(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1シート材と、この第1シート材の一方の面に対向する第2シート材と、これら第1シート材及び第2シート材の間に、伸縮方向に沿ってかつ互いに間隔を空けて設けられた複数本の細長状の弾性伸縮部材とを備えており、
前記第1シート材及び第2シート材が、展開状態で、弾性伸縮部材の延在方向に間欠的に配された、弾性伸縮部材の延在方向に対する鋭角側交差角が45度より大きい斜め方向に連続する接着剤又は溶着加工により接合されることにより、シート接合部が形成されており、
前記シート接合部は、前記複数本の弾性伸縮部材を一方側から他方側に横切って曲線状に連続する部分であり、
前記弾性伸縮部材は前記シート接合部と交差する位置で前記第1シート材及び第2シート材の少なくとも一方に固定されており、
前記弾性伸縮部材の収縮に伴い前記第1シート材及び第2シート材が収縮することにより、前記第1シート材及び第2シート材におけるシート接合部間に位置する部分が互いに反対向きに膨らんでそれぞれ襞が形成されているとともに、収縮状態の弾性伸縮部材が斜め向きでかつ曲線状となる、
ことを特徴とする吸収性物品の伸縮構造。
前記第1シート材及び第2シート材は、装着者の体の部位に応じた複数の領域を有しており、いずれか一つの領域におけるシート接合部の連続方向が斜め方向であり、かつ他のいずれか一つの領域におけるシート接合部の連続方向がこれと異なる方向とされている、請求項1記載の吸収性物品の伸縮構造。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1〜
図8は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例100を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ100は、製品外面(裏面)をなす外装体12と、外装体12の内面に貼り付けられた内装体200とから構成されているものである。符号Yはおむつの全長を示しており、符号Xはおむつの全幅を示している。
【0026】
内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装体12は着用者に装着するための部分である。なお、断面図における点模様部分は各構成部材を接合する接合部分を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミットまたはスパイラル塗布などにより形成されるものである。なお、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつ100の装着状態、すなわちおむつ100の前身頃両側部と後身頃量側部を重ね合わせるようにおむつ100を股間部で2つに折った際に胴
周り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
【0027】
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、
図3〜
図5に示されるように、身体側となる表面シート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、表面シート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に設けられた、身体側に起立する立体ギャザー60を示している。
【0028】
(表面シート)
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
【0029】
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
【0030】
立体ギャザー60を設ける場合、表面シート30の両側部は、液不透過性シート11と立体ギャザー60との間を通して、吸収要素50の裏側まで回りこませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及び立体ギャザー60に対してホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。
【0031】
(中間シート)
表面シート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、表面シート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、表面シート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
【0032】
中間シート40としては、表面シート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m
2が好ましく、25〜60g/m
2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
【0033】
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0034】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。このほかにも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
【0035】
