特許第6192045号(P6192045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192045
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20170828BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20170828BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20170828BHJP
   A61F 13/51 20060101ALI20170828BHJP
   A61F 13/494 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   A61F13/49 311A
   A61F13/56 210
   A61F13/514 300
   A61F13/51 100
   A61F13/514 321
   A61F13/49 100
   A61F13/494 200
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-268100(P2013-268100)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-123141(P2015-123141A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100112818
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 昭久
(72)【発明者】
【氏名】一萬田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】藤中 知子
(72)【発明者】
【氏名】植田 章之
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−072737(JP,A)
【文献】 特開2007−105127(JP,A)
【文献】 特開平09−122174(JP,A)
【文献】 特開2000−140004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15−13/84
A61L15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体、該吸収体の肌対向面側に配された液透過性の表面シート、該吸収体の非肌対向面側に配された液不透過性又は液難透過性の樹脂フィルムからなる防漏シート、及び該防漏シートの非肌対向面側に配された外装不織布を備えた縦長の吸収性本体を備え、長手方向に背側部、股下部及び腹側部を有する縦長の使い捨ておむつであって、
前記背側部に、前記吸収性本体の両側縁から延出する一対のフラップ部を有し、該一対のフラップ部の先端部に一対のファスニングテープが設けられており、
前記背側部における前記吸収性本体の肌対向面側に、表面被覆シートが、前記表面シートの一部を覆うように固定されており、
前記表面被覆シートは、股下部側の一部が、平面視において前記吸収体及び前記表面シートと重なり且つ該表面シートの肌対向面側に位置するとともに、他の一部が、該吸収体及び該表面シートそれぞれの背側端よりも、おむつ背側端側に延出するように配されており、
前記防漏シートは、前記吸収体の背側端から延出して、一対のファスニングテープの固定部の上端どうしを結ぶ仮想直線の近傍まで延在するか又は該仮想直線よりもおむつ背側端側まで延在しており、
前記外装不織布は、前記吸収体の背側端から延出して、前記仮想直線よりもおむつ背側端側まで延在しており、
前記仮想直線よりもおむつ背側端側には、伸縮性シートが配されており、該伸縮性シートは、前記防漏シートの背側端との間に間隔を設けるとともに、おむつ幅方向に伸長させた状態で、前記外装不織布に固定されており、
前記表面被覆シートは、前記防漏シートにおける前記吸収体の背側端から延出した部分に接合されており、且つ前記伸縮性シートの肌対向面側に固定されている、使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記伸縮性シートが、液不透過性又は液難透過性である、請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記表面被覆シートは、少なくとも前記吸収性本体と重なる部分が撥水性の不織布からなる請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記表面シート及び前記吸収体は、それぞれの背側端が、一対のファスニングテープの固定部の下端どうしを結ぶ第2仮想直線より股下部側に位置する、請求項1〜3の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記表面シートの背側端の位置が、前記吸収体の背側端の位置に略一致している、請求項1〜4の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記使い捨ておむつは、前記吸収性本体の長手方向における、前記防漏シートと前記伸縮性シートとの間の領域が通気部となっており、該通気部は、該防漏シートが配されている領域及び該伸縮性シートが配されている領域の何れの領域よりも通気性が高い、請求項1〜5の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記使い捨ておむつは、前記伸縮性シートを含む部分の厚みが、前記防漏シートと前記伸縮性シートとの間の領域における厚みよりも厚い、請求項1〜6の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
一対の前記フラップ部それぞれの背側端の位置が、両フラップ部間における、おむつの背側端の位置に一致している、請求項1〜7の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記表面被覆シートが、横長の形状を有し、前記吸収性本体を横断するように配されており、前記吸収性本体の両側縁から延出する部分が前記一対のフラップ部を形成しており、
前記表面被覆シートは、1枚の不織布で形成されているか、又は前記フラップ部を形成する部分が、別体のシート状部材を接合して形成されている、請求項1〜8の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の使い捨ておむつとしては、尿や軟便が漏れ出さないようにする観点から、吸収体の非肌対向面側に、液不透過性又は液難透過性の樹脂フィルムからなる防漏シートを配置したものが一般的であり、防漏性を高めるために、防漏シートを、おむつの腹側又は背側の端部まで延出させたものが多く提案されている。
