(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1及び第2の光入出力ポートのうち一部の光入出力ポートと残部の光入出力ポートとが、前記所定の軸線および前記第1の方向と交差する第2の方向に並んで配置されている、請求項1に記載の波長選択スイッチ。
前記第1の光入力ポートからの光が前記第1の光出力ポートに到達し、前記第2の光入力ポートからの光が前記第2の光出力ポートに到達するように、前記第2の方向における前記光偏向素子への入射角が前記集光要素によって設定されている、請求項8に記載の波長選択スイッチ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら一実施形態に係る波長選択スイッチを詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1及び
図2は、第1実施形態に係る波長選択スイッチ1Aの構成を示す模式図である。なお、以下の図面には直交座標系Sが示されている。
図1は、直交座標系Sのy軸方向から見た波長選択スイッチ1Aの側面図であり、x軸及びz軸を含む平面における波長選択スイッチ1Aの模式的な構成を示している。
図2は、直交座標系Sのx軸方向から見た波長選択スイッチ1Aの上面図であり、y軸及びz軸を含む平面における波長選択スイッチ1Aの模式的な構成を示している。
【0012】
図1及び
図2に示されるように、波長選択スイッチ1Aは、光入出力部10、分光素子20、及び光偏向素子30を備えている。光入出力部10、分光素子20、及び光偏向素子30は、所定の軸線C上に並んで配置されている。所定の軸線Cは、例えばz軸方向に延びる軸線である。なお、
図1及び
図2では所定の軸線Cが一直線状に描かれているが、例えば反射鏡等が中途に配置されることにより所定の軸線Cが屈曲していてもよい。
【0013】
図3は、所定の軸線Cの方向(z軸方向)から見た光入出力部10の構成を示す図である。また、
図4は、y軸方向から見た光入出力部10の構成を示す側面図である。
図3及び
図4に示されるように、光入出力部10は、第1の部分10aと第2の部分10bとを有している。第1の部分10aと第2の部分10bとは、
図1及び
図2に示された所定の軸線Cと交差する第1の方向(本実施形態では、x軸方向)に並んで配置されている。
【0014】
第1の部分10aは、3個以上の第1の光入出力ポート11を含む。本実施形態では、これらの光入出力ポート11はx軸方向に整列されている。これらの光入出力ポート11には、一又は複数の第1の光入力ポート11aと、一又は複数の第1の光出力ポート11bとが含まれている。例示として、
図3及び
図4には、一つの光入力ポート11aと、複数の光出力ポート11bとが示されている。この場合、光入力ポート11aは、例えば波長多重光である光L11を波長選択スイッチ1Aの内部へ出射する。光出力ポート11bは、例えば、光偏向素子30によって偏向された波長成分L12を受ける。
【0015】
図4に示されるように、この第1の部分10aでは、所定の軸線Cに対し所定の軸線Cと交差する第1の方向(本実施形態では、x軸方向)に傾斜した光軸でもって光入出力ポート11の入出射(すなわち、光入力ポート11aからの光L11の出射および光出力ポート11bへの波長成分L12の入射)が行われる。所定の軸線Cを基準とする光入出力ポート11の入出射角θ1の角度範囲は、所定の軸線Cを0°としたとき例えば0°<θ1<5°であり、更に好適には0°<θ1<3°である。
【0016】
第2の部分10bは、3個以上の第2の光入出力ポート12を含む。本実施形態では、これらの光入出力ポート12はx軸方向に整列されている。これらの光入出力ポート12には、一又は複数の第2の光入力ポート12aと、一又は複数の第2の光出力ポート12bとが含まれている。例示として、
図3及び
図4には、一つの光入力ポート12aと、複数の光出力ポート12bとが示されている。この場合、光入力ポート12aは、例えば波長多重光である光L21を波長選択スイッチ1Aの内部へ出射する。光出力ポート12bは、例えば、光偏向素子30によって偏向された波長成分L22を受ける。
【0017】
図4に示されるように、この第2の部分10bでは、x軸方向に傾斜した光軸でもって光入出力ポート12の入出射(すなわち、光入力ポート12aからの光L21の出射および光出力ポート12bへの波長成分L22の入射)が行われる。所定の軸線Cを基準とする光入出力ポート12の入出射角は、光入出力ポート11の入出射角θ1とは異なっており、例えば−θ1である。
【0018】
各光入出力ポート11は、光ファイバ11c及び集光素子(集光レンズ)11dを含んで構成されている。各集光素子11dは、各光ファイバ11cに対して一対一で設けられ、対応する光ファイバ11cの端面に光結合されている。同様に、各光入出力ポート12は、光ファイバ12c及び集光素子(集光レンズ)12dを含んで構成されている。各集光素子12dは、各光ファイバ12cに対して一対一で設けられ、対応する光ファイバ12cの端面に光結合されている。
【0019】
図4に示されるように、各光ファイバ11cと、各光ファイバ11cそれぞれに対応する各集光素子11dとの光軸は互いにずれている。具体的には、集光素子11dの光軸は光ファイバ11cの光軸に対してΔα(>0)だけずれており、また、そのずれ量Δαは、3個以上の光入出力ポート11において互いに等しい。これによって、3個以上の光入出力ポート11に均一な正の入出射角θ1が付与されている。なお、本実施形態では、3個以上の光ファイバ11cは間隔αでもって互いに等間隔に配置されており、これらに対応する3個以上の集光素子11dもまた、間隔αでもって互いに等間隔に配置されている。
【0020】
一方、各光ファイバ12cと、各光ファイバ12cそれぞれに対応する各集光素子12dとの光軸もまた、x軸方向に互いにずれている。但し、そのずれ量は集光素子11dのずれ量とは異なっており、例えば−Δαである。また、そのずれ量−Δαは、3個以上の光入出力ポート12において互いに等しい。これによって、3個以上の光入出力ポート12に均一な負の入出射角−θ1が付与されている。また、本実施形態では、3個以上の光ファイバ12cは間隔αでもって互いに等間隔に配置されており、これらに対応する3個以上の集光素子12dもまた、間隔αでもって互いに等間隔に配置されている。
【0021】
