(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本実施の形態に係る造形用画像管理システムの全体を示す概略図である。
【0023】
通信回線網10には、ネットワークI/F12を介して、造形用画像管理制御装置14が接続されている。
【0024】
通信回線網10は、例えば、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)又はインターネット回線であり、複数のLANが、WAN(ワールド・エリア・ネットワーク)によって相互に接続されていてもよい。また、通信回線網10を含む全ての通信回線網は、それぞれ有線接続である必要はない。すなわち、一部又は全部が無線によって情報を送受信する無線通信回線網であってもよい。
【0025】
造形用画像管理画像制御装置14は、本体16と、受付手段としてのUI(ユーザーインターフェイス)18とを有している。UI18は、表示部としてのモニタ20と、入力操作部としてのキーボード22及びマウス24を備える。
【0026】
また、本体16には、画像情報の入力源として機能する、取込手段としてのメディアリーダー26と、画像読取装置28とが接続されている。
【0027】
メディアリーダー26には、例えばSDメモリカード等の記録メディア30が挿入可能なスロット部が設けられ、挿入された記録メディアに記録されたイメージ画像データが読み取られ、本体16へ送出される。
【0028】
また、画像読取装置28は、例えば、原稿32を位置決めする原稿台と、原稿台に置かれた原稿32の画像を走査して光を照射する走査駆動系と、走査駆動系の走査により反射又は透過する光を受光して電気信号に変換するCCD等の光電変換素子と、が設けられている。
【0029】
ここで、原稿台にイメージ画像が形成された原稿32が位置決めされ、走査駆動系が動作することで、光電変換素子によってイメージ画像が読み取られ、本体16へ送出される。
【0030】
なお、イメージ画像は、通信回線網10から取込手段として機能するネットワークI/F12を介して、受信する場合もある。
【0031】
図2に示される如く、造形用画像管理制御装置14の本体16は、CPU16A、RAM16B、ROM16C、入出部16D(I/O16D)、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス16Eを備えている。
【0032】
I/O16Dには、前述したように、ネットワークI/F12、UI18(モニタ20、キーボード22及びマウス24)、メディアリーダー26、及び画像読取装置28が接続されている。
【0033】
また、I/O16Dには、大規模記録媒体としてのハードディスク34が接続されており、後述する素材データベース54、一時格納部66、注目画像格納部68、及び設計情報格納部78(それぞれ、
図3参照)として機能する。
【0034】
ROM16Cには、造形用画像管理制御のためのプログラムが記録されており、造形用画像管理制御装置14が起動すると、ROM16Cから当該プログラムが読み出され、CPU16Aによって実行される。なお、造形用画像管理制御プログラムは、ROM16Cの他、ハードディスク34や他の記録媒体に記録しておいてもよい。
【0035】
図1及び
図2に示される如く、通信回線網10には、三次元造形装置36(以下、「3Dプリンタ36」という場合がある。)が接続されている。なお、三次元造形装置36は、造形用画像管理制御装置14に、専用の信号線を介して、直接接続してもよい。
【0036】
三次元造形装置36は、造形物の造形方式が異なる複数種類の三次元造形装置が存在する。造形方式としては、液層光重合方式、結合剤噴射方式、材料押出方式、材料噴射方式、シート積層方式、粉末床溶融結合方式、及び指向性エネルギー堆積方式等がある。
【0037】
図1では、三次元造形装置36の外観の一例を示しているが、三次元造形装置36は、造形方式、造形し得る造形物の大きさの範囲、及び適用する材料(フィラメント)の種類を含む要素によって、その外観及び大きさが様々である。
【0038】
また、
図1及び
図2では、単一の三次元造形装置36を図示しているが、複数種類の三次元造形装置36を接続し、造形する対象によって、選択可能としてもよい。
【0039】
三次元造形装置36では、それぞれの造形方式の種類によって、造形するときの適応し得る材質(材料)が異なる。
【0040】
以下に、造形方式の種類とそれぞれの造形方式の適応材質の関係の一例を示す(造形方式・・・適用材質)。
