(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6191830
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】電力変換システム
(51)【国際特許分類】
H02M 7/49 20070101AFI20170828BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20170828BHJP
【FI】
H02M7/49
H02M7/48 R
【請求項の数】36
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-525259(P2014-525259)
(86)(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公表番号】特表2014-522230(P2014-522230A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】AU2012000964
(87)【国際公開番号】WO2013023248
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2015年7月28日
(31)【優先権主張番号】2011903228
(32)【優先日】2011年8月12日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】514036807
【氏名又は名称】デイヴィス,ケヴィン スティーブン
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス,ケヴィン スティーブン
【審査官】
東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−89242(JP,A)
【文献】
特開2008−263748(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/003941(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換システムであって:
入力、出力、及び第1の蓄電デバイスをそれぞれ有し、直流電源と接続される複数のモジュールであって、複数の前記モジュールは、直列に接続され、
前記第1の蓄電デバイスは、前記直流電源に接続され、前記直流電源は、前記第1の蓄電デバイスを充電する、複数の前記モジュール;
最大モジュール電圧および最小モジュール電圧の間で、前記入力および前記出力の間に前記直流電源によって供給される電圧を変えるために、複数の前記モジュールの各々の内部に設けられる第1の電圧制御回路;
複数の前記モジュールの各々の前記第1の電圧制御回路と通信状態にある制御ユニット;
を更に備え、
前記制御ユニットは、1つまたは複数の前記モジュール内に設けられ、前記第1の蓄電デバイスにより前記入力および前記出力の両端に提供される電圧を制御するために、印加される前記電圧を増加または減少させるスイッチングレギュレータを制御するように構成され、
前記電力変換システムは、複数の前記モジュールに直列に接続される少なくとも1つの他のモジュールを備え、少なくとも1つの前記他のモジュールは、入力、出力、第2の蓄電デバイス、及び第2の電圧制御回路を有し、
前記第2の蓄電デバイスは、少なくとも1つの前記他のモジュールに直列に接続される複数の前記モジュール又は少なくとも1つの前記他のモジュールから供給される電圧で充電され、
前記第2の電圧制御回路は、前記入力および前記出力の間に前記第2の蓄電デバイスによって供給される電圧を変化させるように構成され、
前記制御ユニットは、電圧平滑化機能を提供するために、前記最大モジュール電圧以下の電圧が少なくとも1つの前記他のモジュールに供給されるように、前記第2の電圧制御回路を制御して前記第2の蓄電デバイスを充電するように構成され、直列接続されたモジュールの両端の全電圧が、正弦波の幹線信号を近似するように、交流信号または整流された形の交流信号を形成する、電力変換システム。
【請求項2】
前記制御ユニットは、幹線信号の相に関する情報を受信するために幹線電源と通信状態にあり、前記制御ユニットは、前記交流信号または前記整流された形の交流信号が前記幹線電源と同相になるように前記モジュールを制御する、請求項1に記載の電力変換システム。
【請求項3】
複数の前記モジュールの各々は、前記モジュールが前記電力変換システムに電力を供給していないときに、前記電源が蓄電デバイスを充電するよう前記電源に接続された1つまたは複数の前記蓄電デバイスを含む、請求項1または2に記載の電力変換システム。
【請求項4】
前記最小モジュール電圧は逆極性の前記最大モジュール電圧であり、前記制御ユニットは、前記モジュールにより供給される電圧を変えて、交流信号を形成する、請求項3に記載の電力変換システム。
【請求項5】
前記第1の電圧制御回路は、スイッチングデバイスが、前記蓄電デバイスを前記入力および前記出力の間に、第1の方向に接続して前記最大モジュール電圧を提供し、第2の逆方向に接続して前記最小モジュール電圧を提供するように動作可能であり、かつ前記蓄電デバイスをバイパスするように動作可能であるように接続された前記スイッチングデバイスを備える、請求項4に記載の電力変換システム。
【請求項6】
前記最小モジュール電圧は、前記蓄電デバイスがバイパスされたときの、前記モジュール両端の前記電圧であり、前記制御ユニットは、前記モジュールにより供給される前記電圧を変えて、整流された交流信号を形成する、請求項3に記載の電力変換システム。
【請求項7】
前記第1の電圧制御回路は、スイッチングデバイスが、前記蓄電デバイスを前記入力および前記出力の間に第1の方向に接続して、前記最大モジュール電圧を提供するように動作可能であり、かつ前記蓄電デバイスをバイパスして、前記入力および前記出力の間にゼロ電圧を提供するように動作可能であるように接続された前記スイッチングデバイスを備える、請求項6に記載の電力変換システム。
【請求項8】
前記制御ユニットは、得られる電圧が交流信号を形成するように、前記直列接続されたモジュールからの電圧を半サイクル毎に反転させる回路を含む、請求項6または7に記載の電力変換システム。
【請求項9】
前記スイッチングレギュレータは、フィルタに提供される前記第1の蓄電デバイスの電圧から、パルス幅変調された信号を生成するために提供されたスイッチングデバイスを備え、オンからオフへの時間は、前記スイッチングレギュレータの出力信号を増加させるために増大させられ、前記出力信号を減少させるために低減される、請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の電力変換システム。
【請求項10】
