特許第6192085号(P6192085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6192085
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】杭打ち機及び杭打ち方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/20 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
   E02D7/20
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-111184(P2017-111184)
(22)【出願日】2017年6月5日
【審査請求日】2017年6月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510081492
【氏名又は名称】OGATA住宅基盤株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】緒方 克英
【審査官】 亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭48−100906(JP,A)
【文献】 特開2003−239283(JP,A)
【文献】 特開昭62−086227(JP,A)
【文献】 特開平09−296446(JP,A)
【文献】 特開平08−209696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/00−13/10
E21B 1/00−19/24
E21B 44/00−44/10
E02D 27/10−27/18
E02D 5/22−5/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機本体と、
該作業機本体に角度調節可能に設けられているリーダと、
該リーダに対して移動可能に換装されており、チャック部と、通し部と、セットした杭を圧入するための押圧部とを有する掘進駆動部と、
該掘進駆動部の前記通し部にスライド可能に通した状態で、前記チャック部によりチャッキングされるオーガと、
前記リーダに設けられ、前記オーガを回転可能に保持することによる振れ止めと、前記オーガの固定とを切り替えて行うことができるオーガ保持部とを備える
杭打ち機。
【請求項2】
前記杭を吊り込んで前記押圧部にセットするための吊込手段を備える
請求項1記載の杭打ち機。
【請求項3】
前記通し部の中心と前記押圧部の中心が、前記作業機本体が有する旋回部の旋回軸を中心とした同一の円弧上にある
請求項1または2記載の杭打ち機。
【請求項4】
オーガをチャッキングした掘進駆動部を下降させて、前記オーガにより地盤に案内孔を削孔する工程と、
前記掘進駆動部を上昇させて、前記オーガを前記案内孔から抜き取る工程と、
前記オーガを前記案内孔の位置からずらすと共に、前記掘進駆動部が有する押圧部を前記案内孔の位置に合わせる工程と、
前記押圧部に杭をセットする工程と、
前記オーガのチャック状態を解除し、前記掘進駆動部を下降させて、前記押圧部で前記杭を押圧して、前記案内孔に圧入する工程とを備える
杭打ち方法。
【請求項5】
オーガをチャッキングした掘進駆動部をリーダに沿って下降させて、前記オーガにより地盤に案内孔を削孔する工程と、
前記掘進駆動部を上昇させて、前記オーガを前記案内孔から抜き取る工程と、
前記オーガを前記案内孔の位置からずらすと共に、前記掘進駆動部が有する押圧部を前記案内孔の位置に合わせる工程と、
前記押圧部に杭をセットする工程と、
前記オーガのチャック状態を解除し、前記掘進駆動部を下降させて、前記押圧部で前記杭を押圧して、前記案内孔に圧入する工程と、
前記掘進駆動部を上昇させて前記オーガの所要箇所をチャッキングする工程と、
前記掘進駆動部を下降させて、前記オーガにより地盤に固定用孔を削孔して、前記オーガを地盤に固定する工程と、
前記オーガのチャック状態を解除し、前記掘進駆動部を上昇させて、前記押圧部に追い杭をセットする工程と、
前記リーダが有する保持部で前記オーガを掴んで固定する工程と、
前記掘進駆動部を下降させて、前記杭に当てた前記追い杭を前記押圧部で押圧し、前記杭と共に前記案内孔に圧入する工程とを備える
