にヒケが発生する可能性を低減することが可能となる。また、第二の凹部285の幅がより広くなることによって、第二の側壁部210の成型時の離形性を向上させることが可能となる。
【0045】
一方、第二の突出部180が有するリブ181の数が増加するにつれて、第三の側壁部160と第二の側壁部210との間に生じる空間が大きくなり得る。第三の側壁部160と第二の側壁部210との間に生じる空間が大きくなり過ぎると、この空間に接している部分の強度が低下してしまうおそれがある。図9に示したように、第二の突出部180が2個のリブ181を有するようにすれば、第三の側壁部160と第二の側壁部210との間に生じる空間をより小さくし、この空間に接している部分の強度の低下も抑えることが可能となる。
【0046】
<<3.むすび>>
以上説明したように、本開示の第1の実施形態によれば、第一の側壁部110を有する第一の筐体部10Aと、第二の側壁部210を有する第二の筐体部20と、を備え、第一の側壁部110は、内周面112に第一の突出部130を有し、第二の側壁部210は、外周面211に第一の突出部130が嵌合する第一の凹部280を有する、筐体1Aが提供される。
【0047】
かかる構成によれば、内周面112が第一の突出部130を形成するための広さを十分に確保し得るため、第一の突出部130は内周面112に垂直な方向に細長くなりにくく、筐体の強度をより向上させることが可能である。また、第一の側壁部110および第二の側壁部210が二重壁として機能するため、筐体の強度をより向上させることが可能である。さらに、筐体を生成するための特別な装置や部品を用意しなくてもよいため、簡易な手法によって筐体の強度を向上させることが可能である。
【0048】
さらに、本開示の第2の実施形態によれば、第一の筐体部10Bが、第一の側壁部110よりも内側に第三の側壁部160を有し、第三の側壁部160が、外周面に第二の突出部180を有し、第二の側壁部210が、内周面212に第二の突出部180が嵌合する第二の凹部285を有する、筐体1Bが提供される。
【0049】
かかる構成によれば、筐体の強度をより向上させることが可能である。また、第一の側壁部110、第二の側壁部210および第三の側壁部160が三重壁として機能するため、筐体の強度をより向上させることが可能である。特に、第二の筐体部20の第二の側壁部210が、第一の筐体部10Bの第三の側壁部160によって内側からも支えられる状態となる。このため、第二の側壁部210が内側に変形してしまう可能性をより低減し、第二の側壁部210が第一の筐体部10Bから外れてしまう可能性をより低減することが可能となる。
【0050】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0051】
例えば、上記第1の実施形態では、第一の筐体部10Aおよび第二の筐体部20それぞれが、第一の筐体部10Aと第二の筐体部20とが外れることを妨げる固定部材を有することとした。しかし、第一の筐体部10Aと第二の筐体部20とが外れることを妨げるための他の手法が固定部材の代わりに、あるいは固定部材と共に採用されてよい。例えば、接着剤によって第一の筐体部10Aと第二の筐体部20とが固定されてもよい。
【0052】
同様に、上記第2の実施形態においても、第一の筐体部10Bと第二の筐体部20とが接着剤によって固定されてもよい。かかる場合、第一の側壁部110と第三の側壁部160との間に接着剤が注入された上で、第一の側壁部110と第三の側壁部160との間に第二の側壁部210が差し込まれればよい。このようにして第一の側壁部110と第三の側壁部160との間に接着剤が注入されれば、接着剤が周囲に漏れ出す可能性を低減され得る。
【0053】
また、第一の側壁部110と第三の側壁部160との間に生じる溝の幅を狭くするほど、筐体1Aまたは筐体1Bの内部に液体(例えば、水など)が浸入する可能性を低減することが可能となる。したがって、第一の側壁部110と第三の側壁部160との間に生じる溝の幅を狭くすることによって、筐体1Aまたは筐体1Bに対して簡易的に防水機能を発揮させることも可能となる。
【0054】
また、第一の筐体部10Aは、筐体1Aを生成するための筐体部品として機能し得る。かかる場合、第二の筐体部20は、他の筐体部品として機能し得る。また、第一の筐体部10Bも、筐体1Bを生成するための筐体部品として機能し得る。かかる場合、第二の筐体部20は、他の筐体部品として機能し得る。
【0055】
同様に、第二の筐体部20は、筐体1Aを生成するための筐体部品として機能し得る。かかる場合、第一の筐体部10Aは、他の筐体部品として機能し得る。また、第二の筐体部20は、筐体1Bを生成するための筐体部品としても機能し得る。かかる場合、第一の筐体部10Bは、他の筐体部品として機能し得る。
【0056】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0057】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
第一の側壁部を有する第一の筐体部と、
第二の側壁部を有する第二の筐体部と、を備え、
前記第一の側壁部は、内周面に第一の突出部を有し、
前記第二の側壁部は、外周面に前記第一の突出部が嵌合する第一の凹部を有する、
筐体。
(2)
前記第一の筐体部は、前記第一の側壁部よりも内側に第三の側壁部を有し、
前記第三の側壁部は、外周面に第二の突出部を有し、
前記第二の側壁部は、内周面に前記第二の突出部が嵌合する第二の凹部を有する、
前記(1)に記載の筐体。
(3)
前記第一の突出部および前記第二の突出部それぞれは、1または複数のリブを有する、
前記(2)に記載の筐体。
(4)
前記第一の突出部および前記第二の突出部それぞれは、複数のリブを有する、
前記(3)に記載の筐体。
(5)
前記第二の側壁部は、少なくとも一部において前記第一の凹部と前記第二の凹部とを交互に有する、
前記(2)〜(4)のいずれか一項に記載の筐体。
(6)
前記第一の筐体部および前記第二の筐体部それぞれは、前記第一の筐体部と前記第二の筐体部とが外れることを妨げる固定部材を有する、
前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の筐体。
(7)
内周面に第一の突出部を有する第一の側壁部を備え、
前記第一の突出部は、他の筐体部品が有する第二の側壁部の外周面に備えられた第一の凹部に嵌合する、
筐体部品。
(8)
外周面に第一の凹部を有する第二の側壁部を備え、
前記第一の凹部には、他の筐体部品が有する第一の側壁部の内周面に備えられた第一の突出部が嵌合する、
筐体部品。
【符号の説明】
【0058】
1(1A、1B) 筐体
10(10A、10B) 第一の筐体部(筐体部品)
20 第二の筐体部(筐体部品)
110 第一の側壁部
111 外周面
112 内周面
130 第一の突出部
131 リブ
140 固定部材
150 板状部
160 第三の側壁部
180 第二の突出部
181 リブ
210 第二の側壁部
211 外周面
212 内周面
250 板状部
280 第一の凹部
285 第二の凹部
290 固定部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9