(1)液層光重合方式・・・UV硬化樹脂
(2)結合剤噴射方式・・・石膏、セラミックス、砂、カルシウム、プラスティック
(3)材料押出方式・・・ABS(アクリニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、PLA(ポリ乳酸)、ナイロン12、PC(ポリカーボネイト)、PPSF(ポリフェニルスルホン)
(4)材料噴射方式・・・UUV硬化樹脂、脂、ワックス、ハンダ
(5)シート積層方式・・・紙、樹脂シート、アルミシート
(6)粉末床溶融結合方式・・・エンジニアリングプラスティック、ナイロン、金属
(7)指向性エネルギー堆積方式・・・金属
ところで、三次元造形物を作製する場合、例えば、三次元造形物を作製する業務を行っている事業者の指定する撮影スタジオに出向き、対象物の凹凸を感知して3Dデータとして取り込む専用の3Dスキャナによって撮影する場合は問題無いが、依頼者が、三次元造形物を作製するための素材となるイメージ画像を送る場合、依頼者自身が必要なイメージ画像を作成する必要がある。
【0041】
しかし、例えば、デジタルカメラで撮影した画像データの中から、三次元造形物を作製するための必要最小限の画像を抽出するのは、困難を強いられる。特に、現状では、デジタルカメラ又は記録メディアに保存される画像データ数は、数100枚〜数1000枚におよぶ場合があり、手作業での抽出は煩雑な作業となる。
【0042】
そこで、本実施の形態の造形用画像管理制御装置14では、三次元造形装置36によって三次元造形物を作成するための要素となるイメージ画像を取り込む機能(
図3に示す、第1の機能部38)、取り込んだイメージ画像の中から、三次元造形物として作製したい対象物(注目画像)を抽出し、抽出した注目画像に基づいて、三次元造形物を作製するための設計情報を作成するモデリング機能(
図3に示す第2の機能部40)、及び造形指示に基づいて、前記モデリング機能で設計した設計情報を特定の三次元造形装置36へ出力する機能(
図3に示す第3の機能部42)を持たせた。
【0043】
図3は、本実施の形態に係る造形用画像管理制御装置14の、第1の機能部38、第2の機能部40、及び第3の機能部42のそれぞれの処理を詳細に示す機能ブロック図である。なお、
図3は、造形用画像管理制御装置14のハード構成を限定するものではない。
【0044】
(第1の機能部38)
図3に示される如く、ネットワークI/F12、メディアリーダー26、及び画像読取装置28は、それぞれ取込手段としての受付部44に接続されている。
【0045】
受付部44では、ネットワークI/F12を介して受信したイメージ画像データ、メディアリーダー26のスロットに挿入された記録メディア30(
図1参照)から読み取ったイメージ画像データ、及び画像読取装置28の原稿台に位置決めされた原稿32(
図1参照)から読み取ったイメージ画像データをそれぞれ受け付ける。
【0046】
受付部44は、解析処理部46に接続されており、受け付けたイメージ画像データは、この解析処理部46へ送出される。
【0047】
解析処理部46には、パターン認識部48及び色スペクトル分析部50が接続されており、受付部44から受け付けたイメージ画像に対して、パターン認識処理及び色スペクトル分析処理が実行される。
【0048】
すなわち、パターン認識処理の一例としては、予め記憶したパターンに一致する画像を抽出する。例えば、人、動物、植物、静物、食材、乗り物、建築物等のジャンルの何れに属するかを判定し、さらに、種類を細分化する。
【0049】
また、色スペクトル分析処理の一例としては、パターン認識された画像の色の配分を解析することで、例えば、同様体格の人間が、着用している衣服の色によって、同一人物か否かを判別する。
【0050】
解析処理部46は、識別処理部52に接続されている。解析処理部46において、1枚のイメージ画像の中からパターン認識された注目画像を分類すると共に、複数枚のイメージ画像の間で、撮影視点、大きさに関係なく、同一注目画像同士として紐付けした状態で、識別処理部52へ送出する。識別処理部52では、紐付けされた同一の注目画素のそれぞれに識別情報(ID)を付与し、一括りとして格納手段である素材データベース54に格納する。ID−注目画像を関連付けて素材データベース54へ格納するまでが、造形用画像管理制御装置14の第1の機能部38となる。
【0051】
(第2の機能部40)
図3に示される如く、UI18は、情報仕分部56に接続されている。UI18には、ユーザーが第1抽出情報と、第2抽出情報を入力する。
【0052】
