特許第6191853号(P6191853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6191853
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】ロードロックチャンバ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-255100(P2012-255100)
(22)【出願日】2012年11月21日
(65)【公開番号】特開2014-103298(P2014-103298A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年9月16日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】水野 亨
(72)【発明者】
【氏名】岡部 勉
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−087781(JP,A)
【文献】 特開2004−119627(JP,A)
【文献】 特開2012−227392(JP,A)
【文献】 特開2009−007075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポッドの蓋を開閉して前記ポッドに対して被処理物の挿脱を可能とし、前記被処理物の処理装置に付随して、前記処理装置に対する前記被処理物の搬送を可能とするロードロックチャンバであって、
前記ポッドを収容可能な内部空間を有するチャンバ本体と、
前記内部空間と前記処理装置とを連通させる第一の開口と、
前記第一の開口を密閉可能な第一のシャッタと、
前記内部空間と外部空間とを連通させる第二の開口と、
前記第二の開口を密閉可能な第二のシャッタと、
前記第二の開口から搬入された前記ポッドを所定位置に支持し固定するステージと、
前記ポッドの蓋を保持し、前記ポッドに対して相対的に離間することにより前記ポッドより蓋を取り外し、前記ポッドの開口と前記第一の開口との間の空間から退避可能であるオープナと、
前記内部空間を排気する排気装置と、
前記オープナが前記ポッドの開口と前記第一の開口との間の空間から退避したことを検知するオープナ位置検知手段と、
前記オープナ位置検知手段が前記退避したことを検知したことに応じて前記排気装置による前記内部空間の排気を許可する排気許可手段と、を備え、
前記ステージは、所定の方向に移動可能であって、所定の間隔を隔てて多点にて停止可能であることを特徴とするロードロックチャンバ。
【請求項2】
ポッドの蓋を開閉して前記ポッドに対して被処理物の挿脱を可能とし、前記被処理物の処理装置に付随して、前記処理装置に対する前記被処理物の搬送を可能とするロードロックチャンバであって、
前記ポッドを収容可能な内部空間を有するチャンバ本体と、
前記内部空間と前記処理装置とを連通させる第一の開口と、
前記第一の開口を密閉可能な第一のシャッタと、
前記内部空間と外部空間とを連通させる第二の開口と、
前記第二の開口を密閉可能な第二のシャッタと、
前記第二の開口から搬入された前記ポッドを所定位置に支持し固定するステージと、
前記ポッドの蓋を保持し、前記ポッドに対して相対的に離間することにより前記ポッドより蓋を取り外し、前記ポッドの開口と前記第一の開口との間の空間から退避可能であるオープナと、
前記内部空間に所定の気体を導入可能なガス導入系と、
前記第一のシャッタが前記第一の開口を閉鎖したことを検知する第一のシャッタ位置検知手段と、
前記第一のシャッタ位置検知手段が前記閉鎖したことを検知したことに応じて前記ガス導入系による前記内部空間への前記気体の導入を許可する導入許可手段と、を備えることを特徴とするロードロックチャンバ。
【請求項3】
前記内部空間を排気する排気装置と、
前記オープナが前記ポッドの開口前記第一の開口との間の空間から退避したことを検知するオープナ位置検知手段と、
前記オープナ位置検知手段が前記退避したことを検知したことに応じて前記排気装置による前記内部空間の排気を許可する排気許可手段と、を更に有することを特徴とする請求項2に記載のロードロックチャンバ。
【請求項4】
