(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の構成では、フレキシブル領域と同様に、リジッド領域も変形することがある。そして、リジッド領域の変形によって、部品に応力が加わり、部品が基板から外れてしまうことがある。また、部品に応力が加わることによって、部品が破損してしまうことがある。特に、平面形状の大きな部品は、応力を受けやすく、基板からさらに外れ易い。また、平面形状の大きな部品は、さらに破損し易い。
【0006】
したがって、本発明の目的は、曲げ等の応力による部品の破損および部品の外れを抑制する多層基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の多層基板は、複数の可撓性絶縁基材を積層した基板本体と、基板本体に実装された低背部品と、基板本体にそれぞれ配置された第1の高背部品および第2の高背部品と、を備えている。基板本体は、第1領域と第2領域とを備える。第1領域は、平面視して第2領域に囲まれており、且つ、第2領域よりも低背である。低背部品は、第1領域と第2領域によって形成される凹みの底面に実装されている。第1の高背部品と第2の高背部品とは、基板本体における第2領域に内蔵され、基板本体の高さ方向における低背部品の実装面の位置を含む位置で、且つ、基板本体を平面視して第1領域を挟む位置にそれぞれ配置されている。
【0008】
この構成では、第1の高背部品と第2の高背部品とによって、基板本体の曲げ等による応力が低背部品の実装面に加わり難い。
【0009】
また、この発明の多層基板では、第2領域に内蔵された第3の高背部品を備えることが好ましい。
【0010】
この構成では、第3の高背部品を備えることによって、低背部品の実装面への応力がさらに加わり難い。
【0011】
また、この発明の多層基板では、次の構成であることが好ましい。第2領域は、凹みの四つの側壁面を有しており、この側壁面のそれぞれは、第1部分、第2部分、第3部分および第4部分を形成する。第1部分と第2部分とは第1領域を挟み、第3部分と第4部分とは第1領域を挟む。第1の高背部品は第1部分に配置されており、第2の高背部品は第2部分に配置されている。
【0012】
この構成では、凹みが平面視して矩形の場合を示しており、この構成によって、第1の高背部品と第2の高背部分とが、第1領域を挟むよう配置される。
【0013】
また、この発明の多層基板では、第3の高背部品は、第1部分および第2部分の少なくとも一方に配置されていることが好ましい。
【0014】
この構成では、第1部分および第2部分の少なくとも一方の剛性が向上する。
【0015】
また、第3の高背部品は、第3部分および第4部分の少なくとも一方に配置されていることが好ましい。
【0016】
この構成では、基板本体を平面視して、低背部品が実装される第1領域の周囲の少なくとも三方向に、それぞれ高背部品が配置される。したがって、低背部品の実装面への応力がさらに加わり難い。
【0017】
また、この発明の多層基板では、低背部品の厚みは、複数の可撓性絶縁基材のうち最も薄い可撓性絶縁基材の厚みよりも小さくてもよい。
【0018】
このように、低背部品が薄くても、上述の構成によって、この低背部品の破損、低背部品の実装の外れが効果的に抑制される。
【0019】
また、この発明の多層基板では、基板本体は、第2領域よりも低背の第3領域を備え、第3領域は、第2領域を基準にして第1領域と反対側に配置されていてもよい。
【0020】
この構成では、基板本体に対して、可撓性の高い部分が設けられる。
【0021】
また、この発明の多層基板では、基板本体よりもヤング率の低い弾性部材を備え、弾性部材は、第2領域と第3領域との境界を覆っていることが好ましい。
【0022】
この構成では、第2領域と第3領域との境界での破損が抑制される。
【0023】
また、この発明の多層基板では、弾性部材における基板本体と反対側の面に、保護部材を備えることが好ましい。
【0024】
この構成では、第2領域と第3領域との境界での破損がさらに抑制される。
【0025】
また、この発明の多層基板では、第3領域が曲げられていてもよい。
【0026】
この構成では、多層基板の配置自由度が向上する。
【0027】
また、この発明の電子機器は、上述のいずれかに記載の多層基板と、回路基板と、を備える。第3領域には、外部接続用導体が形成されている。外部接続用導体は、回路基板に電気的に接続されている。