前記入力および前記出力の両端に印加される前記電圧が前記モジュールに対する前記最大モジュール電圧に近いとき、前記スイッチングレギュレータがバイパスされる、請求項8または9に記載の電力変換システム。
【請求項11】
前記入力および前記出力の両端に印加される前記電圧がゼロ電圧に近いとき、前記スイッチングレギュレータはバイパスされる、請求項10に記載の電力変換システム。
【請求項12】
1つまたは複数の前記モジュールが、直列に接続された第3および第4の蓄電デバイスを含み、前記モジュールが倍電圧機能を提供するように、前記電源は、前記第3および前記第4の蓄電デバイスの両端で交互に切り換えられる、請求項3〜11のうちいずれか一項に記載の電力変換システム。
【請求項13】
前記他のモジュールそれぞれの前記第2の蓄電デバイスが、先行する前記他のモジュールより低いレベルに充電される、請求項12に記載の電力変換システム。
【請求項14】
複数の前記モジュールの1つが:
入力および出力の間に並列に接続された第1のラインおよび第2のライン;ならびに
前記第1のライン内の第1および第2のスイッチングデバイス、ならびに前記第2のライン内の第3および第4のスイッチングデバイスであって、前記電源および前記第1の蓄電デバイスは、前記第1および前記第2のラインの両端に、前記第1および前記第2のスイッチングデバイスの間、ならびに前記第3および前記第4のスイッチングデバイスの間に接続されたスイッチングデバイス;
を備え、前記第1および前記第4のスイッチングデバイスをオンに切り換え、前記第2および前記第3のスイッチングデバイスをオフに切り換えることにより、前記第1の蓄電デバイスは前記入力および前記出力の両端に第1の極性で接続されるようになり、前記第1および前記第4のスイッチングデバイスをオフに切り換え、前記第2および前記第3のスイッチングデバイスをオンに切り換えることにより、前記第1の蓄電デバイスは前記入力および前記出力の両端に第2の逆極性で接続されるようになり、前記第1および前記第2のスイッチングデバイスをオンに切り換え、前記第3および前記第4のスイッチングデバイスをオフに切り換えることにより、前記入力および前記出力の間が直接接続されるようになる、
請求項4または5に記載の電力変換システム。
【請求項15】
前記モジュールはスイッチングデバイスを備え、前記スイッチングデバイスはそれぞれMOSFETを備える、請求項5〜14のうちいずれか一項に記載の電力変換システム。
【請求項16】
各レギュレータデバイスを提供して、前記電源の電圧を前記第1の蓄電デバイスの電圧に調和させるように、電源のうち1つまたは複数および関連する前記第1の蓄電デバイスの間に前記レギュレータデバイスが提供される、請求項3〜15のうちいずれか一項に記載の電力変換システム。
【請求項17】
前記電源は、エネルギーを蓄積することができるデバイスを備え、前記電力変換システムは、前記電源内の充電レベルを検出し、かつ電荷を再分配して電源間の前記充電レベルを均衡させるように構成される、請求項1〜16のうちいずれか一項に記載の電力変換システム。
【請求項18】
過剰な電荷を有するモジュールを順方向に切り換え、かつ充電レベルが不十分なモジュールを逆方向に切り換えることにより、前記充電レベルを均衡させる、請求項17に記載の電力変換システム。
【請求項19】
前記システムは、EMIを低減するために、エンクロージャにより遮蔽され、前記エンクロージャの出力端子にコモンフィルタリングが提供される、請求項1〜18のうちいずれか一項に記載の電力変換システム。
【請求項20】
電力変換システムによって、複数の直流電源からの電力を変換する方法であって:
複数のモジュールを提供するステップであって、複数の前記モジュールは、前記複数の直流電源に接続され、入力、出力、及び第1の蓄電デバイスをそれぞれ有し、直列に接続され、
前記第1の蓄電デバイスは、前記直流電源に接続され、前記直流電源に充電されるステップ;
制御ユニットから複数の前記モジュールの各々の前記入力および前記出力の両端に印加される電圧を、前記電圧が最大モジュール電圧および最小モジュール電圧の間で変えられるように制御するステップ;
前記制御ユニットから、1つまたは複数の前記モジュール内に設けられ、前記第1の蓄電デバイスにより前記入力および前記出力の両端に提供される電圧を制御するために、前記印加される電圧を、増加または減少させるようにスイッチングレギュレータを制御するステップ;及び
電圧制御回路を制御するステップであって、前記電力変換システムは、複数の前記モジュールに直列に接続される少なくとも1つの他のモジュールを備え、少なくとも1つの前記他のモジュールは、入力、出力、第2の蓄電デバイス、及び前記電圧制御回路を有し、前記第2の蓄電デバイスは、少なくとも1つの前記他のモジュールに直列に接続される複数の前記モジュール又は少なくとも1つの前記他のモジュールから供給される電圧で充電され、前記電圧制御回路は、前記第2の蓄電デバイスを充電するように構成され、前記入力および前記出力の間に前記第2の蓄電デバイスによって供給される電圧を変化させるように構成され、
前記制御ユニットから、電圧平滑化機能を提供するために、前記最大モジュール電圧以下の電圧が少なくとも1つの前記他のモジュールに供給されるように、前記電圧制御回路を制御するステップ;
を備え、直列接続されたモジュールの両端の全電圧が、正弦波の幹線信号を近似するように、交流信号または整流された形の交流信号を形成するように、前記直列接続されたモジュールの各々の前記入力および前記出力の両端の前記電圧が制御される方法。
【請求項21】
前記制御ユニットは、幹線信号の相に関する情報を受信するために幹線電源と通信状態にあり、前記交流信号または前記整流された形の交流信号が前記幹線電源と同相になるように前記モジュールを制御する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
