(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反応液濃度変更工程は、発熱液の割合が反応液の割合よりも大きい混合比から発熱液の割合が反応液の割合よりも小さい混合比まで、基板に向けて吐出される反応液含有液に含まれる発熱液の割合を減少させることにより、基板に向けて吐出される反応液含有液の温度を吐出開始時の反応液含有液の温度よりも低下させる工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理方法。
前記反応液濃度変更工程は、基板に向けて吐出される反応液含有液に含まれる発熱液の割合を零まで減少させることにより、基板に向けて吐出される反応液含有液の温度を吐出開始時の反応液含有液の温度よりも低下させる工程を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高温のSPMなどの高温処理液が基板に供給されると、基板自体が高温になる。高温処理液で基板が覆われている状態で、常温のDIWのなどの低温処理液の供給が開始されると、低温処理液の着液位置およびその近傍の位置(以下、「着液位置近傍領域)という)において基板の温度が急激にかつ急速に低下する。したがって、基板を収縮させる応力が着液位置近傍領域に発生すると共に、着液位置近傍領域と高温状態である他の領域との温度差で基板が反り返るように若しくは波打つように変形してしまう。低温処理液が基板に十分に行き渡ると、基板の各部の温度差が小さくなるので、このような変形が解消されるものの、それまでの間は、基板が変形した状態が続く。
【0005】
挟持式のスピンチャックでは、複数のチャックピンが基板の周縁部に押し付けられる。複数のチャックピンが基板の周縁部に押し付けられている状態で基板が変形すると、基板に対する各チャックピンの押付圧が変化し、スピンチャックによる基板保持の安定性が低下するおそれがある。また、バキューム式のスピンチャックでは、基板の下面がスピンベース(吸着ベース)の上面に吸い付けられる。基板の下面がスピンベースの上面に吸い付けられている状態で基板が変形すると、基板の下面とスピンベースの上面との密着状態が変化し、スピンチャックによる基板保持の安定性が低下するおそれがある。
【0006】
特許文献1では、高温(たとえば150℃)のSPMと、常温(たとえば25℃)のDIWとを基板に供給することが開示されている。したがって、100℃以上の温度差が基板とDIWとにある状態で、低温処理液としてのDIWの供給が開始されうる。本発明者らによると、前述の基板の変形は、基板と低温処理液との温度差が、100℃以上である場合に限らず、100℃未満(たとえば、60℃)である場合にも生じうることが確認されている。したがって、前述の基板の変形は、高温のSPMと常温のDIWとを順次供給する場合に限らず、温度差のある他の処理液を基板に順次供給する場合にも生じうる。
【0007】
そこで、本発明の目的の一つは、処理液の供給開始時における基板の局所的な温度変化を抑制できる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、第1温度の薬液を基板の主面に供給する薬液供給工程と、前記薬液供給工程の後に、第1温度よりも低い第2温度のリンス液を基板の主面に供給することにより、基板に残留している液体を洗い流すリンス液供給工程と、前記薬液供給工程で基板に供給される薬液と混ざり合うことにより発熱反応を発生させる反応液と、反応液と混ざり合うことにより発熱する発熱液とを少なくとも吐出開始時に含み、液温が第1温度以下で第2温度以上の反応液含有液を、前記薬液供給工程の後でかつ前記リンス液供給工程の前に、前記薬液供給工程で基板に供給された薬液が基板に残留している状態で基板の主面に向けて吐出する反応液供給工程と、前記反応液供給工程と並行して、
基板に向けて吐出される反応液の流量を増加させて、基板に向けて吐出される反応液含有液に含まれる発熱液の割合を減少させることにより、基板に向けて吐出される反応液含有液の温度を吐出開始時の反応液含有液の温度より低下させる反応液濃度変更工程とを含む、基板処理方法である。基板の主面は、デバイスが形成される表面であってもよいし、表面とは反対側の裏面であってもよい。
【0009】
この方法によれば、第1温度(基板に供給される前の薬液の温度)の薬液が基板の主面に供給される。そして、薬液が基板に残留している状態で、反応液含有液が基板の主面に供給される。基板に供給された反応液含有液は、基板に残留している薬液と混ざり合う。そのため、基板に残留している液体における反応液含有液の割合が高まり、薬液の濃度が低下する。第1温度よりも低い第2温度(基板に供給される前のリンス液の温度)のリンス液は、反応液含有液が基板に供給された後に、基板の主面に供給される。これにより、基板に残留している液体(薬液および反応液含有液を含む液体)が洗い流される。
【0010】
吐出開始時の反応液含有液は、反応液と発熱液とを混合することにより生成された混合液である。反応液は、薬液と混ざり合うことにより発熱反応を発生させる液体である。発熱液は、反応液と混ざり合うことにより発熱する液体である。反応液は、発熱液と混合されることにより、発熱液によって加熱される。
反応液含有液の供給が開始されると、基板の温度は反応液含有液の温度に近づいていく。基板に供給される前の反応液含有液の温度は、薬液の温度(第1温度)以下で、リンス液の温度(第2温度)以上である。反応液含有液は、薬液と混ざり合うことにより発熱反応を発生させる。したがって、薬液が基板に残留している状態で反応液含有液が基板の主面に供給されると、反応液含有液の着液位置およびその近傍の位置で発熱反応が発生し、着液位置近傍領域での基板の温度低下量が低減される。そのため、基板の温度は徐々に反応液含有液の温度に近づいていく。
【0011】
さらに、反応液含有液に含まれる発熱液の割合が、反応液含有液の吐出開始時よりも減少するので、発熱液より低温の反応液の割合が増加し、その結果、反応液含有液の温度が低下する。したがって、吐出開始時の反応液含有液よりも低温の反応液含有液が基板の主面に供給され、反応液含有液の温度がリンス液の温度(第2温度)に近づいていく。そのため、着液位置近傍領域での基板の温度低下がさらに緩やかになる。よって、薬液の供給に引き続いてリンス液が供給される場合よりも、基板の急激かつ急速な温度低下を抑制でき、基板の変形量を低減できる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、第1温度の薬液を基板の主面に供給する薬液供給工程と、前記薬液供給工程の後に、第1温度よりも低い第2温度のリンス液を基板の主面に供給することにより、基板に残留している液体を洗い流すリンス液供給工程と、前記薬液供給工程で基板に供給される薬液と混ざり合うことにより発熱反応を発生させる反応液と、反応液と混ざり合うことにより発熱する発熱液とを少なくとも吐出開始時に含み、液温が第1温度以下で第2温度以上の反応液含有液を、前記薬液供給工程の後でかつ前記リンス液供給工程の前に、前記薬液供給工程で基板に供給された薬液が基板に残留している状態で基板の主面に向けて吐出する反応液供給工程と、前記反応液供給工程と並行して、基板に向けて吐出される反応液含有液に含まれる発熱液の割合を減少させることにより、基板に向けて吐出される反応液含有液の温度を吐出開始時の反応液含有液の温度より低下させる反応液濃度変更工程とを含み、反応液は、組成が前記リンス液供給工程で基板に供給されるリンス液と同一であり、前記薬液供給工程で基板に供給される薬液と混ざり合うことにより発熱反応を発生させる液体であり、前記反応液濃度変更工程は、基板に向けて吐出される反応液含有液に含まれる発熱液の割合を零まで減少させることにより、基板に向けて吐出される反応液含有液の温度を吐出開始時の反応液含有液の温度よりも低下させると共に、基板に向けて吐出される反応液含有液の組成を前記リンス液供給工程で基板に供給されるリンス液の組成と一致させる工程を含む、基板処理方法である。
この方法によれば、請求項1に関して述べた効果に加えて、次の効果を奏することができる。具体的には、この方法によれば、反応液含有液に含まれる反応液の組成がリンス液と同一であり、反応液含有液に含まれる発熱液の割合が零まで減少される。したがって、反応液含有液に含まれる発熱液がなくなり、反応液だけ、つまりリンス液と同種の液体が、基板に向けて吐出される。そのため、反応液含有液の温度が緩やかに大きく低下するだけでなく、リンス液供給工程の前に基板に残留している液体とリンス液との親和性が高まる。よって、反応液含有液の供給後にリンス液を供給することにより、基板に残留している液体を円滑に洗い流すことができる。