【0028】
この構成では、回路基板に対する多層基板の実装、接合の構造の自由度が向上する。
【0029】
また、この発明の電子機器では、第1領域と第2領域は、回路基板の一方主面側に配置され、外部接続用導体は、回路基板の他方主面側において、回路基板に電気的に接続されていてもよい。
【0030】
この構成では、回路基板に対して多層基板を巻き付けるような構成が容易に実現される。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、基板からの部品の外れおよび部品の破損を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の第1の実施形態に係る多層基板について、図を参照して説明する。
図1(A)は本発明の第1の実施形態に係る多層基板の平面図であり、
図1(B)は本発明の第1の実施形態に係る多層基板の断面図である。
図1(B)は、
図1(A)におけるA−A断面図である。
【0034】
多層基板10は、基板本体20、低背部品31、および、複数の高背部品41、42を備える。高背部品41が本発明の「第1の高背部品」に対応し、高背部品42が本発明の「第2の高背部品」に対応する。
【0035】
基板本体20は、平面視して矩形である。基板本体20は、複数の可撓性絶縁基材21、22、23、24が積層された積層体である(
図2参照)。基板本体20は、平面視して第1領域201と第2領域202とを備える。基板本体20を平面視して、第2領域202は、第1領域201を囲んでいる。第2領域202は、第1方向に沿って第1領域201を挟む第1部分2021と第2部分2022を備えている。なお、図示を省略しているが、基板本体20には、多層基板10によって実現される電気回路の導体パターンが形成されている。
【0036】
第1領域201は、第2領域202よりも低背である。すなわち、第1領域201の厚み(高さ方向の寸法)は、第2領域202の厚みよりも小さい。そして、第1領域201の高さ方向の一方の端面と第2領域202の高さ方向の一方の端面は、面一である。これにより、基板本体20は、基板本体20の一部を高さ方向において凹ませた凹み81を備える。すなわち、基板本体20を平面視して、凹み81の底面を成す部分が第1領域201であり、凹み81を囲む壁を成す部分が第2領域202である。
【0037】
低背部品31は、例えば、各種のICチップである。複数の高背部品41、42は、それぞれコンデンサ、インダクタ、抵抗等の実装型素子である。なお、複数の高背部品41、42は、電気的に機能を有さないものを用いることも可能である。
【0038】
低背部品31は、複数の高背部品41、42よりも低背である。具体的に
図1(B)に示すように、低背部品31の厚みH31は、高背部品42の厚みH42よりも小さい。なお、高背部品41の厚みは、高背部品42の厚みH42と同じである。なお、複数の高背部品41、42の厚みは同じでなくてもよく、それぞれが低背部品31よりも厚ければよい。
【0039】
低背部品31は、第1領域201、すなわち、凹み81の底面に実装されている。具体的には、凹み81の底面には、実装用ランド導体61が形成されている。低背部品31は、実装用ランド導体61にはんだ等によって実装されている。なお、はんだを用いずに異方性導電膜等を用いることもできる。また、低背部品31は、実装用ランド導体61に超音波接合されていてもよい。このように、凹み81の底面は、低背部品31の実装面である。なお、低背部品31の厚みH31は、凹み81の高さ(深さ)よりも小さい。したがって、低背部品31は、凹み81内に収容される。
【0040】
高背部品41は、第2領域202における第1部分2021に内蔵されている。高背部品41は、高さ方向において低背部品31の実装面の位置を含むように、配置されている。言い換えれば、高背部品41は、高さ方向において低背部品31の実装面の位置を跨ぐように、配置されている。
【0041】
高背部品42は、第2領域202における第2部分2022に内蔵されている。高背部品42は、高さ方向において低背部品31の実装面の位置を含むように、配置されている。言い換えれば、高背部品42は、高さ方向において低背部品31の実装面の位置を跨ぐように、配置されている。
【0042】
高背部品41、42は、複数の可撓性絶縁基材21、22、23、24を構成する絶縁基材よりも剛性が高い部品である。
