特許第6191430号(P6191430)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

特許6191430蓄電装置の製造装置及び蓄電装置の製造方法
<>
  • 特許6191430-蓄電装置の製造装置及び蓄電装置の製造方法 図000002
  • 特許6191430-蓄電装置の製造装置及び蓄電装置の製造方法 図000003
  • 特許6191430-蓄電装置の製造装置及び蓄電装置の製造方法 図000004
  • 特許6191430-蓄電装置の製造装置及び蓄電装置の製造方法 図000005
  • 特許6191430-蓄電装置の製造装置及び蓄電装置の製造方法 図000006
  • 特許6191430-蓄電装置の製造装置及び蓄電装置の製造方法 図000007
  • 特許6191430-蓄電装置の製造装置及び蓄電装置の製造方法 図000008
  • 特許6191430-蓄電装置の製造装置及び蓄電装置の製造方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6191430
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】蓄電装置の製造装置及び蓄電装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20170828BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20170828BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20170828BHJP
   H01M 2/06 20060101ALI20170828BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20170828BHJP
   H01G 11/76 20130101ALI20170828BHJP
【FI】
   H01M10/04 Z
   H01M2/30 D
   H01M2/26 A
   H01M2/06 A
   H01G11/84
   H01G11/76
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-254330(P2013-254330)
(22)【出願日】2013年12月9日
(65)【公開番号】特開2015-115115(P2015-115115A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西原 寛恭
【審査官】 山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−165620(JP,A)
【文献】 特開2000−348978(JP,A)
【文献】 特開2011−165475(JP,A)
【文献】 特開2013−191365(JP,A)
【文献】 特開2003−242957(JP,A)
【文献】 特開2005−005215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/0585
H01M 2/26
H01M 2/30
H01G 11/74
H01G 11/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体にタブを介して接続された電極端子を位置決めし、位置決めされた前記電極端子をケース部材に固定するための蓄電装置の製造装置であって、
前記電極組立体を、前記タブが水平方向に延びる横置き状態に支持可能な支持面と、
前記電極端子を、該電極端子の軸方向が上下方向に延びる状態で支持可能な台座面と、を備え
前記台座面に支持された前記電極端子を前記ケース部材に固定することを特徴とする蓄電装置の製造装置。
【請求項2】
前記支持面を有し、前記台座面との相対的な高さを変更可能な支持台を備える請求項1に記載の蓄電装置の製造装置。
【請求項3】
前記台座面を備える台座ブロックを備え、前記電極端子を含めて前記ケース部材の内面から突出する突部の少なくとも一部を囲む端子位置決め部を前記台座ブロックに備える請求項2に記載の蓄電装置の製造装置。
【請求項4】
異なる極の電極を両者の間を絶縁した状態で交互に積層した電極組立体と、
前記電極組立体を収容するケースと、
前記電極の一辺を積層方向に集めて形成された前記電極組立体のタブ側端面と、
前記タブ側端面から突出するタブを積層方向一端寄りに寄せ集めるとともに、積層方向他端側に折り返されたタブ群と、
前記タブ群の積層方向一端のタブと接合された導電部材と、
前記導電部材に接合され、前記電極組立体から離れる方向へ突設された電極端子と、を有し、