また、本実施形態では、光入出力部10が、光入出力ポート11,12とは別に、調芯用ポート13を更に有している。調芯用ポート13は、所定の軸線Cに沿った光軸でもって調芯用の光L3の入出射を行うためのポートである。この調芯用ポート13もまた、光ファイバ13cと、光ファイバ13cの端面に光結合された集光素子13dとを含んでいる。但し、光ファイバ13cの光軸と集光素子13dの光軸とは、互いに一致している。従って、調芯用ポート13において入出射される光L3は、所定の軸線Cに沿って伝搬する。
【0022】
このような調芯用ポート13は、
図3及び
図4に示されるように第1の部分10a及び第2の部分10bに対して共通に設けられてもよく、或いは、第1の部分10a及び第2の部分10bそれぞれに少なくとも一つずつ設けられていてもよい。本実施形態では、第1の部分10aと第2の部分10bとの間に一つの調芯用ポート13が配置されている。
【0023】
光ファイバ13cに隣り合う光ファイバ11c及び12cと光ファイバ13cとは、互いに間隔αをあけて配置されている。一方、集光素子13dに隣り合う集光素子11d及び12dと集光素子13dとは、互いに間隔α+Δαをあけて配置されている。このような構成によって、前述した光ファイバ11cと集光素子11dとの光軸のずれ量Δα、及び光ファイバ12cと集光素子12dとの光軸のずれ量−Δαが実現されている。換言すれば、本実施形態では、光ファイバ11c、12c及び13cが互いに等ピッチで配列され、集光素子11d、12d及び13dが互いに不等ピッチで配列されている。そして、集光素子11dの位置が、光ファイバ11cに対して配列方向の一方の側(x軸の正側)にずれており、集光素子12dの位置が、光ファイバ12cに対して配列方向の他方の側(x軸の負側)にずれている。
【0024】
再び
図1及び
図2を参照する。波長選択スイッチ1Aは、光入出力部10と分光素子20との間の所定の軸線C上に配置された前段光学系として、リレー光学系41及びアナモルフィック光学系42を更に備えている。リレー光学系41は、光入出力ポート11,12に対して共通に設けられた2つのレンズ41a及び41bを含む。レンズ41aは、例えば、x軸方向及びy軸方向に光パワーを有する凸状の球面レンズである。レンズ41aは、レンズ41bよりも前段に配置され、レンズ41aの前側焦点は集光素子11d〜13d(
図4を参照)の後側焦点と略一致するように配置されている。つまり、レンズ41aは、光入出力部10が有する集光素子11d〜13dの焦点距離f1及びレンズ41aの焦点距離f2の分だけ集光素子11d,12dから離れた位置に配置されている。
【0025】
レンズ41aは、x軸方向及びy軸方向について、光入出力部10から当該レンズ41aに入射する光L11および光L21のビームウエスト位置におけるビームサイズと比較して、当該レンズ41aを通過後の光L11および光L21のビームウエスト位置におけるビームサイズを相対的に大きくすることが好ましい。このようにすると、例えば波長選択スイッチ1Aにおいてリレー光学系41及びアナモルフィック光学系42を介して光制御を行う場合に、光入出力部10の光入出力ポート11,12におけるロスの増加を抑制することができる。
【0026】
レンズ41bは、少なくともx軸方向に光パワーを有する。レンズ41bは、例えば、x軸方向のみに光パワーを有するシリンドリカルレンズである。レンズ41bは、x軸方向のみ光パワーを有している。このため、光L11および光L21のビームサイズがx軸方向についてはy軸方向に対して相対的に小さくなり、y軸方向に相対的に拡大される。レンズ41bの前側焦点は、レンズ41aの後側焦点と略一致するように配置されている。また、レンズ41bの後側焦点は、後述する集光レンズ43の前側焦点と略一致するように配置されている。つまり、レンズ41bは、レンズ41aの焦点距離f2及びレンズ41bの焦点距離f3の分だけレンズ41aから離れた位置であって、レンズ41bの焦点距離f3及び集光レンズ43の焦点距離f4の分だけ集光レンズ43から離れた位置に配置されている。なお、レンズ41a,41bは、
図1及び
図2に示されたような光透過型のものに限られず、ミラーのような反射型のものであってもよい。
【0027】
アナモルフィック光学系42は、光入出力ポート11,12に対して共通に設けられており、リレー光学系41の前段若しくは後段に配置されている。
図1及び
図2には、リレー光学系41の後段にアナモルフィック光学系42が配置された形態が示されている。アナモルフィック光学系42は、リレー光学系41のレンズ41bから出射された光L11,L21を入射すると共に、その光L11,L21のビームサイズをy軸方向に拡大して出射する。アナモルフィック光学系42は、入力されたビームのアスペクト比を変換して出力する機能を有するものであれば良く、光をx軸方向に縮小するように構成しても良い。アナモルフィック光学系42は、プリズムペアやシリンドリカルレンズ、シリンドリカルミラー等を単独又は組み合わせて構成され得る。本実施形態では、例えば1対のプリズム42a,42bを例示する。
【0028】
分光素子20は、光入出力ポート11,12に対して共通に設けられており、光入出力ポート11,12の入出射光の光軸を、所定の軸線Cおよびx軸方向と交差する方向、例えばy軸方向へ波長に応じた角度で変化させる。分光素子20は、光入力ポート11a,12aからの光L11,L21が波長多重光である場合には、光L11,L21を複数の波長成分に分光する。
図1及び
図2では、理解の容易のため、複数の波長成分のうちの或る波長成分L12,L22のみを代表して図示する。分光素子20としては、例えば回折格子を用いることができる。
【0029】
分光素子20と光偏向素子30との間の所定の軸線C上には、集光レンズ(集光要素)43が配置されている。集光レンズ43は、分光素子20によって分光されて出射された波長成分L12,L22を入射し、光偏向素子30上に結合する。このとき、アナモルフィック光学系42においてy軸方向に所定倍率で拡大された光は、集光レンズ43においては当該倍率でy軸方向に縮小される(または、アナモルフィック光学系42においてx軸方向に所定倍率で縮小された光は、集光レンズ43においては当該倍率でx軸方向に拡大される)ことにより、光偏向素子30においてx軸方向のビームサイズがy軸方向のビームサイズよりも大きくなるように構成されている。集光レンズ43としては、例えば、x軸方向及びy軸方向に光パワーを有する凸状の球面レンズといった回転対称レンズが用いられる。
【0030】
