特許第6191544号(P6191544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6191544
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20170828BHJP
   B25J 15/08 20060101ALI20170828BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   B25J15/08 K
   B25J15/08 U
   B65G49/07 L
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-105739(P2014-105739)
(22)【出願日】2014年5月22日
(65)【公開番号】特開2015-222739(P2015-222739A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2016年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇佐見 誠
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−194659(JP,A)
【文献】 実開昭62−165884(JP,U)
【文献】 特開2000−141267(JP,A)
【文献】 特開平10−236652(JP,A)
【文献】 特開平05−104461(JP,A)
【文献】 特開2009−006460(JP,A)
【文献】 実開平06−063293(JP,U)
【文献】 特開平05−077188(JP,A)
【文献】 特表2003−527245(JP,A)
【文献】 実開昭56−142988(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 15/08
B65G 49/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送体を段積みした状態で把持する把持手段を備え、前記把持手段が前記被搬送体を把持した状態で前記被搬送体を搬送する搬送装置であって、
前記把持手段は、
前記被搬送体を把持する把持部と、
前記把持部により把持する被搬送体を検出する検出部と、
を備え、
前記把持部は、
前記検出部による検出に基づいて前記被搬送体に対する把持動作が制御され、
前記被搬送体の角部に当接して前記被搬送体の角部をガイドするとともに、前記被搬送体の角部を把持することにより前記被搬送体における積み重ねのズレ補正及びズレ防止を行うこと
を特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記把持部は、前記被搬送体に対する移動方向を段階的に変化させることにより前記被搬送体を把持すること
を特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記被搬送体の一方の側面を検出する第1検出部と、前記被搬送体の他方の側面を検出する第2検出部と、から構成されること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記被搬送体はワークを収納する搬送容器であり、
前記把持部は、前記搬送容器における前記ワークの収納口を覆うように前記搬送容器を把持することにより前記搬送容器に収納されているワークの飛び出しを防止すること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板等のワーク、或いはワークを収納した搬送容器等の被搬送体を段積みした状態で搬送する搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体デバイス等の製造設備においては、半導体基板等のワークを収納した搬送容器等の被搬送体を、設備の天井近くに設けられた走行レールに沿って走行する天井搬送車(搬送装置)により把持した状態で、複数の処理装置間を順次搬送する場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1においては、水平移動手段に設けられ、ワーク(密閉コンテナ)を保持するワーク保持手段を昇降させて、ワーク保持手段と各処理装置との間でワークの受け渡しが行なわれるようにする昇降手段を備え、クリーンルーム内で、複数の処理装置間を巡って各処理装置にワークを搬送する搬送装置が開示されている。
【0004】
特許文献1の搬送装置においては、前記ワーク保持手段を、ワーク(密閉コンテナ)の両側面へコの字状に延びるワーク保持部により構成し、このワーク保持部の両側部の下端にワークの底面を保持するハンドを対向して設けることにより、ワーク(密閉コンテナ)を保持する。
【0005】