前記所定の方向は、前記ポッドに収容される前記被処理物の平面に垂直な方向であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のロードロックチャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造プロセス等において、ポッドと呼ばれる密閉型の搬送容器の内部に保持されたウエハを半導体処理装置に移載する際に、該ポッドに対するウエハの挿脱が行われるロードロックチャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体製造プロセスでは、ウエハを収容するポッドの内部、及び該ポッドの蓋を開閉してウエハの挿脱を可能とすると共に各処理装置への基板の受け渡しを行う微小空間の内部、を高清浄に管理することにより、該プロセスでの所謂歩留まりの向上を図っている。しかしながら、単純に塵等を排除した所謂空気を用いた環境下では、ウエハ表面或いはウエハ上に形成された各種配線等に自然酸化膜が生じることが避けられずにいる。このため、特許文献1に示されるようにポッド内部を不活性ガスたる窒素によって満たすことにより、ポッド搬送時等での自然酸化膜の発生の抑制が図られている。また、特許文献2に示されるように、ポッドの蓋を開閉するロードポートドアが配置される領域を閉鎖空間とし、これに窒素を導入することによってウエハが酸素濃度の比較的高い領域を通過する時間の短縮化を図る構成も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−168727号公報
【特許文献2】特開2009−164369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に例示される構成は飽くまでポッド内部の所謂窒素パージの操作を円滑に行うためのものであって、実際にポッドの蓋の開閉、更には内部対するウエハの挿脱を行う構成は示されていない。特許文献2に示される構成によりポッドの蓋の開閉等を行うことによってウエハが搬送される空間の残留酸素濃度の低減はある程度達成される。しかし、昨今の配線パターンの微細化を勘案すると、当該構成では得られないより低い残留酸素濃度の環境下でのポッドの蓋の開閉操作等の実行が望まれている。
【0005】
本発明は以上の状況に鑑みて為されたものであり、より低い残留酸素濃度となる環境下でのポッドの蓋開閉及びポッドに対するウエハの挿脱の実効を可能とするロードロックチャンバの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るロードロックチャンバは、ポッドの蓋を開閉して前記ポッドに対して被処理物の挿脱を可能とし、被処理物の処理装置に付随して、前記処理装置に対する前記被処理物の搬送を可能とするロードロックチャンバであって、前記ポッドを収容可能な内部空間を有するチャンバ本体と、前記内部空間と前記処理装置とを連通させる第一の開口と、前記第一の開口を密閉可能な第一のシャッタと、前記内部空間と外部空間とを連通させる第二の開口と、前記第二の開口を密閉可能な第二のシャッタと、前記第二の開口から搬入されたポッドを所定位置に支持し固定するステージと、 前記ポッドの蓋を保持し、前記ポッドに対して相対的に離間することにより前記ポッドより蓋を取り外し、前記ポッドの開口と前記第一の開口との間の空間から退避可能であるオープナと、前記内部空間を排気する排気装置と、前記オープナが前記ポッドの開口と前記第一の開口との間の空間から退避したことを検知するオープナ位置検知手段と、前記オープナ位置検知手段が前記退避を検知したことに応じて前記排気装置による前記内部空間の排気を許可する排気許可手段と、を備え、前記ステージは、所定の方向に移動可能であって、所定の間隔を隔てて多点にて停止可能であることを特徴とする。
【0007】
なお、前述したロードロックチャンバにおいては、前記所定の方向は、ポッドに収容される被収容物の平面に垂直な方向であることが好ましい。また、前記内部空間に所定の気体を導入可能なガス導入系と、前記第一のシャッタが前記第一の開口を閉鎖したことを検知する第一のシャッタ位置検知手段と、前記第一のシャッタ位置検知手段が前記閉鎖を検知したことに応じて前記ガス導入系による前記内部空間への前記気体の導入を許可する導入許可手段を更に有することがより好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、半導体処理工程においてウエハ上の配線パターンの微細化を図った場合であっても、ポッドの蓋の開閉及びポッドに対するウエハの挿脱を行う際における該配線パターンの自然酸化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一の実施形態に係るロードロックチャンバの垂直方向断面の内部構造を模式的に示す図である。