光偏向素子30は、集光レンズ43の後側焦点に配置されている。光偏向素子30は、光入力ポート11aから分光素子20を経て集光レンズ43によって集光された波長成分L12を受け、その波長に応じた所定の光出力ポート11bに向けて波長成分L12を偏向する。同様に、光偏向素子30は、光入力ポート12aから分光素子20を経て集光レンズ43によって集光された波長成分L21を受け、その波長に応じた所定の光出力ポート12bに向けて波長成分L22を偏向する。そのために、光偏向素子30は、所定の軸線Cと交差する平面内にて二次元状に配列された複数の光偏向領域を有している。光偏向素子30は、各光偏向領域において対応する波長成分L21,L22を受け、波長成分L12,L22のそれぞれを独立して光出力ポート11b,12bに向けて偏向する。
【0031】
図5は、所定の軸線Cの方向から見た光偏向素子30の正面図である。
図5に示されるように、光偏向素子30は、x軸方向に並ぶ第1の光偏向部31および第2の光偏向部32を有している。第1の光偏向部31は、y軸方向(分光方向)に並ぶ複数の光偏向領域31aを含んでおり、分光素子20を経た光入力ポート11aからの各波長成分を対応する光偏向領域31aにおいて受け、これらの波長成分を光出力ポート11bへ向ける。また、第2の光偏向部32は、y軸方向(分光方向)に並ぶ複数の光偏向領域32aを含んでおり、分光素子20を経た光入力ポート12aからの各波長成分を対応する光偏向領域32aにおいて受け、これらの波長成分を光出力ポート12bへ向ける。
【0032】
光偏向素子30としては、例えばLCOS(Liquid Cristal On Silicon)といった位相変調素子が好適に用いられる。このような位相変調素子は、位相変調を行う複数の画素を有し、回折格子状の位相変調パターンを呈示することにより入射光の光路を偏向する。なお、光偏向素子30としては、位相変調素子以外にも、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子といった種々の素子を用いることができる。
【0033】
光偏向素子30としてLCOS型の位相変調素子が用いられる場合、所定の軸線Cおよびx軸方向を含む面内(すなわちxz平面内)において、光入力ポート11a,12aから到達する波長成分L12,L22の光軸が位相変調素子の変調面に対して直交するとよい。これにより、更に精緻な偏向制御が可能となる。このような形態は、例えば、xz平面内において波長成分L12,L22の光軸が変調面に対して直交するように、所定の軸線Cに対する光入出力ポート11,12の入出射角θ1,−θ1が設定されることにより好適に実現され得る。この場合、前段光学系(リレー光学系41及びアナモルフィック光学系42)及び集光レンズ43は、xz平面内において波長成分L12,L22の光軸が変調面に対して直交するように、光入出力ポート11,12からの光の光路を変更するとよい。また、この場合、x軸方向における前段光学系(リレー光学系41及びアナモルフィック光学系42)並びに集光レンズ43の中心光軸が、互いに一致していると更に好適である。また、この場合、光入出力ポート11の入出射光L11,L12の光軸と、光入出力ポート12の入出射光L21,L22の光軸とは、所定の軸線Cに対して互いに対称であるとよい。なお、所定の軸線Cは、仮に該所定の軸線Cに沿って出射された光が位相変調素子の変調面に到達した場合に、所定の軸線Cおよびx軸方向を含む面内(xz平面内)において、該光の光軸が位相変調素子の変調面に対して直交するような軸線である。
【0034】
光偏向素子30によって偏向された波長成分L12,L22は、集光レンズ43、分光素子20、アナモルフィック光学系42、及びリレー光学系41を介して所定の光出力ポート11b,12bに到達し、波長選択スイッチ1Aの外部へ出力される。
【0035】
以上の構成を備える本実施形態の波長選択スイッチ1Aによって得られる効果について説明する。前述したように、特許文献1に記載された波長選択スイッチでは、光入出力部の二以上のグループそれぞれに対応するレンズが配置され、このレンズによって、入出射光の光軸に対して各グループ毎に異なる角度が付与されている。しかしながら、このような構成では部品点数が多くなり、また、上記レンズの分だけ光路長が長くなってしまい波長選択スイッチの小型化を妨げる一因となる。これに対し、本実施形態の波長選択スイッチ1Aでは、そのようなレンズを利用せずに、光入出力部10の第1の光入出力ポート11および第2の光入出力ポート12のそれぞれにおいて入出射光の光軸に所定の角度を付与している。したがって、本実施形態の波長選択スイッチ1Aによれば、部品点数を抑え、光路長を過度に長くすることなく、より多くの波長成分を分離(若しくは結合)することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態のように、光入出力ポート11,12は、光ファイバ11c,12cと、光ファイバ11c,12cに対して一対一で設けられ、該光ファイバ11c,12cの端面に光結合された集光素子11d,12dとを含んでもよい。この場合、光ファイバ11c,12cの光軸と集光素子11d,12dの光軸とを互いにずらすことによって、光入出力ポート11,12における入出射角θ1,−θ1を簡素な構成でもって容易に設定することができる。また、このような形態により、光入出力ポート11,12が十分な有効径を確保できるので、波長選択スイッチ1Aが小型化された場合であっても入出射角θ1,−θ1の絶対値を十分に大きくすることが可能となる。
【0037】
また、本実施形態のように、光入出力部10は、光入出力ポート11,12とは別に、所定の軸線Cに沿った光軸でもって調芯用の光L3の入出射を行う調芯用ポート13を更に有してもよい。光入出力ポート11,12は入出射光が傾斜しているため調芯に使用し難いが、このような調芯用ポート13を別に用意しておくことによって、調芯作業を容易に行うことができる。
【0038】
(第1の変形例)
図6は、上記第1実施形態の一変形例に係る光入出力部10Aの構成を模式的に示す側面図であって、光入出力部10Aをy軸方向から見た形態を示している。本変形例に係る光入出力部10Aでは、上記実施形態(
図4を参照)とは異なり、集光素子11dの光軸が、光ファイバ11cの光軸に対して−Δαだけずれている。なお、このずれ量−Δαは、3個以上の光入出力ポート11において互いに等しい。これによって、3個以上の光入出力ポート11に均一な負の入出射角−θ1が付与される。
【0039】
一方、集光素子12dの光軸は、光ファイバ12cの光軸に対して正の方向にΔαだけずれている。なお、ずれ量Δαは、3個以上の光入出力ポート12において互いに等しい。これによって、3個以上の光入出力ポート12に均一な正の入出射角θ1が付与される。
【0040】
