(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6191859
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】手乾燥装置
(51)【国際特許分類】
A47K 10/48 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
A47K10/48 A
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-64649(P2013-64649)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-188078(P2014-188078A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(72)【発明者】
【氏名】住吉 優美
【審査官】
七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第02/028250(WO,A1)
【文献】
特開2001−293930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の手に空気を吹き付けて乾燥させる手乾燥装置において、
使用者の手が挿入される空間である手乾燥室が形成され、前記手乾燥室に送風機から空気を送出するハウジングを備え、
前記ハウジングは、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材との少なくとも2つのハウジング部材を組み合わせることで構成され、
前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とは、互いに引き付け合うように力が加わる嵌合構造を有し、前記嵌合構造は、前記手乾燥室内に配置されていることを特徴とする手乾燥装置。
【請求項2】
前記嵌合構造は、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とが互いに引き付け合う第1方向に交わるように形成される一対の第1内側壁を有する第1凹部と、前記第1凹部に嵌め合わされ前記一対の第1内側壁それぞれに当接する一対の第1外側壁を有する第1凸部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。
【請求項3】
前記嵌合構造は、前記第1方向とは異なる第2方向に交わるように形成される一対の第2内側壁を有する第2凹部と、前記第2凹部に嵌め合わされ前記一対の第2内側壁それぞれに当接する一対の第2外側壁を有する第2凸部と、を有し、
前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とは、前記第1方向に加えて前記第2方向においても互いに引き付け合うように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の手乾燥装置。
【請求項4】
使用者の手に空気を吹き付けて乾燥させる手乾燥装置において、
使用者の手が挿入される空間である手乾燥室が形成され、前記手乾燥室に送風機から空気を送出するハウジングを備え、
前記ハウジングは、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材との少なくとも2つのハウジング部材を組み合わせることで構成され、
前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とは、互いに引き付け合うように力が加わる嵌合構造を有し、
前記嵌合構造は、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とが互いに引き付け合う第1方向に交わるように形成される一対の第1内側壁を有する第1凹部と、前記第1凹部に嵌め合わされ前記一対の第1内側壁それぞれに当接する一対の第1外側壁を有する第1凸部と、前記第1方向とは異なる第2方向に交わるように形成される一対の第2内側壁を有する第2凹部と、前記第2凹部に嵌め合わされ前記一対の第2内側壁それぞれに当接する一対の第2外側壁を有する第2凸部と、を有し、
前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材とは、前記第1方向に加えて前記第2方向においても互いに引き付け合うように構成されていることを特徴とする手乾燥装置。
【請求項5】
前記第1ハウジング部材は前記手乾燥室の一部を構成する一方で、前記第2ハウジング部材は前記手乾燥室の残部を構成し、
前記第1方向は、前記手乾燥室内に臨む前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材との隙間を狭める方向であり、
前記第2方向は、前記手乾燥装置の外周面を構成する前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材との段差を少なくする方向であることを特徴とする請求項3又は4に記載の手乾燥装置。
【請求項6】
