(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る第一
参考例の回転機械について
図1から
図4を参照して説明する。
第一
参考例における回転機械はターボ機械である遠心ポンプ(回転機械)1であり、例えば給水ポンプが挙げられ、本
参考例では多段ポンプとなっている。そして、
図1に示すように、この遠心ポンプ(回転機械)1は、外部ケーシング2と、外部ケーシング2の内部に配置されている内部ケーシング3(ケーシング)と、内部ケーシング3を貫通するように配置された軸線Oを中心に延在する回転軸4と、キーを介して回転軸4に一体に回転可能に固定された両吸込インペラ5及び複数の羽根車6(インペラ)とを主に備えている。
【0021】
外部ケーシング2は、中空形状をなし、径方向内側に向かって流体Fを吸い込む吸込口8と、径方向外側に向かって流体Fを吐き出す吐出口9とが形成されている。
【0022】
また、外部ケーシング2の一端部(
図1の左端部)にはケーシングカバー11が装着されているとともに、外部ケーシング2の他端部にはケーシングカバー12が装着されている。そして、ケーシングカバー11、12がそれぞれ複数の締結ボルト13、14により固定されることで、外部ケーシング2、内部ケーシング3、及びケーシングカバー11、12が一体化されている。また、吸込口8には、不図示の復水回収ラインが連結され、吐出口9には不図示の給水ラインが接続されている。
【0023】
内部ケーシング3は、外部ケーシング2の内部に配置されており、複数のリング部材10を回転軸4の軸線O方向に配列した構成をなしている。また、この内部ケーシング3には、吸込口8及び吐出口9にそれぞれ連通して、縮径及び拡径を繰り返す内部空間が設けられている。この内部空間には羽根車6が収容される。そして、羽根車6を収容した際に羽根車6同士の間となる位置に羽根車6を流通する流体Fを上流側から下流側に流通させるケーシング流路7が形成されており、吸込口8と吐出口9とは羽根車6及びケーシング流路7を介して連通している。
【0024】
回転軸4は、内部ケーシング3に収容された羽根車6及び両吸込インペラ5が外嵌されて、これらと共に軸線Oを中心に回転する。またこの回転軸4は図示しない軸受によって外部ケーシング2及び内部ケーシング3に対して回転自在に支持されており、また図示しない原動機によって回転駆動される。
【0025】
両吸込インペラ5は、外部ケーシング2の内部に収容されており、吸込口8から流体Fを吸込むように構成されている。
【0026】
複数の羽根車6は、両吸込インペラ5よりも軸線O方向の下流側となる他方側(
図1における紙面に向かって右側)で、内部ケーシング3における各々のリング部材10の内部に、回転軸4の軸線O方向に間隔を空けて収容されている。
また、各々の羽根車6は、
図2及び
図3に示すように、流出側に進むにつれて漸次拡径した略円盤状のディスク18と、ディスク18の表面から回転軸4の外部ケーシング2の一端部となる軸線Oの他方側に立ち上がるように、ディスク18に放射状に取り付けられて周方向に並んだ複数の羽根19(ブレード)とを有している。さらに、この羽根車6は、軸線O方向の一方側からこれら複数の羽根19を周方向に覆うように取り付けられたカバー20を有している。さらに、このカバー20と内部ケーシング3との間は、羽根車6と内部ケーシング3とが接触しないように間隙Sが画成されている。さらに、互いに隣り合う一対の羽根19の二つの面とともに、羽根19の軸線O方向両側にそれぞれ設けられるディスク18及びカバー20の面によって囲まれて径方向に流体Fが流通するように画成された空間である流路23が画成される。そして、流路23は、羽根19における軸線O方向の一方側、即ち、径方向内側を流体Fの流入側として流体Fを取り込み、径方向外側を流体Fの流出側として羽根19の先端側から流体Fを排出する。
【0027】