前記電極端子が前記ケースを構成するケース部材に固定された蓄電装置の製造方法であって、
前記電極組立体の積層方向の両端に位置する平面のうち、前記タブが寄せ集められた一端側とは反対側の他端側の平面を下方から支持可能であり、かつ前記タブが水平方向に延びる横置き状態に前記電極組立体を支持可能な支持面と、
前記電極端子を、該電極端子の軸方向が上下方向に延びる状態で支持可能な台座面と、を有する蓄電装置の製造装置を用いて行われ、
前記支持面に前記他端側の平面を支持させる工程と、
前記電極端子を前記台座面に支持させる工程と、
前記台座面に支持された前記電極端子を前記ケース部材に固定する工程と、を含む蓄電装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極端子が蓋体に固定された蓄電装置の製造装置及び蓄電装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug in Hybrid Vehicle)などの車両には、走行用モータへの供給電力を蓄える蓄電装置としての二次電池が搭載されている。二次電池としては、電極組立体がケース内に収容され、ケースが、ケース本体と蓋体を溶接して形成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8に示すように、特許文献1に開示の蓄電装置において、電極組立体100は、ケース110に収容され、ケース110は、ケース本体111と、ケース本体111の開口部を閉塞する蓋体112を備える。また、電極組立体100は、正極電極のタブを集めた正極のタブ群101を備えるとともに、この正極のタブ群101には正極の導電部材102が接続されている。また、電極組立体100は、負極電極のタブを集めた負極のタブ群103を備えるとともに、この負極のタブ群103には、負極の導電部材104が接続されている。
【0004】
各極の導電部材102,104は、板状の導電部材102,104を各極のタブ群101,103に溶接した後、断面L字状に折り曲げられる。このため、各極のタブ群101,103は、電極組立体100の積層方向の一端側に寄せられた後、他端側に向けて折り曲げられている。この構造により、電極組立体100の上方において、デッドスペースが少ない状態でタブ群101,103を導電部材102,104に接続できる。また、正極の導電部材102には、正極の電極端子107が接続され、負極の導電部材104には、負極の電極端子108が接続されている。各電極端子107,108は、蓋体112から突出した状態で蓋体112に取り付けられている。
【0005】
二次電池の製造方法の一つに、電極組立体と蓋体とを予め一体化し、その電極組立体をケース本体内に挿入した後、蓋体をケース本体に溶接する方法がある。この方法では、各極の電極端子が備える極柱部を、蓋体に形成された挿通孔に挿通し、蓋体から突出した極柱部にナットを螺合する。そして、電極端子を蓋体に締結し、蓋体と電極組立体が一体化された状態で、電極組立体をケース本体内に収容した後、蓋体とケース本体とを接合し、二次電池を製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−161756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1では、タブ群101,103が折り曲げられ、それらタブ群101,103に電極端子107,108が接続されている。このため、電極端子107,108は、電極組立体100において、タブ群101,103が設けられた端面から立ち上がった状態になっている。すなわち、電極端子107,108は、それらの軸方向がタブ群101,103が設けられた端面から上下方向に延びる状態になっている。このため、前述の製造方法において、電極端子107,108をナット等で蓋体112に取り付ける際、電極端子107,108に下方向(軸方向)への押圧力が加わると、その押圧力が各タブ群101,103、及び各導電部材102,104を介して電極組立体100に加わり、電極組立体100に負荷がかかってしまう。
【0008】
本発明は、電極端子の蓋体への固定時に、電極組立体に負荷がかかることを抑制することができる蓄電装置の製造装置、及び蓄電装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するための蓄電装置の製造装置は、電極組立体にタブを介して接続された電極端子を位置決めし、位置決めされた前記電極端子をケース部材に固定するための蓄電装置の製造装置であって、前記電極組立体を、前記タブが水平方向に延びる横置き状態に支持可能な支持面と、前記電極端子を、該電極端子の軸方向が上下方向に延びる状態で支持可能な台座面と、を備え、前記台座面に支持された前記電極端子を前記ケース部材に固定することを要旨とする。