液不透過性シート11は、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回りこませて吸収要素50の表面シート30側面の両側部まで延在させるのが好ましい。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
【0036】
また、液不透過性シート11の内側、特に吸収体56側面に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータを設けることができる。
【0037】
(立体ギャザー)
立体ギャザー60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態の立体ギャザー60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
【0038】
より詳細には、立体ギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。立体ギャザー60のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、突出部分66のうち前後方向両端部は、取付部分65から内装体200の側部を通り表面シート30の側部表面まで延在し且つこの表面シート30の側部表面に対してホットメルト接着剤やヒートシールによる前後固定部67固定された付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返され且つ付け根側部分に固定された先端側部分とからなる。突出部分のうち前後方向中間部は非固定の自由部分(内側自由部分)とされ、この自由部分に前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸長状態で固定されている。
【0039】
ギャザーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m
2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。また、図示のように、二つに折り重ねたギャザーシートの間に防水フィルム64を介在させることもできる。
【0040】
立体ギャザー60の自由部分に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。
【0041】
立体ギャザー60の取付部分65の固定対象は、内装体200における表面シート30、液不透過性シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができる。
【0042】
かくして構成された立体ギャザー60では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが
図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において立体ギャザー60が幅方向外側に開くように起立するため、立体ギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
【0043】
立体ギャザー60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば
図7に示すように、立体ギャザー60の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)66wは15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、立体ギャザー60をトップシート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離60dは60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
【0044】
なお、図示形態と異なり、内装体200の左右各側において立体ギャザーを二重に(二列)設けることもできる。
【0045】
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
【0046】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m
2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m
2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
【0047】
吸収体56は長方形形状でも良いが、
図6にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と立体ギャザー60の、脚
周りへのフィット性が向上するため好ましい。
【0048】
また、吸収体の寸法は適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の幅を示している。
【0049】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0050】
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
【0051】
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
【0052】
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m