また、半導体デバイス等の製造設備においては、半導体基板等のワークを収納した搬送容器等の被搬送体を複数個積み重ねた(段積みした)状態で搬送する場合がある。具体的には、内部にワークを収納した複数個の板状のパレット(搬送容器)を段積みにし、その段積みにした複数個のパレットを搬送装置で保持(把持)した状態で搬送を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−25427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、段積みされた被搬送体を搬送する場合には、搬送すべき被搬送体が常にズレのない状態(整列された状態)で段積みされている訳ではなく、ズレた状態(整列されていない状態)で段積みされている被搬送体を搬送しなければならない場合もある。そのため、被搬送体がズレた状態で段積みされている場合には、把持手段(保持手段)が、段積みされた被搬送体を充分に把持(保持)することができないという問題があった。また、搬送中に段積みした被搬送体がズレた状態となり、被搬送体が搬送中に搬送装置から落下する等の問題もあった。
【0008】
このような問題は、ズレを防止するためのズレ防止機構(例えば、段積みする被搬送体同士が互いに噛み合う凹凸面を被搬送体に設ける)を被搬送体に設けることにより解決可能であるが、被搬送体自体にズレ防止機構を設けることとなるため、被搬送体の構成が複雑になるという問題がある。また、被搬送体によっては、ズレ防止機構自体を設けることができない場合もある。
【0009】
さらに、段積みする被搬送体同士を固定部材で固定することにより上記問題は解決可能であるが、被搬送体を搬送する前に被搬送体を固定部材で固定する作業が必要となるため作業効率が悪いという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、装置構成を変更することなく段積みされた被搬送体の搬送が可能であるとともに、簡単な装置構成により被搬送体における積み重ねのズレ補正及びズレ防止を行うことが可能な搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上であり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0012】
即ち、本発明のうち請求項1に記載の搬送装置は、被搬送体を段積みした状態で把持する把持手段を備え、前記把持手段が前記被搬送体を把持した状態で前記被搬送体を搬送する搬送装置であって、前記把持手段は、前記被搬送体を把持する把持部と、前記把持部により把持する被搬送体を検出する検出部と、を備え、前記把持部は、前記検出部による検出に基づいて前記被搬送体に対する把持動作が制御され、前記被搬送体の角部に当接して前記被搬送体の角部をガイドするとともに、前記被搬送体の角部を把持することにより前記被搬送体における積み重ねのズレ補正及びズレ防止を行うものである。
【0013】
上記構成では、検出部が被搬送体を検出することにより、把持部の前記被搬送体に対する把持動作が制御されるとともに、把持部が被搬送体における積み重ねのズレ補正及びズレ防止を行う。
【0015】
上記構成では、把持部が被搬送体を把持するとともに、把持部が被搬送体の側面に当接して被搬送体を把持した状態で被搬送体における積み重ねのズレ補正及びズレ防止を行う。
【0016】
さらに、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の搬送装置において、前記把持部は、前記被搬送体に対する移動方向を段階的に変化させることにより前記被搬送体を把持するものである。
【0017】
上記構成では、把持部が、その被搬送体に対する移動方向を段階的に変化させながら被搬送体に接近或いは離間することで被搬送体を把持する。
【0018】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の搬送装置において、前記検出部は、前記被搬送体の一方の側面を検出する第1検出部と、前記被搬送体の他方の側面を検出する第2検出部と、から構成されるものである。
【0019】
上記構成では、2つの検出部(第1及び第2検出部)において、被搬送体を2方向から検出する。
【0020】
さらに、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の搬送装置において、前記被搬送体はワークを収納する搬送容器であり、前記把持部は、前記搬送容器における前記ワークの収納口を覆うように前記搬送容器を把持することにより前記搬送容器に収納されているワークの飛び出しを防止するものである。
【0021】
上記構成では、把持部が被搬送体を把持するとともに、被搬送体を把持した把持部がワークの収納口を覆うことで被搬送体に収納されているワークの飛び出しを防止する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の搬送装置によれば、被搬送体を把持する把持部が被搬送体における積み重ねのズレ補正及びズレ防止を行うため、搬送装置側、或いは被搬送体側に別途ズレ補正機構及びズレ防止機構を設ける必要がない。そのため、簡単な装置構成によりズレ補正及びズレ防止を行うことができ、また、段積みされた被搬送体を充分に把持(保持)することができる。また、被搬送体側に別途ズレ補正機構及びズレ防止機構を設けることができない被搬送体であっても段積みされた状態で搬送することができる。さらに、段積みされた被搬送体を固定部材により固定して積み重ねのズレを防止する必要がないため作業効率が良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る搬送装置の一例である天井搬送車の正面図である。
