特許第6191489号(P6191489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6191489電磁シールド部品および電磁シールド部品付電線
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6191489
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】電磁シールド部品および電磁シールド部品付電線
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20170828BHJP
   H02G 3/06 20060101ALI20170828BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   H02G3/04 081
   H02G3/06
   H05K9/00 L
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-21146(P2014-21146)
(22)【出願日】2014年2月6日
(65)【公開番号】特開2015-149176(P2015-149176A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2017年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】井谷 康志
【審査官】 和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−071645(JP,A)
【文献】 特開2006−310516(JP,A)
【文献】 特開2008−226530(JP,A)
【文献】 特開2006−311699(JP,A)
【文献】 特開平11−260175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/00
H02G 3/04
H02G 3/06
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料を含み硬質の筒状に形成され、一端からの一部において内周面および外周面が隣に連なる部分のそれよりも大きな径で形成された拡径部を有するシールドパイプと、
金属材料を含み柔軟な筒状に形成され、一端寄りの一部が前記シールドパイプにおける前記拡径部の内周面側に重なった重なり部を成し、前記シールドパイプとともに一連の中空部を形成している柔軟シールド部材と、
環状に形成され、前記柔軟シールド部材の前記重なり部を前記シールドパイプの内周面との間に挟み込んで留めている連結部材と、を備える電磁シールド部品。
【請求項2】
前記連結部材の内周面は前記シールドパイプにおける前記拡径部の隣に連なる部分の内周面と同じ径以上で形成されている、請求項1に記載の電磁シールド部品。
【請求項3】
前記シールドパイプは、金属パイプと前記金属パイプの外周面に形成された絶縁被膜とを有する、請求項1または請求項2に記載の電磁シールド部品。
【請求項4】
非導電性の筒状の弾性部材であり、自然状態において、前記シールドパイプの一部の周囲を囲む一端寄りの部分の内周面が、前記シールドパイプにおける前記拡径部の隣に連なる部分の外周面よりも大きな径で、かつ、前記拡径部の外周面よりも小さな径で形成されたグロメットをさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電磁シールド部品。
【請求項5】
電線と、前記電線の周囲を囲む筒状の電磁シールド部品と、を備え、
前記電磁シールド部品は、
金属材料を含み硬質の筒状に形成され、一端からの一部において内周面および外周面が隣に連なる部分よりも大きな径で形成された拡径部を有するシールドパイプと、
金属材料を含み柔軟な筒状に形成され、一端寄りの一部が前記シールドパイプにおける前記拡径部の内周面側に重なった重なり部を成し、前記シールドパイプとともに前記電線が通る一連の中空部を形成している柔軟シールド部材と、
