(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6191852
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】車両情報表示システム、車載表示装置及び携帯機
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20170828BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20170828BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
B60R16/02 640K
H02J7/00 X
H01M10/48 P
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-250863(P2012-250863)
(22)【出願日】2012年11月15日
(65)【公開番号】特開2014-97734(P2014-97734A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石澤 賢太
(72)【発明者】
【氏名】桐野 宏規
【審査官】
菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−297819(JP,A)
【文献】
特開2009−051437(JP,A)
【文献】
特開昭56−060744(JP,A)
【文献】
特開2002−274466(JP,A)
【文献】
特開2008−195375(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/092729(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H01M 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と、前記車両に搭載され、車両情報を表示する車載表示装置と、ユーザが所持する携帯機と、で構成され、
前記車両は、
起動スイッチがオフになった場合、第1車両情報を前記携帯機に無線送信する第1車両情報送信手段と、
前記携帯機からの応答信号を無線受信することにより前記携帯機を探知する携帯機探知手段と、を有し、
前記携帯機は、
前記第1車両情報を無線受信した場合、前記第1車両情報を表示する携帯機側表示手段と、
前記応答信号を無線送信する応答信号送信手段と、を有し、
前記車載表示装置は、
前記携帯機探知手段により前記携帯機が探知できなかった場合、前記第1車両情報に関連する関連情報の表示を行い、前記携帯機探知手段により前記携帯機が探知できた場合、前記第1車両情報とは異なる表示を行うこと、を特徴とする車両情報表示システム。
【請求項2】
前記車両は、電気的エネルギーまたは化学的エネルギーをエネルギー源とし、
前記車両の前記エネルギー源の残量である残エネルギー情報を取得する残エネルギー情報取得手段と、
前記車両の燃費情報を取得する燃費情報取得手段と、
前記残エネルギー情報及び前記燃費情報から走行可能距離を算出する走行可能距離算出手段と、を有し、
前記第1車両情報は、前記走行可能距離であること、を特徴とする請求項1に記載の車両情報表示システム。
【請求項3】
前記車両は、電気的エネルギーをエネルギー源とし、
前記車両の前記エネルギー源の残量である残エネルギー情報を取得する残エネルギー情報取得手段と、
前記残エネルギー情報に基づき前記電気的エネルギーの充電完了までの予測所要時間を算出する予測手段と、を有し、
前記第1車両情報は、前記予測所要時間であること、を特徴とする請求項1に記載の車両情報表示システム。
【請求項4】
少なくとも前記第1車両情報送信手段または前記携帯機探知手段のいずれか一方は、前記車載表示装置に具備されること、を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両情報表示システム。
【請求項5】
車両と、前記車両に搭載され、車両情報を表示する車載表示装置と、ユーザが所持する携帯機と、で構成され、
前記車両は、
起動スイッチがオフになった場合、第1車両情報を前記携帯機に無線送信する第1車両情報送信手段と、