第1抽出情報とは、三次元造形を希望する被写体を特定するための識別情報(ID)を特定するID特定情報であり、例えば、人物であれば、予め識別情報(ID)と関連付けて登録した氏名が挙げられる。
【0053】
第2抽出情報とは、三次元造形物を作製するときの要件を特定する造形要件情報であり、例えば、造形の精密度、大きさ(尺度)を含む外観的特徴が挙げられる。この造形要件に基づいて、イメージ画像から抽出する被写体の撮影視点が特定される。撮影視点は、所謂六面図(正面、背面、右面、左面、上面、下面)が標準となるが、この6箇所の撮影視点撮影された画像が必ずしも全て揃うことが必要ではなく、不足分を補う図面(拡大図、斜視図、俯瞰図等)があれば、撮影視点数は6箇所未満でもよい。
【0054】
例えば、造形要件情報として、人であれば、顔が精密であれば、胴体は粗雑でもよいといった要件の場合は、顔部分の画像を抽出し、胴体は予め設定したひな形を用いるようにしてもよい。
【0055】
さらに、イメージ画像全体面積に対する注目画像の占有面積(例えば、10%以上)を予め定めてもよい。
【0056】
情報仕分部56は、識別情報特定部58、及び、第2抽出手段としての第2抽出部60に接続されている。ここで、情報仕分部56で仕分けられた情報の内、前記第1抽出情報は、識別情報特定部58に送出され、前記第2抽出情報は、第2抽出部60に送出される。
【0057】
識別情報特定部58には、第1抽出情報−識別情報(ID)テーブル記憶部62が接続されている。ここで、識別情報特定部58では、第1抽出情報を受け付けると、第1抽出情報−識別情報(ID)テーブル記憶部62に記憶された第1抽出情報−識別情報(ID)テーブルに基づいて、第1抽出情報に対応する識別情報(ID)を特定する。
【0058】
識別情報特定部58は、第1抽出手段としての第1抽出部64に接続されており、前記特定した識別情報(ID)をこの第1抽出部64へ送出する。
【0059】
第1抽出部64は、素材データベース54に接続されている。第1抽出部64では、識別情報(ID)を受け付けると、素材データベース54から当該識別情報(ID)が付与された被写体(注目画像)が撮影されたイメージ画像を抽出し、一時格納部66へ格納する。
【0060】
素材データベース54には、複数のイメージ画像がデータベース化されており、複数のイメージ画像が抽出されることになる。この第1抽出部64では、注目画像の状態(向き、大きさ等)は無関係に、識別情報(ID)が付与された注目画像を網羅するため、同じ向きや同じ大きさの注目画像が撮影されたイメージ画像や、画角に対して極端に小さい状態(例えば、10%未満の占有面積)で注目画像が撮影されたイメージ画像を含むことになる。
【0061】
前記第2抽出部60は、第2抽出情報に基づいて、一時格納部66から注目画像を抽出する。すなわち、外観的特徴を表現するために必要な撮影視点及び大きさで撮影された注目画像であり、必要最小限の撮影視点箇所で撮影された複数の注目画像を抽出し、注目画像格納部68へ送出する。
【0062】
注目画像格納部68では、第2抽出部62から全ての注目画像を受け付けると、当該注目画像を相対表作成部70へ送出する。
【0063】
相対表作成部70では、
図4に示される如く、各画像の撮影情報一覧表が作成されるようになっている。
【0064】
図4に示される如く、相対表は、注目画像を特定する画像番号(No.)、撮影視点、詳細情報の項目に分類されている。例えば、画像AAA(No.0012)は、撮影視点が正面であり、詳細情報として傾斜各が仰角θ°であり、撮影時にストロボが使用され、ピント状態が良好(○)な状態であることがわかる。
【0065】
ここで、撮影視点は、予め定めた許容範囲の広角をもって設定すればよく、例えば、正面が厳密に被写体に正対する必要ない。
【0066】
また、傾斜角は、例えば、撮影したデジタルカメラに内蔵されている傾斜計の情報(水平を0°として、上向きが仰角、下向きが俯角)を取り込むことが可能である。
【0067】
さらに、ピント状態は、最良(◎)、良好(○)、普通(△)、ずれあり(×)の4段階程度としたが、特に段階は限定されるものではない。
【0068】
なお、詳細情報として、三次元造形物の作製に有用な情報があれば追記すればよい。
【0069】
図3に示される如く、相対表作成部70において相対表(
図4参照)が作成されると、相対表に関する情報が造形可否判定部72へ送出される。
【0070】
造形可否判定部72では、作成された相対表から三次元造形物の作製が可能であるか否かの判定を行う。
【0071】
すなわち、
