(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定部が、前記所定の基準値を超えたと判定した場合、前記生体情報出力部が、外部に報知する報知情報に基づく出力情報を出力することを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の生体情報測定システム。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜
図7に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
(生体情報測定部100と生体情報出力部200とを備える生体情報測定システム300の概要)
図1は、患者等の被験者の頭部に生体情報測定部100を取り付け(貼り付け)、生体情報測定部100で得られた測定情報を、生体情報出力部200に無線送信する生体情報測定システム300の実施態様の一例を示す図である。
【0024】
本発明によって提供される生体情報測定システム300は、生体情報測定部100と生体情報出力部200とを備える。
【0025】
生体情報測定部100は、被験者の頭部に対して近赤外光を照射する発光部と、当該発光部から照射された近赤外光が被験者の頭部内部を伝播した光を受光する受光部と、当該受光部によって受光した光強度を検出する光検出部と、当該光検出部によって検出された光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報を無線送信する無線送信部とを含む。
【0026】
一方、生体情報出力部200は、生体情報測定部の無線送信部から無線送信されたヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報を受信する受信部と、当該受信部で受信されたヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報に基づく出力情報を出力する出力部とを含む。
【0027】
図1に示されるように、本発明に係る生体情報測定システム300は、生体情報測定部100と生体情報出力部200との間に通信ケーブルを介さずとも、生体情報測定部100で得られた測定情報を、生体情報出力部200に無線送信することにより実現する。
【0028】
本発明に係る生体情報測定システム300であれば、医療従事者が患者等の被験者に対して生体情報の測定を行う際、医療従事者にとっては、医療行為の実施を円滑に行い易くすることができると共に、患者等の被験者にとっては、測定時の姿勢に課されていた制限を緩和することもできる。
【0029】
本発明に係る生体情報測定システム300に含まれる生体情報測定部100では、患者等の被験者の頭部に対して照射した近赤外光が、頭部内部に吸収されずに伝播した光の強度、すなわち、頭部内部を透過した光の強度(透過光の強度)が測定される。
【0030】
一般に、生体内において血液が流れると(血流が変化すると)、血液中のヘモグロビンの濃度又は量が変化することが知られている。逆に言えば、血液中のヘモグロビンの濃度又は量が変化すれば、生体内において血液が流れた(血流が変化した)とみなすことができる。
【0031】
本発明においては、被験者の頭部に対して近赤外光を発光部から照射し、血液中のヘモグロビンの濃度又は量に増加が有った時、照射された近赤外領域の光が頭部内部に吸収される量(吸収量)に増加が生じ、これに応じて頭部内部を近赤外領域の光が透過する量(透過量)に減少が生じ、これに伴って当該透過量が受光部によって受光される量(受光量)に減少が生じること、並びに、血液中のヘモグロビンの濃度又は量に減少が有った時、照射された近赤外領域の光が頭部内部に吸収される量(吸収量)に減少が生じ、これに応じて頭部内部を近赤外領域の光が透過する量(透過量)に増加が生じ、これに伴って当該透過量が受光部によって受光される量(受光量)に増加が生じることに着眼している。
【0032】
なお、本発明においては、例えば、フォトダイオード(PD)等の受光部によって受光される量(受光量)に応じて、受光部から電流が出力される構成に設計することができる。
【0033】
本発明においては、被験者の頭部内部に血液中のヘモグロビンの濃度又は量の増加・減少に応じて、頭部内部を近赤外領域の光が透過する量(透過量)に違いが生じることを利用して、頭部内部に吸収されずに透過した光の強度(透過光の強度)を測定することで、血液の流れ(血流の変化)をリアルタイムで知ることができる。
【0034】
例えば、本発明に係る生体情報測定システム300を、心肺蘇生が必要な患者等の被験者に適用した場合、医療従事者は、血液の流れ(血流の変化)をリアルタイムで確認しながら、心臓マッサージ(胸骨圧迫)を行う位置や力加減を的確に調整することができ、心肺蘇生の成功確率を向上させることができる。
【0035】
(生体情報測定システム300の構成)
図2は、生体情報測定システム300を構成する、生体情報測定部100および生体情報出力部200の要部構成の一例を示すブロック図である。
【0036】
本発明によって提供される生体情報測定システム300は、
図1に例示されるように、生体情報測定部100および生体情報出力部200を備える。
【0037】
生体情報測定部100は、発光部11、受光部12、光検出部13、および無線送信部14を含む。更に、生体情報測定部100は、演算部、および表示部を含めることもできる。
【0038】
一方、生体情報出力部200は、受信部15、および出力部16を含む。更に、生体情報出力部200は、演算部、表示部、および判定部を含めることもできる。