前記携帯機からの応答信号を無線受信することにより前記携帯機を探知する携帯機探知手段と、を有し、
前記携帯機は、
前記第1車両情報を無線受信した場合、前記第1車両情報を表示する携帯機側表示手段と、
前記応答信号を無線送信する応答信号送信手段と、を有し、
前記車載表示装置は、
前記携帯機探知手段により前記携帯機が探知できなかった場合、かつ前記車両のエネルギー源の残量が所定の値を下回った場合のみ、前記第1車両情報に関連する関連情報の表示を行うこと、を特徴とする車両情報表示システム。
【請求項6】
車両の起動スイッチがオフになった場合、第1車両情報を携帯機に無線送信し、前記携帯機に前記第1車両情報を表示させる第1車両情報送信手段と、
前記携帯機からの応答信号を無線受信することにより前記携帯機を探知する携帯機探知手段と、を有し、
前記携帯機探知手段により前記携帯機が探知できなかった場合、前記第1車両情報に関連する関連情報の表示を行い、前記携帯機探知手段により前記携帯機が探知できた場合、前記第1車両情報とは異なる表示を行うこと、を特徴とする車載表示装置。
【請求項7】
前記携帯機探知手段により前記携帯機が探知できなかった場合、かつ前記車両のエネルギー源が所定の値を下回った場合のみ、前記関連情報の表示を行う、ことを特徴とする請求項6に記載の車載表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、車両情報を表示する車載表示装置と、ユーザが所持する携帯機と、これらの車載表示装置及び携帯機を用いてユーザに対して車両情報を表示する車両情報表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両情報表示システムとしては、例えば、特許文献1に開示されており、起動スイッチをオフした後、車両に搭載された車載表示装置に、所定時間だけ車両情報を表示させるものがある。
【0003】
また、表示対象を車載表示装置ではなく、ユーザが所持する携帯機の充電照会ボタンを押下することで、バッテリ残量や充電完了までの時間を車両に問い合わせ、これらの情報を携帯機の表示部に表示することで、車両から離れていても車両情報をユーザに知らせるものが特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−332419号公報
【特許文献2】特開2011−112617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2記載の車両情報表示システムでは、車両と携帯機とが通信可能な状態でない場合、上記のようなバッテリ残量や充電完了までの時間など知らせたい情報を確実にユーザに報知することができなかった。
【0006】
また、特許文献1のように起動スイッチをオフした後、必ず同じ情報を表示していた場合、ユーザの車載表示装置に対する注意力が散漫になり、ユーザに必要な情報を確実に認識させることができなかった。
【0007】
そこで本発明は、前述の問題を鑑みて、車両の起動スイッチをオフした後に確実に必要な情報をユーザに対して表示することができる車両情報表示システムと、これに用いられる車載表示装置及び携帯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するため、第1の発明における車両情報表示システムは、車両と、前記車両に搭載され、車両情報を表示する車載表示装置と、ユーザが所持する携帯機と、で構成され、前記車両は、起動スイッチがオフになった場合、第1車両情報を前記携帯機に無線送信する第1車両情報送信手段と、前記携帯機からの応答信号を無線受信することにより前記携帯機を探知する携帯機探知手段と、を有し、前記携帯機は、前記第1車両情報を無線受信した場合、前記第1車両情報を表示する携帯機側表示手段と、前記応答信号を無線送信する応答信号送信手段と、を有し、前記車載表示装置は、前記携帯機探知手段により前記携帯機が探知できなかった場合、前記第1車両情報に関連する関連情報の表示を行う車両情報表示システムであり、斯かる構成により携帯機が車両との通信可能な状態でない場合でもユーザに確実に必要な情報(第1車両情報)を報知することができる。
【0009】