2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m
2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m
2を超えると、効果が飽和する。
【0053】
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
【0054】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m
2、特に10〜30g/m
2のものが望ましい。
【0055】
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後から食み出させ、この食み出し部分を表裏方向に潰してホットメルト接着剤等の接合手段により接合する形態が好ましい。
【0056】
(外装体)
外装体12は、股間部から腹側に延在する前身頃Fを構成する部分と、股間部から背側に延在する後身頃Bを構成する部分とを有し、これら前身頃Fの両側部と後身頃Bの両側部とが接合されて、
図8に示すように、装着者の胴を通すためのウエスト開口部WO及び脚を通すための左右一対の脚開口部LOが形成されているものである。符号12Aは接合部分を示している(以下、この部分をサイドシール部ともいう)。なお、股間部とは、展開状態における前身頃Fのウエスト縁から後身頃Bのウエスト縁までの前後方向中央を意味し、それよりも前側の部分及び後側の部分が前身頃F及び後身頃Bをそれぞれ意味する。
【0057】
外装体12は、ウエスト開口部WOから脚開口部LOの上端に至る前後方向範囲として定まる胴
周り部Tと、脚開口部LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と間)として定まる中間部Lとを有する。胴
周り部Tは、概念的にウエスト開口部の縁部を形成する「ウエスト縁部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下部」Uとに分けることができる。これらの縦方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト縁部Wは15〜40mm、ウエスト下部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間部Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うように括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。この結果、外装体12は、全体としては略砂時計形状をなしている。外装体12の括れの程度は適宜定めることができ、
図1〜
図8に示す形態のように、すっきりとした外観とするために最も幅が狭い部分では内装体200の幅より狭くすることが好ましいが、最も幅が狭い部分でも内装体200の幅以上となるように定めてもよい。
【0058】
外装体12は、
図3〜
図6に示されるように、二枚のシート材12S,12Hを接合して形成されるものであり、内側に位置する第2シート材12Hはウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側に位置する第1シート材12Sは第2シート材12Hのウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト側端部上までを被覆するように延在されている。
【0059】
シート材12S,12Hとしては、シート状のものであれば特に限定無く使用できるが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。
【0060】
そして、外装体12には、胴
周りに対するフィット性を高めるために、両シート材12S,12H間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜17が所定の伸長率で設けられている。細長状弾性伸縮部材15〜17としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。
【0061】
より詳細には、後身頃B及び前身頃Fのウエスト縁部Wにおける第2シート材12Hの内側面と第1シート材12Sの折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト縁部弾性伸縮部材17が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。また、ウエスト縁部弾性伸縮部材17のうち、ウエスト下部Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト縁部弾性伸縮部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸長率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、ウエスト縁部弾性伸縮部材17は、その全てが同じ太さと伸長率にする必要はなく、例えばウエスト縁部Wの上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸長率が異なるようにしてもよい。
【0062】
また、前身頃F及び後身頃Bのウエスト下部Uにおける第2シート材12Hの外側面と第1シート材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなるウエスト下部弾性伸縮部材15が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。