羽根19は、軸線Oを中心としてディスク18の軸線O方向の面である後述するディスク曲面18aから軸線O方向の一方側に立ち上がるように、軸線Oの周方向、即ち、回転方向Rに一定間隔をあけて複数配置されている。羽根19は、それぞれディスク18の径方向内側から外側に向かうにしたがって、回転方向Rの後方側に向かって湾曲するように形成されている。また、羽根車6に形成された複数の羽根19は、羽根19の軸線O方向両側にそれぞれ設けられて、互いに隣り合う一対の羽根19における軸線Oの周方向に対向する二つの面のうち、回転方向Rの前方側を向く面が圧力面19a、回転方向Rの後方側を向く面が負圧面19bとなっている。そして、隣接する羽根19の圧力面19aと負圧面19bとの間には、径方向に流体Fが流通する流路23が画成される。
【0028】
ディスク18は、軸線O方向の一方側(
図2における紙面に向かって左側)を向く端面が小径とされ、他方側を向く端面が大径とされている。そして、ディスク18は、これら二つの端面が軸線O方向の一方側から他方側に向かうにしたがって漸次拡径するディスク曲面18aによって接続されることで、軸線O方向視で略円盤状をなし、全体として略傘形状をなしている。
【0029】
また、このディスク18の径方向内側には、ディスク18を軸線O方向に貫く貫通孔18bが形成されている。この貫通孔18bに回転軸4が挿入されて嵌合されることで、羽根車6が回転軸4に固定されて、一体として回転可能となっている。
【0030】
ディスク曲面18aは、互いに隣り合う一対の羽根19の圧力面19a及び負圧面19bとともに、径方向に流体Fが流通する流路23を画成する羽根19の軸線O方向両側にそれぞれ設けられた二つの面のうちのディスク18側の面である。また、ディスク曲面18aは、ディスク曲面18aから突出するディスク段部(段部)40が形成されている。
ディスク段部(段部)40は、流路23を流通する流体Fの流れを乱すように、ディスク曲面18aの形状を一部変化させるように固定された断面矩形状に突出する部材である。ディスク段部(段部)40は、一対の羽根19における周方向に対向する圧力面19a及び負圧面19bから周方向に等距離の離間した位置に配置されている。そして、ディスク段部(段部)40は、羽根19と同様に径方向外側に向かうにしたがって回転方向Rの後方に向かって延びている。本
参考例において、径方向内側から径方向外側に流れる流体Fの流れが圧力面19aによって押し出されることによって、周方向の成分を有する流れとなる。つまり、この流体Fの流れの周方向の成分を遮るように、流体Fの流れ方向と交差するようディスク段部(段部)40は形成されている。
【0031】
カバー20は、複数の羽根19を軸線O方向の一方側から覆うようにこれら羽根19と一体に設けられた部材であり、軸線O方向の一方側から他方側に向かうに従って漸次拡径するカバー曲面20aによって接続されることで、略傘形状をなしている。即ち、本
参考例では羽根車6は、カバー20を有するクローズドインペラとなっている。
カバー曲面20aは、互いに隣り合う一対の羽根19の圧力面19a及び負圧面19bとともに、径方向に流体Fが流通する流路23を画成する羽根19の軸線O方向両側にそれぞれ設けられた二つの面のうちのディスク曲面18aと対向するカバー20側の面である。また、カバー曲面20aは、カバー曲面20aから突出するカバー段部(段部)41が形成されている。
【0032】
カバー段部(段部)41は、ディスク段部(段部)40と同様に、流路23を流通する流体Fの流れを乱すように、カバー曲面20aの形状を一部変化させるように固定された断面矩形状に突出する部材である。カバー段部(段部)41は、一対の羽根19における周方向に対向する圧力面19a及び負圧面19bから周方向に離間した位置に配置されている。そして、カバー段部(段部)41は、羽根19と同様に径方向外側に向かうにしたがって回転方向Rの後方に向かって延びている。即ち、本