また、第2の発明では、さらに、前記車載表示装置は、前記携帯機探知手段により前記携帯機が探知できた場合、前記第1車両情報とは異なる表示を行う車両情報表示システムであり、このように、携帯機が探知できた場合、前記第1車両情報とは異なる表示を行い、携帯機が探知できなかった場合、第1車両情報の表示を行うことにより、車載表示装置が第1車両情報を表示することが通常動作と異なる動作であるとユーザに感じさせることができ、ユーザにより強く第1車両情報を認識させることができる。
【0010】
また、第3の発明では、前記車両は、電気的エネルギーまたは化学的エネルギーをエネルギー源とし、前記車両の前記エネルギー源の残量である残エネルギー情報を取得する残エネルギー情報取得手段と、前記車両の燃費情報を取得する燃費情報取得手段と、前記残エネルギー情報及び前記燃費情報から走行可能距離を算出する走行可能距離算出手段と、を有し、前記第1車両情報は、前記走行可能距離である車両情報表示システムである。
【0011】
また、第4の発明では、前記車両は、電気的エネルギーをエネルギー源とし、前記車両の前記エネルギー源の残量である残エネルギー情報を取得する残エネルギー情報取得手段と、前記残エネルギー情報に基づき前記電気的エネルギーの充電完了までの予測所要時間を算出する予測手段と、を有し、前記第1車両情報は、前記予測所要時間である車両情報表示システムであり、斯かる第3,4の発明により、次回の運行に備えた現段階でのエネルギー源の状態をユーザに対して報知することができる。
【0012】
また、第5の発明では、少なくとも前記第1車両情報送信手段または前記携帯機探知手段のいずれか一方は、前記車載表示装置に具備される車両情報表示システムであり、斯かる構成により、ユーザが確実に車載表示装置の第1車両情報を視認することができる。
【0013】
また、第6の発明では、前記車載表示装置は、前記携帯機探知手段により前記携帯機が探知できなかった場合、かつ前記車両のエネルギー源
の残量が所定の値を下回った場合のみ、前記関連情報の表示を行う車両情報表示システムであり、このように、注意が必要な場合のみ第1車両情報を車載表示装置に表示することにより、車載表示装置の表示が通常と異なることで、ユーザにより強い注意喚起をすることができ、第1車両情報を印象づけることができる。
【発明の効果】
【0014】
車両の起動スイッチをオフした後に確実に必要な情報をユーザに対して表示することができる車両情報表示システムと、これに用いられる車載表示装置及び携帯機を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の車両情報表示システムの一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の車両情報表示システムを構成する車両10と携帯機20の一実施形態における電気的構成図である。
【0016】
本実施形態の車両情報表示システムは、車両10と、ユーザが所持する携帯機20とにより構成される。
本実施形態の車両情報表示システムにおいては、車両10は携帯機20へ通信可能距離が短いLF(Low Frequency:長波)帯の電波を送信し、携帯機20は車両10へ比較的通信可能距離が長いUHF(Ultra High Frequency:極長短波)帯の電波を送信し、車両10と携帯機20とが双方向の無線通信を行い、車両10に具備される車載表示装置17及び携帯機20に具備される携帯機側表示部24に車両情報を適宜表示される。これより本実施形態における車両10の構成を説明する。
【0017】
(車両10の構成)
車両10は、
図1に示すように、携帯機20に対して第1車両情報信号を送信する車両側送信部11と、携帯機20からの応答信号を受信する車両側受信部12と、照合部13と、車両ECU14と、バッテリ15と、起動スイッチ16と、車載表示装置(メータ)17と、エネルギーセンサ18と、車両機構19と、を備える(本発明の説明に必要な構成以外は省略する)。
【0018】
車両10は、起動スイッチ16がオフになった場合、第1車両情報を生成し、この第1車両情報を車両側送信部11から携帯機20に対して電波送信し、携帯機20から電波送信された応答信号を車両側受信部12から受信した場合、車載表示装置17に第1車両情報とは異なる表示を行う。また、車両側受信部12から応答信号が受信されなかった場合、車載表示装置17に第1車両情報に関連する関連情報を表示させる。
【0019】
