(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱セッティング段階は、前記編成原緞の両面に熱を加えて、前記撥水液を編成原緞の両側面に固着させる段階であることを特徴とする請求項1または2に記載の撥水性編成原緞製作方法。
前記片面撥水液コーティング段階は、前記編成原緞を広げた状態で移送させて、移送中の編成原緞の一側面に撥水液を加えて積層する段階であることを特徴とする請求項3に記載の撥水性編成原緞製作方法。
前記片面熱セッティング段階は、その一側面に撥水液が加えられた編成原緞を移送させて、前記一側面に熱を加えて撥水液を前記一側面に固着させる段階であることを特徴とする請求項5に記載の撥水性編成原緞製作方法。
【背景技術】
【0002】
纎維は、その構成原料によって天然纎維と化学纎維(人造纎維)で分類される。また、前記化学纎維のうちで低分子量の化合物から合成及び重合された合成高分子を原料にする纎維を合成纎維と言う。
【0003】
前記合成纎維は、種類によって少しずつ性質が違うが、天然纎維に比べて組織が堅固で耐磨耗性が良くて引張と摩擦に強くて、丈夫でよくしわくちゃにならないなどの長所がある。特に、低い吸湿性で、たとえば湿り気が高い環境でも重くならないで軽さを維持する。纎維技術の発展によって最近には極限の条件でも防水及び防風性を失わない高機能性合成纎維も活発に開発されている。
【0004】
また、天然纎維には、合成纎維に比べて強度が強くて丈夫であり、反復洗濯に対する耐久性のすぐれた種類が結構多い。さらに天然纎維は、合成纎維に比べて吸水性と保温性と感触がすぐれて衛生的で着心地が良いという長所がある。
【0005】
前記天然纎維や合成纎維は編成(knitting)を通じて布などでたくさん使用される。
【0006】
前記編成過程を通じて作られた原緞は編成原緞として、経糸と緯糸の交差によって製織された製織原緞に比べて、縦または横方向の糸を利用してルーフを続いて連結する構造を有するので、伸縮性がすぐれて活動中に身を拘束しなくて非常に楽でほとんどすべてのスポーツウェアに適用されることはもちろん、天然纎維が含まれた原緞の場合下着類、ブラジャー、ガードル、ストッキング、靴下、手袋などの資材で使用される。
【0007】
しかし、天然纎維が含まれた編成原緞が前記した多くの長所を有することはあるが、水を易しく吸収する親水性があるため、場合によって湿り気を易しく含んで収縮されるという不便がある。特に、スポーツ衣類の場合、競技中に流す汗によって競技服が易しく濡れがちであるが、競技服が濡れれば身の活動性が低下される。また、合成纎維で製作された編成原緞も、合成纎維の微細な纎維組織内に吸気が侵透することがあって湿して行きやすい。
【0008】
このような問題を解決するために、編成原緞に撥水性を付与して原緞に湿り気が侵透することを遮断するための色々技術が提案されたことがある。たとえば、特許文献1には、撥水、防汚、撥油機能を有する組成物と該組成物を噴射するスプレーが提案されている。しかし、前記した組成物とスプレーは、原緞の組織に力強く固着されるものではなく単に一時的にコーティングされるものであるので、時間が経つにつれてまたは洗濯後に撥水性能が急激に低下する問題を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記問題点を解消しようと創出したものであり、編成原緞を構成する原糸の組織内に撥水液が浸透及び固着されるので、通気性撥水能力が非常にすぐれて長続きして、また撥水液を編成原緞の両面または外面だけに選択的に固着させることができて、下着で製作しても着心地の低下なしに楽に着することができる撥水性編成原緞の製作方法及び撥水性編成原緞を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するための本発明の撥水性編成原緞製作方法は、原糸を染色する原糸染色段階と、該原糸染色段階を通じて染色された染色原糸を編成(編成、knitting)して編成原緞を得るニッティング段階と、前記編成原緞を撥水液に浸漬させて、前記染色原糸の組織内に撥水液を浸透させると共に染色原糸表面に撥水液がコーティングされるようにする撥水液浸漬段階と、該撥水液浸漬段階を終えた編成原