(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記歯底部輪郭は片側歯車歯面輪郭と対応辺歯車歯面輪郭との間の最も隣接される2つの軌跡円の円面接線が連接されて形成され、前記歯底部輪郭は前記複数の軌跡円のカム面に干渉しないことを特徴とする、請求項5に記載の自動ロック機能を有する波動減速機。
カムのカム軸を回転中心とし、前記ソケット輪郭に等円周間隔で配列されるソケットホイールを包囲させる内カム面をさらに備え、前記ソケットホイールが有するソケットホイール輪郭が形成されることを特徴とする、請求項5に記載の自動ロック機能を有する波動減速機。
前記歯の先端は片側歯車歯面輪郭と対応辺歯車歯面輪郭との間の最も離れる2つの対応される軌跡円の円面接線が円角に連接され、歯先面輪郭が形成され、前記歯先面輪郭により前記ローラーが導引されて隣接するソケット内のソケット輪郭に接触するまで移動されることを特徴とする、請求項10に記載の自動ロック機能を有する波動減速機。
前記カムの内環には入力端となる動力入力インターフェースとして使用される歯孔形の環状歯車部が形成されることを特徴とする、請求項1または2項に記載の自動ロック機能を有する波動減速機。
前記遊星歯車セットは太陽歯車をさらに備え、前記ホイールディスクは太陽歯車が回転駆動装置に軸着されることで、前記複数の遊星歯車が太陽歯車の周辺にそれぞれ噛合されて伝動されることを特徴とする、請求項13に記載の複合型減速装置。
前記遊星歯車は固定端として使用される環状歯車をさらに備え、前記環状歯車は前記複数の遊星歯車の外囲に噛合され、前記複数の遊星歯車は複数の歯車セットを含み、各歯車セットは同軸で配置されるフロントギア及びリアギアを具備し、前記複数のフロントギアは環状歯車に噛合され、且つ前記複数の遊星歯車は前記複数のリアギア及びカムの環状歯車部により噛合されることを特徴とする、請求項13または14に記載の複合型減速装置。
【背景技術】
【0002】
従来の減速機の構造技術分野において、本発明が追求する自動ロック機能は、能動素子が動力を負荷させて受動素子を駆動させて既定の減速比を発生させて正回転出力(仮に正回転とする)を行うことを指し、前記能動素子が動力を負荷させず自由端となると、前記受動素子が動力(外界の動力源から施される駆動力、或いは受動素子自身ないしは連動部材自身の重力により発生するトルクによる動力)を負荷させ、自由端の能動素子を駆動させて逆回転させることはできなくなり、即ち、自動ロックと呼ばれる。また、前記自動ロックとは、能動素子及び受動素子が相互に噛みあう歯面の間に発生するものを指すが、ただし、部材の製造コストを増加させるような他の活動ラッチ等は具備しない(例えば、駆動されて往復変移を行う止めピン、位置決めラッチ、ボルト等)。
【0003】
また、従来のよくある減速機は、一般的にウォーム軸によりウォームホイールが駆動される機構と、遊星歯車セットと、スピン波ドライバ(spin-wave driver)等とを備える。ウォーム軸のみがウォームホイールを駆動させる機構であり、ウォーム軸がウォームホイールの歯面に相互に噛み合う角度の設計により、上述の自動ロック機能を発生させる。
【0004】
図1は従来のウォーム軸及びウォームホイールの配置を示す概念図であり、
図2は
図1に示すウォーム軸及びウォームホイールの間のリード角度の説明図である。即ち、一般的なウォーム軸71及びウォームホイール72が相互に噛み合う歯面の間にリード角α(或いは摩擦角と呼ばれる)を有し、ウォーム軸71について言えば、このリード角αはウォーム軸リードLとウォーム軸の円周の長さSとの間の斜率で構成される。能動素子となるウォーム軸71が自転を行う場合、ウォーム軸71の歯面71aは受動素子となるウォームホイール72の歯面72aに対して垂直抗力Fを施し、前記垂直抗力Fがリード角αの正回転方向に発生させる分力F sinαがウォーム軸71とウォームホイール72との間の歯面71a及び歯面72aが発生させる摩擦力μ×F cosαより小さい場合は(μは歯面71a及び歯面72aが発生させる摩擦力)となり、即ち、F sinα<μ×F cosαの場合は自動ロックが発生する。換言すれば、この自動ロックの設計では、ウォームホイール72が前記歯面71a、72aに相互に噛み合うことでウォーム軸71を反対方向に駆動させて逆回転させることができない。このため、自動ロック機能の長所は減速機構の各伝動部材を保護させて予期しない逆回転による損壊や危険を回避させる点である。
【0005】
上述のウォーム軸によりウォームホイールが駆動される機構以外、従来のよくある遊星歯車セット及びスピン波ドライバは、現在のところ、どれも前記自動ロック機能が未搭載の設計となっている。従来のスピン波ドライバ及び遊星歯車セットは共に典型的な減速伝動機構である。スピン波伝動はスピン波を発生させる減速機構である。スピン波伝動の原理は、初期はC.W.Musserが1955年に提唱し、例えば、特許文献1に記載されている高調波ドライバ(harmonic driver)がある。続いて、不断の改良により、例えば、特許文献2に記載されているスピン波ドライバ(或いはスピン波減速)機構の部材がある。
【0006】
従来の遊星歯車と比べ、従来のスピン波伝動は多くの噛合歯数及び大きな伝動範囲を提供するため、減速比全体の出力値は、スピン波伝動については好ましい伝動精度及び伝動効率を有する。
【0007】
且つ、先行技術では本発明に係る波動減速機(wave-motion)は未公開であり、従来の技術で近似するものは、上述のスピン波伝動機構である。
【0008】
従来のスピン波伝動機構の構成は、内から外にかけて同軸で配置されるカム(cam)(或いは波発生器wave generatorと呼ばれる)と、複数のローラー(rollers)と、ソケットホイール(特殊な内歯型スプラインホイールcircular spline wheelを有する)とを備える。前記カムは通常入力軸となり、前記複数のローラーはカムとソケットホイールとの間に包囲するように配置され、且つソケットホイールにはローラーを収納させて噛み合わせられる複数のソケットが環状を呈して布設され、カムの入力により複数のローラー中の一部のローラーが駆動されてソケットホイールの対応されるソケットに噛み合い、ベアリングが駆動されて減速比を発生させて出力回転を行う。