車両側送信部11は、照合部13から入力される携帯機探知信号と車両ECU14から入力される第1車両情報信号とを、例えばASK(Amplitude Shift Keying:振幅偏移変調)方式やFSK(Frequency Shift Keying:周波数偏移変調)方式でLF帯の電波信号に変調する変調回路と、変調された第1車両情報信号をLF帯の電波で電波送信するLF帯送信アンテナと、を備えるものであり、照合部13及び車両ECU14からの携帯機探知信号(電気信号)及び第1車両情報信号(電気信号)を電波信号に変換して携帯機20に電波送信するものである。
【0020】
車両側受信部12は、携帯機20からの応答信号を受信するUHF帯受信アンテナと、UHF帯受信アンテナにより受信された受信電波を、例えばASK方式やFSK方式で電気信号に復調する復調回路と、電気信号を増幅する増幅回路と、を備えるものであり、携帯機20からの応答信号(電波信号)を電気信号に変換して照合部13に出力するものである。
【0021】
照合部13は、CPUやメモリなどを含むECU(Electronic Control Unit)であり、車両側送信部11と、車両側受信部12と、車両ECU14とに電気的に接続される。
照合部13は、後述する起動スイッチ16がオフになった場合、メモリに記憶され、車両10のIDデータを含む携帯機探知信号を読み出し、車両側送信部11へ出力する。
また、照合部13は、車両側受信部12から応答信号を入力し、応答信号に含まれた携帯機20のIDコードとメモリに記憶された認証コードとを照合し、携帯機20から送信された応答信号(IDコード)とメモリに記憶された認証コードが一致した(照合結果が正の)場合、認証処理が成立したと判断する。照合部13は、認証処理が成立した場合、車両ECU14に対して認証成立信号を出力し、認証処理が成立しなかった場合、車両ECU14に対して認証不成立信号を出力する。
【0022】
車両ECU14は、CPUやメモリ及びI/F回路などで構成され、照合部13と、起動スイッチ16と、車載表示装置17と、エネルギーセンサ18と、車両機構19と電気的に接続され、バッテリ15から電力が常時供給されている。車両ECU14には、起動スイッチ16から作動状態(オンまたはオフ)が入力される。また、車両ECU14には、照合部13から認証信号(認証成立信号または認証不成立信号)が入力される。車両ECU14は照合部13から入力される認証信号に基づき、車載制御装置17の表示を切替える。照合部13から認証成立信号が入力された場合、車載表示装置17に第1車両情報とは異なる表示を行わせ、照合部13から認証不成立信号が入力された場合、車載表示装置17に第1車両情報の関連情報を表示させる。また、車両ECU14には、エネルギーセンサ18から車両10のエネルギー源となる電力(電気的エネルギー)またはガソリン(化学的エネルギー)の残量を示す残エネルギー情報信号や、電力またはガソリンの使用量を示す燃料使用情報信号が入力され、これらをもとに、車両10の燃費や走行可能距離や電気的エネルギーの充電完了までの予測所要時間を算出する。第1車両情報は、エネルギーセンサ18から取得された残エネルギー情報または燃料使用情報に基づき演算・情報処理された、残エネルギー情報または走行可能距離または予測所要時間である。また、車載表示装置17に表示させる第1車両情報に関連する関連情報とは、第1車両情報自体もしくは第1車両情報に基づくアドバイス情報、グラフ情報などである。また、第1車両情報とは異なる表示とは、通常動作におけるエンディング演出などであり、メッセージや車体画像などの表示である。また、車両ECU14は、ドアスイッチ(車両機構)19からドアスイッチの操作信号(開錠または閉錠)が入力され、携帯機20との認証処理後、ドアロック(車両機構)19へドアロックの操作信号(開錠または閉錠)を出力する。
【0023】
車載表示装置(メータ)17は、車載表示装置17の各種演算や情報処理を実行するCPU、CPUで実行するプログラムなどを記憶するROM、CPUの作業領域として一時的にデータを記憶するRAMなどからなるメモリ、車内通信のためのI/F回路と、指針を回動して指標を指示するアナログ計器と、車両情報をデジタル表示する液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などを備え、車両10の運転席前方のインストルメントパネルに配設される。車載表示装置17には、車両ECU14からエネルギー源に関わる残エネルギー情報、燃料使用情報や、車両走行に関わる車速、駆動源の回転数や、様々な警告情報などを含む車両情報信号が入力され、これらの車両情報に基づきCPUが演算及び情報処理を行い、車両情報を、車載表示装置17が有するアナログ計器またはLCDに表示する。