環状に形成され、前記柔軟シールド部材の前記重なり部を前記シールドパイプの内周面との間に挟み込んで留めている連結部材と、を備える電磁シールド部品付電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質のシールドパイプと柔軟シールド部材とを含む電磁シールド部品およびそれを備える電磁シールド部品付電線に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両に搭載されるワイヤハーネスにおいて、電線の周囲を囲む電磁シールド部品が採用される場合がある。例えば、電磁シールド部品は、硬質の金属パイプとこれに連結された筒状の編組線とを有する。
【0003】
電磁シールド部品において、金属パイプは、電磁シールド機能を果たすとともに、電線を物理的に保護し、さらに、電線を予め定められた配線経路に沿う形状に維持する。
【0004】
一方、編組線は、銅線が編み込まれて筒状に形成された部材であるため、柔軟性を有する。柔軟性を有する編組線は、電磁シールド機能を果たすとともに、電線の末端寄りの部分の曲げ変形を可能にする。
【0005】
特許文献1に示されるように、通常、金属パイプと編組線とは、カシメリングによって連結される。この場合、カシメリングは、金属パイプをその外周面側から締め付け、金属パイプにおける端部寄りの外周面に被さった編組線の一部を金属パイプとの間に挟み込む。これにより、編組線の端部寄りの部分が、金属パイプの端部寄りの部分の外周面側に留まる。
【0006】
一方、特許文献2が示すシールド導電路において、編組線は、金属パイプ内に挿入された支持部材の外周面と金属パイプにおけるカシメ部(圧縮部)の内周面との間に挟み込まれる。これにより、編組線の端部寄りの部分が、金属パイプの端部寄りの部分の内周面側に留まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−280814号公報
【特許文献2】特開2006−310127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来の一般的な電磁シールド部品においては、金属パイプの端面が、編組線の内側に存在する。この場合、金属パイプの中空部に通された電線が金属パイプの端面のエッジに接触することによる電線の損傷が懸念される。
【0009】
そこで、一般的な電磁シールド部品は、金属パイプの端部を覆うエッジカバーを備えている。しかしながら、昨今、部品管理の工数低減の要請から、エッジカバーを用いずに電線の損傷を防止できることが望まれている。
【0010】
一方、特許文献2が示すシールド導電路においては、編組線が、電線と金属パイプの端部との間に介在して電線の損傷を防ぐ。そのため、エッジカバーは不要である。
【0011】
特許文献2が示すシールド導電路において、金属パイプの内周面と電線束の外周面との間に、編組線を留める支持部材を挿入できるだけの隙間が必要である。
【0012】
しかしながら、より細い金属パイプの採用が必要な場合、金属パイプの中空部における電線の収容密度を高めることが必要となり、金属パイプ内に支持部材を挿入できるだけの隙間を確保することが難しくなる。
【0013】
本発明は、電磁シールド部品において、硬質のパイプの中空部における電線の収容密度を高めても、パイプ端部のカバーなどの追加部品を要することなく、パイプのエッジに接触することによる電線の損傷を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1態様に係る電磁シールド部品は、シールドパイプと柔軟シールド部材と連結部材とを備える。
(1)上記シールドパイプは、金属材料を含み硬質の筒状に形成された部材である。上記シールドパイプは、一端からの一部において内周面および外周面が隣に連なる部分のそれよりも大きな径で形成された拡径部を有する。
(2)上記柔軟シールド部材は、金属材料を含み柔軟な筒状に形成された部材である。上記柔軟シールド部材において、一端寄りの一部が上記シールドパイプにおける上記拡径部の内周面側に重なった重なり部を成している。上記柔軟シールド部材は、上記シールドパイプとともに一連の中空部を形成している。
(3)上記連結部材は、環状に形成され、上記柔軟シールド部材の上記重なり部を上記シールドパイプの内周面との間に挟み込んで留めている部材である。
【0015】
第2態様に係る電磁シールド部品は、第1態様に係る電磁シールド部品の一態様である。第2態様に係る電磁シールド部品において、上記連結部材の内周面は上記シールドパイプにおける上記拡径部の隣に連なる部分の内周面と同じ径以上で形成されている。