【0010】
これによれば、電極端子をケース部材に固定する際、電極組立体を支持面に支持させる。この状態では、タブが水平方向に延びる状態にあり、タブが折り返されていない状態で、電極端子を台座面に支持させることができる。このため、電極端子は、その軸方向が、タブが延びる水平方向とは異なる方向から台座面に支持される。そして、台座面に支持された電極端子に対しケース部材を載せ、電極端子をケース部材に固定すると、固定に伴う押圧力が電極端子の軸方向に沿ってケース部材及び電極端子に向けて加わるが、その押圧力が加わる方向から電極組立体は退避しており、押圧力に伴う負荷が電極組立体にかかることが抑制される。
【0011】
上記問題点を解決するための蓄電装置の製造方法は、異なる極の電極を両者の間を絶縁した状態で交互に積層した電極組立体と、前記電極組立体を収容するケースと、前記電極の一辺を積層方向に集めて形成された前記電極組立体のタブ側端面と、前記タブ側端面から突出するタブを積層方向一端寄りに寄せ集めるとともに、積層方向他端側に折り返されたタブ群と、前記タブ群の積層方向一端のタブと接合された導電部材と、前記導電部材に接合され、前記電極組立体から離れる方向へ突設された電極端子と、を有し、前記電極端子が前記ケースを構成するケース部材に固定された蓄電装置の製造方法であって、前記電極組立体の積層方向の両端に位置する平面のうち、前記タブが寄せ集められた一端側とは反対側の他端側の平面を下方から支持可能であり、かつ前記タブが水平方向に延びる横置き状態に前記電極組立体を支持可能な支持面と、前記電極端子を、該電極端子の軸方向が上下方向に延びる状態で支持可能な台座面と、を有する蓄電装置の製造装置を用いて行われ、前記支持面に前記他端側の平面を支持させる工程と、前記電極端子を前記台座面に支持させる工程と、前記台座面に支持された前記電極端子を前記ケース部材に固定する工程と、を含むことを要旨とする。
【0012】
これによれば、蓄電装置の製造時、電極端子をケース部材に固定する際、電極組立体の他端側の平面を支持面に支持させる。この状態では、タブが水平方向に延びる状態にあり、タブが折り返されていない状態で、電極端子を台座面に支持させることができる。このため、電極端子は、その軸方向が、タブが延びる水平方向とは異なる方向から台座面に支持される。そして、台座面に支持された電極端子に対しケース部材を載せ、電極端子をケース部材に固定すると、固定に伴う押圧力が電極端子の軸方向に沿ってケース部材及び電極端子に向けて加わるが、その押圧力が加わる方向から電極組立体は退避しており、押圧力に伴う負荷が電極組立体にかかることが抑制される。
【0013】
したがって、タブが寄せ集められたタブ群を備えるとともに、タブ群に導電部材が接合された蓄電装置を製造する際、支持面、及び台座面を有する蓄電装置の製造装置を用いることで、電極端子をケース部材に固定するときの負荷が電極組立体にかかることが抑制される。
【0014】
また、蓄電装置の製造装置について、前記支持面を有し、前記台座面との相対的な高さを変更可能な支持台を備えるのが好ましい。
これによれば、例えば、支持台の厚みを調節することで、支持面の高さを調節することができる。そして、支持面の高さを調節すると、台座面との相対的な高さが調節され、その支持面に支持された電極組立体の積層方向の高さと、電極端子との相対位置が調節できる。例えば、タブが相互に溶接されたタブ群が電極端子に溶接されている場合には、電極組立体に対し、電極端子が適切な高さで支持されていないと、タブ群の一端側に撓みが生じる、又はタブ群の一端側より電極端子にテンションが加わり、電極端子に傾きが生じる虞がある。このとき、支持面の高さを調節することで前述の虞を回避することができる。
【0015】
また、蓄電装置の製造装置について、前記台座面を備える台座ブロックを備え、前記電極端子を含めて前記ケース部材の内面から突出する突部の少なくとも一部を囲む端子位置決め部を前記台座ブロックに備えていてもよい。
【0016】
これによれば、電極端子を含む突部が台座面に支持された状態で、台座面に沿う方向へケース部材や電極端子が移動しようとしたとき、突部が端子位置決め部に当接し、台座面に沿う方向へのケース部材や電極端子の移動を抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電極端子の蓋体への固定時に、電極組立体に負荷がかかることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態の二次電池を示す分解斜視図。
図2】実施形態の二次電池の外観を示す斜視図。
図3】製造装置を示す斜視図。
図4】嵌合穴にシャフトを挿入する状態を示す斜視図。
図5】台座面に正極端子及び負極端子を支持させた状態を示す斜視図。