また、いわゆる展開型の使い捨ておむつにおいては、ウエスト廻りに対するフィット性を高めるために、一対のファスニングテープ間に位置する領域に、弾性部材を配して伸縮性を付与することも行われている。
しかし、弾性部材として、糸ゴムなどの糸状弾性体を用いた場合、糸状弾性体の抜けを防止するために、糸状弾性体を挟むシートに接着剤を多く塗工する必要あり、通気性が悪くなる恐れがある。
特許文献1には、おむつの背側部側において、吸収体の端部を、一対のファスニングテープ間に位置する領域に達しないようにするとともに、吸収体の端部と防漏シートの端部の位置を異ならせて剛性を異ならせることによって、折れ曲がりの起点を作り、それによってフィット性を高める技術が開示されている。しかし、一対のファスニングテープ間に位置するテープ間領域を含めて、おむつの背側部側に、おむつ幅方向の伸縮性を付与する弾性部材が配されていないため、着用中に生じる着用者の腹囲変動に対する追従変形性が低く、身体への密着性が高いとは言い難い。
【0003】
また、液不透過性又は液難透過性の樹脂フィルムからなる防漏シートを、おむつの腹側又は背側の端部に配さないものも提案されている。例えば、特許文献2には、汗をかきやすい腰部等に液不透過性のフィルムを存在させずに高い通気性を確保するとともに、その部分に糸状の弾性体を配してフィット性を高めたものが提案されている。しかし、通気性は向上しても、尿や軟便等の漏れが心配される。
なお、特許文献2においては、一対のファスニングテープ間に、おむつ幅方向に延びて弾性体が配されているため、本発明におけるような断面Z字状の防漏構造を形成することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−72737号公報
【特許文献2】特開2001−95838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解決し得る使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、吸収体、該吸収体の肌対向面側に配された液透過性の表面シート、該吸収体の非肌対向面側に配された液不透過性又は液難透過性の樹脂フィルムからなる防漏シート、及び該防漏シートの非肌対向面側に配された外装不織布を備えた縦長の吸収性本体を備え、長手方向に背側部、股下部及び腹側部を有する縦長の使い捨ておむつであって、前記背側部に、前記吸収性本体の両側縁から延出する一対のフラップ部を有し、該一対のフラップ部の先端部に一対のファスニングテープが設けられており、前記背側部における前記吸収性本体の肌対向面側に、表面被覆シートが、前記表面シートの一部を覆うように固定されており、前記表面被覆シートは、股下部側の一部が、平面視において前記吸収体及び前記表面シートと重なり且つ該表面シートの肌対向面側に位置するとともに、他の一部が、該吸収体及び該表面シートそれぞれの背側端よりも、おむつ背側端側に延出するように配されており、前記防漏シートは、前記吸収体の背側端から延出して、一対のファスニングテープの固定部の上端どうしを結ぶ仮想直線の近傍まで延在するか又は該仮想直線よりもおむつ背側端側まで延在しており、前記外装不織布は、前記吸収体の背側端から延出して、前記仮想直線よりもおむつ背側端側まで延在しており、前記仮想直線よりもおむつ背側端側には、伸縮性シートが配されており、該伸縮性シートは、前記防漏シートの背側端との間に間隔を設けるとともに、おむつ幅方向に伸長させた状態で、前記外装不織布に固定されており、前記表面被覆シートは、前記防漏シートにおける前記吸収体の背側端から延出した部分に接合されており、且つ前記伸縮性シートの肌対向面側に固定されている、使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の使い捨ておむつは、通気性、フィット性及び防漏性が共に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態である使い捨ておむつを、表面シート側から見た平面図である。
図2図2は、図1に示す使い捨ておむつの着用状態を示す斜視図である。
図3図3は、図1のIII−III線断面図である。
図4図4は、仮想直線及び第2仮想直線の引き方の説明図である。
図5図5は、ファスニングテープを引っ張ることによって、おむつの背側部に、断面Z字状の防漏構造を形成する様子を示す斜視図である。
図6図6は、着用状態のおむつにおける断面Z字状の防漏構造を示す模式断面図である。
図7図7は、本発明の他の実施形態の使い捨ておむつを示す図1相当図である。
図8図8は、本発明の更に他の実施形態を示す図3の一部に対応する断面図(図1のIII−III線に沿う断面図)である。
図9図9は、本発明の更に他の実施形態を示す断面図(図1のIII−III線に沿う断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を、その好ましい実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の一実施形態である使い捨ておむつ1(以下、おむつ1ともいう)は、展開型の使い捨ておむつであり、吸収性本体2と、吸収性本体2の長手方向の両側縁2s,2sから外方に延出し、先端部にファスニングテープ4,4が設けられている一対のフラップ部3,3とを備えている。
おむつ1は、図1に示すように、縦長の形状を有しており、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部A、着用者の背側に位置する背側部B、及び股間部に位置する股下部Cを有している。使い捨ておむつ1を伸長状態で縦方向に3等分し、背側部、股下部、腹側部に区分される。
吸収性本体2は、図1に示すように、平面状に拡げた状態において長方形状である。一対のフラップ部3,3は、背側部Bにおける吸収性本体2の両側縁2s,2sから、おむつの幅方向Xに延出している。腹側部Aの外表面には、ファスニングテープ4,4が着脱可能なように係合可能なランディングテープを有する。ランディングテープとしては、機械的面ファスナーのメス部材や、機械的面ファスナーのオス部材が、係合可能な不織布などを用いることができる。
【0010】
また、吸収性本体2は、図1及び図3に示すように、吸収体21、該吸収体21の肌対向面側に配された表面シート22、該吸収体21の非肌対向面側に配された、液不透過性又は液難透過性の樹脂フィルムからなる防漏シート23、及び該防漏シート23の非肌対向面側に配された外装不織布24を備えている。
【0011】
使い捨ておむつ1、吸収性本体2又は吸収体21について、長手方向Yとは、着用者の前後方向に対応する方向であり、図中のY方向である。使い捨ておむつ1、吸収性本体2及び吸収体21について、幅方向Xとは、前記長手方向Yと交差する方向(好ましくは直交する方向)であり、図中のX方向である。