【0009】
より詳しくは、上述の特許に記載される技術から分かるように、従来のスピン波伝動機構の各ソケットは歯の谷の二側からそれぞれ延伸されて傾斜状に形成される歯面を備え、且つ二側の歯面は二側の歯の先端に連接されるまで延伸され、各ソケットの輪郭形状はほぼV字型を呈する。スピン波伝動過程で前記複数のローラーの中の一部のローラーのみがカムのカム面の駆動を受けてソケットの歯面に噛み合い、これにより、ソケットの歯面はローラーの駆動力を伝達させる有効な接触面となる。次に、例えば前述の米国特許公開第5643128号明細書によると、前記カムとソケットホイールとの間には複数のローラーを載設させるためのベアリング(rollers ring)がさらに配置され、一部の実施では前記ベアリングが出力端となり、カムの駆動力がソケットの歯面で伝達されてローラーに対して分力を提供してベアリングを推動させて減速比を発生させて出力回転を行う。
【0010】
従って、上述のように、ソケットの歯面は作用力を伝達させる有効な接触面となるのみならず、ローラーに対してカムが発生させる分力を提供する有効な接触面ともなる。このほか、スピン波伝動過程においては、カムのカム面によりローラーが押し引きされてソケットの歯面に接触される過程では、押し引きされる前記ローラーはカムのカム軸の径方向及び円周角の方向に向けて変移することをさらに含み、これは前記歯面が十分に或いは実際に作用力を伝達しカムが発生させる分力を提供する有効な接触面となるか否かに影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前述した従来の技術では、即ち、減速比全体の出力値において、従来のスピン波伝動が良好な伝動精度及び伝動効率を維持させる。ただし、先行技術に記載されるソケットの輪郭はほぼV字型を呈し、前記ソケット及びカムの輪郭の形成技術が十分有効的に作用力を伝達させているか否かは記載や検討、教示等がされておらず、例えば、入力軸が半周回転するとローラーが次のソケット位置に進入し、この過程での速度はV字型のソケットの輪郭の定義が不明であるため、ローラーが次のソケットに進入する速度も不安定になり、従来のスピン波ドライバの出力端が微細な角度で回転するさいの伝動精度にも影響する。
【0013】
本発明は、以上の従来技術の課題を解決する為になされたものである。即ち、本発明の目的は、波動減速機(wave-motion driver)を採用して従来のスピン波伝動機構の出力端が微細な角度で回転するさいの伝動精度の不足という問題を改善させる。本発明では前記波動減速機のカムをさらに設計し、カム、ローラー、ベアリング及びソケットが反対方向に伝動させるさいに自動ロックを発生させて、従来のスピン波伝動機構が自動ロック機能を具備していなかったという問題を解決させる。
【0014】
本発明で定義される波動減速機は、カム、ローラー、ベアリング及びソケットホイール等の主要部材の機能を具備し、従来のスピン波伝動機構と大方同じであるが、ただし、本発明に係る波動減速機(或いは波動伝動器と呼ばれる)が発生させる伝動波形については、正弦波が排除される。
【0015】
なお、上述の目的を実現させて問題を解決させるために、本発明の好ましい実施形態では自動ロック機能を有する波動減速機を提供し、環周にカム輪郭を有し、前記カム輪郭は形成される少なくとも1つの弧凸部を具備するカムと、カムの外囲に配置され、内環の壁面には複数のソケットが周設されるソケットホイールと、前記カムとソケットホイールとの間に配置され、それの円周には複数のベアリング溝が等間隔で設置され、前記各ベアリング溝の活動空間にはローラーが配置され、前記カムの入力により弧凸部が駆動されて回転させ、前記弧凸部の応力によりローラーが推動されて対応されるソケット内まで移動すると共にソケットホイール及びそれの内の何れか1つが連動されて既定の減速比の出力回転を行うベアリングとを備えると共に同心円方式で配置される。ここでは、前記弧凸部の形成は以下の式に制限される:
F ×R sinθ<R ×μ×F cosθ
0<θ≦4°
Fはローラーにより弧凸部に施される垂直抗力であり、Rは弧凸部とローラーとの間の接触点のカムのカム軸に対する距離であり、θはFのリード角であり、μは弧凸部とローラーとの間の摩擦係数である。前記リード角とは、ローラー及びカムの接触点の切線が接触点からカムのカム軸に接続されて生成される垂直線との夾角を指す。
【0016】
さらなる実施では、上述の:
F ×R sinθ=T
1
R ×μ×F cosθ=T
2
のT
1はローラーにより弧凸部に力が施されるさいの回転トルクであり、T
2は弧凸部とローラーとが接触したさいの摩擦力(μ×F )の分力(μ×F cos θ)の回転トルクである。
【0017】
上述のように、本発明の技術的効果は、前記波動減速機が自動ロック機能を具備するようになり、特に、出力端として使用されるベアリング及びソケットホイールの内の何れか1つが反対方向に伝動させて入力端として使用されると、前記弧凸部の形成により、カム、ローラー、ベアリング及びソケットの間に自動ロックが発生し、減速機構の各伝動部材に予期しない逆回転が発生して損壊或いは危険に繋がらないように保護させる。
【0018】
他の実施では、上述のカム輪郭の形成プロセスは、ローラーのカムとソケットとの間の径方向の移動軌跡及び円周回転軌跡が単位時間に基づいて等比例で分割され、ローラーの移動過程での複数の軌跡円の円心及び円面接線が順に取得されるプロセスと、前記複数の円面接線が連接されてカム輪郭中の単位カム面輪郭となるプロセスと、カムのカム軸上のX軸線及びY軸線により前記単位カム面輪郭がそれぞれ鏡映されて合わされることで前記カム輪郭が構成されるプロセスとを含む。
【0019】
前記複数の軌跡円の円心は、以下の式により円心の座標(X