【0016】
第3態様に係る電磁シールド部品は、第1態様または第2態様に係る電磁シールド部品の一態様である。第3態様に係る電磁シールド部品において、上記シールドパイプは、金属パイプと上記金属パイプの外周面に形成された絶縁被膜とを有する。
【0017】
第4態様に係る電磁シールド部品は、第1態様から第3態様のいずれか1つに係る電磁シールド部品の一態様である。第4態様に係る電磁シールド部品は、非導電性の筒状の弾性部材であるグロメットをさらに備える。上記グロメットは、自然状態において、上記シールドパイプの一部の周囲を囲む一端寄りの部分の内周面が、上記シールドパイプにおける前記拡径部の隣に連なる部分の外周面よりも大きな径で、かつ、上記拡径部の外周面よりも小さな径で形成されている。
【0018】
第5態様に係る電磁シールド部品付電線は、電線と上記の各態様のいずれか1つに係る電磁シールド部品とを備える。この場合、筒状の電磁シールド部品は、電線の周囲を囲む。
【発明の効果】
【0019】
上記の各態様において、金属材料を含む硬質のシールドパイプの端部には、隣に連なる部分よりも大きな径で形成された拡径部が形成されている。そして、柔軟シールド部材は、シールドパイプの拡径部の内側面とその内側の連結部材との間に挟み込まれている。
【0020】
従って、上記の各態様によれば、金属材料を含む丈夫な柔軟シールド部材が、電線とシールドパイプの端部との間に介在して電線の損傷を防ぐ。そのため、シールドパイプのエッジのカバーは不要である。
【0021】
また、上記の各態様によれば、シールドパイプにおける拡径部以外の部分の内周面と電線の外周面との間の隙間が小さくても、拡径部において、柔軟シールド部材を留める連結部材を挿入できるだけの隙間を確保することができる。そのため、シールドパイプ(硬質パイプ)の中空部における電線の収容密度を高めても、柔軟シールド部材をシールドパイプに問題なく連結できる。
【0022】
また、上記の各態様によれば、後述するように、電磁シールド部品の中空部に電線を通す工程において、柔軟シールド部材の中空部に電線をその端から貫通させる必要がない。その結果、電磁シールド部品の中空部に電線を容易に通すことが可能になる。
【0023】
また、第2態様によれば、シールドパイプの拡径部内に挿入された連結部材の内周面が、シールドパイプにおける拡径部の隣に連なる部分の内周面の延長面から内側へ突出しない。そのため、シールドパイプ(硬質パイプ)の中空部における電線の収容密度をより高めることができる。また、電線がシールドパイプの中空部に通される際に、電線が連結部材に引っ掛かりにくい。
【0024】
また、第3態様において、シールドパイプは、金属パイプと金属パイプの外周面に形成された絶縁被膜とを有する。絶縁被膜は、金属パイプに高電圧が生じた場合でも感電を防ぐ。また、柔軟シールド部材は、金属パイプ(シールドパイプ)の内周面に接する。そのため、シールドパイプの絶縁被膜が金属パイプと柔軟シールド部材との電気的な接続を阻害することもない。
【0025】
また、第4態様において、グロメットは、柔軟シールド部への液体の浸入を防ぐための部材であり、その一端寄りの部分はシールドパイプに対してその拡径部の外周面に密接する状態で被せられる閉塞部である。グロメットにおける閉塞部の内周面は、シールドパイプにおける拡径部の隣に連なる部分の外周面よりも大きな径で、かつ、拡径部の外周面よりも小さな径で形成されている。
【0026】
グロメットを含む電磁シールド部品が車両のボディなどの支持体に取り付けられる際、グロメットをシールドパイプの外周面に沿って移動させることが必要になる。閉塞部がシールドパイプの外周面に密接した状態のまま、摩擦係数の大きなグロメットをシールドパイプの外周面に沿って摺動させるためには、大きな力が必要である。
【0027】
第4態様においては、グロメットの閉塞部は、シールドパイプの拡径部の隣に連なる部分の外周面よりも大きな径で形成されている。そのため、グロメットをシールドパイプの外周面に沿って移動させる作業において、グロメットの閉塞部がシールドパイプの拡径部を通るとき以外は、ごく小さな力でグロメットを移動させることができる。その結果、グロメットを含む電磁シールド部品を支持体に取り付ける作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態に係る電磁シールド部品付電線10の主要部の斜視図である。