このように、本変形例では、光ファイバ11c、12c及び13cが互いに等ピッチで配列され、集光素子11d、12d及び13dが互いに不等ピッチで配列されている。そして、集光素子11dの位置が、光ファイバ11cに対して配列方向の一方の側(x軸の負側)にずれており、集光素子12dの位置が、光ファイバ12cに対して配列方向の他方の側(x軸の正側)にずれている。従って、光入出力ポート11において入出射角が負(−θ1)となり、光入出力ポート11に対してx軸の負側に位置する光入出力ポート12において入出射角が正(θ1)となるので、光入出力ポート11の入出射光と、光入出力ポート12の入出射光とが互いに交差することとなる。このような形態であっても、上記第1実施形態の作用効果を好適に奏することができる。
【0041】
(第2の変形例)
図7は、上記第1実施形態の別の変形例に係る光入出力部10Bの構成を模式的に示す側面図であって、光入出力部10Bをy軸方向から見た形態を示している。本変形例に係る光入出力部10Bでは、上記実施形態(
図4を参照)とは異なり、光ファイバ13cに隣り合う光ファイバ11c及び12cと光ファイバ13cとの間隔が、α−Δαとなっている。一方、集光素子13dに隣り合う集光素子13d及び12cと集光素子13dとの間隔はαとなっている。すなわち、光ファイバ11cの光軸が集光素子11dの光軸に対して−Δαだけずれており、光ファイバ12cの光軸が集光素子12dの光軸に対してΔαだけずれている。
【0042】
このように、本変形例では、集光素子11d、12d及び13dが互いに等ピッチで配列され、光ファイバ11c、12c及び13cが互いに不等ピッチで配列されている。そして、光ファイバ11cの位置が、集光素子11dに対して配列方向の一方の側(x軸の負側)にずれており、光ファイバ12cの位置が、集光素子12dに対して配列方向の他方の側(x軸の正側)にずれている。このような構成によって、上記第1実施形態と同様に、本変形例においても、光入出力ポート11における入出射角がθ1となり、光入出力ポート12における入出射角が−θ1となる。従って、上記第1実施形態の作用効果を好適に奏することができる。
【0043】
(第3の変形例)
図8は、上記第1実施形態の更に別の変形例に係る光入出力部10Cの構成を模式的に示す側面図であって、光入出力部10Cをy軸方向から見た形態を示している。本変形例に係る光入出力部10Cでは、上記第2変形例(
図7を参照)とは異なり、光ファイバ11cの光軸が、集光素子11dの光軸に対して正の方向にΔαだけずれている。なお、このずれ量Δαは、3個以上の光入出力ポート11において互いに等しい。これによって、3個以上の光入出力ポート11に均一な負の入出射角−θ1が付与される。
【0044】
一方、光ファイバ12cの光軸は、集光素子12dの光軸に対して−Δαだけずれている。なお、ずれ量Δαは、3個以上の光入出力ポート12において互いに等しい。これによって、3個以上の光入出力ポート12に均一な正の入出射角θ1が付与される。
【0045】
このように、本変形例では、集光素子11d、12d及び13dが互いに等ピッチで配列され、光ファイバ11c、12c及び13cが互いに不等ピッチで配列されている。そして、光ファイバ11cの位置が、集光素子11dに対して配列方向の一方の側(x軸の正側)にずれており、光ファイバ12cの位置が、集光素子12dに対して配列方向の他方の側(x軸の負側)にずれている。従って、光入出力ポート11において入出射角が負(−θ1)となり、光入出力ポート11に対してx軸の負側に位置する光入出力ポート12において入出射角が正(θ1)となるので、光入出力ポート11の入出射光と、光入出力ポート12の入出射光とが互いに交差することとなる。このような形態であっても、第2変形例と同様に、上記第1実施形態の作用効果を好適に奏することができる。
【0046】
(第4の変形例)
図9は、上記第1実施形態の更に別の変形例に係る光入出力部10Dの構成を模式的に示す側面図であって、光入出力部10Dをy軸方向から見た形態を示している。本変形例に係る光入出力部10Dでは、上記実施形態(
図4を参照)とは異なり、第1の光入出力ポート11と第2の光入出力ポート12とが、x軸方向に交互に並んで配置されている。
【0047】
具体的には、光入出力ポート11を構成する光ファイバ11c及び集光素子11dと、光入出力ポート12を構成する光ファイバ12c及び集光素子12dとが、x軸方向に交互に並んで配置されている。そして、光ファイバ11c、12c及び13cが互いに等ピッチ(間隔α)で配列される一方、集光素子11dと、集光素子11dに対してx軸正側に隣り合う集光素子12dとが間隔(α−2Δα)をあけて配置され、集光素子12dと、集光素子12dに対してx軸正側に隣り合う集光素子11dとが間隔(α+2Δα)をあけて配置されている。
【0048】
このように、本変形例では、光ファイバ11c、12c及び13cが互いに等ピッチで配列され、集光素子11d、12d及び13dが互いに不等ピッチで配列されている。そして、上記実施形態と同様に、集光素子11dの位置が、光ファイバ11cに対して配列方向の一方の側(x軸の正側)にずれており、集光素子12dの位置が、光ファイバ12cに対して配列方向の他方の側(x軸の負側)にずれている。従って、光入出力ポート11において入出射角が正(θ1)となり、光入出力ポート12において入出射角が負(−θ1)となる。そして、本変形例では光入出力ポート11,12が交互に並んで配置されているので、光入出力ポート11の入出射光と、光入出力ポート12の入出射光とが互いに交差することとなる。このような形態であっても、上記第1実施形態の作用効果を好適に奏することができる。
【0049】
(第5の変形例)
図10及び
図11は、上記第1実施形態の更に別の変形例に係る光入出力部10E及び10Fの構成を模式的に示す側面図であって、光入出力部10E及び10Fをy軸方向から見た形態を示している。本変形例に係る光入出力部10E及び10Fでは、第1実施形態(
図4を参照)とは異なり、第1の部分10cの光入出力ポート11、及び第2の部分10dの光入出力ポート12それぞれにおいて、光ファイバ11c,12cの光軸と集光素子11d,12dの光軸とが互いに一致している。
【0050】
また、本変形例では、光入出力ポート11の光ファイバ11c及び集光素子11dの光軸は、所定の軸線Cに対してx軸方向に傾斜している。例えば、
図10に示される光入出力部10Eでは、光ファイバ11c及び集光素子11dの光軸が、x軸正方向に傾斜している。また、
図11に示される光入出力部10Fでは、光ファイバ11c及び集光素子11dの光軸が、x軸負方向に傾斜している。これにより、所定の軸線Cに対しx軸方向に傾斜した光軸でもって、光入出力ポート11の入出射(すなわち、光入力ポート11aからの光L11の出射および光出力ポート11bへの波長成分L12の入射)が行われる。