m,Y
m)が取得される:
【数1】
ここでは、Lfはカムのカム軸のローラーの軌跡円の円心とカムのカム軸との間の最も離れる距離であり、Mはローラーの複数の軌跡円が分割される等分量であり、Δy′は有効な径方向の変移量が等分される各ローラーの軌跡円の径方向の変移量であり、Δαは有効な移動回転角が等分される各ローラーの軌跡円の移動回転角である。
【0020】
さらに、前記複数の軌跡円の円面接線(X′
m,Y′
m)は、以下の式で表される:
【数2】
ここでは、mはローラーの移動の軌跡円の番号を表し、mは>0の自然数であり、R
dはローラーの直径であり、X
m−1及びY
m−1は第m号軌跡円の円心の座標を表し、m−1は第m号ローラーの軌跡円の番号を表す。
【0021】
他の実施では、前記ソケットはソケット輪郭を有し、前記ソケット輪郭の形成プロセスは、ローラーのカムとソケットとの間の径方向の移動軌跡及び円周回転軌跡が単位時間に基づいて等比例で分割され、ローラーの移動過程での複数の軌跡円の円心及びその円面接線が順に取得されるプロセスと、前記複数の円面接線が連接されてソケットの歯の先端と歯の谷との間の片側歯車歯面輪郭が形成されるプロセスと、歯の谷の中心線により前記片側歯車歯面輪郭が鏡映されて対応辺歯車歯面輪郭が形成され、且つ片側歯車歯面輪郭と対応辺歯車歯面輪郭との間に歯底部輪郭が連結されて前記ソケット輪郭が構成されるプロセスとを含む。
【0022】
前記複数の軌跡円の円心は、以下の式により円心の座標(X
n,Y
n)が取得される:
【数3】
ここでは、Lfはカムのカム軸のローラーの軌跡円の円心とカムのカム軸との間の最も離れる距離であり、Nはソケットの片側歯車歯面輪郭が分割される等分量であり、Δyは有効な径方向の変移量が等分される各ローラーの軌跡円の径方向の変移量であり、Δθは有効な移動回転角が等分される各ローラーの軌跡円の移動回転角である。
【0023】
さらに、前記複数の軌跡円の円面接線(X′
n,Y′
n)は、以下の式で表される:
【数4】
ここでは、nはローラーの移動の軌跡円の番号を表し、nは>0の自然数であり、R
dはローラーの直径であり、X
n−1及びY
n−1は第n号軌跡円の円心の座標を表し、n−1は第n号ローラーの軌跡円の番号を表す。
【0024】
他の実施では、カムのカム軸を回転の中心とし、前記ソケット輪郭に等円周間隔で配列されるソケットホイールを包囲させる内カム面をさらに備え、前記ソケットホイールが有するソケットホイール輪郭が形成される。
【0025】
上述のカム輪郭の実施では、ソケット輪郭及びソケットホイール輪郭の技術効果は、波動減速機が自動ロック機能を具備するようになる前提のもと、カムのカム面によりローラーが押し引きされてソケットの歯面に接触される過程で、前記歯面によりローラーが施す駆動力が十分且つ確実に伝達され、且つ前記歯面がローラーに対してカムが発生させる分力を提供する有効な接触面となり、波動減速機が減速比全体の出力値の伝動精度及び伝動効率を維持させ、波動減速機の出力端の伝動精度をもさらに高める。
【0026】
上述からは、通常知識を有する者ならば、カム輪郭の弧凸部の自動ロックの制限条件及びカム輪郭の設計方法を判断でき、また、矛盾なく結合させることができる。
【0027】
このほか、本発明の他の好ましい実施形態では上述の波動減速機が応用される複合型減速装置を提供し、前記波動減速機の一側に複合される遊星歯車セットを備える。前記カムの内環には環状歯車部が形成され、前記遊星歯車セットは、ホイールディスクの一側の円周端面に等間隔で配設されると共にカムの環状歯車部にそれぞれ噛合される複数の遊星歯車を含む。前記ホイールディスクは回転駆動装置に軸着される。さらなる実施では、前記遊星歯車セットは太陽歯車をさらに備え、前記ホイールディスクは太陽歯車が回転駆動装置に軸着されることで、前記複数の遊星歯車が太陽歯車の周辺にそれぞれ噛合されて伝動させる。
【0028】
上述の実施において、前記遊星歯車は固定端として使用される環状歯車をさらに備え、前記環状歯車は前記複数の遊星歯車の外囲に噛合され、前記複数の遊星歯車は複数の歯車セットを含み、各歯車セットは同軸で配置されるフロントギア及びリアギアを具備し、前記複数のフロントギアは環状歯車に噛合され、且つ前記複数の遊星歯車は前記複数のリアギア及びカムの環状歯車部により噛合される。さらには、前記ベアリングの中心が延伸されて環状接合部が形成され、前記弧凸部によりローラーが連動され、ローラー及びソケットが発生させる分力によりベアリングの環状接合部が推動されて出力回転を行う。
【0029】
また、本発明の他の好ましい実施形態では多段減速比を有して配置される他の複合型減速装置を提供し、前記波動減速機の一側に複合される遊星歯車セットを備える。前記遊星歯車セットは、回転駆動装置に軸着される太陽歯車と、カムの一側の円周端面に等間隔で配設されると共に前記太陽歯車の周辺にそれぞれ噛合される複数の遊星歯車とを含む。
【0030】
上述の実施において、前記複数の遊星歯車は、ホイールディスクの一側の円周端面に等間隔で配置される複数のフロントギアを具備し、前記複数の遊星歯車は前記複数のフロントギアにより太陽歯車の周辺に噛合され、前記ホイールディスクの他側の回転の中心にはセンターギヤが固設される第一セット遊星歯車と、カムの一側の円周端面に等間隔で配置される複数のリアギアを具備し、前記複数のリアギアはギヤの周辺に噛合される第二セット遊星歯車とを備える。また、前記遊星歯車は固定端として使用される環状歯車をさらに備え、前記環状歯車は前記複数のフロントギアの周辺に噛合される。
【0031】
上述の複合型減速装置の技術効果の実施において、遊星歯車セットが回転駆動装置に対して出力させる動力により前段階の減速作用を発生させ、且つ波動減速機が続けて遊星歯車セットに対して出力させる動力により後段階の減速作用を発生させる。前記前段階の減速は多様で多段の減速比の配置を含み、全体に多段減速の配置を形成させ、出力端の使用上の需要を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に図面を参照して、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0034】