図2】本実施形態に係るロードロックチャンバの機能構成を示すブロック図である。
図3】第一の実施形態に係るロードロックチャンバを用いたポッドに対するウエハの挿脱処理の手順を示すフローチャートである。
図4図1に示すロードロックチャンバを真空装置に用いた場合の一例を示す模式図である。
図5】本発明の第二の実施形態に係るロードロックチャンバの垂直方向断面の内部構造を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について、以下に図面を参照して説明する。図1は、本発明の第一の実施形態に係るロードロックチャンバについて、Front Opening Unified Pod(FOUP以下ポッドと称する。)ポッドを収容した状態のものを後述するステージ上下軸に沿って切断した断面についての概略構成を示す。また、図2は、本実施形態に係るロードロックチャンバの機能構成を示すブロック図である。
【0011】
図に示すように、本実施形態に係るロードロックチャンバ100は、チャンバ本体1、第一のロードロック開口3、第一のロードロックシャッタ5、第二のロードロック開口7、第二のロードロックシャッタ9、ステージ11、ステージ上下軸13、オープナ15、オープナ上下軸17、ゲート弁19、排気装置21、ガス導入系23、及びこれらを動作させる各種駆動機構を制御する制御装置51を有する。なお、同図においては、ポッド200がロードロックチャンバ100の内部に固定されている。また、該ロードロックチャンバ100は、第一のロードロック開口3を介してセンタチャンバ300に接続されている。同図において、ロードロックチャンバ100内に収容される前のポッド200、ポッド200内に収容されたウエハを順次取出した後のステージ11の移動位置、及びオープナ15の退避位置を各々二点鎖線にて共に示す。
【0012】
ここで、ロードロックチャンバ100内に載置、固定されるポッド200及び該ポッドに収容されるウエハ201について先に述べる。ポッド200における本体203の内部には、被処理物たるウエハ201を内部に収めるための空間が形成されている。本体203は、水平方向に存在するいずれか一面に開口を有する略箱状の形状を有する。また、ポッド200は、本体203の開口203aを密閉するための蓋205を備えている。蓋205には、外部からの操作によって本体203への固定及びその解除を為す不図示のラッチ機構が配される。本体203の内部に水平に保持されたウエハ201を鉛直方向に重ねる為の複数の段を有する棚(不図示)が配置されており、ここに載置されるウエハ201各々はその間隔を一定としてポッド本体203の内部に収容される。なお、本実施形態ではポッド200は箱状のFOUPを用いているが、ポッドの形状はこれに限定されない。
【0013】
第一のロードロック開口3はセンタチャンバ300に連通し、ロードロックチャンバ100内部とセンタチャンバ300内との連通路となる。センタチャンバ300内にはウエハ搬送用ロボット301(図3参照)が配置されており、該ロボット301は、この第一のロードロック開口3を介してロードロックチャンバ100内に固定されたポッド200の内部にまでアーム301aを伸ばし、該ポッド200内のウエハ201を該ポッド200より搬出或いは挿入する。また、該第一のロードロック開口3には第一のロードロックシャッタ5が付随しており、ロードロックチャンバ100内部及びセンタチャンバ300内部に存在する気体、或いはこれら内部の圧力が異なる場合、これらの連通が該第一のロードロックシャッタ5により遮断される。
【0014】
第一のロードロックシャッタ5による第一のロードロック開口3の開閉動作は、第一の駆動機構53により行われる。また、第一のロードロック開口3の開閉は、第一のシャッタ位置検知手段55により行われる。第一のシャッタ位置検知手段55は、第一の駆動機構53の動作位置に基づく所謂接触センサ、或いは実際の第一のロードロックシャッタ5の位置を光センサ等により検知する公知の構成により構築される。制御装置51は、第一のシャッタ位置検知手段55の検知結果に応じて第一の駆動機構53の動作を指令する。また、制御装置51は、後述する例えば圧力検知手段79の検知するロードロックチャンバ100の内部空間の圧力等に応じて第一のロードロックシャッタ5の動作を規制する第一のシャッタ開閉許可手段71を有する。該第一のシャッタ開閉許可手段71は、物理的或いはソフト的に該動作規制を実行する。
【0015】