【0043】
多層基板10の構成によって、第1領域201よりも厚い第2領域202によって、第1領域201が囲まれるので、第1領域201に、曲げ等による外部からの応力が加わり難い。したがって、第1領域201および低背部品31に応力が加わり難く、低背部品31の破損が抑制され、低背部品31が実装用ランド導体61から外れることが抑制される。
【0044】
また、多層基板10の構成では、第2領域202に複数の高背部品41、42が内蔵されており、第2領域202の剛性が向上する。これにより、第1領域201および低背部品31に応力がさらに加わり難く、低背部品31の破損がさらに抑制され、低背部品31が実装用ランド導体61から外れることがさらに抑制される。
【0045】
また、多層基板10の構成では、第1領域201を挟む位置に、複数の高背部品41、42が配置されている。これにより、第1領域201の第1方向の両側の剛性が略均一に高くなる。したがって、第1領域201および低背部品31に応力がさらに加わり難く、低背部品31の破損がさらに抑制され、低背部品31が実装用ランド導体61から外れることがさらに抑制される。
【0046】
また、複数の可撓性絶縁基材を積層してなる基板本体の製造時には、可撓性絶縁基材が流動し変形する。この場合、基板本体に内蔵された部品には応力が加わる。しかしながら、本実施形態の多層基板10では、低背部品31が基板本体20に内蔵されておらず、このような製造時の応力による低背部品31の破損が抑制される。
【0047】
また、複数の高背部品41、42は低背部品31よりも割れにくいため、多層基板10に内蔵しても、複数の高背部品41、42は破損し難い。また、複数の高背部品41、42が多層基板10に内蔵されることにより、複数の高背部品41、42を多層基板10の表面に実装するよりも、第2領域202の部分の厚さを必要以上に厚くすることなく、複数の高背部品41、42に応力がかかった際に、多層基板10の表面から複数の高背部品41、42が脱離する等の不具合を抑制できる。
【0048】
多層基板10は、より具体的には、
図2に示す構造によって実現される。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る多層基板の分解斜視図である。
【0049】
図2に示すように、基板本体20は、複数の可撓性絶縁基材21、22、23、24を備える。複数の可撓性絶縁基材21、22、23、24は、例えば液晶ポリマを主材料としている。複数の可撓性絶縁基材21、22、23、24は、積層されている。複数の可撓性絶縁基材21、22、23、24の厚みは、複数の高背部品41、42の厚みよりも小さい。具体的には、複数の高背部品41、42の厚みは、可撓性絶縁基材22の厚みと可撓性絶縁基材23の厚みとの合計厚みと略同じである。
【0050】
可撓性絶縁基材21における可撓性絶縁基材22側の面には、それぞれに複数の層間接続導体51、52が露出している。高背部品41は、複数の層間接続導体51に接合されている。高背部品42は、複数の層間接続導体52に接合されている。
【0051】
可撓性絶縁基材22における可撓性絶縁基材23側の面には、複数の実装用ランド導体61が形成されている。具体的には、複数の実装用ランド導体61は、基板本体20の第1領域201となる部分に形成されている。可撓性絶縁基材22には、複数の貫通孔71、72が形成されている。貫通孔71は、高背部品41が挿通する形状である。貫通孔72は、高背部品42が挿通する形状である。
【0052】
複数の貫通孔71、72は、複数の実装用ランド導体61が形成されている領域を挟んで形成されている。具体的には、貫通孔71は、基板本体20の第2領域202の第1部分2021となる部分に形成されている。貫通孔72は、基板本体20の第2領域202の第2部分2022となる部分に形成されている。
【0053】
可撓性絶縁基材23には、複数の貫通孔71、72、810が形成されている。貫通孔71は、高背部品41が挿通する形状である。貫通孔72は、高背部品42が挿通する形状である。貫通孔810は、低背部品31が収容可能な形状であり、基板本体20を平面視して、複数の実装用ランド導体61が孔内に含まれる形状である。
【0054】
