特許第6191578号(P6191578)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6191578ワイヤレス給電装置およびワイヤレス給電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6191578
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】ワイヤレス給電装置およびワイヤレス給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20170828BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20170828BHJP
【FI】
   H02J50/10
   H02J50/90
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-217932(P2014-217932)
(22)【出願日】2014年10月27日
(65)【公開番号】特開2016-86530(P2016-86530A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2016年4月4日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 史生
(72)【発明者】
【氏名】山口 佐利
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−186909(JP,A)
【文献】 特開平11−176675(JP,A)
【文献】 特開平08−148360(JP,A)
【文献】 特開2012−248747(JP,A)
【文献】 特開2008−061002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00−50/90
H01F 38/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インダクタンスを有し、複数の矩形状部を有する給電用の2つのループ状導体と、
直流電圧を入力し、交流電圧に変換して前記2つのループ状導体に印加するインバータ回路と、
前記2つのループ状導体のいずれかの一端と前記インバータ回路の少なくとも一端との間に接続されるキャパシタと、
前記2つのループ状導体が形成する面のうち受電装置の対向面とは反対側の面を覆う金属層と、を備え、
一方の前記ループ状導体は、少なくとも一部が前記一方のループ状導体のループ形成範囲の周囲よりも内側に凹む凹部を有し、全長が前記ループ形成範囲の周囲よりも長く、
前記一方のループ状導体の前記凹部には、他方の前記ループ状導体の前記矩形状部が位置し、
前記一方のループ状導体と前記他方のループ状導体とは、前記一方のループ状導体の前記凹部に流れる電流と、前記他方のループ状導体の前記矩形状部に流れる電流とが同じ向きになるように、並列接続または直列接続される、
ことを特徴とする、ワイヤレス給電装置。
【請求項2】
前記金属層は、アルミニウム、銅、黄銅、青銅、亜鉛のいずれかで構成される、請求項1に記載のワイヤレス給電装置。
【請求項3】
前記金属層と前記ループ状導体との間隔は、前記ループ状導体の導体間の中央から前記ループ状導体までの距離のうちの最大距離に実質的に等しい、請求項1または2に記載のワイヤレス給電装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれかに記載のワイヤレス給電装置と、前記ワイヤレス給電装置と磁界結合して電力を受電する受電装置と、で構成される、ワイヤレス給電システム。
【請求項5】
前記金属層から前記ループ状導体までの高さをd1、前記ループ状導体から前記受電装置の受電コイルまでの距離をd2、でそれぞれ表すと、d1≧d2の関係である、請求項に記載のワイヤレス給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受電装置に対して電力をワイヤレスで給電するワイヤレス給電装置と、ワイヤレス給電システムに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
磁界結合により電力を給電するワイヤレス給電システムは、例えば携帯機器に内蔵されるバッテリの充電のために利用される。
【0003】
磁界結合方式によるワイヤレス給電システムは、ワイヤレス給電装置と受電装置とで構成される。ワイヤレス給電装置は、給電コイルとこの給電コイルに高周波電流を通電する給電回路とを備える。受電装置は、給電コイルに流れる電流によって生じた磁界に鎖交する受電コイルと、この受電コイルに生じる電流を整流平滑する受電回路とを備える。(特許文献1,2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−268823号公報
【特許文献2】国際公開2014/057959号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、給電側コイルの周囲を非磁性のケーシングで覆うことが記載されている。しかし、基本的にフェライトコアを有するトランスを用いる非接触給電装置であり、1次コアと2次コアとを正確に対向させる必要がある。
