(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外ガイド式の釣竿では、釣糸が弛んだ場合、釣糸が外ガイドに絡まるというトラブルが発生することが多々ある。特に、穂先又は穂先近傍の外ガイドに釣糸が巻き付き絡まる場合が多く、絡まるとリール操作ができず、竿先を手元に引き寄せて糸を解き解す必要があり、大変な手間であり、好釣果の折に糸が絡まると好機を逸してしまう事がある。
釣糸が絡まる原因の多くは釣糸を案内する外ガイドにあるため、外ガイドのない釣竿が開発され、竿元側から竿体の内部に釣糸を通し、穂先から釣糸を引き出した中通し式の釣竿が販売されている。
しかしながら、中通し式の釣竿にも課題があり、釣糸の挿通が難しい、釣糸が濡れると釣糸が竿体の内壁に絡まり釣糸の出が悪い、振出式の竿体を収納するときに竿体と竿体等の間に釣糸が挟まり竿体を収納できなく成る、無理に収納しようすると竿体を損傷してしまう不具合が生じる、振出式の竿体を収納するときに竿体の外周に付着した汚損物を収納して竿体内壁部を汚損し釣糸の挿通をより難しくする等、様々な問題がある。
【0005】
本発明はかかる課題に鑑みたものであり、外ガイド付振出式釣竿の穂先部における釣糸の巻付き絡まりを解消し、しかも、前記した中通しの振出式釣竿の各種課題を解決できる釣竿を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の釣竿は、振出式で連結される3以上の竿体を備える釣竿であって、
第1の竿体は最も穂先側の竿体であり、開口した穂先部を有し、竿体内部は釣糸を挿通可能な中空に形成し、
第2の竿体は、前記第1の竿体の竿元側に位置し、振出状態で、穂先側が前記第1の竿体の竿元側と係合し、
第3の竿体は、前記第2の竿体の竿元側に位置し、振出状態で、穂先側が前記第2の竿体の竿元側と係合し、
前記第2の竿体の穂先側の側部に釣糸を竿体内部に挿通可能な釣糸導入孔が開設されており、前記釣糸導入孔の位置は振出状態で前記第1の竿体の竿元側端部より第2の竿体の竿元側に開設し、
前記第2の竿体に開設された釣糸導入孔より竿元側、並びに第3の竿体の外周には釣糸を挿通可能な外ガイドを備え、
前記第1の竿体及び第2の竿体は、前記第3の竿体に対し、内部に収納可能で、
かつ振出可能な移動体であることを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の釣竿は、前記第1の竿体の竿元側は、前記第2の竿体と係合する部分から更に第2の竿体の竿元側に、第1の竿体と第2の竿体の係号部直径よりも0.08mm以上細い外径で一定の長さを伸延したことを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の釣竿は、前記第2の竿体の第1の竿体と係合する内径側部分に、前記第1の竿体と係合する長さで、厚さ0.08mm以上のスペーサを結合したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る釣竿は、リールから穂先である第1の竿体の1つ竿元側の第2の竿体まで外付けのガイドを釣糸が通り、その後、第2の竿体の竿先側の側部に開設された釣糸導入孔から、穂先を構成する第1の竿体の竿元から穂先までの間、第1の竿体内部の中空の穴に釣糸を挿通する。これにより、穂先部においては環状のガイドを有しないので、穂先部での釣糸の巻付き絡まりを防止できる。