おむつやその構成部材に関し、背側端は、おむつの長手方向Yにおける両端のうちの背側部B側の端であり、腹側端は、おむつの長手方向Yにおける両端のうちの腹側部側Aの端である。
また、おむつやおむつの構成部材における肌対向面は、着用時に、着用者の肌側に向けられる面であり、おむつやおむつの構成部材における非肌対向面は、着用時に、着用者の肌とは反対側(通常衣類側)に向けられる面である。
【0012】
また、吸収性本体2の長手方向の両側部には、一対の立体ガード6,6が形成されている。
一対の立体ガード6,6は、おむつ1の幅方向中央側に位置する内側縁近傍に立体ガード形成用の弾性部材62を有する立体ガード形成用シート61,61から形成されている。より具体的には、立体ガード形成用シート61は、おむつの幅方向の内方側に、非肌対向面側に位置するシートに固定されていない所定幅の非固定領域を有し、おむつの幅方向の外方側に、非肌対向面側に位置するシートに固定されている固定領域とを有しており、非固定領域と固定領域との境界部が表面シート22の側縁に沿って該側縁の近傍に形成されている。非固定領域は、おむつの長手方向において、腹側部の一部から背側部の一部に亘っており、少なくとも排泄部対向部Bにおける非固定領域が、おむつの着用時に、立体ガード形成用の弾性部材62の収縮力により表面シート22から離間して立ち上がることが可能な立体ガード6を形成している。
【0013】
おむつ1における、背側部Bにおける吸収性本体2の肌当接面側には、表面被覆シート31が、表面シート22の一部を覆うように固定されている。
本実施形態における表面被覆シート31は、おむつの幅方向Xに長い形状を有する横長の形状を有しており、より具体的には、おむつの幅方向Xに延びる2本の平行な長辺を有する横長の長方形状を有している。表面被覆シート31は、吸収性本体2の長手方向Yの両側縁2s,2sから延出する部分が、前述したフラップ部3,3を形成している。
本実施形態における表面被覆シート31について、更に詳細に説明すると、表面被覆シート31は、吸収性本体2と重なる中央部分3Mと、該中央部分3Mを挟んでその左右両側に位置する延出部分を有し、その延出部分が、前述したフラップ部3,3を形成している。また、表面被覆シート31は、親水性ではなく、好ましくは少なくとも吸収性本体2と重なる中央部分3Mが撥水性を有している。
【0014】
表面被覆シート31は、図1及び図3に示すように、吸収性本体2と重なる中央部分3Mにおける股下部C側の一部31wが、平面視において吸収体21及びその肌対向面を覆う表面シート22と重なり且つ該表面シート22の肌対向面側に位置するとともに、該中央部分3Mにおける他の一部31wが、吸収体21及び表面シート22それぞれの背側端21b,22bよりも、おむつの背側端1b側に延出するように配されている。
表面被覆シート31の中央部分3Mは、吸収性本体2と重なっている部分であり且つ左右のフラップ部3,3間に位置する部分であり、一方のフラップ部と他方のフラップ部とで、吸収性本体2の側縁2sからの延出長さが異なっていても良く、その場合においても、吸収性本体2と重なっている部分が中央部分3Mである。
【0015】
表面被覆シート31の中央部分3Mは、吸収体21の両側縁21s,21sそれぞれの外方及び該吸収体21の背側端21bより外方において、その非肌対向面側に位置するシートに接合されている。より具体的には、表面シート22や、表面シート22の周縁部から延出した防漏シート23、外装不織布24、伸縮性シート7等に、公知の接合方法により接合されている。表面被覆シート31の中央部分3Mを、その非肌対向面側のシートに接合する方法としては、接着剤による接着や、熱シール、超音波シール等による熱融着、それら2種以上の組み合わせ等の任意の接合方法が用いられる。
表面被覆シート31の中央部分3Mは、吸収体21の両側縁21s,21sそれぞれの外方及び該吸収体21の背側端21bより外方の各部位において、外装不織布24に亘るすべての層間が接合されていることが好ましい。
【0016】
表面被覆シート31は、少なくとも前記中央部分3Mが不織布からなることが好ましく、全体が不織布からなることが更に好ましい。表面被覆シート31の中央部分3M又は全体を構成する不織布としては、各種の製法による不織布を特に制限なく用いることができ、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられる。また、同種又は異種の不織布が2層以上に積層された積層構造を、全体又は一部に有するものであっても良い。
【0017】
表面被覆シート31の中央部分3Mは、親水性でないことが好ましく、より好ましくは撥水性の不織布からなる。表面被覆シート31の中央部分3Mが、撥水性であることにより、防漏シート23と伸縮性シート7との間に形成される通気部27に通気性を確保しつつ、該通気部27を介した液漏れを確実に防止することができる。
防漏性の向上の観点から、撥水性の不織布からなる表面被覆シート31(特に中央部分3M)の撥水性の程度は、例えば、JIS L 1092に定める耐水度試験A法に基づき測定した耐水圧が、好ましくは80mm−H2O以上、より好ましくは120mm−H2O以上である。
【0018】
また、表面被覆シート31(特に中央部分3M)は、通気性が高いことが好ましく、例えば、KES−F8−AP1通気性試験機(KATO TECH CO.,LTD.)を用いて測定した通気抵抗が、好ましくは0.40kPa・s/m以下、より好ましくは0.30kPa・s/m以下である。
【0019】
本実施形態におけるファスニングテープ4は、テープ基材42と、該テープ基材42に接合されて止着部41を形成する機械的面ファスナーのオス部材とからなる。そして、ファスニングテープ4における、テープ基材42のみからなる部分が、フラップ部3の先端部に重ねて接合されている。
ファスニングテープ4のテープ基材42は、フラップ部3の非肌対向面側に固定されていても良いし、フラップ部3の肌対向面側に固定されていても良い、また、フラップ部3が2枚以上のシートの積層構造を有する場合、ファスニングテープ4のテープ基材42は、フラップ部3を構成する2枚のシート間に固定されていても良い。テープ基材42のフラップ部3に対する固定方法としては、接着剤による接着や、熱シール、超音波シール等による熱融着、それら2種以上の組み合わせ等の任意の接合方法が用いられる。また、機械的面ファスナーのオス部材をテープ基材42に固定する方法としても、接着剤による接着や、熱シール、超音波シール等による熱融着、それら2種以上の組み合わせ等の任意の接合方法が用いられる。
【0020】
図3に示すように、おむつ1の長手方向Yにおいて、防漏シート23は、吸収体21の背側端21bから延出して、一対のファスニングテープ4,4の固定部4Bの上端43どうしを結ぶ仮想直線L1よりもおむつ背側端1b側まで延在している。