緞を脱水後、染色原糸内に湿り気が残っている状態で乾燥させる不完全乾燥段階と、該不完全乾燥段階を終えた編成原緞に熱を加えて編成原緞に適用されている撥水液を編成原緞に固着させる熱セッティング段階と、該熱セッティング段階を終えた編成原緞を水洗する水洗段階と、前記水洗段階の完了後編成原緞を乾燥させる乾燥段階と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、前記目的を達成するための本発明の撥水性編成原緞製作方法は、原糸で編成(knitting)されている編成原緞を染色する編成原緞染色段階と、該編成原緞染色段階を通じて染色された編成原緞を撥水液に浸漬させて、前記原糸の組織内に撥水液を浸透させると共に原糸表面に撥水液がコーティングされるようにする撥水液浸漬段階と、該撥水液浸漬段階を終えた編成原緞脱水後、湿り気が残っている状態で乾燥させる不完全乾燥段階と、該不完全乾燥段階を終えた編成原緞に熱を加えて編成原緞に適用されている撥水液を編成原緞に固着させる熱セッティング段階と、該熱セッティング段階を終えた編成原緞を水洗する水洗段階と、該水洗段階が完了された編成原緞を乾燥させる乾燥段階と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、前記目的を達成するための本発明の撥水性編成原緞製作方法は、染色されている編成原緞を撥水液に浸漬させて、編成原緞をなす原糸に撥水液を浸透させると共に原糸表面に撥水液がコーティングされるようにする撥水液浸漬段階と、該撥水液浸漬段階を終えた編成原緞を完全乾燥させる完全乾燥段階と、該完全乾燥段階が完了された編成原緞の一側面に撥水液をコーティングする片面撥水液コーティング段階と、該片面撥水液コーティング段階を終えた編成原緞を乾燥させるが、湿り気が残っている状態で乾燥させる不完全乾燥段階と、該不完全乾燥段階が完了された後編成原緞の撥水液がコーティングされた一側面を加熱して撥水液を編成原緞の一側面に固着させる片面熱セッティング段階と、該片面熱セッティング段階を終えた編成原緞を水洗する水洗段階と、該水洗段階が完了された編成原緞を乾燥させる乾燥段階と、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、前記熱セッティング段階は、前記編成原緞の両面に均等な熱量の熱を加えて、前記撥水液を編成原緞の両側面に固着させる段階であることを特徴とする。
【0015】
併せて、前記片面撥水液コーティング段階は、前記編成原緞を広げた状態で移送させて、移送中の編成原緞の一側面に撥水液を加えて積層する段階であることを特徴とする。
【0016】
また、前記片面熱セッティング段階は、その一側面に撥水液が加えられた編成原緞を移送させて、前記一側面に熱を加えて撥水液を前記一側面に固着させる段階であることを特徴とする。
【0017】
また、前記目的を達成するための本発明の撥水性編成原緞は、天然纎維が含まれている原糸を染色する原糸染色段階と、該原糸染色段階を通じて染色された染色原糸を編成(knitting)して編成原緞を得るニッティング段階と、前記編成原緞を撥水液に浸漬させて、前記染色原糸の組織内に撥水液を浸透させると共に染色原糸表面に撥水液がコーティングされるようにする撥水液浸漬段階と、該撥水液浸漬段階を終えた編成原緞を脱水後、染色原糸内に湿り気が残っている状態で乾燥させる不完全乾燥段階と、該不完全乾燥段階を終えた編成原緞に熱を加えて編成原緞に適用されている撥水液を編成原緞に固着させる熱セッティング段階と、該熱セッティング段階を終えた編成原緞を水洗する水洗段階と、該水洗段階の完了後に編成原緞を乾燥させる乾燥段階と、を通じて製作することができる。
【0018】
また、前記目的を達成するための本発明の撥水性編成原緞は、天然纎維が含まれた原糸で編成(knitting)されている編成原緞を染色する編成原緞染色段階と、該編成原緞染色段階を通じて染色された編成原緞を撥水液に浸漬させて、前記原糸の組織内に撥水液を浸透させると共に原糸表面に撥水液がコーティングされるようにする撥水液浸漬段階と、該撥水液浸漬段階を終えた編成原緞脱水後、湿り気が残っている状態で乾燥させる不完全乾燥段階と、該不完全乾燥段階を終えた編成原緞に熱を加えて編成原緞に適用されている撥水液を編成原緞に固着させる熱セッティング段階と、該熱セッティング段階を終えた編成原緞を水洗する水洗段階と、該水洗段階が完了された編成原緞を乾燥させる乾燥段階と、を通じて製作することができる。