【0039】
(生体情報測定システム300に含まれる生体情報測定部100の構成)
発光部11は、被験者の頭部に対して近赤外光を照射する機能を有する。発光部11としては、例えば、発光ダイオード(LED)を用いることができる。
【0040】
受光部12は、発光部11から照射された近赤外光が被験者の頭部内部を伝播した光を受光する機能を有する。受光部12としては、例えば、フォトダイオード(PD)を用いることができる。
【0041】
光検出部13は、受光部12によって受光した光強度を検出する機能を有する。光検出部13としては、例えば、受光部12によって受光した光強度、すなわち被験者の頭部内部を透過した光の強度(透過光の強度)を検出する光検出器を用いることができる。
【0042】
無線送信部14は、光検出部13によって検出された光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報を無線送信する機能を有する。無線送信部14としては、例えば、無線送信可能なデバイスを用い、Bluetooth(登録商標)の方式を採用することができる。
【0043】
ここで「ヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報」とは、光検出部13によって検出された光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報であってもよいし、あるいは、光検出部13によって検出された光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報をヘモグロビンの濃度又は量に換算した結果に関する情報であってもよい。
【0044】
図2に示されるように、生体情報測定部100は、上述した発光部11、受光部12、光検出部13、および無線送信部14を含む他に、以下に示す演算部、および表示部を含めることもできる(不図示)。
【0045】
演算部は、光検出部13によって検出された光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報を演算処理する機能を有する。演算部は、例えば、光検出部13によって検出された光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報を、ヘモグロビンの濃度又は量に関する情報に換算するために演算処理する。
【0046】
表示部は、光検出部13によって検出された光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報に基づく表示情報を表示する機能を有する。表示部は、例えば、光検出部13によって検出された光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報に基づく表示情報をモニター等に表示する。
【0047】
なお、記憶部30は、生体情報測定部100に含まれる各部で取得された情報を記憶する。記憶部30は、例えば、フラッシュメモリのような不揮発性半導体メモリ等で構成される。
【0048】
(生体情報測定システム300に含まれる生体情報出力部200の構成)
受信部15は、生体情報測定部100の無線送信部14から無線送信された光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報を受信する機能を有する。受信部15としては、例えば、無線受信可能なデバイスを用い、Bluetooth(登録商標)の方式を採用することができる。
【0049】
出力部16は、受信部15で受信された、光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報に基づく出力情報を出力する機能を有する。出力部16は、例えば、受信部15で受信された、光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報に基づく出力情報をモニターやスピーカー等に出力する。
【0050】
図2に示されるように、生体情報出力部200は、上述した受信部15、および出力部16を含む他に、演算部、表示部、および判定部を含めることもできる(不図示)。
【0051】
演算部は、受信部15で受信された、光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報を演算処理する機能を有する。演算部は、例えば、受信部15で受信された、光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報を、ヘモグロビンの濃度又は量に関する情報に換算するために演算処理する。
【0052】
表示部は、受信部15で受信された、光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報に基づく表示情報を表示する機能を有する。表示部は、例えば、受信部15で受信された、光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報に基づく表示情報をモニター等に表示する。
【0053】
判定部は、受信部15で受信された、光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報に基づく出力情報が所定の基準値を超えたか否かを判定する機能を有する。判定部は、例えば、受信部15で受信された、光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報に基づく出力情報が所定の基準値を超えたと判定した場合、出力部16が、外部(例えば、医療従事者)に報知する報知情報に基づく出力情報をモニターやスピーカー等に出力する。