第二のロードロックシャッタ9による第二のロードロック開口7の開閉動作は、第二の駆動機構57により行われる。また、第二のロードロック開口7の開閉は、第二のシャッタ位置検知手段59により行われる。制御装置51は、第二のシャッタ位置検知手段59の検知結果に応じて第二の駆動機構57の動作を指令する。また、制御装置51は、第二のロードロックシャッタ9の動作を規制する第二のシャッタ開閉許可手段73を有する。
【0016】
ステージ11には不図示の位置決め固定機構が配されており、ポッド200がステージ11上に載置されると、当該位置決め固定機構によりポッド−ステージ間のXY平面内での位置決めと、ステージ11に対するポッド200の固定が為される。また、ステージ11はステージY軸駆動機構61によりY軸方向に移動可能であり、後述するオープナ15に対して蓋205が当接する位置と初期位置との間でのポッド200の搬送を行う。なお、初期位置とは、後述する第二のロードロック開口7を介してポッド200がロードロックチャンバ100内に搬入された際に、ステージ11がポッド200を受け取る際の位置をいう。
【0017】
また、ステージ11はステージ上下軸13によりチャンバ本体1の内部にて支持されており、該ステージ上下軸13はこれを上下方向(Z軸方向)に多点位置決め可能なステージZ軸駆動機構63によってチャンバ1の外部より支持されている。多点位置決めの多点はポッド200内のウエハ201の支持ピッチに応じており、前述したセンタチャンバ300内のロボット301のウエハ201挿脱動作に同期して、該ロボット301のアーム301aの動作位置にポッド200内の所望の棚を位置させる。また、ステージ11の停止位置は、光センサ等からなるステージ位置検知手段65により逐次検知される。また、ステージ位置検知手段65は該ステージ11のY軸方向の位置の検知も行う。なお、本実施形態において、ステージZ軸駆動機構63は公知のサーボモータとボールネジとから構成されているが、本発明は当該構成に限定されず、多点位置決め可能な公知の種々の駆動機構により構成することが可能である。
【0018】
本実施形態において、第二のロードロック開口7はチャンバ本体1の上面に設けられており、第二のロードロックシャッタ9は当該第二のロードロック開口7の開閉を行う。ロードロックチャンバ100へのポッド200の挿入に際しては、第二のロードロックシャッタ9が第二のロードロック開口7を開放し、該開口を介して搬送機構303(図3参照)によってポッド200の搬入が為される。搬入されたポッド200は、前述した位置決め固定機構によって、ステージ11上の所定位置に固定される。また、第二のロードロックシャッタ9は不図示のシール部材を有し、チャンバ本体1の内部を外部空間と遮断し、当該空間の真空排気或いは窒素等による不活性ガスの充填を可能とする。
【0019】
オープナ15のポッド200への対向面には、ポッド200の蓋205の保持機構、及び蓋205の取り外し及び取り付けを行うラッチ駆動機構が配置されている。また、オープナ15はオープナ上下軸17によりチャンバ本体1の内部にて支持されており、該オープナ上下軸17はこれを上下方向(Z軸方向)に駆動可能な不図示のオープナZ軸駆動機構67によってチャンバ1の外部より支持されている。該オープナZ軸駆動機構により、オープナ15は、ステージ11上のポッド200の正面に対向する位置と、第一のロードロック開口3におけるロボットの動作線から退避する退避位置(図中二点鎖線位置)との間でZ方向に移動可能である。オープナ15のZ軸方向の位置については、例えば光センサ等からなるオープナ位置検知手段69により検知される。なお、本実施形態において、オープナZ軸駆動機構は公知のリニアモータとガイドとから構成されているが、所定位置間でのスムーズな往復動作が可能な公知の種々の駆動機構により構成することが可能である。
【0020】
位置決め固定機構によってステージ11上に固定されたポッド200は、蓋205がオープナ15の表面と当接するまでステージ11によりオープナ15方向に搬送される。前述した保持機構により蓋205はオープナ15により保持され、ラッチ駆動機構によりポッド本体203への固定を為すラッチ機構の解除が行われる。この状態でステージ11が所定量後退することにより、蓋205はポッド本体203より取り外される。また、蓋205をポッド本体203から分離した状態で、オープナ15が前述した退避位置まで降下することにより、ポッドの開口203aが第一のロードロック開口3と正対可能となる。なお、本実施形態において、ステージ上下軸13及びオープナ上下軸17はチャンバ本体1の内部に設けている。しかし、チャンバ容積を小さくする観点から公知のOリング等のシール部材を用いてこれら構成の主要部をチャンバ外部に配置することが好ましい。