【0063】
ウエスト下部弾性伸縮部材15としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸長率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
【0064】
また、前身頃F及び後身頃Bの中間部Lにおける第2シート材12Hの外側面と第1シート材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなる中間部弾性伸縮部材16が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。
【0065】
中間部弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸長率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
【0066】
なお、図示のように、ウエスト下部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,16が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200が幅方向に必要以上に収縮することがなく、モコモコと見た目が悪かったり吸収性が低下したりすることがない。この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が細かく切断され、収縮力が作用せず(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)に、その幅方向両側のみが収縮力作用部分として構成されている形態も含まれる。もちろんウエスト下部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,16の配設形態は上記例に限るものではなく、ウエスト下部Uの幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、ウエスト下部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,16の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
【0067】
(外装体分割構造)
上述の例では、前身頃Fから後身頃Bまでを一体的な外装体12により連続的に覆っているが、腹側部分の外装体と背側部分の外装体とが股間側で連続しておらず、離間されている形態とすることもでき(図示略)、その場合、内装体の外面のうち、腹側部分の外装体と背側部分の外装体との間に露出する部分を覆う股間部外装体を貼り付けることもできる。股間部外装体としては、前述した外装体に用いられるものと同様の資材を用いることができる。
【0068】
(伸縮構造について)
本パンツタイプ使い捨ておむつにおいては、ウエスト下部Uから中間部Lにかけての領域に
特定の伸縮構造が採用されている。すなわち当該部分は、
図6(a)にも示すように、展開状態で、第1シート材12S及び第2シート材12Hが、弾性伸縮部材15,16の延在方向に間欠的に配された、弾性伸縮部材15,16の延在方向に対する鋭角側交差角が45度より大きい斜め方向に所定の幅で連続する接着剤71(ホットメルト接着剤等)により接合されて、シート接合部70が形成されている。
【0069】
第1シート材12S及び第2シート材12Hの素材は特に限定されないが、特に厚み0.1〜1.0mm、目付10〜20g/m
2の不織布であることが望ましい。なお、第1シート材12S及び第2シート材12Hはそれぞれ一枚の不織布から構成される他、いずれか一方又は両方が複数枚の不織布の積層体であっても良い。
【0070】
弾性伸縮部材15,16は、シート接合部70と交差する位置で第1シート材12S及び第2シート材12Hの少なくとも一方に接着剤71により固定される。弾性伸縮部材15,16の固定のためにシート接合部形成用とは別の接着剤を弾性伸縮部材又はシート材12S,12Hに塗布することもできるが、図示形態では、シート接合部70を形成するための接着剤71が伸縮方向と交差する方向に連続しているため、この接着剤71を利用して弾性伸縮部材15,16を第1シート材12S及び第2シート材12Hの少なくとも一方に固定している。製造に際しては、接着剤71を第1シート材12S及び第2シート材12Hのいずれか一方又は両方に塗布し、両シート材12S,12Hを接合する時に弾性伸縮部材15,16を両シート材12S,12H間に挟み込めばよい。
【0071】
