(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6191848
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】文書セキュリティ処理用固形糊{GLUE STICK FOR DOCUMENT SECURITY PROCESS}
(51)【国際特許分類】
B43M 11/00 20060101AFI20170828BHJP
B43L 19/00 20060101ALI20170828BHJP
C09J 9/00 20060101ALI20170828BHJP
C09J 11/00 20060101ALI20170828BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
B43M11/00 A
B43L19/00 H
C09J9/00
C09J11/00
C09J201/00
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-98273(P2016-98273)
(22)【出願日】2016年5月16日
(65)【公開番号】特開2016-221957(P2016-221957A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2016年5月18日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0074896
(32)【優先日】2015年5月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516144430
【氏名又は名称】リ,スン ヨプ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】リ,スン ヨプ
【審査官】
吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−148282(JP,A)
【文献】
特開2010−275456(JP,A)
【文献】
特開2003−138235(JP,A)
【文献】
特開平10−168415(JP,A)
【文献】
特開平5−43846(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0021186(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43M 11/00
B43L 19/00
C09J 9/00
C09J 11/00
C09J 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部収容空間に満たされる固形接着剤(20)を包み込むケース(10)と、
このケース(10)の開口部の位置で着脱される蓋(11)から構成されたものにおいて、
前記固形接着剤(20)は、文書に記載された内容の上に塗ることによって、記載の内容が隠蔽されて肉眼では見えないように、黒色のカーボン粉末が固形接着剤(20)を含んだ全体の重量に対して、1−3重量%が混合され、活性剤であるチタン酸化剤(Titanium Dioxide)が0.5〜2重量%、そして、分散剤(Dispersing Agent)が0.3〜1重量%からなる隠蔽物質が混合されることを特徴とする文書セキュリティ処理用固形糊。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書セキュリティ処理用固形糊に関し、より詳細には、セキュリティの保持が必要な各種文書や各種書類に記載された重要な資料と、個人情報などの流出をより簡単な処理で防止することができ、ユーザーにとって経済的な利益を与えることができる文書セキュリティ処理用固形糊に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、機密を保持しなければならない文書、保存期間が過ぎた文書、或いは廃紙を処理しなければならない場合、主に文書シュレッダーを使用している。
【0003】
特に、内部の情報が廃紙を介して外部に流出される場合、不測の損害を被る可能性があるので、文書シュレッダーが広く使用されている。
【0004】
文書シュレッダーの構成は、ケースの内部に回転する両刃を備え、この両刃の間に投入された廃紙を両刃のせん断力によって微細に切断して破砕された廃紙を外部に排出するようになるものであり、セキュリティの保持が重要なオフィス内に必需品として固定式に配置して、多く利用している実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国登録特許第10−1248099号公報(登録日付:2013年3月21日)
【特許文献2】韓国公開特許第10−2014−0142480号公報(公開日付:2014年12月12日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、文書シュレッダーを利用して重要な文書や各種資料や郵便物などを破砕する場合、セキュリティの保持効果は、ある程度期待することができた。
【0007】
しかし、文書シュレッダーは、比較的に高価でありながら体積が大きく、文書破砕のために電気電源でモータなどの動力が稼動されなければならないので、保持費が消耗されるなど、そのユーザーにとって経済的な負担を感じさせる問題点があった。
【0008】
一方、文書などを接着する際に利用されている通常の固形糊は、接着剤が固形ゲルタイブで形成されるため、接着剤がボディーの外部に零れる恐れもなく、事務用として広く利用されている。
【0009】
しかし、従来の固形糊の接着剤は、主に透明な色でただ文書などの必要な部分を接着するときにのみ使われるものであり、文書のセキュリティ処理などの用途としては利用することができなかった。
【0010】
本発明は、従来の問題点を解決するために発明されたものであって、接着剤に隠蔽物質を混合して重要な情報が記載された部分に簡単に糊付け作業によって文書のセキュリティ保持ができるようになった文書セキュリティ処理用固形糊を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、セキュリティ処理作業を画期的に改善して、経済的な利益を与えることができる文書セキュリティ処理用固形糊を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するために、本発明の文書セキュリティ処理用固形糊は、