【0024】
エネルギーセンサ(特許請求の範囲における残エネルギー情報取得手段、燃費情報取得手段)18は、車両10のエネルギー源となる電力(電気的エネルギー)またはガソリン(化学的エネルギー)の残量を示す残エネルギー情報や電力またはガソリンの使用量を示す燃料使用情報などのエネルギー源情報を取得するものである。エネルギー源が化学的エネルギーを使用する車両10において、エネルギーセンサ18は、燃料の液面を検出して残エネルギー情報を信号出力する液面センサと、駆動源への燃料噴射量を検出して燃料使用情報を信号出力するインジェクタと、を有し、エネルギー源が電気的エネルギーを使用する車両10において、エネルギーセンサ18は、蓄電池の端子電圧を検出して残エネルギー情報を信号出力する電圧検出器と、駆動源へ供給される電力量を検出して燃料使用情報を信号出力する電力検出器と、を有する。
以上が本実施形態における車両10の構成であるが、これより本実施形態における携帯機20の構成を説明する。
【0025】
(携帯機20の構成)
携帯機20は、
図1に示すように、車両10に対して応答信号を電波送信する携帯機側送信部(応答信号送信手段)21と、車両10から電波送信される携帯機探知信号及び第1車両情報信号を受信する携帯機側受信部22と、携帯機側制御部23と、車両情報をデジタル表示する携帯機側表示部(携帯機側表示手段)24と、各部に電力供給する電池(図示しない)と、押圧操作可能な操作部(図示しない)を備える。携帯機20は、車両10からの第1車両情報信号(及び携帯機探知信号)に応答して、携帯機20のIDコードを含む応答信号(アンサー信号)を車両10に対して電波送信する。また、携帯機20は、車両10から電波送信される第1車両情報信号に基づき携帯機側表示部24に第1車両情報を表示する。
【0026】
携帯機側送信部(特許請求の範囲における応答信号送信手段)21は、携帯機側制御部23から入力される応答信号(アンサー信号)を、例えばASK方式やFSK方式でUHF帯の電波信号に変調する変調回路と、変調された応答信号をUHF帯の電波で電波送信するUHF帯送信アンテナと、を備えるものであり、携帯機側制御部23からの応答信号(電気信号)を電波信号に変換して車両10に電波送信する。
【0027】
携帯機側受信部22は、車両10から電波送信される第1車両情報信号(及び携帯機探知信号)を受信するLF帯受信アンテナと、LF帯受信アンテナにより受信された受信電波を、例えばASK方式やFSK方式で電気信号に復調する復調回路と、電気信号を増幅する増幅回路と、を備えるものであり、車両10から電波送信される携帯機探知信号(電波信号)及び第1車両情報信号(電波信号)を電気信号に変換して携帯機側制御部23に出力する。
【0028】
携帯機側制御部23は、携帯機側CPUと、携帯機側メモリなどを含むECUであり、携帯機側送信部21と、携帯機側受信部22と、携帯機側表示部24とに電気的に接続され、携帯機20の電気的制御を行うものである。携帯機側制御部23は、携帯機側受信部22から第1車両情報信号とともに入力された携帯機探知信号と、携帯機側メモリ232に記憶されているデータとを照合し、携帯機側受信部22から入力された携帯機探知信号が車両10から出力された携帯機探知信号であるかを判定する。携帯機側制御部23は、携帯機探知信号を入力した場合、携帯機側メモリに記憶された応答信号(アンサー信号)を読み出し、電気信号として携帯機側送信部21へ出力する。
【0029】
携帯機側表示部(携帯機側表示手段)24は、液晶ディスプレイで構成され、携帯機側制御部23からの信号に基づきデジタル表示を行う。表示する項目としては、車両10から電波送信される第1車両情報、または携帯機側制御部23により生成される時刻情報などの携帯機側生成情報などである。また、携帯機側表示部24は、液晶ディスプレイなどを照明するバックライトを有し、携帯機20に具備される操作部を押下することにより、所定の時間だけバックライトを点灯して携帯機側表示部24に各情報を視認可能に表示する。