【0006】
一方、特許文献2に示されるワイヤレス給電装置の構成を利用して、給電コイルを空中に配置せずに、給電コイルを備える「給電台」として机等に載置して使用する場合、給電台が載置される対象物に金属部があると(例えば金属製の机に給電台を載置して使用すると)、給電コイルにより発生される磁界によって、金属部に渦電流が流れる。この渦電流により熱損失(ジュール損)が生じる。すなわち、電力伝送効率が低下する。
【0007】
本発明は、上記事情を考慮して構成されたものであり、載置台等に誘導される渦電流を抑制して電力伝送効率を高めたワイヤレス給電装置およびワイヤレス給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明のワイヤレス給電装置は、
インダクタンスを有する給電用のループ状導体と、
直流電圧を入力し、交流電圧に変換して前記ループ状導体に印加するインバータ回路と、
前記ループ状導体の一端と前記インバータ回路の少なくとも一端との間に接続されるキャパシタと、
前記ループ状導体が形成する面のうち受電装置の対向面とは反対側の面を覆う金属層と、を備える、
ことを特徴とする。
【0009】
ループ状導体の、受電装置とは反対側の面が金属層で覆われることで、給電装置を載置する対象物(机など)の材質による、電力伝送効率への影響を受け難くできる。
【0010】
(2)前記金属層は、アルミニウム、銅、黄銅、青銅、亜鉛のいずれかで構成されることが好ましい。このように、前記金属層が、比透磁率が低く且つ比抵抗の小さい金属であることにより、渦電流損が抑制されて電力伝送効率の低下を防ぐことができる。また、載置対象物の材質に左右され難くなり、LC共振回路の共振周波数が一定に保たれ、そのことで電力伝送効率の低下が抑えられる。
【0011】
(3)上記(1)または(2)において、前記金属層と前記ループ状導体との間隔は、前記ループ状導体の導体間の中央(単純にはループ開口の中央)から前記ループ状導体までの距離のうちの最大距離に実質的に等しい関係であることが好ましい。このことにより、給電装置を載置する対象物(机など)からのループ状導体の高さを必要以上に高くすることなく、渦電流を抑制できる。
【0012】
(4)上記(1)〜(3)において、
前記ループ状導体は、少なくとも一部が前記ループ状導体のループ形成範囲の周囲より内側に凹む凹部を有し、全長が前記給電範囲の周囲長よりも長いことが好ましい。このことにより、ループ状導体の導体間の中央からループ状導体までの距離が短くなって、給電装置を載置する対象物(机など)からのループ状導体の高さを低くできる。
【0013】
(5)本発明のワイヤレス給電システムは、上記(1)〜(4)に記載のワイヤレス給電装置と磁界結合して電力を受電する受電装置と、で構成される。
【0014】
(6)上記(5)において、
前記金属層から前記ループ状導体までの高さをd1、前記ループ状導体から前記受電装置の受電コイルまでの距離をd2、でそれぞれ表すと、d1≧d2の関係であることが好ましい。この構成により、金属層に誘導される渦電流が抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ループ状導体の、受電装置とは反対側の面が金属層で覆われることで、給電装置を載置する対象物の材質による、電力伝送効率への影響を受け難くできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1(A)は第1の実施形態に係るワイヤレス給電装置101および受電装置200の主要部の構成を示す平面図であり、図1(B)はその正面図である。
図2図2は第1の実施形態のワイヤレス給電装置と受電装置とを含むワイヤレス給電システムについて示す図である。
図3図3はワイヤレス給電装置101の回路図である。
図4図4は受電装置200の回路図である。
図5図5は、第2の実施形態に係るワイヤレス給電装置のループ状導体の構成を示す図である。図5(A)は給電用ループ状導体11A,11Bおよび受電装置の受電コイル21との位置関係の例を示す図であり、図5(B)は図5(A)におけるA−A部分の断面図である。
図6図6(A)(B)は、給電用ループ状導体11A,11Bを分離して表した平面図である。
図7図7は第3の実施形態に係るワイヤレス給電装置102の回路図である。
図8図8(A)は給電用ループ状導体11のうち、ミアンダ形状部の一部と受電コイル21との結合について示す平面図である。図8(B)はその正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付す。第2の実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点について説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0018】
《第1の実施形態》
図1(A)は第1の実施形態に係るワイヤレス給電装置101および受電装置200の主要部の構成を示す平面図であり、図1(B)はその正面図である。
【0019】