複数の貫通孔71、72は、貫通孔810を挟んで形成されている。貫通孔71は、基板本体20の第2領域202の第1部分2021となる部分に形成されている。可撓性絶縁基材22と可撓性絶縁基材23とが積層された状態において、可撓性絶縁基材23の貫通孔71は、可撓性絶縁基材22の貫通孔71に連通している。貫通孔72は、基板本体20の第2領域202の第2部分2022となる部分に形成されている。可撓性絶縁基材22と可撓性絶縁基材23とが積層された状態において、可撓性絶縁基材23の貫通孔72は、可撓性絶縁基材22の貫通孔72に連通している。
【0055】
可撓性絶縁基材24には、貫通孔810が形成されている。貫通孔810は、低背部品31が収容可能な形状であり、基板本体20を平面視して、複数の実装用ランド導体61が孔内に含まれる形状である。可撓性絶縁基材23と可撓性絶縁基材24とが積層された状態において、可撓性絶縁基材24の貫通孔810は、可撓性絶縁基材23の貫通孔810に連通している。
【0056】
低背部品31は、複数の実装用ランド導体61に実装されている。低背部品31の厚み(高さ方向の寸法)は、可撓性絶縁基材21、22、23、24のそれぞれの厚みよりも小さい。
【0057】
このような構成によって、高背部品41は、基板本体20の第2領域202の第1部分2021に内蔵される。高背部品42は、基板本体20の第2領域202の第2部分2022に内蔵される。そして、この構成を用いることによって、基板本体20の高さ方向において低背部品31の実装面を含むように(跨ぐように)、複数の高背部品41、42は配置されている。
【0058】
なお、低背部品31の厚みH31は、複数の可撓性絶縁基材21、22、23、24の厚みよりも小さいと、上述の応力を受けやすい。したがって、低背部品31の厚みH31が複数の可撓性絶縁基材21、22、23、24の厚みよりも小さい場合に、本発明の構成は、より効果的である。特に、可撓性絶縁基材21、22、23、24のそれぞれの厚みが異なる場合であって、最も薄い可撓性絶縁基材の厚みに対して低背部品31の厚みが小さい場合に、本発明の構成は、より効果的である。
【0059】
このような構成の多層基板10は、次に示す製造方法によって製造されている。まず、それぞれに片面に導体が貼り付けられた複数の可撓性絶縁基材21、22、23、24を用意する。貼り付けられた導体は、例えば、銅である。片面導体貼りの複数の可撓性絶縁基材21、22、23、24に対して、パターンエッチング等の技法を用いて、導体パターンを形成する。この際、導体パターンの一部として、可撓性絶縁基材22に複数の実装用ランド導体61が形成される。また、可撓性絶縁基材21に層間接続導体51、52用の導体パターンが形成される。
【0060】
可撓性絶縁基材21に、層間接続導体51、52用の導体パターンを蓋(底面)として、層間接続導体51、52用の貫通孔をそれぞれ形成して、各貫通孔に導電ペーストを充填する。可撓性絶縁基材22に複数の貫通孔71、72を形成する。パンチングやレーザ加工等により、可撓性絶縁基材23に複数の貫通孔71、72、810を形成する。可撓性絶縁基材24に貫通孔810を形成する。
【0061】
導電ペーストが充填された層間接続導体51用の貫通孔に重ねて高背部品41を配置し、導電ペーストが充填された層間接続導体52用の貫通孔に重ねて高背部品42を配置する。
【0062】
この状態において、複数の可撓性絶縁基材21、22、23、24を積層して加熱プレスする。これにより、凹み81を備えた基板本体20が形成される。なお、凹み81は、可撓性絶縁基材23、24に貫通孔810を形成せずに複数の可撓性絶縁基材21、22、23、24を積層して加熱プレスし、この後に、可撓性絶縁基材24側からレーザ等によって掘削することで、凹み81を形成してもよい。
【0063】
凹み81内に、低背部品31を収容し、はんだ等によって複数の実装用ランド導体61に低背部品31を実装する。
【0064】
なお、凹み81における高背部品41、42が近接する壁面と高背部品41、42とが対向する長さ(
図1における第2方向の長さ)は、当該壁面の長さの略1/3以上であることが好ましく、略1/2以上であるとより好ましい。これにより、第2領域202の剛性をより向上でき、低背部品31の破損がより効果的に抑制され、低背部品31が実装用ランド導体61から外れることがより効果的に抑制される。
【0065】
次に、本発明の第2の実施形態に係る多層基板について、図を参照して説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る多層基板の構成を示す平面図である。