【0030】
以上が本実施形態における車両10と携帯機20の構成であるが、これより車両10と携帯機20の表示処理について、
図2を用いて説明する。
【0031】
(表示処理)
まず、ステップA1において、車両ECU14は、起動スイッチ16がオフになったかどうかを検出する。起動スイッチ16のオフ操作が未検出である(ステップA1:NO)場合、表示処理を行わず、表示処理を終了する。また、起動スイッチ16のオフ操作が検出された(ステップA1:YES)場合、車両10はステップA2において、車両ECU14は、エネルギーセンサ18からエネルギー源情報(残エネルギー情報、燃料使用情報)を取得し、エネルギー源情報から第1車両情報(残エネルギー情報または走行可能距離または予測所要時間)を生成し、予めメモリに記憶しておいたIDデータを含む携帯機探知信号と生成された第1車両情報とを携帯機20に対して電波送信する。
その後、携帯機20より応答信号を受信したか否かを検出する(ステップA3)。携帯機20より応答信号を受信した(ステップA3:YES)場合、車両ECU14は車載表示装置17に第1車両情報とは異なる通常のエンディング演出を行わせる。また、携帯機20より応答信号を受信しなかった(ステップA3:NO)場合、車両ECU14は車載表示装置17に第1車両情報に関連する関連情報を携帯機20の代わりに表示させる。
【0032】
また、携帯機側制御部23は、ステップB1において、車両10から第1車両情報信号及び携帯機探知信号を受信したかを検出する。第1車両情報(携帯機探知信号)を受信した(ステップB1:YES)場合、携帯機側表示部24に第1車両情報を表示する。また、第1車両情報(携帯機探知信号)を受信しなかった(ステップB1:NO)場合、表示処理を終了する。ステップB3において、携帯機側制御部23は、応答信号を車両10に対して電波送信する。
【0033】
以上の車両情報表示システムを構成する車載表示装置17及び携帯機20によって、車両の起動スイッチをオフした後に確実に必要な情報をユーザに対して表示することができる。
【0034】
また、携帯機側表示部24は、第1車両情報を携帯機20の操作部を押下することにより表示可能であるが、車両10のドアロック(車両機構)19を開錠するもしくはエンジンなどの駆動源(車両機構)19をスタートさせる際に必要とされる車両10と携帯機20との双方向通信時に、携帯機側制御部23に記憶された第1車両情報を削除もしくは携帯機側表示部24に表示できないように指示する電波信号を車両10から携帯機20に電波送信する。また、携帯機側制御部23は、第1車両情報を入力してからタイマーを開始し、第1車両情報を入力してから所定時間のみ携帯機側制御部24が第1車両情報を表示できるようにし、第1車両情報を入力してから所定時間経過後には、携帯機側制御部23により生成される時刻情報などの携帯機側生成情報を表示するようにしてもよい。斯かる構成により、前回の起動スイッチ16のオフ操作により入力された最新の第1車両情報を携帯機20により報知することができ、いつ携帯機20に入力されたかわからない第1車両情報により、ユーザが情報の誤認識することを抑制することができる。
【0035】
すなわち、本実施形態に係る車両情報表示システムは、車両10と、車両10に搭載され、車両情報を表示する車載表示装置17と、ユーザが所持する携帯機20と、で構成され、車両10は、起動スイッチ16がオフになった場合、第1車両情報を携帯機20に無線送信する車両側送信部(第1車両情報送信手段)11と、携帯機20からの応答信号を無線受信することにより携帯機20を探知する車両側受信部(携帯機探知手段)12と、を有し、携帯機20は、第1車両情報を無線受信した場合、第1車両情報を表示する携帯機側表示部(携帯機側表示手段)24と、応答信号を無線送信する携帯機側送信部(応答信号送信手段)21と、を有し、車載表示装置17は車両側受信部12により携帯機20が探知できなかった場合、第1車両情報に関連する関連情報の表示を行う車両情報表示システムであり、斯かる構成により携帯機20が車両10との通信可能な状態でない場合でもユーザに確実に必要な情報(第1車両情報)を報知することができる。
【0036】