請求項3に記載の発明は、第1温度の薬液を基板の主面に向けて吐出することにより基板の主面を覆う薬液の液膜を形成する供給工程と、前記供給工程の後に、薬液の吐出を停止させた状態で基板の主面を覆う薬液の液膜を基板上に保持するパドル工程と、を含む薬液供給工程と、前記薬液供給工程の後に、第1温度よりも低い第2温度のリンス液を基板の主面に供給することにより、基板に残留している液体を洗い流すリンス液供給工程と、前記薬液供給工程で基板に供給される薬液と混ざり合うことにより発熱反応を発生させる反応液と、反応液と混ざり合うことにより発熱する発熱液とを少なくとも吐出開始時に含み、液温が第1温度以下で第2温度以上の反応液含有液を、前記薬液供給工程の後でかつ前記リンス液供給工程の前に、前記薬液供給工程で基板に供給された薬液が基板に残留している状態で基板の主面に向けて吐出する反応液供給工程と、前記反応液供給工程と並行して、基板に向けて吐出される反応液含有液に含まれる発熱液の割合を減少させることにより、基板に向けて吐出される反応液含有液の温度を吐出開始時の反応液含有液の温度より低下させる反応液濃度変更工程とを含む、基板処理方法である。この方法によれば、請求項1に関して述べた効果を奏することができる。
請求項
4に記載の発明は、前記反応液濃度変更工程は、発熱液の割合が反応液の割合よりも大きい混合比から発熱液の割合が反応液の割合よりも小さい混合比まで、基板に向けて吐出される反応液含有液に含まれる発熱液の割合を減少させることにより、基板に向けて吐出される反応液含有液の温度を吐出開始時の反応液含有液の温度よりも低下させる工程を含む、請求項1
〜3のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
【0013】
この方法によれば、高温の発熱液の割合が大きい反応液含有液が、基板の主面に向けて吐出される。その後、発熱液の割合が反応液の割合よりも大きい混合比から発熱液の割合が反応液の割合よりも小さい混合比まで、基板に向けて吐出される反応液含有液に含まれる発熱液の割合が減少される。したがって、基板に向けて吐出される反応液含有液の温度が緩やかに大きく低下する。そのため、薬液とリンス液の温度差が大きい場合、すなわち、第1温度と第2温度との差が大きい場合であっても、基板の温度を緩やかに且つ均一にリンス液の温度に近づけることができる。これにより、温度差に起因する基板の変形を抑制または防止できる。
【0014】
請求項
5に記載の発明は、前記反応液濃度変更工程は、基板に向けて吐出される反応液含有液に含まれる発熱液の割合を零まで減少させることにより、基板に向けて吐出される反応液含有液の温度を吐出開始時の反応液含有液の温度よりも低下させる工程を含む、請求項1
〜4のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
この方法によれば、反応液含有液に含まれる発熱液の割合が零まで減少される。したがって、反応液含有液に含まれる発熱液がなくなり、反応液だけが基板に向けて吐出される。そのため、基板に向けて吐出される反応液含有液の温度が緩やかに大きく低下し、反応液含有液の温度変化量が増加する。よって、薬液とリンス液の温度差が大きい場合であっても、基板の温度を緩やかに且つ均一にリンス液の温度に近づけることができる。
【0015】
請求項
6に記載の発明は、前記薬液供給工程で基板に供給される薬液は、反応薬液と、反応薬液よりも高温であり、反応薬液と混ざり合うことにより発熱する発熱薬液と、の混合液であり、吐出開始時の反応液含有液は、反応液としての反応薬液と、発熱液としての発熱薬液と、の混合液である、請求項1〜
5のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
【0016】
この方法によれば、反応薬液(たとえば、過酸化水素水)よりも高温の発熱薬液(たとえば、硫酸)が所定の混合比で反応薬液と混合されることにより、第1温度の薬液が生成される。同様に、発熱薬液が所定の混合比で反応薬液と混合されることにより、反応液含有液が生成される。発熱薬液と反応薬液とを含む反応液含有液は、薬液が基板に残留している状態で、基板に向けて吐出される。したがって、反応液含有液に含まれる反応薬液が、基板に残留している薬液に含まれる発熱薬液と混ざり合い、反応液含有液の着液位置およびその近傍の位置で発熱反応が発生する。そのため、着液位置近傍領域での基板の温度低下量が低減される。さらに、薬液と同じ成分薬液を含む液体、つまり薬液と親和性の高い液体が、反応液含有液として用いられるので、薬液と反応液含有液とを効率的に混合させることができる。
【0017】
請求項
7に記載の発明は、前記薬液供給工程で基板に供給される薬液は、反応薬液と、反応薬液よりも高温であり、反応薬液と混ざり合うことにより発熱する発熱薬液と、の混合液であり、吐出開始時の反応液含有液は、前記薬液供給工程で基板に供給される薬液と混ざり合うことにより発熱反応を発生させる反応液と、発熱薬液を含む発熱液としての発熱薬液含有液と、の混合液である、請求項1〜
6のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
【0018】
この方法によれば、反応薬液(たとえば、過酸化水素水)よりも高温の発熱薬液(たとえば、硫酸)が所定の混合比で反応薬液と混合されることにより、第1温度の薬液が生成される。同様に、発熱薬液を含む発熱液としての発熱薬液含有液が所定の混合比で反応液(たとえば、純水)と混合されることにより、反応液含有液が生成される。反応液および発熱薬液含有液を含む反応液含有液は、薬液が基板に残留している状態で、基板に向けて吐出される。したがって、反応液含有液に含まれる反応液が、基板に残留している薬液と混ざり合い、反応液含有液の着液位置およびその近傍の位置で発熱反応が発生する。そのため、着液位置近傍領域での基板の温度低下量が低減される。さらに、薬液と同じ成分薬液を含む液体が、反応液含有液として用いられるので、薬液と反応液含有液とを効率的に混合させることができる。
【0021】
前記基板処理方法は、前記反応液供給工程の前に、前記薬液供給工程で基板に供給された薬液が基板に残留している状態で、第1温度よりも高い加熱温度で基板および薬液を加熱する加熱工程をさらに含んでいてもよい。この場合、前記加熱工程は、基板の主面に対向する赤外線ヒータによって加熱温度で基板および薬液を加熱する赤外線加熱工程を含んでいてもよい。この方法によれば、基板および薬液の温度が、基板に供給される前の薬液の温度(第1温度)よりも高い加熱温度まで上昇するので、薬液処理の効率が高まる。
【0022】
請求項
8に記載の発明は、基板を保持して回転させる基板保持手段と、第1温度の薬液を前記基板保持手段に保持されている基板の主面に向けて吐出する薬液供給手段と、第1温度よりも低い第2温度のリンス液を前記基板保持手段に保持されている基板の主面に向けて吐出するリンス液供給手段と、薬液と混ざり合うことにより発熱反応を発生させる反応液と、反応液よりも高温であり、反応液と混ざり合うことにより発熱する発熱液とを混合することにより生成されており、液温が第1温度以下で第2温度以上の反応液含有液を、前記基板保持手段に保持されている基板の主面に向けて吐出する反応液ノズルと、前記反応液ノズルから吐出される反応液含有液に含まれる発熱液の割合を変更する濃度変更手段とを含む、反応液供給手段と、前記基板保持手段、薬液供給手段、リンス液供給手段、および反応液供給手段を制御する制御手段とを含む、基板処理装置である。
【0023】
前記制御手段は、第1温度の薬液を基板の主面に供給する薬液供給工程と、前記薬液供給工程の後に、第2温度のリンス液を基板の主面に供給することにより、基板に残留している液体を洗い流すリンス液供給工程と、液温が第1温度以下で第2温度以上の反応液含有液を、前記薬液供給工程の後でかつ前記リンス液供給工程の前に、前記薬液供給工程で基板に供給された薬液が基板に残留している状態で基板の主面に向けて吐出する反応液供給工程と、前記反応液供給工程と並行して、
基板に向けて吐出される反応液の流量を増加させて、基板に向けて吐出される反応液含有液に含まれる発熱液の割合を減少させることにより、基板に向けて吐出される反応液含有液の温度を吐出開始時の反応液含有液の温度より低下させる反応液濃度変更工程とを実行する。この構成によれば、制御手段が基板処理装置を制御することにより、前述の基板処理方法の各工程が実行される。したがって、前述の効果と同様の効果を奏することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の模式的な平面図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1に備えられたチャンバー4の内部を水平に見た模式図である。
図3は、スピンベース7およびこれに関連する構成の模式的な平面図である。
図4は、赤外線ヒータ58の縦断面図である。
【0026】
図1に示すように、基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、処理液や処理ガスによって基板Wを処理する複数の処理ユニット2と、各処理ユニット2のチャンバー4に対して基板Wの搬入および搬出を行う基板搬送ロボットCRと、基板処理装置1に備えられた装置の動作やバルブの開閉などを制御する制御装置3とを含む。
【0027】