また、竿元から穂先の1つ竿元側の第2の竿体まで外付けのガイドを釣糸が通しているため、竿元から穂先まで竿体内部を釣糸が挿通する一般的な中通し式の釣竿と比べて、釣糸の挿通が容易である、振出式の竿体を収納するときに竿体と竿体等の間に釣糸が挟まら無くなり、竿体を収納できなく成ったり竿体を損傷してしまう不具合が生じ無くなる等、優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具現化した釣竿を例示するものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
図1は、本発明に係る釣竿1の全体を側面から示す概略外観図の1例である。
図1(a)は、釣竿1の全体の外観を示し、
図1(b)は、釣竿1の穂先近傍の外観を示している。
図1に示す釣竿1は、いわゆる、振出竿であり、長尺円筒状をなす複数の竿体10を順次振出式に連結して構成されている。釣竿1は、全体として竿元側から穂先側にかけて細くなるようにテーパー状に構成されている。釣竿1の穂先に位置する第1の竿体11は、最小径の竿体10であり、第1の竿体11の竿元側に連結される第2の竿体12は、第1の竿体11より大径となるように構成され、更に第2の竿体12の竿元側に連結される第3の竿体13は、第2の竿体12より大径となるように構成されている。このように、
図1に例示する釣竿1は、穂先の第1の竿体11から竿元の第6の竿体16まで6本の竿体10を順次振出式に連結し、更に第6の竿体16の竿元側には把持部(グリップ)を有する構成となっている。竿体10の本数等の構成は適宜設計することが可能である。
【0013】
このように構成された釣竿1は、穂先側に位置する竿体10を竿元側の竿体10内部から順次引き出した振出状態とすることにより、一本の釣竿1として使用することができる。そして、使用しない場合、釣竿1は、穂先側の竿体10を竿元側の竿体10内部に順次挿入して収納することにより、全長を短くコンパクトにすることができる。
【0014】
釣竿1を構成する第2の竿体12には、
図1(b)に示すように穂先側の側部にあたる外周部分に釣糸導入孔120を有し、この釣糸導入孔120と第3の竿体の先端までの間に移動式の外ガイド4が配設されており、穂先側端部には口金5を設け、穂先端の強度を補強すると共に移動式の外ガイド4が抜け落ちるのを防止している。
第3の竿体13から第6の竿体16までの各竿体10には、穂先側端部の外周に外ガイド2が配設されており、必要により図示しない移動式の外ガイド4が配設される場合もある。一般的には、外ガイドとして環状の外ガイドが使用されている。更に、把持部の外周には、釣糸Lを巻き取るリール3が配設されている。リール3から引き出された釣糸Lは、第6の竿体16に配設されたガイド2から第3の竿体13に配設された外ガイド2まで順次挿通して案内され、第2の竿体12の移動式の外ガイド4を挿通し、更に、釣糸導入孔120を挿通し、第1の竿体11内部を通り、第1の竿体11の先端部分である穂先部に設けられたトップガイド20を通り外部へと引き出される。長尺で円筒状をなす各竿体10の内部は中空に形成されており、第1の竿体11の内部は釣糸Lを挿通可能に中空に形成されており先端部分は釣糸Lを挿通可能に開口しており、釣糸の出し入れを容易にし、また、釣糸Lを損傷しないようにトップガイド20を設けている。第1の竿体11の先端部から外部へ延伸される釣糸Lの先端部分には撚り戻、錘、釣り針等の図示しない仕掛けが結着されている。
【0015】
図2(a)は、本発明の第1の実施例に係る釣竿1の第1の竿体11と第2の竿体12の接合部の一例を示す部分外観図であり、
図2(b)は
図2(a)のC−C部分の断面図であり、振出状態における第1の竿体11及び第2の竿体12の係合部分を拡大して示している。なお、第2の竿体12の内部に収容されている第1の竿体11の部分については破線で示している。第1の竿体11の竿元側が、第2の竿体12の穂先側の内部に入り込み、第1の竿体11の竿元側の外周部と第2の竿体12の穂先側の内周部とが密着し、係合して連結されている。