図2】天井搬送車により搬送されるトレーの斜視図である。
図3】天井搬送車のチャッキング装置の側面断面図である。
図4】(a)から(c)は、天井搬送車の第1チャック縦材及び第2チャック縦材を二段階に分けて移動させる場合の平面概略図、(d)及び(e)は、天井搬送車の第1チャック縦材及び第2チャック縦材を一段階で移動させる場合の平面概略図である。
図5】(a)は、段積みされたトレーを搬送する際の天井搬送車の側面断面図、(b)及び(c)は、段積みされたトレーを搬送する際の天井搬送車の把持部近傍の側面図、(d)は、段積みされたトレーを搬送する際の天井搬送車の正面断面図、(e)及び(f)は、段積みされたトレーを搬送する際の天井搬送車の把持部近傍の正面図である。
図6】(a)は、天井搬送車における把持部の別実施例を示す斜視図、(b)及び(c)は、別実施例に係る把持部においてトレーに対して面ガイド部材を移動させる場合の平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
まず、本発明に係る搬送装置の一例である天井搬送車10について説明する。
図1に示すように、天井搬送車10は、半導体基板等のワーク81に対して所定の処理を行う複数の処理装置(図示せず)に、ワーク81を搬送するためのものである。天井搬送車10は、ワーク81が収納された複数個のトレー80(「被搬送体」の一例)を段積みした状態で把持し、把持した状態で搬送する。
【0025】
図2に示すように、天井搬送車10が搬送するトレー80は、中空の平板状のトレーであり、内部に複数(図2では2つ)のワーク81を収納可能となっている。トレー80は、その長手方向の両端部において開口する収納口82からワーク81を収納可能に構成されている。
【0026】
[天井搬送車10]
図1に示すように、天井搬送車10は、設備の天井90近くに設けられた走行レール91に対して吊下げられた状態で取り付けられ、走行レール91に沿って移動可能に構成されている。天井搬送車10は、移動車11と、昇降駆動部12と、チャッキング装置20(「把持手段」の一例)と、から主に構成されている。
【0027】
移動車11は、天井90に固定して取り付けられた走行レール91に沿って走行可能に構成されている。移動車11は、走行レール91に沿って走行するための走行推力を発生するリニアモータ式の走行車体13と、走行車体13に対して連結され、昇降駆動部12を支持する支持部14と、から主に構成されている。なお、走行車体13は、リニアモータ式の走行車体に限定されるものではなく、クリーンルーム等のクリーン度が要求される空間で走行可能な方式の走行車体であれば構わない。
【0028】
昇降駆動部12は、チャッキング装置20を吊り下げた状態で昇降する部分であり、移動車11の下端部に取り付けられる。昇降駆動部12は、複数本の昇降ベルト15を有し、複数本の昇降ベルト15を同時に巻き取り及び巻き出しできるように構成されている。複数本の昇降ベルト15の巻き取り及び巻き出しを行うことで、昇降ベルト15により吊り下げ支持されたチャッキング装置20が略水平姿勢を維持しながら昇降操作される。
【0029】
[チャッキング装置20]
チャッキング装置20は、段積みされたトレー80を把持する装置であり、昇降駆動部12に取り付けられる。チャッキング装置20は、段積みされた最下段のトレー80の底部からトレー80を包み込む(掬う)ように、トレー80を把持する。チャッキング装置20は、トレー80を把持する把持部21と、把持部21を駆動する駆動部22と、トレー80を検出するセンサ23(「検出部」の一例)と、から主に構成されている。
【0030】
[把持部21]
図1から図3に示すように、把持部21は、チャッキング装置20の上下方向に延設され、段積みされた最下段のトレー80の底部からトレー80を包み込む(掬う)ようにトレー80を搬送可能に保持する部分、すなわち、トレー80を把持する部分である。把持部21は、上下方向に延設される複数(図1では3本)のチャック縦材(チャック縦材24・25・26)により構成され、複数のチャック縦材によってトレー80を把持する。なお、把持部21を3本のチャック縦材(チャック縦材24・25・26)により構成することで、トレー80の重量が各チャック縦材(チャック縦材24・25・26)の受け部分(受け部分28・30)に確実に乗り、トレー80をより安定して把持することができる。
【0031】