図2】電磁シールド部品付電線10の主要部の縦断面図である。
図3】電磁シールド部品付電線10が備える電磁シールド部品が第1の方法で製造される場合におけるシールドパイプの端部の第1縦断面図(パイプ拡径加工前)である。
図4】電磁シールド部品付電線10が備える電磁シールド部品が第1の方法で製造される場合におけるシールドパイプの端部の第2縦断面図(パイプ拡径加工中)である。
図5】電磁シールド部品付電線10が備える電磁シールド部品が第1の方法で製造される場合における電磁シールド部品の主要部の縦断面図(連結部材装着前)である。
図6】柔軟シールド部材が電線に被せられるときの電磁シールド部品付電線10の主要部の縦断面図である。
図7】電磁シールド部品付電線10が備える電磁シールド部品が第2の方法で製造される場合における電磁シールド部品の主要部の第1縦断面図(連結部材装着中)である。
図8】電磁シールド部品付電線10が備える電磁シールド部品が第2の方法で製造される場合における電磁シールド部品の主要部の第2縦断面図(パイプ拡径加工前)である。
図9】電磁シールド部品付電線10が備える電磁シールド部品が第2の方法で製造される場合における電磁シールド部品の主要部の第2縦断面図(パイプ拡径加工中)である。
図10】第2実施形態に係る電磁シールド部品付電線10Aの主要部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照しながら、実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。各実施形態に係る電磁シールド部品付電線は、例えば自動車などの車両に搭載されるワイヤハーネスとして提供される。
【0030】
<第1実施形態>
まず、図1,2を参照しつつ、第1実施形態に係る電磁シールド部品付電線10の構成について説明する。図1が示すように、電磁シールド部品付電線10は、電線1と電線1の周囲を囲む筒状の電磁シールド部品5とを備えている。なお、図2の断面図において、電線1については側面が示されている。図6,10の断面図においても、同様に電線1については側面が示されている。
【0031】
<電線>
電線1は、導電性の芯線とその芯線の周囲を覆う絶縁被覆とを有する絶縁電線である。図1が示す例では、電磁シールド部品付電線10は複数の電線1を備え、電磁シールド部品5はそれら複数の電線1を囲んでいる。
【0032】
電磁シールド部品5は、シールドパイプ2と柔軟シールド部材3と連結部材4とを備えている。シールドパイプ2および柔軟シールド部材3は、電線1が通る一連の中空部を形成している。
【0033】
なお、便宜上、図1,2等において、シールドパイプ2の中空部における電線1の収容密度が比較的小さい状態、即ち、シールドパイプ2の内周面と電線1の外周面との隙間が比較的大きい状態が示されている。しかしながら、各実施形態において、電線1が、図示される状態よりも高い収容密度でシールドパイプ2の中空部に収容されていることも考えられる。
【0034】
なお、電線1が、複芯のケーブルであることも考えられる。複芯のケーブルは、複数の芯線と、それら複数の芯線の相互間を絶縁するとともにそれら複数の芯線を一括して覆う絶縁被覆とを有する。
【0035】
続いて第1実施形態に係る電磁シールド部品5について説明する。電磁シールド部品5は、シールドパイプ2と柔軟シールド部材3とが連結部材4によって連結され、これにより一連の筒状に形成された構造を有している。
【0036】
<シールドパイプ>
シールドパイプ2は、金属材料を含み硬質の筒状に形成された部材である。本実施形態では、シールドパイプ2はアルミニウムまたはステンレスなどの金属を主成分とする金属パイプである。
【0037】
なお、シールドパイプ2が、金属パイプと金属パイプの一部に形成された非導電性の物質とが一体になった部材であることも考えられる。例えば、シールドパイプ2が、金属パイプとその金属パイプの内周面および外周面の一部に形成された絶縁被膜とを有するパイプであることなどが考えられる。
【0038】
シールドパイプ2は、その両端のうちの少なくとも一方からの一部を成す拡径部22とその他の部分を成す基部21とを有している。拡径部22は、シールドパイプ2における一端からの一部を成し、その内周面および外周面が隣に連なる基部21よりも大きな径で形成されている。拡径部22は、シールドパイプ2の端の開口20の枠を形成している。