参考例において、圧力面19aによって押し出されて周方向の成分を有する流体Fの流れを遮るように、流体Fの流れ方向と交差するようカバー段部(段部)41は形成されている。
なお、ディスク段部(段部)40及びカバー段部(段部)41は、それぞれディスク曲面18a及びカバー曲面20aの一部を僅かに隆起させる程度だけディスク曲面18a及びカバー曲面20aから突出していれば良い。具体的には、カバー段部(段部)41とディスク段部(段部)40とが突出しても、それぞれが離間して間に流体Fが流通可能な空間が形成されていれば良い。
【0033】
ここで、各々の羽根車6の間を繋ぐように、流体Fが段階的に昇圧されるように上述したケーシング流路7は形成されている。そして、両吸込インペラ5の流出側が図示しない給水経路を介して軸線O方向の一方側の端部に設けられた最前段の羽根車6の流入側に接続され、各々の羽根車6の流出側は隣接する羽根車6の流入側にケーシング流路7を介して接続されている。また、軸線O方向の他方側の端部に設けられた最後段の羽根車6の流出側は吐出口9に接続されている。
【0034】
そして、ケーシング流路7は、羽根車6の流路23へ流体Fを導入する吸込流路22と、流路23から流体Fが導入されるディフューザ流路24と、ディフューザ流路24から流体Fが導入されるリターン流路25とを有している。
【0035】
吸込流路22は、径方向外方から径方向内方に向かって流体Fを流した後、流体Fの向きを羽根車6の直前で回転軸4の軸線O方向に変換させる流路である。
【0036】
ディフューザ流路24は、径方向内方側が流路23に連通しており、羽根車6によって昇圧された流体Fを径方向外側に向かって流通させる。このディフューザ流路24には回転軸4の軸線Oを中心として周方向に等間隔に配置された複数のディフューザベーン16が設けられている。
【0037】
リターン流路25は、一端側がディフューザ流路24に連通し、他端側が吸込流路22に連通するようになっている。このリターン流路25は、ディフューザ流路24を通って径方向外側に向かって流れてきた流体Fの向きを径方向内側に向くように反転させるコーナ部26と、径方向外方から径方向内方に向かって延出するストレート部27とを有している。
【0038】
ストレート部27は、内部ケーシング3に一体的に取り付けられた隔壁部材の下流側側壁と、内部ケーシング3に一体的に取り付けられて径方向内方に延伸した延伸部の上流側側壁とで囲まれた流路である。また、ストレート部27には、回転軸4の軸線Oを中心として周方向に等間隔に配置された複数のリターンベーン17が設けられている。
【0039】
次に、上記構成の遠心ポンプ(回転機械)1の作用について説明する。
上記のような第一
参考例の遠心ポンプ(回転機械)1では、各々の羽根車6へ流体Fの入口付近となる径方向内側の吸込流路22から流入した流体Fを、羽根車6内の流路23を介して羽根車6の径方向外側に配置されたディフューザ流路24に昇圧して送り出している。そして、この流路23内を流体Fが流通することで、径方向内側から外側に向かって昇圧して送り出される主流F1と、主流F1の流れを阻害する二次流れF2とが生じている。
【0040】
ここで説明する二次流れF2は、
図4に示すように、羽根19が軸線O回りに回転方向Rに向かって旋回することにより流路23内の流体Fが圧力面19aから押し出され、圧力面19aと交差する方向に沿って隣接する羽根19の負圧面19bに向かいながら、主流F1の流れを遮るように周方向に流れている。具体的には、二次流れF2は、圧力面19aから流体Fが押し出されると、羽根19と共に流路23を画成するディスク18のディスク曲面18a及びカバー20のカバー曲面20aに沿うように軸線O方向に広がりながら、圧力面19aと交差する方向かつ径方向外側に向かうように流れる。そして、このディスク曲面18a及びカバー曲面20aに沿って流れる二つの二次流れF2は、それぞれディスク曲面18aに設けられたディスク段部(段部)40及びカバー曲面20aに設けられたカバー段部(段部)41に衝突することで流れが乱されて、圧力面19aと交差する方向かつ径方向外側に向かう流れが弱められている。