杭打ち方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打ち機及び杭打ち方法に関するものである。詳しくは、案内孔を掘削し、案内孔に杭を圧入する杭打ち機において、掘削部と圧入部を、より簡易的に構成すると共に、軽量化することで、作業において杭打ち機にかかる負荷を、従来のものより軽減することができ、より低重心で、安定的な作業ができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物等を地盤に構築する際には、あらかじめ地盤調査が行われる。地盤が軟弱である等、構築後に沈下のおそれがある場合には、地盤を強固にするための地盤改良が行われる。地盤改良には、いくつかの方法があるが、杭工法もその一つである。
【0003】
杭工法には、鋼管杭や木杭を地中に建て込むための杭打ち機が使用される。杭打ち機としては、例えば、特許文献1に記載された杭打装置がある。この従来の杭打装置は、地盤にオーガにより案内孔を掘削した後、その案内孔に杭を圧入して建て込むようにしたものである。
【0004】
図5を参照する。
図5は、特許文献1の図1を、よりわかりやすく表したものである。
杭打装置Bは、オーガ41の上部に取り付けた掘進機構42と、杭の圧入機構43とを、断面略H字形を有し直立させたリーダ44の両溝内部分に互いに接近させて包設した構造で、掘進機構42と圧入機構43とを同時に作動可能である。
【0005】
また、この杭打装置Bによれば、運搬輸送作業が容易であると共に、小スペースでの打杭作業を実現することが可能であり、しかも杭貫入時の圧入力を最小限に抑えて効率良く打ち込むことができ、精度の良い打杭動作を実現することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8―53838
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の杭打装置Bには、次のような課題があった。
すなわち、杭打装置Bが備えている掘進機構42と圧入機構43は、それぞれが独立した機構となっており、掘進機構42と圧入機構43は、それぞれに駆動モーターや駆動チェーン等の駆動部を備えている。
【0008】
これにより、装置の機構が全体に大掛かりとなり、複雑化するだけでなく、その分だけ高重量となって、重心の位置も高くなっていた。したがって、作業において装置の各部にかかる負荷が大きくなり、杭打ち作業を安定的に行うことが難しかった。
【0009】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、案内孔を掘削し、案内孔に杭を圧入する杭打ち機において、掘削部と圧入部を、より簡易的に構成すると共に、軽量化することで、作業において杭打ち機にかかる負荷を、従来のものより軽減することができ、より低重心で、安定的な作業ができる杭打ち機及び杭打ち方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(C−1)上記の目的を達成するために本発明は、作業機本体と、該作業機本体に角度調節可能に設けられているリーダと、該リーダに対して移動可能に換装されており、チャック部と、通し部と、セットした杭を圧入するための押圧部とを有する掘進駆動部と、該掘進駆動部の前記通し部にスライド可能に通した状態で、前記チャック部によりチャッキングされるオーガと、前記リーダに設けられ、前記オーガを回転可能に保持することによる振れ止めと、前記オーガの固定とを切り替えて行うことができるオーガ保持部とを備える杭打ち機である。
【0011】
本発明の杭打ち機は、まず、地盤改良を行う所定の場所の地盤に定置される。リーダは、通常は鉛直方向に設定される。なお、リーダは、鉛直方向に対して所要角度だけ傾斜させて設定されることもある。掘進駆動部は、リーダに沿ってどちらの方向へも移動が可能である。掘進駆動部の移動は、例えばチェーン駆動により行う構造が採用されるが、これに限定されるものではない。
【0012】
掘進駆動部には、オーガが通し部に通された状態で、チャック部でチャッキングして取り付けられる。オーガの下部は、オーガ保持部で回転可能に保持されており、この状態では、オーガ保持部は、回転するオーガの振れ止めとしての機能を有する。
【0013】
また、チャック部は、掘進駆動部が備える回転駆動部により回転するように設けられており、オーガには、チャッキングによって、回転駆動部の回転力が伝わるようになっている。オーガは、チャック状態では、リーダと平行、すなわち通常は鉛直方向に設定される。そして、掘進駆動部がオーガを回転させながら下降することにより、地盤に案内孔を削孔することができる。
【0014】
また、掘進駆動部は、オーガのチャック状態を解除した状態においては、オーガの立った状態を維持しながら、自身はリーダに沿って移動することができる。オーガの先部が地盤に固定された状態で、掘進駆動部の移動が行われる場合は、オーガの上部が実質的に掘進駆動部のガイドとなるので、安定的な移動が可能である。