図3は本発明の波動減速機を示す展開図であり、
図4は
図3に示す部材の配置の断面図である。前記波動減速機は台座5及びカバー6の間に同心円方式で内から外に配置されるカム1と、複数のローラー2と、ベアリング4と、ソケットホイール3とを備える。前記カム1のカム軸の位置には入力軸14が形成されて波動減速機の入力端となり、前記入力軸14は動力源に接続されて入力によりカム1を駆動させて自転させ、前記カム1のカム面10はカム軸11から離れると共にスプライン(spline)により構成される少なくとも1つの弧凸部12を含み、前記弧凸部12は応力により前記ローラー2が推動されて動力を伝達させる有効な作用区となり、包囲されてカム輪郭13が形成される。前記ローラー2は本実施形態ではローラピンであり、ただし、ボール等のローラー部材の使用も排除しない。前記ソケットホイール3は環体状を呈し、カム1のカム面10の外囲に配置され、且つソケットホイール3の内環の壁面には複数のソケット30が周設され、前記複数のローラー2がカム1のカム面10とソケットホイール3のソケット30との間に周設可能になる。前記ベアリング4はカム1とソケットホイール3との間に配置され、且つ前記ベアリング4の円周には複数のベアリング溝40が等間隔で設置され、ローラー2の形状と組み合わされてローラー2の一部がその内部に可動に納置される。ベアリング4の強度を維持させるため、実施ではローラー2及びベアリング溝40の数量は実際のベアリング溝40の数量の1/2でそれぞれ実施される。
【0035】
図4aを参照すると、上述のソケット30、カム1及びローラー2の間の拡大図である。本実施形態では、カムのカム面10の弧凸部12により一部のローラー2が駆動されて対応されるソケット30内のソケット輪郭31に接触されるまで移動されることで、駆動作用力が伝達されてベアリング4が連動されて既定の減速比を発生させて出力回転を行う。
【0036】
説明のために、本発明は下述の前述の実施の仔細において、カム1の入力軸14が入力端となり、これによりソケットホイール3が固定されてベアリング4のカム軸の位置に形成される出力軸41が出力端となる方式について説明する。ただし、本発明の範囲には、ベアリング4が固定されてソケットホイール3が出力端となる実施方式も含まれる。説明が必要な点は、ソケットホイール3或いはベアリング4のどちらが出力端となっても、共に本発明の下述するソケット輪郭、ソケットホイール輪郭及びカム輪郭の形成結果には影響を与えない点である。
【0037】
上述の、前記ソケット輪郭31は片側歯車歯面輪郭31a及び鏡映されて対応端に形成される対応辺歯車歯面輪郭31bを備え、且つ片側歯車歯面輪郭31aと対応辺歯車歯面輪郭31bとの間には歯底部輪郭33が連結される。これにより、ソケット輪郭31が配列されて包囲させることでソケットホイール輪郭34が形成される(
図1参照)。ソケットホイール輪郭34が形成された後、各ソケット輪郭31の片側歯車歯面輪郭31a及び対応辺歯車歯面輪郭31bの互いに離れる端部は歯先面輪郭32にそれぞれ接続され、前記ソケットホイール輪郭34が完全になる。また、本発明に係る前述のソケットホイール輪郭34とは、前記ソケットホイール3の内環の壁面の特徴的な輪郭を指す。
【0038】
上述の波動減速機の実施の仔細のほか、本発明波動減速機に自動ロック機能を具備させるため、上述の弧凸部12が応力によりローラー2を推動させてベアリング4及びソケット30に接触させる力によりリード角θが設けられ、前記リード角θの実施の仔細は、以下に説明する。
【0039】
図5は
図4に示すカム1の弧凸部12、ローラー2、ベアリング4及びソケット30のソケット輪郭31による力平衡の状態を説明する。カム1が時計回り方向に駆動される場合、弧凸部12が作用力Fを施してローラー2を推動させ、ソケット輪郭31がローラー2に対して分力F′を発生させ、且つベアリング4のベアリング溝40も同時にローラー2に対して分力F″を発生させ、このさい、F、F′、F″の3つの力が平衡になる。
【0040】
さらに、
図6は
図4bに示す弧凸部12が作用力Fによりローラー2を推動させる場合を説明し、弧凸部12とローラー2との間に接触点Pが形成され、且つ知接触点Pのカムのカム軸11に対する距離はRであり、作用力及び反作用力の原理に基づいて、ローラー2がP点を経て弧凸部12に施す垂直抗力Fは弧凸部12がローラー2を推動させる作用力Fと同じになり、前記接触点Pには摩擦力μ×Fがさらに形成され、μは弧凸部12とローラー2との間の摩擦係数である。弧凸部12はカム1のカム軸11に対して真円ではないカム面輪郭となり、このため接触点Pの前記垂直抗力Fの作用線は接触点Pがカムのカム軸11に対する距離Rに接続されて夾角θが生成され、本発明ではこの夾角はリード角θと定義され、且つ、上述の摩擦力μ×Fはリード角θの存在により摩擦分力μ×F cos θを発生させる。
【0041】
なお、
図6からわかるように、カム1はカム軸11上で回転し、上述の垂直抗力Fに垂直になる作用線rに接続され、且つr = R sinθである。また、リード角θが形成されることで、ローラー2が弧凸部12に対して施す垂直抗力Fはさらにカム1に対してカム軸11を回転させてトルクT
1を発生させ、且つT
1= F ×r= F ×R sinθ である。また、弧凸部12がローラー2に接触される際に発生する摩擦力μ×Fにより、前記摩擦力μ×Fの摩擦分力μ×F cosθがさらにカム1に対してカム軸11を回転させてトルクT
2を発生させ、且つT
2=
R×μ×F cosθである。このように、T
1<T
2の場合、本発明に係る波動減速機が自動ロック効果を発生させる。このため、本発明の弧凸部12の設計では、以下の式(1)に制限され、自動ロックの需要を満たす:
F×R sinθ<R×μ×F cosθ ………式(1)
上の式(1)の計算後に、さらに以下の式(2)によりリード角θが取得される:
