(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6191690
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】コンデンサ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01G 4/18 20060101AFI20170828BHJP
H01B 7/08 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
H01G4/18 307C
H01B7/08
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-522644(P2015-522644)
(86)(22)【出願日】2014年5月2日
(86)【国際出願番号】JP2014062132
(87)【国際公開番号】WO2014203633
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2015年8月11日
(31)【優先権主張番号】特願2013-126863(P2013-126863)
(32)【優先日】2013年6月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001553
【氏名又は名称】アセンド特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】110001449
【氏名又は名称】特許業務法人プロフィック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 登
【審査官】
田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−114090(JP,A)
【文献】
特開昭52−146858(JP,A)
【文献】
特開2000−077796(JP,A)
【文献】
特開平10−004030(JP,A)
【文献】
特開2000−357631(JP,A)
【文献】
実開昭55−014716(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/18
H01B 7/08
H01B 13/00
H01G 4/16
H01G 4/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1面及び第2面を有するフレキシブル基材と、
前記フレキシブル基材の前記第1面側に設けられ、前記フレキシブル基材の一方端部から他方端部に延設された第1コンデンサ電極と、
前記フレキシブル基材の前記第2面側に設けられ、前記フレキシブル基材の他方端部から一方端部に延設された第2コンデンサ電極と、
前記フレキシブル基材の一方端部であって前記第1コンデンサ電極の端部に設けられた第1接続部と、
前記フレキシブル基材の他方端部であって前記第2コンデンサ電極の端部に設けられた第2接続部と、
を備え、
前記第1接続部及び前記第2接続部は、それぞれ、別体に配置された第1回路要素及び第2回路要素に設けた電気導体に接続されるものであり、
前記第1コンデンサ電極と前記第2コンデンサ電極とは、前記フレキシブル基材を介して対向配置されることでコンデンサ素子を構成し、
前記フレキシブル基材は、前記第1接続部から前記第2接続部までの区間の一部である所定区間を有し、
前記第1コンデンサ電極及び前記第2コンデンサ電極が前記所定区間の全長にわたって設けられ、
前記所定区間においては、前記第1コンデンサ電極と前記第2コンデンサ電極との対向部分がなく、
前記所定区間において、折り曲げられること、
を特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
前記所定区間において、
前記第2コンデンサ電極に開口部が形成され、
前記第1コンデンサ電極にその幅方向の両側に切り欠き部が形成され、
前記開口部は前記第1コンデンサ電極に重なり、
前記切り欠き部は前記第2コンデンサ電極に重なること、
を特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記コンデンサ素子以外の回路素子を含まないこと、を特徴とする請求項1ないし請求項2のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記フレキシブル基材にはビアホール導体を含まないこと、を特徴とする請求項1ないし請求項3に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記第1接続部及び前記第2接続部にコネクタ部材が取り付けられていること、を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