特許第6191872号(P6191872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6191872
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】配線モジュール及び蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/34 20060101AFI20170828BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20170828BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20170828BHJP
   H01G 2/04 20060101ALI20170828BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20170828BHJP
【FI】
   H01M2/34 B
   H01M2/20 A
   H01M2/10 E
   H01G1/03 Z
   H01G11/10
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-26691(P2014-26691)
(22)【出願日】2014年2月14日
(65)【公開番号】特開2015-153618(P2015-153618A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】森田 光俊
(72)【発明者】
【氏名】藤田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中山 治
【審査官】 近藤 政克
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/024760(WO,A1)
【文献】 特開2014−017107(JP,A)
【文献】 特開2014−017106(JP,A)
【文献】 特開2013−016381(JP,A)
【文献】 特開2013−097962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/34
H01G 2/04
H01G 11/10
H01M 2/10
H01M 2/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の電極端子を有する蓄電素子を複数個並べてなる蓄電素子群に取り付けられる配線モジュールであって、
隣り合う前記蓄電素子の前記電極端子間を電気的に接続する極間接続部材と、
直列接続の端部に位置する前記電極端子に接続される端部接続部材と、
前記極間接続部材及び前記端部接続部材を収容する絶縁プロテクタと、
前記絶縁プロテクタを覆う絶縁カバーと、を備え、
前記絶縁カバーは、
前記極間接続部材を覆う第1閉鎖位置と前記極間接続部材を露出させる第1開放位置との間を変位可能な第1カバー部と、
前記第1カバー部に接続され、前記第1カバー部を前記第1閉鎖位置として、前記端部接続部材を覆う第2閉鎖位置と前記端部接続部材を露出させる第2開放位置との間を回動可能な第2カバー部と、を備え、
前記第1カバー部は、係合部を備えるとともに、前記第2カバー部は、前記係合部に係合して前記第1カバー部に対する前記第2カバー部の位置を保持する被係合部を備えている配線モジュール。
【請求項2】
前記絶縁プロテクタと前記第1カバー部とを接続する撓み変形可能な撓み部を備える請求項1に記載の配線モジュール。
【請求項3】
前記端部接続部材は、前記電極端子に接続される電極接続部と外部と接続される外部接続部とを備え、
前記絶縁カバーは、前記外部接続部を外部と絶縁する絶縁壁を備え、
前記絶縁壁に前記係合部が形成されており、
前記被係合部は、前記係合部に当接して弾性変形する弾性部を備え、
前記第2カバー部は、前記被係合部が前記係合部に当接した際に前記絶縁壁を前記被係合部とは反対側から押さえる押さえ部を備えている請求項1又は請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項4】
前記第2カバー部は、前記第1カバー部の先端側に接続されている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の配線モジュール。
【請求項5】
前記蓄電素子群と、
前記蓄電素子群に取り付けられる請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の配線モジュールと、を備える蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線モジュール及び蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に搭載される蓄電モジュールは、一般に、正負の電極を有する多数の蓄電素子の電極間を接続部材を介して直列に接続することにより構成されている。また、電極や接続部材を外部と絶縁するためにバッテリカバーが取付けられる。