図6】台座面に正極端子及び負極端子を支持させた状態を示す部分断面図。
図7】押圧装置を操作した状態を示す平面図。
図8】背景技術を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、蓄電装置の製造装置及び製造方法を、二次電池の製造装置及び製造方法に具体化した一実施形態を図1図7にしたがって説明する。
図1及び図2に示すように、二次電池10において、金属製のケース11には電極組立体20及び電解液(図示せず)が収容されている。また、ケース11は、開口部を有する直方体状のケース本体12と、ケース本体12の開口部を閉塞する矩形平板状の蓋体13とを有する。ケース本体12と蓋体13は、何れも金属製(例えば、ステンレスやアルミニウム)であり、ケース本体12と蓋体13はレーザー溶接によって接合されている。また、本実施形態の二次電池10は、その外周が角型をなす角型電池であり、リチウムイオン電池である。
【0020】
電極組立体20は、電極としての正極電極21、電極としての負極電極22、及び正極電極21と負極電極22とを絶縁するセパレータを有する。正極電極21は、正極金属箔(アルミニウム箔)の両面に正極活物質を備える。負極電極22は、負極金属箔(銅箔)の両面に負極活物質を備える。そして、電極組立体20は、複数の正極電極21と複数の負極電極22が交互に積層されるとともに、両電極の間に多孔質にて樹脂製のセパレータが介在された積層構造である。以下、電極組立体20において、正極電極21と負極電極22が積層された方向を積層方向とする。
【0021】
正極電極21は、一辺21a(長辺)の一部に正極集電タブ23を有し、負極電極22は、一辺22a(長辺)の一部に負極集電タブ24を有する。複数の正極電極21は、それぞれの正極集電タブ23が積層方向に沿って列状に配置されるように積層される。同様に、複数の負極電極22は、それぞれの負極集電タブ24が、正極集電タブ23と重ならないように積層方向に沿って列状に配置されるように積層される。
【0022】
電極組立体20は、正極電極21及び負極電極22の積層方向の両端に矩形状の平面20aを有する。また、電極組立体20は、正極電極21の一辺21a、負極電極22の一辺22a、及びセパレータの一辺を積層方向に集めて形成されたタブ側端面20bを備える。電極組立体20は、正極集電タブ23を集めてなる正極タブ群25をタブ側端面20bに備える。正極タブ群25は、全ての正極電極21の正極集電タブ23を、正極タブ群25の積層方向の一端から他端までの範囲内で一端側に寄せ集めるとともに、集められた状態で一端側とは反対側の他端側に向けて折り返して形成されている。また、正極タブ群25では、各正極集電タブ23が相互に溶接されている。
【0023】
電極組立体20において、タブ側端面20bに沿う方向で、かつ積層方向に直交する方向を電極組立体20の幅方向とする。
正極タブ群25に接続された正極導電部材26は、一枚の金属板、例えばアルミニウム板を屈曲させたものであり、クランク形状である。正極導電部材26は、湾曲部分に対して長手方向一方側に正極タブ側溶接片26aを有し、この正極タブ側溶接片26aに、積層方向一端の正極集電タブ23が溶接によって接合されている。また、正極導電部材26は、湾曲部分に対して長手方向他方側は、正極集電タブ23の突出方向に延びる側縁よりも外方に突出しているとともに、突出した部分には正極端子30が溶接されている。
【0024】
また、電極組立体20は、負極集電タブ24を集めてなる負極タブ群27をタブ側端面20bに備える。負極タブ群27は、全ての負極電極22の負極集電タブ24を、負極タブ群27の積層方向の一端から他端までの範囲内で一端側に寄せ集めるとともに、集められた状態で一端側とは反対側の他端側に向けて折り返して形成されている。また、負極タブ群27では、各負極集電タブ24が相互に溶接されている。
【0025】
負極タブ群27に接続された負極導電部材28は、一枚の金属板、例えば銅板を屈曲させたものであり、クランク形状である。負極導電部材28は、湾曲部分に対して長手方向一方側に負極タブ側溶接片28aを有し、この負極タブ側溶接片28aに、積層方向一端の負極集電タブ24が溶接によって接合されている。また、負極導電部材28は、湾曲部分に対して長手方向他方側は、負極集電タブ24の突出方向に延びる側縁よりも外方に突出しているとともに、突出した部分には負極端子31が溶接されている。よって、正極タブ群25及び正極導電部材26と、負極タブ群27及び負極導電部材28とは、電極組立体20の幅方向に離間している。
【0026】