内部収容空間に満たされる固形接着剤20を包み込むケース10と、
このケース10の開口部の位置で着脱される蓋11から構成されたものにおいて、
前記固形接着剤20で文書に記載された内容の上に塗ることによって、記載の内容が隠蔽されて肉眼では見えないように黒色のカーボン粉末が固形接着剤20を含んだ全体の重量に対して、1−3重量%が混合され、活性剤であるチタン酸化剤(Titanium Dioxide)が0.5〜2重量%、そして、分散剤(Dispersing Agent)が0.3〜1重量%からなる隠蔽物質が混合されるものである。
【発明の効果】
【0013】
このような本発明によれば、重要な情報が記載された部分に簡単に糊付け作業によって文書のセキュリティ保持が可能である。
【0014】
従って、セキュリティ処理作業を画期的に改善することができ、そのユーザーにとって経済的な利益を与えることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本発明の実施例で、セキュリティ処理が必要な文書を示した写真。
【
図3】本発明によって重要な情報が記載された部分に糊付けによって隠蔽された状態を示した写真。
【
図4】糊付けされた文書を折って広げた際に、重要な情報が記載された部分が毀損される状態を示した写真。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施例を添付された図面に基づいて詳細に説明すると、次の通りである。
【0017】
図面に示したように、本発明は、通常に、各種書類や封筒などを接着する際に使用される固形糊の固形接着剤20成分に隠蔽物質を混合して接着効果と同時に、糊付けされた部分が隠蔽されて重要な情報の露出を防止するようにしたものである。
【0018】
固形糊は、内部収容空間に満たされる固形接着剤20を包み込むケース10と、このケース10の開口部の位置で着脱される蓋11から構成されることは、知られているところの通りである。
【0019】
そして、固形接着剤20がケース10の内部で回転操作によって上下昇降されて使用時にのみ開けられた上部の入口に露出され、使用しない場合には、ケース10の内部に下降させて固形接着剤20の毀損を保護することもできる。
【0020】
固形接着剤20の昇降構造は、通常の固形糊の構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0021】
本発明は、通常の固形接着剤20の成分に文書に記載された内容の上に塗ることによって、記載の内容が隠蔽されて肉眼では見えないようにする隠蔽物質が混合されることを特徴とする。
【0022】
ここで、前記の隠蔽物質は、黒色のカーボン粉末が適するが、このカーボン粉末が混合されることによって固形接着剤20は、濃い黒色を示す。
【0023】
カーボン粉末は、固形接着剤20を含んだ全体の重量に対して、1〜3重量%が混合される。
【0024】
この時、活性剤と分散剤を更に混合するのが好ましい。
【0025】
活性剤としては、チタン酸化剤(Titanium Dioxide)が固形接着剤20を含んだ全体の重量に0.5〜2重量%、そして、分散剤(Dispersing Agent)は、0.3〜1重量%混合されて成形されるものである。
【0026】
固形接着剤20は、結合剤成分であるP.V.P(poly vinyl pirrolidone)共重合誘導体と、砂糖、保湿剤、固形剤、そして、水が所定の割合で混合され、常温において固体状態で接着機能を発揮できるように製造されたものである。
【0027】
チタン酸化剤(Titanium Dioxide)は、光沢が出ないようにすると共に、主隠蔽物質であるカーボン粉末が少量投入されても、他の混合物とよく活性化されて最大限の隠蔽効果を得ることができるようにする。
【0028】
そして、分散剤は、大きい粒子と、凝集した粒子とを粉砕して、より小さい粒子とコロイド粒子に作る時に生成された微小粒子の凝集を防止する役割を果たす。
【0029】
従って、比較的に少量のカーボン粉末を混入しても優れた隠蔽効果を得ることができるだけでなく、粉末粒子が凝固されるとか、互いに結合する大粒子化されることが遮断されるものである。
【0030】
このような本発明は、各種重要な機密文書や個人情報が記載された書類、郵便物、通帳などのセキュリティ保持を要する場合、その重要な記載部分にケース10をユーザーが持ち、固形接着剤20を用いて糊付けするように上塗りすることになる(
図3)。
【0031】
糊付けと同様な作業を行うことによって、重要な記載内容は、隠蔽されて外部人は、肉眼で観察することができなくなるのである。
【0032】
そして、文書を略半分に折って捨てることもできる。
【0033】
この場合、固形接着剤20の接合性能によって文書が接着されるが、特に重要な記載内容が隠蔽物質と接着剤成分によって完全に接着される。
【0034】
従って、他の外部人が文書内容を把握するために、折りたたんだ文書を広げると、
図4に示したように、糊付けした部分が裂かれるとか、他方の文書が覆われるなど大きく毀損されてより把握し難くなる。
【0035】
このように、本発明の固形糊を用いて、セキュリティ処理をした後、文書を折ることによって完全な廃棄処分が可能になるのである。
【0036】
以上で、本発明は、記載された具体例にのみ対して詳細に説明されたが、本発明の技術思想の範囲内で様々な変形及び修正が可能であることは、当業者にとって明らかであり、このような変形及び修正が添付されている特許請求の範囲に属することは当たり前である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、文書セキュリティ処理用固形糊の分野に適用される。特に、ただ糊付け作業だけで、個人情報漏出及びセキュリティ保持が可能であるので、作業が簡便、且つ経済性に優れた固形糊技術に適用される。
【符号の説明】
【0038】
10−ケース
11−蓋
20−固形接着剤