【0039】
拡径部22は、シールドパイプ2における一端からの一部を成し、その内周面および外周面が隣に連なる部分(基部21)よりも大きな径で形成された部分である。即ち、拡径部22の内周面の径は基部21の内周面の径よりも大きく、拡径部22の外周面の径は基部21の外周面の径よりも大きい。
【0040】
シールドパイプ2は、全長に亘って横断面形状が一様なパイプにおける端からの一部分に対して径を拡げる加工が施されることによって得られた部材である。その加工方法の一例については後述する。
【0041】
シールドパイプ2の基部21は、拡径部22の隣に連なる部分を含む。例えば、基部21は、横断面形状が一様な管状である。基部21は、直管状または曲がった管状である。図1が示す例では、基部21は円筒状である。なお、基部21が角パイプ状であることも考えられなくはない。
【0042】
例えば、シールドパイプ2の拡径部22は、シールドパイプ2の両端部各々に形成されている。
【0043】
<柔軟シールド部材>
柔軟シールド部材3は、金属材料を含み柔軟な筒状に形成された部材である。柔軟シールド部材3の典型例は編組線である。編組線は、導線が筒状に編み込まれた構造を有する部材である。編組線を構成する導線は、例えば、銅を主成分とする線材とその線材の表面に形成されたメッキとを含む。なお、編組線を構成する導線が、アルミニウムを主成分とする線材を含むことも考えられる。
【0044】
なお、柔軟シールド部材3が、筒状に丸められた金属布を含む部材であることも考えられる。金属布は、金属糸の織物である。金属布は、例えば銅を主成分とする金属の糸が縦方向および横方向に交差して織られた網目構造を有する生地である。また、金属布は、金属糸の生地に樹脂材料からなる柔軟性を有するフィルムが貼り付けられた構造を有する場合もある。金属布は、導電性および柔軟性を有する。
【0045】
柔軟シールド部材3において、一方の端部31寄りの一部がシールドパイプ2における拡径部22の内周面側に被さった重なり部32を成している。これにより、柔軟シールド部材3は、シールドパイプ2とともに一連の中空部を形成している。シールドパイプ2および柔軟シールド部材3が形成する一連の中空部は、電線1の配線路である。
【0046】
<連結部材>
連結部材4は、シールドパイプ2の拡径部22と柔軟シールド部材3の重なり部32とを連結する部材であり、環状に形成されている。連結部材4は、柔軟シールド部材3の重なり部32をシールドパイプ2における拡径部22の内周面との間に挟み込んで留めている。なお、連結部材4が環状である例として、連結部材4の内周面の輪郭が楕円状または真円状である場合の他、連結部材4の内周面の輪郭が長円形(角丸長方形)である場合なども考えられる。
【0047】
連結部材4は、例えば、表面にメッキが形成された鉄を主成分とする部材、またはステンレスを主成分とする部材である。
【0048】
本実施形態における連結部材4は、シールドパイプ2における拡径部22の内周面に沿う輪郭の環状に形成されている。連結部材4は、柔軟シールド部材3の重なり部32をシールドパイプ2における拡径部22の内周面との間に挟み込んでいる。例えば、連結部材4は、柔軟シールド部材3の重ね部32をシールドパイプ2の内周面に対してその全周に亘る範囲で押し付けている。
【0049】
図2が示すように、連結部材4の内周面が、シールドパイプ2における拡径部22の隣に連なる基部21の内周面と同じ径以上で形成されていることが考えられる。そうすれば、連結部材4がシールドパイプ2の中空部、即ち、電線1の配線路において内側へ出っ張らない。
【0050】
<電磁シールド部品付電線の製造手順の一例(第1の方法)>
次に、図3〜5を参照しつつ、電磁シールド部品5および電磁シールド部品付電線10の製造手順の一例(第1の方法)について説明する。
【0051】
図3は、電磁シールド部品5が第1の方法で製造される場合におけるシールドパイプ2の端部の第1縦断面図(パイプ拡径加工前)である。図4は、電磁シールド部品5が第1の方法で製造される場合におけるシールドパイプの端部の第2縦断面図(パイプ拡径加工中)である。図5は、電磁シールド部品5が第1の方法で製造される場合における電磁シールド部品5の主要部の縦断面図(連結部材4装着前)である。
【0052】