正極端子30及び負極端子31は、全体形状として円柱状をなしている。正極端子30及び負極端子31は、それぞれ、円柱状の極柱部40と、円柱柱状の基部41を有する。基部41の中央から極柱部40が立設されている。正極端子30及び負極端子31は、極柱部40の外周面に雄ねじ部42を有する。そして、正極端子30及び負極端子31において、基部41から極柱部40が立設する方向を、正極端子30及び負極端子31の軸方向とする。
【0027】
図1に示すように、正極端子30及び負極端子31の基部41には、円筒状及び樹脂製の端子カバー50が装着されている。また、基部41の上にはOリング51が極柱部40を取り囲む状態に設けられている。端子カバー50により、ケース11の蓋体13と正極端子30及び負極端子31が電気的に絶縁されているとともに、ケース本体12と、正極端子30及び負極端子31とが電気的に絶縁されている。さらに、端子カバー50により、電極組立体20と正極端子30及び負極端子31とが電気的に絶縁されている。
【0028】
正極端子30及び負極端子31の極柱部40は、ケース11の内部から蓋体13の透孔14を貫通して蓋体13の上方に突出(露出)している。このため、正極端子30及び負極端子31は、電極組立体20から離れる方向へ突設されている。透孔14の内周面と、極柱部40の外周面とは、絶縁部材52によって絶縁されている。絶縁部材52は、筒状部53と、この筒状部53の軸方向一端縁に設けられたフランジ部54を有する。筒状部53は、透孔14の内周面と極柱部40の外周面との間に介装されている。フランジ部54は、ケース11の蓋体13の外面に接している。
【0029】
図2に示すように、正極端子30の極柱部40の雄ねじ部42にはナット55が螺合され、正極端子30は蓋体13に固定されている。同様に、負極端子31の極柱部40の雄ねじ部42にはナット56が螺合され、負極端子31は蓋体13に固定されている。したがって、本実施形態では、蓋体13が、正極端子30及び負極端子31が固定されるケース部材に相当する。
【0030】
ケース11の蓋体13の外面と、ナット55,56との間には、絶縁部材52のフランジ部54が挟圧され、フランジ部54によってナット55,56と蓋体13が絶縁されている。また、ナット55,56と基部41との間に、絶縁部材52のフランジ部54、ケース11の蓋体13、Oリング51及び端子カバー50が狭圧されるとともに正極端子30及び負極端子31がケース11の蓋体13に固定されている。
【0031】
図1及び図2に示すように、正極端子30及び負極端子31は、極柱部40の軸方向に延びる凹部43を有する。凹部43は、図示しないねじ溝が形成された雌ねじ穴と、軸方向に沿った雌ねじ穴よりも先端側にて、ねじ溝が形成されず、かつ雌ねじ穴より大径の大径孔部47とから構成されている。凹部43は、極柱部40の先端面中央部において開口し、極柱部40の軸方向に所定の深さとなっている。また、正極端子30及び負極端子31は、極柱部40に切欠き44を有する。切欠き44は、極柱部40の先端面において凹部43の外周面から径方向に連続して延びるようにして開口し、本実施形態では、極柱部40の軸方向に大径孔部47とほぼ同じ深さとなっている。大径孔部47と切欠き44により嵌合孔46が構成されている。嵌合孔46は正極端子30及び負極端子31の極柱部40における蓋体13から突出する部位の先端に形成されている。
【0032】
次に、正極端子30及び負極端子31を蓋体13に固定(締結)するための二次電池の製造装置(治具)60について説明する。
図3に示すように、製造装置60は、下側構造体61と上側構造体62を備える。下側構造体61は、長方形の板状であり、水平方向に延びている。製造装置60は、下側構造体61の上面に樹脂製の支持台63を備える。支持台63の材質は、例えばPPSであり、電極組立体20への金属異物の付着を抑制する。支持台63は長方形の板状である。支持台63は、最も面積の大きい二つの面のうち、一方の面を下側構造体61に接触させて下側構造体61に取り付けられ、他方の面に水平方向に延びる支持面63aを有する。この支持面63aには、電極組立体20の平面20aが支持される。支持面63aは、正極集電タブ23及び負極集電タブ24が水平方向に延びる横置き状態に、電極組立体20を支持可能である。
【0033】
下側構造体61は、下側構造体61の長手方向に延びる角柱状の台座ブロック70を備える。台座ブロック70は、角柱状をなし、下側構造体61の上面における短手方向での一端部に設けられている。台座ブロック70の長手方向の両端には、上側構造体62を支持するための支柱部71,72が配置されている。支柱部71,72は、断面略コ字状をなし、コ字状の開口を台座ブロック70側(内側)に向けるように配置されるとともに上下方向に延びるように下側構造体61に固定されている。
【0034】