【0003】
特許文献1のバッテリカバーは、ブスバーが埋設されてバッテリの端部を覆うケースに取り付けられ、カバー本体と開閉カバーとがヒンジを介して連結されている。開閉カバーは、カバー本体の長手方向に沿った両端に連結されており、カバー本体がケースに取り付けられると、開閉カバーは、端に位置する二つの小型バッテリの電極を覆う閉鎖位置と、電極を露出させる開放位置とに変位自在となっている。また、ケースには突起が設けられ、閉鎖位置では、開閉カバーの爪部がケースの突起に係止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−332235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の構成では、開閉カバーの爪部がケースの突起に係止することで開閉カバーを閉鎖位置に保つことができるが、開閉カバーを開放位置に保つことができないため、開閉カバーを開けて端に位置する電極の接続作業を行う際に作業性が低下することが懸念される。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、直列接続の端部の電極端子の接続作業を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される配線モジュールは、正極及び負極の電極端子を有する蓄電素子を複数個並べてなる蓄電素子群に取り付けられる配線モジュールであって、隣り合う前記蓄電素子の前記電極端子間を電気的に接続する極間接続部材と、直列接続の端部に位置する前記電極端子に接続される端部接続部材と、前記極間接続部材及び前記端部接続部材を収容する絶縁プロテクタと、前記絶縁プロテクタを覆う絶縁カバーと、を備え、前記絶縁カバーは、前記極間接続部材を覆う第1閉鎖位置と前記極間接続部材を露出させる第1開放位置との間を変位可能な第1カバー部と、前記第1カバー部に接続され、前記第1カバー部を前記第1閉鎖位置として、前記端部接続部材を覆う第2閉鎖位置と前記端部接続部材を露出させる第2開放位置との間を回動可能な第2カバー部と、を備え、前記第1カバー部は、係合部を備えるとともに、前記第2カバー部は、前記係合部に係合して前記第1カバー部に対する前記第2カバー部の位置を保持する被係合部を備えている。
【0008】
本構成によれば、第2カバー部の被係合部を第1カバー部の係合部に係合させることで、直列接続の端部の電極端子の接続作業を行う際に、第1カバー部に対する第2カバー部の位置を保持することができる。よって、直列接続の端部の電極端子の接続作業を容易にすることが可能になる。
【0009】
上記構成に加えて以下の構成を備えれば好ましい。
・前記絶縁プロテクタと前記第1カバー部とを接続する撓み変形可能な撓み部を備える。
このようにすれば、絶縁プロテクタと絶縁カバーを別体とする場合と比較して絶縁カバーの取り付け作業を行わなくてもよいから、電極端子の接続作業の作業性を向上させることができる。
【0010】
・前記端部接続部材は、前記電極端子に接続される電極接続部と外部と接続される外部接続部とを備え、前記絶縁カバーは、前記外部接続部を外部と絶縁する絶縁壁を備え、前記絶縁壁に前記係止部が形成されており、前記被係止部は、前記係止部に当接して弾性変形する弾性部を備え、前記第2カバー部は、前記被係止部が前記係止部に当接した際に前記絶縁壁を前記被係止部とは反対側から押さえる押さえ部を備えている。
このようにすれば、絶縁壁を押さえ部が押さえることで、被係止部が係止部に当接した際の絶縁壁の変形を抑制することができる。
【0011】
・前記第2カバー部は、前記第1カバー部の先端側に接続されている。
このようにすれば、このようにすれば、第2カバー部の開閉作業を局所的に行うことが可能になるため、外部からの塵等の進入を抑制することができるとともに、第2カバー部57の開閉作業を容易にかつ安全に行うことができる。
【0012】
・前記蓄電素子群と、前記蓄電素子群に取り付けられる前記配線モジュールと、を備える蓄電モジュールとする。
【発明の効果】
【0013】
本明細書によって開示される技術によれば、電極端子間の接続作業、及び、直列接続の端部の電極端子の接続作業を容易にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1の蓄電モジュールを示す平面図
図2】第1カバー部を第1閉鎖位置とし、第2カバー部を第2閉鎖位置とした配線モジュールを示す平面図
図3】第1カバー部を第1閉鎖位置とし、第2カバー部を第2閉鎖位置とした配線モジュールを示す側面図
図4図2のA−A断面図
図5図3のB−B断面図
図6】第1カバー部を第1閉鎖位置とし、第2カバー部を第2開放位置とした配線モジュールを示す平面図
図7】第1カバー部を第1閉鎖位置とし、第2カバー部を第2開放位置とした配線モジュールを示す側面図