図2(a)の網目部分が係合部(X)を示す。振出状態において、第2の竿体12に開設された釣糸導入孔120は軸方向(釣竿1の長手方向)の内径が周方向の内径より長い長円状に形成されている。また、釣糸導入孔120の開口部は、釣糸Lとの摩擦による損耗、竿体10の強度の低下等の弊害を防止すべく、開口部に適合する長円状をなし、金属、樹脂等の材料で形成された補強部材の嵌着等の加工がなされている。補強部材を釣糸導入孔120の開口部に配設することにより、第2の竿体12の強度が開口により低下することを防止する事ができる。補強部材は開口部のみに設けるのではなく、第二の竿体12の開口部周辺の周方向にも巻回するように設けても良く、何れを選択するかはその釣竿に適切なものを適宜選択すればよい。
【0016】
また、補強部材の釣糸Lが通る側の端面を滑らかな円弧状にすることにより、釣糸の損傷を防止できる。なお、補強部材の第2の竿体12の外径からの突出寸法は、第2の竿体12が第3の竿体13に収納できる範囲内で、適宜設計することが可能である。釣糸導入孔120の第1の竿体11の竿元側の端部からの寸法Yは、釣糸Lが極端な曲がりを形成せずスムースに可動できるようにするため、釣糸Lの太さにより数cmから20cm程度とするのが適切である。
なお、釣糸導入孔120は軸方向の内径が周方向の内径より大きい楕円形に形成してもよい。楕円形にすることにより、糸通しを行うときに使用するワイヤの先端に付属する球形の直径の大きなものが使用でき、ワイヤの挿通時に竿体接合端部での引っ掛かりが少なくなり、糸通し作業がより容易になる。
第1の竿体11の竿元側端部には、釣糸Lの損傷を防止したり、糸通し用ワイヤの挿通を容易にする目的で、インターリングを配設する場合もある。
なお、第2の竿体12の外付けの環状のガイド4は、竿体の軸方向に移動できる移動式の外ガイド4とするが、第2の竿体12が短い場合や第3の竿体13の外付けのガイド2が大きく第2の竿体12の釣糸導入孔120への釣糸の傾斜角が大きいなど、場合によっては外付けの移動式の環状のガイド4を省略しても良い。
また、第2の竿体12の穂先側先端部の強度低下を補うためや移動式の環状の外ガイド
4が落下するのを防止するために、穂先側の先端部に口金5を設けても良い。
【0017】
図3は、本発明の第2の実施例に係る釣竿1の第1の竿体11と第2の竿体12の接合部の一例を示す部分外観図であり、
図3(a)は振出状態における第1の竿体11及び第2の竿体12の係合部分(X)、並びに第1の竿体11の係合部から竿元側に伸びる係合部よりテーパー状に細くなった部分(伸延部Z)を拡大して示している。なお、第2の竿体12の内部に収容される第1の竿体11の部分については破線で示している。第1の竿体11の竿元側が、第2の竿体12の穂先側の内部に入り込み、第1の竿体11の竿元側と第2の竿体12の穂先側とが係号部分Xで密着し係合して連結されている。
図3の網目部分が係合部(X)を示す。第1の竿体11の伸延部Zは第1の竿体と第2の竿体の係号部直径よりも0.08mm以上細い外径で伸延しているため、第2の竿体12の内径部とは接触していない。
第1の竿体11には伸延部Zを有している事もあり、釣竿1の撓り具合(調子)が、理想的な曲線から外れる事が心配されるが、
図3に例示した第1の竿体11の伸延部Zは、第2の竿体の内径よりも細く構成されている。釣糸導入孔120の第1の竿体11の竿元側の端部からの寸法Yは、釣糸がスムースに移動できるようにするため、釣糸の太さによ
り数cmから20cm程度とするのが適切である。第1の竿体11と第2の竿体12が一体となっているのは係合部分であって、伸延部Zが長くなっても、伸延部Zと第2の竿体の内径間には隙間があるので、第1の竿体11の可撓性が不連続にならないように構成することができる。