【0066】
本実施形態に係る多層基板10Aは、第1の実施形態に係る多層基板10に対して、さらに、高背部品43を備えた点において異なる。高背部品43に関係する構成を除く多層基板10Aの他の構成は、第1の実施形態に係る多層基板10と同じであり、同じ箇所の説明は省略する。この高背部品43が本発明の「第3の高背部品」に対応する。
【0067】
多層基板10Aは、基板本体20Aを備える。基板本体20Aは、第1領域201と第2領域202Aとを備える。第2領域202Aは、基板本体20Aを平面視して、第1領域201を挟んで配置された第1部分2021Aと第2部分2022を備える。
【0068】
高背部品43は、複数の高背部品41、42と同類の部品である。高背部品43の厚みは、複数の高背部品41、42と略同じであり、低背部品31よりも高い。
【0069】
高背部品41と高背部品43とは、第2領域202Aの第1部分2021Aに配置されている。高背部品43も、高背部品41と同様に、基板本体20Aに内蔵されており、基板本体20Aの高さ方向において低背部品31の実装面を含むように(跨ぐように)、配置されている。
【0070】
高背部品41と高背部品43とは、凹み81における高背部品41と高背部品43とが最も近接する壁面に並行するように配置されている。
【0071】
このような構成であっても、第1の実施形態に係る多層基板10と同様に、低背部品31の破損、低背部品31が実装用ランド導体61から外れることがより効果的に抑制される。さらに、本実施形態の構成では、第2領域202Aの第1部分2021Aに内蔵される高背部品の個数が多くなり、第1部分2021Aの剛性をさらに向上できる。
【0072】
次に、本発明の第3の実施形態に係る多層基板について、図を参照して説明する。
図4は、本発明の第3の実施形態に係る多層基板の構成を示す平面図である。
【0073】
図4に示すように、本実施形態に係る多層基板10Bは、第2の実施形態に係る多層基板10Aに対して、さらに、複数の高背部品44、45を備えた点において異なる。高背部品44、45に関係する構成を除く多層基板10Bの他の構成は、第2の実施形態に係る多層基板10Aと同じであり、同じ箇所の説明は省略する。複数の高背部品44、45のそれぞれが本発明の「第3の高背部品」に対応する。
【0074】
多層基板10Bは、基板本体20Bを備える。基板本体20Bは、第1領域201と第2領域202Bとを備える。第2領域202Bは、基板本体20Bを平面視して、第1方向に沿って第1領域201を挟んで配置された第1部分2021Bと第2部分2022Bを備える。また、第2領域202Bは、基板本体20Bを平面視して、第2方向に沿って第1領域201を挟んで配置された第3部分2023Bと第4部分2024Bを備える。すなわち、基板本体20Bを平面視して、第1領域201は、凹み81の四壁面を形成する第1部分2021B、第2部分2022B、第3部分2023B、および第4部分2024Bによって囲まれている。
【0075】
複数の高背部品44、45は、複数の高背部品41、42、43と同類の部品である。複数の高背部品44、45の厚みは、複数の高背部品41、42、43と略同じであり、低背部品31よりも高い。
【0076】
複数の高背部品41、42、43、44、45は、基板本体20Bに内蔵されており、基板本体20Bの高さ方向において低背部品31の実装面を含むように(跨ぐように)、配置されている。
【0077】
高背部品41、43は、第2領域202Bの第1部分2021Bに配置されている。高背部品42は、第2領域202Bの第2部分2022Bに配置されている。高背部品44は、第2領域202Bの第3部分2023Bに配置されている。高背部品45は、第2領域202Bの第4部分2024Bに配置されている。
【0078】
このような構成であっても、第1、第2の実施形態に係る多層基板10、10Aと同様に、低背部品31の破損、低背部品31が実装用ランド導体61から外れることがより効果的に抑制される。
【0079】
さらに、本実施形態の構成では、基板本体20Bを平面視して、第2領域202Bにおける第1領域201を囲む四方の全てに高背部品が内蔵されている。これにより、第2領域202Bの剛性がさらに向上する。
【0080】
なお、第3部分2023Bに高背部品44を備え、第4部分2024Bに高背部品45を備えない構成を適用することもできる。また、第3部分2023Bに高背部品44を備えず、第4部分2024Bに高背部品45を備える構成を適用することもできる。