記第1コンデンサ電極及び/又は前記第2コンデンサ電極は、前記フレキシブル基材に複数層にわたって延設されており、かつ、該複数層の電極がビアホール導体を介して接続されていること、を特徴とする請求項1ないし請求項2のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記フレキシブル基材の少なくとも一方端部が折り返されていること、を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記フレキシブル基材の一方端部又は他方端部が(2n+1)回折り返されており、他方端部又は一方端部が2n回折り返されていること(但しnは0、又は正の整数である)、を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記フレキシブル基材の一方端部及び他方端部はそれぞれ同じ回数だけ折り返されていること、を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項10】
前記フレキシブル基材は、その中央部で折り返されていること、を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項11】
前記フレキシブル基材が折り返された部分に接着層が介在されていること、を特徴とする請求項7ないし請求項10のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項12】
前記フレキシブル基材の一方端部及び/又は他方端部に補強板が配置されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項13】
前記第1コンデンサ電極は前記第1面のほぼ全面に形成され、前記第2コンデンサ電極は前記第2面のほぼ全面に形成されていること、を特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項14】
前記フレキシブル基材を介して対向配置された前記第1コンデンサ電極及び前記第2コンデンサ電極が複数対設けられていること、を特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項15】
前記第1コンデンサ電極又は前記第2コンデンサ電極のいずれか一方において、幅寸法を他の領域よりも小さくした領域を有すること、を特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項16】
互いに対向する第1面及び第2面を有するフレキシブル基材と、
前記フレキシブル基材の前記第1面側に設けられ、前記フレキシブル基材の一方端部から他方端部に延設された第1コンデンサ電極と、
前記フレキシブル基材の前記第2面側に設けられ、前記フレキシブル基材の他方端部から一方端部に延設された第2コンデンサ電極と、
前記フレキシブル基材の一方端部であって前記第1コンデンサ電極の端部に設けられた第1接続部と、
前記フレキシブル基材の他方端部であって前記第2コンデンサ電極の端部に設けられた第2接続部と、
を備え、
前記第1コンデンサ電極と前記第2コンデンサ電極とは、前記フレキシブル基材を介して対向配置されることでコンデンサ素子を構成するコンデンサと、
前記第1接続部が接続された第1回路要素と、
前記第2接続部が接続された第2回路要素と、
を備え、
前記フレキシブル基材は、前記第1接続部から前記第2接続部までの区間の一部である所定区間を有し、
前記第1コンデンサ電極及び前記第2コンデンサ電極が前記所定区間の全長にわたって設けられ、
前記所定区間においては、前記第1コンデンサ電極と前記第2コンデンサ電極との対向部分がなく、
前記フレキシブル基材は、前記所定区間において、折り曲げられること、
を特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
コンデンサ、特に、容量を内蔵して基板間を電気的に接続するためのフレキシブル
なコンデンサ及び該
コンデンサを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末などには複数の回路基板が内蔵されており、これらの複数の回路基板間を電気的に接続するためのケーブルが必要とされている。この種のケーブルは引き回しの容易性からフレキシブルなことが望まれ、かつ、単に電気的な接続を図るのみならず、コンデンサ素子などの受動素子が設けられていることが好ましい。
【0003】