図2に示すように、各処理ユニット2は、枚葉式のユニットである。各処理ユニット2は、内部空間を有する箱形のチャンバー4と、チャンバー4内で一枚の基板Wを水平な姿勢で保持して、基板Wの中心を通る鉛直な基板回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック5と、薬液やリンス液などの処理液をスピンチャック5に保持されている基板Wに供給する処理液供給装置と、スピンチャック5に保持されている基板Wを基板Wの上方から加熱する加熱装置と、基板回転軸線A1まわりにスピンチャック5を取り囲む筒状のカップ6とを含む。
【0028】
図2に示すように、スピンチャック5は、水平な姿勢で保持された円板状のスピンベース7と、スピンベース7の上面外周部から上方に突出する複数のチャックピン8と、複数のチャックピン8を開閉させる図示しないチャック開閉機構とを含む。スピンチャック5は、さらに、スピンベース7の中央部から基板回転軸線A1に沿って下方に延びるスピン軸9と、スピン軸9を回転させることによりスピンベース7およびチャックピン8を基板回転軸線A1まわりに回転させるスピンモータ10とを含む。
【0029】
図2に示すように、スピンベース7の外径は、基板Wの直径よりも大きい。スピンベース7の中心線は、基板回転軸線A1上に配置されている。複数のチャックピン8は、スピンベース7の外周部でスピンベース7に保持されている。複数のチャックピン8は、周方向(基板回転軸線A1まわりの方向)に間隔を空けて配置されている。チャックピン8は、チャックピン8が基板Wの周端面に押し付けられる閉位置と、チャックピン8が基板Wの周端面から離れる開位置との間で、鉛直なピン回動軸線まわりにスピンベース7に対して回転可能である。チャック開閉機構は、ピン回動軸線まわりにチャックピン8を回動させる。
【0030】
制御装置3は、チャック開閉機構を制御することにより、複数のチャックピン8が基板Wを把持する閉状態と、複数のチャックピン8による基板Wの把持が解除される開状態との間で、複数のチャックピン8の状態を切り替える。基板Wがスピンチャック5に搬送されるときには、制御装置3は、各チャックピン8を開位置に退避させる。この状態で制御装置3は、基板搬送ロボットCRを動作させることにより、基板Wを複数のチャックピン8に載置する。その後、制御装置3は、各チャックピン8を閉位置に移動させる。これにより、基板Wの下面とスピンベース7の上面とが上下方向に離れた状態で、基板Wが複数のチャックピン8に把持される。この状態で、制御装置3がスピンモータ10を回転させると、基板Wは、スピンベース7およびチャックピン8と共に基板回転軸線A1まわりに回転する。
【0031】
図2に示すように、処理ユニット2は、SPM(H
2SO
4とH
2O
2とを含む混合液)などの薬液を基板Wの上面に向けて吐出する第1薬液ノズル11と、第1薬液ノズル11が先端部に取り付けられた第1ノズルアーム12と、第1ノズルアーム12を移動させることにより、第1薬液ノズル11を移動させる第1ノズル移動装置13とを含む。
図2に示すように、反応液ノズルを兼ねる第1薬液ノズル11は、内向き姿勢で第1ノズルアーム12に保持されている。内向き姿勢は、処理液吐出口よりも内方(基板回転軸線A1側)の位置に処理液が着液するように基板Wの上面に対して傾いた吐出方向に処理液が吐出される姿勢である。第1薬液ノズル11は、内向き姿勢に限らず、基板Wの上面に垂直な方向に処理液を吐出する垂直姿勢で第1ノズルアーム12に保持されていてもよいし、処理液吐出口よりも外方(基板回転軸線A1とは反対側)の位置に処理液が着液するように基板Wの上面に対して傾いた吐出方向に処理液を吐出する外向き姿勢で第1ノズルアーム12に保持されていてもよい。
【0032】
図3に示すように、第1ノズル移動装置13は、スピンチャック5の周囲で鉛直方向に延びる第1ノズル回動軸線A2まわりに第1ノズルアーム12を回動させることにより、平面視で基板Wの上面中央部を通る軌跡に沿って第1薬液ノズル11を水平に移動させる。第1ノズル移動装置13は、第1薬液ノズル11から吐出された薬液が基板Wの上面に着液する処理位置と、第1薬液ノズル11が平面視でスピンチャック5の周囲に退避した退避位置(
図3に示す位置)との間で、第1薬液ノズル11を水平に移動させる。さらに、第1ノズル移動装置13は、第1薬液ノズル11から吐出された薬液が基板Wの上面中央部に着液する中央位置と、第1薬液ノズル11から吐出された薬液が基板Wの上面中間部に着液する中間位置と、第1薬液ノズル11から吐出された薬液が基板Wの上面周縁部に着液する周縁位置との間で、第1薬液ノズル11を水平に移動させる。中央位置、中間位置、および周縁位置は、いずれも処理位置である。
【0033】
基板Wの上面中央部は、上面の中心を含む円形の領域であり、基板Wの上面周縁部は、上面の外縁を含む環状の領域である。基板Wの上面中間部は、上面中央部の外縁と上面周縁部の内縁との間の環状の領域である。基板Wの上面中央部、上面中間部、および上面周縁部の幅の一例は、次の通りである。中央部の幅(基板Wの中心から中央部の外縁までの径方向の距離):基板Wの半径の5/15。中間部の幅(中間部の内縁から中間部の外縁までの径方向の距離):基板Wの半径の9/15。周縁部の幅(周縁部の内縁から周縁部の外縁までの径方向の距離):基板Wの半径の1/15。これら割合は一例であって、他の割合の適用を妨げるものではない。
【0034】
図2に示すように、処理ユニット2は、SPMなどの薬液を第1薬液ノズル11に案内する第1薬液配管14と、第1薬液配管14内の硫酸および過酸化水素水を撹拌する撹拌配管15と、第1薬液配管14に供給される硫酸および過酸化水素水を撹拌配管15の上流で混合する混合バルブ16とを含む。
図2に示すように、処理ユニット2は、発熱薬液の一例である硫酸(液体)を収容する硫酸タンク17と、硫酸を加熱することにより硫酸タンク17内の硫酸の温度を室温よりも高い温度(60〜90℃の範囲内の一定温度。たとえば、80℃)に維持する第1ヒータ21と、硫酸タンク17内の硫酸を混合バルブ16に案内する硫酸配管18と、硫酸配管18の内部を開閉する硫酸バルブ19と、硫酸配管18から混合バルブ16に供給される硫酸の流量を増減させる硫酸流量調整バルブ20とを含む。
【0035】
図2に示すように、処理ユニット2は、反応薬液の一例である過酸化水素水を収容する過酸化水素水タンク22と、過酸化水素水タンク22内の室温(20〜30℃の範囲内で、たとえば25℃)の過酸化水素水を混合バルブ16に案内する過酸化水素水配管23と、過酸化水素水配管23の内部を開閉する過酸化水素水バルブ24と、過酸化水素水配管23から混合バルブ16に供給される過酸化水素水の流量を増減させる過酸化水素水流量調整バルブ25とを含む。
【0036】
図2に示すように、処理ユニット2は、さらに、純水供給源からの純水を第1薬液配管14内に案内する純水配管26と、純水配管26の内部を開閉する純水バルブ27と、純水配管26から第1薬液配管14に供給される過酸化水素水の流量を増減させる純水流量調整バルブ28とを含む。純水配管26の下流端は、撹拌配管15よりも上流側の位置で第1薬液配管14に接続されている。図示はしないが、純水流量調整バルブ28は、弁座が内部に設けられたバルブボディと、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータとを含む。他の流量調整バルブについても同様である。
【0037】
硫酸バルブ19が開かれると、高温の硫酸が、硫酸流量調整バルブ20の開度に対応する流量で、硫酸配管18から混合バルブ16に供給される。また、過酸化水素水バルブ24が開かれると、過酸化水素水タンク22内の室温の過酸化水素水が、過酸化水素水流量調整バルブ25の開度に対応する流量で、過酸化水素水配管23から混合バルブ16に供給される。これにより、硫酸および過酸化水素水が、所定の割合(硫酸の割合を「X1」とし、過酸化水素水の割合を「Y1」とすると、たとえば、X1>Y1)で混合バルブ16に供給される。
【0038】
混合バルブ16に供給された硫酸および過酸化水素水は、撹拌配管15を経て第1薬液配管14から第1薬液ノズル11に供給される。その過程で、硫酸および過酸化水素水が、混合バルブ16で混合され、撹拌配管15で撹拌される。これにより、硫酸および過酸化水素水が均一に混ざり合い、硫酸および過酸化水素水の反応によって硫酸および過酸化水素水の混合液(SPM)が混合前の硫酸および過酸化水素水の温度よりも高い第1温度(100℃以上。たとえば、160℃)まで加熱される。そのため、硫酸および過酸化水素水の混合によって生成された高温(第1温度)のSPMが第1薬液ノズル11から吐出される。SPMは、酸化力が強いペルオキソ一硫酸(Peroxymonosulfuric acid)を含む混合薬液である。
【0039】
また、硫酸バルブ19および過酸化水素水バルブ24が閉じられており、純水バルブ27が開かれているとき、純水供給源からの室温の純水が、混合バルブ16を迂回して純水配管26から第1薬液配管14に流れる。これにより、室温の純水が、純水流量調整バルブ28の開度に対応する流量で、純水配管26から第1薬液配管14に供給される。したがって、硫酸バルブ19、過酸化水素水バルブ24、および純水バルブ27が開かれているときには、3つの流量調整バルブ(硫酸流量調整バルブ20、過酸化水素水流量調整バルブ25、および純水流量調整バルブ28)の開度に対応する混合比で混合されたSPMと純水との混合比が、第1薬液ノズル11から吐出される。