【0019】
併せて、前記目的を達成するための本発明の撥水性編成原緞は、染色されている編成原緞を撥水液に浸漬させて、編成原緞をなす原糸に撥水液を浸透させると共に原糸表面に撥水液がコーティングされるようにする撥水液浸漬段階と、該撥水液浸漬段階を終えた編成原緞を完全乾燥させる完全乾燥段階と、該完全乾燥段階が完了された編成原緞の一側面に撥水液をコーティングする片面撥水液コーティング段階と、該片面撥水液コーティング段階を終えた編成原緞を乾燥させるが、湿り気が残っている状態で乾燥させる不完全乾燥段階と、該不完全乾燥段階が完了された後編成原緞の撥水液がコーティングされた一側面を加熱して撥水液を編成原緞の一側面に固着させる片面熱セッティング段階と、該片面熱セッティング段階を終えた編成原緞を乾燥させる乾燥段階と、を通じて製作することができる。
【発明の効果】
【0020】
前記のようになされる本発明の撥水性編成原緞は、編成原緞を構成する原糸の組織内に撥水液が浸透及び固着するので通気性撥水能力が非常にすぐれて長続きして、また撥水液を編成原緞の両面または外面だけに選択的に固着させることができて、下着で製作しても着心地の低下なしに楽に着することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明による一つの実施例を添付された図面を参照してより詳しく説明することにする。
【0023】
図1は、本発明の第1実施例による撥水性編成原緞製作方法を説明するために示したブロック図である。
【0024】
図1に示したように、第1実施例による撥水性編成原緞製作方法は、原糸を染色する原糸染色段階100で始める。前記原糸は100%天然纎維でもあり、合成纎維と天然纎維を混合して紡績したものでもあり、100%合成纎維でもある。混紡である場合に前記合成纎維と天然纎維の混合割合は非常に多様に変更できる。
【0025】
前記原糸染色段階100時に行われる染色方式は非常に多様である。仮に、染色タンクに原糸をコーン状態で入れた後に染料を入れ込んで染色することもでき、原糸をハンク(hank)状態で染色タンクに入れて染色することもできる。前記染色液の種類とカラーは必要によって選択的に決まることは勿論である。
【0026】
前記原糸染色段階100が完了したら脱水段階102を同時に遂行して余剰染色液を脱落させた後、染色原糸を乾燥させる乾燥段階104を遂行する。前記乾燥段階104時に適用される乾燥方式も既存のさまざまな方法を多様に具現することができる。
【0027】
前記乾燥段階104を通じて水分が除去された染色原糸を得たら、ニッティング段階106を引き続く。前記ニッティング段階106は染色原糸を編成(knitting)して編成原緞を得る過程である。すなわち、製編装置を利用して原糸を編み物方式でルーフとルーフを形成しながら編んで原緞を作る過程である。本説明で編成原緞とは、編成過程を通じて製作された編物としての原緞を意味する。
【0028】
前記ニッティング段階108が完了した後、不純物除去段階108を通じて編成原緞から不純物をとり除いて、撥水液浸漬段階110を遂行する。
【0029】
前記撥水液浸漬段階110は、前記編成原緞をあらかじめ設けられた撥水液に浸して、編成原緞をなす原糸の組織内に撥水液が侵透するようにして、撥水液が纎維素の表面をくるんでコーティングするようにする過程である。この時、使用される撥水液の濃度は原糸の種類や太さによって変わる。また、前記編成原緞の撥水液内の浸漬時間は、略30分乃至40分程度である。しかし前記浸漬時間は、撥水液の濃度や添加触媒制などの付加如何によっていくらでも変更可能である。
【0030】
前記撥水液浸漬段階110に続いて脱水段階112が遂行される。前記脱水段階112は撥水液を含んでいる編成原緞を撥水液から持ち上げて編成原緞に浸透及び吸着、コーティングされて残った撥水液を脱落させる過程である。前記脱水段階112は遠心分離式脱水方式を含んで上に説明した原糸脱水段階102のような方式でも進行することができる。
【0031】