一方、昇圧して送り出される主流F1の流れは、流路23内のディスク段部(段部)40とカバー段部(段部)41との間の空間を流通することで遮られることなくディフューザ流路24に送出されている。
【0041】
上記のような遠心ポンプ(回転機械)1によれば、流路を画成する二つの面であるディスク曲面18a及びカバー曲面20aから、流路23を流通する流体Fの流れを乱すようにディスク段部(段部)40とカバー段部(段部)41とをそれぞれ設けることで、ディスク曲面18aとカバー曲面20aとに沿って流れる二次流れF2をそれぞれ乱すことができる。一方、ディスク曲面18aからディスク段部(段部)40、及びカバー曲面20aからカバー段部(段部)41がそれぞれ突出させて形成されることで、流路23において羽根19とともに画成する二つの面であるディスク曲面18aとカバー曲面20aとの間に流体Fが流通する空間を確保することができ、流路23内を径方向内側から外側に向かって流れる主流F1の流れをほとんど遮らない。そのため、流れを乱して二次流れF2の速度を低減させることで二次流れF2を弱めながら、ほとんどディスク段部(段部)40及びカバー段部(段部)41の影響を与えずに主流F1を流すことができる。これにより、主流F1に影響を与えずに二次流れF2による損失を効率的に低減することが可能となる。
【0042】
また、ディスク段部(段部)40及びカバー段部(段部)41が、一対の羽根19における周方向に対向する圧力面19a及び負圧面19bから周方向に離間した位置に配置され、径方向内側から径方向外側に向かって延びて突出して形成されていることで、圧力面19aに押し出されて圧力面19aと交差する方向に流れる二次流れF2を遮ることができる。即ち、ディスク曲面18aとカバー曲面20aとに沿って流れる二次流れF2を、突出するディスク段部(段部)40及びカバー段部(段部)41に衝突させることができ、容易に流れを乱すことができる。これにより、主流F1に影響を与えずに二次流れF2による損失を効率的に低減することが容易に可能となる。
【0043】
次に、
図5及び
図6を参照して第二
参考例の遠心ポンプ(回転機械)1について説明する。
第二
参考例においては第一
参考例と同様の構成要素には同一の符号を伏して詳細な説明を省略する。この第二
参考例の遠心ポンプ(回転機械)1は、ディスク曲面18aとカバー曲面20aがそれぞれ窪みを有している点について第一
参考例と相違する。
【0044】
即ち、
図5に示すように、第二
参考例では、ディスク曲面18aは、ディスク曲面18aから窪むディスク凹部(段部)50を有している。
ディスク凹部(段部)50は、流路23を流通する流体Fの流れを乱すようにディスク曲面18aの形状を一部変化させて断面矩形状に窪んでいる。ディスク凹部(段部)50は、一対の羽根19における周方向に対向する圧力面19a及び負圧面19bから周方向に離間した位置に配置されている。そして、ディスク凹部(段部)50は、羽根19と同様に径方向外側に向かうにしたがって回転方向Rの後方に向かって延びている。即ち、本
参考例において、圧力面19aによって押し出されて周方向の成分を有する流体Fの流れを遮るように、流体Fの流れ方向と交差するようディスク凹部(段部)50は形成されている。
【0045】
カバー曲面20aは、カバー曲面20aから窪むカバー凹部(段部)51を有している。
カバー凹部(段部)51は、ディスク凹部(段部)50と同様に、流路23を流通する流体Fの流れを乱すようにカバー曲面20aの形状を一部変化させて断面矩形状に窪んでいる。一対の羽根19における周方向に対向する圧力面19a及び負圧面19bから周方向に離間した位置に配置され、径方向内側から径方向外側に向かって延びている。
【0046】
上記のような第二
参考例の遠心ポンプ(回転機械)1では、二次流れF2は、第一