【数5】
………式(2)
【0042】
式(2)によると、本発明は鋼材によりカム1の弧凸部12、ローラー2、ベアリング4及びソケット30のソケット輪郭31が製造されるのを例に説明すると、表検索から分かるように、鋼材と鋼材との間の摩擦係数μ値は、0.1〜0.12の間であり、本発明ではさらに、弧凸部12とローラー2との間の摩擦係数をμ=0.07と仮定して式(2)に代入することでリード
角θ
<4°が得られ、これにより、本発明で仮定される摩擦係数μ=0.07が表検索から得られる0.1〜0.12より小さいため、0<θ≦4°の場合、自動ロック効果を十分に達成させる。
【0043】
上述の自動ロックとは、出力端として使用されるベアリング4(ソケットホイール3に交換されてもよい)が反対方向に伝動させて入力端として使用されるカム1の場合、前記弧凸部12が上述の数式(1)に制限されてリード角が0<θ≦4°の角度範囲内に入ると、カム1、ローラー2、ベアリング4及びソケットホイール3の間に自動ロックが発生し、減速機構の各伝動部材の間で予期しない逆回転が発生して損壊や危険に繋がらないように保護させる(内容は後述する)。
【0044】
上述のリード角θ求められる条件に符合させ、本発明はカム輪郭13の形成をさらに具体的に設計する。具体的には、下述のプロセスS1乃至プロセスS5を含む(
図7参照)。
【0045】
プロセスS1:ローラーの移動軌跡の分析
本発明では、まずローラー2の移動軌跡に対して分析を行う。より具体的には、ローラー2がカムのカム面10の弧凸部12が近付いて推動される場合、対応されるソケット30内に2つの移動速度が同時に発生し、前記2つの移動速度はカムのカム軸11の径方向に向けて発生する径方向の移動速度v及びカム1の円周方向に向けて発生する角速度ωを含む(
図4a参照)。本発明の具体的な手段は、単位時間tにより前記径方向の変移量Lを等比例で分割して径方向の変移速度v(ΔL=ν×Δt)とし、同時に前記単位時間tにより前記円周方向の有効な回転角度θを等比例で分割して円周方向の角速度ω(Δθ=ω×Δt)とし、これにより、ソケット30内のローラー2の移動経路をシミュレートして複数の軌跡円を描画する(詳しくはプロセスS2乃至プロセスS4に後述する)。
【0046】
プロセスS2:初期設定
本発明は減速比及び配置サイズの需要に合わせて、以下の設定データに基づいて
図8のように徐々に描画する。
図8はX−Y座標系の4つの象限中に作図するのを例に挙げ、特に、以下の設定データに基づいて第二象限中にローラー2の複数の軌跡円を描画して表示し、前記設定データは、以下を含む。
1.前記複数のローラーの数量R
n=40が予め設定され、ただし、ベアリング4の各ベアリング溝40の剛性を確保するため、ベアリング溝及びローラーの数は共に1/2となる。
2.カム1のカム面の弧凸部12の数量がC
n=2に予め設定される。
3.ソケットの数量S
n=R
n−C
n=40−2=38が予め設定される。
4.ローラーの直径はR
d=2.0mmである。
5.ローラーの有効な作用数量は非整数に設定され、例えばE
n=5.3である。
【0047】
プロセスS3:カムのローラーの軌跡円の描画
上述のプロセス2の設定後、本発明はさらに以下のパラメータの定義に基づいて
図9に示すカム1の外囲のローラーの軌跡円の有効な移動範囲の図面を描画する。
【0048】
図9によれば、本発明ではX−Y座標系の第二象限中に作図するのを例に挙げ、ローラー2の有効な移動範囲内(有効な径方向の変移量δy及び有効な円周移動回転角δθを含む)で分割される適合する等分量Mを含み、且つ前記等分量Mをカム輪郭13が分割される等分量とし、例えば、M=300で有効な径方向の変移量の各軌跡円の変移量Δy’が等比例で分割され、
【数6】
となり、発生する弧線は外から内にかけて順にL’
0、L’
1、・・・・、L’
M(M=300)と番号が振られ、その後に設定された等分量Mにより分量で分割される有効回転角度の各ローラーの軌跡円の移動回転角を
【数7】
とし、発生する放射線は右から左にかけて順に A’
0、A’
1、・・・・、A’
M(M=300)と番号が振られる。
【0049】
次に、上述の弧線L’
0、L’
1、・・・・、L’
M及び同じ番号で対応される放射線A’
0、A’
1、・・・・、A’
Mの各交差点(例えば、L’
0とA’
0との交差点等)をローラーの軌跡円の円心とし、複数の軌跡円(ローラーの直径R
d=2.0 mm)を順に描画する。ローラー2とカムのカム面10との間の裕度を考慮すると、例えば、本案ではローラーの直径R
d+所定の裕度=2.0+0.04=2.04 mmとなり、これにより、複数の軌跡円の円心の座標[Xm、Ym]を描画し、前記円心の座標[Xm、Ym]は式(3)により取得される:
【数8】
………式(3)
【0050】
よって、第一点の円心の座標[X
0、Y
0]=[0, Lf]=[0,14.6]、第二点の円心の座標[X
1、Y
1]=[-0.032868 、14.598230]が順に取得され、ここから第m+1号の軌跡円の円心の座標
[Xm、Ym]=[-8.8034166,10.988460]が推測されて取得される(m=M=300で等比例で分割される場合)。
【0051】
プロセスS4:カムの単位カム面輪郭の描画
その後に、上述の各2つの隣接する軌跡円の間に切線T’を形成させ、且つ各切線T’の1つ目の円面接線を選択し、以下の式により各円面接線の座標
[X’m、Y’m]を計算し、式(4)に表示する:
【数9】
………式(4)
ここでは、X
m−1及びY
m−1は第m号軌跡円の円心の座標であり、m−1は第m号ローラーの軌跡円の番号である。
【0052】
ゆえに、第一軌跡円の接線の座標[X’
0、Y’
0]=[0.053785、13.601447]及び第二軌跡円の接線の座標[X’
1、Y’
1]=[0.023171、13.599801]が順に取得され、且つここから第m+1号の軌跡円の接線の座標[X’
m、Y’