図6に示す形態は、第1シート材12Sにおける第2シート材12H側の面に、伸縮方向には間欠的にかつ伸縮方向と交差する方向には所定の幅で連続的に接着剤71を塗布し、第2シート材12Hにおける第1シート材12S側の面には、接着剤71を塗布せずに、第1シート材12S及び第2シート材12H間に弾性伸縮部材15,16を伸長状態で挟み、第1シート材12S及び第2シート材12H、並びに第1シート材12S及び弾性伸縮部材15,16をそれぞれ接着剤71により接合したものである。この場合、シート接合部70と弾性伸縮部材15,16とが交差する部分のうち、弾性伸縮部材15,16の第1シート材12S側で接着剤71が伸縮方向と交差する方向に連続することにより弾性伸縮部材15,16が第1シート材12Sに固定されるとともに、弾性伸縮部材15,16の第2シート材12H側では接着剤71が伸縮方向と交差する方向に不連続となる。図中にはこの不連続となる部分を符号72により示している。第2シート材12Hにおいて接着剤71が間欠的に存在することより第2シート材12Hの柔軟性の低下、ひいては第1シート材12S及び第2シート材12Hの全体としての柔軟性の低下を抑制できる。また、弾性伸縮部材15,16はシート接合部70と交差する部分では第1シート材12S側だけ接着剤71が連続するとはいえ、弾性伸縮部材15,16の両側はシート接合部70により第1シート材12S及び第2シート材12Hが一体化しているから、弾性伸縮部材15,16の収縮力は第1シート材12S及び第2シート材12Hの実質的に同一に作用し、第1シート材12S及び第2シート材12Hの両者に均等な皺を形成することができる。
【0072】
なお、第1シート材12S及び第2シート材12Hに同様のパターンで接着剤71を塗布することも可能である。この場合、
図9に示すように、シート接合部70と弾性伸縮部材15,16とが交差する部分のうち、弾性伸縮部材15,16の第1シート材12S側及び第2シート材12H側の両方で接着剤71が伸縮方向と交差する方向に所定の幅で連続するため、弾性伸縮部材15,16をより強固に固定できる利点がある。また、図示しないが第2シート材に接着剤を塗布し、第1シート材には接着剤を塗布せずに弾性伸縮部材を挟みこんで固定することも可能である。ただし、これらの形態は、第2シート材12Hにおいて接着剤71が連続するため、肌に接触させる第2シート材12Hそのものの柔軟性の低下だけでなく、その柔軟性の低下部分が弾性伸縮部材15,16により肌に押し付けられるため、あまり好ましくない。よって、
図6に示す形態のように第2シート材12Hのように装着者の肌に接触する面を有する側は接着剤71が連続しないことが望ましい。
【0073】
また、
図10に示すように、溶着加工によりシート接合部70を形成することもできる。溶着部分は符号75により示されている。溶着加工としては、ヒートシール、超音波溶着等、公知の加工手法を採用することができる。ここで、シート接合部70を形成するための溶着加工が連続するとは、第1シート材12S及び第2シート材12Hの少なくとも一方で溶着加工跡が連続する限り、第1シート材12S及び第2シート材12Hと弾性伸縮部材15,16とがそれぞれ溶着して第1シート材12S及び第2シート材12Hが間接的に溶着することにより溶着が連続する形態だけでなく、シート接合部70と弾性伸縮部材15,16とが交差する部分72において弾性伸縮部材15,16が介在するために第1シート材12S及び第2シート材12H間の溶着が連続しない形態も含む。例えば、第1シート材12S及び第2シート材12H間に弾性伸縮部材15,16を挟んだ状態で、ヒートシールや超音波溶着により弾性伸縮部材15,16を横切る連続的なパターンで溶着を行い、弾性伸縮部材15,16を溶融させずに第1シート材12S及び第2シート材12Hを溶融させると、第1シート材12S及び第2シート材12Hと弾性伸縮部材15,16とが溶着しないために後者の形態となる。
【0074】
弾性伸縮部材15,16は、シート接合部70と交差する位置で第1シート材12S及び第2シート材12Hの少なくとも一方に固定される。この固定の形態には、弾性伸縮部材15,16とシート接合部70とが交差する位置で、弾性伸縮部材15,16とシートとが接着(ホットメルト接着剤71等の接着剤71による接着だけでなく、溶着も含む。)されている形態だけでなく、弾性伸縮部材15,16とシートとは接着されていないが、伸縮方向と交差する方向のシート接合部70の間隔が弾性伸縮部材15,16の自然長時の太さよりも狭く、弾性伸縮部材15,16がシート接合部70間に挟持されることで固定される結果、弾性伸縮部材15,16の収縮力がシート接合部70と交差する位置でシートに伝達される形態(特開2008−154998号公報、特開2009−106667号公報参照)も含まれる。より詳細には、後者の形態は、
図9(a)に示すように、固定時の伸長率よりも高い伸長率に伸ばした弾性伸縮部材15,16を第1シート材12S及び第2シート材12H間に挟んだ状態で、ヒートシールや超音波溶着により弾性伸縮部材15,16を横切る連続的なパターンでシート接合部70の溶着を行い、弾性伸縮部材15,16を溶融させずに第1シート材12S及び第2シート材12Hを溶融させ、第1シート材12S及び第2シート材12Hと弾性伸縮部材15,16とを溶着させずに、その後に
図9(b)に示すように、弾性伸縮部材15,16の張力を解放し、弾性伸縮部材15,16を収縮させて直径を拡大させ、弾性伸縮部材15,16をシート接合部70間に挟持させることで製造することができる。これにより、製造される伸縮構造は、第1シート材12S及び第2シート材12Hの少なくとも一方で溶着加工跡が連続するものの、シート接合部70と弾性伸縮部材15,16とが交差する部分において弾性伸縮部材15,16が介在するために第1シート材12S及び第2シート材12H間の溶着が連続せず、かつ弾性伸縮部材15,16がシート接合部70間に挟持されることで固定される形態となる。
【0075】
ただし、溶着によりシート接合部70を形成すると、硬い筋が連続してしまい柔軟性の低下は避けえないが、接着剤71によりシート接合部70を形成すると、素材溶着による柔軟性の低下は発生せず、より柔軟性に優れたものとなる。
【0076】