前記一対の第1内側壁及び前記一対の第2内側壁の少なくとも一方は、互いの間隔が徐々に狭まるように配置されるとともに、
前記一対の第1外側壁及び前記一対の第2外側壁の少なくとも一方も、互いの間隔が徐々に狭まるように配置されることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の手乾燥装置。
【請求項7】
前記第1ハウジング部材の一端側を中心として回動させ、前記第1ハウジング部材の他端側と前記第2ハウジング部材とを嵌め合わせるものであって、
前記一対の第1内側壁及び前記一対の第2内側壁の少なくとも一方は、前記一端側を中心とした前記他端側の回動軌跡に略沿った曲面を描くように湾曲形成されていることを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の手乾燥装置。
【請求項8】
前記第1ハウジング部材には、送風機と、前記送風機から送出される空気を前記手乾燥室に吹き出すためのノズルとが設けられ、
前記第2ハウジング部材には、使用者の手から離脱した水を受けるための水受け部が設けられていることを特徴とする請求項3から7のいずれか1項に記載の手乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の手に空気を吹き付けて乾燥させる手乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者の手に空気を吹き付けて乾燥させる手乾燥装置は、空気を吹き出すための送風機及びノズルと、手を入れるための空間を確定するための手乾燥室とを備えるものが知られている。このような手乾燥装置は、手乾燥室を取り外して洗うための配慮や、送風機やノズルを収めて乾燥室を形成するハウジングの成形性の問題などから、いくつかの部分に分割して形成される。その一例として、下記特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−21393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手乾燥装置は、使用者が濡れた手を手乾燥室に挿入し、ノズルから吹き出された空気によって手についた水滴を飛ばして乾燥するものである。従って、手乾燥室内は高速の風が循環し、水滴やほこりもその風に乗って循環する。上述したように、手乾燥装置を構成するハウジングはいくつかの部分を組み合わせて構成されるものである。そして、手乾燥室は一体で成形するには複雑な形状となることが多く、手乾燥室を構成するハウジングをいくつかに分割することになる。
【0005】
このようにハウジングは分割して構成され、水滴やほこりが乗った風が舞う条件では、分割したハウジング同士の突き合わせ部分に生じる隙間から水滴やほこりが内部に入りやすくなる。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハウジングを分割して構成した場合であっても、ハウジング同士の接合面の隙間をより少なくすることが可能な手乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る手乾燥装置は、使用者の手に空気を吹き付けて乾燥させる手乾燥装置であって、使用者の手が挿入される空間である手乾燥室が形成され、手乾燥室に送風機から空気を送出するハウジングを備える。ハウジングは、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材との少なくとも2つのハウジング部材を組み合わせることで構成され、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とは、互いに引き付け合うように力が加わる嵌合構造を有する。
【0008】
本発明では、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とは、互いに引き付け合うように力が加わる嵌合構造を有するので、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材との隙間を小さくするための部材の追加や特別の作業をせずに、ハウジング同士の隙間をより小さくすることができる。
【0009】
また本発明に係る手乾燥装置では、嵌合構造は、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とが互いに引き付け合う第1方向に交わるように形成される一対の第1内側壁を有する第1凹部と、第1凹部に嵌め合わされ一対の第1内側壁それぞれに当接する一対の第1外側壁を有する第1凸部と、を有することも好ましい。
【0010】
この好ましい態様では、第1凹部及び第1凸部を形成し、それらの配置方向を工夫するという簡単な構成で、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とを第1方向に引き付け合うように構成することができる。
【0011】