シールドパイプ2は、全長に亘って横断面形状が一様なパイプ原材200の端部に対してその径を拡げる加工が施されることによって得られる。以下、その加工のことをパイプ拡径加工と称する。
【0053】
第1の方法において、パイプ拡径加工は、図3,4が示すように、パイプ原材200の内周面よりも大きな径の拡径成形面91が形成された成形用金具9をパイプ原材200の端の開口20に挿入することによってパイプ原材200の端からの一部を内側から押し広げる加工である。
【0054】
成形用金具9において、拡径成形面91の外径は、例えば、パイプ原材200の内周面の径に、環状の連結部材4の厚みおよび柔軟シールド部材3の厚みの合計の2倍の寸法を加算した径と同じかそれよりも若干大きい。
【0055】
パイプ拡径加工がパイプ原材200に施されることにより、端部に拡径部22が形成されたシールドパイプ2が得られる。拡径部22の内周面は、成形用金具9の拡径成形面91に沿う形状に成形される。
【0056】
さらに、図5が示すように、連結部材4をシールドパイプ2の拡径部22内に挿入する連結部材圧入工程が行われる。本工程は、柔軟シールド部材3がパイプ原材200の外周面側に重ねられ、さらに柔軟シールド部材3における端部31からの一部が拡径部22の内側へ折り返された状態で行われる。
【0057】
なお、柔軟シールド部材3における拡径部22の内側へ折り返された部分が重ね部32である。
【0058】
連結部材4がシールドパイプ2の拡径部22内に挿入される前の状態において、連結部材4の外径は、拡径部22の内径から柔軟シールド部材3の厚みの2倍を差し引いた径よりも若干大きい。連結部材4は、例えば金属の環状部材であり、その径を変化させて維持する特別な構造を有していなくてよい。
【0059】
連結部材圧入工程において、連結部材4は、シールドパイプ2の拡径部22およびその内側の柔軟シールド部材3の重ね部32のさらに内側へ押し込まれる。これにより、連結部材4は、その外径が若干収縮しつつ重ね部32の内側に嵌り込む。その結果、連結部材4は、柔軟シールド部材3の重ね部32を拡径部22の内周面との間に挟み込んで留める状態となる。
【0060】
連結部材圧入工程の後、電線1が、シールドパイプ2の中空部に通される。例えば、図6が示すように、電線1は、柔軟シールド部材3が外周面側に重なった状態のシールドパイプ2の中空部に通される。この場合、柔軟シールド部材3におけるシールドパイプ2の外周面側に重なった部分がシールドパイプ2における拡径部22の延長方向へ引き出される。これにより、柔軟シールド部材3の折り返しは解除される。
【0061】
柔軟シールド部材3は、上記のように引き出されることにより、電線1におけるシールドパイプ2の開口20から延び出た部分の周囲を覆う状態となる。
【0062】
以上に示された手順によれば、電磁シールド部品5の中空部に電線1を通す工程において、柔軟シールド部材3の中空部に電線1をその端から貫通させる必要がない。
【0063】
なお、図6が示す手順以外の手順が採用されることも考えられる。例えば、柔軟シールド部材3が上記のように引き出された後に、電線1がシールドパイプ2およびそれに連結された柔軟シールド部材3の中空部に通されることも考えられる。
【0064】
<電磁シールド部品付電線の製造手順の一例(第2の方法)>
次に、図7〜9を参照しつつ、電磁シールド部品5および電磁シールド部品付電線10の製造手順の一例(第2の方法)について説明する。
【0065】
第2の方法において、パイプ拡径加工は、柔軟シールド部材3がパイプ原材200の外周面側に重ねられ、柔軟シールド部材3の端部31からの一部分がパイプ原材200における開口20から内側面側へ折り返され、さらに連結部材4がその内側に重ねられた状態で行われる。
【0066】
第2の方法のパイプ拡径加工は、図8,9が示すように、拡径成形面91Xが形成された成形用金具9Xをパイプ原材200の端の開口20に挿入することによって連結部材4とパイプ原材200の端からの一部とを連結部材4の内側から押し広げる加工である。
【0067】
成形用金具9Xにおいて、拡径成形面91Xの外径は、例えば、パイプ原材200の内周面の径と同じかそれよりも若干大きい。
【0068】
パイプ拡径加工がパイプ原材200に施されることにより、端部に拡径部22が形成されたシールドパイプ2と、径が拡大して柔軟シールド部材3の重ね部32を拡径部22との間に挟み込んで留める連結部材4とが同時に得られる。