さらに、車載表示装置17は、車両側受信部12により携帯機20が探知できた場合、第1車両情報とは異なる表示を行う車両情報表示システムであり、このように、携帯機20が探知できた場合、第1車両情報とは異なる表示を行い、携帯機20が探知できなかった場合、第1車両情報の表示を行うことにより、車載表示装置17が第1車両情報を表示することが通常動作と異なる動作であるとユーザに感じさせることができ、ユーザにより強く第1車両情報を認識させることができる。
【0037】
さらに、車両10は、電気的エネルギーまたは化学的エネルギーをエネルギー源とし、車両10のエネルギー源の残量である残エネルギー情報を取得する残エネルギー情報取得手段(エネルギーセンサ)18と、車両10の燃費情報を取得する燃費情報取得手段(エネルギーセンサ)18と、残エネルギー情報及び燃費情報から走行可能距離を算出する走行可能距離算出手段(車両ECU)14と、を有し、第1車両情報は、走行可能距離である車両情報表示システムである。
また、車両10は、電気的エネルギーをエネルギー源とし、車両10のエネルギー源の残量である残エネルギー情報を取得する残エネルギー情報取得手段(エネルギーセンサ)18と、残エネルギー情報に基づき前記電気的エネルギーの充電完了までの予測所要時間を算出する予測手段(車両ECU)14と、を有し、第1車両情報は、予測所要時間である車両情報表示システムであり、斯かる構成により、次回の運行に備えた現段階でのエネルギー源の状態をユーザに対して報知することができる。
【0038】
さらに、少なくとも第1車両情報送信手段(車両側送信部)11または携帯機探知手段(車両側受信部)12のいずれか一方は、車載表示装置17に具備される車両情報表示システムであり、斯かる構成により、ユーザが確実に車載表示装置17に表示される第1車両情報を視認することができる。
【0039】
さらに、車載表示装置17は、携帯機探知手段(車両側受信部)12により携帯機20が探知できなかった場合、かつ車両10のエネルギー源が所定の値を下回った場合のみ、関連情報の表示を行う車両情報表示システムであり、このように、注意が必要な場合のみ第1車両情報を車載表示装置17に表示することにより、車載表示装置17の表示が通常と異なることで、ユーザにより強い注意喚起をすることができ、第1車両情報を印象づけることができる。
【0040】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に変形例の一例を示す。
【0041】
(変形例)
上記実施形態において、車両側送信部11と車両側受信部12と照合部13は、車両ECU14に接続し、第1車両情報を車両ECUにおいて演算、情報処理を行っていたが、第2実施形態においては、
図3に示すように、車両側送信部11aと車両側受信部12aと照合部13aを、車載表示装置17aに接続し、車載表示装置17aにて第1車両情報を生成してもよく、車両ECU14にて生成した第1車両情報を車載表示装置17のメモリに一時的に保存し、その車載表示装置17aのメモリに記憶された第1車両情報を読み出して携帯機20に電波送信するようにしてもよい。斯かる構成により、車両10が運行時に車載表示装置17に表示する第1車両情報(残エネルギー情報または走行可能距離または予測所要時間)のデータと、携帯機20に電波送信する第1車両情報のデータを重複して記憶する必要がなく、また、車載表示装置17aに常時演算された情報を読み出すことで、起動スイッチ16のオフ操作後に改めて第1車両情報を演算する必要がなく、処理を効率化できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の第1実施形態における車両情報表示システムの電気的構成図である。
【
図2】上記実施形態における表示処理の動作フロー図である。
【
図3】本発明の第2実施形態における車両情報表示システムの電気的構成図である。
【符号の説明】
【0043】
10 車両
11 車両側送信部(第1車両情報送信手段)
12 車両側受信部(携帯機探知手段)
13 照合部
14 車両ECU(走行可能距離算出手段、予測手段)
15 バッテリ
16 起動スイッチ
17 車載表示装置(メータ)
18 エネルギーセンサ(残エネルギー情報取得手段、燃費情報取得手段)
19 車両機構
20 携帯機
21 携帯機側送信部(応答信号送信手段)
22 携帯機側受信部
23 携帯機側制御部
24 携帯機側表示部(携帯機側表示手段)