【0051】
光入出力ポート12の光ファイバ12c及び集光素子12dの光軸もまた、所定の軸線Cに対してx軸方向に傾斜している。例えば、
図10に示される光入出力部10Eでは、光ファイバ12c及び集光素子12dの光軸が、x軸負方向に傾斜している。また、
図11に示される光入出力部10Fでは、光ファイバ12c及び集光素子12dの光軸が、x軸負方向に傾斜している。これにより、所定の軸線Cに対しx軸方向に傾斜した光軸でもって、光入出力ポート12の入出射(すなわち、光入力ポート12aからの光L12の出射および光出力ポート12bへの波長成分L21の入射)が行われる。
【0052】
本変形例のような形態であっても、上記第1実施形態の作用効果を好適に奏することができる。また、本変形例によれば、各光ファイバ11c及び12c、並びに各集光素子11d及び12dを等ピッチで配列し、これらの光軸を一致させることができるので、光学設計および製造が容易である。
【0053】
(第6の変形例)
図12〜
図15は、上記第1実施形態の更に別の変形例に係る光入出力部10G〜10Jの構成を模式的に示す側面図であって、光入出力部10G〜10Jをy軸方向から見た形態を示している。本変形例に係る光入出力部10G〜10Jでは、第1実施形態(
図4を参照)とは異なり、第1の部分10e,10gの光入出力ポート11、及び第2の部分10f,10hの光入出力ポート12それぞれにおいて、光ファイバ11e,12eの端面の法線が、当該光ファイバ11e,12eの光軸(すなわち光ファイバ11e,12eのコアの中心軸線)に対してx方向に傾斜している。言い換えれば、光ファイバ11e,12eの端面が、当該光ファイバ11e,12eの光軸に垂直な平面に対してx方向に傾斜している。したがって、光ファイバ11e,12eの入出射光L11、L12、L21及びL22の光軸は、当該光ファイバ11e,12eの光軸に対し、xz平面内において或る屈折角を有する。なお、光ファイバ11e,12eの端面のコア領域(すなわち光入出射点)は、所定の軸線Cに対して直交する直線(本変形例ではx軸に沿った直線)上に並んで配置されている。
【0054】
例えば、
図12及び
図13に示された光入出力部10G,10Hでは、第1の部分10e,10gの光ファイバ11eの端面の角度がθaとなっており、光ファイバ11eの入出射光L11及びL12は、第2の部分10f,10hの入出射光L21及びL22に近づく方向に屈折する。一方、第2の部分10f,10hの光ファイバ12eの端面の角度が−θaとなっており、光ファイバ12eの入出射光L21及びL22は、第1の部分10e,10gの入出射光L11及びL12に近づく方向に屈折する。すなわち、本変形例では、光入出力ポート11の光ファイバ11eの端面において入射若しくは出射される光L11,L12の光軸と、光入出力ポート12の光ファイバ12eの端面において入射若しくは出射される光L21,L22の光軸とが、光ファイバ11e,12eの端面における屈折によって、互いに近づく方向へ向けられている。
【0055】
また、光入出力部10G,10Hでは、xz平面内において、光ファイバ11e,12eの端面に入射若しくは出射される光L11,L12,L21及びL22の光軸が所定の軸線Cに対して成す角度(−θ及びθ)と、集光素子11f,12fの光軸が所定の軸線Cに対して成す角度とが互いに異なる。なお、一実施例では、集光素子11f,12fの光軸は所定の軸線Cに対して平行であってもよい。
【0056】
本変形例のような形態であっても、上記第1実施形態の作用効果を好適に奏することができる。加えて、本変形例に係る光入出力部10G,10Hでは、光ファイバ11e,12eの端面において入射若しくは出射される光L11,L12の光軸が、集光素子11f,12fの光軸に対して傾斜している。これにより、光入出力ポート11,12から出射された光L11,L21が前段光学系を構成する光学部品(リレー光学系41等)において反射して生じる戻り光が、光入出力ポート11,12に結合して迷光となることを防止することができる。また、光入出力ポート11,12から出射された光の出射方向を揃えることができるとともに、前段光学系に至るまでの光路長を等しくすることができるので、波長選択スイッチ1Aにおける光路制御精度を向上させ、光損失の発生を抑制できる。
【0057】
また、光入出力部10G,10Hでは、第1の部分10e,10gにおいて光ファイバ11eの光軸が集光素子11fの光軸に対して傾斜する角度(+θa)と、第2の部分10f,10hにおいて光ファイバ12eの光軸が集光素子12fの光軸に対して傾斜する角度(−θa)とは互いに異なる。更に、各光ファイバ11eにおいて入射若しくは出射される光L11及びL12が、集光素子11f内において集光素子11fの光軸を通るように、光ファイバ11eと集光素子11fとの相対位置関係が設定されている。同様に、各光ファイバ12eにおいて入射若しくは出射される光L21及びL22が、集光素子12f内において集光素子12fの光軸を通るように、光ファイバ12eと集光素子12fとの相対位置関係が設定されている。
【0058】
これにより、光入出力部10G,10Hは、光ファイバ11e,12eにおいて入射若しくは出射される光L11,L12,L21及びL22の光路が集光素子11f,12fにおいて変更されることを抑制しつつ、光L11,L12,L21及びL22を入射若しくは出射することができる。これにより、光ファイバ11eと集光素子11fとの調芯、および光ファイバ12eと集光素子12fとの調芯を容易に行うことができる。
【0059】
なお、
図12に示された光入出力部10Gでは、光ファイバ11eの光軸は、所定の軸線Cに対して−θbだけx方向に傾斜している。また、光ファイバ12eの光軸は、所定の軸線Cに対してθbだけx方向に傾斜している。一方、
図13に示された光入出力部10Hでは、光ファイバ11e,12eの光軸は、所定の軸線Cに沿っている。これらのように、光ファイバ11e,12eの光軸方向は、所定の軸線Cに対して傾斜していてもよく、所定の軸線Cに沿っていてもよい。
【0060】