参考例と同様に、圧力面19aから流体Fが押し出されると、羽根19と共に流路23を画成するディスク18のディスク曲面18a及びカバー20のカバー曲面20aに沿うように軸線O方向に広がりながら、圧力面19aと交差する方向かつ径方向外側に向かうように流れる。そして、
図6に示すように、このディスク曲面18a及びカバー曲面20aに沿って流れる二つの二次流れF2は、それぞれディスク曲面18aに設けられたディスク凹部(段部)50及びカバー曲面20aに設けられたカバー凹部(段部)51に流れ込むことによって流れが乱されて、圧力面19aと交差する方向かつ径方向外側に向かう流れが弱められている。
一方、昇圧して送り出される主流F1は、流路23内に突出して障害となるような部分が無いため、流れを遮られることなくディフューザ流路24に送出されている。
【0047】
このような第二
参考例の遠心ポンプ(回転機械)1によれば、ディスク凹部(段部)50及びカバー凹部(段部)51が、一対の羽根19における周方向に対向する圧力面19a及び負圧面19bから周方向に離間した位置に配置され、径方向内側から径方向外側に向かって延びて窪んでいる。そのため、圧力面19aに押し出されて圧力面19aと交差する方向に流れる二次流れF2をディスク凹部(段部)50及びカバー凹部(段部)51に流れ込ませることができる。即ち、ディスク曲面18aとカバー曲面20aとに沿って流れる二次流れF2を、ディスク凹部(段部)50及びカバー凹部(段部)51に流れ込ませることができ、容易に二次流れF2の流れを乱すことができる。また、流路23内に突出するような段部を設けないことで、流路23内を径方向内側から外側に向かって流れる主流F1の流れを遮られることがない。そのため、流れを乱して二次流れF2の速度を低減させることで二次流れF2を弱めながら、より影響を与えずに主流F1を流すことができる。これにより、主流F1に影響を与えずに二次流れF2による損失を効率的に低減することが容易に可能となる。
【0048】
なお、第一
参考例及び第二
参考例の段部は、本
参考例に限定されるものではなく、ディスク18のディスク曲面18aとカバー20のカバー曲面20aとがともに突出していたり窪んでいたりすることには限定されない。例えば、ディスク曲面18aにはディスク段部(段部)40が設けられ、カバー曲面20aにはカバー凹部(段部)51が設けられていてもよく、逆にディスク曲面18aにはディスク凹部(段部)50が設けられ、カバー曲面20aにはカバー段部(段部)41が設けられていてもよい。
【0049】
次に、
図7及び
図8を参照して第三
参考例の遠心ポンプ(回転機械)1について説明する。
第三
参考例においては第一
参考例と同様の構成要素には同一の符号を伏して詳細な説明を省略する。この第三
参考例の遠心ポンプ(回転機械)1は、ディスク曲面18aのみに突出している部分を有する点について第一
参考例と相違する。
【0050】
即ち、
図7に示すように、第三
参考例では、ディスク曲面18aは、ディスク曲面18aから突出する凸部60が形成されている。
凸部60は、流路23を画成する二つの面のうちの一方の面であるディスク曲面18aに形成されている。凸部60は、流路23を流通する流体Fの流れを乱すようにディスク曲面18aの形状を一部変化させるように固定された断面矩形状に突出する部材である。
凸部60は、一対の羽根19における周方向に対向する圧力面19a及び負圧面19bから周方向に等距離の離間した位置に配置されている。また、凸部60は、羽根19と同様に径方向外側に向かうにしたがって回転方向Rの後方に向かって延びている。即ち、本
参考例において、圧力面19aによって押し出されて周方向の成分を有する流体Fの流れを遮るように、流体Fの流れ方向と交差するよう凸部60は形成されている。そして、凸部60は、ディスク曲面18aとカバー曲面20aとの間の距離aに対して、1/4の突出高さbで突出する部材である。