また本発明に係る手乾燥装置では、嵌合構造は、第1方向とは異なる第2方向に交わるように形成される一対の第2内側壁を有する第2凹部と、第2凹部に嵌め合わされ一対の第2内側壁それぞれに当接する一対の第2外側壁を有する第2凸部と、を有し、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とは、第1方向に加えて第2方向においても互いに引き付け合うように構成されていることも好ましい。
【0012】
この好ましい態様では、第1方向に加えて第2方向においても第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とが引き付け合うように構成することができるので、異なる方向における互いの隙間の抑制や、隙間に加えて隣接し同一面を形成する場合の段差の抑制といった、多様な位置合わせに対応することができる。
【0013】
また本発明に係る手乾燥装置では、第1ハウジング部材は手乾燥室の一部を構成する一方で、第2ハウジング部材は手乾燥室の残部を構成し、第1方向は、手乾燥室内に臨む第1ハウジング部材と第2ハウジング部材との隙間を狭める方向であり、第2方向は、手乾燥装置の外周面を構成する第1ハウジング部材と第2ハウジング部材との段差を少なくする方向であることも好ましい。
【0014】
この好ましい態様では、第1方向を、手乾燥室内に臨む第1ハウジング部材と第2ハウジング部材との隙間を狭める方向とすることで、水滴やほこりが乗った空気が流れる手乾燥室を構成する部材間の隙間を狭め、その隙間から内部に水滴やほこりが入り込むことを抑制することができる。また、第2方向を、手乾燥装置の外周面を構成する第1ハウジング部材と第2ハウジング部材との段差を少なくする方向とすることで、分割形成したハウジングの外観をより滑らかで一体感のあるものとすることができる。
【0015】
また本発明に係る手乾燥装置では、一対の第1内側壁及び一対の第2内側壁の少なくとも一方は、互いの間隔が徐々に狭まるように配置されるとともに、一対の第1外側壁及び一対の第2外側壁の少なくとも一方も、互いの間隔が徐々に狭まるように配置されることも好ましい。
【0016】
この好ましい態様では、例えば、一対の第1内側壁の互いの間隔を徐々に狭めると共に、一対の第1外側壁の互いの間隔も徐々に狭まるように配置することで、第1凹部に第1凸部を嵌め合わせる場合、第1凹部に第1凸部を押し込んでいくこととのみで、互いに確実に嵌合させることができる。従って、一対の第1内側壁及び一対の第2内側壁の配置間隔と、一対の第1外側壁及び一対の第2外側壁の配置間隔とを工夫するという簡単な構成で、確実な嵌合状態を実現することができる。
【0017】
また本発明に係る手乾燥装置では、第1ハウジング部材の一端側を中心として回動させ、ハウジング部材の他端側と第2ハウジング部材とを嵌め合わせるものであって、一対の第1内側壁及び一対の第2内側壁の少なくとも一方は、一端側を中心とした他端側の回動軌跡に略沿った曲面を描くように湾曲形成されていることも好ましい。
【0018】
この好ましい態様では、第1ハウジング部材の一端側を中心として回動させて、第1ハウジング部材の他端側と第2ハウジング部材とを嵌め合わせる際に、例えば、一対の第1内側壁を、一端側を中心とした他端側の回動軌跡に略沿った曲面を描くように湾曲形成する。このように壁面を構成することで、第1凹部に対する第1凸部の嵌め合わせを円滑なものとし、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とを一体化する際の施工性を向上することができる。
【0019】
また本発明に係る手乾燥装置では、第1ハウジング部材には、送風機と、送風機から送出される空気を手乾燥室に吹き出すためのノズルとが設けられ、第2ハウジング部材には、使用者の手から離脱した水を受けるための水受け部が設けられていることも好ましい。
【0020】
この好ましい態様では、空気を吸い込みノズルから吹き出す部分を第1ハウジング部材側とし、風に乗った水滴を受ける水受け部を第2ハウジング部材側としているので、水滴やほこりが乗った風が流れる部分となる第1ハウジング部材と第2ハウジング部材との接合面を密接させることで、水滴やほこりの内部への吸い込みを抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ハウジングを分割して構成した場合であっても、ハウジング同士の接合面の隙間をより少なくすることが可能な手乾燥装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る手乾燥装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す手乾燥装置の中央近傍における縦断面図である。
【
図3】
図1に示す手乾燥装置のハウジングのみを示す部分断面斜視図である。
【
図5】
図1に示す手乾燥装置のハウジングのみを示す部分縦断面図である。
【
図7】
図5に示すハウジングを組み立てる状態を示す部分縦断面図である。
【
図8】
図1に示す手乾燥装置のハウジングのみを示す部分横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態に係る手乾燥装置について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る手乾燥装置HDを示す斜視図である。