また、光入出力部10G及び10Hでは、光ファイバ11eにおいて入射若しくは出射される光L11及びL12の光軸と、光ファイバ12eにおいて入射若しくは出射される光L21及びL22の光軸とが互いに近づくように、光ファイバ11e及び12eの端面傾斜角が設定されている。これにより、第1の部分10e,10gの集光素子11fと第2の部分10f,10hの集光素子12fとをより近づけることができるので、光入出力部10G,10Hを小型化できる。また、集光素子11f,12fとして、複数のレンズが等ピッチ(間隔α)で配列されたレンズアレイを用いることもできる。さらに、光入出力部10Gは、光ファイバ11e,12eが集光素子11f,12fの反対側において互いに遠ざかるように配置されるので、光ファイバ11e,12eが互いに干渉することを防止できる。このように光入出力部10G,10Hの構成が簡易となるので、低コスト化が可能となる。
【0061】
図14は、本変形例の別の形態を示す図である。
図14に示される光入出力部10Iと
図12に示された光入出力部10Gとの相違点は、光ファイバ11e,12eと集光素子11f,12fとの相対位置関係である。すなわち、
図14に示される光入出力部10Iでは、第1の部分10iの光ファイバ11eにおいて入射若しくは出射される光L11及びL12が、集光素子11f内において集光素子11fの光軸から第2の部分10j寄りに所定距離だけずれた位置を通過するように、光ファイバ11eと集光素子11fとの相対位置関係が設定されている。これにより、光L11及びL12の光軸は、集光素子11fにおいて、入出射光L21及びL22から離れる方向に屈曲する。同様に、第1の部分10jの光ファイバ12eにおいて入射若しくは出射される光L21及びL22が、集光素子21f内において集光素子21fの光軸から第1の部分10i寄りに所定距離だけずれた位置を通過するように、光ファイバ21eと集光素子21fとの相対位置関係が設定されている。これにより、光L21及びL22の光軸は、集光素子12fにおいて、入出射光L11及びL12から離れる方向に屈曲する。
【0062】
例えば
図14に示される光入出力部10Iのように、光ファイバ11e,12eにおいて入射若しくは出射される光L11,L12,L21,L22は、集光素子11f,12f内において集光素子11f,12fの光軸からずれた位置を通過してもよい。これにより、光ファイバ11e,12eにおいて入射若しくは出射される光L11,L12,L21,L22の光軸の角度を、集光素子11f,12fによって所望の角度に調整することができる。また、
図14に示される光入出力部10Iのように、光L11及びL12が、集光素子11fの光軸から第2の部分10j寄りにずれた位置を通過し、光L21及びL22が、集光素子12fの光軸から第1の部分10i寄りにずれた位置を通過することによって、光入出力部10Iを小型化できる。更に、集光素子11f,12fとして、複数のレンズが等ピッチ(間隔α)で配列されたレンズアレイを用いることもできる。さらに、光入出力部10Iは、光ファイバ11e,12eが集光素子11f,12fの反対側において互いに遠ざかるように配置されるので、光ファイバ11e,12eが干渉することを防止できる。このように、光入出力部10Iの構成が簡易となるので、低コスト化が可能となる。なお、光入出力部10Iのような形態であっても、上記第1実施形態の作用効果を好適に奏することができる。
【0063】
図15は、本変形例の更に別の形態を示す図である。
図15に示される光入出力部10Jの第1の部分10iの構成は、
図14に示された光入出力部10Iの第1の部分10iの構成と同じである。また、光入出力部10Jの第2の部分10kの構成は、
図12に示された光入出力部10Gの第2の部分10gにおいて光L21,L22の傾斜方向を逆方向としたものである。すなわち、光入出力部10Jの第2の部分10kでは、光ファイバ12eの端面の法線が、当該光ファイバ12eの光軸に対してx方向にθaだけ傾斜している。言い換えれば、第2の部分10kの光ファイバ12eの端面は、第1の部分10iの光ファイバ11eの端面と同じ方向に同じ角度θaだけ傾斜している。更に、光ファイバ12eの光軸は、所定の軸線Cに対し、光ファイバ11eの光軸と同じ方向に同じ角度(−θb)だけ傾斜している。
【0064】
但し、第2の部分10kでは、各光ファイバ12eにおいて入射若しくは出射される光L21及びL22が、集光素子12f内において集光素子12fの光軸を通るように、光ファイバ12eと集光素子12fとの相対位置関係が設定されている。従って、光L21及びL22の光路は、集光素子12fにおいて変更されない。従って、光L21及びL22の光軸は、光L11及びL12から離れる方向に延びる。すなわち、光入出力部10Jでは、光L11,L12の光軸と、光L21,L22の光軸とが、互いに離れる方向へ向けられている。
【0065】
図15に示された光入出力部10Jのように、第1の部分10iの光ファイバ11eと第2の部分10kの光ファイバ12eとは、互いに同じ角度(−θb)だけ傾斜していてもよい。このような場合であっても、例えば、光ファイバ11e,12eに対する集光素子11f,12fの相対位置(集光素子11f,12fの光軸に対する光L11,L12,L21及びL22のずれ量)を調整することによって、光L11,L12の角度と光L21及びL22の角度とを好適に異ならせることができる。そして、上記第1実施形態の作用効果を好適に奏することができる。
【0066】
(第2の実施の形態)
図16及び
図17は、第2実施形態に係る波長選択スイッチ1Bの構成を示す模式図である。
図16は、直交座標系Sのy軸方向から見た波長選択スイッチ1Bの側面図であり、x軸及びz軸を含む平面における波長選択スイッチ1Bの模式的な構成を示している。
図17は、直交座標系Sのx軸方向から見た波長選択スイッチ1Bの上面図であり、y軸及びz軸を含む平面における波長選択スイッチ1Bの模式的な構成を示している。
【0067】
図16及び
図17に示されるように、波長選択スイッチ1Bは、所定の軸線C上に並んで配置された光入出力部10L、リレー光学系41、アナモルフィック光学系42、分光素子20、集光レンズ43、及び光偏向素子30を備えている。なお、
図16及び
図17では所定の軸線Cが一直線状に描かれているが、例えば反射鏡等が中途に配置されることにより所定の軸線Cが屈曲していてもよい。
【0068】
図18は、所定の軸線Cの方向(z軸方向)から見た光入出力部10Lの構成を示す図である。また、
図19は、y軸方向から見た光入出力部10Lの構成を模式的に示す図である。
図18及び
図19に示されるように、光入出力部10Lは、3個以上の第1の光入出力ポート11を含む第1の部分10mと、3個以上の第2の光入出力ポート12を含む第2の部分10nとを有している。そして、3個以上の光入出力ポート11及び3個以上の光入出力ポート12のうち一部の光入出力ポート(本実施形態では全ての光入出力ポート11)と、残部の光入出力ポート(本実施形態では全ての光入出力ポート12)とが、所定の軸線Cおよびx軸方向と交差する方向(例えばy軸方向)に並んで配置されている。換言すれば、第1の部分10mと第2の部分10nとが、y軸方向に並んで配置されている。