【0081】
次に、本発明の第4の実施形態に係る多層基板について、図を参照して説明する。
図5は、本発明の第4の実施形態に係る多層基板の構造を示す断面図である。
【0082】
図5に示すように、本実施形態に係る多層基板10Cは、第1の実施形態に係る多層基板10に対して、基板本体20Cが第3領域203を備える点において異なる。多層基板10Cの他の構成は、第1の実施形態に係る多層基板10と同じであり、同じ箇所の説明は省略する。
【0083】
基板本体20Cは、第3領域203を備える。第3領域は、第2領域202の第1部分2021に接続されている。第3領域203は、第2領域202の第1部分2021を基準にして第1領域201と反対側に接続されている。第3領域203は、第1領域201および第2領域202と一体形成されている。
【0084】
第3領域203の厚みは、第2領域202よりも小さい。例えば、
図5の例であれば、第1領域201の厚みと、第3領域203の厚みとは同じである。また、
図5の例であれば、第1領域201を形成する複数の可撓性絶縁基材と第3領域203を形成する複数の可撓性絶縁基材とは同じである。なお、第3領域203の厚みは、第1領域201の厚みと異なっていてもよい。
【0085】
第3領域203における第1部分2021と接続する端部と反対側の端部には、外部接続用導体620が形成されている。この外部接続用導体620は、第3領域203に形成された導体パターンによって、第2領域202の導体パターンに接続されている。なお、これらの導体パターンは、
図5において図示を省略している。また、外部接続用導体として、コネクタ部品等を配置してもよい。
【0086】
このような構成では、第3領域203のフレキシブル性を確保しながら、低背部品31の破損が抑制され、低背部品31が実装用ランド導体61から外れることが抑制される。そして、外部接続用導体620が第3領域203における第1部分2021と接続する端部と反対側の端部に配置されていることにより、多層基板10Cを外部回路基板へ実装する際に、外部接続用導体620を容易に引き回すことができる。また、この際に、第1領域201および第2領域202に係る応力を抑制できる。
【0087】
なお、多層基板10Cでは、第3領域203は、第1部分2021に接続しているが、第2部分2022に接続していてもよく、第1部分2021と第2部分2022の両方に接続していてもよい。さらには、
図4の多層基板10Bに示すような第3部分2023Bおよび第4部分2024Bの少なくとも一方に接続されていてもよい。
【0088】
次に、本発明の第5の実施形態に係る多層基板について、図を参照して説明する。
図6は、本発明の第5の実施形態に係る多層基板の構造を示す断面図である。
【0089】
図6に示すように、本実施形態に係る多層基板10Dは、第4の実施形態に係る多層基板10Cに対して、弾性部材91を追加した点で異なる。多層基板10Dの他の構成は、第4の実施形態に係る多層基板10Cと同じであり、同じ箇所の説明は省略する。
【0090】
多層基板10Dは、弾性部材91を備える。弾性部材91のヤング率は、基板本体20Cを形成する可撓性絶縁基材のヤング率よりも低い。弾性部材91は、第2領域202の第1部分2021と第3領域203とによって形成される段差の境界900を覆っている。
【0091】
この構成では、第3領域203と第2領域202とは、剛性の差を有する。このため、弾性部材91を備えていなければ、第3領域203の曲げ等の応力によって境界900が破損し易くなる。一方、弾性部材91を備えていることによって、この応力による境界900の破損が抑制される。
【0092】
次に、本発明の第6の実施形態に係る多層基板について、図を参照して説明する。
図7は、本発明の第6の実施形態に係る多層基板の構造を示す断面図である。
【0093】
図7に示すように、本実施形態に係る多層基板10Eは、第5の実施形態に係る多層基板10Dに対して、保護部材92を追加した点で異なる。多層基板10Eの他の構成は、第5の実施形態に係る多層基板10Dと同じであり、同じ箇所の説明は省略する。
【0094】
多層基板10Eは、保護部材92を備える。保護部材92は、弾性部材91における基板本体20Cと反対側の面に配置されている。保護部材92と弾性部材91とからなる部材は、例えば接着テープによって実現できる。