【0021】
排気装置21はゲート弁19を介してチャンバ本体1の内部と連通する位置に配置されている。排気装置21としては、チャンバ本体1内の排気レベル即ち所謂高真空とするか或いは低真空でよしとするかの使用状況に応じて適宜選択されることが好ましい。また、ポッド200の蓋205の取り外し時においてはチャンバ本体1の内部を大気圧であって且つ低酸素濃度となるように窒素等によって満たされていることが好ましい。本実施形態ではガス導入系23を配することにより、内部空間を所定のガス雰囲気とすることを可能としている。なお、実際の内部空間の排気操作については、制御装置51に配された排気許可手段75により許可が出た場合に、ゲート弁19を開放する等により実行される。同様に、ガス導入系23による気体導入についても、制御装置51に配された導入許可手段77の許可の後に、ガス導入系23を操作して実行される。
【0022】
次に、本実施形態に係るロードロックチャンバ100の実際の操作例について図3に示すフローチャートを参照して説明する。まず、ステップ1にて、第二のロードロックシャッタ9を動作させて第二のロードロック開口7を開放させる。その際、ステージ11及びオープナ15は駆動上端の初期位置に停止している。ステップ2にて搬送機構303によってポッド200がステージ11上にセットされる。同時に位置決め固定機構によるポッド200のステージ11への固定が行われる。ポッド200のチャンバ本体1内への搬入後、ステップ3にて第二のロードロックシャッタ9により第二のロードロック開口7が閉鎖される。同時にステージ11によりポッド200がオープナ15に向けて移動され、蓋205のオープナ15への当接と蓋205のポッド本体203への固定機構であるラッチ機構の解除が為される(ステップ4)。
【0023】
ラッチ機構の解除後、ステップ5においてステージ11が初期位置まで後退し、該後退動作によってポッド本体203からの蓋205の取り外しが行われる。この初期位置は、多点位置決めにおける原点として設定されている。その後、オープナ15が所定量降下し、第一のロードロック開口3とポッド開口203aとが正対可能な状態を形成する(ステップ6)。オープナ位置検知手段69はオープナ15が降下したことを検知してこれを制御装置51に伝える。これによりポッド200の内部とロードロックチャンバ100内部とが大気圧にて連通していると判断され、制御装置51は排気許可手段75を排気許可の状態とする。また、排気許可に際しては、第二のシャッタ位置検知手段59により第二のロードロック開口7の閉鎖も確認される。
【0024】
続いて、ステップ7において、ポッド本体203と搬送用ロボットとの位置合わせを行うために、ステージ11のZ軸方向の所謂位置出しの操作が行われる。その後或いは平行して、排気許可に準じてゲート弁19を開放し、チャンバ本体1内部の排気操作が行われる(ステップ8)。チャンバ本体1内部が充分に排気され、圧力検知手段79による検知の結果内部空間の所謂真空度が所定値に達した、或いは圧力が所定値に達したとステップ9において判断されると、第一のシャッタ開閉許可手段71に対して第一のロードロック開口3の開放許可が指示される。
【0025】
フローはステップ10に進み、第一のロードロックシャッタ5による第一のロードロック開口3の開放が為される。尚、ステップ9にて真空度が所定の値に達するまで、ステップ9及び8の排気−判定の操作は繰り返される。以上の操作によって搬送用ロボットによるポッド本体203からのウエハの挿脱が可能な環境が整えられる。搬送用ロボットが配置されるセンタチャンバ300内は通常真空排気されており、上述した所定値或いは所定圧力はこのセンタチャンバ300内の真空度に応じて設定されている。
【0026】
以上の環境が整った後、ステージ11の多点でのピッチ送りが行われ、所望の段に対するウエハ205の処理に伴った挿脱が実行される。所定のウエハに対する処理が全て終わった後(ステップ12及び11)、フローはステップ13に移行する。ステップ13では、第一のロードロックシャッタ5によって第一のロードロック開口3が閉鎖され、チャンバ本体1の内部空間とセンタチャンバ300内とが遮断される。第一のシャッタ位置検知手段55により第一のロードロック開口3の閉鎖が検知されたことに応じ、制御装置51は排気許可手段75に対してゲート弁19を開放して内部空間を排気する許可を与える。また、ゲート弁19によって排気装置21によるチャンバ本体1内部の排気操作も停止される(ステップ14)。