ファスニングテープ4の固定部4Bの上端43とは、フラップ部3に、該フラップ部3と重なった状態に固定されている部分4B(固定部)の、おむつ1の背側端1bに最も近い部位である。
図4に示すように、ファスニングテープ4は、フラップ部3に重ねて接合されている固定部4Bのおむつ長手方向Yの長さL4bと、フラップ部3から突出する部分4Aの同方向の長さL4aとが異なっていても良いが、その場合においても、固定部4Bの上端43どうしを結ぶ直線が仮想直線L1である。
【0021】
また、外装不織布24も、吸収体21の背側端21bから延出して、前記仮想直線L1よりもおむつ背側端1b側まで延在しており、該仮想直線L1よりもおむつ背側端1b側に、おむつ幅方向Xに長い形状(横長形状)の伸縮性シート7が配されている。
外装不織布24は、防漏シート23の背側端23bよりも、おむつの背側端1b側に延出している。外装不織布24の背側端24bは、伸縮性シート7の背側端7b及び表面被覆シート31の背側端31bとともに、おむつ1の背側端1bを形成している。また、外装不織布24の腹側端24aは、表面シート22の腹側端22a及び防漏シート23の腹側端23aとともに、おむつ1の腹側端1aを形成している。
【0022】
伸縮性シート7は、防漏シート23の背側端23bとの間に間隔に設けるとともに、おむつ幅方向Xに伸長させた状態で、外装不織布24に固定されている。伸縮性シート7と防漏シート23との間に間隔を設けることにより、おむつ1の背側部Bに、通気性に優れた通気部27が形成される。
伸縮性シート7は、おむつ1の幅方向Yに長い長方形状の平面視形状を有する。
伸縮性シート7は、おむつ1の少なくとも幅方向Xに伸縮性を有する。
【0023】
伸縮性シート7は、おむつ幅方向の伸長率が5%以上50%以下の状態で、表面被覆シート31及び外装不織布24の一方又は双方に固定されていることが好ましく、おむつ幅方向の伸長率が10%以上30%以下の状態で、表面被覆シート31及び外装不織布24の一方又は双方に固定されていることが好ましい。
(伸長率の測定方法)
まず、伸縮性シート7が、表面被覆シート31及び外装不織布24の一方又は双方に固定されている状態で、表面被覆シート31及び外装不織布24に伸縮性シートの収縮により生じているシワがなくなるまでおむつ幅方向に引っ張り保持し、伸縮性シート7上に幅方向に所定間隔(w1)で2点の印(点α、点β)をつける。その後、伸縮性シート7をその輪郭に沿っておむつから切り出し、伸縮性シート7を含む切り出し部に張力がかかっていない状態で、点αと点βの間隔(w2)を計測する。伸長率は下記の式より算出される。
伸長率[%]=100×(w1−w2)/w2
【0024】
表面被覆シート31の中央部分3Mは、防漏シート23における、吸収体21の背側端21bから延出した部分23eの肌対向面に接合されており、また、表面被覆シート31の中央部分3Mは、伸縮性シート7の肌対向面側に固定されている。より詳細には、表面被覆シート31の中央部分3Mは、図3に示すように、防漏シート23における吸収体の背側端21bから延出した延出部分23e、伸縮性シート7、及び該延出部分23eと伸縮性シート7との間に位置する外装不織布24のそれぞれにおける肌対向面に接合されている。
伸縮性シート7は、外装不織布24と表面被覆シート31との間に挟まれており、肌対向面及び非肌対向面の一方、好ましくは双方が、伸縮性シート7を挟む部材に接着剤を用いて固定されている。
【0025】
本実施形態のおむつ1は、上述した構成を有することによって、図5に示すように、一対のファスニングテープ4,4のフラップ部3から突出する部分4Aを、手で摘まんで、反対方向に引っ張ると、おむつ1の背側部Bに、図5に示すような、断面Z字状の防漏構造11が形成される。
この防漏構造11は、好ましくは、おむつ1の背側部Bが、内部に伸縮性シート7を含む部分13と通気部27との間が折り部K1で折れ曲がるとともに、前記の仮想直線L1の位置付近に生じる折り部又は曲げ部K2で曲がった構造である。
そして、この防漏構造11が生じた背側部Bを、着用者の背中側にあてがう以外は、従来の展開型おむつと同様にして、着用者に装着する。
おむつ1の着用状態においては、図6に示すように、内部に伸縮性シート7を含む部分13が、着用者の肌8にフィットするともに、折り部K1においては、該部分13と通気部27との間が鋭角に折れ曲がり、通気部27が、折り部又は曲げ部K2より股下部側の部分14に覆われ、通気部27が直接的に衣類に接触することが防止される。
本実施形態のおむつ1によれば、通気部27の存在により優れた通気性が得られるとともに、通気部27を介した液漏れが防止され、また、内部に伸縮性シート7を含む部分13が、着用中にも伸縮し、着用者の腹囲変動に対する追従変形性に優れる等の優れたフィット性も得られる。
なお、図6には、断面Z字状の防漏構造11が、Z字の左右を反転した状態で示されているが、該防漏構造11を逆方向から見ればZ字状である。本発明における断面Z字状の防漏構造11には、本実施形態のようなものも含まれる。
【0026】
伸縮性シート7は、液不透過性又は液難透過性であることが、股下部C側から流れてきた尿や軟便等が、伸縮性シート7を介して着用者の衣服に付着することを防止でき、防漏性が向上する観点から好ましい。
液不透過性又は液難透過性の伸縮性シート7としては、例えば、エラストマーをフィルム状にしたシート、エラストマーを用いた不織布シート、または、エラストマーを用いたフォーム材料をスライスしてシート状にしたもの等を用いることができる。
前記の「エラストマー」としては、スチレン系やオレフィン系、ウレタン系などの熱可塑性樹脂やシリコーンゴム等の熱硬化性樹脂等があげられるが、成形性の観点から、熱可塑性樹脂を用いるのが好適である。
【0027】
液不透過性又は液難透過性ではない伸縮性シート7としては、例えば、前記のエラストマー樹脂を網状に成形したもの等を用いることができる。
【0028】
本実施形態のおむつ1における表面シート22及び吸収体21は、図1及び図3に示すように、それぞれの背側端22b、21bが、一対のファスニングテープの固定部4Bの下端44どうしを結ぶ第2仮想直線L2より股下部C側(図3中左側)に位置する。これにより、上述した断面Z字状の防漏構造11が形成されやすくなる。ここで、ファスニングテープ4,4の固定部4Bの下端44とは、図1に示すように、フラップ部3に、該フラップ部3と重なった状態に固定されている部分4B(固定部)の、おむつ1の背側端1bから最も遠い部位である。
図4に示すように、ファスニングテープ4は、フラップ部3に重ねて接合されている固定部4Bのおむつ長手方向Xの長さL4bと、フラップ部3から突出する部分4Aの同方向の長さL4aとが異なっていても良いが、その場合においても、固定部4Bの下端44どうしを結ぶ直線が第2仮想直線L2である。