【0015】
掘進駆動部をリーダに沿って上昇させて、オーガを案内孔から抜き取り、オーガを案内孔の位置からずらして、押圧部を案内孔の位置に合わせるようにする。押圧部に杭をセットし、杭の先端が案内孔の位置に合うようにする。そして、オーガのチャック状態を解除し、その状態で掘進駆動部を下降させることにより、杭を押圧部で押圧して、案内孔に所要深さまで圧入することができる。
【0016】
また、杭打ち機は、掘進機構と圧入機構が別々ではなく、掘進駆動部に押圧部を設けることで、圧入機構としての機能も付与した構成となっている。これにより、掘進機構と圧入機構が、それぞれに独立して設けられている従来の杭打装置と比較して、構造がより簡易な構造となっており、軽量化されている。したがって、作業において杭打ち機の各部にかかる負荷を、従来のものより軽減することができ、より低重心で、安定的な作業が可能になる。
【0017】
杭の圧入において、必要な押圧力が比較的小さい場合、例えば地盤がやや軟らかかったり、杭の径がやや小さかったりする場合等は、上記のようにして地盤に杭を圧入することができる。しかしながら、杭の圧入に必要な押圧力が比較的大きい場合、例えば地盤がやや固かったり、杭の径がやや大きかったりする場合、あるいは杭を接ぎ足してより深く圧入する場合等は、杭打ち機が杭の圧入の際の反力で浮き上がることがないようにする。
【0018】
すなわち、この場合は、案内孔に杭を圧入した状態から、掘進駆動部を所要高さまで上昇させ、チャック部でオーガをチャッキングする。そして、この状態で掘進駆動部を下降させ、オーガによって地盤に固定用孔を削孔し、オーガを地盤に固定する。固定用孔の削孔は、オーガに設けられているスクリューが地盤に噛んで容易に抜けないように、オーガの回転力を調節することが好ましい。
【0019】
オーガが地盤に固定されたら、リーダに設けられ、オーガを通しているオーガ保持部が、オーガを掴むように保持する。これにより、オーガはオーガ保持部に対し、回転もスライドもできない状態となり、オーガとリーダ及び作業機本体は一体化する。掘進駆動部のチャック部によるオーガのチャック状態を解除し、掘進駆動部を所要高さまで上昇させる。この状態で、押圧部には、杭がセットされる。この場合の杭は、案内孔に最初に圧入される杭である場合もあるし、このような先行する杭の後に接がれる追い杭である場合もある。
【0020】
押圧部に杭をセットした後、掘進駆動部を下降させて、杭を案内孔に圧入する。このとき、押圧部を介して、掘進駆動部に作用する押圧力の反力(押圧力と反対方向の同じ強さの力)は、オーガに作用する引っ張り力によって相殺され、作用・反作用の力のバランスがとれるため、杭打ち機のリーダ側が浮き上がることを抑止することができ、杭の圧入を円滑に行うことができる。
【0021】
(C−2)本発明にかかる杭打ち機は、前記杭を吊り込んで前記押圧部にセットするための吊込手段を備える構成とすることもできる。
【0022】
この場合は、吊込手段によって、杭を吊り上げて、そのヘッド部を押圧部にセットすることができる。地盤に圧入されて建て込まれる杭は、一般に木杭、コンクリート杭、あるいは鋼管杭等であり、重量物であるため、吊込手段を使用することで、杭の吊り込み作業を効率よく安全に行うことができる。
【0023】
(C−3)本発明にかかる杭打ち機は、前記通し部の中心と前記押圧部の中心が、前記作業機本体が有する旋回部の旋回軸を中心とした同一の円弧上にある構成とすることもできる。
【0024】
この場合は、オーガで案内孔を削孔して、地盤から抜き取った後、作業機本体の旋回部(例えば運転室)を所定角度だけ旋回させて、オーガを案内孔の位置からずらすことにより、案内孔の上方に押圧部が重なるように位置する。これにより、押圧部に杭をセットしたときに、通常は垂下されてセットされる杭の先端を自動的に案内孔に合うように位置させることができる。
【0025】
(C−4)上記の目的を達成するために、本発明に係る杭打ち方法は、オーガをチャッキングした掘進駆動部を下降させて、前記オーガにより地盤に案内孔を削孔する工程と、前記掘進駆動部を上昇させて、前記オーガを前記案内孔から抜き取る工程と、前記オーガを前記案内孔の位置からずらすと共に、前記掘進駆動部が有する押圧部を前記案内孔の位置に合わせる工程と、前記押圧部に杭をセットする工程と、前記オーガのチャック状態を解除し、前記掘進駆動部を下降させて、前記押圧部で前記杭を押圧して、前記案内孔に圧入する工程とを備える。
【0026】
