(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記挿入孔と、この挿入孔に位置する前記端子板とのいずれか一方に組立て用突起を設け、他方に前記組立て用突起に対応する切欠きを設けることを特徴とする請求項2又は3に記載の接点装置。
前記端子板と、前記端子板に接触する前記収納ケースとのいずれか一方に保持用突起を設け、他方に前記保持用突起に対応するくびれ部を設けることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の接点装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明に係る第1から第6実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0010】
また、以下に示す第1から第6実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
〔第1実施形態〕
図1から
図5を参照して第1実施形態の電磁接触器1を説明する。
図1及び
図2に示すように、電磁接触器1は、合成樹脂製のモールドケースである上部絶縁ケース2及び下部絶縁ケース3を備えている。上部絶縁ケース2の左側及び右側の側壁から主接点外部端子部4A,4Bが突出した状態で配置され、下部絶縁ケース3の一方の側面に、電磁石ユニット外部端子部5A、5Bが配置されている。
【0012】
図3に示すように、上部絶縁ケース2及び下部絶縁ケース3には、接点装置6と、接点装置6を駆動する電磁石ユニット7とが収納されている。
接点装置6は、主接点機構8及び収納ケース9を備えている。
収納ケース9は、角筒状の金属製の接合部材10と、接合部材10の上端部に接合されて接合部材10の上側を閉塞するセラミック製の頂板11と、接合部材10の下端部にその上面がシール接合される平板状の磁気ヨーク12と、磁気ヨーク12の下面にシール接合される円筒状の金属製のキャップ13とからなる。
【0013】
収納ケース9の内部には、主接点機構8、電磁石ユニット7の連結軸14、固定鉄心15及び可動プランジャ16が密封状態で収容されるとともに、アーク消弧用のガスが封入されている。
主接点機構8は、頂板11に固定された一対の主接点側固定接触子17、18と、これら一対の主接点側固定接触子17,18に接離可能な主接点側可動接触子19とを備えている。主接点側固定接触子17,18は、導電性金属材料で形成されて収納ケース9の頂板11に左右方向に所定間隔を離して固定される。主接点側固定接触子17,18の下端面には固定接点が形成されている。
【0014】
主接点側可動接触子19は、導電性金属を材料として左右方向に長く延びる導電板であり、電磁石ユニット7の可動プランジャ16に固定された連結軸14に上下移動可能に支持される。主接点側可動接触子19の左端側の上面には、主接点側固定接触子17の固定接点に接触する可動接点が形成され、主接点側可動接触子19の右端側の上面には、主接点側固定接触子18の固定接点に接触する可動接点が形成されている。
【0015】
連結軸14の主接点側可動接触子19よりも下側には拡径部14aが径方向外方に突出して形成されており、拡径部14aと主接点側可動接触子19との間に、主接点側可動接触子19を上方へ付勢する接触スプリング20が設けられている。
主接点機構8は、収納ケース9の内部に設けた主接点機構収容室21に収容されている。主接点機構収容室21内には絶縁体からなる消弧容器22が配置されている。
【0016】
電磁石ユニット7は、側面から見てU字形状の下部磁気ヨーク23を備えている。下部磁気ヨーク23の開放端となる上端には、平板状の磁気ヨーク12が固定されている。そして、磁気ヨーク12の中央部に貫通孔12aが形成されている。
磁気ヨーク12の下面の中央部には、貫通孔12aを囲むように有底円筒状のキャップ13がシール接合される。
【0017】
このキャップ13内には、磁気ヨーク12の貫通孔12aに固定された円柱状の固定鉄心15が配置されるとともに、固定鉄心15の下方に可動プランジャ16が上下方向に移動可能に配置される。
固定鉄心15には、その下端面から上方に凹む復帰スプリング収容凹部15aが形成されている。また、可動プランジャ16には、その上端面から下方に凹む復帰スプリング収容凹部16aが形成されている。復帰スプリング収容凹部15a及び復帰スプリング収容凹部16a内に、可動プランジャ16を常時下方に付勢する復帰スプリング24が収容されている。