第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25は、トレー80を把持する際にトレー80の角部に配置される角ガイド部材である。第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25は、段積みされたトレー80の側面に当接されることによりトレー80の角部を把持するとともに、トレー80の角部をガイドする部材である。第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25は、トレー80の角部に当接されるアーム部分27と、アーム部分27の一端部に形成され段積みされた最下段のトレー80の底面を受ける受け部分28と、から構成される。
【0032】
アーム部分27は、トレー80の角部の形状に合わせて2枚の板状部材27aを略L字形状に接合して形成される部分である。アーム部分27は、把持部21によってトレー80を把持する際に、トレー80の角部に当接する。アーム部分27がトレー80の角部に当接することで、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25が第3チャック縦材26とともにトレー80の側面を把持可能な状態となる。また、アーム部分27がトレー80の角部に当接することで、トレー80における積み重ねのズレ補正及びズレ防止が可能となる。
【0033】
さらに、アーム部分27がトレー80の角部に当接することで、アーム部分27がトレー80の収納口82の一端を上下方向に覆う状態(トレー80の収納口82の一部が閉じた状態)となる。すなわち、アーム部分27がトレー80内に収納されているワーク81の収納口82からの飛び出しを防止する状態となる。具体的には、図2に示すように、アーム部分27を形成する一方の板状部材27aの平面部分がトレー80の収納口82における開口部分の片側端部を覆うことで(板状部材27aの平面部分を収納口82の開口面の片側端部に当接させることで)、トレー80の収納口82の開口部分を狭くし、収納口82から飛び出そうとするワーク81を板状部材27aの平面部分により係止可能な状態とする。
また、アーム部分27がトレー80の角部に当接することで、収納口82から飛び出そうとするワーク81をトレー80の内部へ押し込むことが可能となるため、トレー80内におけるワーク81のズレ補正及びズレ防止が可能となる。
【0034】
このように、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25のアーム部分27は、トレー80の側面(角部)を把持する機能を有するとともに、トレー80における積み重ねのズレ補正及びズレ防止を行う機能、及びトレー80内に収納されているワーク81の収納口82からの飛び出しを防止する機能を有する。
【0035】
図1及び図3に示すように、受け部分28は、段積みされた最下段のトレー80の底面が載置可能な板状部材をアーム部分27の板状部材27aの一端面に略垂直方向に接合して形成される部分である。受け部分28は、把持部21によってトレー80を把持する際に、段積みされた最下段のトレー80の角部の底面に当接し、トレー80を受ける。
【0036】
第3チャック縦材26は、トレー80を把持する際にトレー80の長手方向における一方の側板の中央部に配置される面ガイド部材である。すなわち、第3チャック縦材は、段積みされたトレー80の側面に当接されることによりトレー80の側板を把持するとともに、トレー80の側板をガイドする部材である。具体的には、第3チャック縦材26は、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25が配置される角部を両端部に有するトレー80の側板と対向する側板の中央部に配置される。第3チャック縦材26は、トレー80の側板の側面に当接されるアーム部分29と、アーム部分29の一端部に形成され段積みされた最下段のトレー80の底面を受ける受け部分30と、から構成される。
【0037】
アーム部分29は、トレー80の側板の側面に当接可能な板状部材により形成される。アーム部分29は、把持部21によってトレー80を把持する際に、トレー80の長手方向における一方の側板の中央側面に当接する。これにより、第3チャック縦材26が第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25とともにトレー80の側面を把持可能な状態となる。また、トレー80における幅方向の積み重ねのズレ補正及びズレ防止が可能となる。
【0038】
受け部分30は、段積みされた最下段のトレー80の底面を載置可能な板状部材をアーム部分29の板状部材の一端面に略垂直方向に接合して形成される部分である。受け部分30は、把持部21によってトレー80を把持する際に、段積みされた最下段のトレー80の長手方向における一方の側板中央部の底面に当接し、トレー80を受ける。
【0039】
[駆動部22]
図1及び図3に示すように、駆動部22は、把持部21の各チャック縦材24・25・26を移動させるものであり、把持部21の上部に設けられる。駆動部22は、モータ31・32と、スライド部材40・41・42と、から主に構成されている。
【0040】