なお、凸部60は、ディスク曲面18aとカバー曲面20aとの間の距離aに対して、1/4以下の突出高さbであれば良い。
【0051】
上記のような第三
参考例の遠心ポンプ(回転機械)1では、二次流れF2は、第一
参考例と同様に、圧力面19aから流体Fが押し出されると、羽根19と共に流路23を画成するディスク18のディスク曲面18a及びカバー20のカバー曲面20aに沿うように軸線O方向に広がりながら、圧力面19aと交差する方向かつ径方向外側に向かうように流れる。そして、
図8に示すように、このディスク曲面18a及びカバー曲面20aに沿って流れる二つの二次流れF2のうち、ディスク曲面18aに沿って流れる二次流れF2がディスク曲面18aに設けられた凸部60に衝突することで乱されて、圧力面19aと交差する方向かつ径方向外側に向かう流れは弱められている。
一方、昇圧して送り出される主流F1の流れは、流路23内の凸部60とカバー曲面20aとの間の空間を流通することで阻害されることなくディフューザ流路24に送出されている。
【0052】
このような第三
参考例の遠心ポンプ(回転機械)1によれば、凸部60が、一対の羽根19における周方向に対向する圧力面19a及び負圧面19bから周方向に離間した位置に配置され、径方向内側から径方向外側に向かって延びて突出していることで、圧力面19aに押し出されて圧力面19aと交差する方向に流れる二次流れF2を遮ることができる。そして、凸部60の突出高さbがディスク曲面18aとカバー曲面20aとの間の距離aに対して、1/4以下であることで、流路23を閉塞することがないため、流路23内を径方向内側から外側に向かって流れる主流F1の流れを遮ることがない。そのため、ディスク曲面18aに沿って流れる二次流れF2を、凸部60に衝突させることで容易に流れを乱しながら、ほとんど影響を与えずに主流F1を流すことができる。これにより、主流F1に影響を与えずに二次流れF2による損失を効率的に低減することが可能となる。
【0053】
また、流路23を画成する二つの面のうちの一方であるディスク曲面18aのみに凸部60を設けていため、カバー20を変更することなくディスク18のみを変更することで容易に凸部60を形成することができる。したがって、流路23を画成する二つの面のうちの一方の面を有する部材を変更することで、容易に二次流れF2を乱す遠心ポンプ(回転機械)1を得ることが可能となる。
なお、凸部60は本
参考例のようにディスク曲面18aに設けられていることに限定されるのではなく、カバー20のカバー曲面20aに設けられていても良い。即ち、ディスク18かカバー20のいずれの面に凸部60を設けるかは、使用される回転機械に応じて適宜選択されれば良い。
【0054】
次に、
図9及び
図10を参照して第
一実施形態の遠心ポンプ(回転機械)1について説明する。
第
一実施形態においては第一
参考例と同様の構成要素には同一の符号を伏して詳細な説明を省略する。この第
一実施形態の遠心ポンプ(回転機械)1は、ディスク曲面18aのみに窪んでいる部分を有する点について第一
参考例と相違する。
【0055】
即ち、
図9に示すように、第
一実施形態では、ディスク曲面18aは、ディスク曲面18aから窪む凹部70が形成されている。
凹部70は、流路23を画成する二つの面のうちの一方の面であるディスク曲面18aに、流路23を流通する流体Fの流れを乱すように形成されている。凹部70は、ディスク曲面18aの形状を一部変化させて、圧力面19aから負圧面19bに向かうにしたがって徐々に深くなるように断面三角形状に窪んでいる。凹部70は、一対の羽根19における周方向に対向する圧力面19a及び負圧面19bから周方向に等距離の離間した位置に配置されている。また、凹部70は、羽根19と同様に径方向外側に向かうにしたがって回転方向Rの後方に向かって延びている。即ち、本実施形態において、圧力面19aによって押し出されて周方向の成分を有する流体Fの流れを遮るように、流体Fの流れの流れ方向と交差するよう凹部70は形成されている。