【0018】
また、キャップ13の外周にはスプール25が配設され、このスプール25の外周に、可動プランジャ16を駆動する励磁コイル26が巻装されている。
励磁コイル26の2本の巻線の端部は、
図1で示した電磁石ユニット外部端子部5A,5Bにそれぞれ接続される。
前述した主接点外部端子部4A,4Bは、
図3に示すように、主接点側固定接触子17、18に固定され、上部絶縁ケース2の左側及び右側の側壁から外部に突出している。
【0019】
主接点側固定接触子17,18の頭部には、雌ねじ17a,18aが形成されている。
図4に示すように、上部絶縁ケース2の天板27には、主接点側固定接触子17,18の頭部に対向する位置に2箇所の固定ねじ通過穴28が形成されている。
上部絶縁ケース2の左側及び右側の側壁29には、
図4に示すように、上下方向に延在するケース溝30が形成されている。上部絶縁ケース2の左側に形成されているケース溝30は、互いに対向している一対の溝側壁30a,30bと、これら一対の溝側壁30a,30bの間の下部に形成された底壁30cと、一対の溝側壁30a,30bの間の内側に形成された溝内壁30dが設けられている。
【0020】
溝内壁30dには、一対の溝側壁30a,30bを長尺方向の開口縁部とした長方形状で開口する挿入孔31が形成されている。
図4及び
図5に示すように、溝内壁30dは、第1内壁32及び第2内壁33で形成されており、第1内壁32が挿入孔31の短尺方向下側の開口縁部を形成し、第2内壁33が挿入孔31の短尺方向上側の開口縁部を形成している。
【0021】
図5に示すように、第1内壁32及び第2内壁33は、底壁30cから上部絶縁ケース2の内側に向けて段差状に上下方向に延在しながら挿入孔31を形成している。
これにより、ケース溝30は、挿入孔31を境に上部絶縁ケース2の下方側より天板27側の方が深く形成されているので、合成樹脂製のモールドケースである上部絶縁ケース2を成形するときには、第1内壁32側の上部絶縁ケース2の一部を形成する下型と、第2内壁33側の上部絶縁ケース2を形成する上型とを型開きすることで、第1内壁32及び第2内壁33で形成される挿入孔31はアンダーカット形状とはならずに成形される。
【0022】
主接点外部端子部4Aは、
図4に示すように、長尺な金属板で形成した端子板37と、端子板37の一端側端子38を主接点側固定接触子17に固定する固定ねじ39と、一端側端子38に対して逆向きに延在した端子板37の他端側端子40に固定される外部端子41と、を備えている。
端子板37は、長方形状の挿入孔31と略同一形状の横断面形状を有し、平板形状の一端側端子38及び他端側端子40が異なる平面上で平行となるように、一端側端子38及び他端側端子40の間で直交する方向に折り曲げられて延在する屈曲部42が形成されている。そして、一端側端子38にはねじ挿通穴38aが形成され、他端側端子40には雌ねじ40aが形成されている。
【0023】
外部端子41は、端子板37の他端側端子40の雌ねじ40aに螺合する接続ねじ43と、接続ねじ43のねじに螺合しているナット44と、接続ねじ43の頭部と他端側端子40の裏面との間に配置された第1座金45と、ナット44と他端側端子40の表面との間に配置された第2座金46と、を備えている。
【0024】
上記構成の主接点外部端子部4Aは、上部絶縁ケース2及び下部絶縁ケース3の内部に接点装置6及び電磁石ユニット7を収納した後、端子板37の一端側端子38を、上部絶縁ケース2の挿入孔31から内部に挿入する。そして、端子板37の一端側端子38に形成したねじ挿通穴38aを主接点側固定接触子17の雌ねじ17aに対応させ、上部絶縁ケース2の天板27に形成した固定ねじ通過穴28から挿入した固定ねじ39を雌ねじ17aに螺合する。これにより、主接点外部端子部4Aは、
図3に示すように、上部絶縁ケース2の挿入孔31から突出した屈曲部42の幅方向の両側面がケース溝30の一対の溝側壁30a,30bに当接した状態で下側に延在し、外部端子41を固定した他端側端子40が上部絶縁ケース2から離間する方向に延在した状態で組立てられる。
【0025】
主接点外部端子部4Bも、主接点外部端子部4Aと同一構造であり、同様の手順で組立てられる。