第1モータ31は、各チャック縦材24・25・26をトレー80の長手方向と直交する方向(図3の矢印B方向)に移動させるモータである。第1モータ31には第1軸33が接続され、第1モータ31が作動することで第1軸33が回動する。
第1軸33はボールねじにより形成され、途中に挿通される第1ナット部材34及び第2ナット部材35の部分で逆方向にネジが切られている。すなわち、第1軸33は、第1軸33を回動させた際に、第1ナット部材34及び第2ナット部材35が第1軸33上で互いに接近し或いは離間するように形成される。
【0041】
第2モータ32は、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25をトレー80の長手方向(図1の矢印A方向)に移動させるモータである。第2モータ32には第2軸36が接続され、第2モータ32が作動することで第2軸36が回動する。
第2軸36には第3軸37が接続され、第2軸36が回動することで第3軸37が回動する。
第3軸37はボールねじにより形成され、途中に挿通される第3ナット部材38及び第4ナット部材39の部分で逆方向にネジが切られている。すなわち、第3軸37は、第3軸37を回動させた際に、第3ナット部材38及び第4ナット部材39が第3軸37上で互いに接近し或いは離間するように形成される。
【0042】
第1スライド部材40は、第3チャック縦材26をトレー80の長手方向と直交する方向(図3の矢印B方向)に移動させるための部材である。第1スライド部材40は、第3チャック縦材26を支持する第1ガイド部43と、第1ガイド部43をスライドさせるための第1ガイドレール44と、から構成される。
【0043】
第2スライド部材41は、第1チャック縦材24或いは第2チャック縦材25をトレー80の長手方向と直交する方向(図3の矢印B方向)に移動させるための部材である。第2スライド部材41は、第1チャック縦材24或いは第2チャック縦材25を支持する第2ガイド部45と、第2ガイド部45をスライドさせるための第2ガイドレール46と、から構成される。
【0044】
第3スライド部材42は、第1チャック縦材24或いは第2チャック縦材25をトレー80の長手方向(図1の矢印A方向)に移動させるための部材である。第3スライド部材42は、第1チャック縦材24或いは第2チャック縦材25を支持する第3ガイド部47と、第3ガイド部47をスライドさせるための第3ガイドレール48と、から構成される。
【0045】
天井搬送車10においては、第2スライド部材41の上部に第3スライド部材42を配置することにより、すなわち、駆動部22に2つのスライド部材を上下方向に配置することにより、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25を2方向(図1の矢印A方向及び図3の矢印B方向)に移動可能としている。
【0046】
[センサ23]
図1及び図3に示すように、センサ23は、各チャック縦材24・25・26の下端部(受け部分28側)に設けられ、把持部21により把持されるトレー80を検出する。センサ23の検出結果は検出信号として図示しない制御部に送信される。そして、制御部は、センサ23からの検出信号に基づいて、トレー80に対する各チャック縦材24・25・26の把持動作を制御する。
センサ23は、静電容量型近接センサにより構成される。なお、センサ23の方式は、静電容量型のセンサに限定されるものではなく、トレー80の材質、色等によって方式を選択するため、例えば、光学式或いは直接接触式のセンサであっても構わない。また、センサ23は、各チャック縦材24・25・26の下端部に設けられているが、これに限定されるものではなく、段積みされたトレー80が検出可能な位置であれば、例えば、各チャック縦材24・25・26の中央部或いは上端部に設けても構わない。
【0047】
さらに、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25の下端部に設けられるセンサ23は、トレー80の一方の壁板(トレー80の長手方向に形成される壁板)を検出する第1センサ23a(「第1検出部」の一例)と、第1センサ23aが検出する壁板に対して垂直に形成される壁板(トレー80の長手方向と直交する方向に形成される壁板)を検出する第2センサ23b(「第2検出部」の一例)と、から構成される。すなわち、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25には、トレー80の検出位置(検出方向)の異なる2台のセンサが設けられ、トレー80を異なる2方向から検出する。
【0048】
第1センサ23aは、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25をトレー80の長手方向と直交する方向(図3の矢印B方向)に移動させる際に、トレー80の長手方向に形成される壁板を検出する。
【0049】
第2センサ23bは、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25をトレー80の長手方向(図1の矢印A方向)に移動させる際に、トレー80の長手方向と直交する方向に形成される壁板を検出する。