【0029】
また、本実施形態のおむつ1においては、図3に示すように、表面シート22の背側端22bの位置が、吸収体21の背側端21bの位置に略一致している。表面シート22の背側端22bの位置が、吸収体21の背側端21bよりもおむつ長手方向の背側端側に延在して位置する場合、表面シート22を伝ってその背側端22b近傍まで広がった液が吸収体21に吸収されにくくなるおそれがある。また、表面シート22の背側端22bの位置が、吸収体21の背側端21bよりもおむつ長手方向の股下部C側に位置する場合、吸収体21の、表面シート22の背側端22bの位置を超えて背側端側に存在する領域に液が広がりにくくなるため、吸収体を効率よく使用することが出来なくなる。以上、吸収性の観点から、表面シート22の背側端22bの位置は、吸収体21の背側端21bの位置に略一致していることが好ましい。
ここで、「略一致」とは、図3に示すように、おむつ1の長手方向Yにおいて、表面シートの背側端22bの位置と吸収体21の背側端21bの位置とが完全に一致している場合の他、両者の位置がおむつ長手方向Yに10mm以下離間している場合も含まれる。両者の位置が離間している態様には、表面シートの背側端22bが吸収体の背側端21bよりもおむつの背側端1b側に位置する場合と、表面シートの背側端22bが吸収体の背側端21bよりも股下部C側に位置する場合の両者が含まれる。
【0030】
また、本実施形態のおむつ1においては、図3に示すように、背側部における、内部に伸縮性シート7を含む部分13の厚みT1が、防漏シート23と伸縮性シート7との間における厚みT2よりも厚い。そのため、伸縮性シート7の腹側端7aに沿って、剛性差により折れ曲がり易い折り軸が形成されやすくなり、断面Z字状の防漏構造11が形成され易くなる。また、伸縮性シート7を含む部分13が、図3に示すように、着用者の肌8に面でフィットし易くなるため、肌8とおむつ1との間の隙間を介した液漏れも生じにくくなる。
同様の観点から、前記厚みT2に対する前記厚みT1の比(T1/T2)は、好ましくは1.5以上、より好ましくは2以上である。
【0031】
また、本実施形態のおむつ1は、吸収性本体2の長手方向における、防漏シート23と伸縮性シート7との間の領域27が通気部となっている。通気部は、おむつ1における、吸収体の背側端よりも延出した部分において、防漏シート23が配されている領域及び伸縮性シート7が配されている領域の何れの領域よりも通気性が高い。
【0032】
また、本実施形態のおむつ1においては、図1に示すように、一対のフラップ部3,3それぞれの背側端3bの位置が、両フラップ部3,3間における、おむつの背側端1bの位置に一致している。ファスニングテープ4をランディングテープ5に締結しておむつ1を着用者に装着した状態では、伸縮性シートの収縮力が両端のファスニングテープ4、4の間で一対のフラップ部3,3を介して着用者の胴回り方向に作用し、これにより、フィット性や防漏性を向上するといった効果が奏される。なお、一対のフラップ部3,3それぞれの背側端3bの位置が、両フラップ部3,3間における、おむつの背側端1bの位置よりも股下部C側にある場合には、着用時に、おむつの背側端1bには胴回り方向に沿った収縮力が作用しにくくなり、肌8との隙間が生じ、あるいは、おむつの背側端1bが肌8と反対側にめくれてしまう恐れが生じ、フィット性、防漏性を損なう懸念がある。
本実施形態においては、図1に示すように、一対のフラップ部3,3の背側端3bと、フラップ部間におけるおむつの背側端1bとが、おむつ幅方向Xに延びる1本の直線状をなしているが、フラップ部3の背側端3bの位置が、両フラップ部間における、おむつの背側端1bの位置に一致する態様には、図7に示すように、フラップ部3,3の背側端3bの位置が、フラップ部3の付け根の部分のみにおいて、両フラップ部3,3間におけるおむつの背側端1bの位置と一致している場合も含まれる。
【0033】
また、本実施形態のおむつ1においては、前述したように、一対のフラップ部3,3を形成する表面被覆シート31が、表面シート22の肌対向面側を通って、吸収性本体2を横断するように配されており、該表面被覆シート31の吸収性本体2と重なる部分3Mが、撥水性を有している。フラップ部も撥水性であることが好ましい。
このように、横長の一枚の表面被覆シート31により、一対のフラップ部3,3及び吸収性本体2を覆う中央部分3Mが形成されていることにより、ファスニングテープ4,4を左右に引っ張ることによる力が、中央部分3M及びそれに接合された伸縮性シート7等に伝わり易く、前述した断面Z字状の防漏構造11が形成されやすくなる。
【0034】
表面被覆シートは、1枚のシートであり、好ましくは横長矩形状のシートであり、更に好ましくは不織布で構成される。前記表面被覆シートは、フラップ部を構成するシートと、吸収性本体を覆うシートとが別体でもよく、その場合、それぞれを接合して1枚の横長のシート状に形成されていても良い。接合する場合は、1〜10mmの範囲で重ね合わせて接着固定してシート化することが好ましい。表面被覆シートが1枚のシートであるとは、1枚の不織布で構成される場合の他、1枚の不織布を2枚重ねるか、折り畳んで2重にするなども含む。フラップ部が別体である場合は、フラップ部は非伸縮又は、伸縮性でもかまわない。
【0035】
本実施形態のおむつ1における、表面被覆シート31の中央部分3Mは、図3に示すように、接着剤により、吸収体21の背側端21bの内外に亘って、その非肌対向面側に位置する他の構成部材(表面シート22及び防漏シート23等)に固定されているとともに、股下部C側に、表面シート22と接合されずに表面シート22を覆っている非接合領域3Pを有している。
このような構成を有することで、吸収体21上に、背側部方向に流れた尿や軟便を堰き止める防漏ポケットPが形成され、排泄物が、背側部側から漏れ出すことを、一層確実に防止することができる。
【0036】
上述した一又は二以上の効果が一層確実に奏されるようにする観点から、本発明の使い捨ておむつは、以下の構成を有することが好ましい。
伸縮性シート7は、おむつ長手方向Yの長さL7(図3参照)が、おむつの背側端1bから仮想直線L1までの距離L4の、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上であり、また、好ましくは80%以下、より好ましくは60%以下である。
また、伸縮性シート7は、おむつの背側端1bから伸縮性シート7の腹側端7aまでの距離L7’(図9参照)が、前記距離L4の、好ましくは15%以上、より好ましくは35%以上であり、また、好ましくは85%以下、より好ましくは65%以下である。
おむつの背側端1bから仮想直線L1までの距離L4は、好ましくは20mm以上、より好ましくは30mm以上であり、また、好ましくは60mm以下、より好ましくは50mm以下である。
【0037】
