特許第6191692号(P6191692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6191692-ロボットおよびロボットの関節機構 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6191692
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】ロボットおよびロボットの関節機構
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
   B25J19/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-526044(P2015-526044)
(86)(22)【出願日】2013年7月9日
(86)【国際出願番号】JP2013068753
(87)【国際公開番号】WO2015004731
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2016年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 洋
(72)【発明者】
【氏名】一番ケ瀬 敦
(72)【発明者】
【氏名】田中 謙太郎
【審査官】 佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−201093(JP,A)
【文献】 特開平04−322988(JP,A)
【文献】 特開2012−171072(JP,A)
【文献】 特開平09−177905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動体と、
前記駆動体に回転自在に連結された被駆動体と、
前記被駆動体の回転軸が貫く中空部を有して前記被駆動体に設けられ、該被駆動体を駆動する駆動装置
前記中空部内に配置され、前記被駆動体の回転軸である最終出力軸に直結されるエンコーダと
備えることを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記駆動装置は、
中空アクチュエータと、
前記中空アクチュエータに連結される中空減速機と、
を備え、
前記エンコーダは、
前記中空アクチュエータおよび前記中空減速機における中空軸の前記中空部内に配置されること
を特徴とする請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記中空軸の回転軸と前記最終出力軸とが同軸配置されること
を特徴とする請求項に記載のロボット。
【請求項4】
前記駆動体は、第2アームであり、
前記被駆動体は、前記第2アームに回転自在に連結される手首部であること
を特徴とする請求項1に記載のロボット。
【請求項5】
前記エンコーダは、
入力部と、出力部とを備え、
前記入力部は前記被駆動体に接続され、前記出力部は前記駆動体に接続されること
を特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のロボット。
【請求項6】
関節機構を介して回転可能に連結された駆動体および被駆動体と
前記被駆動体の回転軸が貫く中空部を有して前記被駆動体に設けられ、該被駆動体を駆動する駆動装置
前記中空部内に配置され、前記被駆動体の回転軸である最終出力軸に直結されるエンコーダと
備えることを特徴とするロボットの関節機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、ロボットおよびロボットの関節機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、関節機構を介して回転可能に連結された複数のアームからなるアーム部を有するロボットが知られている。かかるロボットの関節機構としては、減速機、モータおよびエンコーダを、モータの出力軸などに直列的に同軸配置したものがある(たとえば、特許文献1を参照)。なお、エンコーダは、各アームの回転を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−24406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術には、アームの回転を精度よく検出するうえで更なる改善の余地がある。
【0005】
具体的には、上述の従来の関節機構を用いた場合、エンコーダは、厳密に言えばモータの出力軸の回転を検出することとなる。このため、かかるモータの出力軸から減速機を経て最終出力軸に連結されるアームの実際の回転を精度よく検出するには不十分である。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、アームの回転を精度よく検出することができるロボットおよびロボットの関節機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係るロボットは、駆動体と、被駆動体と、駆動装置と、エンコーダとを備える。前記被駆動体は、前記駆動体に回転自在に連結される。前記駆動装置は、前記被駆動体の回転軸が貫く中空部を有して前記被駆動体に設けられ、該被駆動体を駆動する。前記エンコーダは、前記中空部内に配置され、前記被駆動体の回転軸である最終出力軸に直結される