ここで「所定の基準値」とは、例えば、頭部内部に吸収されずに透過した光の強度(透過光の強度)の変化を経時的にモニタリングし、当該変化の割合に一定の基準を設け、これを所定の基準値とすることができる。
具体的には、本発明に係る生体情報システム300を、心肺蘇生が必要な患者等の被験者に適用した場合、被験者の頭部内部に吸収されずに透過した光の強度(透過光の強度)の変化を経時的にモニタリングし、被験者の胸骨を圧迫したタイミングに応じて、被験者の頭部内部に血液中のヘモグロビンの濃度又は量が増加する変化が生じた場合、透過光の強度に変化が表れる。この変化の割合が一定の基準値を超えた場合に、医療従事者に表示手段や音声手段等を用いて報知することができる。
【0054】
なお、記憶部40は、生体情報出力部200に含まれる各部で取得された情報を記憶する。記憶部40は、例えば、フラッシュメモリのような不揮発性半導体メモリ等で構成される。
【0055】
(本発明に係る生体情報測定部100の実施形態)
本発明に係る生体情報測定部100の形態は、患者等の被験者の頭部に取り付け(貼り付け)可能な形態であれば、特に限定されないが、例えば、
図3および
図4に示される第1の実施形態、並びに、
図5および
図6に示される第2の実施形態を好ましい形態として挙げることができる。
【0056】
(第1の実施形態に係る生体情報測定部100)
図3は、本発明に係る生体情報測定部100の第1の実施形態を示す図である。
本発明の第1の実施形態に係る生体情報測定部100は、発光部11と受光部12と光検出部13とを含む光検出ユニットAが第1の端子xを有し、無線送信部14を含む無線送信ユニットBが第2の端子yを有し、当該第1の端子xと第2の端子yとが着脱可能に直接接続することができる。
【0057】
図3aは、光検出ユニットAが有する第1の端子xと、無線通信ユニットBが有する第2の端子yとが、直接接続された状態を示す図である。
また、
図3bは、光検出ユニットAが有する第1の端子xと、無線通信ユニットBが有する第2の端子yとが、直接接続される前の状態を示す図である。
【0058】
図4は、第1の実施形態に係る生体情報測定部100を患者等の被験者の頭部に取り付けた状態(貼り付けた状態)を横から見た図である。
【0059】
図3aおよび
図4に示される、第1の実施形態に係る生体情報測定部100は、光検出ユニットAが有する第1の端子xと、無線送信ユニットBが有する第2の端子yとが直接接続された形態である。
なお、第1の端子xと第2の端子yの形状は、互いに接続可能な形状であれば、特に限定されない。
【0060】
第1の実施形態に係る生体情報測定部100であれば、
図3に示されるように、光検出ユニットAが有する第1の端子xと、無線送信ユニットBが有する第2の端子yとを互いに接続し、光検出ユニットAと無線送信ユニットBとを一体化させた生体情報測定部100を、
図4に示されるように、患者等の被験者の頭部に取り付けて(貼り付けて)生体情報の測定を行うことができる。
【0061】
第1の実施形態に係る生体情報測定部100および生体情報出力部200を備えた生体情報測定システム300であれば、生体情報測定部100と生体情報出力部200との間に通信ケーブルを介さずとも、生体情報測定部100で得られた測定情報を、生体情報出力部200に無線送信することができる。これにより、医療従事者が患者等の被験者に対して生体情報の測定を行う際、医療従事者にとっては、医療行為の実施を円滑に行い易くすることができる。
【0062】
更に、第1の実施形態に係る生体情報測定部100は、光検出ユニットAと無線送信ユニットBとが一体化されているため、医療従事者が患者等の被験者に対して生体情報の測定を行う際、患者等の被験者にとっては、測定時の姿勢に課されていた制限が緩和され、ある程度自由な姿勢をとることもでき、測定時に患者等の被験者にかかっていた負荷を軽減することもできる。
【0063】
(第2の実施形態に係る生体情報測定部100)
図5は、本発明に係る生体情報測定部100の第2の実施形態を示す図である。
本発明の第2の実施形態に係る生体情報測定部100は、発光部11と受光部12と光検出部13とを含む光検出ユニットAが第1の端子xを有し、無線送信部14を含む無線送信ユニットBが第2の端子yを有し、当該第1の端子xと第2の端子yとが有線を介して接続することができる。
【0064】
図6は、第2の実施形態に係る生体情報測定部100を患者等の被験者の頭部に取り付けた状態(貼り付けた状態)を横から見た図である。
【0065】
図5および
図6に示される、第2の実施形態に係る生体情報測定部100は、光検出ユニットAが有する第1の端子xと、無線送信ユニットBが有する第2の端子yとが有線を介して接続された形態である。
なお、第1の端子xと第2の端子yの形状は、有線を介して互いに接続可能な形状であれば、特に限定されない。
【0066】
第2の実施形態に係る生体情報測定部100であれば、
図5に示されるように、光検出ユニットAが有する第1の端子xと、無線送信ユニットBが有する第2の端子yとを有線を介して互いに接続し、光検出ユニットAと無線送信ユニットBとを別体化させた生体情報測定部100を、
図6に示されるように、患者等の被験者の頭部に取り付けて(貼り付けて)生体情報の測定を行うことができる。
【0067】