ここで、本発明に係る固定接触子が主接点側固定接触子17、18に対応し、本発明に係る可動接触子が主接点側可動接触子19に対応し、本発明に係る収納ケースが上部絶縁ケース2に対応し、本発明に係る収納ケースの側面が一対の溝側壁30a,30bに対応している。
【0026】
次に、第1実施形態の電磁接触器1の動作を説明する。
ここで、主接点外部端子部4Aには、大電流を供給する電力供給装置が接続され、主接点外部端子部4Bには負荷装置が接続されているものとする。また、電磁石ユニット外部端子部5A、5Bには、励磁コイル26に対して通電制御を行う電磁石ユニット制御装置(不図示)が接続されているものとする。
【0027】
図4に示すように、電磁石ユニット7の励磁コイル26が非励磁状態にあって、電磁石ユニット7が、可動プランジャ16を上昇させる励磁力を発生していない釈放状態にあるものとする。
この釈放状態では、可動プランジャ16が復帰スプリング24によって、下方向に付勢される。このため、可動プランジャ16に連結軸14を介して連結されている主接点機構の主接点側可動接触子19が、一対の主接点側固定接触子17,18に対して下方に所定距離だけ離間している。このため、一対の主接点側固定接触子17,18の間の電流路が遮断状態にあり、主接点機構8が開いた状態となっている。
【0028】
この釈放状態から、電磁石ユニット制御装置によって電磁石ユニット7の励磁コイル26を通電すると、電磁石ユニット7で励磁力が発生し、可動プランジャ16を復帰スプリング24の付勢力に抗して上方に押し上げる。
可動プランジャ16が上昇すると、可動プランジャ16に連結軸14を介して連結されている主接点側可動接触子19も上昇し、主接点側可動接触子19の可動接点が、一対の主接点側固定接触子17,18の固定接点に対して接触スプリング20の接触圧で接触する。
【0029】
このため、電力供給装置からの大電流が、主接点外部端子部4A、一方の主接点側固定接触子17、主接点側可動接触子19、他方の主接点側固定接触子18、主接点外部端子部4Bを通じて負荷装置に供給され、主接点機構8が閉じた状態(閉極状態)となる。
そして、主接点機構8の閉極状態から、負荷装置への電流供給を遮断する場合には、電磁石ユニット制御装置による電磁石ユニット7の励磁コイル26への通電を停止する。
【0030】
励磁コイル26への通電を停止すると、電磁石ユニット7で可動プランジャ16を上方に移動させる励磁力がなくなることにより、可動プランジャ16が復帰スプリング24の付勢力によって下方に移動し、連結軸14も下方に移動する。
次に、第1実施形態の電磁接触器1の主接点外部端子部4Aに電力供給装置のハーネスを接続、或いは取り外し、主接点外部端子部4Bに負荷装置のハーネスを接続、或いは取り外す動作について説明する。
【0031】
主接点外部端子部4Aの他端側端子40に設けた外部端子41に、電力供給装置のハーネスに結合されたハーネス端子(不図示)が接続され、主接点外部端子部4Bの他端側端子40に設けた外部端子41に、負荷装置のハーネスに結合されたハーネス端子(不図示)が接続されている。
ハーネスに丸形のハーネス端子が結合されている場合には、外部端子41のナット44及び第2座金46を外した状態で、接続ねじ43にハーネス端子を挿通し、第2座金46を挿通した後に、接続ねじ43に螺合したナット44をモンキーなどの工具でねじ締めを行う。
【0032】
主接点外部端子部4A,4Bの他端側端子40に設けた外部端子41に、電力供給装置及び付加装置のハーネス端子を接続する際には、ナット44を接続ねじ43にねじ締めするときの操作力により、他端側端子40側を中心として端子板37に大きなトルクが作用する。
端子板37は、挿入孔31から突出した屈曲部42の幅方向の両側面が、下側に延在しながらケース溝30の一対の溝側壁30a,30bに広い面積で当接しているので、ケース溝30の一対の溝側壁30a,30bは端子板37に作用する大きなトルクを受ける。
【0033】
また、主接点外部端子部4A,4Bから電力供給装置や負荷装置のハーネスを取り外すために接続ねじ43に結合しているナット44を緩める場合にも、端子板37の屈曲部42の幅方向の両側面をケース溝30の一対の溝側壁30a,30bが広い面積で受けているので、端子板37に作用する大きなトルクを受ける。