図2は、
図1に示す手乾燥装置HDの中央近傍における縦断面図である。
【0024】
図1に示すように、鉛直上方に向かう方向をy軸の正方向とし、手乾燥装置HDの前方側に向かう方向(手乾燥装置HDが取り付けられる壁面の法線方向)をz軸の正方向とする。また、手乾燥装置HDの左方向(手乾燥装置HDが取り付けられる壁面に向かって右側に向かう方向)をx軸の正方向とする。
図2以降においても、x軸、y軸、z軸を同様に設定し、説明のために適宜用いるものとする。
【0025】
手乾燥装置HDは、ハウジング2内に種々の機能部品を組み込んで構成されている。ハウジング2は、第1ハウジング部材2aと、第2ハウジング部材2bとを有する。第1ハウジング部材2aは、設置面である壁面側が開放された略立方体形状をなしている。第2ハウジング部材2bは、設置面である壁面に沿う部分と、その下方からz軸正方向に突出する部分とによって構成されている。
【0026】
手乾燥装置HDには、手乾燥室3が形成されている。手乾燥室3は、上板部4aと、背板部4bと、下板部4cとによって3方が確定される空間である。上板部4aは、第1ハウジング部材2aの下面(y軸負方向に向く面)として形成されている。背板部4bは、第2ハウジング部材2bの壁面側に沿う面として形成されている。下板部4cは、第2ハウジング部材2bの下方に配置される面として形成されている。
【0027】
従って、手乾燥室3は、第1ハウジング部材2aと第2ハウジング部材2bとを組み合わせることで形成される空間である。手乾燥室3の下方には、水受け部5が設けられている。
【0028】
第1ハウジング部材2aの内部には、ブロアー20(送風機)とノズル9とが配置されている。ブロアー20は、モーター16と、ターボファン(図に明示せず)と、ブロアーケース21とを有している。モーター16は、ターボファンを回転させるための駆動源として機能している。モーター16及びターボファンは、吸込側を背面側にし、排気側を前方側にした状態で、ブロアーケース21内に収められている。
【0029】
ブロアーケース21の前側下部には吹出口8が開設されている。吹出口8には、ブロアー20により生成された高圧空気を手乾燥室3に噴出するためのノズル9が装着されている。ノズル9は、使用者の手に向けて高圧空気を吹き出すためのものであって、その噴射口を下方に向けた状態で上板部4aに配置されている。ブロアーケース21の吹出口とノズル9との間には、ここを通過する高圧空気を昇温するヒーター18が配置されている。
【0030】
第1ハウジング部材2aの内部には更に、センサー10と、制御部(図に明示せず)とが配置されている。制御部は、センサー10、モーター16、及びヒーター18の駆動を制御する部分である。センサー10が手乾燥室3に差し込まれた使用者の手を検出すると、センサー10の検出結果を受けた制御部がモーター16を駆動する。センサー10が使用者の手を検知しなくなると、センサー10の非検出結果を受けた制御部がモーター16を停止する。制御部は、モーター16と同期させてヒーター18を駆動・停止する。
【0031】
このような構成により、使用者が手乾燥室3に濡れた手を挿入すると、ノズル9から自動的に空気が吹き出され、手に付着している水滴を吹き飛ばしながら手の乾燥が行われる。また、使用者が手乾燥室3から手を引きだすと、ノズル9からの空気の吹き出しは自動的に停止される。
【0032】
水受け部5は、ノズル9により吹き飛ばされた水滴を受け取るため、第2ハウジング部2b下方に形成されている。水受け部5は、下板部4cと、その更に下方に設けられ、水滴を貯留する水受けトレイ(図に明示せず)とを有している。下板部4cには、水受けトレイに水滴を落下させるための排水口が形成されている。水受けトレイは着脱可能となっているため、水受けトレイを取り外すことによって水受けトレイ内の水を容易に捨てることができる。
【0033】
上板部4aには、前述のように、使用者の手に向けて高圧空気を吹き出すためのノズル9が設けられている。ノズル9は、上板部4aの前方側に配設されている。ノズル9の吹き出し方向は、下方且つ背板部4bに向かう方向に吹き出すように形成されている。手乾燥室3内に挿入された使用者の手は、その先端(指先)が斜め下方に向かった状態となっている。このため、ノズルから吹き出された空気は使用者の手に沿って流れることとなり、使用者の手に付着した水滴を効率的に吹き飛ばすことができる。ノズル9から使用者の手に沿う方向に吹き出されて手の表面を通過した空気は、少なくともその一部が背板部4bに当たる。
【0034】
手乾燥室3内は水滴や埃が乗った風が流れる場所であるので、手乾燥室3を確定する上板部4aと背板部4bと下板部4cとは一体的に継ぎ目なく形成することが、ハウジング2内への水滴や埃の侵入を防止する観点から好ましいものである。しかしながら、
図1及び
図2に示すように、ハウジング2全体の形状が複雑なものであることから、ハウジング2を第1ハウジング部材2aと第2ハウジング部材2bとに分割して形成する必要がある。そこで本実施形態では、第1ハウジング部材2aと第2ハウジング部材との密着性を高めて、水滴や埃がハウジング2の内部に入り込みにくくするため嵌合構造を設けている。