各シート接合部70の伸縮方向の幅70w及び、隣り合うシート接合部70の間隔70dは適宜定めることができるが、各シート接合部70の伸縮方向の幅70wは、4mm以下(特に2mm以下)であることが好ましく、また、隣り合うシート接合部70の間隔70dは4〜8mm(特に5〜7mm)であることが好ましい。
【0077】
隣り合う弾性伸縮部材15,16の間隔15d、16dは適宜定めることができるが、10mmを超えると、縦方向間欠接合形態ほどではないが、襞80の厚みが伸縮方向と交差する方向に変化し、もこもことしてくるため、隣り合う弾性伸縮部材15,16の間隔15d,16dは10mm以下、特に3〜8mmとすることが好ましい。
【0078】
弾性伸縮部材15,16の太さ、及び伸長率(伸縮構造を完全に展開した状態における伸長率)は、弾性伸縮部材15,16の取付位置に応じて適宜選択すれば良く、好ましい範囲については前述のとおりである。総じて、弾性伸縮部材15,16の太さは200〜1000dtex程度、伸長率は200〜300%程度とすることが望ましい。
【0079】
以上に述べた伸縮構造では、弾性伸縮部材15,16の収縮に伴い、
図6(b)に示すように、第1シート材12S及び第2シート材12Hにおけるシート接合部70間に位置する部分がそれぞれ収縮し、互いに反対向きに膨らんで襞80が形成される。
図6(b)は自然長の状態であるが、装着時にはこの状態から弾性伸縮部材15,16がある程度まで伸長され、
図6(c)に示すように、襞80の裾が広がり、それに伴い襞80の高さ80hが低くなる。この伸縮構造は、連続性の高い襞80が形成され、通気性、見栄えに優れるものである。
【0080】
そして、弾性伸縮部材15,16がシート接合部70と交差する位置で第1シート材12S及び第2シート材12Hの少なくとも一方に固定されるとともに、展開状態で、シート接合部70の連続方向と弾性伸縮部材15,16の延在方向との鋭角側交差角θが45度より大きいと、
図16(c)〜(d)に示すように、展開状態の弾性伸縮部材15,1619の延在方向に対して収縮状態の弾性伸縮部材15,16の向きが斜め方向となるものである。これは、展開状態から弾性伸縮部材15,16の収縮に伴い第1シート材12S及び第2シート材12Hが収縮するとき、隣り合うシート接合部70間が自然に襞80寄せされる方向が弾性伸縮部材15,16の収縮方向に対してズレる(鋭角側交差角θが45度より大きくなるよう交差する)ために、これらの方向のズレのつり合いがとれるように第1シート材12S及び第2シート材12Hが変形(図示のような矩形領域であれば伸縮方向一方側の辺が他方側の辺に対して平行にずれた平行四辺形のようになる)し、その結果として収縮状態の弾性伸縮部材15,16の向きが斜め方向となるものである。この伸縮構造は完全に展開した状態では弾性伸縮部材15,16の向きは斜め方向とはならないが、吸収性物品は展開状態での使用や流通を行うものではないし、製品状態(自然長状態)および装着状態では弾性伸縮部材15,16の向きが斜め方向となり、斜め方向に沿うフィット性が得られるようになる。しかも、このような構造がシート接合部70のパターン変更のみで可能であり、そのパターンも間欠的であるため、第1シート材12S及び第2シート材12Hの柔軟性の低下は少ないものとなる。これに対して、鋭角側交差角θが45度以下であると、
図16(a)(b)に示すように、弾性伸縮部材15,16をその連続方向に連続固定した状態に近くなる結果、シート接合部70の連続方向に連続する襞80は形成されず、展開状態の弾性伸縮部材15,16の延在方向に対して収縮状態の弾性伸縮部材15,16の向きは殆ど変化しない。
【0081】
展開状態における、シート接合部70の連続方向と弾性伸縮部材15,16の延在方向との鋭角側交差角θは45度以上(鋭角であるため90度未満)であれば特に限定されないが、好ましくは50〜85度、より好ましくは55〜80度、特に好ましくは60〜75度である。
【0082】
シート接合部70のパターンは適宜定めることができるが、図示形態のように、パンツタイプ使い捨ておむつの外装体12における少なくとも内装体200の幅方向両側を含む領域に適用する場合、シート接合部70を、前身頃Fにおける内装体200の左側及び右側では、おむつの外側から見てそれぞれ左斜め上向き及び右斜め上向きにそれぞれ設け、後身頃Bにおける内装体200の左側及び右側では、おむつの外側から見てそれぞれ左斜め下向き及び右斜め下向きにそれぞれ設けると、前身頃Fでは脚周りや鼠蹊部に対するフィット性が向上し、後身頃Bでは臀部の膨らみを包むようなフィット性が得られるようになる。
【0083】
図17〜
図20は、
図2に示す形態のサンプルの写真であり、弾性伸縮部材15,16は
図16に示す状態ほどは斜めに傾いていないが、これは前身頃F及び後身頃Bのシート接合部70の斜め方向が反対であることと、前身頃F及び後身頃Bがサイドシール部12Aで連結されており、前身頃Fの変形及び後身頃Bの変形が打ち消し合うこと、並びに内装体200を有する部分の剛性が高いこと、ウエスト縁部弾性伸縮部材17による収縮量が弾性伸縮部材15,16による収縮量よりも多いことが影響している。しかし、それでもこのような影響を考慮しつつ見ていくと、シート接合部70の方向に応じて弾性伸縮部材15,16が斜め方向を向くように外装体12が変形しており、しかも当初予期していないことであったが、前身頃Fのウエスト開口部WOの縁WOFが後身頃Bのウエスト開口部WOの縁WOBに対して相対的に股間側にズレることが理解される。すなわち、本発明の変形作用により、後身頃Bにおいてはウエスト開口部WOに対してサイドシール部12Aが下方にズレて、前身頃Fにおいてはさらにこのサイドシール部12Aに対して内装体200を有する中間部分が下方にズレた構造となった。このような構造は、前身頃Fにおいては乳幼児の膨らんだお腹を圧迫することなくフィットし、後身頃Bにおいては臀部をウエストまでしっかりとカバーできるため、非常に好ましいものである。