図8】第1カバー部を第1閉鎖位置とし、第2カバー部を第2開放位置とした配線モジュールを示す背面図
図9】第1カバー部を第1開放位置とし、第2カバー部を第2閉鎖位置とした配線モジュールを示す平面図
図10】第1カバー部を第1開放位置とし、第2カバー部を第2閉鎖位置とした配線モジュールを示す側面図
図11】第1カバー部を第1開放位置とし、第2カバー部を第2開放位置とした配線モジュールを示す平面図
図12】第1カバー部を第1開放位置とし、第2カバー部を第2開放位置とした配線モジュールを示す側面図
図13】第1カバー部を第1開放位置とし、第2カバー部を第2閉鎖位置とした配線モジュールを装着した蓄電モジュールを示す平面図
図14】第1カバー部を第1閉鎖位置とし、第2カバー部を第2閉鎖位置とした配線モジュールを装着した蓄電モジュールを示す平面図
図15】第1カバー部を第1閉鎖位置とし、第2カバー部を第2開放位置とした配線モジュールを装着した蓄電モジュールを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1を図1図15を参照しつつ説明する。
本実施形態の蓄電モジュール10は、電気自動車又はハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載されて、車両を駆動するための電源として使用される。以下では、前後方向については、図1の上方を前方、下方を後方とし、左右方向については、図1の方向を基準とし、上下方向については、図3の方向を基準として説明する。
【0016】
(蓄電モジュール10)
蓄電モジュール10は、図1に示すように、蓄電素子12を複数並べてなる蓄電素子群11と、蓄電素子群11の上面に取り付けられる配線モジュール20とを備えている。なお、図1等では、蓄電モジュール10の一部である左端側を図示しており、蓄電モジュール10の右端側は省略している。
【0017】
複数の蓄電素子12は扁平な略直方体形状をなし、内部に図示しない蓄電要素が収容されている。蓄電素子12の上面には、電極端子13A,13B(正極を13A,負極を13Bとして図示)が上方に突出している。各蓄電素子12の向きは、隣り合う電極端子13A,13Bの極性が反対になるように配置されている。そして、これら蓄電素子群11は図示しない保持板によって固定されている。
【0018】
(配線モジュール20)
配線モジュール20は、左右に隣り合う電極端子13A,13B間を接続する複数の極間接続部材21と、直列接続の端部に位置する電極端子13A(13B)と接続される2個の端部接続部材23(左端側のみ図示し、右端側にも端部接続部材23が電極端子13Bと接続されているが図示は省略する)と、極間接続部材21及び端部接続部材23を内部に収容する収容部材33とを備えて構成されている。
【0019】
(極間接続部材21)
極間接続部材21は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等の板状の金属からなり、棒状の電極端子13A,13B(電極端子がナット状である場合にはボルトの軸部)が挿通される通し孔22が左右一対貫通形成されている。通し孔22は、左右方向に長い長円形状をなす。極間接続部材21には、蓄電素子12の電圧を検知するための電圧検知端子29が重ねられている。
【0020】
(端部接続部材23)
端部接続部材23は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等の板状の金属からなり、電極端子13A(13B)に接続される板状の電極接続部24と、外部と接続される外部接続部26とを備えている。
電極接続部24は、長方形状であって、棒状の電極端子13A,13B(電極端子がナット状である場合にはボルトの軸部)が挿通される1個の円形状の通し孔24Aを備えている。電極接続部24には、電圧検知端子29が重ねられている。
【0021】
外部接続部26は、電極接続部24の周縁部から電極接続部24と直交する方向に立ち上がる立壁27と、立壁27の板面と直交する方向に立ち上がる円柱状のスタッドボルト28とを備えている。
立壁27には、円形状の通し穴27Aが貫通形成されている。スタッドボルト28は、外部のインバータ等の機器に接続された電線の端末部の端子等を接続可能であって、円柱状であって、先端側が段差状に先細となっており、基端側に鍔状に張り出す鍔部28Aが形成されている。スタッドボルト28は、立壁27の通し穴27Aに通されて、例えば、圧入や溶接等により、立壁27に固定される。
【0022】
(電圧検知端子29)