各電源は、前記モジュール内の少なくとも1つの蓄電デバイスに接続され、前記モジュールが前記電力変換システムに電力を供給していないときに、前記電源は前記蓄電デバイスを充電する、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記最小モジュール電圧は逆極性の前記最大モジュール電圧であり、前記制御ユニットは、前記モジュールにより供給される電圧を変えて、交流信号を形成する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記制御ユニットは、スイッチングデバイスを備え、前記制御ユニットは、前記スイッチングデバイスを動作させて、前記蓄電デバイスを前記入力および前記出力の間に、第1の方向に接続して前記最大モジュール電圧を提供し、第2の逆方向に接続して前記最小モジュール電圧を提供し、前記蓄電デバイスをバイパスして、前記入力および前記出力の間にゼロ電圧を提供する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記最小モジュール電圧は、前記蓄電デバイスがバイパスされたときの、前記モジュール両端の前記電圧であり、前記制御ユニットは、前記モジュールにより供給される前記電圧を変えて、整流された交流信号を形成する、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記制御ユニットは、スイッチングデバイスを備え、前記制御ユニットは、前記スイッチングデバイスを動作させて、前記蓄電デバイスを前記入力および前記出力の間に、第1の方向に接続して前記最大モジュール電圧を提供し、前記蓄電デバイスをバイパスして前記入力および前記出力の間にゼロ電圧を提供する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記制御ユニットは、得られる電圧が交流信号を形成するように、前記直列接続されたモジュールからの電圧を半サイクル毎に反転させる、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記スイッチングレギュレータは、フィルタに提供される前記蓄電デバイスの電圧から、パルス幅変調された信号を生成し、オンからオフへの時間比を増大させて前記スイッチングレギュレータの出力信号を増加させるか、または前記オンからオフへの時間比を低減して前記出力信号を減少させる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記入力および前記出力の両端に印加される前記電圧が前記モジュールに対する前記最大モジュール電圧に近いとき、前記スイッチングレギュレータはバイパスされる、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記入力および前記出力の両端に印加される前記電圧がゼロ電圧に近いとき、前記スイッチングレギュレータはバイパスされる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
1つまたは複数の前記モジュールが、直列に接続された第3および第4の蓄電デバイスを含み、前記モジュールが倍電圧機能を提供するように、前記電源は、前記第3および前記第4の蓄電デバイスの両端で交互に切り換えられる、請求項20〜30のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記制御ユニットは、前記他のモジュールそれぞれの前記第2の蓄電デバイスを、先行する前記他のモジュールのレベルより低いレベルに充電する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記電源のうち1つまたは複数および関連する前記第1の蓄電デバイスの間に提供されたレギュレータデバイスが、前記電源の電圧を前記第1の蓄電デバイス内の電圧に調和させる、請求項22〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記電源は、エネルギーを蓄積することができるデバイスを備え、前記電力変換システムは、前記電源内の充電レベルを検出し、電荷を再分配して電源間の前記充電レベルを均衡させる、請求項20〜33のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
過剰な電荷を有するモジュールを順方向に切り換え、かつ充電レベルが不十分なモジュールを逆方向に切り換えることにより、前記充電レベルを均衡させる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
EMIを低減するために、エンクロージャで前記システムを遮蔽するステップ、および前記エンクロージャの出力端子にコモンフィルタリングを提供するステップを含む、請求項20〜35のうちいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源および交流電力の間で電力を変換するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電力および交流電力の間で変換が必要な適用分野がいくつか存在する。
【0003】
太陽光発電はこのような一例である。ソーラーパネルによる発電は、現在、いくつかのソーラーパネルを一緒に接続して、インバータに直流電力を供給するステップを備える。ソーラーパネルは一般に、発生させられた直流電圧が、必要な交流電圧より高くなるように直列に接続され、インバータが、この直流電圧を、必要な幹線電圧の交流電力に変換する。電池から交流電力に電力を変換するために、類似の配置が使用されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、複数の直流電源および交流電力の間で電力を変換するためのシステムに関する。本システムは、より高い効率および融通性を提供する能力を含むいくつかの利点を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一様態によれば、電力変換システムであって:
入力および出力をそれぞれ有する複数のモジュールであって、任意のモジュールの出力が後続のモジュールの入力に接続されるように直列に接続され、各モジュールが、モジュールに電力を供給する少なくとも1つの直流電源にそれぞれ接続された複数のモジュール;
入力および出力の間に最大モジュール電圧および最小モジュール電圧の間で供給される電圧を変えるために、モジュールの各々の内部に提供された電圧制御回路;
モジュールの各々の電圧制御回路と通信状態にある制御ユニット;
を備え、直列接続されたモジュールの両端の全電圧が、交流信号または整流された形の交流信号を形成するように、制御ユニットが、モジュールの各々の入力および出力の両端に供給される電圧を変える
電力変換システムが提供される。
【0006】
好ましくは、制御ユニットは、幹線信号の相に関する情報を受信するために幹線電源と通信状態にあり、制御ユニットは、交流信号または整流された交流信号が幹線電源と同相になるようにモジュールを制御する。
【0007】
好ましくは、モジュールの各々は、モジュールがシステムに電力を供給していないときに、電源が蓄電デバイスを充電するように電源に接続された1つまたは複数の蓄電デバイスを含む。
【0008】
一実施形態では、最小モジュール電圧は逆極性の最大モジュール電圧であり、制御ユニットは、モジュールにより供給される電圧を変えて、交流信号を形成する。好ましくは、電圧制御回路は、スイッチングデバイスが、蓄電デバイスを入力および出力の間に、第1の方向に接続して最大モジュール電圧を提供し、第2の逆方向に接続して最小モジュール電圧を提供するように動作可能であり、かつ蓄電デバイスをバイパスするように動作可能であるように接続されたスイッチングデバイスを備える。