【0050】
なお、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25の下端部に設けられるセンサ23は、2台のセンサ(第1センサ23a及び第2センサ23b)により構成されているが、これに限定されるものではなく、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25の移動に応じて、段積みされたトレー80を検出可能であれば、1台のセンサにより構成しても構わない。
【0051】
[各チャック縦材24・25・26の把持動作]
次に、各チャック縦材24・25・26の把持動作について説明する。
図4(a)に示すように、天井搬送車10においては、まず、各チャック縦材24・25・26を段積みされたトレー80の長手方向と直交する方向(矢印C方向、トレー80の幅方向)に移動させてトレー80の長手方向の側板を把持し、次に、図4(b)に示すように、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25をトレー80の長手方向(矢印D方向)に移動させてトレー80の幅方向の側板を把持する。すなわち、天井搬送車10においては、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25は、トレー80に対する移動方向を2方向に段階的に変化させながら、トレー80の角部を把持する。これは、図4(d)に示すように、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25を第3チャック縦材26の移動に合わせて一段階で移動させると、トレー80の形状或いは大きさによって、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25がトレー80に引っ掛かり、トレー80を把持することができない場合があるためである(図4(e)参照)。このように、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25を二段階に分けて移動させることにより、形状或いは大きさの異なるトレー80が混在した場合であっても、各チャック縦材24・25・26がトレー80に引っ掛かることなく、把持部21によりトレー80を把持することができる。具体的には、以下のように動作する。
【0052】
図3に示すように、第1モータ31が作動すると、第1軸33が回動し、第1ナット部材34が第1軸33の中央部に向けて移動する。第1ナット部材34が移動することにより、第1ナット部材34に固定された第1スライド部材40の第1ガイド部43が第1ガイドレール44に沿ってスライドする。これにより、第1ガイド部43により支持される第3チャック縦材26がトレー80の長手方向と直交する方向(図3の矢印B方向、トレー80の幅方向)にトレー80と接近するように(トレー80の側板を把持するように)移動する。
【0053】
また一方で、第1モータ31が作動し、第1軸33が回動すると、第2ナット部材35が第1軸33の中央部に向けて移動する。第2ナット部材35が移動することにより、第2ナット部材35に固定された第2スライド部材41の第2ガイド部45が第2ガイドレール46に沿ってスライドする。これにより、第2ガイド部45により支持される第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25がトレー80の幅方向(図3の矢印B方向)にトレー80と接近するように移動する。なお、第2モータ32についても第2ガイド部45がスライドすることよりトレー80の幅方向(図3の矢印B方向)に移動する。
【0054】
第1モータ31の作動により、各チャック縦材24・25・26がトレー80に向けて移動すると、各チャック縦材24・25・26に設けられるセンサ23(第1センサ23a)がトレー80有無を検出する。具体的には、センサ23の検出結果から各チャック縦材24・25・26とトレー80との距離を検出する。センサ23は、検出結果を検出信号として図示しない制御部に送信する。制御部は、センサ23からの検出信号に基づいて各チャック縦材24・25・26とトレー80の距離(位置関係)を判断し、第1モータ31の作動を制御することで、各チャック縦材24・25・26の移動を制御する。制御部は、センサ23が所定位置、すなわち、各チャック縦材24・25・26とトレー80の壁板が接する位置においてトレー80を検出すると、第1モータ31の駆動を停止して、各チャック縦材24・25・26の移動を停止する。
【0055】
次に、図1及び図3に示すように、第2モータ32が作動すると、第2軸36が回動し、引き続いて第3軸37が回動する。第3軸37が回動することにより、第3ナット部材38及び第4ナット部材39が互いに接近するように第3軸37の中央部に向けて移動する。そして、第3ナット部材38及び第4ナット部材39のそれぞれが固定された第3スライド部材42の第3ガイド部47が第3ガイドレール48に沿ってスライドする。これにより、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25が、互いに接近するようにトレー80の長手方向(図1の矢印B方向)に移動し、トレー80の角部を把持しようとする。