【0018】
第1の竿体11を収納、引き出したり収納したりする時、第1の竿体11の竿元側の端部は第2の竿体12との係号部からテーパー状に細くしているため、第1の竿体11の外径と第2の竿体12の内径間には釣糸Lを通すのに十分な隙間が確保されている。この為、振出式の竿体を収納したり引き出す時に竿体と竿体等の間に釣糸が挟まらず、竿体を収納できなく成ったり竿体を損傷してしまう不具合が生じ無くなる。
非常に柔軟性の高い釣竿の場合であれば、伸延部Zを第1の竿体11とは別な柔軟な材料からなる部材で構成して第1の竿体11の竿元部に装着して第1の竿体11の竿元部を形成し、補助体Zの可撓性と他の竿体部分の可撓性との差が不連続にならないようにして可撓性の境目を可及的になくすように設計することで、非常に柔軟性の高い釣竿の場合にも伸延部Z近傍で釣竿1のしなり具合が不自然にならないように構成することもできる。
図3は第1の竿体11の竿元側の端部は第2の竿体12との係号部からテーパー状に細くしている例を示したが、テーパー形状としなくても良く、竿体11の竿元側の端部はから第2の竿体12との係号部(X)まで、係号部より細くした一定の太さの竿体としても良い。
【0019】
図4(a)は、本発明の第3の実施例に係る釣竿1の第1の竿体11と第2の竿体12の接合部の一例を示す部分外観図であり、振出状態における第1の竿体11及び第2の竿体12の係合部に第2の竿体12の穂先側内部に前記第1の竿体11と係合する長さで薄い円筒状のスペーサ21を結合して一体化した部分を拡大して示している。なお、第2の竿体12の内部に収容される第1の竿体11の部分と円筒状のスペーサ21については破線で示している。第1の竿体11の竿元側が、第2の竿体12の穂先側に固着された円筒状のスペーサ21の内部に入り込み、第1の竿体11の竿元側と第2の竿体12の穂先側の円筒状のスペーサ21の内径側とが係合して連結されている。
図4(a)の網目部分が係合部(X)を示す。
図4(b)は
図4(a)のC−C断面図、
図4(c)は
図4(a)のD−D断面図である。第1の竿体11を収納したり引き出したりする時、第2の竿体12の穂先側内部に前記第1の竿体11と係合する長さで薄い円筒状のスペーサ21を第2の竿体12に結合して一体化しているため、第1の竿体11と第2の竿体12の内径間には釣糸Lを通すのに十分な隙間が確保されている。この為、振出式の竿体を収納したり引き出す時に竿体と竿体等の間に釣糸が挟まらず、竿体を収納できなく成ったり竿体を損傷してしまう不具合が生じ無くなる。
なお、円筒状のスペーサ21の代わりに長方形状のスペーサで係合する長さとし、第2の竿体の穂先側の係号部に円周方向に等配分で固着しても良く、円筒状のスペーサ21に限定するものでは無い。
【0020】
以上のように構成された上述の釣竿1は、穂先近傍に外ガイド2が配設されていないため、従来の外ガイド式の釣竿と比べ、釣糸Lが外ガイド2に絡まるというトラブルの発生を抑制する等の効果を奏する。特に、釣糸Lは穂先近傍の外ガイド2に絡まり易いため、第1の竿体11及び第2の竿体12の穂先側の外ガイド2を排除した効果は顕著である。
また、上述の釣竿1は、第2の竿体12の穂先近傍から、実質的には第1の竿体11の内部のみの極短距離を釣糸Lが挿通するため、ほぼ全ての竿体10の内部の長距離を釣糸Lが挿通する従来の中通釣竿と比べ、釣糸Lの挿通が非常に容易である等の効果を奏する。