【0056】
上記のような第
一実施形態の遠心ポンプ(回転機械)1では、二次流れF2は、第一
参考例と同様に、圧力面19aから流体Fが押し出されると、羽根19と共に流路23を画成するディスク18のディスク曲面18a及びカバー20のカバー曲面20aに沿うように軸線O方向に広がりながら、圧力面19aと交差する方向かつ径方向外側に向かうように流れる。そして、
図10に示すように、このディスク曲面18a及びカバー曲面20aに沿って流れる二つの二次流れF2のうち、ディスク曲面18aに沿って流れる二次流れF2が、ディスク曲面18aに設けられた凹部70に流れ込むことによって流れが乱されて、圧力面19aと交差する方向かつ径方向外側に向かう流れは阻害されている。
一方、昇圧して送り出される主流F1は、流路23内に突出して障害となるような部分が無いため、流れを阻害されることなくディフューザ流路24に送出されている。
【0057】
このような第
一実施形態の遠心ポンプ(回転機械)1によれば、凹部70が、一対の羽根19における周方向に対向する圧力面19a及び負圧面19bから周方向に離間した位置に配置され、径方向内側から径方向外側に向かって延びて窪んでいることで、圧力面19aに押し出されて圧力面19aと交差する方向に流れる二次流れF2が流れ込ませることができる。そのため、ディスク曲面18aに沿って流れる二次流れF2を凹部70に流れ込ませることができ、容易に二次流れF2の流れを乱すことができる。また、流路23内に突出するような段部を設けないことで、流路23内を径方向内側から外側に向かって流れる主流F1の流れを阻害することがない。そのため、流れを乱して二次流れF2の速度を低減させることで二次流れF2を弱めながら、より影響を与えずに主流F1を流すことができる。これにより、主流F1に影響を与えずに二次流れF2による損失を効率的に低減することが可能となる。
【0058】
また、凹部70は、圧力面19aから負圧面19bに向かうにしたがって徐々に深くなるように断面三角形状をなしているため、二次流れF2はディスク曲面18aに沿って流れながら凹部70内に流れ込み、最も深くなっている部分で編鬼面に衝突し易くなり、より流れを確実に乱すことができる。
【0059】
さらに、流路23を画成する二つの面のうちの一方であるディスク曲面18aのみに凹部70を設けていため、カバー20を変更することなくディスク18のみを改造することで容易に凸部60を形成することができる。特に、凹部70は、ディスク曲面18a又はカバー曲面20aから窪んでいれば良く、既設の遠心ポンプ(回転機械)1に対しても、流路23を画成する二つの面のうちの一方の面を削ることで凹部70を設置後に容易に形成することができる。
なお、凹部70は本実施形態のようにディスク曲面18aに設けられていることに限定されるのではなく、カバー20のカバー曲面20aに設けられていても良い。即ち、ディスク18かカバー20のいずれの面に凹部70を設けるかは、使用される回転機械に応じて適宜選択されれば良い。
【0060】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、本実施形態の第一変形例として、ディスク曲面18a及びカバー曲面20aの一部を直接に変形させている。
即ち、第一変形例は、
図11に示すように、ディスク曲面18a及びカバー曲面20aに一体となるように変形段部(段部)80が設けられている。
変形段部(段部)80は、流路23を画成する二つの面であるディスク曲面18a及びカバー曲面20aの一部を、流路23を流通する流体Fの流れを乱すように変化させて形成されている。具体的には、変形段部(段部)80は、ディスク曲面18a及びカバー曲面20aの一部を、圧力面19aから負圧面19bに向かうにしたがって徐々に深くなるように断面三角形状に窪ませたのちに、ディスク曲面18a及びカバー曲面20aよりも突出させている。
【0061】