【0095】
このような構成によって、応力による境界900の破損がさらに確実に抑制される。
【0096】
次に、本発明の第7の実施形態に係る多層基板および電子機器について、図を参照して説明する。
図8は、本発明の第7の実施形態に係る多層基板を含む電子機器の構造を示す断面図である。
【0097】
図8に示すように、本実施形態に係る多層基板10Fは、第4の実施形態に係る多層基板10Cに対して、外部接続用導体620の配置において異なる。多層基板10Fの他の構成は、多層基板10Cと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0098】
外部接続用導体620は、多層基板10Fの第3領域203における第1部分2021と接続する端部と反対側の端部であって、第3領域203が第1領域201および第2領域202と面一になる面に配置されている。
【0099】
多層基板10Fは、回路基板2とともに、電子機器1を構成している。多層基板10Fは、回路基板2に実装されている。回路基板2は、互いに対向する表面(一方主面)2Hと裏面(他方主面)2Rとを備え、所定の回路パターンが形成されている。
【0100】
この際、多層基板10Fにおける第1領域201および第2領域202は、回路基板2の表面2Hに実装されている。多層基板10Fにおける第3領域203は、回路基板2の側面に沿って湾曲しており、第3領域203における第2領域202の第1部分2021と接続する側と反対側の端部は、回路基板2の裏面2R側に配置されている。そして、外部接続用導体620は、回路基板2の裏面2Rに設けられたランド導体3に接合されている。すなわち、外部接続用導体620は、回路基板2の裏面2R側で回路基板2と電気的に接続されている。
【0101】
多層基板10Fの第3領域203は第2領域202に対して薄く低背であるので、第3領域203の厚み方向への湾曲は、容易である。したがって、
図8に示すように、多層基板10Fを、回路基板2の表面2H側から側面側を介して裏面2R側に至るように、回路基板2に巻き付けるような形状にして、回路基板2に実装することが容易である。すなわち、回路基板2に対して高い自由度で多層基板10Fを実装できる。
【0102】
そして、第3領域203と第1領域201との間に剛性の高い第2領域202が存在することによって、第3領域203が大きく湾曲しても、当該湾曲による第1領域201および第2領域202への応力を抑制できる。したがって、第1領域201および第2領域202の破損、部品の外れ等の不具合の発生を抑制できる。
【0103】
なお、上述の各実施形態では、凹み81を平面視した形状が矩形の場合を示した。しかしながら、本発明の各実施形態に係る多層基板は、第2領域における第1領域を挟む2つの部分のそれぞれに高背部品が配置されていれば、凹み81の形状は矩形に限るものではない。
【0104】
また、上述の電子機器の実施形態において、外部接続用導体620は、回路基板2の裏面2R側で回路基板2と電気的に接続されていたがこれに限るものではなく、回路基板2の表面2H側において、多層基板10Fの第3領域203を曲げて、あるいは曲げずに回路基板2と電気的に接続されていてもよい。また、
図8において、回路基板2と多層基板10Fとが表面2H側のほぼ全領域において接触しているが、これに限るものではなく、一部または全部が接触していなくてもよいし、回路基板2と多層基板10Fとは、外部接続用導体620との接続部分を除き接触していなくてもよい。
【0105】
また、上述の各実施形態の構成は、適宜組み合わせることができ、それぞれの組合せに応じた作用効果を得ることができる。
多層基板(10)は、複数の可撓性絶縁基材を積層した基板本体(20)と、低背部品(31)、高背部品(41、42)と、を備えている。基板本体(20)は、第1領域(201)と第2領域(202)とを備える。第1領域(201)は、平面視して第2領域(202)に囲まれており、且つ、第2領域(202)よりも低背である。低背部品(31)は、第1領域(201)と第2領域(202)によって形成される凹み(81)の底面に実装されている。高背部品(41、42)は、基板本体(20)における第2領域(202)に内蔵され、基板本体(20)の高さ方向における低背部品(31)の実装面の位置を含む位置で、且つ、基板本体(20)を平面視して第1領域(201)を挟む位置にそれぞれ配置されている。