m]=[-8.135657、10.244083] が推測されて取得される(m=M=300で等比例で分割される)。次に、スプラインが第二象限中の前記複数の円面接線に接続されて一体となり、即ち、カム輪郭13の単位カム面輪郭13aが形成される。切線T’が接続される位置には複数の接線の位置が含まれ、即ち、カム1が第二象限中の局部の弧凸部12のスプライン輪郭の位置に形成され、スプラインが接続されて形成される単位カム面輪郭13aの範囲は、前記局部の弧凸部12のスプライン輪郭及び他の弧凸部12に属さないカム面輪郭を含む。
【0053】
プロセスS5:カム輪郭の描画
図4及び
図9はプロセスS4の第二象限中に形成される単位カム面輪郭13aが描画され(
図9参照)、カムのカム軸11のX軸線及びY軸線により他の3つの象限(第一象限と、第三象限と、第四象限とを含む)中にそれぞれ鏡映されると共に合わされて前記カム輪郭13が構成される。前記のそれぞれの鏡映には、まずX軸線に対して鏡映された後にY軸線に対して鏡映される、或いはまずY軸線に対して鏡映された後にX軸線に対して鏡映され、X−Y座標に存在する4つの象限中の何れか1つの象限の単位カム面輪郭13aが、他の3つの象限中に順に鏡映され、X−Y座標の4つの象限を満たし、囲むように合わされて完全なカム輪郭13が構成されることを含む(図参照)。各単位カム面輪郭13aがY軸線の交差点上(即ち、弧凸部位置)に発生させる余った線段及び尖点には、面取り処理或いはばり取りが施される。
【0054】
上述の実施方式での前述の有効とは、ローラー2、ソケット3、カム1及びベアリング4が同時に接触されるさいの角度範囲が有効であることを指し、この範囲以外の角度は無効となり、且つ上述のリード角θ制限条件[数式(1)]は、弧凸部12がローラー2を有効的に推動させて移動させる角度範囲内に一緒に実施される。
【0055】
また、本発明では前述のソケット輪郭31がさらに設計される。具体的には、上述のプロセスS1乃至プロセスS2に続いて行われるプロセスS30乃至プロセスS50を含む(
図10参照)。
【0056】
プロセスS30:ソケット中のローラーの軌跡円の描画
プロセス2の設定後、本発明はさらに以下に例示するパラメータに基づいて定義された
図11に示すローラーの軌跡円の有効な移動範囲の図面を描画する(
図8に示す)。
6.カムのカム軸11のローラーの軌跡円の円心とカムのカム軸11との間の最も離れる距離はLfであり、座標(0、Lf)が予め設定され、Lf=14.6mmである。
7.本実施形態では初期の2つの軌跡円の間の切線角度が44.5° 〜 45.5°に設定される。
8.ローラーの有効な作用変移は0.52 mmである。
9.ローラーの有効な作用円周角度は
【数10】
である(
図3参照)。
10.上述からソケット及びローラーの角度差
【数11】
が計算される(図示せず)。
11.ソケット30の片側歯車歯面輪郭31aの有効な作用範囲の移動回転角
【数12】
が設定される。
【0057】
図11の状態に続いて、本発明はローラー2の有効な移動範囲内(有効な径方向の変移量δy及び有効な円周移動回転角δθに適合する等分量Nが分割され、且つ前記等分量Nをソケットの片側歯車歯面輪郭31aを分割させる等分量とし、
図12に示すように、前記等分量N(例えば、N=100)で有効な径方向の変移量の各軌跡円の径方向の変移量
【数13】
を等比例で分割させ、且つ生成される弧線には外から内にかけてL
0、L
1、・・・・、L
Nと順に番号が振られ、その後に設定される等分量Nにより分量で分割される有効回転角度の各ローラーの軌跡円の移動回転角Δθ=
【数14】
となり、生成される放射線には左から右にかけてA
0、A
1、・・・・、A
Nと順に番号が振られる。
【0058】
次に、上述の弧線L
0、L
1、・・・・、L
Nと同じ番号が振られる対応される放射線A
0、A
1、・・・・、A
Nとの各交差点(例えばL
0とA
0との交差点等)をローラーの軌跡円の円心とし、複数の軌跡円が順に描画される(ローラーの直径R
d=2.0 mm)。前記複数の軌跡円の円心の座標(Xn、Yn)は、式(5)により取得される:
【数15】
………式(5)
ここでは、Nはローラーの移動の軌跡円の番号を表し、Nは>0の自然数である。
【0059】
このように、第一点の円心の座標[X
0、Y
0]=[0、Lf]=[0,14.6] 、及び第二点の円心の座標[X
1、Y
1]=[0.005188 、 14.594799]が順に取得され、且つここから第n+1号の軌跡円の円心の座標
[Xn、Yn]=[0.500433,14.071104]が推測されて取得される(n=N=100で等比例で分割される)。
【0060】
プロセスS40:ソケットの片側歯車歯面輪郭の描画
上述のプロセスS30に続いて、各2つの隣接する軌跡円の間に切線Tが形成され、各切線Tの1つ目の円面接線が選択され、以下の式により各円面接線の座標[X’n、Y’n]が計算され、式(6)に表示される:
【数16】
…………式(6)
ここでは、X
n−1及びY
n−1は第n号の軌跡円の円心の座標であり、n−1は第n号のローラーの軌跡円の番号である。
【0061】
これにより、第一軌跡円の接線の座標[X’
0、Y’
0]=[0.707959、 15.306254]及び第二軌跡円の接線の座標[X’
1、Y’
1]=[ 0.713524、 15.300675]が順に取得され、且つここから第n+1号の軌跡円の接線の座標[X’
n、Y’
n]=[1.245266、14.738354]が推測されて取得される(n=N=100で等比例で分割される)。
【0062】
次に、スプライン (spline)が前記複数の円面接線に接続されて一体となり、即ち、ソケット30の歯の先端と歯の谷との間に片側歯車歯面輪郭31aが形成される。説明が必要な点は、このさいに歯の先端及び歯の谷とは空間が保留されるが実際の輪郭線は未形成である仮想部位を指し、通常知識を有する者ならば一般的なソケットの歯面の二端には共に歯の先端及び歯の谷を有することを知っており、且つ前述のプロセスS2で初期設定されるソケット数量S