電圧検知端子29は、極間接続部材21や端部接続部材23に重ねられて締結される締結部30と、極間接続部材21や端部接続部材23に重ならない領域に導出される導出部31とを備えている。導出部31は、絶縁プロテクタ34の位置決め部39に嵌め入れられて位置決めされており、電圧検知用電線Wが圧着等により接続されている。電圧検知用電線Wは、図示しない外部のECU(Engine Control Unit)に接続される。ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、蓄電素子12の電圧・電流・温度等の検知、各蓄電素子12の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0023】
(収容部材33)
収容部材33は、絶縁性の合成樹脂製の扁平な箱形であって、極間接続部材21及び端部接続部材23が収容される絶縁プロテクタ34と、絶縁プロテクタ34を覆う絶縁カバー47と、絶縁プロテクタ34と絶縁カバー47とを連結する撓み部33Aとを備えている。撓み部33Aは、左右方向の複数個所に所定間隔ごとに設けられており、薄肉の帯状をなす。その厚みの薄さにより撓み変形可能とされている。
【0024】
(絶縁プロテクタ34)
絶縁プロテクタ34は、左右方向に長い長方形状であって、極間接続部材21及び端部接続部材23を収容する複数の収容部35と、前後の収容部35間を連結する連結部42とが一体に形成されている。収容部35は、絶縁プロテクタ34の前端部と後端部のそれぞれに左右方向に並んで配されている。前端側の収容部35の列と後端側の収容部35の列は、左右方向の位置がずらして配置されている。これにより、前端側に配されて端部接続部材23が収容される収容部35Aは、その左右方向(極間接続部材21の接続方向)の略半分が絶縁プロテクタ34の側面34Aから側方に突き出た突出部46を有している。
【0025】
各収容部35は、図4図5に示すように、極間接続部材21及び端部接続部材23が載置される底板36と、極間接続部材21及び端部接続部材23を包囲する角筒状の収容壁37とを備えている。底板36には、電極端子13A,13Bが進入する部分に開口部36Aが形成されている。
【0026】
収容壁37は、工具等が極間接続部材21や端部接続部材23や締結部材に接触して短絡することを防止できる高さに設定されている。収容壁37の内面には、極間接続部材21及び端部接続部材23の離脱を規制する離脱規制片38が撓み変形可能に設けられている。離脱規制片38は、収容壁37をコ字状に切欠いて形成しており、爪状の先端部が極間接続部材21や端部接続部材23の上方に位置することで、極間接続部材21や端部接続部材23の離脱を規制する。
【0027】
収容壁37には、電圧検知端子29が導出される部分が張り出した位置決め部39が形成されている(図1参照)。位置決め部39は、電圧検知端子29の導出部31を内側に嵌め入れて位置決めするものであり、電圧検知用電線Wが導出される部分が開口している。
端部接続部材23が収容される収容部35Aは、図5に示すように、収容壁37が内側から突出する一対の凸部40が形成されている。一対の凸部40は、外部接続部26の立壁27の背面に当接して外部接続部26を後方から保持するとともに、一対の凸部40の間にスタッドボルト28の鍔部28Aが配される。
【0028】
絶縁プロテクタ34の前端面には、図1図2に示すように、絶縁カバー47を閉鎖状態に保持する係止部41が形成されている。係止部41は、下端が段差状に突出し、上方側が傾斜状に突出寸法が小さくなる形状をなす。連結部42には、その中間部に左右方向に延びる電線通し溝43が形成されている。電線通し溝43の一方の溝壁の上端部には、電線を電線通し溝43内に保持するための帯状の保持片44の基端部が連なっている。保持片44の先端部は他方の溝壁に形成された長円形状の係止孔45の孔縁に係止する。
【0029】
(絶縁カバー47)
絶縁カバー47は、絶縁性の合成樹脂からなり、図6図7に示すように、絶縁プロテクタ34に対して開閉可能な第1カバー部48と、第1カバー部48の角部に連なって開閉可能な第2カバー部57と、第1カバー部48と第2カバー部57とを連結するヒンジ部59とを備えている。
【0030】
(第1カバー部48)
第1カバー部48は、左右方向に長い長方形状であって、極間接続部材21をを覆う第1閉鎖位置(図7の位置)と極間接続部材21を露出させる第1開放位置(図12の位置)とに撓み部33Aを軸として回動可能となっており、第1カバー本体49と、端部接続部材23を覆う位置に配される箱形の端部カバー部53と備えている。
【0031】
第1閉鎖位置は、第1カバー部48が絶縁プロテクタ34における突出部46以外の全体を覆う位置であり、第1開放位置は、極間接続部材21や端部接続部材23の電極接続部24についての作業を行うことができる程度に絶縁プロテクタ34の上面を開放する角度まで第1カバー部48を回動させた位置である。
【0032】
第1カバー本体49は、長方形状の板状であって、絶縁プロテクタ34における突出部46以外の全体を覆うものである。第1カバー本体49には、電線通し溝43の上方側が絶縁プロテクタ34側に窪んだ窪み部50が形成されている。第1カバー部48の先端部には、絶縁プロテクタ34の係止部41に係止して第1カバー部48を第1閉鎖位置に保持する被係止部51が形成されている。