したがって、第1実施形態の電磁接触器1は、主接点外部端子部4A、4Bに電力供給装置、負荷装置のハーネスを接続する際、或いは、電力供給装置、負荷装置のハーネスを取り外す際には、一対の溝側壁30a,30bが端子板37に作用するトルクを受けることで端子板37の一端側端子38を回動させないので、主接点側固定接触子17,18に固定されている端子板37の一端側端子38の変形を抑制することができる。また、端子板37の一端側端子38が回動しないので、固定ねじ39の緩みも防止することができる。
【0034】
また、ケース溝30は、挿入孔31を境に上部絶縁ケース2の下方側より天板27側の方が深く形成されているので、上部絶縁ケース2を成形するときには、第1内壁32側の上部絶縁ケース2の一部を形成する下型と、第2内壁33側の上部絶縁ケース2を形成する上型とを型開きすることで、挿入孔31はアンダーカット形状とはならずに成形され、上型及び下型の型開き方向に対して直交する方向に移動するスライド型などの装置が不要となるので、成形コストの低減化を図ることができる。
【0035】
〔第2実施形態〕
次に、
図6は、第2実施形態の電磁接触器1を構成する上部絶縁ケース2と、主接点外部端子部4Aを構成する端子板37と、を示すものである。
なお、第2実施形態の電磁接触器1を構成する下部絶縁ケース3、接点装置6及び電磁石ユニット7は、第1実施形態と同一構造なので説明は省略する。
【0036】
第2実施形態の主接点外部端子部4Aを構成する端子板37は、一端側端子38の表面の一部に組立て用突起50が形成されている。また、第2実施形態の上部絶縁ケース2の左側の側面には、ケース溝30の挿入孔31を形成している第2内壁33の一部に組立て用切り欠き51が形成されている。
そして、主接点外部端子部4Aの端子板37の一端側端子38を挿入孔31に挿入し、一端側端子38から屈曲部42が下側に延在した状態で主接点外部端子部4Aを組立てるときには、端子板37の組立て用突起50が、上部絶縁ケース2の第2内壁33に形成した組立て用切り欠き51に入り込む。
【0037】
また、第2実施形態の主接点外部端子部4Bを構成する端子板37も、主接点外部端子部4Aを構成する端子板37と同一形状である。
なお、本発明に係る切欠きが、組立て用突起50に対応している。
主接点外部端子部4A,4Bの端子板37の一端側端子38を、表面及び裏面の向きを逆にしてケース溝30の挿入孔31に挿入しようとすると、一端側端子38に形成した組立て用突起50が、挿入孔31を形成している第1内壁32の縁部に接触するので、一端側端子38を挿入孔31の内部に挿入することができない。
【0038】
したがって、主接点外部端子部4A,4Bの端子板37の一端側端子38の表面に組立て用突起50を形成し、上部絶縁ケース2の挿入孔31を形成している第2内壁33の一部に組立て用切り欠き51を形成したことで、端子板37を逆向きにして組立てようとしても、上部絶縁ケース2の挿入孔31に端子板37の一端側端子38が挿入されないので、主接点外部端子部4A,4Bの誤組立てを防止することができる。
なお、図示しないが、主接点外部端子部4A,4Bの端子板37の一端側端子38の表面の一部に組立て用切り欠きを形成し、第2内壁33の一部に組立て用突起を形成しても、主接点外部端子部4A,4Bの誤組立てを防止することができる。
【0039】
〔第3実施形態〕
次に、
図7は、第3実施形態の電磁接触器1を構成する上部絶縁ケース2を示すものである。
第3実施形態の上部絶縁ケース2は、天板27に形成されている2箇所の固定ねじ通過穴28をそれぞれ閉塞する合成樹脂製の閉塞部材55が着脱自在に装着されている。
【0040】
この閉塞部材55は、主接点外部端子部4A,4Bの端子板37の一端側端子38を挿入孔31から上部絶縁ケース2の内部に入れ、固定ねじ通過穴28から挿入した固定ねじ39で主接点側固定接触子17,18に一端側端子38を固定した後に、固定ねじ通過穴28を閉塞するように装着される。
【0041】
第3実施形態の電磁接触器1によると、電磁石ユニット7の励磁コイル26を通電して主接点機構8が閉じた状態(閉極状態)となると、電力供給装置からの大電流が、主接点外部端子部4A、一方の主接点側固定接触子17、主接点側可動接触子19、他方の主接点側固定接触子18、主接点外部端子部4Bを通じて負荷装置に流れているが、上部絶縁ケース2の天板27に形成した2箇所の固定ねじ通過穴28を閉塞部材55が閉塞し、固定ねじ通過穴28から主接点側固定接触子17,18に固定されている固定ねじ39に接触することがないので、感電を防止して安全性を確保することができる。