【0069】
第2方法におけるパイプ拡径加工の後の手順は、第1の方法における連結部材圧入工程の後の手順と同様である(図6参照)。
【0070】
<第2実施形態>
次に、図10を参照しつつ、第2実施形態に係る電磁シールド部品付電線10Aについて説明する。図10は、電磁シールド部品付電線10Aの主要部の縦断面図である。図10において、図1〜9に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
【0071】
電磁シールド部品付電線10Aは、図1,2が示す電磁シールド部品付電線10と比較して、シールドパイプ2の代わりに樹脂被膜付のシールドパイプ2Aを備える点、およびグロメット6が追加されている点が異なる。以下、電磁シールド部品付電線10Aにおける電磁シールド部品付電線10と異なる点について説明する。
【0072】
電磁シールド部品付電線10Aも、電磁シールド部品付電線10と同様に、電線1とその電線1の周囲を囲む電磁シールド部品5Aとを備えている。電磁シールド部品5Aは、シールドパイプ2Aと柔軟シールド部材3と連結部材4とを備えている。
【0073】
シールドパイプ2Aは、金属パイプ201とその金属パイプ201の外周面に形成された絶縁被膜202とを有するパイプである。金属パイプ201は、例えばアルミニウムまたはステンレスなどの金属を主成分とするパイプである。また、絶縁被膜202は、例えば、合成樹脂またはゴム系材料の塗装膜などである。
【0074】
シールドパイプ2Aは、絶縁被膜202が形成されていること以外はシールドパイプ2と同じ構造を有している。
【0075】
さらに、電磁シールド部品付電線10Aは、非導電性の筒状の弾性部材であるグロメット6も備えている。例えば、グロメット6は、ゴムまたはエラストマーなどのゴム系材料を主成分とする部材である。
【0076】
グロメット6は、電磁シールド部品付電線10Aが車両のボディなどの支持体に取り付けられた際に、柔軟シールド部材3への液体の浸入を防ぐための部材である。グロメット6は、その一端寄りの部分を占める第一閉塞部61と他端寄りの部分を占める第二閉塞部62とそれらの間の中間部63とを有している。
【0077】
第一閉塞部61は、シールドパイプ2Aに対してその拡径部22の外周面に密接する状態で被せられる部分である。一方、第二閉塞部62は、例えば、支持体における電線1の通路を成す開口の周囲に形成された枠部(不図示)に被せられる。その枠部は、例えば、電線1の接続先の機器を収容する筐体の開口の周囲に形成されている。
【0078】
自然状態のグロメット6において、第一閉塞部61の内周面は、シールドパイプ2Aにおける基部21(拡径部22の隣に連なる部分)の外周面よりも大きな径で、かつ、拡径部22の外周面よりも小さな径で形成されている。なお、自然状態のグロメットとは、外力が加わっていない状態のグロメットを意味する。
【0079】
また、図10が示す例では、第一閉塞部61に連なる中間部63の内周面は、シールドパイプ2Aにおける拡径部22の外周面よりも大きな径で形成されている。なお、図10が示す例では、グロメット6の内周面全体がシールドパイプ2Aの基部21の外周面よりも大きな径で形成されている。
【0080】
電磁シールド部品5Aが車両のボディなどの支持体に取り付けられる際、グロメット6をシールドパイプ2Aの外周面に沿って移動させることが必要になる。グロメット6をシールドパイプ2Aの外周面に沿って移動させる作業において、グロメット6とシールドパイプ2Aとの間の摩擦抵抗は、第一閉塞部61が拡径部22を通るとき以外はごく小さい。そのため、第一閉塞部61が拡径部22を通るとき以外はごく小さな力でグロメット6をシールドパイプ2Aに沿って移動させることができる。
【0081】
図10が示す例では、グロメット6は、その全体がシールドパイプ2Aの基部21を囲む状態でシールドパイプ2Aに仮留めされ、その後、第一閉塞部61が拡径部22の外周面に密接する位置まで移動される。
【0082】
しかしながら、シールドパイプ2Aへのグロメット6の仮留め状態が、第一閉塞部61が基部21を囲むとともに中間部63が拡径部22を囲む状態であることも考えられる。
【0083】
<効果>