ワイヤレス給電装置101は載置対象物(机など)300に載置される。ワイヤレス給電装置101は給電用ループ状導体(以降、単に「ループ状導体」)11を備え、受電装置200は受電コイル21を備える。受電装置200はワイヤレス給電装置101の上面に載置される。その状態で、受電装置200の受電コイル21はワイヤレス給電装置101のループ状導体11に対向する。
【0020】
ループ状導体11は、本実施形態では1ターンの矩形ループ状である。受電コイル21も、本実施形態では1ターンの矩形ループ状である。いずれも、複数ターンのループ状のコイルであってもよい。
【0021】
ワイヤレス給電装置101は、ループ状導体11が形成する面のうち受電装置200とは反対側の面を覆う金属層14を備える。すなわち、金属層14は、ループ状導体11による給電範囲の裏面の全域を覆う。この金属層14は、アルミニウム、銅、黄銅、青銅、亜鉛等の、比透磁率が低く、且つ比抵抗が小さい金属材料で構成される。
【0022】
ループ状導体11により発生される磁束φは受電コイル21と鎖交する。このことにより、ループ状導体11と受電コイル21は磁界結合する。ここで、金属層14の金属材料を比透磁率が低く比抵抗の小さい金属とすることで、金属層14に誘導される渦電流損が最小限に抑えられ、電力伝送効率の低下を防ぐことができる。また、比透磁率が低い所定厚みの金属層が載置対象物(机など)300との間に介在することにより、載置対象物300の材質に左右されず、LC共振回路の共振周波数を一定に保てることで、電力伝送効率の低下を抑えることができる。
【0023】
なお、上述したアルミニウム、銅、黄銅、青銅、亜鉛に含まれる残留不可避元素や、物性を大きく異ならせることがない程度の他の微量な元素が含まれていても同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0024】
図1(B)に示す例では、金属層14とループ状導体11との間隔は、ループ状導体11のうち、互いに対向する導体間の中央(矩形ループの中央)からループ状導体11までの距離のうちの最大距離rに実質的に等しい。このことにより、ループ状導体11により発生される磁界により金属層14に誘導される渦電流は十分に抑制される。すなわち、載置対象物300からのループ状導体11の高さを必要以上に高くすることなく、渦電流を抑制できる。
【0025】
図2は本実施形態のワイヤレス給電装置と受電装置とを含むワイヤレス給電システムについて示す図である。図2(A)は、受電コイル21、ループ状導体11および金属層14の位置関係を示す概略斜視図、図2(B)(C)は、受電コイル21、ループ状導体11および金属層14の位置関係を示す正面図である。
【0026】
図2(B)に示されるように、金属層14からループ状導体11までの高さをd1、ループ状導体11から受電コイル21までの距離をd2、でそれぞれ表すと、d1≧d2の関係であると、ループ状導体11により発生される磁束φが金属層14に達しない範囲で周回する磁束のループ内に受電コイル21が位置することになる。そのため、金属層14に生じる渦電流の影響を受け難い状態で、受電コイル21はループ状導体11と磁界結合する。
【0027】
一方、図2(C)に示されるように、d1<d2の関係であると、ループ状導体11により発生される磁束のうち金属層14に達する磁束φのループ内に受電コイル21が位置することになる。そのため、金属層14に生じる渦電流の影響を大きく受ける状態で、受電コイル21はループ状導体11と磁界結合する。
【0028】
このように、金属層14からループ状導体11までの高さd1を、ループ状導体11から受電コイル21までの距離をd2より高くしておくことで、金属層に誘導される渦電流は抑制される。
【0029】
図3はワイヤレス給電装置101の回路図である。このワイヤレス給電装置101は、インバータ回路13、直流電源9、ループ状導体11およびキャパシタ12の直列回路を備える。ループ状導体11とキャパシタ12とでLC共振回路が構成される。インバータ回路13はハイサイドスイッチQ1、ローサイドスイッチQ2、これらをオン・オフ制御するコントローラ/ドライバ回路を備えている。コントローラ/ドライバ回路はハイサイドスイッチQ1およびローサイドスイッチQ2を上記LC共振回路の共振周波数で交互にオン・オフする。これにより共振型インバータ回路として作用し、ループ状導体11に流れる電流によって交番磁界が発生する。
【0030】
図4は受電装置200の回路図である。受電コイル21とキャパシタ22とでLC共振回路が構成される。このLC共振回路の共振電圧がダイオードDおよびキャパシタC1により整流平滑され、レギュレータ回路REGおよびキャパシタC2で定電圧化され、負荷へ供給される。
【0031】
《第2の実施形態》
図5は、第2の実施形態に係るワイヤレス給電装置のループ状導体の構成を示す図である。図5(A)はループ状導体11A,11Bおよび受電装置の受電コイル21との位置関係の例を示す図であり、図5(B)は図5(A)におけるA−A部分の断面図である。また、図6(A)(B)は、ループ状導体11A,11Bを分離して表した平面図である。ループ状導体11Aは全体で1つのループ状導体であるが、3つの矩形状部を備える。同様に、ループ状導体11Bは全体で1つのループ状導体であるが、3つの矩形状部を備える。