【0056】
第2モータ32の作動により、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25がトレー80に向けて移動すると、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25に設けられるセンサ23(第2センサ23b)がトレー80を検出し、検出結果を検出信号として図示しない制御部に送信する。制御部は、センサ23(第2センサ23b)からの検出信号に基づいて第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25とトレー80の距離(位置関係)を判断し、第2モータ32の作動を制御することで、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25の移動を制御する。制御部は、センサ23(第2センサ23b)が所定位置、すなわち、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25とトレー80の壁板が接する位置においてトレー80を検出すると、第2モータ32の駆動を停止して、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25の移動を停止する。
【0057】
以上のように、天井搬送車10においては、各チャック縦材24・25・26に設けられるセンサ23によって、各チャック縦材24・25・26とトレー80の距離を検出しながら、各チャック縦材24・25・26の移動を制御することで、各チャック縦材24・25・26がトレー80を把持する位置をトレー80の形状或いは大きさに合わせて自在に変更できるため、形状或いは大きさが異なるトレー80を随時搬送する場合であっても、個々のトレー80の形状或いは大きさに合わせて各チャック縦材24・25・26を移動することができる。そのため、トレー80の形状或いは大きさに合わせて天井搬送車10の構造(例えば、各チャック縦材24・25・26の構造)を変える必要がなく、同一の装置構造おいてトレー80に対する各チャック縦材24・25・26の把持する位置を変更するのみで、様々な形状或いは大きさのトレー80を搬送することができる。
【0058】
また、天井搬送車10においては、各チャック縦材24・25・26が段積みされたトレー80の側面(角部)に当接した状態でトレー80を把持することから、トレー80における積み重ねのズレ防止を行うことができる。また、被搬送体側に別途ズレ防止機構を設けることができない被搬送体であっても段積みされた状態で搬送することができる。
【0059】
さらに、天井搬送車10においては、トレー80を把持するための第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25によりワーク81の飛び出しを防止できることから、簡単な装置構成によりトレー80内のワーク81の飛び出しを防止できる。
【0060】
さらにまた、天井搬送車10においては、トレー80の検出位置(検出方向)の異なる2台のセンサ(第1センサ23a及び第2センサ23b)によりトレー80を検出しながら、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25のトレー80に対する移動方向を段階的に変化させることから、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25は、トレー80に引っ掛かることなくトレー80を把持することができる。
【0061】
[トレー80の積み重ねのズレ補正]
次に、天井搬送車10におけるトレー80の積み重ねのズレ補正について説明する。
図5(a)及び(d)に示すように、天井搬送車10により搬送されるトレー80は、それぞれがトレー80の長手方向或いは幅方向(長手方向と直交する方向)にズレた状態で段積みされる場合がある。このような場合、天井搬送車10においては、図5(a)に示すように、まず、各チャック縦材24・25・26をトレー80の幅方向(矢印D方向)に移動させることにより、トレー80の幅方向におけるトレー80のズレを補正する。具体的には、図5(b)に示すように、各チャック縦材24・25・26をトレー80の長手方向の側面に当接させながら、各チャック縦材24・25・26を矢印D方向に移動させる。これにより、ズレた状態のトレー80が矢印D方向に押され、段積みされたトレー80の幅方向におけるズレが補正される。
【0062】