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、被駆動体の回転を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るロボットの構成を示す斜視模式図である。
図2A図2Aは、駆動装置の斜視模式図である。
図2B図2Bは、第3関節部周辺の略拡大図である。
図3A図3Aは、第3関節部周辺の平面透過図である。
図3B図3Bは、XY平面で切断した駆動装置周辺の略拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するロボットおよびロボットの関節機構の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
図1は、実施形態に係るロボット1の構成を示す斜視模式図である。なお、図1には、説明を分かりやすくするために、鉛直上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、以下の説明で用いる他の図面においても示す場合がある。
【0012】
また、以下では、説明の便宜上、ロボット1の旋回位置が図1に示す状態にあるものとして、ロボット1における各部位の位置関係を説明する。
【0013】
図1に示すように、ロボット1は、単腕型の多軸ロボットであり、基台部10と、基台部10に旋回可能に連結される旋回部11と、アーム部20とを備える。アーム部20は、関節を介して回転可能に連結される複数のアームや、手首部、あるいは先端可動部等を有している。
【0014】
具体的には、アーム部20は、第1関節部21と、第1アーム22と、第2関節部23と、第2アーム24と、第3関節部25と、手首部26と、先端可動部27とを備える。第1関節部21、第2関節部23および第3関節部25は関節機構の一例である。
【0015】
基台部10は、床面などに固定される。第1アーム22は、基端部が旋回部11と、第1関節部21を介して連結される。これにより、第1アーム22は、その基端部において、軸Sまわりに旋回可能に、かつ、軸Lまわりに回転可能に支持される(図中の矢印A1および矢印A2参照)。
【0016】
第2アーム24は、基端部が第1アーム22の先端部と第2関節部23を介して連結される。これにより、第2アーム24は、その基端部において、軸Uまわりに回転可能に支持される(図中の矢印A3参照)。また、第2アーム24は、軸Rまわりに回転可能に設けられる(図中の矢印A4参照)。
【0017】
手首部26は、基端部が第2アーム24の先端部と第3関節部25を介して連結される。これにより、手首部26は、その基端部において、軸Bまわりに回転可能に支持される(図中の矢印A5参照)。
【0018】
また、手首部26は、その先端部において、先端可動部27を軸Tまわりに回転可能に支持する(図中の矢印A6参照)。そして、図1には図示していないが、先端可動部27には、ロボットハンドや溶接トーチ、あるいはレーザカット装置など、用途に合わせたエンドエフェクタが取り付けられる。
【0019】
次に、ロボット1の関節機構の構成の一例について、図2A図3Bを用いて説明する。なお、本実施形態では、ロボット1の関節機構として、第3関節部25を主たる例に挙げて説明することとする。
【0020】
まず、図2Aは、駆動装置250の斜視模式図である。また、図2Bは、第3関節部25周辺の略拡大図である。
【0021】
図2Aに示すように、駆動装置250は、例えば中空モータ等の中空アクチュエータ251と、中空減速機252とを備える。中空アクチュエータ251は、中空部を有する中空軸251aを備え、かかる中空軸251aを回転駆動させる。なお、中空アクチュエータ251は、電動モータだけでなく、例えば油圧モータなど他の種類のモータであってもよい。
【0022】
中空減速機252は、入力部252a(図示略。図3Bにて後述)と、出力部252bとを備える。入力部252aおよび出力部252bは、中空軸251aの中空部253に連通する中空構造をなしている。したがって、入力部252aおよび出力部252bもまた、中空軸の一例である。
【0023】
入力部252aは、中空アクチュエータ251の中空軸251aに連結され、中空軸251aの回転を入力する。出力部252bは、入力部252aへ入力された中空軸251aの回転を減じて出力し、軸Oまわりに回転する(図中の両矢印参照)。
【0024】
このような駆動装置250は、図2Bに示すように、たとえば、第3関節部25に、軸Oを軸Bに同軸配置させて搭載される。そして、出力部252bが軸Oまわりに回転することによって、手首部26を軸Bまわりに回転させる。
【0025】
つづいて、図3Aは、第3関節部25周辺の平面透過図である。また、図3Bは、XY平面で切断した駆動装置250周辺の略拡大断面図である。
【0026】
図3Aに示すように、第3関節部25は、エンコーダ254をさらに備える。エンコーダ254は、中空アクチュエータ251、および中空減速機252の有する中空部253に配置され、手首部26の回転軸である最終出力軸、すなわち軸Bに直結される。
【0027】