【0032】
2つのループ状導体11A,11Bは並列接続または直列接続されて、インバータ回路に接続される。インバータ回路から出力される電流の或る半サイクルのタイミングで、ループ状導体11A,11Bに、図6(A)(B)に示される向きに電流が流れると、それによって、図5(A)(B)に示すような磁束φが生じる。図5(A)において、磁束の向きはドット記号とクロス記号で表される。ループ状導体11A,11Bに受電コイル21が対向することによって、ループ状導体11A,11Bと受電コイル21とは磁界結合する。
【0033】
ループ状導体11Aは、少なくとも一部がループ状導体11Aのループ形成範囲の周囲より内側に凹む凹部DPを有し、全長が前記給電範囲の周囲長よりも長い。これにより、ループ状導体11Aを構成する複数の導体部のうち、或る導体部からそれに隣接して対向する導体部までの間隔が狭くなる。そのため、この間隔の中央からそれら導体部までの距離が短くなって、給電装置を載置する対象物(机など)からのループ状導体の高さを低くできる。図5(A)(B)に示される例では、導体部11A2からそれに隣接して対向する導体部11A3までの間隔の中央からそれら導体部までの距離rが短くなって、載置対象物300からのループ状導体11Aの高さrを低くできる。上述のことは、ループ状導体11Bに関しても同様である。
【0034】
図5(B)に表されるように、金属層14とループ状導体11Aとの間隔rは、ループ状導体11Aのうち、互いに対向する導体間の中央(矩形状部の中央)からループ状導体11Aまでの距離のうちの最大距離rに実質的に等しい。上述の関係は金属層14とループ状導体11Bとの関係についても同様である。このことにより、ループ状導体11Aにより発生される磁界により金属層14に誘導される渦電流は十分に抑制される。すなわち、載置対象物300に対するループ状導体11A,11Bの必要な高さをより低くして、渦電流を抑制できる。
【0035】
《第3の実施形態》
図7は第3の実施形態に係るワイヤレス給電装置102の回路図である。このワイヤレス給電装置102は、ループ状導体11が形成された絶縁体からなる基板10を備えている。図7に表されるように、ループ状導体11はミアンダ形状部を備えている。その他の構成は第1の実施形態で示したとおりである。
【0036】
図8(A)は上記ループ状導体11のうち、ミアンダ形状部の一部と受電コイル21との結合について示す平面図である。図8(B)はその正面図である。
【0037】
上記給電用ループ状導体11のミアンダ形状部は、長経路部11Lと短経路部11Sの組合せからなる。
【0038】
受電装置200は、受電コイル21、キャパシタ22および受電回路23を含む。受電コイル21とキャパシタ22とでLC共振回路が構成され、その共振周波数はインバータ回路13の駆動周波数、および給電装置側のLC共振回路の共振周波数に等しい。図8(A)において、クロス記号およびドット記号はループ状導体11に流れる電流により生じる磁界の方向を表している。この例では、受電装置200の受電コイル21が形成するループ内に、平面視で2本の長経路部11Lが入る。そのため、受電コイル21は2本の長経路部11Lによる磁束と鎖交して強く結合する。
【0039】
図8(B)に表されるように、金属層14とループ状導体の長経路部11Lとの間隔rは、ループ状導体の長経路部11Lのうち、互いに対向する導体間の中央からループ状導体の長経路部11Lまでの距離のうちの最大距離rに実質的に等しい。このことにより、ループ状導体の長経路部11Lにより発生される磁界により金属層14に誘導される渦電流は十分に抑制される。
【0040】
ループ状導体11は、少なくとも一部がループ状導体11のループ形成範囲の周囲より内側に凹む凹部DPを有し、全長が前記給電範囲の周囲長よりも長い。ことにより、ループ状導体11を構成する複数の長経路部11Lのうち、或る長経路部11Lからそれに隣接して対向する長経路部11Lまでの間隔が狭くなる。そのため、この間隔の中央からそれら長経路部11Lまでの距離が短くなって、給電装置を載置する対象物(机など)からのループ状導体の高さを低くできる。図8(A)(B)に示される例では、長経路部11Lからそれに隣接して対向する導体部長経路部11Lまでの間隔の中央からそれら導体部までの距離rが短くなって、載置対象物300に対するループ状導体11の必要な高さrを低くできる。
【0041】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能であることは明らかである。例えば異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0042】
C1,C2…キャパシタ
D…ダイオード
Q1…ハイサイドスイッチ
Q2…ローサイドスイッチ
REG…レギュレータ回路
9…直流電源
10…基板
11,11A,11B…給電用ループ状導体
11L…長経路部
11S…短経路部
12…キャパシタ
13…インバータ回路
14…金属層
21…受電コイル
22…キャパシタ
23…受電回路
101,102…ワイヤレス給電装置
200…受電装置
300…載置対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8