前記脱水段階112が完了したら、完全乾燥段階114や不完全乾燥段階116を遂行する。完全乾燥段階114を進行するか不完全乾燥段階116を引き続くかは、編成原緞の撥水された程度と注文者の要求条件などによって決まる。
【0032】
すなわち、撥水液浸漬段階110を通じて遂行された撥水の程度が、要求基準値を満たすことができない場合、脱水段階112後完全乾燥段階114を経って撥水液浸漬段階110を繰り返すこともできて、撥水処理が充分になされたら直ちに不完全乾燥段階116に移るものである。
【0033】
前記完全乾燥段階114は撥水液浸漬段階110を繰り返すための過程である。すなわち、撥水液浸漬段階110を2回以上複数回繰り返すために脱水段階112後に完全乾燥段階114を遂行するものである。言い換えれば、脱水段階112後、撥水程度が十分ではなくて撥水液浸漬段階110を再び進行しなければならない場合、原糸を完全に先に乾燥して撥水液浸漬段階110を繰り返すものである。
【0034】
前記不完全乾燥段階116は編成原緞を乾燥装置に入れて乾燥させるが、完全に乾燥させるものではなく、原糸の内部に湿り気が幾分残っているように乾燥するものである。不完全乾燥段階116の脱水率は原緞の種類によって変わって略50%乃至80%程度である。
【0035】
前記不完全乾燥段階116を終えた後両面熱セッティング段階118を遂行する。前記両面熱セッティング段階118は、撥水液が染みている編成原緞(
図5の11)を広げて移送させて、編成原緞の両面(表面と内側面)に熱を加えて、編成原緞11の両面に撥水液を固着させる過程である。前記固着された撥水液は、後述される水洗過程120を経ても堅く残って撥水コーティング層(
図6の15)をなすようになる。
【0036】
前記両面熱セッティング段階118を遂行するための加熱方式は、テンター(tenter)セッティング器はもちろんテンターセッティング器以外のさまざまな加熱機器を多様に適用することができるし、たとえば、
図5に示したタイプの加熱装置を使用することもできる。
【0037】
図5は、本発明の第1実施例及び後述する第2実施例による撥水性編成原緞製作方法での熱セッティング方式を説明するために別に示した図面である。
【0038】
図面を参照すれば、前記不完全乾燥段階116を終えた編成原緞11が多数のフィーディングローラ27に支持されて矢印a方向に移送されているし、前記編成原緞11の移送経路の上下部に加熱部55が設置されていることを分かる。
【0039】
前記加熱部55は上下に配置された加熱手段として、前記編成原緞11の両側面に150℃乃至200℃の熱を加えて、撥水液を編成原緞11の両面に固着させる。
【0040】
前記加熱部55を利用した両面熱セッティング段階118は、2分乃至20分程度進行することができる。しかし、編成原緞11をなす素材の混用率や編成原緞の厚さや種類によって加熱温度と加熱時間は変わることがある。
【0041】
特に、前記両面熱セッティング段階118の結果、編成原緞での撥水液の固着程度が素材の種類と厚さまたは重さなどによって充分でなくて、より強化させなければならない場合には前記撥水液浸漬段階110から再び始める。すなわち、両面熱セッティング段階118を終えた状態の編成原緞を、撥水液に再び浸漬させて撥水液浸漬段階110と、脱水段階112と、不完全乾燥段階116と、両面熱セッティング段階118を再び繰り返すものである。
【0042】
前記過程を繰り返して、編成原緞に対する満足する程度の熱セッティング結果を得たら、水洗段階120を進行する。前記水洗段階120は、撥水性能を損傷させない種類の纎維柔軟剤が投入されている水に、撥水液が固着されている編成原緞を入れて編成原緞を洗滌して柔軟処理する過程である。
【0043】
前記水洗過程を進行する間、編成原緞の原糸に固着されない撥水液は水に洗わせて除去されて、原緞のタッチ感(肌触り)は向上されるようになる。
【0044】
前記両面熱セッティング段階118を通じて、編成原緞11の両側面には撥水液が力強く固着された一方、編成原緞の中央部は撥水液が相対的に弱く固着されているので、言わば、編成原緞中央部の撥水液は水洗過程中に洗われて、編成原緞は
図6に示した断面形態を有するようになる。
【0045】