【0035】
この嵌合構造について、
図3及び
図4を参照しながら説明する。
図3は、
図1に示す手乾燥装置HDのハウジング2のみを示す部分断面斜視図である。
図4は、
図3のA部分を示す斜視図である。
図3に示すように、嵌合構造6は、第1ハウジング部材2aと第2ハウジング部材2bとが当接するA部分に形成されている。より具体的には、第1ハウジング部材2aの上板部4aと、第2ハウジング部材2bの背板部4bとが当接する部分に形成されている。
【0036】
図4に示すように、嵌合構造6は、第1ハウジング2a側に形成されている第1凸部61aと第2ハウジング2b側に形成されている第1凹部61bとが嵌合すると共に、第1ハウジング2a側に形成されている第2凹部62bと第2ハウジング2b側に形成されている第2凸部62aとが嵌合することで構成されている。嵌合構造6は、第1ハウジング2aと第2ハウジング2bとが互いに引き付け合うように力を作用させるための構造である。
【0037】
続いて、第1方向であるy軸方向において、第1ハウジング2aと第2ハウジング2bとが互いに引き付け合う構造を、
図5を参照しながら説明する。
図5は、手乾燥装置HDのハウジング2のみを示す部分縦断面図である。
【0038】
図5に示すように、第1ハウジング2aに形成された第1凸部61aと、第2ハウジング2bに形成された第1凹部61bとが嵌合している。
図6に、
図5のB部分を示す。
【0039】
図6に示すように、第1凸部61aは、一対の第1外側壁61aa,61abを有している。一対の第1外側壁61aa,61abは、第1方向であるy軸方向に交わるように形成されている。一対の第1外側壁61aa,61abは、第1凸部61aの先端に行くに従って互いの間隔が狭まるように形成されている。
【0040】
第1凹部61bは、一対の第1内側壁61ba,61bbを有している。一対の第1内側壁61ba,61bbは、第1方向であるy軸方向に交わるように形成されている。一対の第1内側壁61ba,61bbは、第1凹部61bの奥側に行くに従って互いの間隔が狭まるように形成されている。
【0041】
第1凹部61bに第1凸部61aを嵌め込んでいくと、楔を打ち込むような状況となり、第1外側壁61aaと第1内側壁61baとが密接し、第1外側壁61abと第1内側壁61bbとが密接する。従って、第1ハウジング2aと第2ハウジング2bとが第1方向であるy軸方向に沿って互いに引き付け合って、第1ハウジング2aと第2ハウジング2bとの間の隙間を狭めて密着させる。
【0042】
第1内側壁61baは、曲率半径Rで描いた円弧に沿った曲面を形成している。ここで、第1ハウジング2aを第2ハウジング2bに取り付ける状況を
図7に示す。
図7に示すように、第1ハウジング2aは、奥側上端である回転軸部25を中心として、回転させながら第2ハウジング2bに取り付けられる。第1内側壁61baは、第1凸部61aが円軌道を描きながら挿入される際に受け入れやすいように、曲率半径Rで描いた円弧に沿った曲面を形成している。曲率半径Rは、回転軸部25を中心とした第1凸部61aが描く円軌道よりも小径な円弧になるように定められる。
【0043】
続いて、第2方向であるx軸方向において、第1ハウジング2aと第2ハウジング2bとが互いに引き付け合う構造を、
図8を参照しながら説明する。
図8は、手乾燥装置HDのハウジング2のみを示す部分横断面図である。
【0044】
図8に示すように、第1ハウジング2aに形成された第2凹部62bと、第2ハウジング2bに形成された第2凸部62aとが嵌合している。
図9に、
図8のC部分を示す。
【0045】
図8に示すように、第2凸部62aは、一対の第2外側壁62aa,62abを有している。一対の第2外側壁62aa,62abは、第2方向であるx軸方向に交わるように形成されている。一対の第2外側壁62aa,62abは、第2凸部62aの先端に行くに従って互いの間隔が狭まるように形成されている。
【0046】
第2凹部62bは、一対の第2内側壁62ba,62bbを有している。一対の第2内側壁62ba,62bbは、第2方向であるx軸方向に交わるように形成されている。一対の第2内側壁62ba,62bbは、第2凹部62bの奥側に行くに従って互いの間隔が狭まるように形成されている。
【0047】
第2凹部62bに第2凸部62aを嵌め込んでいくと、楔を打ち込むような状況となり、第2外側壁62aaと第2内側壁62baとが密接し、第2外側壁62abと第2内側壁62bbとが密接する。従って、第1ハウジング2aと第2ハウジング2bとが第2方向であるc軸方向に沿って互いに引き付け合って、第1ハウジング2aの外壁と第2ハウジング2bの外壁との間の段差を少なくするように密着させる。
【符号の説明】
【0048】
HD:手乾燥装置
2:ハウジング
2a:第1ハウジング部材
2b:第2ハウジング部材
3:手乾燥室
4a:上板部
4b:背板部
4c:下板部
5:水受け部
6:嵌合構造
61a:第1凸部
61b:第1凹部
62a:第2凸部
62b:第2凹部
8:吹出口
9:ノズル
10:センサー
16:モーター
18:ヒーター
20:ブロアー(送風機)
21:ブロアーケース