本発明の杭打ち方法においては、オーガをチャッキングした掘進駆動部を下降させて、オーガにより地盤に案内孔を削孔し、いわゆるプレボーリングを行う。これにより、後の案内孔への杭の圧入を、それほど大きな押圧力を要することなく、決められた方向へ安定的に行うことができる。
【0027】
また、掘進駆動部を上昇させて、オーガを案内孔から抜き取ることにより、杭の圧入のためのガイドとなる案内孔を形成することができる。
【0028】
そして、オーガを案内孔の位置からずらすと共に、掘進駆動部が有する押圧部を案内孔の位置に合わせる。これにより、杭を押圧部にセットしたとき、杭を案内孔の位置に合わせる作業がしやすくなる。押圧部に杭をセットすることにより、杭は押圧部による圧入が可能な所定の位置、すなわち案内孔に先端部が合うように位置する。
【0029】
オーガのチャック状態を解除し、掘進駆動部を下降させて、押圧部で杭を押圧し、案内孔に圧入することにより、オーガに無用な負荷をかけることなく、地盤への杭の建て込みを行うことができる。
【0030】
また、この杭打ち方法では、掘進駆動部に押圧部による圧入機構としての機能も付与して杭の圧入を行う。これにより、掘進機構と圧入機構が、それぞれに独立して設けられている従来の杭打装置を使用する杭打ち方法と相違して、掘進機構と圧入機構がより簡易な構造となっていることで、軽量化された機械を使用して行うことができる。したがって、作業において杭打ち機にかかる負荷を、従来のものより軽減することが可能になる。
【0031】
(C−5)上記の目的を達成するために、本発明に係る杭打ち方法は、オーガをチャッキングした掘進駆動部を下降させて、前記オーガにより地盤に案内孔を削孔する工程と、前記掘進駆動部を上昇させて、前記オーガを前記案内孔から抜き取る工程と、前記オーガを前記案内孔の位置からずらすと共に、前記掘進駆動部が有する押圧部を前記案内孔の位置に合わせる工程と、前記押圧部に杭をセットする工程と、前記オーガのチャック状態を解除し、前記掘進駆動部を下降させて、前記押圧部で前記杭を押圧して、前記案内孔に圧入する工程と、前記掘進駆動部を上昇させて前記オーガの所要箇所をチャッキングする工程と、前記掘進駆動部を下降させて、前記オーガにより地盤に固定用孔を削孔して、前記オーガを地盤に固定する工程と、前記オーガのチャック状態を解除し、前記掘進駆動部を上昇させて、前記押圧部に追い杭をセットする工程と、前記リーダが有する保持部で前記オーガを掴んで固定する工程と、前記掘進駆動部を下降させて、前記杭に当てた前記追い杭を前記押圧部で押圧し、前記杭と共に前記案内孔に圧入する工程とを備える。
【0032】
本発明の杭打ち方法においては、オーガをチャッキングした掘進駆動部を下降させて、オーガにより地盤に案内孔を削孔し、いわゆるプレボーリングを行う。これにより、後の案内孔への杭の圧入を、それほど大きな押圧力を要することなく、決められた方向へ安定的に行うことができる。
【0033】
また、掘進駆動部を上昇させて、オーガを案内孔から抜き取ることにより、杭の圧入のためのガイドとなる案内孔を形成することができる。
【0034】
そして、オーガを案内孔の位置からずらすと共に、掘進駆動部が有する押圧部を案内孔の位置に合わせる。これにより、杭を押圧部にセットしたとき、杭を案内孔の位置に合わせる作業がしやすくなる。押圧部に杭をセットすることにより、杭は押圧部による圧入が可能な所定の位置、すなわち案内孔に先端部が合うように位置する。
【0035】
オーガのチャック状態を解除し、掘進駆動部を下降させて、押圧部で杭を押圧し、案内孔に圧入することにより、オーガに無用な負荷をかけることなく、地盤への杭の建て込みを行うことができる。
【0036】
次に、掘進駆動部を所要高さまで上昇させて、オーガをチャッキングすることにより、オーガによって、地盤に対して削孔することが可能になる。
【0037】
掘進駆動部を下降させて、オーガにより地盤に固定用孔を削孔して、オーガを地盤に固定することにより、固定されたオーガは掘進駆動部が移動する際のガイドとして機能することができるようになる。
【0038】
オーガのチャック状態を解除し、掘進駆動部を上昇させて、押圧部に追い杭をセットすることにより、案内孔に先に圧入した杭のヘッド部(施工時では上端部)に、追い杭の先端を当てることが可能になる。
【0039】
リーダが有する保持部でオーガを掴んで固定することにより、地盤に固定されているオーガとリーダが、オーガ保持部を介して一体化する。これにより、杭打ち機のリーダ側は、容易には上方へ浮き上がることがなく、杭打ち機の姿勢が安定する。
【0040】
押圧部に杭をセットした後、掘進駆動部のチャック部によるオーガのチャック状態を解除し、掘進駆動部を下降させて、杭を案内孔に圧入する。このとき、押圧部を介して、掘進駆動部に作用する押圧力の反力は、オーガに作用する引っ張り力によって相殺され、作用・反作用の力のバランスがとれるため、杭打ち機のリーダ側が浮き上がることを抑止することができ、杭の圧入を円滑に行うことができる。