また、伸縮性シート7は、おむつ幅方向Xの長さL8(図1参照)が、吸収体21の同方向の長さL9(図1参照)の好ましくは90%以上、より好ましくは110%以上である。
また、伸縮性シート7は、おむつ幅方向Xの長さL8(図1参照)が、吸収性本体2の同方向の長さL10(図1参照)の好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。
【0038】
また、防漏シートの背側端23bと伸縮性シート7の腹側端7aとの間の距離L6(好ましくは通気部27の幅)は、前記距離L4の、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、また、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下である。
また、前記距離L6(好ましくは通気部27の幅)は、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上であり、また、好ましくは40mm以下、より好ましくは30mm以下である。
また、前記距離L6(好ましくは通気部27の幅)は、仮想直線L1と伸縮性シート7の腹側端7aとの間の距離L5(図3参照)の、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上であり、また、好ましくは100%以下、より好ましくは90%以下である。
【0039】
なお、本実施形態のおむつ1においては、図3に示すように、防漏シート23は、吸収体21の背側端21bから延出して、前記仮想直線L1よりもおむつ背側端1b側まで延在していたが、図8又は図9に示す使い捨ておむつ1B,1Cのように、吸収体21の背側端21bから延出する防漏シート23は、前記仮想直線L1の位置又は仮想直線L1より股下部C側で終端していても良い。防漏シート23が、前記仮想直線L1の位置で終端している場合と、防漏シート23が、仮想直線L1より股下部C側で終端しているが、防漏シート23の背側端23bと仮想直線L1との間の距離L6(図9参照)が5mm以下である場合が、防漏シート23が、仮想直線L1の近傍まで延在するに該当する。
防漏シート23は、その背側端23bが、仮想直線L1よりもおむつ背側端1bに位置することが防漏性の点からは好ましいが、通気性の点からは、防漏シート23が仮想直線L1の位置やそれに近接する股下部C側で終端していることも好ましい。距離L6(図9参照)は、防漏性の点から、好ましくは40mm以下、より好ましくは30mm以下である。
【0040】
おむつ1の構成材料について説明する。各構成材料は、従来、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられている各種材料を、特に制限なく用いることができる。
例えば、表面シート22としては、親水性且つ液透過性の不織布や立体開孔フィルム等を用いることができる。
液不透過性又は液難透過性の樹脂フィルムからなる防漏シート23としては、この種の物品に防漏シートとして用いられている各種のものを用いることができる。防漏シート23としては、透湿性で且つ液不透過性のフィルム、例えば微多孔性フィルム等を用いることが好ましい。微多孔性フィルムは、例えば、疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウム等からなる微小な無機フィラー又は前記熱可塑性樹脂と相溶性のない有機高分子等とを溶融混練してフィルムを形成し、該フィルムを一軸又は二軸延伸して得られる。
【0041】
外装不織布24としては、各種製法による不織布、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等を用いることができ、多層構造のものであっても良い。吸収体21としては、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であっても良い)又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コア(図示せず)を、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシート(図示せず)で被覆したもの等を用いることができる。立体ガードを形成する立体ガード形成用シート61としては、フィルム、不織布、織物又はこれらの積層シート等を用いることができる。ファスニングテープ4のテープ基材42としては、例えば、不織布、織物、フィルム又はこれらの積層シート等を用いることができる。
【0042】
立体ガード形成用の弾性部材62や、脚周りにレッグギャザーを形成するためのレッグ部弾性部材25としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状ないし紐状の弾性部材を用いることができる。
表面被覆シート31をその非肌対向面に配された他のシートに固定する接着剤をはじめ、各部材間を接合するための接着剤の好ましい材料としては、非晶性ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EEA)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などの熱可塑性ポリマー及びそれらの混合物等が挙げられる。接着剤はホットメルト型が好ましい。
また、シート間は、接着剤により接合されていることが好ましく、そのための接着剤は、面塗工されていても、パターン塗工されていても良い。表面被覆シート31をその非肌対向面に配された他のシートに接合する接着剤は、通気性の観点から、ビードガン、スパイラルスプレーガン、オメガ字状スプレーガン、転写ロール等を用いて、直線状、スパイラル状、オメガ字状、ドット状等のパターン塗工を行うことが好ましい。面塗工は、例えば、接着剤塗工機として、スプレーガン、コーターガン等を用いて、面状に塗工する。
【0043】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は、上記の各実施形態に制限されず、種々の変更可能である。
【0044】
例えば、本発明の使い捨ておむつは、立体ガードを有しないものであっても良い。
また、ファスニングテープ4は、不織布等からなるテープ基材の片面に、機械的面ファスナーのオス部材を熱融着や接着剤等により貼り付けてなるものに代えて、不織布等からなるテープ基材の片面に粘着剤を塗布して粘着剤からなる止着部を形成したものであっても良い。また、機械的面ファスナーのオス部材からなる止着部41を止着させるランディングゾーンは、外装不織布24の非肌対向面に、機械的面ファスナーのメス部材を接合して形成しても良いし、外装不織布24の非肌対向面を、係合性に富む不織布から構成し、その所定領域をランディングゾーンとしても良い。
【0045】