更に、上述の釣竿1は、竿体と竿体の間に釣糸Lが介在するのは、第1の竿体11を第2の竿体12に収納したときに、第2の竿体12の穂先側に設けられた釣糸導入孔120から第1の竿体11の竿元側端部の極短距離であり、第1の竿体11の外径側と第2の竿体12の内径側には釣糸Lを通すのに十分な距離が確保されるように工夫されている。この為、従来の中通釣竿1がほぼ全ての竿体10の内部の長距離を釣糸Lが挿通するのと比べ、竿体10の引き出し及び収納の際に、釣糸Lが竿体内部で複雑に屈曲することにより、竿体10内で釣糸Lが絡まったり、連結する竿体10の隙間に釣糸Lが噛み込むというトラブルが発生し難く、竿体10の引き出し及び収納作業がトラブルが無く、容易である等の効果を奏する。上述の釣竿1が、竿体10の引き出し及び収納作業が容易であるという効果は、釣糸Lが海水に濡れ、竿体10の内壁に張り付き易い場合の作業性において特に顕著である。
【0021】
上述の釣竿1は、振出状態において第1の竿体11と第2の竿体12との係合部分よりも第2の竿体12の竿元側に釣糸導入孔120を開設している。このため、竿体を収納、引き出す場合に釣糸Lが竿体内部で竿体と竿体の間に存在するのは、第1の竿体11と第2の竿体12の釣糸導入孔120から第2の竿体12の竿元端までの僅かな距離であり、従来の中通竿体のほぼ全長にわたって存在する場合に比べて、竿体を収納、引き出す際に釣糸Lが竿体と竿体の間に咬み込みが起こるチャンスは遥かに少なくなっている。
また、釣糸導入孔120は竿体の軸方向に長い長穴としているため、第1の竿体11を第2の竿体12に収納する際、第1の竿体11の竿元端と第2の竿体120の内径の間には釣糸Lを通すのに十分な空隙を得やすくなり、第1の竿体11を容易に第2の竿体12に収納したり引き出すことを容易にしている。
【0022】
図5は、本発明の第1の実施例に係る第1の竿体11と第2の竿体12の接合部の一例を拡大して示す模式図であり、釣竿1の第1の竿体11を第2の竿体12に収納する状態の断面図を示す。図(a)は振出状態で釣糸導入孔120から第1の竿体11の内部へ釣糸Lが挿通している状態を示す。釣糸導入孔120と第1の竿体11の竿元端は距離Y、数cmから20cm程度、を離しているので、先端が球状になったワイヤーを使用して釣糸Lを容易に挿通することができる。
図(b)は第1の竿体11を第2の竿体12内に収納する途中の状態を示している。第1の竿体11が釣糸導入孔120の下端を過ぎた所から第2の竿体12の内径とのに釣糸Lが介在するようになる。このとき、各竿体は竿元側が太く穂先側が細いテーパー状となっているため、第1の竿体11と第2の竿体12の穂先端の開口部には隙間ができており、第1の竿体11は第2の竿体12に対して径方向に可動することができる状態になっている。この為、第1の竿体11と第2の竿体12の内径間の隙間は、釣竿がテーパー形成されている事を考慮すれば釣糸Lを十分に通すことができる距離と成っているので、第1の竿体11と第2の竿体12が釣糸Lを咬み込み、収納できなくなると言う事は起こらない。
また、第1の竿体11を第2の竿体に収納する場合、第1の竿体11の竿元端が釣糸Lを釣糸導入孔120から引っ張り込むので、釣糸Lが途中で弛む事は無く、釣糸Lを咬み込み収納でき無くなる事は起こら無い。
【0023】
更に、釣糸導入孔120を軸方向に長穴としているため、距離Y以上に釣糸Lが介在開始する距離は長くなっている。また、第1の竿体11を第2の竿体12から引き出す場合も同様で、容易に引き出すことが可能である。第1の竿体11を引き出す場合、釣糸導入孔120から外に出ている釣糸Lを引っ張って第1の竿体11を引き出せば、第2の竿体12の内部での釣糸Lの弛みが生じる事が無いため、より安全に引き出すことができる。本発明の釣竿1に於いて、釣糸Lが竿体10の間に介在するのは第1の竿体1と第2の
竿体12の間だけなので、第1の竿体11を引き出せば、釣糸Lを咬み込み引き出せなくなると言う事は起こらない。