n、ローラーの数量R
n及びローラーの直径R
d等のデータからは、ソケットホイール3に保留される歯の先端及び歯の谷の距離が分かり、片側歯車歯面輪郭31a及び対応辺歯車歯面輪郭31bが形成された後に歯の先端及び歯の谷の輪郭が形成される(詳しくは後述する)。
【0063】
プロセスS50:ソケット輪郭の描画
プロセスS40に続き、
図4は仮想の歯の谷の中心線Y(実質的に
図6に示す第0号の軌跡円の円心とカムのカム軸11との間の接続線)により前記片側歯車歯面輪郭31aが鏡映されて対応辺歯車歯面輪郭31bとなる。
【0064】
次に、片側歯車歯面輪郭31aと対応辺歯車歯面輪郭31bとの間の最も隣接される2つの軌跡円の円面接線が接続され、仮想の歯の谷の位置には実際の歯底部輪郭33が形成され、前記歯底部輪郭33は前記複数の軌跡円のカム面に干渉しない原則に基づき、例えば凹形や弧凹形の輪郭線が接続されて形成される。これにより、片側歯車歯面輪郭31aと対応辺歯車歯面輪郭31bとの間に歯底部輪郭33が連結されることで完全なソケット輪郭31が構成される。このほか、上述の仮想の歯の先端部位は全てのソケットホイール輪郭34が形成された後に描画される(詳細は後述する)。
【0065】
上述のソケット輪郭31に基づくと、本発明は前述のソケットホイール輪郭34の描画がさらに設計される。具体的には、本発明は上述のプロセスS50によりソケット輪郭31が描画された後、下述のプロセスS60がさらに実施される(
図13参照):
【0066】
プロセスS60:ソケットホイール輪郭の描画
上述のプロセスS50の後、本発明は続けてカムのカム軸11を回転の中心とし(
図9参照)、前記ソケット輪郭31は上述の既定のソケット数量S
nに基づいてソケットホイール3の内カム面に等円周間隔で配列されて包囲させ、前記ソケットホイール輪郭34が形成される。前述の等円周間隔とは、上述の歯の先端に保留される仮想の距離の形成を指す。
【0067】
ちなみに、前記歯の先端部位には形成される実際の歯先面輪郭32が描画され、各ソケット輪郭31中の片側歯車歯面輪郭31a及び対応辺歯車歯面輪郭31bの互いに離れる端部の間が面取り方式で接続され、形成される実際の歯先面輪郭32を含む(
図4参照)。前述の互いに離れる端部の間で面取り方式で接続されるとは、各ソケット輪郭31中の片側歯車歯面輪郭31aと対応辺歯車歯面輪郭31bとの間の最も離れる2つの対応される軌跡円の円面接線が円角で接続され、各ソケット輪郭31の間に接続される歯先面輪郭32が形成され、前記ソケットホイール輪郭34が完全になることを指す。前記歯先面輪郭32は前記ローラー2を導引させて隣接するソケット30内のソケット輪郭31に接触されるまで移動させるために用いられる。前記導引とは、持続接触式の導引及び非持続接触或いは非接触式の保持を指す。
【0068】
本発明は上述のカム輪郭13、ソケット輪郭31及びソケットホイール輪郭34の形成技術により、波動減速機が自動ロック機能を具備させる以外、カムのカム面10によりローラー2が押し引きされてソケット3の歯面輪郭31a及び歯面輪郭31bに接触される過程で、前記歯面によりローラー2が施す駆動力が十分且つ実際に伝達される。また、前記歯面はローラー2に対してカム1が発生させる分力を提供する有効な接触面となり、波動減速機が減速比全体の出力値の伝動精度及び伝動効率を維持しつつ、波動減速機の出力端の伝動精度をさらに向上させる。
【0069】
上述のほか、
図14乃至
図17はそれぞれ本発明が上述の波動減速機に複合で形成される複合型減速装置に応用される好ましい実施形態の部材の配置の仔細を図示する。大体においては、本実施は上述の波動減速機の一側に複合される遊星歯車セット800を備える。
【0070】
本実施では、上述の
図3に描画される波動減速機の主要部材の配置形状及び方位は本実施形態とやや異なり、ただし、上述の
図4乃至
図13に記載される波動減速機の主要部材の制限条件、形成技術及び配置は本実施形態と一致する。
【0071】
また、
図1に示すように、本実施形態に係る波動減速機は同様に固定端として使用される台座50とカバー60との間では、内から外にかけてカム100、複数のローラー200、ベアリング400及びソケットホイール300が同心円方式で配置される。本実施ではカム100を入力端とし、且つソケットホイール300が固定されてベアリング400が出力端となる方式を例にして説明する。
【0072】
具体的には、
図1に示すように、本実施の
図3に示す実施形態との差異は、台座50の中心位置に遊星歯車セット800の部材として使用される環状歯車88が形成され、且つ入力端として使用されるカム100には入力軸が存在せず、カムの内環位置に歯孔形態の環状歯車部110が形成されるように改変され、前記環状歯車部110の回転の中心はカム100の回転カム軸と同じであり、入力端となり動力を入力させるインターフェースとして使用される点である。これ以外は上述の実施形態(
図4至
図13)と一致する。
【0073】
図14に図示する前記遊星歯車セット800は、太陽歯車810及び複数の遊星歯車820を備える。
図14、
図15及び
図17に示す前記太陽歯車810には回転駆動装置90が軸着され、前記回転駆動装置90は実施においては回転力を提供できるモーターが採用され、より具体的には、前記モーターはサーボモーター及びステップモーターの内の何れか1つであり、回転駆動装置90により回転力が提供されて太陽歯車810が駆動されて自転を行う。また、前記複数の遊星歯車820はホイールディスク85の一側の円周端面に等間隔で配設され、前記ホイールディスク85のディスク面の中心位置には貫通孔が開設され、太陽歯車810が前記貫通孔を貫通させて複数の遊星歯車820に互いに噛合され、且つ前記ホイールディスク85は太陽歯車810により前記回転駆動装置90に間接的に軸着される。
【0074】
続いて、
図15及び
図17から分かるように、前述の複数の遊星歯車820は前記太陽歯車810の周辺にそれぞれ噛合され、且つ前記複数の遊星歯車820はカム100の内環の環状歯車部110に噛合され、前記環状歯車88は前記複数の遊星歯車820の外囲に噛合される。