【0009】
他の一実施形態では、最小モジュール電圧は、蓄電デバイスがバイパスされたときの、モジュール両端の電圧であり、制御ユニットは、モジュールにより供給される電圧を変えて、整流された交流信号を形成する。好ましくは、電圧制御回路は、スイッチングデバイスが、蓄電デバイスを入力および出力の間に第1の方向に接続して、最大モジュール電圧を提供するように動作可能であり、かつ蓄電デバイスをバイパスして、入力および出力の間にゼロ電圧を提供するように動作可能であるように接続されたスイッチングデバイスを備える。制御ユニットは、好ましくは、得られる電圧が交流信号を形成するように、直列接続されたモジュールからの電圧を半サイクル毎に反転させる回路を含む。
【0010】
好ましい一実施形態では、蓄電デバイスにより入力および出力の両端に提供される電圧を制御するために、印加される電圧を増加または減少させて、幹線信号をより厳密に近似するように、1つまたは複数のモジュール内にスイッチングレギュレータが蓄電デバイスに接続されて提供される。
【0011】
スイッチングレギュレータは、好ましくは、フィルタに提供される蓄電デバイスの電圧から、パルス幅変調された信号を生成するために提供されたスイッチングデバイスを備え、オンからオフへの時間は、出力信号を増加させるために増大させられる、または出力信号を減少させるために低減される。
【0012】
好ましくは、入力および出力の両端に印加される電圧がモジュールに対する最大電圧に近いとき、スイッチングレギュレータはバイパスされる。
【0013】
好ましくは、入力および出力の両端に印加される電圧がゼロ電圧に近いとき、スイッチングレギュレータはバイパスされる。
【0014】
1つまたは複数のモジュールが、直列に接続された第1および第2の蓄電デバイスを含んでもよく、モジュールが倍電圧機能を提供するように、電源が第1および第2の蓄電デバイスの両端で交互に切り換えられる。
【0015】
電圧平滑化機能を提供するために、電源の電圧以下の電圧に充電された蓄電デバイスを有する1つまたは複数の他のモジュールが提供されてもよい。好ましくは、他のモジュールそれぞれの蓄電デバイスが、先行する他のモジュールより低いレベルに充電される。
【0016】
一実施形態では、モジュールのうち1つが:
入力および出力の間に並列に接続された第1のラインおよび第2のライン;ならびに
第1のライン内の第1および第2のスイッチングデバイス、ならびに第2のライン内の第3および第4のスイッチングデバイスであって、電源および蓄電デバイスは、第1および第2のラインの両端に、第1および第2のスイッチングデバイスの間、ならびに第3および第4のスイッチングデバイスの間に接続されたスイッチングデバイス;
を備え、第1および第4のスイッチングデバイスをオンに切り換え、第2および第3のスイッチングデバイスをオフに切り換えることにより、蓄電デバイスは入力および出力の両端に第1の極性で接続されるようになり、第1および第4のスイッチングデバイスをオフに切り換え、第2および第3のスイッチングデバイスをオンに切り換えることにより、蓄電デバイスは入力および出力の両端に第2の逆極性で接続されるようになり、第1および第2のスイッチングデバイスをオンに切り換え、第3および第4のスイッチングデバイスをオフに切り換えることにより、入力および出力の間が直接接続されるようになる。
【0017】
スイッチングデバイスは、それぞれMOSFETを備えてもよい。
【0018】
一実施形態では、各レギュレータデバイスを提供して、電源の電圧を蓄電デバイスの電圧に調和させるように、電源のうち1つまたは複数および関連する蓄電デバイスの間にレギュレータデバイスが提供される。
【0019】
一実施形態では、電源は、エネルギーを蓄積することができるデバイスを備え、システムは、電源内の充電レベルを検出し、かつ電荷を再分配して電源間の充電レベルを均衡させるように構成される。好ましくは、過剰な電荷を有するモジュールを順方向に切り換え、かつ充電レベルが不十分なモジュールを逆方向に切り換えることにより、充電レベルを均衡させる。
【0020】
一実施形態では、システムは、EMIを低減するために、エンクロージャにより遮蔽され、エンクロージャの出力端子にコモンフィルタリングが提供される。
【0021】
本発明の他の一様態によれば、電力を変換する方法であって:
入力および出力をそれぞれ有する複数のモジュールを提供するステップであって、任意のモジュールの出力が、後続のモジュールの入力に接続されるように、直列に接続され、各モジュールが、モジュールに電力を供給する少なくとも1つの電源に接続された複数のモジュールを制御するステップ;および
中央制御装置からモジュールの各々の入力および出力の両端に印加される電圧を、前記電圧が最大モジュール電圧および最小モジュール電圧の間で変えられるように制御するステップ;
を備え、直列接続されたモジュールの両端の全電圧が、交流信号または整流された形の交流信号を形成するように、モジュールの各々の入力および出力の両端の電圧が制御される
方法が提供される。
【0022】
好ましくは、制御ユニットは、幹線信号の相に関する情報を受信するために幹線電源と通信状態にあり、交流信号または整流された交流信号が幹線電源と同相になるようにモジュールを制御する。
【0023】
好ましくは、各電源は、モジュール内の少なくとも1つの蓄電デバイスに接続され、モジュールがシステムに電力を供給していないときに、電源が蓄電デバイスを充電する。
【0024】
一実施形態では、最小モジュール電圧は逆極性の最大モジュール電圧であり、制御ユニットは、モジュールにより供給される電圧を変えて、交流信号を形成する。好ましくは、電圧制御回路は、スイッチングデバイスを備え、制御ユニットは、スイッチングデバイスを動作させて、蓄電デバイスを入力および出力の間に、第1の方向に接続して最大モジュール電圧を提供し、第2の逆方向に接続して最小モジュール電圧を提供し、蓄電デバイスをバイパスして、入力および出力の間にゼロ電圧を提供する。
【0025】
他の一実施形態では、最小モジュール電圧は、蓄電デバイスがバイパスされたときの、モジュール両端の電圧であり、制御ユニットは、モジュールにより供給される電圧を変えて、整流された交流信号を形成する。好ましくは、電圧制御回路は、スイッチングデバイスを備え、制御ユニットは、スイッチングデバイスを動作させて、蓄電デバイスを入力および出力の間に、第1の方向に接続して最大モジュール電圧を提供し、蓄電デバイスをバイパスして入力および出力の間にゼロ電圧を提供する。好ましくは、制御ユニットは、得られる電圧が交流信号を形成するように、直列接続されたモジュールからの電圧を半サイクル毎に反転させる。
【0026】