【0042】
〔第4実施形態〕
次に、
図8は、第4実施形態の電磁接触器1を構成する上部絶縁ケース2を示すものである。
第4実施形態の上部絶縁ケース2は、電気絶縁性を有する樹脂シート56が天板27の略全域に貼られていることで2箇所の固定ねじ通過穴28を閉塞している。
【0043】
樹脂シート56は、主接点外部端子部4A,4Bの端子板37の一端側端子38を挿入孔31から上部絶縁ケース2の内部に入れ、固定ねじ通過穴28から挿入した固定ねじ39で主接点側固定接触子17,18に一端側端子38を固定した後に、固定ねじ通過穴28を閉塞した状態で貼る。
第4実施形態の電磁接触器1も、上部絶縁ケース2の天板27に貼った樹脂シート56が2箇所の固定ねじ通過穴28を閉塞するので、主接点機構8が閉極状態のときに主接点側固定接触子17,18に固定されている固定ねじ39に大電流が流れていても、固定ねじ通過穴28から固定ねじ39を接触することがないので、感電を防止して安全性を確保することができる。
【0044】
〔第5実施形態〕
次に、
図9(a)、(b)は、第5実施形態の電磁接触器1を示すものである。
第5実施形態の電磁接触器1は、上部絶縁ケース2の左側及び右側の側壁から外部に突出している主接点外部端子部4A,4Bの接続ねじ43に、下部絶縁ケース3の左側及び右側の側面から突出して設けた端子受け部57,58が下側から当接している。
【0045】
主接点外部端子部4Aに電力供給装置のハーネスを接続又は取り外しする際、或いは、主接点外部端子部4Bに負荷装置のハーネスを接続又は取り外しする際には、接続ねじ43に螺合したナット44をモンキーなどの工具で下側に押し付けながら作業が行われるので、他端側端子40を下側に変形させる変形力が端子板37に作用する。
しかし、第5実施形態では、下部絶縁ケース3の左側及び右側の側面から突出して設けた端子受け部57,58が、主接点外部端子部4A,4Bの接続ねじ43に下側から当接しているので、他端側端子40が下側に変形させようとする変形力を受ける。
【0046】
したがって、第5実施形態の電磁接触器1は、主接点外部端子部4A、4Bに電力供給装置、負荷装置のハーネスを接続する際、或いは、電力供給装置、負荷装置のハーネスを取り外す際に作用する他端側端子40を下側に変形させようとする端子板37の変形力を、下部絶縁ケース3に設けた端子受け部57,58が主接点外部端子部4A,4Bの接続ねじ43に下側から当接することで受ける。
これにより、第5実施形態の電磁接触器1は、他端側端子40が下側に変形してしまうような端子板37の変形も抑制することができる。
【0047】
〔第6実施形態〕
次に、
図10から
図13は、第6実施形態の電磁接触器1を示すものである。
第6実施形態の主接点外部端子部4Bは、
図10に示すように、長尺な金属板で形成された端子板60を備えている。
端子板60は、一端側端子38から他端側端子40まで略同一の幅方向寸法に接点した第1実施形態から第5実施形態の端子板37とは異なる形状であり、一端側端子61が屈曲部63の幅方向寸法より小さな幅方向に設定されて形成され、幅方向寸法が略同一の他端側端子62及び屈曲部63の間の部位の幅方向両端に、くびれ部65が形成されている(
図13参照)。一端側端子61には、固定ねじ39が挿通するねじ挿通穴61aが形成されているとともに、表面に組立て用突起64が形成されている。
【0048】
第6実施形態の主接点外部端子部4Aも、上述した第6実施形態の主接点外部端子部4Bと同一構造の部材とされている。
上部絶縁ケース2の左右方向の側壁29には、上下方向に延在するケース溝66が形成されているとともに、ケース溝66の縁部に一対の保持用突起67、68が形成されている。
【0049】
上部絶縁ケース2のケース溝66は、互いに対向している一対の溝側壁66a,66bと、これら一対の溝側壁66a,66bの間の下部に形成された底壁66cと、一対の溝側壁66a,66bの間の内側に形成された溝内壁66dが設けられている。
溝内壁66dは、第1内壁69及び第2内壁70で形成されており、第1内壁69及び第2内壁70で長方形状の挿入孔71が形成されている。
【0050】