従来、フレキシブルなコンデンサとしては特許文献1に記載のものが知られている。しかしながら、このフレキシブル薄膜コンデンサは複数の電極膜や誘電体層が積層されているため、フレキシブル性が必ずしも良好ではなく、製造工程が煩雑である。また、端子間の寸法が小さいので、容量値の大きなコンデンサを形成することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−357631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、簡単な構成からなり、容易に製造可能であって、十分なフレキシブル性を有し、容量値の大きなコンデンサ素子を備えた
コンデンサ及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の形態であるコンデンサは、
互いに対向する第1面及び第2面を有するフレキシブル基材と、
前記フレキシブル基材の前記第1面側に設けられ、前記フレキシブル基材の一方端部から他方端部に延設された第1コンデンサ電極と、
前記フレキシブル基材の前記第2面側に設けられ、前記フレキシブル基材の他方端部から一方端部に延設された第2コンデンサ電極と、
前記フレキシブル基材の一方端部であって前記第1コンデンサ電極の端部に設けられた第1接続部と、
前記フレキシブル基材の他方端部であって前記第2コンデンサ電極の端部に設けられた第2接続部と、
を備え、
前記第1接続部及び前記第2接続部は、それぞれ、別体に配置された第1回路要素及び第2回路要素に設けた電気導体に接続されるものであり、
前記第1コンデンサ電極と前記第2コンデンサ電極とは、前記フレキシブル基材を介して対向配置されることでコンデンサ素子を構成し、
前記フレキシブル基材は、前記第1接続部から前記第2接続部までの区間の一部である所定区間を有し、
前記第1コンデンサ電極及び前記第2コンデンサ電極が前記所定区間の全長にわたって設けられ、
前記所定区間においては、前記第1コンデンサ電極と前記第2コンデンサ電極との対向部分がな
く、
前記所定区間において、折り曲げられること、
を特徴とする。
【0007】
本発明の第2の形態である電子機器は、前記
コンデンサと、前記第1接続部が接続された第1回路要素と、前記第2接続部が接続された第2回路要素と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
前記
コンデンサは、第1接続部及び第2接続部をそれぞれ回路基板の所定の電気導体に接続することで、1又は複数の回路基板をコンデンサ素子としての機能を付加した状態で電気的に接続する。この
コンデンサは
、フレキシブル基材とその第1面及び第2面にそれぞれ設けられた第1コンデンサ電極及び第2コンデンサ電極との積層構造からなるため、構造が簡単であり、フレキシブル性に優れ、かつ、製造も容易である。また、フレキシブル基材の長さを大きくすることによって、コンデンサ素子の容量値を大きく設定することが可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構成からなり、容易に製造可能であって、十分なフレキシブル性を有し、容量値の大きなコンデンサ素子を備えた
コンデンサ及び電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施例であるフレキシブルケーブルを示し、(A)は斜視図、(B)は容量発生の説明図、(C)は等価回路図である。
【
図2】前記フレキシブルケーブルを備えた携帯電話機の概略構成を示し、(A)は断面図、(B)は筺体の内部を示す平面図である。
【
図3】前記フレキシブルケーブルの第1の取付け状態を示す断面図である。
【
図4】前記フレキシブルケーブルの第2の取付け状態を示す断面図である。
【
図5】前記フレキシブルケーブルの第3の取付け状態を示す断面図である。
【
図6】前記フレキシブルケーブルの第4の取付け状態を示す断面図である。
【
図7】前記フレキシブルケーブルの第5の取付け状態を示す断面図である。
【
図8】第2実施例であるフレキシブルケーブルを示す斜視図である。
【
図9】第3実施例であるフレキシブルケーブルとその取付け状態を示す断面図である。
【
図10】第4実施例であるフレキシブルケーブルを示し、(A)は断面図、(B)はY部分の分解斜視図である。
【
図11】(A),(B)ともに、フレキシブルケーブルの他の取付け状態を示す平面図である。
【
図12】フレキシブルケーブルの他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る
コンデンサ及び電子機器の実施例について添付図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部品、部分は同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
第1実施例であるフレキシブルケーブル
(コンデンサ)1Aは、