図4の相対表のように、抽出した画像の撮影視点数が必要最小限の数だけ揃っていれば、三次元造形の作製として情報が十分であり、造形可能の判定となる。
【0072】
一方、
図4の相対表とは異なり、抽出した画像の撮影視点数が少ない場合(例えば、画像AAA、画像AAF、画像AAHの3箇所の撮影視点の場合)は、三次元造形の作製として情報が欠如しており、造形不可の判定となる。
【0073】
造形可否判定部72の判定結果は、可否情報出力部74、及び、作成手段としての設計部76へ送出されるようになっている。
【0074】
可否情報出力部74では、UI18に対して造形可否を報知するためのメッセージ情報を送出することで、メッセージがUI18(
図1に示すモニタ20)に表示される。
【0075】
例えば、モニタ20には、「三次元造形に必要な設計図を作成します」又は、「三次元造形に必要な画像が不足しています。もう一度やり直すかイメージ画像を追加して下さい。」等のメッセージが表示される。なお、報知は表示に限らず、警告音、音声、色信号等の他の報知手段でもよい。
【0076】
造形可否判定部72から設計部76に造形不可判定の情報が入力されると、設計は実行されない。一方、造形可否判定部72から設計部76に造形可能判定の情報が入力されると、設計部76では、注目画像格納部68に格納された注目画像を取り込み、三次元造形用の設計(モデリング処理)を実行する。
【0077】
設計部76において実行したモデリング処理による設計情報は、設計情報格納部78に格納される。
【0078】
(第3の機能部42)
図3に示される如く、UI18は、設計情報読出部80に接続されている。
【0079】
設計情報読出部80では、UI18から造形指示を受け付けると、造形指示で指示された識別情報(ID)に基づいて、設計情報格納部78から設計情報を読み出す。
【0080】
設計情報読出部80で読み出した設計情報は、出力部82を介して、特定の三次元造形装置36へ送出される。
【0081】
三次元造形装置36では、受け付けた設計情報に基づいて、三次元造形物の作製が実行される。
【0082】
以下に本実施の形態の作用を
図5〜
図8のフローチャートに従い説明する。
【0083】
図5は、造形用画像管理制御装置14で実行される造形システムメインルーチンを示す制御フローチャートである。
【0084】
ステップ100では、ネットワークI/F12、メディアリーダー26、又は画像読取装置28から、イメージ画像を受け付けたか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ102へ移行して、イメージ画像格納処理(
図6参照、詳細後述)が実行されて、ステップ104へ移行する。また、ステップ100で否定判定されると、ステップ104へ移行する。
【0085】
なお、イメージ画像格納処理は、本実施の形態の第1の機能部38での処理に相当する。
【0086】
ステップ104では、UI18によって造形情報が入力されたか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ106へ移行して、造形用画像抽出処理(
図7参照、詳細後述)が実行されて、ステップ108へ移行する。また、ステップ104で否定判定されると、ステップ108へ移行する。
【0087】
なお、造形用画像抽出処理は、本実施の形態の第2の機能部40での処理に相当する。
【0088】
ステップ108では、UI18によって造形指示が入力されたか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ110へ移行して、設計情報出力処理(
図8参照、詳細後述)が実行されて、このルーチンは終了する。また、ステップ108で否定判定されると、このルーチンは終了する。
【0089】
(イメージ画像格納処理)
図6は、造形用画像管理制御装置14の第1の機能部38で実行されるイメージ画像格納処理ルーチンを示す制御フローチャートである。
【0090】
ステップ120では、受付部44で受け付けたイメージ画像数を認識し、次いでステップ122へ移行して受付順にイメージ画像の解析処理を実行する。
【0091】
解析処理は、主として、パターン認識(顔認識を含む)と色スペクトル分析が実行される。
【0092】
次のステップ124では、前記解析処理の解析結果に基づいて、イメージ画像に撮影されている複数の被写体を分別し、注目画像を選出する。選出する注目画像は、単一の場合、複数の場合がある。
【0093】
次のステップ126では、選出した単一又は複数の注目画素に対して、それぞれ識別情報(ID)を付与して、ステップ128へ移行する。