次に、図5(d)に示すように、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25をトレー80の長手方向(矢印E方向)に移動させることにより、トレー80の長手方向におけるズレを補正する。具体的には、図5(e)に示すように、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25をトレー80の幅方向の側面に当接させながら、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25を矢印E方向に移動させる。これにより、ズレた状態のトレー80が矢印E方向に押され、段積みされたトレー80の長手方向におけるズレが補正される。
【0063】
また、図5(d)に示すように、段積みされるトレー80の一部は、トレー80内に収納されるワーク81がトレー80から飛び出した状態で収納されているものがある。そこで、天井搬送車10においては、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25をトレー80の長手方向(矢印E方向)に移動させることにより、トレー80から飛び出した状態のワーク81のズレを補正する。具体的には、図5(e)に示すように、第1チャック縦材24或いは第2チャック縦材25を飛び出した状態のワーク81の側面に当接させながら、第1チャック縦材24及び第2チャック縦材25を矢印E方向に移動させる。これにより、飛び出した状態のワーク81が矢印E方向に押され、飛び出した状態のワーク81がトレー80内に収納される。
【0064】
このように、天井搬送車10においては、各チャック縦材24・25・26がトレー80及びワーク81の側面に当接した状態でトレー80を把持することにより、トレー80及びワーク81のズレの補正を行うことができる。すなわち、各チャック縦材24・25・26は、トレー80を把持する把持機能を有するとともに、トレー80及びワーク81のズレ補正機能を有する。そのため、天井搬送車10側にズレ補正機構を設ける必要がなく、簡単な装置構成によりトレー80及びワーク81のズレ補正を行うことができる。
【0065】
以上のように、天井搬送車10によれば、トレー80を把持する各チャック縦材24・25・26がトレー80における積み重ねのズレ補正及びズレ防止を行うため、天井搬送車10側、或いはトレー80側に別途ズレ補正機構及びズレ防止機構を設ける必要がない。そのため、簡単な装置構成によりズレ補正及びズレ防止を行うことができ、また、段積みされたトレー80を充分に把持(保持)することができる。また、トレー80側に別途ズレ補正機構及びズレ防止機構を設けることができないトレー80であっても段積みされた状態で搬送することができる。さらに、段積みされたトレー80を固定部材により固定して積み重ねのズレを防止する必要がないため作業効率が良い。
【0066】
なお、天井搬送車10においては、把持部21を3本のチャック縦材(チャック縦材24・25・26)により構成しているが、これに限定されるものではなく、図6に示すように、4本の面ガイド縦材26Aによりトレー80の各側板の中央部を把持する構成としても構わない。ここで、面ガイド縦材26Aは、第3チャック縦材26と同様に、トレー80の側板の側面に当接可能な板状部材により形成されるアーム部分29Aと、段積みされた最下段のトレー80の底面を載置可能な板状部材をアーム部分29Aの板状部材の一端面に略垂直方向に接合して形成される受け部分30Aと、から構成される。
【0067】
この場合においては、図6(b)及び(c)に示すように、4本の面ガイド縦材26Aを同時に(一段階で)トレー80に接近させる方向へ移動させることにより、各面ガイド縦材26Aをトレー80の各側板の中央部において把持可能な状態とする。
【0068】
また、この場合においては、図6(a)に示すように、面ガイド縦材26Aのアーム部分29Aがトレー80の側面に当接することで、トレー80における積み重ねのズレ補正及びズレ防止を行う。さらに、アーム部分29Aがトレー80の収納口82の中央部を上下方向に覆う(トレー80の収納口82の中央部を閉じる)ことで、トレー80内に収納されているワーク81の収納口82からの飛び出しを防止する。
【0069】
さらにまた、本実施の形態においては、搬送装置を天井走行形式の天井搬送車10としているが、これに限定されるものではなく、例えば、床走行形式の走行車本体にチャッキング装置20を設けた搬送装置としても構わない。この場合、走行車本体に旋回自在に設けた旋回テーブルに上下方向に回動自在に取り付けられたアーム部材に対してチャッキング装置20を取り付ける構成とする。
【0070】
さらにまた、本実施の形態においては、把持部21の各チャック縦材24・25・26を、駆動部22のような構成(モータ31・32、スライド部材40・41・42等)により移動させているが、駆動部22のような構成の駆動部に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0071】
10 天井搬送車(搬送装置)
20 チャッキング装置(把持手段)
21 把持部
23 センサ(検出部)
23a 第1センサ(第1検出部)
23b 第2センサ(第2検出部)
80 トレー(被搬送体、搬送容器)
81 ワーク
82 収納口
図1
図2
図3
図4
図5
図6