第2の実施形態に係る生体情報測定部100および生体情報出力部200を備えた生体情報測定システム300であれば、第1の実施形態に係る生体情報測定部100と同様に、生体情報測定部100と生体情報出力部200との間に通信ケーブルを介さずとも、生体情報測定部100で得られた測定情報を、生体情報出力部200に無線送信することができる。これにより、医療従事者が患者等の被験者に対して生体情報の測定を行う際、医療従事者にとっては、医療行為の実施を円滑に行い易くすることができる。
【0068】
更に、第2の実施形態に係る生体情報測定部100は、光検出ユニットAと無線送信ユニットBとが別体化されているため、医療従事者が患者等の被験者に対して、例えば睡眠時など長時間連続して生体情報の測定を行う際、患者等の被験者の頭部にかかる重みを光検出ユニットAのみとし、患者等の被験者の枕元に無線送信ユニットBを静置し、睡眠時などの長時間の連続測定時に患者等の被験者の頭部にかかっていた負荷を軽減することもできる。
【0069】
(生体情報測定部と生体情報出力部とを備える生体情報測定システムの詳細)
発光部11は、患者等の被験者の頭部に対して、近赤外領域の近赤外光を照射させることができれば、その構成は特に限定されず、例えば、発光ダイオード(LED)などの発光素子を素子基板に設け(不図示)、当該素子基板を
図3に示される設置位置o1(左側),o2(右側)にそれぞれ取り付ける構成としてもよい。
【0070】
本発明において、近赤外光を被験者の頭部に対して照射する方法は、特に限定されないが、信頼性の高い測定データを得る観点から、例えば、異なる3つの波長の近赤外光(例えば、770nm、805nm、870nm)を所定の順序で、所定の時間、所定の間隔で照射(点灯)させる方法を挙げることができる。
【0071】
なお、異なる3つの波長の近赤外光は、上述した波長の長さ(770nm、805nm、870nm)に限定されるものではなく、信頼性の高い測定データを得る観点から、適宜変更することができる。
【0072】
近赤外光の照射方法(点灯方法)としては、具体的には、1回目としてo1(左側)から770nm,2回目としてo1(左側)から805nm,3回目としてo1(左側)から870nm,4回目としてo2(右側)から805nm,5回目としてo2(右側)から770nm,6回目としてo2(右側)から805nm,7回目としてo1(左側)から870nm,8回目としてo1(左側)から805nmといった順番で各近赤外光をそれぞれ1回ずつ、合計8回の照射(点灯)を1秒間で行い、この1秒間に行うサイクルを1サイクルとして測定データを得る。
本発明においては、信頼性の高い測定データを得る観点から、8サイクル以上の繰り返し照射(点灯)を行うことによって、すなわち合計64回以上の照射(点灯)を行うことによって、測定データを得ることが好ましい。
なお、ここで各近赤外光の照射時間(点灯時間)は、90〜180μsec程度である。
【0073】
ここで挙げた照射方法(点灯方法)は、一例であるため、本発明によれば、近赤外光の波長の長さ、異なる波長の近赤外光を複数用いた場合の照射順序、照射時間、および照射間隔等は、適宜設計変更することができる。
【0074】
受光部12は、発光部11から照射された近赤外光が被験者の頭部内部を伝播した光を受光させることができれば、その構成は特に限定されず、例えば、フォトダイオード(PD)などの受光素子を素子基板に設け(不図示)、当該素子基板を
図3に示される設置位置p1,p2にそれぞれ取り付ける構成としてもよい。
【0075】
ここで「被験者の頭部内部を伝播した光」とは、発光部11から照射された近赤外光が頭部内部に吸収されずに透過した光(透過光)のことを指していう。
【0076】
受光部11は、頭部内部に吸収されずに透過した光(透過光)を逃さず受光することができるよう、近赤外光の照射タイミングに同期させて受光可能となるように適宜設計することができる。
【0077】
光検出部13は、受光部12によって受光した光強度を検出することができれば、その構成は特に限定されず、例えば、受光部12によって受光した光強度、すなわち被験者の頭部内部を透過した光の強度(透過光の強度)を検出する光検出器を基板に設け(不図示)、当該基板を
図3に示される設置位置qに取り付ける構成としてもよい。
【0078】
無線送信部14は、光検出部13によって検出された光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報を無線送信することができれば、その構成は特に限定されず、例えば、生体情報測定部100の無線送信ユニットBに無線送信可能なデバイスを設け、Bluetooth(登録商標)の方式を採用することができる。
【0079】
ここで「ヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報」とは、光検出部13によって検出された光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報であってもよいし、あるいは、光検出部13によって検出された光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報をヘモグロビンの濃度又は量に換算した結果に関する情報であってもよい。
【0080】
本発明においては、生体情報測定部100に演算部を含めることができる。演算部は、光検出部13によって検出された光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報を演算処理することができれば、その構成は特に限定されない。
【0081】