図1(A)に示すように、互いに対向する第1面及び第2面を有する長尺状の誘電体からなるフレキシブル基材10と、第1コンデンサ電極11と、第2コンデンサ電極21とで構成されている。即ち、第1コンデンサ電極11と第2コンデンサ電極21とはフレキシブル基材10を介して対向配置されており、これにより、コンデンサ素子が構成されている。第1コンデンサ電極11は、フレキシブル基材10の第1面のほぼ全面に設けられ、フレキシブル基材10の一方端部から他方端部に延設され、端部には雄型のコネクタ12(第1接続部)が配置されている。第2コンデンサ電極21は、フレキシブル基材10の第2面のほぼ全面に設けられ、フレキシブル基材10の他方端部から一方端部に延設され、端部には雄型のコネクタ22(第2接続部)が配置されている。これらのコネクタ12,22は表面実装型のコネクタである。
【0013】
このフレキシブルケーブル1Aにあっては、
図1(B)に示すように、大面積の容量部が形成され、高周波的には
図1(C)に示すように、複数のインダクタとキャパシタを有したLow-ESL回路を構成しており、高周波電流は、例えば、コネクタ22からコネクタ12へ矢印a方向に流れる。フレキシブルケーブル1Aは、長尺状のフレキシブル基材10とその第1面及び第2面にそれぞれ設けられた第1コンデンサ電極11及び第2コンデンサ電極21との積層構造からなるため、構造が簡単であり、フレキシブル性に優れ、かつ、製造も容易である。また、フレキシブル基材10の長さや幅を大きくすることによって、コンデンサ素子の容量値を大きく設定することが可能である。特に、第1実施例においては、フレキシブル基材10にはビアホール導体などの層間接続導体が存在しないため、製造工程がより簡略化されるとともに、フレキシブル性が大きく損なわれることもない。
【0014】
フレキシブル基材10は、例えば、液晶ポリマーやポリイミドのような熱可塑性樹脂から形成されている。コンデンサ電極11,21は、例えば、銅やアルミニウムなどの金属箔から形成されている。
【0015】
フレキシブルケーブル1Aは、好ましくは、広い面積のフレキシブル基材10(マザーシート)の表裏面のそれぞれに全面的にコンデンサ電極11,21をラミネートしたものから作製される。例えば、誘電体基材の両主面に金属箔を有した両面金属貼りシートを用意し、各主面の金属箔をフォトリソグラフィー及び/又はエッチング技術を利用してパターニングすることにより、各コンデンサ電極11,21を有したフレキシブル基材10を得ることができる。金属箔として例えば銅箔が用いられる。即ち、マザーシート上のコンデンサ電極を一単位のケーブルに対応した短冊状にエッチング処理で形成し、マザーシートをカットすることにより1単位のフレキシブルケーブル1Aが得られる。
【0016】
前記フレキシブルケーブル1Aは、例えば、
図2に示す携帯端末50に内蔵されている回路基板55,57の間を容量を介して接続するために使用される。ここで、携帯端末50の筺体は本体51と裏蓋52とで構成されている。本体51にはバッテリーパック53を挟んで回路基板55,57が配置され、回路基板55,57上には種々の回路素子が実装されている。フレキシブルケーブル1Aは、回路基板55,57上に設けた雌型コネクタ61,62に前記雄型コネクタ12,22を接続することで、バッテリーパック53を跨いで回路基板間55,57を接続する。
【0017】
フレキシブルケーブル1Aにおいては、より詳細には、
図3に示すように、コンデンサ電極11,21の表面に、コネクタ12,22の取付け部分を除いて、絶縁性保護材としてのレジスト層13,23が設けられている。即ち、コンデンサ電極11、21はレジスト層13,23にそれぞれ覆われており、レジスト層13,23は、コンデンサ電極11,21の耐腐食性向上に寄与するとともに、コンデンサ電極11,21に対する他の金属材からの絶縁性を確保している。但し、レジスト層13,23は、折返し部分の柔軟性を確保するため、該折返し部分には設けないようにしてもよい。
【0018】
図3は、フレキシブルケーブル1Aの第1の取付け状態を示すものであって、フレキシブルケーブル1Aの一方端部は折り返されることなく、第1コンデンサ電極11の端部がコネクタ12を介して回路基板55上に設けたコネクタ61に接続される。また、フレキシブルケーブル1Aの他方端部は1回折り返すことにより、第2コンデンサ電極21の端部がコネクタ22を介して回路基板57上の設けたコネクタ62に接続される。コネクタ61,62はそれぞれ回路基板55,57に設けたプリント配線56,58に接続されており、プリント配線56,58はレジスト層59にて保護されている。
【0019】
このように、フレキシブルケーブル1Aの他方端部を1回折り返すことにより、ビアホール導体のような層間接続導体を設けなくても、ほぼ同一平面上に配置されている回路基板55,57のプリント配線56,58が、フレキシブルケーブル1Aの表裏面に配置されたコンデンサ電極11,21を介して接続されることになる。なお、折り返し部分は
図3に示した位置から左右方向にずらすことができる。そのため、