上側構造体62は、台座ブロック70の上方に位置する可動ブロック73と、可動ブロック73より下方向に延びるシャフト78,79を有する。また、可動ブロック73は、長手方向の両端に摺動部材74,75を備え、摺動部材74,75は、可動ブロック73を上下方向に摺動可能に支持する。摺動部材74,75は、断面略四角形であり、上下方向に延びる摺動部74a,75aを備える。これら摺動部74a,75aが、支柱部71,72のコ字状開口の内側に配置され、摺動部74a,75aは、支柱部71,72に対し上下方向に摺動可能に支持されている。
【0035】
可動ブロック73は、正極端子30の嵌合孔46に挿入されるシャフト78と、負極端子31の嵌合孔46に挿入されるシャフト79を備える。一対のシャフト78,79は、可動ブロック73の長手方向に離間した位置に配置され、各シャフト78,79は可動ブロック73から台座ブロック70に向けて延びている。
【0036】
図3及び図4に示すように、シャフト78,79は、同一構成である。シャフト78,79は、棒部80と、棒部80の軸方向一端に設けたヘッド81を有している。棒部80は、端子の嵌合孔46と嵌合するように円柱部82と羽根部83を有し、円柱部82の外周面から羽根部83が径方向に突出する形状となっている。ヘッド81は、全体形状として角柱状である。
【0037】
図3に示すように、一方のシャフト79は可動ブロック73に移動不能に固着されている。これに対し、他方のシャフト78は可動ブロック73に対してガタがある状態で支持されている。可動ブロック73の上面におけるシャフト78の配置箇所にはU字ブロック90がねじ止めされている。製造装置60は、押圧装置91を上側構造体62に備えており、押圧装置91によりシャフト78が、上側構造体62の長手方向での外側に押圧されることにより移動不能にロックされる。
【0038】
次に、製造装置60の台座ブロック70について詳細に説明する。
台座ブロック70は、長手方向の両側部よりも凹んだ収容凹部70aを備え、収容凹部70aの長手方向に沿った長さは、電極組立体20の幅方向に沿った正極端子30の外縁から負極端子31の外縁までの長さより長くなっている。よって、収容凹部70aには、電極組立体20に一体化された正極端子30及び負極端子31を収容できるようになっている。
【0039】
台座ブロック70は、可動ブロック73への対向面70dよりも一段凹んだ位置に台座面76を有し、台座面76は収容凹部70aの内底面に設けられている。台座面76は平坦面状であり、台座ブロック70の長手方向に延びる。台座面76は、長手方向の両端部に円形状の端子支持面76aを有するとともに、両方の端子支持面76aに繋がる矩形状のタブ支持面76bを有する。
【0040】
端子支持面76aの直径は、正極端子30及び負極端子31に装着された端子カバー50の外径よりも若干長い。このため、端子支持面76aには、端子カバー50が装着されたまま正極端子30又は負極端子31の底面を支持できる。そして、台座面76は、正極端子30及び負極端子31を、それらの軸方向が上下方向に延びる状態で支持可能である。また、台座面76は、支持台63の支持面63aよりも高い位置にあるとともに、台座面76と支持面63aは平行である。
【0041】
台座ブロック70は、位置決め部77を備え、この位置決め部77は、台座面76のうち、支持台63寄りの一側縁を除いて台座面76を囲んでいる。位置決め部77は、端子支持面76aを囲む端子位置決め部77aを有するとともに、タブ支持面76bの長手方向に沿って延びるタブ側位置決め部77bを有する。端子位置決め部77aとタブ側位置決め部77bは繋がっている。そして、端子支持面76aに正極端子30及び負極端子31が支持されると、端子位置決め部77aは、正極端子30及び負極端子31に装着された端子カバー50の周方向の一部を囲む。端子カバー50の内側には正極端子30又は負極端子31が収容されているため、端子位置決め部77aは、正極端子30又は負極端子31の周方向の一部を囲んでいる。したがって、本実施形態では、端子カバー50の装着された正極端子30及び負極端子31が、蓋体13の内面から突出する突部を構成する。
【0042】
台座ブロック70は、その複数の側面のうち、支持台63に面する立設面70cにタブ用凹部69を備える。タブ用凹部69は立設面70cからタブ支持面76bに向けて凹んでいる。
【0043】
次に、二次電池10の製造装置60及び製造方法の作用を正極端子30及び負極端子31の組付工程とともに説明する。
まず、正極導電部材26に正極端子30を溶接するとともに、負極導電部材28に負極端子31を溶接する。また、電極組立体20の積層方向一端側に正極集電タブ23及び負極集電タブ24を寄せ集める。次に、正極タブ群25の積層方向一端側の正極集電タブ23に正極タブ側溶接片26aを溶接するとともに、負極タブ群27の積層方向一端側の負極集電タブ24に負極タブ側溶接片28aを溶接する。
【0044】