【0084】
シート接合部70は直線状であっても好ましいものであるが、
図11に示すようにシート接合部70が曲線状(図示例は弧状)をなしていると、展開状態の弾性伸縮部材15,16の延在方向に対して収縮状態の弾性伸縮部材15,16が斜め向きでかつ曲線状となるため、図示例のような脚周りや鼠蹊部、臀部の膨らみ等の曲線状のフィット性が要求される部位に特に好ましいものとなる。
【0085】
また、吸収性物品のフィット形状は装着者の体の部位により異なるため、装着者の体の部位に応じて吸収性物品を複数の領域に分けるとともに、いずれか一つの領域におけるシート接合部の連続方向を斜め方向とし、かつ他のいずれか一つの領域におけるシート接合部の連続方向がこれと異なる方向とすることも一つの好ましい形態である。例えば前述のパンツタイプ使い捨ておむつの場合には、
図12に示すように、前後方向に複数の領域に分ける他、
図13に示すように幅方向に複数の領域に分けて、シール接合部の連続方向を異ならしめることができる。より詳細には、
図12に示す形態では、後身頃Bをウエスト縁部Wの領域と、ウエスト下部Uから中間部Lにかけての領域の2つの領域に分けて、各領域のシート接合部70の連続方向を相互に異なる斜め方向としており、前身頃Fをウエスト縁部Wの領域と、ウエスト下部Uの上側領域と、ウエスト下部の下側領域から中間部Lにかけての領域の3つの領域に分けて、各領域のシート接合部70の連続方向を相互に異なる斜め方向として、それぞれフィット性の向上を図っている。また、
図13に示す形態では、後身頃Bを臀部中央領域とその側方領域とに分けて、臀部中央領域におけるシート接合部70の連続方向を前後方向(縦方向)とし、側方領域におけるシート接合部70の連続方向を斜め方向としており、また、前身頃Fを脚周りに沿う領域と、それよりも内側の鼠蹊部領域(三角形領域)とに分けて、脚周りに沿う領域におけるシート接合部70の連続方向を斜め方向とし、鼠蹊部領域におけるシート接合部70の連続方向を前後方向(縦方向)として、それぞれフィット性の向上を図っている。
【0086】
また、シート接合部70のパターンだけでは所望のフィット性が得られない場合等、必要に応じに、特開2012−29806号公報記載の技術を適用して、弾性伸縮部材群の少なくとも一方側の端部の位置を適宜、例えば臀部の膨らみに合わせて
図14に示すように斜め方向に配置したり、
図15に示すように曲線状に配置したりするのも一つの好ましい形態である。特に、パンツタイプ使い捨ておむつの弾性伸縮部材のように、幅方向中央側の端部が弾性伸縮部材の切断により形成される場合は、その切断のパターンを変更することにより、図示形態の構造を製造することができる。
【0087】
他方、上述の伸縮構造ではシート接合部70が伸縮方向に間欠的となるため、弾性伸縮部材15,16の固定力の低下は避けられず、弾性伸縮部材15,16が抜けてしまうおそれがある。特に、各シート接合部70の伸縮方向の幅70wは狭いことが望ましいが、その場合、弾性伸縮部材15,16とシート接合部70とが交差する位置が小さくなり、この小さな位置で弾性伸縮部材15,16を固定することが必要となり、弾性伸縮部材15,16の固定力の確保が重要となる。
【0088】
そこで、弾性伸縮部材15,16をシート接合部70と交差する位置以外でも部分的に第1シート材12S及び第2シート材12Hの少なくとも一方に固定し、弾性伸縮部材15,16の固定を補強することも一つの好ましい形態である。具体的には、
図2に示すように、第1シート材12S及び第2シート材12Hの少なくとも一方における弾性伸縮部材15,16の両端部が位置する領域に、補強用のホットメルト接着剤71R等の接着剤71を塗布し、この接着剤71により第1シート材12S及び第2シート材12Hに対する弾性伸縮部材15,16の固定を補強することができる。
【0089】
なお、パンツタイプ使い捨ておむつの外装体12の弾性伸縮部材15,16は、幅方向外側の端部がサイドシール部12Aにおいて強固に固定されるため、サイドシール部12A側の端部領域についてはこれらの固定強化手段を省略するのも一つの好ましい形態である。
【0090】
(その他)
上記例は、パンツタイプ使い捨ておむつのウエスト下部Uから中間部Lまでの部分への適用例であるが、ウエスト縁部Wまでを含めて適用しても良く、また中間部Lの弾性伸縮部材16を省略しても良い。また、上述の伸縮構造は、従来の技術の項で述べたテープタイプ使い捨ておむつの背側部分の胴
周り部や、立体ギャザー等、他の伸縮部にも適用することができる。
【0091】
特に、上記実施形態では、第2シート材が装着者の肌に接触する面を有するものであったが、第1シート材が装着者の肌に接触する面を有するもの(例えば上記実施形態の第1シート材及び第2シート材の内外が逆の形態)であっても良く、両シート材12S,12Hが装着者の肌に接触する面を有していても良い。ただし、第1シート材12Sにおいて接着剤71が連続するため、肌に接触させる第1シート材12Sそのものの柔軟性の低下だけでなく、その柔軟性の低下部分が弾性伸縮部材15,16により肌に押し付けられるため、その点ではあまり好ましくない。よって、上記実施形態のように、接着剤71の連続しない第2シート材12Hが装着者の肌に接触する部材であることが望ましい。