【0040】
図2に示すように、処理ユニット2は、SC1(NH
4OHとH
2O
2とを含む混合液)などの薬液を基板Wの上面に向けて吐出する第2薬液ノズル29と、第2薬液ノズル29が先端部に取り付けられた第2ノズルアーム30と、第2ノズルアーム30を移動させることにより、第2薬液ノズル29を移動させる第2ノズル移動装置31とを含む。
図2は、第2薬液ノズル29が内向き姿勢で第2ノズルアーム30に保持されている例を示している。第2薬液ノズル29は、内向き姿勢に限らず、垂直姿勢または外向き姿勢で第2ノズルアーム30に保持されていてもよい。
【0041】
図3に示すように、第2ノズル移動装置31は、スピンチャック5の周囲で鉛直方向に延びる第2ノズル回動軸線A3まわりに第2ノズルアーム30を回動させることにより、平面視で基板Wの上面中央部を通る軌跡に沿って第2薬液ノズル29を水平に移動させる。第2ノズル移動装置31は、第2薬液ノズル29から吐出された薬液が基板Wの上面に着液する処理位置と、第2薬液ノズル29が平面視でスピンチャック5の周囲に退避した退避位置との間で、第2薬液ノズル29を水平に移動させる。さらに、第2ノズル移動装置31は、中央位置と中間位置と周縁位置との間で、第2薬液ノズル29を水平に移動させる。
【0042】
図2に示すように、処理ユニット2は、SPMの温度(第1温度)よりも低く室温よりも高い温度(たとえば、30〜50℃)のSC1を第2薬液ノズル29に案内する第2薬液配管33と、第2薬液配管33の内部を開閉する第2薬液バルブ34とを含む。第2薬液バルブ34が開かれると、第2薬液供給源からのSC1が、第2薬液配管33から第2薬液ノズル29に供給される。これにより、たとえば40℃のSC1(液体)が、第2薬液ノズル29から吐出される。
【0043】
図2に示すように、処理ユニット2は、リンス液を基板Wの上面に向けて吐出するリンス液ノズル36と、リンス液ノズル36が先端部に取り付けられた第3ノズルアーム37と、第3ノズルアーム37を移動させることにより、リンス液ノズル36を移動させる第3ノズル移動装置38とを含む。
図2は、リンス液ノズル36が内向き姿勢で第3ノズルアーム37に保持されている例を示している。リンス液ノズル36は、内向き姿勢に限らず、垂直姿勢または外向き姿勢で第3ノズルアーム37に保持されていてもよい。
【0044】
図示はしないが、第3ノズル移動装置38は、スピンチャック5の周囲で鉛直方向に延びる第3ノズル回動軸線まわりに第3ノズルアーム37を回動させることにより、平面視で基板Wの上面中央部を通る軌跡に沿ってリンス液ノズル36を水平に移動させる。第3ノズル移動装置38は、リンス液ノズル36から吐出されたリンス液が基板Wの上面に着液する処理位置と、リンス液ノズル36が平面視でスピンチャック5の周囲に退避した退避位置との間で、リンス液ノズル36を水平に移動させる。さらに、第3ノズル移動装置38は、中央位置と中間位置と周縁位置との間で、リンス液ノズル36を水平に移動させる。
【0045】
図2に示すように、処理ユニット2は、リンス液供給源からのリンス液をリンス液ノズル36に案内する第1リンス液配管39と、第1リンス液配管39の内部を開閉する第1リンス液バルブ40と、第1リンス液配管39からリンス液ノズル36に供給されるリンス液の流量を増減させる第1リンス液流量調整バルブ41とを含む。
第1リンス液バルブ40が開かれると、室温(たとえば、25℃)のリンス液が、第1リンス液流量調整バルブ41の開度に対応する流量で、リンス液ノズル36から吐出される。リンス液ノズル36から吐出されるリンス液は、純水(脱イオン水:Deionzied water)である。リンス液ノズル36に供給されるリンス液は、純水に限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、IPA(イソプロピルアルコール、)または希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水、などであってもよい。
【0046】
図2に示すように、処理ユニット2は、加熱液を基板Wの下面中央部に向けて吐出する下面ノズル45と、加熱液を下面ノズル45に案内する加熱液配管46と、加熱液配管46の内部を開閉する加熱液バルブ47と、加熱液配管46から下面ノズル45に供給される加熱液の流量を増減させる加熱液流量調整バルブ48と、加熱液配管46から下面ノズル45に供給される加熱液加熱液をSPMの温度(第1温度)よりも低く室温よりも高い温度(たとえば、50〜90℃)で加熱する加熱液ヒータ49とを含む。
【0047】
加熱液バルブ47が開かれると、加熱液供給源からの加熱液が、加熱液流量調整バルブ48の開度に対応する流量で、加熱液配管46から下面ノズル45に供給される。これにより、加熱流体(加熱液)の一例である高温(たとえば、60℃)の加熱液が、下面ノズル45から吐出される。
図2に示すように、下面ノズル45に供給される加熱液は、加熱された純水である。下面ノズル45に供給される加熱液の種類は、純水に限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、IPA(イソプロピルアルコール、)または希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水、などであってもよい。
【0048】
図2および
図3に示すように、下面ノズル45は、スピンベース7の上面中央部と基板Wの下面中央部との間の高さに水平な姿勢で配置された円板部50と、円板部50から下方に延びる筒状部51とを含む。加熱液配管46からの加熱液は、筒状部51の内部に供給され、円板部50の上面で開口する吐出口45aから上向きに吐出される。円板部50および筒状部51は、スピン軸9などの回転部に非接触であり、下面ノズル45は、一定の位置に固定されている。筒状部51は、筒状のスピン軸9内に配置されている。スピン軸9の内周面は、径方向に間隔を空けて筒状部51の外周面を全周にわたって取り囲んでいる。
図2に示すように、スピン軸9の内周面と筒状部51の外周面とは、基板回転軸線A1に沿って延びる筒状の気体流路52を形成している。気体吐出口53としての気体流路52の上端は、スピンベース7の上面中央部で開口している。
【0049】
図2に示すように、処理ユニット2は、気体供給源からの気体を気体流路52に案内する気体配管54と、気体配管54の内部を開閉する気体バルブ55と、気体配管54から気体流路52に供給される気体の流量を増減させる気体流量調整バルブ56と、気体配管54から気体流路52に供給される気体をSPMの温度(第1温度)よりも低く室温よりも高い温度(たとえば、50〜90℃)で加熱する気体ヒータ57とを含む。
【0050】
気体バルブ55が開かれると、気体供給源からの気体が、気体流量調整バルブ56の開度に対応する流量で、気体配管54から気体流路52に供給される。気体流路52に供給された気体は、気体流路52内を上方に流れ、気体吐出口53から上方に吐出される。そして、気体吐出口53から吐出された気体は、基板Wの下面とスピンベース7の上面との間を放射状に広がる。これにより、基板Wの下面とスピンベース7の上面との間の空間が、加熱流体(加熱ガス)の一例である高温(たとえば、80℃)の気体で満たされる。気体吐出口53から吐出される気体は、不活性ガスの一例である窒素ガスである。気体は、窒素ガスに限らず、窒素ガス以外の不活性ガスであってもよいし、水蒸気などの他の気体であってもよい。
【0051】
図2に示すように、カップ6は、スピンチャック5に保持されている基板Wよりも外方に配置されている。カップ6は、スピンベース7を取り囲んでいる。スピンチャック5が基板Wを回転させている状態で処理液が基板Wに供給されると、処理液が基板Wから基板Wの周囲に飛散する。処理液が基板Wに供給されるとき、上向きに開いたカップ6の上端部は、スピンベース7よりも上方に配置される。したがって、基板Wの周囲に排出された薬液やリンス液などの処理液は、カップ6によって受け止められる。そして、カップ6に受け止められた処理液は、図示しない回収装置または排液装置に送られる。
【0052】
図2に示すように、加熱装置は、スピンチャック5に保持されている基板Wの上方に配置された赤外線ヒータ58と、赤外線ヒータ58が先端部に取り付けられたヒータアーム59と、ヒータアーム59を移動させることにより、赤外線ヒータ58を移動させるヒータ移動装置60とを含む。
図2に示すように、赤外線ヒータ58は、赤外線を含む光を発する赤外線ランプ61と、赤外線ランプ61を収容するランプハウジング62とを含む。赤外線ランプ61は、ランプハウジング62内に配置されている。
図3に示すように、ランプハウジング62は、平面視で基板Wよりも小さい。したがって、赤外線ヒータ58は、平面視で基板Wよりも小さい。赤外線ランプ61およびランプハウジング62は、ヒータアーム59に取り付けられている。したがって、赤外線ランプ61およびランプハウジング62は、ヒータアーム59と共に移動する。