挿入孔71の長尺方向の寸法は、端子板60の一端側端子61の幅方向寸法と略同一寸法であり、挿入孔71の短尺方向の寸法は、端子板60の一端側端子61の板厚寸法より大きな寸法に設定されている。
そして、挿入孔71を形成している第2内壁70の一部に組立て用切り欠き72が形成されている。
【0051】
一対の保持用突起67,68は、ケース溝66の底壁66c近くの開口縁部から互いに対向する方向に溝内壁66d(第1内壁69)に平行に突出しており、溝内壁66dと一対の保持用突起67,68の間の距離は、端子板60の屈曲部63の板厚寸法に設定されている。
第1内壁69及び第2内壁70は、第1実施形態で示した第1内壁32及び第2内壁33と同様に、底壁66cから上部絶縁ケース2の内側に向けて段差状に上下方向に延在しながら挿入孔71を形成している。これにより、合成樹脂製のモールドケースである上部絶縁ケース2を成形するときには、第1内壁69側の上部絶縁ケース2の一部を形成する下型と、第2内壁70側の上部絶縁ケース2を形成する上型とを型開きすることで、第1内壁69及び第2内壁70で形成される挿入孔71はアンダーカット形状とはならずに成形される。
【0052】
次に、上記構成の主接点外部端子部4Bを上部絶縁ケース2に収納された主接点機構8に組み立てる手順について説明する。
先ず、
図11に示すように、端子板60の組立て用突起64を、挿入孔71の開口周縁に形成した組立て用切り欠き72に挿入した状態で、一端側端子61を挿入孔71に挿入する。この際、端子板60の屈曲部63を、一対の保持用突起67,68より上方位置でケース溝66の溝内壁66dに当接させる。
【0053】
次に、
図12及び
図13に示すように、主接点外部端子部4B全体を下部絶縁ケース3側に下げていく。このとき、溝内壁66dに当接している屈曲部63が一対の保持用突起67,68との間まで移動し、一対の保持用突起67,68の外周にくびれ部65が位置した状態で、端子板60の他端側端子62が上部絶縁ケース2から離間する方向に延在した状態で配置される。そして、端子板60の一端側端子61を固定ねじ39を介して主接点側固定接触子17に固定することで、主接点外部端子部4Bが主接点機構8に組立てられる。
【0054】
また、主接点外部端子部4Aも、主接点外部端子部4Bと同様の手順で主接点機構8に組み立てる。
第6実施形態の主接点外部端子部4A,4Bの他端側端子62に設けた外部端子41に、電力供給装置及び付加装置のハーネス端子を接続する際には、端子板60に他端側端子62側を中心として大きなトルクが作用する。
【0055】
挿入孔71から突出した端子板60の屈曲部63の幅方向の両側面が、ケース溝66の一対の溝側壁66a,66bに下側に延在しながら広い面積で当接しており、一対の溝側壁66a,66bが端子板60に作用する大きなトルクを受けているので、一端側端子61の変形を抑制することができる。また、端子板60の屈曲部63の幅方向両端部が、溝内壁66d及び一対の保持用突起67,68との間で挟持されているので、端子板60のねじり変形も防止することができる。
【0056】
また、主接点外部端子部4A,4Bから電力供給装置や負荷装置のハーネスを取り外すために接続ねじ43に結合しているナット44を緩める場合にも、端子板60に作用する大きなトルクを受けるとともに、端子板60のねじり変形も防止することができる。
また、第6実施形態は、上部絶縁ケース2の第1内壁69及び第2内壁70が、底壁66cから上部絶縁ケース2の内側に向けて段差状に上下方向に延在しながら挿入孔71を形成している。
【0057】
これにより、ケース溝66は、挿入孔71を境に上部絶縁ケース2の下方側より天板27側の方が深く形成されているので、上部絶縁ケース2を成形するときには、第1内壁69側の上部絶縁ケース2の一部を形成する下型と、第2内壁70側の上部絶縁ケース2を形成する上型と、を型開きすることで、挿入孔71はアンダーカット形状とはならずに成形され、上型及び下型の型開き方向に対して直交する方向に移動するスライド型などの装置が不要となるので、成形コストの低減化を図ることができる。
固定接触子17,18を備えた主接点機構8を収納する収納ケース2と、収納ケースの外に配置された外部端子41と、収納ケースを貫通して固定接触子と外部端子とを電気的に接続する端子板37とを備えた接点装置において、端子板が収納ケースの側面30a,30bに面接触する屈曲部42を備えている。