従来の中通竿体の場合、第1の竿体から第nの竿体まで全ての竿体間に釣糸Lが介在するので、この様な竿体の引出方法は、従来の中通竿体ではでき無かった引出方法である。なお、竿体を収納、引き出す場合に釣糸Lが竿体内部で竿体と竿体の間に存在するのは、第1の竿体11と第2の竿体12の釣糸導入孔120から第2の竿体12の竿元端までの僅かな距離であり、この部分のみであり、第1の竿体11のみを引き出せば良く、第1の竿体11は最先端の竿体であり軽量なので容易に釣糸Lを引っ張り、引き出すことができる。
【0024】
図6は、本発明の第2の実施例に係る第1の竿体11と第2の竿体12の接合部の一例を拡大して示す模式図であり、釣竿1の第1の竿体11を第2の竿体12に収納する状態の断面図を示す。図(a)は振出状態で釣糸導入孔120から第1の竿体11の内部へ釣糸Lが挿通している状態を示す。釣糸導入孔120と第1の竿体11の竿元端は距離Y、数cmから20cm程度、を離しているので、第1の竿体11の竿元端に向けてテーパー状に細くして第2の竿体12の内径より0.08mm細くなっているが、釣糸Lを挿通するワイヤーの先端についている球の直径が0.3mm程度のものを使用すれば、第1の竿体11の竿元端が第2の隙間に入り込まずに釣糸Lを容易に挿通することができる。
図(b)は第1の竿体11を第2の竿体12内に収納する途中の状態を示している。第1の竿体11が釣糸導入孔120の下端を過ぎた所から第2の竿体12の内径とのに釣糸Lが介在するようになる。各竿体は竿元側が太く穂先側が細くなるテーパー状に形成されているので、第1の竿体11を第2の竿体12に収納すると、第1の竿体11と第2の竿体の穂先端には隙間ができ、第1の竿体11は第2の竿体に対して径方向にも可動することができる状態になっている。しかも、第1の竿体11の竿元側の端部はテーパーに構成しているので、第1の竿体11の竿元側と第2の竿体12の内径間の隙間は、釣竿全体のテーパーと第1の竿体11のテーパーを考慮すれば釣糸Lを十分に通すことができる寸法と成っているので、第1の竿体11と第2の竿体12の内径側に釣糸Lを咬み込み、収納できなくなると言う事は起こらない。また、第1の竿体11を第2の竿体12から引き出す場合も同様で、容易に引き出すことが可能である。この実施例は大物用の釣竿で太い釣糸Lを使用する場合に有効である。
【0025】
図7は、本発明の第3の実施例に係る釣竿1の第1の竿体11と第2の竿体12の接合部の一例を拡大して示す模式図であり、第1の竿体11を第2の竿体12に収納する状態の断面図を示す。図(a)は振出状態で釣糸導入孔120から第1の竿体11の内部へ釣糸Lが挿通している状態を示す。釣糸導入孔120と第1の竿体11の竿元端は距離Y、数cmから20cm程度、を離しているので、先端が球状になったワイヤーを使用すれば、釣糸Lを容易に挿通することができる。
図(b)は第1の竿体11を第2の竿体12内に収納する途中の状態を示している。第1の竿体11が釣糸導入孔120の下端を過ぎた所から第2の竿体12の内径との間に釣糸Lが介在するようになる。このとき、各竿体は竿元側が太く穂先側が細いテーパー状となっているため、
第1の竿体11と第2の竿体12の穂先端の開口部には隙間ができており、第1の竿体11は第2の竿体12に対して径方向にも可動することができる状態になっている。しかも、第2の竿体12の内径側にはスペーサ21を固着しているので、第1の竿体11の外径側と第2の竿体12の内径側の隙間は、釣竿全体のテーパーとスパーサの厚さを考慮すれば釣糸Lを十分に通すことができる寸法と成っている。この為、第1の竿体11の外径側と第2の竿体12の内径側が釣糸Lを咬み込み、収納できなくなると言う事は起こらない。また、第1の竿体11を第2の竿体12から引き出す場合も同様で、容易に引き出すこ
とが可能である。この実施例は大物用の釣竿で太い釣糸Lを使用する場合に有効である。