【0069】
第1の部分10mの光入出力ポート11は、x軸方向に整列された第1の列15に含まれている。また、第2の部分10nの光入出力ポート12は、x軸方向に整列された第2の列16に含まれている。第2の列16は、第1の列15に対してy軸方向に並んで配置されている。光入出力ポート11,12の詳細な構成は、前述した第1実施形態、第1変形例、第2変形例、又は第3変形例と同様である。
【0070】
再び
図17を参照すると、本実施形態では、光入力ポート11aからの光L11、及び光偏向素子30から光出力ポート11bへ向けられた波長成分L12と、光入力ポート12aからの光L21、及び光偏向素子30から光出力ポート12bへ向けられた波長成分L22とが、y軸方向において分光素子20の同じ位置(図中の位置P1)を通過している。このような構成によって、x軸方向から見て光L11と波長成分L12と(若しくは光L21と波長成分L22と)が同じ光路を辿るので、第1の列15に含まれる光入力ポート11aと光出力ポート11bとの間(若しくは光入力ポート12aと光出力ポート12bとの間)で光の送受を好適に行うことができる。このような構成は、例えば、光L11及び波長成分L12と、光L21及び波長成分L22とが位置P1を通過するような光パワーを前段光学系(リレー光学系41及びアナモルフィック光学系42)がy軸方向において有することにより、好適に実現される。
【0071】
本実施形態の波長選択スイッチ1Bによれば、第1実施形態の波長選択スイッチ1Aと同様に、光入出力部10Lの第1の光入出力ポート11および第2の光入出力ポート12のそれぞれにおいて入出射光の光軸に所定の角度を付与する。したがって、本実施形態の波長選択スイッチ1Bによれば、部品点数を抑え、光路長を過度に長くすることなく、より多くの波長成分を分離(若しくは結合)することが可能となる。
【0072】
また、本実施形態では、光入出力ポート11,12のうち一部の光入出力ポート(第1の列15)と、残部の光入出力ポート(第2の列16)とが、y軸方向に並んで配置されている。これにより、第1実施形態のように光入出力ポート11,12が一列に並ぶ場合と比較してx軸方向の両端に位置する光入出力ポートの間隔を短くできるので、光偏向素子30に要求される最大偏向角を抑えることができる。これにより、例えば光偏向素子30がLCOS型の位相変調素子である場合に、偏向角の精度を高めることができる。
【0073】
また、本実施形態では、全ての光入出力ポート11が上記一部の光入出力ポートに含まれ、全ての光入出力ポート12が上記残部の光入出力ポートに含まれている。これにより、光入力ポート11aから光出力ポート11bまでの光路と、光入力ポート12aから光出力ポート12bまでの光路とを完全に分離することができ、クロストークを低減することができる。
【0074】
また、本実施形態では、光L11及びL12と、光L21及び光L22とが、y軸方向において分光素子20の同じ位置P1を通過している。このような場合には、分光素子20が所定の軸線Cに対してx軸回りに傾いていても良い。その理由について、
図20を参照しながら以下に説明する。
図20(a)は、所定の軸線Cの方向から見た光偏向素子30の正面図である。
図20(b)は、分光素子20に光L11,L21が入射する様子を示す側面図である。
【0075】
本実施形態では、互いにy軸方向に並ぶ(すなわち、y軸方向の位置が互いに異なる)第1の列15および第2の列16それぞれからの光L11,L21が、y軸方向において同じ位置P1に入射する。したがって、分光素子20に対する光L11,L21のyz面内での入射角が僅かに相違することがある。分光素子20の分光特性は分光面内(本実施形態ではyz面内)での入射角に依存するので、その結果、同じ波長の光であっても、光L11とL21とで分光後の光軸の角度が異なってしまう。つまり、
図20(a)に示されるように、第1の光偏向部31と第2の光偏向部32とが、y軸方向に例えばΔyだけずれてしまう。
【0076】
ここで、分光素子20が回折格子構造を有する素子である場合、yz面内における分光素子20への光の入射角をαとすると、分光素子20から出射される波長成分の出射角βは次式で表される。
sinβ={mλ/(d・cosε)}−sinα
但し、mは分光素子20の回折次数であり、dは分光素子20の回折格子のピッチであり、λは分光素子20への入射光の波長であり、εはxz面内における分光素子20への光の入射角である。この数式から明らかなように、出射角βは、yz面内での入射角αだけでなく、xz面内での入射角εの余弦にも依存する。入射角εの余弦は、εの正負に関わらず、εの絶対値の増減に従って増減する。つまり、
図20(b)に示されるようにxz面内において分光素子20を傾けると、一方の光(例えば光L11)の入射角α1は大きくなり、その余弦は小さくなるので、上の数式に基づき波長成分の出射角βが大きくなる。また、他方の光(例えば光L21)の入射角α2は小さくなり、その余弦は大きくなるので、上の数式に基づき波長成分の出射角βは小さくなる。その結果、
図20(a)に示されたずれ量Δyを小さくすることが可能となる。
【0077】
なお、分光素子20を所定の軸線Cに対して傾けない形態も可能である。この場合、第1の光偏向部31において反射される光L12と、第2の光偏向部32において反射される光L22において、同一波長の光が結合される位置を遠ざけることができるので、クロストークを低減することができる。
【0078】
(第3の実施の形態)
図21及び
図22は、第3実施形態に係る波長選択スイッチ1Cの構成を示す模式図である。
図21は、直交座標系Sのy軸方向から見た波長選択スイッチ1Cの側面図であり、x軸及びz軸を含む平面における波長選択スイッチ1Cの模式的な構成を示している。
図22は、直交座標系Sのx軸方向から見た波長選択スイッチ1Cの上面図であり、y軸及びz軸を含む平面における波長選択スイッチ1Cの模式的な構成を示している。
【0079】
図21及び
図22に示されるように、波長選択スイッチ1Cは、所定の軸線C上に並んで配置された光入出力部10M、リレー光学系41、アナモルフィック光学系42、分光素子20、集光レンズ43、及び光偏向素子30を備えている。なお、
図21及び
図22では所定の軸線Cが一直線状に描かれているが、例えば反射鏡等が中途に配置されることにより所定の軸線Cが屈曲していてもよい。
【0080】
図23は、所定の軸線Cの方向(z軸方向)から見た光入出力部10Mの構成を示す図である。また、