【0027】
圧力検知手段79により内部空間が大気圧になったことが検知されると、制御装置51により、第二のシャッタ開閉許可手段73に対して第二のロードロック開口5の開放の許可が指示される。続いて、ステージ11が初期位置まで上昇される(ステップ15)。ステップ16で、オープナ15もこの初期位置に対応する位置までの上昇を開始する。更にステップ17にてガス導入系23を動作させ、チャンバ本体1内部への窒素等の導入が行われる。当該窒素ガスの導入はチャンバ本体1の内部空間の圧力が大気圧となるまで続けられる(ステップ18及び17)。
【0028】
内部圧力が大気圧に至った後、ガス導入系23による窒素の導入が停止される(ステップ19)。続いてステージ11がオープナ15に向けてポッド200を移動させ、蓋205のポッド本体203の所定位置への当接と、前述したラッチ機構の操作による蓋205の取り付けが行われる。これによるポッド200の閉鎖が為される(ステップ20)。これら操作によりオープナ15より蓋205は解放され、ステージ11のY軸方向の移動が可能となる。ステップ21では、ステージ11がY軸方向の初期位置まで後退する。後退後、第二のロードロックシャッタ9を動作させて第二のロードロック開口7を解放する(ステップ22)。解放後、搬送機構303によるロードロックチャンバ100からのポッド200の取出しが行われ(ステップ23)、取出し後に第二のロードロックシャッタ9による第二のロードロック開口7の閉鎖が行われる(ステップ24)。
【0029】
以上に述べたようなロードロックチャンバ100を用いてポッド200からの蓋205の取り外しと該ポッド200に対するウエハ201の挿脱とを行うことにより、ウエハがさらされる空間の雰囲気について高い条件で酸素濃度を管理することが可能となる。また、高真空下で、搬送用ロボット301によるポッド200に対するウエハ1の挿脱を行うことにより、ウエハ201の挿脱によりこれまで可能性のあった気体の流れによる塵の舞い上がりが無くなり、ウエハに対する塵等の付着の抑制も期待される。
【0030】
前述した実施形態に係るロードロックチャンバ100を実際の真空装置に適用した実施例を次に示す。図4は該真空装置400の概略構成を示す斜視図である。該真空装置400では、中心部にはウエハ201の搬送のための搬送用ロボット301が配置されたセンタチャンバ300が置かれている。センタチャンバ300には不図示のセンタチャンバ用排気装置が配されて、搬送用ロボット301の雰囲気の圧力が規定される。該センタチャンバ300の周囲には、ロードロックチャンバ100とウエハ201に対する各種処理を行う処理チャンバ305が複数配置される。本例では、二つのロードロックチャンバ100と三つの処理チャンバ305とが配置されている。
【0031】
前述したように、ロードロックチャンバ100は例えば大気等の外部雰囲気とセンタチャンバ300内の雰囲気(本例では真空)とを切り換えることにより、ウエハ201を真空装置400内への導入及び装置内からの排出を可能とする。本発明では、ポッド200を直接ロードロックチャンバ100内に投入可能とすることにより、ポッド200からの蓋205の取り外しと該ポッド200に対するウエハ201の挿脱とを管理されて雰囲気下で行うことを可能としている。なお、上述した実施形態において、導入される気体として窒素を例示したが、配線等の酸化の抑制が可能であれば、窒素に限定されない。また、前述したフローにおいて、各ステップが順次段階的に行われるように記載されているが、例えば排気操作とステージ等の動作とを並行して行うことも可能である。また、本実施形態において例示した種々の駆動機構及び検知手段に関しては、公知の種々の機構及び手段により適宜置換されることが好ましい。
【0032】
次には本発明の第二の実施形態に係るロードロックチャンバについて図5を参照して述べる。図5は、ロードロックチャンバ、センタチャンバ、処理チャンバ、及びポッドについて、これらの配置における関係等を模式的に示している。なお、本図において、図1に示した構成と同様の構成に関しては、同じ参照符号を用いることとしてここでの説明は省略し、本実施形態のロードロックチャンバ100は、第二のロードロック開口7及び第二のロードロックシャッタ9の配置、搬送機構303よりポッド200が載置される載置台25を有する点、オープナ15とステージ11との相互関係、及び第一のロードロック開口3に対応する位置にバッファ室が配置される点が異なっている。以下、相違点について詳述する。