好ましい一実施形態では、各モジュール内にスイッチングレギュレータが蓄電デバイスに接続されて提供され、スイッチングレギュレータは、印加される電圧を増加または減少させて、幹線信号をより厳密に近似するように、蓄電デバイスによりモジュールの入力および出力の両端に提供される電圧を制御する。
【0027】
スイッチングレギュレータは、好ましくは、フィルタに提供される蓄電デバイスの電圧から、パルス幅変調された信号を生成し、オンからオフへの時間比を増大させて出力信号を増加させる、またはオンからオフへの時間比を低減して出力信号を減少させる。
【0028】
好ましくは、入力および出力の両端に印加される電圧がモジュールに対する最大電圧に近いとき、スイッチングレギュレータはバイパスされる。好ましくは、入力および出力の両端に印加される電圧がゼロ電圧に近いとき、スイッチングレギュレータはバイパスされる。
【0029】
一実施形態では、1つまたは複数のモジュールが、直列に接続された第1および第2の蓄電デバイスを含み、モジュールが倍電圧機能を提供するように、電源は第1および第2の蓄電デバイスの両端で交互に切り換えられる。
【0030】
蓄電デバイスを有する1つまたは複数の他のモジュールが提供されてもよく、制御ユニットは他のモジュールを動作させて、電圧平滑化機能を提供する電圧以下の電圧まで蓄電デバイスを充電する。好ましくは、制御ユニットは、他のモジュールそれぞれの蓄電デバイスを、先行する他のモジュールのレベルより低いレベルまで充電する。
【0031】
一実施形態では、電源のうち1つまたは複数および関連する蓄電デバイスの間に提供されたレギュレータデバイスが、電源の電圧を蓄電デバイス内の電圧に調和させる。
【0032】
一実施形態では、電源は、エネルギーを蓄積することができるデバイスを備え、システムは、電源内の充電レベルを検出し、電荷を再分配して、電源間の充電レベルを均衡させる。好ましくは、過剰な電荷を有するモジュールを順方向に切り換え、かつ充電レベルが不十分なモジュールを逆方向に切り換えることにより、充電レベルを均衡させる。
【0033】
一実施形態では、本方法は、EMIを低減するために、エンクロージャでシステムを遮蔽するステップ、およびエンクロージャの出力端子にコモンフィルタリングを提供するステップを含む。
【0034】
次に、以下の図面を参照して、例によって本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明による電力変換システムの回路図である。
【
図2】
図1のシステムからの段階的な出力を示すグラフである。
【
図3】モジュール内部に提供される回路の代替の一実施形態の回路図である。
【
図4】モジュールの他の代替の一実施形態の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1および
図2を参照すると、本発明による電力変換システム10の第1の実施形態が示されている。電力変換システム10は、複数の電源12からの直流電力を、電力グリッドに供給するのに適したタイプの交流電力に変換するために提供される。
【0037】
電力変換システム10は、電源のうち少なくとも1つにそれぞれ関連づけられた複数のモジュール14を含む。電源12は、たとえば、ソーラーパネルまたは電池であってもよい。モジュール14の各々が、入力16および出力17を具備する。電源12により発生させられた直流電圧が、入力16および出力17の両端に提供されるべきであり、モジュール14は、各モジュール14の出力17が、後続のモジュール14の入力16に接続されるように、直列に接続されるべきである。したがって、電力変換システム10は、モジュール14の各々の両端に直列電圧を提供するシステム入力およびシステム出力を含む。すなわち、モジュール14のすべての入力16および出力17の両端に電圧の合計が提供される。
【0038】
モジュール14の各々は、モジュール14の入力16および出力17の両端に供給される電圧を変えるための電圧制御回路を具備する。入力および出力の両端に提供されるモジュールの電圧は、電圧制御回路により最大モジュール電圧および最小モジュール電圧の間で変えられてもよい。図示する実施形態では、電圧制御回路は、複数のスイッチングデバイスを含む。図示する実施形態では、スイッチングデバイスはそれぞれMOSFETを備える。入力および出力の間に第1の極性で電圧を提供し、入力および出力の間に第2の極性で電圧を提供するように電源12を切り換える、または電源12をバイパスすることができるように、スイッチングデバイスは接続される。したがって、この実施形態では、最大モジュール電圧は電源の電圧であり、最小モジュール電圧は逆極性の電源の電圧である。
【0039】
モジュール14の各々はまた、電源12の端子に接続された蓄電デバイス18を具備する。蓄電デバイス18は、図示する実施形態では、電解コンデンサを備えるが、他のデバイス、たとえば高分子コンデンサまたは充電式電池が使用されてもよい。蓄電デバイス18は、モジュール14がバイパスされたときに、電源12により発生させられた電力が、使用するために蓄電デバイス18の中に蓄積され続けるように、電源12からの電荷を蓄積する。蓄電デバイス18は、電源12から遠く離れていても、電源12の一部であってもよい。
【0040】
モジュール14は、いくつかの構成で提供される。第1のモジュール20が、接続された電源12および蓄電デバイス18からの電力を第1または第2の極性で入力16および出力17の両端に提供する、または入力16が出力17に直接接続されるように電源12および蓄電モジュール18をバイパスするように、第1のモジュール20が提供される。この場合、最大モジュール電圧はおよそ電源の電圧であり、最小モジュール電圧はおよそ負の電源の電圧である。
【0041】
第1のモジュール20は、入力16および出力17の間に並列に接続された第1のライン22および第2のライン26を備える。第1のライン22は、第1のスイッチングデバイス24および第2のスイッチングデバイス25を具備し、第2のライン26は、第3のスイッチングデバイス27および第4のスイッチングデバイス28を具備する。電源12および蓄電デバイス18は、第1のライン22および第2のライン26の両端に、第1のスイッチングデバイス24および第2のスイッチングデバイス25の間、ならびに第3のスイッチングデバイス27および第4のスイッチングデバイス28の間に接続される。
【0042】
電力変換システム10は、スイッチングデバイスの動作を制御するための制御ユニット(
図1に図示せず)を具備する。制御ユニットは、直列に接続されたモジュール14の各々に情報を伝達し、かつスイッチングデバイスを個々にオンまたはオフに切り換えさせる制御ライン30に接続される。モジュールの各々が、制御ユニットから情報を受信するローカルコントローラ31を具備する。この実施形態のローカルコントローラは監視機能を提供し、スイッチングデバイスをローカルに制御し、モジュール14の状態に関する情報を主制御装置に戻す。図示する実施形態は、ケーブル接続を利用して、制御ユニットおよびモジュール14の各々の間で制御情報をやりとりするが、他のモジュールが用いられてもよい。たとえば、無線通信方法を使用して、制御ユニットへの、および/または制御ユニットからの情報を中継してもよい。