【0053】
図4に示すように、赤外線ランプ61は、制御装置3に接続されている。赤外線ランプ61に供給される電力は、制御装置3によって調整される。赤外線ランプ61は、たとえばハロゲンランプである。赤外線ランプ61は、ハロゲンランプの代わりに、カーボンヒータ等の他の発熱体であってもよい。赤外線ランプ61は、フィラメントと、フィラメントを収容する石英管とを含む。ランプハウジング62の少なくとも一部は、石英などの光透過性および耐熱性を有する材料で形成されている。したがって、赤外線ランプ61が光を発すると、赤外線ランプ61からの光が、ランプハウジング62を透過してランプハウジング62の外面から外方に放出される。
【0054】
図4に示すように、ランプハウジング62は、基板Wの上面と平行な底壁を有している。赤外線ランプ61は、底壁の上方に配置されている。底壁の下面は、基板Wの上面と平行でかつ平坦な基板対向面58aを含む。赤外線ヒータ58が基板Wの上方に配置されている状態では、赤外線ヒータ58の基板対向面58aが、間隔を空けて基板Wの上面に上下方向に対向する。この状態で赤外線ランプ61が光を発すると、赤外線を含む光が、基板対向面58aから基板Wの上面に向かい、基板Wの上面に照射される。基板対向面58aは、たとえば、直径が基板Wの半径よりも小さい円形である。基板対向面58aは、円形に限らず、長手方向の長さが基板Wの半径以上で基板Wの直径未満である矩形状であってもよいし、円形および矩形以外の形状であってもよい。
【0055】
図4に示すように、赤外線ランプ61は、水平面に沿って配置された有端の円環部63と、円環部63の一端部および他端部から上方に延びる一対の鉛直部64とを含む。ランプハウジング62は、赤外線を透過させる透過部材を含む。透過部材は、上下方向に延びる筒状の収容部65と、収容部65の下端を塞ぐ円板状の底板部66とを含む。ランプハウジング62は、さらに、収容部65の上端を塞ぐ蓋部材67と、赤外線ランプ61の一対の鉛直部64を支持する支持部材68とを含む。赤外線ランプ61は、支持部材68を介して蓋部材67に支持されている。赤外線ランプ61の円環部63は、収容部65と底板部66と蓋部材67とによって区画された空間に配置されている。底板部66は、赤外線ランプ61の下方に配置されており、間隔を空けて赤外線ランプ61に上下方向に対向している。
【0056】
図2に示すように、ヒータ移動装置60は、赤外線ヒータ58を所定の高さで保持している。
図3に示すように、ヒータ移動装置60は、スピンチャック5の周囲で鉛直方向に延びるヒータ回動軸線A4まわりにヒータアーム59を回動させることにより、赤外線ヒータ58を水平に移動させる。これにより、赤外線が照射される照射位置(基板Wの上面内の一部の領域)が基板Wの上面内で移動する。ヒータ移動装置60は、平面視で基板Wの中心を通る軌跡に沿って赤外線ヒータ58を水平に移動させる。したがって、赤外線ヒータ58は、スピンチャック5の上方を含む水平面内で移動する。また、ヒータ移動装置60は、赤外線ヒータ58を鉛直方向に移動させることにより、基板対向面58aと基板Wとの距離を変化させる。
【0057】
図4に示すように、赤外線ヒータ58からの光は、基板Wの上面内の照射位置に照射される。制御装置3は、赤外線ヒータ58が赤外線を発している状態で、スピンチャック5によって基板Wを回転させながら、ヒータ移動装置60によって赤外線ヒータ58をヒータ回動軸線A4まわりに回動させる。これにより、基板Wの上面が、加熱位置としての照射位置によって走査される。そのため、処理液などの液体が基板W上に保持されている状態で赤外線ランプ61が赤外線を発すると、基板Wおよび処理液の温度が上昇する。
【0058】
図5は、処理ユニット2によって行われる第1処理例の概略を示すタイムチャートである。
図6は、第1処理例の一部の具体的なタイムチャートである。以下では、
図2および
図5を参照して、不要になったレジストパターンを基板Wから除去するレジスト除去工程について説明する。
図6については適宜参照する。
処理ユニット2によって基板Wが処理されるときには、チャンバー4内に基板Wを搬入する搬入工程(
図5のステップS1)が行われる。具体的には、制御装置3は、全てのノズル等がスピンチャック5の上方から退避している状態で、基板Wを保持している基板搬送ロボットCRのハンドをチャンバー4内に進入させる。そして、制御装置3は、基板搬送ロボットCRに基板Wを複数のチャックピン8上に載置させる。その後、制御装置3は、基板搬送ロボットCRのハンドをチャンバー4内から退避させる。また、制御装置3は、基板Wが複数のチャックピン8上に載置された後、各チャックピン8を開位置から閉位置に移動させる。その後、制御装置3は、スピンモータ10によって基板Wの回転を開始させる。
【0059】
次に、第1薬液の一例である高温(第1温度)のSPMを基板Wに供給する第1薬液供給工程(
図5のステップS2)が行われる。具体的には、制御装置3は、スピンモータ10を制御することにより、第1薬液回転速度V1(
図6参照)まで基板Wを加速させ、第1薬液回転速度V1で基板Wを回転させる。すなわち、制御装置3は、基板Wの回転速度を第1薬液回転速度V1に維持する。さらに、制御装置3は、第1ノズル移動装置13を制御することにより、第1薬液ノズル11を退避位置から処理位置に移動させる。これにより、第1薬液ノズル11が基板Wの上方に配置される。その後、制御装置3は、硫酸バルブ19および過酸化水素水バルブ24を開いて、第1温度(たとえば、160℃)のSPMを第1薬液回転速度V1で回転している基板Wの上面に向けて第1薬液ノズル11に吐出させる。制御装置3は、第1ノズル移動装置13を制御することにより、この状態で基板Wの上面に対するSPMの着液位置を中央部と周縁部との間で移動させる。
【0060】
第1薬液ノズル11から吐出されたSPMは、基板Wの上面に着液した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。そのため、SPMが基板Wの上面全域に供給され、基板Wの上面全域を覆うSPMの液膜が基板W上に形成される。これにより、レジスト膜とSPMとが化学反応し、基板W上のレジスト膜がSPMによって基板Wから除去される。さらに、制御装置3は、基板Wが回転している状態で、基板Wの上面に対するSPMの着液位置を中央部と周縁部との間で移動させるので、SPMの着液位置が、基板Wの上面全域を通過し、基板Wの上面全域が走査される。そのため、第1薬液ノズル11から吐出されたSPMが、基板Wの上面全域に供給され、基板Wの上面全域が均一に処理される。
【0061】
次に、SPMの吐出を停止させた状態でSPMの液膜を基板W上に保持するパドル工程(
図5のステップS3)が行われる。具体的には、制御装置3は、スピンモータ10を制御することにより、基板Wの上面全域がSPMの液膜に覆われている状態で、第1薬液供給工程での基板Wの回転速度(第1薬液回転速度V1)よりも小さい第2薬液回転速度V2(
図6参照)まで基板Wを減速させ、第2薬液回転速度V2で基板Wを回転させる。そのため、基板W上のSPMに加わる遠心力が弱まり、基板W上から排出されるSPMの量が減少する。制御装置3は、基板Wが第2薬液回転速度V2で回転している状態で、硫酸バルブ19および過酸化水素水バルブ24を閉じて、第1薬液ノズル11からのSPMの吐出を停止させる。これにより、SPMの吐出が停止された状態で、基板Wの上面全域を覆うSPMの液膜が基板W上に保持される。制御装置3は、SPMの吐出を停止した後、第1ノズル移動装置13を制御することにより、第1薬液ノズル11を基板Wの上方で待機させる。
【0062】
また、赤外線ヒータ58によって基板Wおよび基板W上のSPMを基板Wに供給される前のSPMの温度(第1温度)よりも高温の加熱温度で加熱する加熱工程(
図5のステップS4)が、第1薬液供給工程(
図5のステップS2)およびパドル工程(
図5のステップS3)と並行して行われる。具体的には、制御装置3は、ヒータ移動装置60を制御することにより、赤外線ヒータ58を退避位置から処理位置に移動させる。これにより、赤外線ヒータ58が基板Wの上方に配置される。その後、制御装置3は、赤外線ヒータ58に発光を開始させる。これにより、赤外線ヒータ58の温度が、SPMのその濃度における沸点以上の加熱温度(たとえば、200℃以上)まで上昇し、加熱温度に維持される。
【0063】
赤外線ヒータ58が基板Wの上方で発光を開始した後、制御装置3は、ヒータ移動装置60によって赤外線ヒータ58を移動させることにより、基板Wの上面に対する赤外線の照射位置を基板Wの上面内で移動させる。そして、制御装置3は、赤外線ヒータ58による基板Wの加熱が所定時間にわたって行われた後、基板Wが第2薬液回転速度V2で回転しており、基板Wの上面全域を覆うSPMの液膜が基板W上に保持されている状態で、赤外線ヒータ58の発光を停止させる。その後、制御装置3は、ヒータ移動装置60を制御することにより、赤外線ヒータ58を基板Wの上方から退避させる。なお、赤外線ヒータ58の発光と移動は、同時に行われてもよいし、発光してから移動を開始してもよい。
【0064】