【0026】
以上説明したように、第1の竿体11及び第2の竿体12の双方とも、竿元側から穂先側にかけて細くなるようにテーパー状に構成されている。従って、第1の竿体11が第2の竿体12の内部に収納されている状態において、第1の竿体11は、第2の竿体12の内部に隙間をもって遊嵌しており、径方向の可動及び軸方向の上下動が容易な状態となっている。
また、第1の竿体11を第2の竿体12に収納した状態から引き出すに従って、即ち、係合状態に近くなるに従い第1の竿体11の外径と第2の竿体12の内径との差が小さくなる。第1の竿体11の外径と第2の竿体12の内径との差が、釣糸Lの外径と比べて大きい場合には、釣糸Lが噛む状態とはなり難いが、第1の竿体11を引き出すに従って、この差が小さくなり、第1の竿体11と第2の竿体12との間に釣糸Lが噛みやすくなる。ここで、第1の実施例のように釣糸導入孔120を第1の竿体11の竿元側端部より距離を離し、長円状に形成し、釣糸導入孔120から釣糸Lを引っ張り第1の竿体11を引き出せば、釣糸Lと竿体間には釣糸Lより大きな隙間が確保され、しかも釣糸Lは第1の竿体11が引き出されるまで弛むことが無いため、第1の竿体11と第2の竿体12との間に釣糸Lが噛み込むことを防止することができる。即ち、第1の竿体11に開設する釣糸導入孔120を第1の竿体11の竿元側端部より距離を離し、長円状に形成することにより、第1の竿体11を第2の竿体12から容易に引き出すことが可能であり、また、引き出された第1の竿体11を容易に第2の竿体12に収納することが可能である。
なお、釣糸導入孔120の軸方向の内径が周方向の内径より長い形状であれば、長円状で無くても良く、楕円状、対角線が軸方向となる菱形状、長辺が軸方向となる長方形状等の他の形状であっても良い。
【0027】
また、第1の竿体11の竿元側をテーパー状にして第2の竿体12の内径との隙間を大きくしたり、第2の竿体12の竿先部にスペーサを固着することにより、第1の竿体11外径と第2の竿体12の内径間の隙間をより大きくすることにより、第1の竿体11を第2の竿体12から容易に引き出すことが可能であり、また、引き出された第1の竿体11を容易に第2の竿体12に収納することが可能となる。この場合も、第1の竿体11を引き出す場合、釣糸導入孔120から出ている釣糸Lを引っ張って第1の竿体11を引き出せば、第2の竿体12の内部での釣糸Lの弛みが生じる事が無いため、より安全に引き出すことができる。この様な竿体の引出方法は、従来の中通竿体ではでき無かった引出方法である。
【0028】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形態で実施することが可能である。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。更に、請求の範囲の均等範囲に属する変形及び変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【解決手段】振出式で連結される竿体を備える釣竿で、最も穂先側の第1の竿体11は開口した穂先部を有し、竿体内部は釣糸を挿通可能な中空に形成し、第2の竿体12は第1の竿体の竿元側に位置し振出状態で前記第1の竿体11の竿元側と係合し、前記第2の竿体12の側部に釣糸を竿体内部に挿通可能な釣糸導入孔120が開設し、釣糸導入孔120は振出状態で前記第1の竿体11の竿元側端部より第2の竿体12の竿元側に開設し、前記第2の竿体に開設された釣糸導入孔120より竿元側、並びに第3の竿体13の外周には釣糸を挿通可能な環状の外ガイド2を備え、第1の竿体11及び第2の竿体12は、第3の竿体13に対し内部に収納可能で、かつ振出可能な移動体である釣竿とする。