【0033】
被係止部51は、貫通孔51Aを有する撓み変形可能な枠状であって、係止部41の段差部分が貫通孔51Aの孔縁に係止して第1カバー部48を絶縁プロテクタ34を覆う第1閉鎖位置に保持する。端部カバー部53は、図5図6図7に示すように、突出部46(収容部35Aにおける外部接続部26が配される部分)を覆う大きさで形成されており、第1カバー本体49の縁部から起立する起立壁54(「絶縁壁」の一例)と、起立壁54に直交する方向に延びる長方形状の天井壁56とを備える。
【0034】
起立壁54は、長方形状であって、外部接続部26の電極接続部24側を覆っている。起立壁54には、第2カバー部57を第2開放位置に保持するための係合部55が形成されている。係合部55は、起立壁54の前端から起立壁54の壁面に沿って突出する突片54Aの先端部に形成されており、段差状に電極接続部24側の側方に突出し、先端側に向けて突出寸法が小さくなる形状をなす。
撓み部33Aは帯状であって、左右方向に複数設けられ、薄肉の厚みにより撓み変形可能とされている。
【0035】
(第2カバー部57)
第2カバー部57は、天井壁56に薄肉の厚みにより弾性変形可能とされたヒンジ部59を介して連結され、第1カバー部48を第1開放位置として、端部接続部材23を覆う第2閉鎖位置(図3の位置)と端部接続部材23を露出させる第2開放位置(図7の位置)とに回動可能となっており、図5図7に示すように、板状の第2カバー本体58と、被係合部61とを備えている。
【0036】
第2カバー本体58は、外部接続部26の前方を覆う長方形状であって、電極接続部24側に所定の角度で曲がった曲げ部58Aを有する。曲げ部58Aの先端部は、第2カバー部57の回動の際に第2閉鎖位置の手前から第2閉鎖位置にかけて起立壁54を押さえる押さえ部58Bとされている。
【0037】
被係合部61は、第2カバー本体58に連なり、係合部55に当接して弾性変形する弾性部62と、作業者が掴む一対の掴み部65とを備えている。弾性部62は、U字状に形成されているとともに、係合部55に係止する被係合凸部63を備えている。被係合凸部63は、段差状に突出し、傾斜状に突出寸法が小さくなる形状をなす。一対の掴み部65は弾性部62の前方(開放側)に連なっており、傾斜状に切り欠かれた切欠部65Aを有する。
【0038】
第2カバー部57を第2開放位置から第2閉鎖位置に回動させると、被係合凸部63が係合部55に当接して弾性部62が弾性変形する。このとき、起立壁54の反対側の面に押さえ部58Bが摺接して起立壁54の反対側の面を押さえる(図5参照)。一方、第2カバー部57を第2閉鎖位置から第2開放位置に回動する場合には、掴み部65を外方側に引いて、被係合凸部63の係合部55への係止を解除することで、ヒンジ部59の弾性力(弾性復元力)により第2カバー部57が第2開放位置まで回動する。
【0039】
なお、第1カバー部48が第1閉鎖位置にあれば、第2カバー部57が第2開放位置と第2閉鎖位置のいずれの位置であっても、外部接続部26の電極接続部24側とは反対側の側方には開口部64が形成されており、外部接続部26はこの開口部64により側方側に露出しており、開口部64から外部の電線等(図示しない)が導出される。
【0040】
次に、蓄電モジュール10の組み付けについて説明する。
収容部材33の第1カバー部48を第1開放位置とし、第2カバー部57を第2閉鎖位置又は第2開放位置として、各収容部35に極間接続部材21及び端部接続部材23を収容する(図9図11)。また、電圧検知用電線Wの端末部に接続された電圧検知端子29を極間接続部材21及び端部接続部材23に重ねて位置決め部39に位置決めする。そして、第1カバー部48を回動して第1閉鎖位置とし、第2カバー部57を第2閉鎖位置とする。これにより、配線モジュール20が形成される(図2)。
【0041】
この配線モジュール20を蓄電素子群11に装着する場合には、第1カバー部48を回動して第1開放位置として蓄電素子群11の所定位置に載置し、極間接続部材21及び端部接続部材23を貫通した電極端子13A,13Bに図示しない締結部材としてのボルト又はナットで極間接続部材21及び端部接続部材23を締結する(図13)。そして、第1カバー部48を回動して第1閉鎖位置とすることで、蓄電モジュール10が形成される(図14)。
【0042】
次に蓄電モジュール10を車両の所定の位置に収容する。そして、第2カバー部57を第2開放位置に回動させる(図15)。端部接続部材23の外部接続部26に外部のインバータ等の装置に連なる電線の端末部を接続する。接続作業が完了すると、第2カバー部57を第2閉鎖位置に回動させる(図14)。
【0043】
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