図3において、コネクタ61とコネクタ62との間の距離が基板55,57の配置ずれなどで変化しても長さ調節が可能である。
【0020】
さらに、フレキシブルケーブル1Aの他方端部で折り返した部分は両面テープ31で接着されている。これにて、特にフレキシブルケーブル1A自体が弾性を有している場合、他方端部がばらけてしまうことが防止され、かつ、他方端部の強度が増すのでコネクタ22,62の嵌め込み作業が容易になる。即ち、フレキシブルケーブル1Aは、接続部と重なるように折り返され、かつ、その形状が保持されていることが好ましい。また、フレキシブルケーブル1Aの一方端部にはステンレスなどからなる補強板32が貼着されており、コネクタ12,61の嵌め込み作業を容易なものとしている。なお、折り返し部分は両面テープの他、液状の接着剤等からなる接着層にてその形状が保持されていてもよい。
【0021】
図4に前記フレキシブルケーブル1Aの第2の取付け状態を示す。ここでは、フレキシブルケーブル1Aの一方端部を蛇腹状に2回折返してコンデンサ電極11の端部を導電性接着剤33を介して回路基板55のプリント配線56に接続し、フレキシブルケーブル1Aの他方端部を蛇腹状に3回折り返してコンデンサ電極21の端部を導電性接着剤やはんだなどの接合剤33を介して回路基板57のプリント配線58に接続している。
【0022】
ほぼ同一平面上に配置された回路基板55,57の間にフレキシブルケーブル1Aを配置する場合、フレキシブルケーブル1Aの一方端部又は他方端部は(2n+1)回折り返され、他方端部又は一方端部は2n回折り返されることが必要となる。但し、nは0又は正の整数である。即ち、フレキシブルケーブル1Aの端部が接続される二つの被接続部の向く向きがそれぞれ同方向である場合、各端部の折り返し回数の差が奇数になっていればよい。
【0023】
図5にフレキシブルケーブル1Aの第3の取付け状態を示す。ここでは、互いに対向する方向に配置された回路基板55,57のプリント配線56,58をフレキシブルケーブル1Aで接続する場合である。フレキシブルケーブル1Aの一方端部及び他方端部のそれぞれを同じ回数(ここでは1回ずつ)折り返し、コンデンサ電極11の端部をコネクタ12,61を介して回路基板55のプリント配線56に接続し、コンデンサ電極21の端部をコネクタ22,62を介して回路基板57のプリント配線58に接続している。二つの被接続部の向く向きがそれぞれ逆方向である場合、フレキシブルケーブル1Aの一方端部と他方端部との折返し回数は必ずしも同数ではなく、折返し回数の差が偶数であればよい。
【0024】
図6にフレキシブルケーブル1Aの第4の取付け状態を示す。ここでは、垂直方に配置された回路基板55のプリント配線56と水平方向に配置された回路基板57のプリント配線58をフレキシブルケーブル1Aで接続する場合である。フレキシブルケーブル1Aの一方端部をほぼ直角に屈曲させ、コンデンサ電極11の端部をコネクタ12,61を介して回路基板55のプリント配線56に接続し、フレキシブルケーブル1Aの他方端部を1回折り返し、コンデンサ電極21の端部をコネクタ22,62を介して回路基板57のプリント配線58に接続している。
【0025】
図7にフレキシブルケーブル1Aの第5の取付け状態を示す。ここでは、垂直方向に配置された回路基板55のプリント配線56と下向きに配置された回路基板57のプリント配線58をフレキシブルケーブル1Aで接続する場合である。フレキシブルケーブル1Aの一方端部をほぼ直角に屈曲させ、コンデンサ電極11の端部をコネクタ12,61を介して回路基板55のプリント配線56に接続し、フレキシブルケーブル1Aの他方端部を折り返すことなく、コンデンサ電極21の端部をコネクタ22,62を介して回路基板57のプリント配線58に接続している。
【0026】
図8に第2実施例であるフレキシブルケーブル
(コンデンサ)1Bを示す。このフレキシブルケーブル1Bは、1枚の長尺状のフレキシブル基材10の第1面及び第2面に、それぞれ対向する3対の第1コンデンサ電極11a,11b,11c及び第2コンデンサ電極21a,21b,21cを設けたものである。従って、第1コンデンサ電極11a,11b,11cの端部に取り付けられたコネクタ14、及び、第2コンデンサ電極21a,21b,21cの端部に取り付けられたコネクタ24は、それぞれ、三端子タイプである。コンデンサ電極による回路は、2回路であってもよく、あるいは、3回路以上であってもよい。それぞれの回路において、コンデンサ電極11a,21a、11b,21b、11c,21cの対向面積を異ならせれば、それぞれの回路における容量値を異ならせることができる。回路基板55,57への取付けは、前記した種々の形態を採用できることは勿論である。
【0027】
図9に第3実施例であるフレキシブルケーブル