【0043】
第1のモジュール20では、第1のスイッチングデバイス24および第4のスイッチングデバイス28をオンに切り換え、第2のスイッチングデバイス25および第3のスイッチングデバイス27をオフに切り換えることにより、蓄電デバイス18は、第1の極性で入力16および出力17の両端に接続されることを理解することができる。第1のスイッチングデバイス24および第4のスイッチングデバイス28をオフに切り換え、第2のスイッチングデバイス25および第3のスイッチングデバイス27をオンに切り換えることにより、蓄電デバイス18は、第2の逆極性で入力16および出力17の両端に接続される。第1のスイッチングデバイス24および第2のスイッチングデバイス25をオフに切り換え、第3のスイッチングデバイス27および第4のスイッチングデバイス28をオンに切り換えることにより、入力16および出力17の間が直接接続され、蓄電デバイス18および電源12はバイパスされる。バイパスされた状態では、電源12により発生させられたエネルギーは、蓄電デバイス18に蓄積される。
【0044】
主制御装置は、モジュール14の両端の電圧の合計である、システム10で得られる出力電圧が交流信号を備えるように、モジュール14の各々を切り換える。制御ユニットは、幹線信号の相電圧および相電流に関する情報を受信するために幹線電源と通信状態にあり、生成される交流信号の電圧が幹線電源と同相であり、かつ電流が幹線システムに供給するのに適するように制御されるように、モジュールを制御する。
【0045】
すなわち、一般に、幹線信号の電圧が、幹線信号サイクルの正の部分で増大するとき、制御ユニットは、モジュール14をバイパス構成から蓄電デバイス18が第1の(正の)極性で接続される構成に順次切り換えて、幹線信号に従うようにシステム出力電圧を上昇させる。幹線電圧がサイクルの正の部分で下降するとき、制御ユニットは、モジュール14をバイパスモードに切り換えて、全電圧を低下させ、幹線信号に従い始める。同じことが幹線サイクルの負の部分の間に行われ、モジュール14は、電圧が、幹線信号に従うように第2の(負の)極性で供給されるように切り換えられる。
図2で理解することができるように、生成されて出来上がった交流信号は、階段状近似の正弦波を備える。
【0046】
モジュール14は、幹線信号をより厳密に近似することができるように、電源12により発生させられた電圧の数倍または数分の1である、システム10の出力に加えられる電圧レベルを提供するように配置されてもよい。図示する実施形態では、倍電圧機能を提供する第2のモジュール32および第3のモジュール33が提供される。第2のモジュール32および第3のモジュール33内のスイッチングデバイスの配置は、第1のモジュール20内の配置と同じである。しかしながら、第2のモジュール32および第3のモジュール33は、第1のライン22および第2のライン26の両端に直列に接続された第1の蓄電デバイス18aおよび第2の蓄電デバイス18bを具備する。また、第1、第2、第3、および第4の二次スイッチングデバイス34、35、36、および37が提供される。
【0047】
第1の二次スイッチングデバイス34は、電源12の第1の端子および第1の蓄電デバイス18aの第1の側の間に接続される。第2の二次スイッチングデバイス35は、電源12の第1の端子および第1の蓄電デバイス18aの第2の側(第2の蓄電デバイス18bの第1の側である)の間に接続される。第3の二次スイッチングデバイス36は、電源12の第2の端子から第1の蓄電デバイス18aの第2の側に接続される。第4の二次スイッチングデバイス37は、電源12の第2の端子および第2の蓄電デバイス18bの第2の側の間に接続される。
【0048】
第1の二次スイッチングデバイス34および第3の二次スイッチングデバイス36をオンに切り換え、かつ第2の二次スイッチングデバイス35および第4の二次スイッチングデバイス37をオフにすることにより、電源12を第1の蓄電デバイス18aの両端に接続することができる。第1の二次スイッチングデバイス34および第3の二次スイッチングデバイス36をオフに切り換え、かつ第2の二次スイッチングデバイス35および第4の二次スイッチングデバイス37をオンにすることにより、電源12を第2の蓄電デバイス18bの両端に接続することができる。第1の蓄電デバイス18aおよび第2の蓄電デバイス18bを交互に充電することにより、蓄電デバイス18aおよび18bの両端の全電圧を電源12の電圧のおよそ2倍に引き上げることができる。したがって、正弦波の幹線電圧を近似するために全電圧により大きなステップが必要であるとき、第2のモジュール32および第3のモジュール33を中に切り換えることができる。あるいは、より小さなステップが必要である場合、倍電圧器モジュール32または33を回路内で切り換えるのと同時に、第1のモジュール20を逆極性に切り換えてもよい。モジュールが逆極性に切り換えられたとき、逆に切り換えられたパネルモジュールの蓄電デバイス18が充電される。したがって、第2のモジュール32および第3のモジュール33は、必要な電源の数を低減するという利点をさらに有する倍電圧器の役割を果たす。
【0049】
電力変換システム10はまた、正弦波信号をより正確に近似するように電圧を切り換えるために提供された他のモジュールを具備する。電源をあまりにも速くオンおよびオフに切り換えすぎないことによりEMCを低減することが望ましいので、電源とは別個のこれらの他のモジュールにより、より高い周波数の切り換えが行われる。グリッド電力の中に高周波を注入しないことが望ましく、この過程により、電源および接地された金属屋根の間の静電容量がこれらの不要な信号をグリッド電力線に戻して伝導させないことが保証される。
【0050】
図示する実施形態では、このような他のモジュール40が4つ存在する。他のモジュール40の各々が、第1、第2、第3、および第4のスイッチングデバイス、ならびに同じ手法で接続された蓄電デバイス19を含むという点で、第1のモジュール20に類似する構成からなる。主制御装置は、他のモジュール40の蓄電デバイス19を回路の中で切り換える極性を選択することにより、充電の状態を、したがって、他のモジュール40の蓄電デバイス19の電圧を制御する。他のモジュール40の蓄電デバイス19は、モジュールとほぼ同様に回路内で切り換えられたときに放電され、逆極性に切り換えられたときに充電される。他のモジュール40の蓄電デバイス19は、他のモジュール40それぞれと異なる電圧を提供するように充電される。図示する実施形態では、第1の他のモジュール42は、蓄電デバイス19が、電源12の電圧にほぼ近い電圧を提供するように構成される。したがって、単一レベルの増加した電圧だけが必要である場合、第1の他のモジュール40を第2のモジュール32または第3のモジュール33の一方に対して逆極性に切り換えることができる。したがって、第1の他のモジュール42は、倍電圧器モジュール32および33の補正器の役割を果たし、これにより、第1の他のモジュール42の蓄電デバイス19が充電されることになる。第1の他のモジュール42の蓄電デバイス19の電荷が十分に大きい場合、第1の他のモジュール42を単にオンに切り換えて、単一レベルの電圧を増大させることができる。