【0094】
ステップ128では、識別情報(ID)と注目画像とを関連付けた状態で、素材データベース54へイメージ画像を格納し、ステップ130へ移行する。
【0095】
ステップ130では、注目画像を選出したイメージ画像が、受付画像数に到達したか否かが判断され、否定判定された場合は、注目画像の選出がなされていないイメージ画像が存在すると判断し、ステップ122へ移行して、上記工程を繰り返す。
【0096】
また、ステップ130で肯定判定された場合は、受け付けた全てのイメージ画像において、注目画像の選出が終了したと判断し、このルーチンは終了する。なお、1つのイメージ画像に対する注目画像の選出が終了する毎に、メインルーチン(
図10参照)に戻るようにしてもよい。
【0097】
(造形用画像抽出処理)
図7は、造形用画像管理制御装置14の第2の機能部40で実行される造形用画像抽出処理ルーチンを示す制御フローチャートである。
【0098】
ステップ140では、入力された造形情報を第1抽出情報と第2抽出情報とに仕分ける。
【0099】
次のステップ142では、識別情報特定部58において第1抽出情報−識別情報テーブルを読み出し、次いでステップ144へ移行して、第1抽出情報に基づき、識別情報(ID)を特定する。
【0100】
次のステップ146では、特定した識別情報(ID)に該当する注目画像が記憶されたイメージ画像を、素材データベース54から抽出し(第1抽出)、ステップ148へ移行する。
【0101】
ステップ148では、第1抽出部64で抽出したイメージ画像を一時格納部66へ一時的に格納し、次いで、ステップ150へ移行して、第2抽出情報から造形要件情報を解析する。造形要件情報としては、例えば、所定の大きさで記録されている注目画像、必要最小限の撮影視点を特定、といった情報がある。
【0102】
次のステップ152では、造形要件情報に基づき、一時格納部66に一時的に格納されていたイメージ画像の中から注目画像を抽出し(第2抽出)、ステップ154へ移行する。
【0103】
ステップ154では、第2抽出部60で抽出した注目画像を三次元造形用として、注目画像格納部68へ格納する。
【0104】
次のステップ156では、注目画像格納部68に格納された注目画像に基づいて、相対表(
図4参照)を作成し、次いでステップ158へ移行して、作成した相対表に基づいて、造形の可否を判定し、次いでステップ160へ移行して、UI18に対して造形の可否を報知し、ステップ162へ移行する。
【0105】
ステップ162では、造形が可能か否かが判断され、肯定判定されると、ステップ164へ移行して、三次元造形用の設計情報を作成(モデリング処理)し、ステップ166へ移行して設計情報を設計情報格納部78へ格納して、このルーチンは終了する。また、ステップ162で否定判定された場合は、このルーチンは終了する。
【0106】
モデリング処理は、例えば、二次元デーダを、三次元座標系上に対応する各平面に配置して、少なくとも二つの二次元データにおいて共通する点の位置が指示されたときに、その指示された少なくとも二つの点の情報に基づいて、かかる共通する点に対応する三次元座標系上の位置を算出する。
【0107】
(設計情報出力処理)
図8は、造形用画像管理制御装置14の第3の機能部42で実行される設計情報出力処理ルーチンを示す制御フローチャートである。
【0108】
ステップ170では、設計情報読出部80が、UI18から造形指示を受けると、設計情報格納部78から、指示された三次元造形用の設計情報を読み出す。
【0109】
次のステップ172では、読み出した設計情報を、出力部82によって、三次元造形装置36へ出力し、このルーチンは終了する。
【実施例】
【0110】
図9は、本実施の形態に係る造形用画像管理制御装置14を用い、例えば、デジタルカメラ等で撮影されたイメージ画像から、三次元造形に必要な注目画像を抽出するまでの流れの実施例を説明する。
【0111】
本実施例では、特定の人物Hの三次元造形物を作製することを目的とする。
【0112】
図9の(A)に示される如く、複数枚の撮影画像の中に、人物Hが点在している。
【0113】
人物Hは、第1の機能部38において、予め素材データベース54(
図3参照)に格納されている。
【0114】
ここで、UI18で入力された第1抽出情報に基づき、人物Hの識別情報(ID)が特定され、
図9(B)に示される如く、人物Hが撮影されているイメージ画像が抽出される(第1抽出)。
【0115】