次に、図4及び図5に示すように、製造装置60における支持台63の支持面63aに、電極組立体20の積層方向他端側の平面20aを載せ、支持面63aに平面20aを支持させる工程を行う。この状態では、正極タブ群25及び負極タブ群27では、正極集電タブ23及び負極集電タブ24は、電極組立体20の積層方向一端寄りに寄せ集められ、かつ突出したままの状態にあり、折り返されていない。また、電極組立体20が支持面63aに支持されると、電極組立体20は、正極集電タブ23及び負極集電タブ24が水平方向に延びる状態で支持面63aに支持される。
【0045】
そして、正極集電タブ23及び負極集電タブ24が電極組立体20の積層方向一端寄りに寄せ集められたままの状態で、正極タブ群25及び負極タブ群27をタブ支持面76bに支持させる。このとき、収容凹部70aの内側に、正極タブ群25及び負極タブ群27と、正極端子30及び負極端子31とが収容されるようにする。また、タブ側位置決め部77bに、正極導電部材26及び負極導電部材28の一側縁を当接させる。
【0046】
同時に、正極集電タブ23及び負極集電タブ24が電極組立体20の積層方向一端寄りに寄せ集められたままの状態で、正極端子30及び負極端子31の基部41を端子支持面76aに支持させる工程を行う。その結果、正極端子30及び負極端子31が、台座面76に支持され、正極端子30及び負極端子31の軸方向が上下方向に延びる状態となる。すると、正極端子30及び負極端子31は、その軸方向がタブ側端面20bからの正極集電タブ23及び負極集電タブ24の突出方向とは異なり、かつ水平方向に直交する方向から支持される。
【0047】
支持面63aに電極組立体20の平面20aが支持された状態では、台座面76は、積層方向一端側の平面20aより若干低い位置にある。そして、端子支持面76aは、正極端子30及び負極端子31の基部41の底面と同一面又は若干高低差のある位置にある。
【0048】
次に、図4及び図5に示すように、蓋体13の透孔14に絶縁部材52を装着する。さらに、正極端子30及び負極端子31に端子カバー50及びOリング51を装着する。このとき、図6に示すように、端子カバー50は、端子位置決め部77aの内側に入り込み、端子支持面76aに支持される。
【0049】
そして、正極端子30及び負極端子31の極柱部40を蓋体13の透孔14に挿通し、Oリング51上に蓋体13を支持させる。次に、正極端子30及び負極端子31の雄ねじ部42にナット55,56を配置する。次に、可動ブロック73を上下動させ、シャフト78,79の棒部80を正極端子30及び負極端子31の嵌合孔46に挿入する。
【0050】
引き続き、図7に示すように、押圧装置91を操作してシャフト78を位置決めする。そして、正極端子30及び負極端子31を位置決めした状態で、雄ねじ部42にナット55,56を螺合し、蓋体13に正極端子30及び負極端子31を締結し、固定する工程を行う。このとき、正極端子30及び負極端子31の切欠き44に、シャフト78,79の羽根部83が嵌合し、ナット55,56を螺合する際の、正極端子30及び負極端子31の共回りが抑制される。すると、蓋体13と電極組立体20が一体化される。
【0051】
その後、正極タブ群25及び負極タブ群27を積層方向他端側に折り返すと同時に、蓋体13を電極組立体20のタブ側端面20bに対向させた状態とし、そのまま電極組立体20をケース本体12に収容する。そして、蓋体13をケース本体12に接合し、ケース11を形成するとともに、ケース11に電解液を注入して二次電池10が製造される。
【0052】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)電極組立体20の平面20aを支持面63aに支持させると、正極集電タブ23及び負極集電タブ24が水平方向に延びるように電極組立体20を横置き支持させることができる。また、正極端子30及び負極端子31を台座面76に支持させると、正極端子30及び負極端子31を、軸方向が上下方向に延びるように支持させることができる。このため、製造装置60により、電極組立体20からの正極集電タブ23及び負極集電タブ24の突出方向と直交する方向から正極端子30及び負極端子31を支持できる。よって、正極端子30及び負極端子31は、その軸方向がタブ側端面20bの面に沿うように台座面76に支持されている。このため、電極組立体20をナット55,56の螺進方向(正極端子30及び負極端子31の軸方向)から退避させた位置に支持させることができる。よって、正極端子30及び負極端子31を蓋体13に締結して固定するとき、ナット55,56の螺合に伴う負荷が電極組立体20にかかることが抑制される。その結果、ナット55,56の螺合に伴う押圧によって、正極電極21や負極電極22がずれてしまったり、短絡することが抑制される。
【0053】