配線モジュール20は、正極及び負極の電極端子13A,13Bを有する蓄電素子12を複数個並べてなる蓄電素子群11に取り付けられる配線モジュール20であって、隣り合う蓄電素子12の電極端子13A,13B間を電気的に接続する極間接続部材21と、直列接続の端部に位置する電極端子13A,13Bに接続される端部接続部材23と、極間接続部材21及び端部接続部材23を収容する絶縁プロテクタ34と、絶縁プロテクタ34を覆う絶縁カバー47と、を備え、絶縁カバー47は、極間接続部材21を覆う第1閉鎖位置と極間接続部材21を露出させる第1開放位置との間を変位可能な第1カバー部48と、第1カバー部48に接続され、第1カバー部48を第1閉鎖位置として、端部接続部材23を覆う第2閉鎖位置と端部接続部材23を露出させる第2開放位置との間を回動可能な第2カバー部57と、を備え、第1カバー部48は、係合部55を備えるとともに、第2カバー部57は、係合部55に係合して第1カバー部48に対する第2カバー部57の位置を保持する被係合部61を備えている。
【0044】
本実施形態によれば、第2カバー部57の被係合部61を第1カバー部48の係合部55に係合させることで、直列接続の端部の電極端子13A,13Bの接続作業を行う際に、第1カバー部48に対する第2カバー部57の位置を保持することができる。よって、直列接続の端部の電極端子13A,13Bの接続作業を容易にすることが可能になる。
【0045】
また、絶縁プロテクタ34と第1カバー部48とを接続する撓み変形可能な撓み部33Aを備える。
このようにすれば、絶縁プロテクタと絶縁カバーを別体とする場合と比較して絶縁カバーの取り付け作業を行わなくてもよいから、電極端子13A,13Bの接続作業の作業性を向上させることができる。
【0046】
さらに、端部接続部材23は、電極端子13A,13Bに接続される電極接続部24と外部と接続される外部接続部26とを備え、絶縁カバー47は、外部接続部26を外部と絶縁する起立壁54(絶縁壁)を備え、起立壁54に係合部55が形成されており、被係合部61は、係合部55に当接して弾性変形する弾性部62を備え、第2カバー部57は、被係合部61が係合部55に当接した際に起立壁54を被係合部61とは反対側から押さえる押さえ部58Bを備えている。
このようにすれば、起立壁54を押さえ部58Bが押さえることで、被係合部61が係合部55に当接した際の起立壁54の変形を抑制することができる。
【0047】
また、第2カバー部57は、第1カバー部48の先端側(撓み部33Aとは反対側の端部側)に接続されている。
このようにすれば、第2カバー部57の開閉作業を局所的に行うことができるため、外部からの塵等の進入を抑制することができるとともに、第2カバー部57の開閉作業を容易にかつ安全に行うことができる。
【0048】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、絶縁プロテクタ34に対して第1カバー部48がほぼ180度の角度を有する位置が第1開放位置とされているが、これに限られず、作業者が極間接続部材21についての作業を行うことができる程度に第1カバー部48が回動された位置でもよい。また、第2開放位置は、第2カバー部57が端部カバー部53の前面開口に対して90度回動された位置としたが、これに限られず、作業者が端部接続部材23についての作業を行うことができる程度に第2カバー部57が回動された位置でもよい。
【0049】
(2)第2カバー部57は、被係合部61が係合部55に係止されることで外部接続部26の前方を覆う第2閉鎖位置に保持されていたが、これに限られない。例えば、第2カバー部57を第2開放位置に保持するための係合部や被係合部を設けて第2カバー部57を第2開放位置に保持してもよい。この場合、ヒンジ部の弾性力で第2開放位置から第2閉鎖位置に回動するようにヒンジを構成してもよい。また、ヒンジ部59の弾性力で第2カバー部57が開放することとしたが、これに限られず、ヒンジ部59の弾性力を第2カバー部57の開閉に用いない構成としてもよい。
【0050】
(3)蓄電モジュール10を構成する蓄電素子12の数については、任意の数とすることができ、配線モジュール20の大きさも蓄電素子12の数に応じて適宜設定することができる。
(4)蓄電素子12は電池としたが、これに限られず、キャパシタ等であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
10: 蓄電モジュール
11: 蓄電素子群
12: 蓄電素子
13A,13B: 電極端子
20: 配線モジュール
21: 極間接続部材
23: 端部接続部材
24: 電極接続部
26: 外部接続部
33: 収容部材
34: 絶縁プロテクタ
35(35A): 収容部
47: 絶縁カバー
48: 第1カバー部
51: 被係止部
53: 端部カバー部
54: 起立壁(絶縁壁)
55: 係合部
57: 第2カバー部
58B: 押さえ部
59: ヒンジ部
61: 被係合部
62: 弾性部
63: 被係合凸部
図1
図2
図3
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図15