【0075】
さらに、
図15及び
図17から分かるように、前記複数の遊星歯車820は実施において、複数の歯車セット82で構成され、各歯車セット82は同軸で配置されるフロントギア82a及びリアギア82bを備える。前記複数のフロントギア82aは環状歯車88に噛合され、台座50に形成される環状歯車88は固定されるため、前記環状歯車88がフロントギア82aに対して導引及び支持作用を提供し、前述の複数の遊星歯車820の複数のフロントギア82aが安定的に太陽歯車810の駆動を受けると共に太陽歯車810と環状歯車88との間で周りを公転し、第一段減速比の出力回転が形成される。その後、複数のフロントギア82aと同軸で配置される前記複数のリアギア82bにより、公転過程でカム100の環状歯車部110に噛合され、カム100を駆動させて第二段減速比を発生させて出力回転を行わせる。その後、上述の実施形態に係る波動減速機により、第二段減速比での出力回転を有するカム100により一部のローラー200が駆動されて対応されるソケット310内のソケット輪郭に接触されるまで移動し、第三段減速比の駆動作用力が伝達されてベアリング400が連動されて出力回転を行う。
【0076】
通常知識を有する者ならば、上述の遊星歯車セット800及び波動減速機の複合式配置により、遊星歯車セット800及び波動減速機がそれぞれ発生させる多段式減速比の出力により、出力端として使用できることが分かる。
【0077】
上述の
図14乃至
図17に示す実施において、遊星歯車セット800が提供する減速比の配置の異なる需要に応じて、前記太陽歯車810は実質的に省略でき、実施の詳細については
図14aを参照し、前記遊星歯車セットは太陽歯車を具備せず、且つ前記ホイールディスク85のディスク面の中心には太陽歯車を通過させる貫通孔が開設されず、相対的に、前記ホイールディスク85のディスク面の中心には軸孔が開設されて回転駆動装置90の中心軸に直接軸着される。このような実施により、複数の遊星歯車820が発生させる減速比を伝動させる太陽歯車が省略され、回転駆動装置90により複数の遊星歯車820が直接駆動されてカム100が連動されて減速比を発生させて回転を行うように改変される。
【0078】
このほか、上述の
図14乃至
図17に示す実施において、前記ベアリング400の中心が延伸されて環状接合部410が形成され、前記環状接合部410は
図4の実施における出力軸41として使用され、環状接合部410が外付けの駆動される物品に接合される(例えばロボットアーム等)。
【0079】
次に、
図18及び
図19は本発明に係る複合型減速装置の多段減速比での出力が実施される他の好ましい実施形態の配置を示す。上述の
図14乃至
図17に示す実施形態との差異は、遊星歯車セット840の複数の遊星歯車84がカム101の一側の円周端面に等間隔で配置されると共に太陽歯車811の周辺にそれぞれ噛合される点である。具体的には、前記複数の遊星歯車84は第一セット遊星歯車841及び第二セット遊星歯車842に区分される。前記第一セット遊星歯車841はホイールディスク841bの一側の円周端面に等間隔で配置される複数のフロントギア841aを備え、ホイールディスク841bの他側の回転の中心にはセンターギヤ841cが固設され、且つ前記第二セット遊星歯車842は上述のカム101の一側の円周端面に等間隔で配置される複数のリアギア842aを備え、前記複数のリアギア842aはセンターギヤ841cの周辺に噛合され、且つ前記複数のリアギア842aはカム101の動力を入力させるインターフェースとなる。前記複数のフロントギア841aは同様に固定端として使用される台座500の環状歯車880に噛合され、且つカム101には環状歯車部が開設されない中実体となってもよい。これ以外に、残りの配置は上述と同じである。
【0080】
上述の配置に基づき、回転駆動装置91に軸着される太陽歯車811が前記複数のフロントギア841aに噛合されて伝動され環状歯車880内で公転し、これによりホイールディスク841b及びセンターギヤ841cが連動されて第一段減速比が発生して出力回転を行い、次にセンターギヤ841cが複数のリアギア842a及びカム101に噛合されて駆動させて第二段減速比が発生して出力回転を行い、その後にカム101により一部のローラー201が駆動されて対応されるソケット311内のソケット輪郭に接触されるまで移動し、第三段減速比の駆動作用力を伝達させてベアリング401を連動させて出力回転を行う。このような実施により、同様に多段式減速比での出力が行われる。
【0081】
上述の実施形態を総合すると、本発明は例えばサーボモーターを回転駆動装置として使用し、且つ出力端がロボットアーム等の荷重物品に接続され、多段式減速により、優れた伝動精度及び自動ロック機能を提供し、ロボットアームを駆動させて微細な角度での精確な移動が可能になる。また、通常知識を有する者ならば、サーボモーター等の駆動器が停電により瞬間的に動力を失い、モーターの中心軸が即自由端となり保持できなくなり、出力端のロボットアームが自身の荷重により出力回転方向と反対のトルクが形成されて複合型減速装置内に施されると、本発明の自動ロック設計では、カムの弧凸面の設計により、カム、ローラー、ベアリング及びソケットの間に自動ロックが発生し、出力回転方向と反対の逆回転の制動作用が発生し、出力端のロボットアーム及びこれに把持される対象物を滑落や破壊から保護させ、且つ複合型減速装置の各伝動部材に予期しない逆回転が発生して損壊や危険に繋がるのを回避させる。
【0082】
上述の実施形態は本発明の技術思想及び特徴を説明するためのものにすぎず、当該技術分野を熟知する者に本発明の内容を理解させると共にこれをもって実施させることを目的とし、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。従って、本発明の精神を逸脱せずに行う各種の同様の効果をもつ改良又は変更は、後述の請求項に含まれるものとする。