【0051】
第2、第3、および第4の他のモジュール43、44、および45は、それぞれ同じ構成からなり、蓄電デバイス19は、上記で説明した同じ過程により電圧レベルを低減するように充電される。図示する実施形態では、第2の他のモジュール43の蓄電デバイス19は、電源の電圧のおよそ半分に充電される。第3の他のモジュール44の蓄電デバイス19は、第2の他のモジュール43の電圧のおよそ半分の電圧に充電され、第4の他のモジュール45の蓄電デバイス19は、第3の他のモジュール44の電圧のおよそ半分の電圧に充電される。したがって、第2、第3、および第4の他のモジュール43、44、および45は、より小さなステップの電圧を提供するように切り換えられ、電圧平滑器の役割を果たすことができる。
【0052】
モジュール14の切換えは、
図2に示す交流信号に類似する高精度階段状交流信号を提供するように行われる。システム10は、切り換えられた電圧を平滑化するために、モジュール14と直列に接続された主電力インダクタ48を具備してもよい。
【0053】
他のモジュールを切り換えて、PWM信号をインダクタの中に形成することにより、平滑化をさらに達成してもよい。システム10から主グリッドラインに電力を切り換えるために、主リレー50が提供される。
【0054】
安全性を保証し、かつ制御ライン上での腐食が陽極または陰極に伝わるのを防ぐために、高圧コンデンサがこれらの制御ラインと直列に提供される。制御ライン30に沿って渡される情報は、各モジュール14を通過するときに遅延させられる可能性があるが、このような場合、遅延時間は既知である、または確定できるので、各モジュールは、いつ切り換えるべきかが分かる。これは、たとえば、電源がオンにされ、他の電源がオフにされるべき状況で重要である。遅延時間が既知であるので、両方のスイッチが同期して切り換わり、したがって、リップルおよびEMCスパイクがシステムから低減される。
【0055】
情報は、制御ユニットとの間で両方向に送信され、モジュールがいつ切り換わるべきか、およびモジュールがどのように切り換わるべきかなどの制御情報を含むことができる。また、図面でAおよびBと印をつけた端子でステップ電圧を計測することができる。通信は切り換えている間に一瞬遅延し、このようにして、信頼できる通信が切換事象にわたり継続する。
【0056】
本システムは、従来のインバータより低い電圧で動作する。一般に、このようなインバータは、すべての電源が直列に配線された電圧で動作する。本システムでは、MOSFETはおよそ50ボルトで動作し、したがって、高圧MOSFETよりはるかに低いオン抵抗を有し、IGBTによる無駄な電力がない。これにより、公知のシステムに対して本発明の全体的な効率を改善することができる。また、電圧がより低いことにより、信頼性を改善することができることになる。リレー50がオフに切り換えられ、かつ各モジュールがバイパスするよう命令されたとき、システムは電気的に停止させられ、保守作業が安全に行われる。
【0057】
主インダクタ48は、得られるステップ電圧またはPWM電圧を平滑化し(電源電圧のおよそ1/8)、サイクル毎のシステム損失が低下する。低い電圧ステップにより、インダクタを従来のインバータに対するよりもはるかに小さくすることが可能になる。
【0058】
他の一実施形態では、モジュール14の各々が、スイッチングレギュレータ60を具備する。スイッチングレギュレータ60は、蓄電デバイス18に接続されて提供される。スイッチングレギュレータ60は、蓄電デバイス18により入力16および出力17の両端に提供される電圧を制御する。詳細には、スイッチングデバイスは、入力16および出力17の両端の電圧変化率を制御する。スイッチングレギュレータ60により、蓄電デバイス18により印加される電圧を増加または減少させて、
図1に示す実施形態の階段状近似ではなく、正弦波の幹線信号をより厳密に近似することができるようになる。スイッチングレギュレータ60は、蓄電デバイス18により印加される電圧を適切に調整することができるように、幹線電圧信号を検知する制御ユニットにより制御され、他のモジュール42〜45を必要なくする。
【0059】
モジュールの必要な出力電圧が最大または最小のレベルに近いとき、スイッチングレギュレータはバイパスされてもよい。必要がないときにスイッチングレギュレータ60をこのようにバイパスすることにより、スイッチングレギュレータが必要とされない期間中のスイッチングレギュレータ内部の損失が除去される。
【0060】
図3は、このタイプのモジュール14の回路の回路図を示す。電源12および蓄電デバイス18は、明確にするために、この図には示されていない。蓄電デバイス18からの電圧は、
図1にすでに示したように、蓄電デバイス18からV+で回路から提供される。
【0061】
スイッチングレギュレータ60の機能は、第1の対のレギュレータ・スイッチング・デバイスQ7およびQ12、ならびに第2の対のレギュレータ・スイッチング・デバイスQ6およびQ10により提供される。第1、第2、第3、および第4のスイッチングデバイスQ8、Q5、Q13、およびQ9を使用して、第1の実施形態に類似する手法で、入力および出力の両端に印加される電圧を制御する。スイッチングデバイスのすべてが、制御ユニット29により制御される。
【0062】
交流サイクルの正の部分の間に電圧を増加させる必要があるとき、まず、必要な期間、Q7をオンに切り換えて、端子I/O1からI/O2に流れる電流とほぼ同じ電流を有するようにインダクタL1を充電し、次いで、Q13をオフに切り換える。次いで、第1の対のレギュレータ・スイッチング・デバイスQ7およびQ12を使用して、インダクタL3およびコンデンサC3を備えるフィルタに印加されるパルス幅変調信号を生成する。Q7およびQ12は交互にオンに切り換えられ、Q12に対してQ7がオンである時間のパーセンテージが増大する。出力17側のVpwmでの電圧が、インダクタL3およびコンデンサC3によって滑らかに、PWMに比例して増大する。スルーレートは、好ましくは、モジュールを介して計測した電流に従って、または主制御装置から受信したスルー・レート・コマンドに従って制御可能である。この時間中に、スイッチングデバイスQ9およびQ10は、回路の入力側をバイパスするためにオンである。最高の電圧に到達すると、最高の電圧を入力16および出力17の両端に提供するために、スイッチングデバイスQ8がオンになる。