このように、制御装置3は、基板Wを回転させている状態で、基板Wの上面に対する赤外線の照射位置を基板Wの上面内で移動させるので、基板Wが均一に加熱される。したがって、基板Wの上面全域を覆うSPMの液膜も均一に加熱される。赤外線ヒータ58による基板Wの加熱温度は、SPMのその濃度における沸点以上の温度に設定されている。そのため、基板W上のSPMが、その濃度における沸点まで加熱される。特に、赤外線ヒータ58による基板Wの加熱温度が、SPMのその濃度における沸点よりも高温に設定されている場合には、基板WとSPMとの界面の温度が、沸点よりも高温に維持され、基板Wからの異物(レジスト膜)の除去が促進される。
【0065】
次に、反応液含有液の一例であるSPMを基板Wに供給する反応液供給工程(
図5のステップS5)と、過酸化水素水と混合される硫酸の割合を減少させることにより、基板Wに向けて吐出されるSPM中の過酸化水素水の割合を増加させる反応液濃度変更工程(
図5のステップS6)とが、並行して行われる。さらに、反応液供給工程および反応液濃度変更工程と並行して、SPMの温度(第1温度)よりも低く、かつ後述する第1リンス液供給工程(
図5のステップS8)で基板Wに供給されるリンス液の温度(第2温度)よりも高い第1中間温度の加熱流体の一例である純水を基板Wの下面に供給する第1温度低下抑制工程(
図5のステップS7)とが、並行して行われる。
【0066】
反応液供給工程に関しては、制御装置3は、第1ノズル移動装置13を制御することにより、第1薬液ノズル11から吐出された処理液が基板Wの上面中間部に着液する中間位置に第1薬液ノズル11を位置させる。その後、制御装置3は、硫酸バルブ19および過酸化水素水バルブ24を開いて、第1温度のSPM(反応液含有液)を、第2薬液回転速度V2で回転している基板Wの上面に向けて第1薬液ノズル11に吐出させる。これにより、基板Wと未反応の新しいSPM(反応液含有液)の供給が基板Wの上面中間部で開始される。
【0067】
SPM(反応液含有液)の供給が開始された後、制御装置3は、第1ノズル移動装置13を制御することにより、基板Wが第2薬液回転速度V2で回転している状態で、第1薬液ノズル11を上面中間部から中央位置に移動させる。これにより、基板Wの上面に対するSPMの着液位置が中央部に移動する。その後、制御装置3は、硫酸バルブ19および過酸化水素水バルブ24を閉じて、第1薬液ノズル11からのSPMの吐出を停止させる。続いて、制御装置3は、第1ノズル移動装置13を制御することにより、第1薬液ノズル11を基板Wの上方から退避させる。これにより、反応液供給工程が終了する。
【0068】
反応液濃度変更工程に関しては、制御装置3は、反応液供給工程が行われている間、硫酸流量調整バルブ20および過酸化水素水流量調整バルブ25の開度を調整することにより、第1薬液ノズル11から吐出される反応液含有液の吐出流量を一定に維持しながら、硫酸および過酸化水素水の混合比を変更する。
図6の上段に示すように、制御装置3は、たとえば、第1薬液ノズル11に供給される硫酸の流量を徐々に減少させると共に、第1薬液ノズル11に供給される過酸化水素水の流量を徐々に増加させる。最終的に、制御装置3は、硫酸および過酸化水素水の混合比を、たとえば2(硫酸)対1(過酸化水素水)から1(硫酸)対1(過酸化水素水)に連続的または段階的に変更する。そのため、SPMの吐出が停止される直前の混合比は、1(硫酸)対1(過酸化水素水)に設定される。
【0069】
なお、反応液濃度変更工程では、第1薬液供給工程(
図5のステップS2)での混合比(例えば、10(硫酸)対1(過酸化水素水))で処理を開始した後に、徐々に混合比が変化してもよい。さらに、反応液濃度変更工程の最終段階では、硫酸の割合が零まで減少されてもよい。
第1温度低下抑制工程に関しては、制御装置3は、第1中間温度(たとえば、室温よりも高い温度)の純水を、第2薬液回転速度V2で回転している基板Wの下面に向けて下面ノズル45に吐出させる。下面ノズル45から吐出された純水は、基板Wの下面中央部に着液した後、遠心力によって基板Wの周縁まで基板Wの下面に沿って外方に流れる。これにより、純水が基板Wの下面全域に供給される。そのため、基板WおよびSPMの温度低下が抑制される。制御装置3は、加熱液バルブ47が開かれてから所定時間が経過すると、加熱液バルブ47を閉じて下面ノズル45からの純水の吐出を停止させる。その後、制御装置3は、気体バルブ55を開閉することより、窒素ガスを気体吐出口53から一時的に吐出させる。これにより、基板Wとスピンベース7との間から純水が排出される。
【0070】
反応液供給工程では、反応液含有液(SPM)に含まれる過酸化水素水の割合が徐々に高められる。室温の過酸化水素水の比率が高まると、反応液含有液の温度は、第1温度よりも低く、室温以上の温度まで低下する。基板Wの上面中央部に着液した反応液含有液は、着液位置から着液位置の周囲に基板W上を広がる。さらに、基板W上の反応液含有液は、基板W上を回転方向の下流側に周方向に流れながら、基板Wの周縁に向かって基板W上を外方に流れる。これにより、基板WおよびSPMよりも低温の反応液含有液がSPMの液膜で覆われた基板Wの上面全域に供給される。そのため、反応液含有液は、反応液含有液よりも高温の基板WおよびSPMの熱を奪いながら基板W上を流れる。
【0071】
反応液供給工程では、赤外線ヒータ58による加熱温度よりも低温の反応液含有液が基板Wに供給されるので、基板WおよびSPMの温度(特に着液位置およびその近傍での温度)が低下する。しかし、基板W上のSPMに含まれる硫酸と、反応液含有液に含まれる硫酸とが、反応液含有液に含まれる過酸化水素水との反応によって発熱するので、着液位置での基板WおよびSPMの大幅な温度低下が抑制または防止される。さらに、反応液供給工程と並行して第1温度低下抑制工程が行われるので、着液位置での基板WおよびSPMの温度低下量が低減される。そのため、着液位置とその他の位置との間での基板Wの温度差の増加を抑えることができる。これにより、温度差に起因する基板Wの変形を抑えることができ、基板Wの歪み量を低減できる。
【0072】
さらに、反応液供給工程と並行して反応液濃度変更工程が行われるので、反応液含有液中の硫酸濃度が徐々に低下することにより、反応熱の生成量が徐々に減少する。したがって、基板Wに供給される反応液含有液自体の温度が徐々に低下する。そのため、反応液供給工程では、基板WおよびSPMの温度が、反応液含有液の供給によって次第に低下していく。したがって、基板WおよびSPMと反応液含有液との温度差は、反応液含有液の供給開始時が最も大きい。反応液含有液の供給は、基板Wの上面中央部よりも周速が大きい基板Wの上面中間部で開始される。そのため、反応液含有液の供給が基板Wの上面中央部で開始される場合よりも、単位面積当たりの反応液含有液の供給流量が少ない。よって、着液位置での基板WおよびSPMの温度が、多量の反応液含有液の供給によって急激にかつ大幅に低下することを抑制または防止できる。さらに、基板Wの上面中央部に着液した反応液含有液は、基板Wの上面周縁部を経て基板Wの周囲に排出されるので、反応液含有液の供給が基板Wの上面周縁部で開始される場合よりも、基板W上での反応液含有液の滞在時間が長い。そのため、反応液含有液を効率的に利用できる。
【0073】
また、第1薬液ノズル11は、内向きに反応液含有液を吐出する。したがって、第1薬液ノズル11から吐出された反応液含有液は、基板W上を主として着液位置から内方に流れる。そのため、第1薬液ノズル11が基板Wの上面に垂直な方向に反応液含有液を吐出する場合や、第1薬液ノズル11が外向きに反応液含有液を吐出する場合よりも短時間で着液位置よりも内方の領域に反応液含有液を広げることができる。さらに、着液位置から内方に流れる反応液含有液の流量が増加するので、基板W上での反応液含有液の滞在時間が増加する。そのため、反応液含有液を効率的に利用できる。
【0074】
次に、第2温度のリンス液の一例である室温の純水を基板Wに供給する第1リンス液供給工程(
図5のステップS8)が行われる。具体的には、制御装置3は、第3ノズル移動装置38を制御することにより、リンス液ノズル36を退避位置から処理位置に移動させる。その後、制御装置3は、第1リンス液バルブ40を開いて、室温の純水を基板Wの上面中央部に向けてリンス液ノズル36に吐出させる。さらに、制御装置3は、スピンモータ10を制御することにより、第1薬液回転速度V1および第2薬液回転速度V2よりも大きいリンス回転速度V3(
図6参照)まで基板Wを加速させ、リンス回転速度V3で基板Wを回転させる。そして、第1リンス液バルブ40が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置3は、第1リンス液バルブ40を閉じて、リンス液ノズル36からの純水の吐出を停止させる。その後、制御装置3は、第3ノズル移動装置38を制御することにより、リンス液ノズル36を基板Wの上方から退避させる。
【0075】