演算部は、例えば、光検出部13によって検出された光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報を、ヘモグロビンの濃度又は量に関する情報に換算するために演算処理する。あるいは、光検出部13によって検出された光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報を、数値化又は描画化するために演算処理する。
【0082】
本発明においては、生体情報測定部100に演算部を含めることにより、無線送信部14が無線送信する情報量、並びに受信部15が受信する情報量を少なくすることができることに起因し、無線送信部14および受信部15にかかる負荷を軽減し、無線送信および無線受信に要する時間を短縮することができる。
【0083】
本発明においては、生体情報測定部100に表示部を含めることができる。表示部は、光検出部13によって検出された光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報に基づく表示情報を表示することができれば、その構成は特に限定されず、例えば、生体情報測定部100にモニター等を設けることができる。
【0084】
表示部は、例えば、光検出部13によって検出された光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報に基づく表示情報を表示する。または、光検出部13によって検出された光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報を、ヘモグロビンの濃度又は量に関する情報に換算するために演算部で演算処理した結果に関する情報に基づく表示情報を表示する。または、光検出部13によって検出された光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報を、数値化又は描画化するために演算部で演算処理した結果に関する情報に基づく表示情報を表示する。
【0085】
本発明においては、生体情報測定部100に表示部を含めることにより、医療従事者が患者等の被験者に対して生体情報の測定を行いながら他の医療行為を行う際、医療従事者は、生体情報出力部200だけでなく、生体情報測定部100によっても、被験者の頭部内部に血液が流れる量の変化(血流の変化)をリアルタイムで確認しながら、他の医療行為を的確に行うことができる。
【0086】
受信部15は、生体情報測定部100の無線送信部14から無線送信された光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報を無線受信することができれば、その構成は特に限定されず、例えば、生体情報出力部200に無線受信可能なデバイスを設け、Bluetooth(登録商標)の方式を採用することができる。
【0087】
出力部16は、受信部15で受信された、光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報に基づく出力情報を出力することができれば、その構成は特に限定されず、例えば、受信部15で受信された、光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報に基づく出力情報をモニター等により視覚的に、又はやスピーカー等により聴覚的に出力する。
【0088】
ここで、モニターの例として、スマートフォン等の小型軽量化された通信機器を挙げることができる。当該小型軽量化された通信機器が出力した出力情報を、更に、他の通信機器に伝送する形態も実現可能である。
【0089】
本発明においては、上述した生体情報測定部100と同様に生体情報出力部200にも演算部を含めることができる。演算部は、受信部15で受信された、光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報を演算処理することができれば、その構成は特に限定されない。
【0090】
演算部は、例えば、受信部15で受信された、光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報を、ヘモグロビンの濃度又は量に関する情報に換算するために演算処理する。あるいは、受信部15で受信された、光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報を、数値化又は描画化するために演算処理する。
【0091】
本発明においては、生体情報出力部200に演算部を含めることにより、受信部15で受信された、光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報の演算処理を生体情報出力部200で行うことに起因し、生体情報測定部100に演算処理機能を含めず、あるいは、生体情報測定部100に含める演算処理機能を限定的なものに留めることができるため、生体情報測定部100を小型軽量化した設計にすることができる。
【0092】
本発明においては、上述した生体情報測定部100と同様に生体情報出力部200にも表示部を含めることができる。表示部は、受信部15で受信された、光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報に基づく表示情報を表示することができれば、その構成は特に限定されず、例えば、生体情報出力部200にモニター等を設けることができる。
【0093】