図6は、本発明の第1実施例及び後述する第2実施例による製作方法で製作された編成原緞の断面形状を概略的に示した図面である。
【0046】
図6に示すように、所定厚さを有する編成原緞17の両側面に撥水コーティング層15が形成されている。前記撥水コーティング層15は両面熱セッティング段階118を通じて形成されたものである。
【0047】
前記撥水コーティング層15の間に非撥水層16が残されることができるが、前記非撥水層16は所望する場合、撥水コーティング層15の厚さ調節を通じて十分に無くすことができる。すなわち、撥水コーティング層15の厚さをさらに厚く形成して熱セッティングを力強く遂行して、撥水コーティング層が編成原緞の厚さ方向を完全に通過して一体化されるようにすることもできるものである。
【0048】
前記水洗段階120が完了された後脱水段階122を通じて編成原緞11から水を絞り出して乾燥段階124を引き続く。前記脱水段階122は上に説明した脱水段階102のような方式でなされる。また、前記乾燥段階124は、脱水を終えた編成原緞11をスチーム乾燥器または熱風乾燥器などの乾燥装置を利用して乾燥する過程である。
【0049】
続いて、テンター段階128を進行する。前記テンター段階128はテンター(tenter)装置を利用して、編成原緞11を幅方向に張り切ているように広げた状態で長さ方向に移送させながら加熱する過程である。前記テンター段階128を通じて本実施例の撥水性編成原緞製作段階を仕上げる。
【0050】
図2は、本発明の第2実施例による撥水性編成原緞製作方法を説明するためのブロック図である。
【0051】
以下、前記した図面符号と同一な図面符号は同一な過程の段階でそれに関する反復説明は略することにする。
【0052】
図2に示すように、本発明の第2実施例による撥水性編成原緞製作方法は、天然纎維で、または合成纎維で、または天然纎維と合成纎維の混紡原糸で既に編成されている編成原緞を染色する編成原緞染色段階130で始まる。
【0053】
前記編成原緞染色段階130時に適用される染色方式は非常に多様である。例えば、染色液が貯蔵されているタンクに編成原緞を一定時間浸してから取り出す方式の染色をすることもできる。前記染色液の種類とカラーは必要によって選択的に決まることは勿論である。
【0054】
前記編成原緞染色段階130が完了されたら、染色された編成原緞から染色液を脱水する脱水段階102と乾燥段階104を順に遂行した後撥水液浸漬段階110を進行する。
【0055】
前記撥水液浸漬段階110は、染色を終えた編成原緞を設けられた撥水液に浸漬させて、前記編成原緞をなす原糸の組織内に撥水液を浸透させると共に原糸表面に撥水液がコーティングされるようにする過程である。
【0056】
前記撥水液浸漬段階110を終えた後、脱水段階112、完全乾燥段階114、不完全乾燥116、両面熱セッティング段階118、水洗段階120、脱水段階122、乾燥段階124、テンター段階128を順に遂行して撥水性編成原緞11を得る。前記撥水液浸漬段階110以後の過程は、第1実施例で説明したようである。
【0057】
図3は、本発明の第3実施例による撥水性編成原緞製作方法を説明するために示したブロック図である。
【0058】
第3実施例による撥水性編成原緞製作方法は、染色編成原緞の準備段階140で始めることができる。前記染色編成原緞は、染色が完了されている編成原緞である。
【0059】
前記染色編成原緞は、前記した第1実施例でのように原糸を先に染色して染色された原糸を編成したものであることもあって、第2実施例のように原糸を編成して編成原緞を製作した後編成原緞を染色したものであることもある。
【0060】
とにかく、前記染色編成原緞が設けられたら撥水液浸漬段階110を通じて染色編成原緞を撥水処理する。すなわち、染色されている編成原緞を撥水液に浸漬させて、編成原緞をなす原糸に撥水液を浸透させると共に原糸表面に撥水液がコーティングされるようにする。
【0061】
前記撥水液浸漬段階110を完了したら脱水段階112と完全乾燥段階114を順に進行して片面撥水液コーティング段階142を遂行する。
【0062】
前記片面撥水液コーティング段階142は、完全乾燥段階114を終えた編成原緞の一側面(表面)に撥水液をコーティングする過程である。前記した片面撥水液コーティングの方式はいろいろに具現することができるし、たとえば、