リンス液ノズル36から吐出された純水は、薬液または反応液含有液によって覆われている基板Wの上面中央部に着液する。そのため、基板W上の薬液が中央部からその周囲に押し流される。基板Wの上面中央部に着液した純水は、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。同様に、基板W上の薬液は、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。さらに、第1薬液回転速度V1および第2薬液回転速度V2よりも大きいリンス回転速度V3で基板Wが回転しているので、第1薬液供給工程および反応液供給工程のときよりも大きな遠心力が基板W上の液体に加わる。そのため、純水の液膜が基板Wの中央部から基板Wの周縁まで瞬時に広がり、基板W上の薬液が短時間で純水に置換される。これにより、基板W上の薬液が純水によって洗い流される。
【0076】
次に、基板Wに供給される前の温度がSPMの温度(第1温度)より低く、リンス液の温度(第2温度)よりも高い第2薬液の一例であるSC1を基板Wに供給する第2薬液供給工程(
図5のステップS9)と、基板Wに供給される前の温度がSPMの温度(第1温度)より低く、リンス液の温度(第2温度)よりも高い第2中間温度の加熱流体の一例である純水を基板Wの下面に供給する第2温度低下抑制工程(
図5のステップS10)とが、並行して行われる。
【0077】
第2薬液供給工程に関しては、制御装置3は、第2ノズル移動装置31を制御することにより、第2薬液ノズル29を退避位置から処理位置に移動させる。制御装置3は、第2薬液ノズル29が基板Wの上方に配置された後、第2薬液バルブ34を開いて、回転状態の基板Wの上面に向けてSC1を第2薬液ノズル29に吐出させる。制御装置3は、この状態で第2ノズル移動装置31を制御することにより、基板Wの上面に対するSC1の着液位置を中央部と周縁部との間で移動させる。そして、第2薬液バルブ34が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置3は、第2薬液バルブ34を閉じてSC1の吐出を停止させる。その後、制御装置3は、第2ノズル移動装置31を制御することにより、第2薬液ノズル29を基板Wの上方から退避させる。
【0078】
第2薬液ノズル29から吐出されたSC1は、基板Wの上面に着液した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。そのため、基板W上の純水は、SC1によって外方に押し流され、基板Wの周囲に排出される。これにより、基板W上の純水の液膜が、基板Wの上面全域を覆うSC1の液膜に置換される。さらに、制御装置3は、基板Wが回転している状態で、基板Wの上面に対するSC1の着液位置を中央部と周縁部との間で移動させるので、SC1の着液位置が、基板Wの上面全域を通過し、基板Wの上面全域が走査される。そのため、第2薬液ノズル29から吐出されたSC1が、基板Wの上面全域に供給され、基板Wの上面全域が均一に処理される。
【0079】
第2温度低下抑制工程に関しては、制御装置3は、制御装置3は、第2中間温度の純水を、回転している基板Wの下面に向けて下面ノズル45に吐出させる。これにより、純水が基板Wの下面全域に供給される。そのため、第2温度のリンス液の供給によって第2温度まで温度が低下した基板Wの温度が、第2温度よりも高温のSC1の供給によって局所的に変化することを防止できる。制御装置3は、加熱液バルブ47が開かれてから所定時間が経過すると、加熱液バルブ47を閉じて下面ノズル45からの純水の吐出を停止させる。その後、制御装置3は、気体バルブ55を開閉することより、窒素ガスを気体吐出口53から一時的に吐出させる。これにより、基板Wとスピンベース7との間から純水が排出される。
【0080】
次に、リンス液の一例である室温の純水を基板Wに供給する第2リンス液供給工程(
図5のステップS11)が行われる。具体的には、制御装置3は、第3ノズル移動装置38を制御することにより、リンス液ノズル36を退避位置から処理位置に移動させる。制御装置3は、リンス液ノズル36が基板Wの上方に配置された後、第1リンス液バルブ40を開いて、回転状態の基板Wの上面に向けてリンス液ノズル36に純水を吐出させる。これにより、基板W上のSC1が、純水によって外方に押し流され、基板Wの周囲に排出される。そのため、基板W上のSC1の液膜が、基板Wの上面全域を覆う純水の液膜に置換される。そして、第1リンス液バルブ40が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置3は、第1リンス液バルブ40を閉じて純水の吐出を停止させる。その後、制御装置3は、第1ノズル移動装置13を制御することにより、リンス液ノズル36を基板Wの上方から退避させる。
【0081】
次に、基板Wを乾燥させる乾燥工程(
図5のステップS12)が行われる。具体的には、制御装置3は、スピンモータ10を制御することにより、第1薬液供給工程(
図5のステップS2)から第2リンス液供給工程(
図5のステップS11)までの回転速度よりも大きい乾燥回転速度(たとえば数千rpm)まで基板Wを加速させ、乾燥回転速度で基板Wを回転させる。これにより、大きな遠心力が基板W上の液体に加わり、基板Wに付着している液体が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから液体が除去され、基板Wが乾燥する。そして、基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、制御装置3は、スピンモータ10を制御することにより、スピンチャック5による基板Wの回転を停止させる。
【0082】
次に、基板Wをチャンバー4内から搬出する搬出工程(
図5のステップS13)が行われる。具体的には、制御装置3は、各チャックピン8を閉位置から開位置に移動させて、スピンチャック5による基板Wの把持を解除させる。その後、制御装置3は、全てのノズル等がスピンチャック5の上方から退避している状態で、基板搬送ロボットCRのハンドをチャンバー4内に進入させる。そして、制御装置3は、基板搬送ロボットCRのハンドにスピンチャック5上の基板Wを保持させる。その後、制御装置3は、基板搬送ロボットCRのハンドをチャンバー4内から退避させる。これにより、処理済みの基板Wがチャンバー4から搬出される。
【0083】
なお、前述の第1処理例の説明では、反応液含有液としての過酸化水素水含有液(硫酸および過酸化水素水の混合液または過酸化水素水)が、反応液供給工程で基板Wに供給される場合について説明したが、硫酸と混ざり合うことにより発熱反応を発生させる純水を含み、液温が第1温度以下で第2温度以上の純水含有液(硫酸および純水の混合液、SPMおよび純水の混合液、または、純水)が、反応液供給工程で基板Wに供給されてもよい。具体的には、反応液含有液の一例である純水含有液を基板Wに供給する反応液供給工程(
図6のステップS5a)が、過酸化水素水含有液を基板Wに供給する反応液供給工程(
図6のステップS5)の代わりに、反応液濃度変更工程および第1温度低下抑制工程と並行して実行されてもよい。
【0084】
この場合、制御装置3は、第1ノズル移動装置13を制御することにより、第1薬液ノズル11から吐出された処理液が基板Wの上面中間部に着液する中間位置に第1薬液ノズル11を位置させる。その後、制御装置3は、硫酸バルブ19および純水バルブ27を開いて、第1温度よりも低温で第2温度よりも高温の、硫酸と純水との混合液(純水含有液)を、第2薬液回転速度V2で回転している基板Wの上面に向けて第1薬液ノズル11に吐出させる。これにより、硫酸と純水との混合液(純水含有液)の供給が基板Wの上面中間部で開始される。
【0085】
硫酸と純水との混合液(純水含有液)の供給が基板Wの上面中間部で開始された後、制御装置3は、硫酸流量調整バルブ20および純水流量調整バルブ28の開度を調整することにより、第1薬液ノズル11から吐出される純水含有液の吐出流量を一定に維持しながら、硫酸および純水の混合比を変更する。
図6の下段に示すように、制御装置3は、たとえば、硫酸の供給流量を徐々に減少させることにより、第1薬液ノズル11から吐出される硫酸の吐出流量を徐々に減少させる。制御装置3は、これと並行して、第1薬液ノズル11に供給される純水の流量を増加させる。最終的に、制御装置3は、硫酸流量調整バルブ20の開度を零まで減少させる。そのため、硫酸および純水の混合比が、最終的に0(硫酸)対1(純水)に変更され、室温の純水(純水含有液)だけが第1薬液ノズル11から吐出される。
【0086】
また、制御装置3は、第1ノズル移動装置13を制御することにより、硫酸および純水の混合比を変更するのと並行して、基板Wが第2薬液回転速度V2で回転している状態で、第1薬液ノズル11を中間位置から中央位置に移動させる。これにより、純水含有液の着液位置が基板Wの上面中間部から上面中央部に移動する。その後、制御装置3は、第2温度のリンス液の一例である室温の純水を基板Wに供給する第1リンス液供給工程(
図5のステップS8)を開始する。具体的には、制御装置3は、スピンモータ10を制御することにより、第1薬液ノズル11が基板Wの上面中央部に向けて室温の純水を吐出している状態で、基板Wをリンス回転速度V3で回転させる。その後、制御装置3は、純水バルブ27を閉じて、第1薬液ノズル11からの純水の吐出を停止させる。続いて、制御装置3は、第1ノズル移動装置13を制御することにより、第1薬液ノズル11を基板Wの上方から退避させる。