図24は、y軸方向から見た光入出力部10Mの構成を模式的に示す図である。
図23に示されるように、光入出力部10Mは、3個以上の第1の光入出力ポート11を含む第1の部分10pと、3個以上の第2の光入出力ポート12を含む第2の部分10qとを有している。そして、3個以上の光入出力ポート11及び3個以上の光入出力ポート12のうち一部の光入出力ポート(本実施形態では光入力ポート11a及び光出力ポート12b)と、残部の光入出力ポート(本実施形態では光入力ポート12a及び光出力ポート11b)とが、所定の軸線Cおよびx軸方向と交差する方向(例えばy軸方向)に並んで配置されている。
【0081】
また、光入力ポート12a及び光出力ポート11bは、x軸方向に整列された第1の列17に含まれている。また、光入力ポート11a及び光出力ポート12bは、x軸方向に整列された第2の列18に含まれている。第2の列18は、第1の列17に対してy軸方向に並んで配置されている。光入力ポート11a,12a及び光出力ポート11b,12bの詳細な構成は、前述した第1実施形態、第1変形例、第2変形例、又は第3変形例と同様である。
【0082】
再び
図22を参照すると、本実施形態では、光入力ポート11aからの光L11と、光偏向素子30から光出力ポート11bへ向けられた波長成分L12とが、y軸方向において分光素子20の異なる位置(図中の位置P3,P4)を通過している。同様に、光入力ポート12aからの光L21と、光偏向素子30から光出力ポート12bへ向けられた波長成分L22とが、y軸方向において分光素子20の異なる位置(図中の位置P4,P3)を通過している。このような構成によって、x軸方向から見て光L11と波長成分L12と(若しくは光L21と波長成分L22と)が異なる光路を辿るので、光入力ポート11aと光出力ポート11bとの間(若しくは光入力ポート12aと光出力ポート12bとの間)で光の送受を好適に行うことができる。
【0083】
ここで、分光素子20における位置P3及びP4は、次のように設定されることが望ましい。すなわち、y軸方向において、集光レンズ43の光軸から位置P3までの距離をy
3、集光レンズ43の光軸から位置P4までの距離をy
4、レンズ41aの光軸から第1の列17の光入出力ポートの中心軸線までの距離をy
1、レンズ41aの光軸から第2の列18の光入出力ポートの中心軸線までの距離をy
2としたとき、y
1:y
3=y
2:y
4となるように位置P3及びP4が設定されるとよい。
【0084】
このような構成は、例えば、光L11及び波長成分L22が位置P3を通過し、光L21及び波長成分L12が位置P4を通過するような光パワーを前段光学系(リレー光学系41及びアナモルフィック光学系42)がy軸方向において有することにより、好適に実現される。また、このような構成は、光入力ポート11aからの波長成分L12が光出力ポート11bに到達し、光入力ポート12aからの波長成分L22が光出力ポート12bに到達するように、y軸方向における光偏向素子30への入射角が集光レンズ43によって設定されていることにより、好適に実現される。
【0085】
本実施形態の波長選択スイッチ1Cによれば、第1実施形態の波長選択スイッチ1Aと同様に、光入出力部10Mの光入力ポート11a及び11b、並びに光出力ポート11b及び12bのそれぞれにおいて入出射光の光軸に所定の角度を付与する。したがって、本実施形態の波長選択スイッチ1Cによれば、部品点数を抑え、光路長を過度に長くすることなく、より多くの波長成分を分離(若しくは結合)することが可能となる。
【0086】
また、本実施形態では、光入出力ポート11,12のうち一部の光入出力ポート(第1の列17)と、残部の光入出力ポート(第2の列18)とが、y軸方向に並んで配置されている。これにより、第1実施形態のように光入出力ポート11,12が一列に並ぶ場合と比較してx軸方向の両端に位置する光入出力ポートの間隔を短くできるので、光偏向素子30に要求される最大偏向角を抑えることができる。これにより、例えば光偏向素子30がLCOS型の位相変調素子である場合に、偏向角の精度を高めることができる。
【0087】
なお、本実施形態においても、第2実施形態と同様に、分光素子20が所定の軸線Cに対してx軸方向に傾いていてもよい。これにより、光偏向素子30の第1の光偏向部31と第2の光偏向部32とのy軸方向におけるずれ量Δyを調整することができる。
【0088】
(第7の変形例)
図25及び
図26は、上記第2実施形態および第3実施形態の一変形例を示す図である。
図25は、所定の軸線Cの方向(z軸方向)から見た本変形例の光入出力部10Nの構成を示す図である。また、また、
図26は、所定の軸線Cの方向(z軸方向)から見た本変形例の光入出力部10Pの構成を示す図である。
【0089】
光入出力部10N及び10Pそれぞれは、第2実施形態及び第3実施形態それぞれの構成に加えて、調芯用ポート13を更に有している。調芯用ポート13は、所定の軸線Cに沿った光軸でもって調芯用の光の入出射を行うためのポートである。なお、調芯用ポート13の内部構成は、前述した第1実施形態と同様である。
【0090】
光入出力部10N及び10Pでは、3個以上の光入出力ポート11及び3個以上の光入出力ポート12のうち一部の光入出力ポート(第1の列15,17)と、残部の光入出力ポート(第2の列16,18)とが、y軸方向に並んで配置されている。調芯用ポート13は、これら一部及び残部の光入出力ポートのそれぞれに対して少なくとも一つずつ設けられるとよい。本変形例では、第1の列15,17に一つの調芯用ポート13が設けられ、第2の列16,18に一つの調芯用ポート13が設けられている。
【0091】
本変形例のように、第2及び第3の実施形態に係る光入出力部10L及び10Mは、光入出力ポート11,12とは別に、所定の軸線Cに沿った光軸でもって調芯用の光の入出射を行う調芯用ポート13を更に有してもよい。光入出力ポート11,12は入出射光が傾斜しているため調芯に使用し難いが、このような調芯用ポート13を別に用意しておくことによって、調芯作業を容易に行うことができる。
【0092】
上述した各実施形態および各変形例による波長選択スイッチは、他に様々な変形が可能である。例えば、上記各実施形態および各変形例では、光入出力ポートが光ファイバ及び集光レンズを含むものとして説明したが、光入出力ポートはこのような形態に限られない。また、上記各実施形態および各変形例では、入出射角が互いに異なる2つの部分(第1及び第2の部分)を光入出力部が有する場合について説明したが、光入出力部は、入出射角が互いに異なる3つ以上の部分を有しても良い。