第1抽出では、予め定めた大きさで人物Hが撮影された全てのイメージ画像が抽出されるため、例えば、暗い、ピントが合っていない、他の人物と被っている、向きが不明等といった、必要以上のイメージ画像が存在する場合がある。
【0116】
一方、UI18で入力された第2抽出情報に基づき、造形要件として必要な撮影視点を定め、
図9(B)に示される、第1抽出で抽出されたイメージ画像の中から、注目画像を抽出する(第2抽出)。
【0117】
ここでは、
図9(C)に示される如く、撮影視点として、正面、背面、右面、左面、上面、下面の6箇所の撮影視点で撮影された6種類の注目画像が抽出される。
【0118】
図9(C)に示される如く、所謂六面図(6箇所の撮影視点)があれば、モデリング処理が実行され、UI18からの造形指示に基づいて、設計情報が、三次元造形装置36(
図1参照)へ送出される。
【0119】
(変形例)
なお、本実施の形態(実施例を含む)では、例えば、デジタルカメラによって撮影された大量のイメージ画像から、特定の人物を識別情報(ID)に基づいて抽出し(第1抽出)、さらに、造形要件情報に基づいて、第1抽出で抽出されたイメージ画像の中から注目画像を抽出し(第2抽出)、第2抽出で抽出された注目画像によって三次元造形が可能である場合に、モデリング処理を実行し、三次元造形物を作製するための設計情報を三次元造形装置36に送出するようにした。
【0120】
変形例では、
図2のハードディスク34の一部の記憶領域として、
図10に示される如く、原型モデル格納手段としての原型モデルデータベース84を備えるようにした。
【0121】
原型モデルデータベース84には、予め、三次元造形物の種類、形状、姿勢別に、複数のひな形が登録されている。
【0122】
例えば、ひな形番号がNo.0001−0001は、人物が歩行しているひな形Sであり、三次元造形物を作製するにあたり、このひな形を選択する。
【0123】
一方、造形用管理画像制御装置14では、UI18から入力された第1抽出情報と第2抽出情報とに基づいて、最終的に、
図9(C)に示されるような注目画像を抽出する。
【0124】
このとき、
図9(C)の注目画像は、静止(立っている)している人物、歩行している人物、寝ている人物が存在する。
【0125】
そこで、前記選択したひな形を基本形として、当該ひな形に注目画像を当てはめたモデリング処理を実行する。
【0126】
これにより、注目画像の状態に関わらず、人物H(
図9(A)参照)が歩行している三次元造形物を作製することが可能となる。
【0127】
なお、本実施の形態(実施例、及び変形例を含む)では、デジタルカメラやスマートホン等で撮影された静止画を対象としたが、対象イメージ画像は、動画やイラスト画であってもよい。また、個人で楽しむ場合等、著作権等の保護権利を侵害しない場合は、一般公共電波や通信回線網から入手した画像であってもよい。
【0128】
(識別処理の簡略化)
また、本実施の形態では、解析処理部46、パターン認識部48及び色スペクトル分析部50により、撮影されている画像の中から三次元造形用の被写体を特定して、識別情報を付与する識別処理を実行したが、以下のような識別処理の簡略化が可能である。
【0129】
「簡略化1」 1枚のイメージ画像に三次元造形の対象となる単一の被写体を撮影するような場合、被写体と共に、撮影領域内に識別情報が暗号化された識別符号(バーコード等)を撮影することで、バーコードを復号化して、識別情報を得るようにしてもよい。
【0130】
「簡略化2」 撮影機器(デジタルカメラ等)側で、異なる焦点深度の複数の被写体を対象としてピント合わせが可能であり、基本は1回の撮影であるが、潜在的に複数回の撮影を実行し、被写体毎に合焦した(ピントがあった)状態の複数のイメージ画像情報を記録可能な場合、当該撮影機器側で、ピント合わせした被写体毎に識別符号を付与するようにしてもよい。
【0131】
「簡略化3」 特定の集団を撮影する場合に、当該集団に属する人物の衣服等に、無線タグを付加するようにしてもよい。この場合、撮影するとき、無線タグからの情報を人物と関連付けておけば、1枚のイメージ画像の中に複数の人物が撮影されても、それぞれをバーコードで識別することができる。
【解決手段】例えば、デジタルカメラによって撮影された大量のイメージ画像から、特定の人物を識別情報(ID)に基づいて抽出し(第1抽出)、さらに、造形要件情報に基づいて、第1抽出で抽出されたイメージ画像の中から注目画像を抽出し(第2抽出)、第2抽出で抽出された注目画像によって三次元造形が可能である場合に、モデリング処理を実行し、三次元造形物を作製するための設計情報を三次元造形装置36に送出するようにした。