電磁シールド部品5,5Aにおいて、金属材料を含む硬質のシールドパイプ2,2Aの端部には、隣に連なる基部21よりも大きな径で形成された拡径部22が形成されている。そして、柔軟シールド部材3は、シールドパイプ2,2Aの拡径部22の内側面とその内側の連結部材4との間に挟み込まれている。
【0084】
電磁シールド部品5,5Aが採用されれば、金属材料を含む丈夫な柔軟シールド部材3が、電線1とシールドパイプ2,2Aの端部との間に介在して電線1の損傷を防ぐ。そのため、シールドパイプ2,2Aのエッジのカバーは不要である。
【0085】
また、電磁シールド部品5,5Aが採用されれば、シールドパイプ2,2Aの基部21(拡径部22以外の部分)の内周面と電線1の外周面との間の隙間が小さくても、拡径部22において、柔軟シールド部材3を留める連結部材4を挿入できるだけの隙間を確保することができる。そのため、シールドパイプ2,2A(硬質パイプ)の中空部における電線1の収容密度を高めても、柔軟シールド部材3をシールドパイプ2,2Aに問題なく連結できる。
【0086】
ところで、電線1がその端から編組線などの柔軟シールド部材3の中空部に通される場合、電線1が柔軟シールド部材3に引っ掛かりやすい。
【0087】
一方、電磁シールド部品5,5Aが採用されれば、図6が示すように、電磁シールド部品5,5Aの中空部に電線1を通す工程において、柔軟シールド部材3の中空部に電線1をその端から貫通させる必要がない。その結果、電磁シールド部品5,5Aの中空部に電線1を容易に通すことが可能になる。
【0088】
また、電磁シールド部品5,5Aにおいて、連結部材4の内周面がシールドパイプ2,2Aの基部21の内周面と同じ径以上で形成されていれば、シールドパイプ2,2Aの拡径部22内に挿入された連結部材4の内周面が、シールドパイプ2,2Aの基部21の内周面の延長面から内側へ突出しない。そのため、シールドパイプ2,2A(硬質パイプ)の中空部における電線1の収容密度をより高めることができる。また、電線1がシールドパイプ2,2Aの中空部に通される際に、電線1が連結部材4に引っ掛かりにくい。
【0089】
また、電磁シールド部品5Aのシールドパイプ2Aが採用されれば、絶縁被膜202が、金属パイプ201に高電圧が生じた場合でも感電を防ぐ。また、柔軟シールド部材3は、金属パイプ201(シールドパイプ2A)の内周面に接する。そのため、シールドパイプ2Aの絶縁被膜202が金属パイプ201と柔軟シールド部材3との電気的な接続を阻害することもない。
【0090】
また、電磁シールド部品5,5Aが採用されれば、図8,9が示すように、シールドパイプ2,2Aの拡径部22を作るパイプ加工工程(パイプ拡径加工工程)が、連結部材4の取付工程を兼ねることができる。これにより電磁シールド部品5,5Aの製造工程を簡素化できる。しかも、ごくシンプルな連結部材4を用いて柔軟シールド部材3をシールドパイプ2,2Aに留めることができる。
【0091】
また、電磁シールド部品5Aが採用されれば、グロメット6をシールドパイプ2Aの外周面に沿って移動させる作業において、ごく小さな力でグロメット6を移動させることができる。その結果、グロメット6を含む電磁シールド部品5Aを支持体に取り付ける作業が容易となる。
【0092】
<応用例>
シールドパイプ2Aが電磁シールド部品5に適用されることも考えられる。また、グロメット6が電磁シールド部品5に適用されることも考えられる。
【0093】
なお、本発明に係る電磁シールド部品および電磁シールド部品付電線は、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された各実施形態および応用例を自由に組み合わせること、或いは各実施形態および応用例を適宜、変形するまたは一部を省略することによって構成されることも可能である。
【符号の説明】
【0094】
10,10A 電磁シールド部品付電線
1 電線
2,2A シールドパイプ
20 シールドパイプの開口
200 パイプ原材
201 金属パイプ
202 絶縁被膜
21 シールドパイプの基部
22 シールドパイプの拡径部
3 柔軟シールド部材
31 柔軟シールド部材の端部
32 柔軟シールド部材の重ね部
4 連結部材
5,5A 電磁シールド部品
6 グロメット
61 第一閉塞部
62 第二閉塞部
63 中間部
9,9X 成形用金具
91,91X 拡径成形面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10