表示部は、例えば、受信部15で受信された光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報に基づく表示情報を表示する。または、受信部15で受信された光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報を、ヘモグロビンの濃度又は量に関する情報に換算するために演算部で演算処理した結果に関する情報に基づく表示情報を表示する。または、受信部15で受信された光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報を、数値化又は描画化するために演算部で演算処理した結果に関する情報に基づく表示情報を表示する。
【0094】
本発明においては、生体情報出力部200に表示部を含めることにより、医療従事者が患者等の被験者に対して生体情報の測定を行いながら他の医療行為を行う際、医療従事者は、生体情報出力部200に設けられた表示部によって、被験者の頭部内部に血液が流れる量の変化(血流の変化)をリアルタイムで確認しながら、他の医療行為を的確に行うことができる。
【0095】
本発明においては、生体情報出力部200に判定部を含めることができる。判定部は、受信部15で受信された、光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報に基づく出力情報が所定の基準値を超えたか否かを判定することができれば、その構成は特に限定されない。
【0096】
ここで「光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報に基づく出力情報」としては、例えば、(1)光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報に基づく出力情報、(2)光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報を、ヘモグロビンの濃度又は量に関する情報に換算するために演算部で演算処理した結果に関する情報に基づく出力情報、(3)光強度(透過光の強度)の検出結果に関する情報を、数値化又は描画化するために演算部で演算処理した結果に関する情報に基づく出力情報などが挙げられる。
【0097】
更に、判定部が、受信部15で受信された、光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報に基づく出力情報が所定の基準値を超えたと判定した場合、出力部16は、外部(例えば、医療従事者)に報知する報知情報に基づく出力情報をモニターやスピーカー等に出力する。これにより、医療従事者は生体情報出力部200から出力される報知情報に基づいて、医療行為を的確に行うことができる。
【0098】
(生体情報測定システム300が実行する処理)
図7は、生体情報測定部100および生体情報出力部200を備える、生体情報測定システム300が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図7は、
図2に示されるブロック図に対応するフローチャートである。
【0099】
なお、以下の説明において、括弧書きの「〜ステップ」は、生体情報測定部100および生体情報出力部200が実行する各ステップを表す。
【0100】
生体情報測定システム300が実行する処理としては、
図7に例示される各ステップを経て実現される。
被験者の頭部に対して近赤外光を照射し(ステップ1(S1)以下「ステップ」を「S」と略記する、発光ステップ)、発光ステップから被験者の頭部に対して近赤外光を照射する(S2、受光ステップ)。
【0101】
また、受光ステップによって受光した光強度を検出し(S3、光検出ステップ)、光検出ステップによって検出された光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報を無線送信する(S4、無線送信ステップ)。
【0102】
次いで、無線送信ステップから無線送信された光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報を受信し(S5、受信ステップ)、受信ステップで受信された、光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報に基づく出力情報を出力する(S6、出力ステップ)。
【0103】
[付記事項]
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。更に、各実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成できる。
【課題】医療従事者が患者等の被験者に対して生体情報の測定を行う際、医療従事者にとっては、医療行為の実施を円滑に行い易くすることができると共に、患者等の被験者にとっては、測定時の姿勢に課されていた制限を緩和することができる生体情報測定システムの提供。
【解決手段】生体情報測定部100と生体情報出力部200とを備える生体情報測定システムであって、生体情報測定部は、被験者の頭部に対して近赤外光を照射する発光部と、被験者の頭部内部を伝播した光を受光する受光部と、受光した光強度を検出する光検出部と、検出された光強度に基づく血液中のヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報を無線送信する無線送信部とを含み、無線送信部から無線送信されたヘモグロビンの濃度又は量の変化を特定するための情報を受信する受信部と、受信されたヘモグロビンの濃度又は量の変化に基づく出力情報を出力する出力部とを含む。