図7乃至
図9に示した方法を適用することができる。
【0063】
図7乃至
図9は、本発明の第3実施例での片面撥水液コーティング段階142の多くの方式を示した図面である。
【0064】
図7を参照すれば、編成原緞11が塗布ローラー25と多数のフィーディングローラ27の間を通過して矢印a方向に移動することを分かる。
【0065】
前記塗布ローラー25は撥水液23が供給されている撥水液容器21の下部に設置された状態で回転して、撥水液を下部につけて下ろす役割をする。また、前記塗布ローラー25の下部に配置されたフィーディングローラ27は編成原緞11を塗布ローラー25側に支持して右側方向に移送させる。
【0066】
したがって、前記編成原緞11は、フィーディングローラ27と塗布ローラー25の間を通過して塗布ローラー25を通じて撥水液を下ろし受けてコーティングされる。すなわち、編成原緞の片面に撥水液がコーティングされるものである。
【0067】
前記
図7のローラー塗布方式と違い、撥水液を移送中の編成原緞の片面に点滴することもできる。
【0068】
すなわち、
図8に示したように、前記編成原緞11の移送経路上部に撥水液容器21を配置して、前記撥水液容器21から所望の量の撥水液23を落下させて編成原緞11の片面に撥水液をコーティングすることができるものである。この時、前記撥水液23の濃度と塗布量はいくらでも調節可能である。
【0069】
図9の場合は撥水液を編成原緞11片面に点滴するものではなく噴射ノズル29を通じて噴射する方式である。すなわち、片面原緞11を矢印a方向に移送させる状態で噴射ノズル29に撥水液23を片面原緞で噴射して片面コーティングを遂行することもできるものである。
【0070】
前記した
図7乃至
図9の方式以外に他のコーティング方式をいくらでも適用することができることは勿論である。
【0071】
また、前記片面撥水液コーティング段階142は、必要によって繰り返すことができる。たとえば、片面撥水液コーティング段階142を遂行したが、原緞の素材及び厚さと重さなどによって所望する程度のコーティングにならなかった場合、前記完全乾燥段階114を再び遂行して片面コーティング層を乾燥させた後、片面撥水液コーティング段階142を繰り返すものである。
【0072】
前記過程を通じて十分な片面コーティングが完了したら不完全乾燥段階116を引き続く。前記不完全乾燥段階116は上に説明したように、片面コーティングが完了された編成原緞を乾燥装置に入れて乾燥させるが、完全に乾燥させるものではなく、原糸の内部に湿り気が幾分残っているように乾燥するものである。不完全乾燥段階116の脱水率は原緞の素材及び種類によって変わって略50%乃至80%程度である。
【0073】
前記不完全乾燥段階116を終えた後片面熱セッティング段階144を遂行する。前記片面熱セッティング段階144は、編成原緞の撥水液がコーティングされた片面に熱を加えて撥水液を編成原緞に固着させる過程である。特に、片面熱セッティング段階144時に撥水液がコーティングされない他側面はなるべく熱を遮断させて撥水液の固着を沮止する。
【0074】
前記片面熱セッティング段階144もさまざまな方式で具現することができるし、たとえば、
図10に示したローラータイプの加熱装置で遂行することができる。
【0075】
図10は、本発明の第3実施例での片面熱セッティング方式を説明するための概略図である。
【0076】
図10を参照すれば、前記片面撥水液コーティングが完了された編成原緞11が多数のフィーディングローラ27によって矢印a方向に移送されて、前記編成原緞11の上部に加熱部55が設置されていることを分かる。前記加熱部55は編成原緞11の上面、すなわち、片面撥水液がコーティングされている片面に熱を加えて撥水液をその席に固着させる。このような固着方式は
図5を通じて説明したようである。
【0077】
併せて、
図10では単純に加熱部55を適用したが、断熱材が具備されているネットセッティング装置もいくらでも適用することができる。また、前記編成原緞11の底面に熱が到逹しないように別途の遮熱手段(図示せず)を設置することが良い。すなわち、加熱部55から輻射される熱エネルギーが編成原緞11の上面だけに影響を及ぼすようにするものである。