【0063】
電圧を減少させる必要があるとき、制御された方法でQ8をオフにして、インダクタL3を通る電流が、端子I/O1からI/O2に流れる電流を再度調和させることが可能になり、次いで、逆の傾斜過程が行われる。すなわち、電圧を減少させるために、Q12に対してQ7がオンである時間がゼロに低減される。次いで、スイッチングデバイスQ13は、回路の外側をバイパスするようにオンになる。
【0064】
サイクルの負の部分の間に、上記と同じ過程が行われるが、スイッチングデバイスQ9がオフになる間、第2の対のレギュレータ・スイッチング・デバイスQ6およびQ10を切り換えて、入力16側のVpwmで生成される電圧を制御する。
【0065】
2つ以上のモジュールが、制御ユニットを使って同時にPWM傾斜を提供してもよく、PWMの重なりを使用して、一方のモジュールから他のモジュールへの滑らかな傾斜の遷移を提供する。この場合、システムは、第1、第2、第3、および第4のスイッチングデバイスQ8、Q5、Q13、およびQ9なしに動作することができる。
【0066】
図4は、パネルモジュール14の配置の他の代替の一実施形態を示す。
図4の回路は、
図3の回路に類似するが、単方向波形だけを生成するために、片側だけが提供される。したがって、直列接続されたモジュールは、整流された形の交流信号を生成する。このとき、制御ユニット内にスイッチングデバイスQ100、Q101、Q102、およびQ103を提供して、一方の半サイクルの間にQ100およびQ103をオンに切り換え、かつ交互の半サイクルの間にQ101およびQ102をオンに切り換えることにより、全波形に変換する。
【0067】
ユーザインタフェースを有するデバイスにより、制御ユニットが構成可能であってもよい。制御ユニットは、システムが、構成可能な電圧レベルおよび周波数の出力を作り出すように構成可能であってもよい。このとき、システムは、確実に動作するだけの十分なモジュールが存在する限り、および検出された幹線信号が許容可能な範囲内の、構成された電圧および周波数である間、この電圧レベルおよび周波数を作り出す。あるいは、システムは、幹線電源に接続されておらず、かつスタンドアロンの電力を供給するために使用される場合、構成可能な電圧および周波数を単に提供する。したがって、制御ユニットは、ユーザインタフェースにより、110V、240V、および415Vシステムなどの範囲のシステムに電力を提供するように構成されてもよい。
【0068】
また、1つまたは複数のモジュールが単一極性だけで動作することができる。この構成では、制御手段は、連続したモジュールを制御して必要な逆極性を提供する、またはモジュールから受信した単方向電圧を、幹線端子を駆動するための交流信号に変換する切換手段を組み入れる。
【0069】
また、制御手段は、平滑化モジュールの一部またはすべての代わりにスイッチングレギュレータを組み入れてもよく、スイッチングレギュレータは、モジュールから受信され、幹線端子の両端に置かれたコモン・フィルタ・コンデンサにより平滑化される階段状電圧を補償するために使用される。このスイッチングレギュレータは、モジュールの蓄電コンデンサから電力を引き出すモジュールの1つの中に組み入れられてもよい。
【0070】
また、電源12および関連する蓄電デバイス18の間に、レギュレータデバイス(図示せず)が提供されてもよい。レギュレータデバイスは、蓄電デバイス内の電圧に対して電源の電圧を調和させるために提供されるスイッチングレギュレータであってもよい。
【0071】
エネルギーを電池などの電源の中に戻して蓄積することができる場合、システムが電源内の充電レベルを検出し、かつ電荷を再分配して電源間の充電レベルを均衡させるように構成されることが好ましい。メインコントローラは、不十分な充電レベルのモジュールを逆方向に切り換えながら、回路内の過剰な電荷を有するモジュールを順方向に切り換えることにより、レベルを均衡させてもよいので、システム内を流れる電流が、電荷を再分配して、充電レベルを均衡させる。
【0072】
電力制御システムを遮蔽して、受け入れられない電磁干渉(EMI)が作り出されるのを防止することが望ましい場合がある。このような遮蔽が電池を有するシステムに組み入れられてもよいのは、電源が、高いスイッチング周波数を有し、たとえばコモン・フィルタ・コンデンサを使用する場合にモジュールの外側に電流を伴う場合があるためである。
【0073】
無停電電源(uninterruptable power supply、UPS)の用途では、低インピーダンス電池電源から主スイッチング電力を直接引き出すことが好ましい場合がある。モジュールがシステムに電力を供給していないとき、電源12は、電荷回収が行われている蓄電デバイス18を兼ねる。電源内の不要なEMIおよび不要なスイッチング電流を防止するために、ライン22および26の両端にコンデンサが使用されてもよい。蓄電デバイスが使用される場合、同じ目的で電源12およびモジュール14の間にインダクタが置かれてもよい。
【0074】
電力変換システムは、電力調整機能を提供して交流波形を改善する制御ルーチンを組み入れてもよい。好ましくは、制御ルーチンは、瞬時の電流、および/または高調波電流、および/または高調波電圧を考慮し、システム出力、または信号が与えられる出力から遠く離れた場所で得られる波形が正弦波により厳密に似るように、システム出力を変える。
【0075】
主電動機に三相電力を提供するために、システムを2列(デルタ構成)または3列(星形構成)で構成することにより、牽引制御用電力を提供することができる。システムの出力電圧および周波数は制御可能である。モジュールが順次切り換えられて、電源および蓄電デバイスの間にインダクタを提供することができるので、インダクタは電池内の電流を平滑化する。このような閉システムでは、出力平滑化コンデンサは必要ないが、それでもなお、EMIを低減するためにコンデンサを使用することができる。
【0076】
本発明の基本的な発明概念を逸脱することなく、すでに説明した実施形態に加えて、さまざまな修正および改善を前述の実施形態に行ってもよいことが、当業者には容易に明らかであろう。
【0077】
図1に示す3つだけではなく任意の数のモジュールが使用されてもよいことを当業者は理解されよう。また、
図3の実施形態に関連して説明したように電源をバイパスすることは、適切な動作に必要ない。たとえば、すべての直列モジュールがPWM傾斜を同時に提供することができ、したがって、各モジュールの端子16および17の両端に交流正弦波形を形成する。制御ユニット29は、直列接続されたモジュールが、電力グリッドに供給することができる交流電力を提供するように、同期している電圧および/または制御情報をモジュールに提供する。