【0087】
以上のように本実施形態では、第1温度(基板Wに供給される前の薬液の温度)の薬液が基板Wの上面に供給される。そして、薬液が基板Wに残留している状態で、反応液含有液(反応液としての過酸化水素水または純水を含む液)が基板Wの上面に供給される。基板Wに供給された反応液含有液は、基板Wに残留している薬液と混ざり合う。そのため、基板Wに残留している液体における反応液含有液の割合が高まり、薬液の濃度が低下する。第1温度よりも低い第2温度(基板Wに供給される前のリンス液の温度)のリンス液は、反応液含有液が基板Wに供給された後に、基板Wの上面に供給される。これにより、基板Wに残留している液体(薬液および反応液含有液を含む液体)が洗い流される。
【0088】
反応液含有液の供給が開始されると、基板Wの温度は反応液含有液の温度に近づいていく。基板Wに供給される前の反応液含有液の温度は、薬液の温度(第1温度)以下で、リンス液の温度(第2温度)以上である。反応液含有液に含まれる反応液(過酸化水素水または純水)は、薬液(SPM)と混ざり合うことにより発熱反応を発生させる。したがって、薬液が基板Wに残留している状態で反応液含有液が基板Wの上面に供給されると、反応液含有液の着液位置およびその近傍の位置で発熱反応が発生し、着液位置近傍領域での基板Wの温度低下量が低減される。そのため、基板Wの温度は徐々に反応液含有液の温度に近づいていく。つまり、基板Wの急激な温度変化が抑制される。
【0089】
さらに、反応液含有液に含まれる発熱液(硫酸またはSPM)の割合が、反応液含有液の吐出開始時よりも減少するので、発熱液より低温の反応液(過酸化水素水または純水)の割合が増加し、その結果、反応液含有液の温度が低下する。したがって、吐出開始時の反応液含有液よりも低温の反応液含有液が基板Wの上面に供給され、反応液含有液の温度がリンス液の温度(第2温度)に近づいていく。そのため、着液位置近傍領域での基板Wの温度低下がさらに緩やかになる。よって、高温のSPMの供給に引き続いて室温の純水が供給される場合よりも、基板Wの急激かつ急速な温度低下を抑制でき、基板Wの変形量を低減できる。
【0090】
また本実施形態では、高温の発熱液(SPM)の割合が大きい反応液含有液が、基板Wの上面に向けて吐出される。その後、発熱液(SPM)の割合が反応液(純水)の割合よりも大きい混合比から発熱液の割合が反応液の割合よりも小さい混合比まで、基板Wに向けて吐出される反応液含有液に含まれる発熱液の割合が減少される。したがって、基板Wに向けて吐出される反応液含有液の温度が緩やかに大きく低下する。そのため、薬液とリンス液の温度差が大きい場合、すなわち、第1温度と第2温度との差が大きい場合であっても、基板Wの温度を緩やかに且つ均一にリンス液の温度に近づけることができる。これにより、温度差に起因する基板Wの変形を抑制または防止できる。
【0091】
また本実施形態では、反応液含有液に含まれる発熱液(硫酸)の割合が零まで減少される。したがって、反応液含有液に含まれる発熱液がなくなり、反応液(純水)だけが基板Wに向けて吐出される。そのため、基板Wに向けて吐出される反応液含有液の温度が緩やかに大きく低下し、反応液含有液の温度変化量が増加する。よって、薬液とリンス液の温度差が大きい場合であっても、基板Wの温度を緩やかに且つ均一にリンス液の温度に近づけることができる。
【0092】
また本実施形態では、反応液含有液が硫酸と純水とによって構成されており、反応液含有液に含まれる発熱液(硫酸)の割合が零まで減少される。したがって、反応液含有液に含まれる発熱液がなくなり、反応液だけ、つまり第2リンス液供給工程(
図5のステップS8)で基板Wに供給されるリンス液と同種の液体が、基板Wに向けて吐出される。そのため、反応液含有液の温度が緩やかに大きく低下するだけでなく、第2リンス液供給工程(
図5のステップS8)の前に基板Wに残留している液体とリンス液との親和性が高まる。よって、反応液含有液の供給後にリンス液を供給することにより、基板Wに残留している液体を円滑に洗い流すことができる。
【0093】
本発明の実施形態の説明は以上であるが、本発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述の第1処理例では、第1薬液ノズル11からのSPMの吐出を停止させた状態で基板WとSPMとを反応させるパドル工程が行われる場合について説明したが、パドル工程が省略され、第1薬液供給工程の終了に引き続いて反応液供給工程が開始されてもよい。
【0094】
また、前述の第1処理例では、基板WおよびSPMを赤外線ヒータ58を加熱する場合について説明したが、赤外線ヒータ58によって基板WおよびSPMを加熱する加熱工程(
図5のステップS4)が省略されてもよい。同様に、第1温度低下抑制工程(
図5のステップS7)および第2温度低下抑制工程(
図5のステップS10)の少なくとも一方が省略されてもよい。
【0095】
また、前述の第1処理例では、基板Wの上面に対する反応液含有液の供給が、基板Wの上面中間部で開始される場合について説明したが、反応液含有液の供給は、基板Wの上面中間部以外の位置(たとえば、上面周縁部)で開始されてもよい。
また、前述の第1処理例では、硫酸および過酸化水素水の混合比が、最終的に、1(硫酸)対1(過酸化水素水)に変更される場合について説明したが、硫酸の割合が最終的に零まで減少され、室温の過酸化水素水(過酸化水素水含有液)だけが第1薬液ノズル11から吐出されてもよい。
【0096】
また、前述の第1処理例では、反応液供給工程(
図5のステップS5)と同時に、第1温度低下抑制工程が開始される場合について説明したが、第1温度低下抑制工程(
図5のステップS7)は、反応液供給工程の開始前または開始後に開始されてもよい。同様に、第2温度低下抑制工程(
図5のステップS10)は、第2薬液供給工程(
図5のステップS9)の開始前または開始後に開始されてもよい。
【0097】
また、前述の第1処理例では、第1温度低下抑制工程(
図5のステップS7)が終了した後に、すなわち、加熱流体の吐出が停止された後に、第2温度低下抑制工程(
図5のステップS10)が開始される場合について説明したが、反応液供給工程(
図5のステップS5)の開始から第2薬液供給工程(
図5のステップS9)の終了まで、加熱流体の吐出が継続されてもよい。
【0098】
また、前述の第1処理例では、処理ユニット2がレジスト除去工程を行う場合について説明したが、処理ユニット2で行われる処理は、レジスト除去工程に限らず、洗浄工程やエッチング工程などの他の工程であってもよい。
また、前述の第1処理例では、事前に混合された反応液含有液(硫酸および過酸化水素水の混合液、または硫酸および純水の混合液)が第1薬液ノズル11に供給される場合について説明したが、反応液含有液は、基板W上で混合されてもよい。たとえば、反応液含有液が硫酸および純水の混合液である場合には、第1薬液ノズル11に硫酸を吐出させるとの同時に、リンス液ノズル36に純水を吐出させてもよい。
【0099】
また、前述の実施形態では、スピンチャック5が、複数のチャックピン8を備える挟持式のチャックである場合について説明したが、スピンチャック5は、スピンベース(吸着ベース)の上面に基板Wの下面(裏面)を吸着させるバキューム式のチャックであってもよい。
また、前述の実施形態では、第1薬液ノズル11、第2薬液ノズル29、およびリンス液ノズル36が、別々のノズルアームに取り付けられている場合について説明したが、これらのノズルのうちの2つ以上が共通のノズルアームに取り付けられていてもよい。同様に、赤外線ヒータ58は、第1薬液ノズル11などの処理液を吐出する処理液ノズルと共通のアームに取り付けられていてもよい。
【0100】
また、前述の実施形態では、加熱液の一例である温水(第1中間温度に加熱された純水)を基板Wの下面に供給する場合について説明したが、加熱液に代わりに加熱ガスを基板Wの下面に供給してもよい。
具体的には、制御装置3は、第1温度低下抑制工程(
図5のステップS7)および第2温度低下抑制工程(
図5のステップS10)の少なくとも一方において、気体バルブ55を開いて、第1中間温度(たとえば、室温よりも高い温度)の窒素ガスをスピンベース7の上面中央部で開口する気体吐出口53に吐出させてもよい。この場合、気体吐出口53から吐出された窒素ガスは、基板Wの下面とスピンベース7の上面との間の空間をスピンベース7の上面中央部から放射状に広がる。これにより、基板Wの下面とスピンベース7の上面との間の空間が第1中間温度の窒素ガスで満たされ、基板Wの温度低下が加熱ガスの一例である窒素ガスによって抑制される。
【0101】
また、前述の実施形態では、基板処理装置1が、円板状の基板Wを処理する装置である場合について説明したが、基板処理装置1は、液晶表示装置用基板などの多角形の基板Wを処理する装置であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。