【0033】
本形態では、第二のロードロック開口7は、センタチャンバ300に至る第一のロードロック開口3と対向する位置に配置される。第二のロードロック開口7の正面にはポッド200が載置される載置台25が配置される。載置台25には、載置されたポッド2をロードロックチャンバ100内に搬送してステージ11上に載置する、ローラコンベア、或いはピックアンドプレイス方式の移載機構27が配置される。第二のロードロックシャッタ9が第二のロードロック開口7を解放した状態で、移載機構27がポッド200を搬送し、これをステージ11上の所定位置には移載、固定する。
【0034】
本形態では、ステージ11はZ軸方向の多点位置決めを行うのみで、Y軸方向の駆動はポッドの蓋205の解放時の移動は行わない。代わって、オープナ15がY軸方向の移動を行うことにより、ポッド本体203からの蓋205の取り外しを行う。また、オープナ15自体が、センタチャンバ300とステージ11が配置されるメインチャンバ29との間に設けられたバッファチャンバ31に配置されている。バッファチャンバ31とメインチャンバ29との間には連通用開口33が設けられており、当該連通用開口33はオープナ15によって閉鎖される。本形態ではオープナ15にはシール部材が配されており、オープナ15がY軸方向に移動することにより、メインチャンバ29とバッファチャンバ31との間を気密に分離する。また、各々のチャンバには夫々対応する不図示の排気装置及び第一のガス導入系35及び第二のガス供給系37が接続されており、各々の室内部の圧力を個別に管理することを可能としている。
【0035】
本実施形態ではバッファ室を必要とすることから、装置構成が複雑化する。しかし、該バッファ室を設けることにより、ポッド200の周辺からセンタチャンバ300に持ち込まれる塵等の低減、及びウエハ201搬送時におけるセンタチャンバ300内の酸素濃度の増加の好適な抑制、といった効果が得られる。また、ロードロックチャンバ100の内部空間を、メインチャンバ29及びバッファチャンバ31のより小さな二つの空間とし、更に個々の駆動部材であるステージ11とオープナ15とを各々のチャンバに分離することで、個々のチャンバの容積をよりコンパクトにすることが可能となる。その結果、当該チャンバ内の排気に要する時間の短縮化、或いはより高真空下での操作の実行、が可能となる効果も得られる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上述べたように、本発明は半導体処理装置に対して好適に用いるロードロックチャンバに関している。しかしながら、本発明の利用可能性は当該処理装置に限定されず、例えば液晶ディスプレイのパネルを扱う処理装置等、半導体に準じた各種処理が行われる種々の処理装置に用いられる所謂ロードロックチャンバに対しても適用可能である。従って、前述した実施形態におけるウエハは被処理物として、ポッドは種々の被処理物を収容するとして、また半導体処理装置は被処理物に処理を施す処理装置として解されることが好ましい。
【符号の説明】
【0037】
1:チャンバ本体、 3:第一のロードロック開口、 5:第一のロードロックシャッタ、 7:第二のロードロック開口、 9:第二のロードロックシャッタ、 11:ステージ、 13:ステージ上下軸、 15:オープナ、 17:オープナ上下軸、 19:ゲート弁、 21:排気装置、 23:ガス導入系、 25:載置台、 27:移載機構、 29:メインチャンバ、 31:バッファチャンバ、 33:連通用開口、 35:第一のガス導入系、37:第二のガス導入系、 51:制御装置、 53:第一の駆動機構、 55:第一のシャッタ位置検知手段、 57:第二の駆動機構、 59:第二のシャッタ位置検知手段、 61:ステージY軸駆動機構、 63:ステージZ軸駆動機構、 65:ステージ位置検知手段、 67:オープナZ位置駆動機構、 69:オープナ位置検知手段、 71:第一のシャッタ開閉許可手段、 73:第二のシャッタ開閉許可手段、 75:排気許可手段、 77:導入許可手段、 79:圧力検知手段、 100:ロードロックチャンバ、 200:ポッド、 201:ウエハ、 203:ポッド本体、 203a:ポッド開口、 205:蓋、 300:センタチャンバ、 301:搬送用ロボット、 301a:アーム、 303:搬送機構、 305:処理チャンバ、 400:真空装置
図1
図2
図3
図4
図5