また、ファスニングテープ4は、腹側部Aにおける吸収性本体2の両側部に取り付けた腹側パネル(図示せず)に止着させるものであっても良い。腹側パネルの形成材料としては、不織布、織物、フィルム又はこれらの積層シート等を用いることができる。
また、図7に示す使い捨ておむつ1Aのように、腹側部Aにも、撥水性不織布等からなる表面被覆シート31、伸縮性シート7A等を配して、通気部27Aを形成しても良い。
【0046】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の使い捨ておむつを開示する。
【0047】
<1>
吸収体、該吸収体の肌対向面側に配された液透過性の表面シート、該吸収体の非肌対向面側に配された液不透過性又は液難透過性の樹脂フィルムからなる防漏シート、及び該防漏シートの非肌対向面側に配された外装不織布を備えた縦長の吸収性本体を備え、長手方向に背側部、股下部及び腹側部を有する縦長の使い捨ておむつであって、
前記背側部に、前記吸収性本体の両側縁から延出する一対のフラップ部を有し、該一対のフラップ部の先端部に一対のファスニングテープが設けられており、
前記背側部における前記吸収性本体の肌対向面側に、表面被覆シートが固定されており、
前記表面被覆シートは、股下部側の一部が、平面視において前記吸収体及び前記表面シートと重なり且つ該表面シートの肌対向面側に位置するとともに、他の一部が、該吸収体及び該表面シートそれぞれの背側端よりも、おむつ背側端側に延出するように配されており、
前記防漏シートは、前記吸収体の背側端から延出して、一対のファスニングテープの固定部の上端どうしを結ぶ仮想直線の近傍まで延在するか又は該仮想直線よりもおむつ背側端側まで延在しており、
前記外装不織布は、前記吸収体の背側端から延出して、前記仮想直線よりもおむつ背側端側まで延在しており、
前記仮想直線よりもおむつ背側端側には、伸縮性シートが配されており、該伸縮性シートは、前記防漏シートの背側端との間に間隔を設けるとともに、おむつ幅方向に伸長させた状態で、前記外装不織布に固定されており、
前記表面被覆シートは、前記防漏シートにおける前記吸収体の背側端から延出した部分に接合されており、且つ前記伸縮性シートの肌対向面側に固定されている、使い捨ておむつ。
【0048】
<2>
前記伸縮性シートが、液不透過性又は液難透過性である、<1>に記載の使い捨ておむつ。
<3>
前記表面被覆シートは、少なくとも前記吸収性本体と重なる部分が撥水性の不織布からなる前記<1>又は<2>記載の使い捨ておむつ。
<4>
前記表面シート及び前記吸収体は、それぞれの背側端が、一対のファスニングテープの固定部の下端どうしを結ぶ第2仮想直線より股下部側に位置する、前記<1>〜<3>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<5>
前記表面シートの背側端の位置が、前記吸収体の背側端の位置に略一致している、前記<1>〜<4>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<6>
前記使い捨ておむつは、前記吸収性本体の長手方向における、前記防漏シートと前記伸縮性シートとの間の領域が通気部となっており、該通気部は、該防漏シートが配されている領域及び該伸縮性シートが配されている領域の何れの領域よりも通気性が高い、前記<1>〜<5>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<7>
前記使い捨ておむつは、前記伸縮性シートを含む部分の厚みが、前記防漏シートと前記伸縮性シートとの間の領域における厚みよりも厚い、前記<1>〜<6>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<8>
一対の前記フラップ部それぞれの背側端の位置が、両フラップ部間における、おむつの背側端の位置に一致している、前記<1>〜<7>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<9>
前記表面被覆シートが、横長の形状を有し、前記吸収性本体を横断するように配されており、前記吸収性本体の両側縁から延出する部分が前記一対のフラップ部を形成しており、
前記表面被覆シートは、1枚の不織布で形成されているか、又は前記フラップ部を形成する部分が、別体のシート状部材を接合して形成されている、<1>〜<8>の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
<10>
前記一対のフラップ部が、前記表面被覆シートとは別の一対のシート状部材から形成されており、該表面被覆シートの、おむつ長手方向に沿う両側部と、前記シート状部材それぞれのおむつ幅方向中央側の端部とが平面視において重ねた状態で一体化されている、<1>〜<9>の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【0049】
<11>
前記表面被覆シートにおける別体のシート状部材は、伸縮性がある、<9>又は<10>に記載の使い捨ておむつ。
<12>
前記表面被覆シートは、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布の何れか又はこれらの同種又は異種の不織布が2層以上に積層された積層構造を、全体又は一部に有するものである前記<1>〜<11>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<13>
前記表面被覆シートは、少なくとも中央部分3Mが撥水性の不織布であり、該不織布の撥水性の程度は、JIS L 1092に定める耐水度試験A法に基づき測定した耐水圧が、80mm−H2O以上、好ましくは120mm−H2O以上である前記<1>〜<12>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<14>
前記表面被覆シートは、KES−F8−AP1通気性試験機(KATO TECH CO.,LTD.)を用いて測定した通気抵抗が、0.40kPa・s/m以下、好ましくは0.30kPa・s/m以下である前記<1>〜<13>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<15>
前記ファスニングテープ4は、テープ基材42と、該テープ基材42に接合されて止着部41を形成する機械的面ファスナーのオス部材とからなり、該ファスニングテープ4における、テープ基材42のみからなる部分が、フラップ部3の先端部に重ねて接合されており、該ファスニングテープ4のテープ基材42は、フラップ部3の非肌対向面側に固定されているか、フラップ部3の非肌対向面側に固定されているか、又は該フラップ部3が2枚以上のシートの積層構造を有し、ファスニングテープ4のテープ基材42が、フラップ部3を構成する2枚のシート間に固定されており、テープ基材42のフラップ部3に対する固定方法は、接着剤による接着、熱シール、超音波シールによる熱融着、それら2種以上の組み合わせのいづれかの接合方法である前記<1>〜<14>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<16>