(2)台座ブロック70は、タブ用凹部69を備える。このため、正極タブ群25及び負極タブ群27を台座面76に支持させたとき、それら正極タブ群25及び負極タブ群27において、台座面76に支持されていない部分をタブ用凹部69に逃がすことができる。よって、正極タブ群25及び負極タブ群27が台座ブロック70によって折り曲げられることなく、台座面76に支持させることができる。
【0054】
(3)製造装置60は、電極組立体20を支持する支持台63を備える。この支持台63の厚みを調節することで、支持面63aと台座面76との相対的な高さが調節され、その支持面63aに支持された電極組立体20の積層方向への高さと、正極端子30及び負極端子31との相対位置が調節できる。このため、電極組立体20に対し、正極端子30及び負極端子31を適切な高さで支持することができ、正極タブ群25及び負極タブ群27の一端側に撓みが生じることを抑制できるとともに、正極端子30及び負極端子31に傾きが生じることなく台座面76に支持させることができる。
【0055】
(4)台座ブロック70は、端子支持面76aを囲む端子位置決め部77aを備える。このため、正極端子30及び負極端子31が端子支持面76aに支持された状態では、正極端子30及び負極端子31に装着された端子カバー50が、端子位置決め部77aによって囲まれる。このため、端子位置決め部77aにより、正極端子30及び負極端子31が端子支持面76aに沿う方向へ移動することが抑制できる。したがって、正極端子30及び負極端子31の嵌合孔46の位置が、シャフト78,79の位置から移動することが抑制され、シャフト78,79を嵌合孔46に簡単に挿入することができる。
【0056】
(5)台座ブロック70は、タブ側位置決め部77bを備える。このため、台座面76に正極タブ群25及び負極タブ群27を支持させたとき、正極導電部材26及び負極導電部材28の側縁をタブ側位置決め部77bに当接させると、正極導電部材26及び負極導電部材28の移動が規制される。
【0057】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 台座面76において、位置決め部77は無くてもよい。
○ 位置決め部77のうちタブ側位置決め部77bは無くてもよく、端子位置決め部77aだけを設けてもよい。
【0058】
○ 端子支持面76aの大きさは、正極端子30又は負極端子31のみを支持できる大きさであってもよい。
○ 支持台63は無くてもよく、この場合、電極組立体20は下側構造体61の上面よりなる支持面に直接支持される。
【0059】
○ 台座面76は、支持台63の支持面63aと平行でなくてもよく、台座面76が支持面63aに対し若干傾斜していてもよい。
○ 端子支持面76aを円形状とし、端子位置決め部77aも平面視円形状としたが、蓋体13の裏面から突出する突部の形状に合わせて端子支持面76a及び端子位置決め部77aの形状を変更してもよい。例えば、負極端子31の基部41が四角柱状であり、それを覆う端子カバー50が四角筒状であれば、端子支持面76a及び端子位置決め部77aを平面視四角形状としてもよい。
【0060】
○ 端子位置決め部77aは、台座面76の長手方向の片側だけに設けられていてもよい。
○ 実施形態は、正極端子30及び負極端子31の嵌合孔46(切欠き44)と、シャフト78,79の羽根部83により、正極端子30及び負極端子31の共回りを抑制する構造であるが、共回りを抑制するための構造は、前述した構造に限定されるものではない。例えば、シャフト78,79の先端を六角形とし、正極端子30及び負極端子31に六角形の嵌合孔を形成してもよい。
【0061】
○ 蓄電装置としてのニッケル水素二次電池や、電気二重層キャパシタとして具体化してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について追記する。
【0062】
(イ)前記電極端子の前記蓋体への固定は、前記電極端子の極柱部に設けた雄ねじ部に対し、ナットを螺合して行われる蓄電装置。
【符号の説明】
【0063】
10…蓄電装置としての二次電池、11…ケース、13…ケース部材としての蓋体、20…電極組立体、20a…平面、20b…タブ側端面、21a…一辺、21…電極としての正極電極、22…電極としての負極電極、22a…一辺、23…正極集電タブ、24…負極集電タブ、25…正極タブ群、26…正極導電部材、27…負極タブ群、28…負極導電部材、30…電極端子としての正極端子、31…電極端子としての負極端子、50…突部を構成する端子カバー、60…製造装置、63…支持台、63a…支持面、70…台座ブロック、76…台座面、77a…端子位置決め部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8