かかるエンコーダ254を含む第3関節部25の構成の一例について、より具体的に説明する。図3Bに示すように、第3関節部25には、中空アクチュエータ251と、中空減速機252とを備える駆動装置250が搭載される。
【0028】
中空アクチュエータ251は、固定子251bと、回転子251cとをさらに備える。固定子251bは、中空アクチュエータ251のフレームに固定される。回転子251cは、かかる固定子251bに軸受を介して回転自在に設けられる。なお、固定子251bと回転子251cは、所定のギャップを介して径方向に対向配置されている。
【0029】
また、上述の中空軸251aは、かかる回転子251cに連接される。なお、中空軸251aと回転子251cとが別体でなく、一体形成されていてもよい。
【0030】
また、既に述べたように、中空軸251aには、中空減速機252の入力部252aが連結される。
【0031】
そして、かかる中空減速機252の入力部252aを含む中空減速機252の本体部、および、中空アクチュエータ251は、被駆動体である手首部26に固定される。一方、中空減速機252の出力部252bは、駆動体である第2アーム24に固定される。
【0032】
また、中空部253に配置されるエンコーダ254は、入力部254aと、出力部254bとを備える。入力部254aは、軸Bに同軸配置され、手首部26に接続される。一方、出力部254bは、第2アーム24に接続される。
【0033】
そして、固定子251bの固定子コアに巻回されたコイルが励磁されることで、回転子251cおよびこれに連接される中空軸251aが回転する。そして、中空軸251aの回転は、中空減速機252の入力部252aへ入力される。
【0034】
そして、中空減速機252の出力部252bが、かかる入力部252aへ入力された回転を減じて出力し、回転する。このとき、出力部252bは、駆動体である第2アーム24に固定されているので、出力部252bを除く中空減速機252の本体部、および、中空アクチュエータ251を相対回転させる。すなわち、これらが固定された手首部26を軸Bまわりに回転させる。
【0035】
そして、かかる手首部26の軸Bまわりの回転は、軸Bに同軸配置されることで直結されたエンコーダ254の入力部254aへ入力される。そして、エンコーダ254の出力部254bは、かかる入力部254aへ入力された手首部26の回転を検知して出力する。
【0036】
このように、本実施形態では、中空アクチュエータ251から中空減速機252を経て最終的に出力される回転の回転軸である軸B、すなわち最終出力軸にエンコーダ254を直結することとしたので、手首部26の実際の回転を精度よく検出することができる。
【0037】
すなわち、手首部26の実際の回転を精度よく検出することができる。また、本実施形態では、エンコーダ254を駆動装置250の有する中空部253に配置することとしたので、ロボット1の関節機構をコンパクトに構成することができる。したがって、ロボット1のスリム化にも資することができる。
【0038】
なお、上述した実施形態では、中空アクチュエータにあえてブレーキ部を明示しない構成を例に挙げて説明を行った。かかるブレーキ部のブレーキ機能は、たとえば、減速機部の内部のギヤにウォームギヤ等を用いることによってセルフロック機能を持たせることで、ブレーキ部無しでも実現可能である。
【0039】
なお、無論、ブレーキ部を備えることとしてもよい。この場合、エンコーダ部と同様に、中空アクチュエータの中空部に配置されることが好ましい。
【0040】
また、上述した実施形態では、主に第3関節部を例に挙げて説明を行ったが、関節機構の位置を限定するものではない。したがって、上述の実施形態が、たとえば第1関節部に適用されてもよい。この場合は、旋回部が駆動体であり、第1アームが被駆動体になる。また、第2関節部に適用されてもよい。この場合は、第1アームが駆動体であり、第2アームが被駆動体になる。
【0041】
また、上述した実施形態では、1つのアーム部につき、第1アームおよび第2アームの2つのリンクを備える場合を例示したが、アーム数を限定するものではない。
【0042】
また、上述した実施形態では、1つのアーム部につき6軸を有する多軸ロボットを例示したが、軸数を限定するものではない。例えば、7軸の多軸ロボットでもよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、単腕ロボットを例示したが、これに限られるものではなく、たとえば、双腕ロボットであってもよいし、3つ以上の腕を備える多腕ロボットであってもよい。
【0044】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 ロボット
10 基台部
11 旋回部
20 アーム部
21 第1関節部
22 第1アーム
23 第2関節部
24 第2アーム
25 第3関節部
250 駆動装置
251 中空アクチュエータ
251a 中空軸
251b 固定子
251c 回転子
252 中空減速機
252a 入力部
252b 出力部
253 中空部
254 エンコーダ
254a 入力部
254b 出力部
26 手首部
27 先端可動部
A1〜A6 矢印
B 軸
L 軸
O 軸
R 軸
S 軸
T 軸
U 軸
図1
図2A
図2B
図3A
図3B