上記のような第一変形例の遠心ポンプ(回転機械)1では、二次流れF2は、第一実施形態と同様に、圧力面19aから流体Fが押し出されると、羽根19と共に流路23を画成するディスク18のディスク曲面18a及びカバー20のカバー曲面20aに沿うように軸線O方向に広がりながら、圧力面19aと交差する方向かつ径方向外側に向かうように流れる。そして、
図12に示すように、このディスク曲面18a及びカバー曲面20aに沿って流れる二つの二次流れF2は、ディスク曲面18a及びカバー曲面20aにそれぞれ設けられた変形段部(段部)80に流れ込むことによって流れが乱された後に、変形段部(段部)80が突出することで衝突してさらに乱される。これにより、圧力面19aと交差する方向かつ径方向外側に向かう流れは弱められている。
【0062】
このような第一変形例の遠心ポンプ(回転機械)1によれば、変形段部(段部)80によって、徐々に窪ませつつ突出させることで、二次流れF2はディスク曲面18a及びカバー曲面20aに沿って流れながら変形段部(段部)80の窪んでいる部分に流れ込んで最も深くなっている部分で突出している壁面に衝突するため、より流れを激しく乱すことができる。そのため、二次流れF2の速度をより一層低減させることで二次流れF2を弱めることができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態
及び参考例について図面を参照して詳述したが、
上記の各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
【0064】
なお、本実施形態では、回転機械をターボ機械である遠心ポンプ(回転機械)1として羽根車6に使用される羽根19について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、水車の羽根19やガスタービンのインペラ等に用いてもよい。さらに、遠心ポンプ(回転機械)1であっても、羽根車6の羽根19に限定されるものではなく、例えば、ディフューザベーン16に段部や凸部60や凹部70を設けることで、ディフューザ流路24の二次流れF2を低減させる効果を奏し、またリターンベーン17に段部や凸部60や凹部70を設けることで、リターン流路25の二次流れF2を低減させる効果を奏する。
また、
上記の段部の形状は、
上記の形状に限定されるものではなく、例えば、断面三角形状や断面円形状に突出したり窪んでいたりしてもよい。
さらに、段部は、径方向に同じ断面形状で延在していることに限定されるものではなく、例えば、径方向の途中から段部が形成されて徐々に突出する量や窪む量が大きくなるよう形成されて、流出側で最も流通する流体Fの二次流れを乱すように形成されていてもよい。このように形成されることで、より主流F1への影響を抑えることができる。
【0065】
また、
上記の段部は、径方向内側である流体Fの流入側から径方向外側である流体Fの流出側に向かって連続して伸びていることに限定されるものではない。例えば、段部は、不連続な形状をなして径方向に部分的に形成されていたり、径方向外側のみや径方向内側のみに形成されていたりしてもよい。
さらに、
上記の段部は、圧力面19a及び負圧面19bから周方向に等距離の離間した位置に配置されていることに限定されるものではない。例えば、圧力面19a又は負圧面19bのいずれか一方に寄った位置に配置されていても良い。即ち、段部は、周方向の成分を有する流体Fの流れである二次流れをより効果的に遮る位置に配置されていればよい。
また、
上記の段部は、圧力面19aと負圧面19bとの間に複数箇所配置されていてもよい。複数箇所に段部を配置することで、より効率的に流体Fの流れを乱すことができる。
さらに、
上記の段部は、羽根19と同様に径方向外側に向かうにしたがって回転方向Rの後方に向かって延びていることに限定されるものでない。即ち、羽根19の圧力面19aや負圧面19bに対して任意の角度だけ傾いて配置されていても良い。