(コンデンサ)1Cを示す。このフレキシブルケーブル1Cは、フレキシブル基材10を複数層で形成し、第1面及び第2面に設けた第1コンデンサ電極11及び第2コンデンサ電極21以外にも、フレキシブル基材10の内部にコンデンサ電極15,25が一方端部から他方端部へ延設されている。そして、第1コンデンサ電極11の端部と内蔵されたコンデンサ電極15の端部とがビアホール導体16を介して接続され、第2コンデンサ電極21の端部と内蔵されたコンデンサ電極25の端部とがビアホール導体26を介して接続されている。
【0028】
本第3実施例においては、内蔵されたコンデンサ電極15が第1コンデンサ電極11と同電位であり、内蔵されたコンデンサ電極25が第2コンデンサ電極21と同電位である。即ち、電極11,15が第1コンデンサ電極として機能し、電極21,25が第2コンデンサ電極として機能する。よって、大きな容量値を得ることができる。なお、ビアホール導体16,26はAgやCuなどの柱状の金属体にて構成されており、このような層間接続導体をフレキシブル基材10に設けるとフレキシブル性が損なわれるおそれがある。しかし、本第3実施例のごとく、ビアホール導体16,26をコネクタ12,22を配置したエリア、即ち、平面視で接続部と重なるエリア内に設けることにより、フレキシブル基材10のフレキシブル性を損なうことはない。むしろ、接続部の剛性を高めるうえでは好ましい。
【0029】
なお、前記実施例ではコネクタ12,22をケーブルのそれぞれ反対側の面に設けた例を示したが、本第3実施例のようにビアホール導体などの層間接続導体を用いることにより、コネクタ12,22をケーブルの同じ側の面に設けることも可能である。
【0030】
図10に第4実施例であるフレキシブルケーブル
(コンデンサ)1Dを示す。このフレキシブルケーブル1Dは、他方端部の折返し部分において、第2コンデンサ電極21に開口部27を形成し、第1コンデンサ電極11の両側に切欠き部17を形成したものである。折返し部分はフレキシブル基材10の伸びの状態によって容量値が変化することがある。本第4実施例では、折返し部分において電極11,21の対向部分をなくして容量が形成されないようにしている。これにて、折返し部分での容量値の変化を未然に解消することができる。
【0031】
なお、折返し部分における容量値の変化を極力防止するには、折返し部分における電極11,21の対向部分を0にする以外に、電極11,21の一方のみの幅寸法を小さくするなどして、折返し部分の容量値を他の部分よりも小さくしてもよい。
【0032】
また、フレキシブルケーブル1Aは、
図11(A)に示すように、中央部分で1回折り返した状態で回路基板のプリント配線56,58に接続することも可能である。この場合、同一平面上に配置されたプリント配線56,58に対しては、コンデンサ電極11の端部が配線56に接続され、コンデンサ電極21の端部が配線58に接続される。
【0033】
さらに、フレキシブルケーブル1Aは、
図11(B)に示すように、1回ひねった状態で回路基板のプリント配線56,58に接続することも可能である。この場合、同一平面上に配置されたプリント配線56,58に対しては、コンデンサ電極11の端部が配線56に接続され、コンデンサ電極21の端部が配線58に接続される。
【0034】
なお、フレキシブルケーブル1Aにおいて、コンデンサ電極11,21はフレキシブル基材10の第1面及び第2面にそれぞれ全面的に設けられている必要はなく、例えば、
図12に示すように、第1コンデンサ電極11の端部11'を幅狭の第1接続部とし、第2コンデンサ電極21の端部21'を幅狭の第2接続部としてもよい。
【0035】
(他の実施例)
なお、本発明に係る
コンデンサ及び電子機器は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0036】
例えば、コンデンサ電極の細部の構成、形状などは任意である。
コンデンサによって接続される回路基板の構成、形状、配置関係なども任意である。特に、
コンデンサが配置される電子機器は前記携帯端末に限定するものではない。
コンデンサの第1接続部及び第2接続部が接続される回路要素とは、回路基板以外に、電子機器の筺体に形成された回路パターンを含む。また、
コンデンサで接続される回路要素は同一の基板あるいは筺体に形成されたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明は、
コンデンサや電子機器に有用であり、特に、簡単な構成からなり、容易に製造可能であって、十分なフレキシブル性を有し、容量値を大きくすることも可能である点で優れている。
【符号の説明】
【0038】
1A,1B,1C,1D…フレキシブルケーブル
(コンデンサ)
10…フレキシブル基材
11,11a,11b,11c,21,21a,21b,21c…コンデンサ電極
12,14,22,24…コネクタ
15,25…コンデンサ電極
16,26…ビアホール導体
31…両面テープ
32…補強板
50…携帯端末
55.57…回路基板
56,58…プリント配線