前記外装不織布24は、吸収体21の背側端21bから延出して、前記仮想直線L1よりもおむつ背側端1b側まで延在しており、該仮想直線L1よりもおむつ背側端1b側に、おむつ幅方向Xに長い形状の伸縮性シート7が配されており、外装不織布24は、防漏シート23の背側端23bよりも、おむつの背側端1b側に延出しており、外装不織布24の背側端24bは、伸縮性シート7の背側端7b及び表面被覆シート31の背側端31bとともに、おむつ1の背側端1bを形成し、外装不織布24の腹側端24aは、表面シート22の腹側端22a及び防漏シート23の腹側端23aとともに、おむつ1の腹側端1aを形成している前記<1>〜<15>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<17>
前記伸縮性シート7は、おむつ幅方向の伸長率が5%以上50%以下の状態で、表面被覆シート31及び外装不織布24の一方又は双方に固定されており、おむつ幅方向の伸長率が10%以上30%以下の状態で、表面被覆シート31及び外装不織布24の一方又は双方に固定されている前記<1>〜<16>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<18>
前記液不透過性又は液難透過性の伸縮性シート7として、エラストマーをフィルム状にしたシート、エラストマーを用いた不織布シート、及びエラストマーを用いたフォーム材料をスライスしてシート状にしたものの何れかを用いた前記<1>〜<17>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<19>
前記表面被覆シート31の中央部分3Mは、接着剤により、吸収体21の背側端21bの内外に亘って、その非肌対向面側に位置する他の構成部材(表面シート22及び防漏シート23等)に固定されているとともに、股下部C側に、表面シート22と接合されずに表面シート22を覆っている非接合領域3Pを有して、吸収体21上に、防漏ポケットPが形成された前記<1>〜<18>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<20>
前記伸縮性シート7は、おむつ長手方向Yの長さL7が、おむつの背側端1bから仮想直線L1までの距離L4の、20%以上、好ましくは40%以上であり、また、80%以下、好ましくは60%以下であり、前記伸縮性シート7は、おむつの背側端1bから伸縮性シート7の腹側端7aまでの距離L7’が、前記距離L4の、15%以上、好ましくは35%以上、85%以下、好ましくは65%以下であり、おむつの背側端1bから仮想直線L1までの距離L4は、20mm以上、好ましくは30mm以上であり、また、60mm以下、好ましくは50mm以下である前記<1>〜<19>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
【0050】
<21>
前記伸縮性シート7は、おむつ幅方向Xの長さL8が、吸収体21の同方向の長さL9の90%以上、好ましくは110%以上であり、前記伸縮性シート7は、おむつ幅方向Xの長さL8が、吸収性本体2の同方向の長さL10の80%以上、好ましくは90%以上である前記<1>〜<20>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<22>
前記防漏シートの背側端23bと伸縮性シート7の腹側端7aとの間の距離L6は、前記距離L4の、10%以上、好ましくは20%以上であり、また、60%以下、好ましくは50%以下であり、
前記距離L6は、5mm以上、好ましくは10mm以上であり、また、40mm以下、好ましくは30mm以下であり、前記距離L6は、仮想直線L1と伸縮性シート7の腹側端7aとの間の距離L5の、は50%以上、好ましくは70%以上であり、また、100%以下、好ましくは90%以下である前記<1>〜<21>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<23>
吸収体21の背側端21bから延出する防漏シート23は、前記仮想直線L1の位置又は仮想直線L1より股下部C側で終端してる前記<1>〜<22>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<24>
前記液不透過性又は液難透過性の樹脂フィルムからなる防漏シート23としては、透湿性で且つ液不透過性のフィルムで微多孔性フィルムを用い、微多孔性フィルムは、疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウムからなる微小な無機フィラー又は前記熱可塑性樹脂と相溶性のない有機高分子とを溶融混練してフィルムを形成し、該フィルムを一軸又は二軸延伸して得られるた前記<1>〜<23>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<25>
外装不織布24としては、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布の何れか用い、単層又は多層構造のものである前記<1>〜<24>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<25>
立体ガードが形成された前記<1>〜<24>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
【符号の説明】
【0051】
1,1A〜1C 使い捨ておむつ
1b おむつの背側端
2 吸収性本体
21 吸収体
21b 吸収体の背側端
22 表面シート
22b 表面シートの背側端
23 防漏シート
23b 防漏シートの背側端
24 外装不織布
25 レッグ部弾性部材
27 通気部(防漏シートと伸縮性シートとの間の領域)
31 表面被覆シート
3M 中央部分(吸収性本体と重なる部分)
3,3 フラップ部
3b フラップ部の背側端
3P 非接合領域
4 ファスニングテープ
41 止着部
42 テープ基材
4B 固定部
6,6 立体ガード
61,61 立体ガード形成用シート
62 弾性部材
7,7A 伸縮性シート
7b 伸縮性シートの背側端
7a 伸縮性シートの腹側端
8 着用者の肌
11 断面Z字状の防漏構造
13 内部に伸縮性シートを有する部分
L1 仮想直線
L2 第2仮想直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9