【0078】
前記片面熱セッティング段階144を遂行したが、満足できる程度のコーティング品質を得ることができなかったら、前記片面撥水液コーティング段階142を再び繰り返す。
【0079】
前記片面熱セッティング段階144が完了されたら前記した水洗段階120と、脱水段階122と、乾燥段階124と、テンター段階128を順に遂行する。特に、前記水洗段階時、撥水液コーティングをしない原緞の非コーティング面に適用された撥水液は、熱処理をしない理由で水洗工程を経りながら簡単に原緞から分離する。
【0080】
図11は、前記片面熱セッティング段階144後の水洗段階120を終えた撥水性編成原緞の断面構造を示した図面である。
【0081】
図11を参照すれば、所定厚さを有する編成原緞17の片面に撥水コーティング層15が残っていることを分かる。前記撥水コーティング層15は、編成原緞17の片面(表面)に位置して外部に対して撥水能力を提供する。
【0082】
また前記編成原緞17には非撥水層16も位置する。前記非撥水層16は水洗段階120を通じて撥水液が洗われた席として原緞の内側面に位置する。前記編成原緞11で衣服を製作する時、前記非撥水層16が肌と接するように製作されることは勿論である。前記非撥水層は天然纎維の特性上湿り気を吸収する吸湿能力を有するので、身から排出される汗などを吸収して快適な着心地を提供する。
【0083】
前記過程を通じて製作された片面撥水性編成原緞11は、一側面の撥水液投与を反対側面の撥水液投与より相対的にたくさんして、熱セッティングも強く処理して、特に、反対側面は撥水液を原緞に固着させる熱セッティング時に熱を最大限遮断することで、纎維固有の吸湿機能を保全、維持できるように製作されたものである。
【0084】
図4は、本発明による撥水性編成原緞11の基本構造の一例を示した図面である。
【0085】
図4に示すように、撥水性編成原緞11をなす原糸13が撥水コーティング層15でコーティングされている。前記撥水コーティング層15は吸湿性原糸13に力強くコーティングされて撥水性と防汚性などを提供する。また、各原糸13の間空間は離れていて編成原緞11の間に湿り気がいくらでも通過することができる。
【0086】
図面では緯編(weft knitting)組織を示したが、経編(warp knitting)組織の場合も同じく構成される。
【0087】
特に、前記撥水コーティング層15が防汚性を有するので、前記撥水性編成原緞11で製作された衣服は垢がよく付かない。衣服をよく洗濯しなくても良いという意味である。公知の事実のように衣服は洗濯時に摩擦による損傷を易しく被るが、前記のように洗濯の周期をふやすことで衣服の寿命を大きくふやして、また洗濯に使用される水もそれほど節約することができるようになる。
【0088】
一方、下に添付した試験成績書は、韓国纎維技術研究所(KOTITI)で本発明による撥水性編成原緞を試した結果である。
【0089】
<試験成績書>
KOTITI NO:1310001892
受信:ディファーストジンス
題目:試験結果回報
試料:編物原緞
受付日:2013.1.18
発行日:2013.1.24
【0094】
上の試験成績書を通じて分かるように、本発明の撥水性編成原緞の20回洗濯後の撥水性が3級の撥水能力を有することを分かる。参照で、撥水能力を検査する公式検査基準は5段階であり、5級は20回洗濯後にも撥水能力が100%を維持するものであり、4級は20回洗濯後の撥水能力が90%、3級は20回洗濯後の撥水能力が80%、2級は20回洗濯後の撥水能力が70%、1級は20回洗濯後の撥水能力が60%以下である。
【0095】
結局前記したように、本発明の撥水性編成原緞は3級の撥水能力を有して、特に、片面撥水性編成原緞の場合には、熱セッティングされない内側面は撥水液が残っていないので撥水性の代わりに吸水性を有して、衣類製作時に製品の内側面で製作する場合に人体の汗などの湿り気を吸収することができる。
【0096】
以上、本発明を具体的な実施例を通じて詳細に説明したが、本発明は前記実施例に限定されないで、本発明の技術的思想の範囲内で通常の知識を有した者によってさまざまな変形が可能である。