【0041】
このように、掘進駆動部を下降させて、杭に当てた追い杭を押圧部で押圧し、杭と共に案内孔に圧入することにより、必要数の追い杭を接ぎ足しながら、杭を必要な深さまで圧入することができる。
【0042】
また、この杭打ち方法では、掘進駆動部に押圧部による圧入機構としての機能も付与して杭の圧入を行う。これにより、掘進機構と圧入機構が、それぞれに独立して設けられている従来の杭打装置を使用する杭打ち方法と相違して、掘進機構と圧入機構がより簡易な構造となっていることで、軽量化された装置を使用して行うことができる。したがって、作業において杭打ち機にかかる負荷を、従来のものより軽減することができ、より低重心で、安定的な作業が可能になる。
【発明の効果】
【0043】
本発明は、案内孔を掘削し、案内孔に杭を圧入する杭打ち機において、掘削部と圧入部を、より簡易的に構成すると共に、軽量化することで、作業において杭打ち機にかかる負荷を、従来のものより軽減することができ、より低重心で、安定的な作業ができる杭打ち機及び杭打ち方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明に係る杭打ち機の一実施の形態を示す正面図である。
図2図1に示す杭打ち機の側面図である。
図3図1に示す杭打ち機の概略平面視説明図である。
図4】本発明に係る杭打ち機を使用した杭打ち方法の説明図である。
図5】従来の杭打ち機の構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1ないし図4を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。
杭打ち機Aは、ベースマシンの作業機本体1と、作業機本体1が有する、角度が調節可能なリーダ(ガイドセルともいう)2と、リーダ2に沿って移動する掘進駆動部であるドリフター3と、ドリフター3に着脱可能に取り付けられ、地盤に削孔を形成するオーガ(アースオーガともいう)4を備えている。
【0046】
作業機本体1はクローラ式で、旋回部(旋回ユニット)である運転台10を備えている。運転台10は、旋回軸100を中心として旋回することができる。運転台10の前部には、油圧シリンダー11のロッドの伸縮により、角度が調節可能なガイド体12を備えている。また、作業機本体1には、杭打ち機Aを地盤に安定して定置させるためのアウトリガー13が備えられている。
【0047】
ガイド体12には、リーダ2が、油圧シリンダー14により、ガイド体12に沿って一定の範囲でスライド調節ができるようにして嵌装されている。リーダ2は、その前部にほぼ全長にわたって設けられたガイド部20を有している。また、リーダ2は、地盤に圧入する杭をワイヤ210で吊り込むための吊込手段であるウインチ21を備えている。
【0048】
ガイド部20には、ドリフター3が、ガイド部20に沿って移動可能に換装されている。ドリフター3は、駆動チェーン機構(図示省略)を介して昇降移動が可能である。ドリフター3の中心部には、リーダ2と平行な方向に貫通して通し部31が設けられている。
【0049】
通し部31は、オーガ4の上部側の軸部の直径よりやや径大な内径を有している。これにより、オーガ4は、先部に設けられているスクリュー40を除いた軸部を、通し部31に通した状態で、ドリフター3と相対的にスライド可能である。
【0050】
ドリフター3の下部には、オーガ4をチャッキングするチャック部32が設けられている。チャック部32は、オーガ4のチャッキング動作とチャック状態の解除動作を行うことができる。また、チャック部32は、油圧モーター33及びギヤ等の駆動部を介して回転駆動される。
【0051】
ドリフター3には、油圧モーター33とは反対側に、押圧部である杭キャップ34が設けられている。杭キャップ34は、ドリフター3のケーシング(符号省略)に固定されて張り出したアーム340を介して取り付けられている。杭キャップ34の下面には、杭のヘッド部を嵌め込むための凹部341が設けられている。
【0052】
オーガ4は、基部側(使用時、上部側)を、ガイド部20の所定の高さに位置するドリフター3の通し部31に通し、軸部をチャック部32で掴んで鉛直方向に向けて取り付けられている。また、リーダ2の下端部には、オーガ4の軸部のスクリュー40寄りを回転可能に保持すると共にチャッキングも可能なオーガ保持部22が設けられている。
【0053】
この構造により、オーガ保持部22は、オーガ4が回転して地盤を掘削する際の、オーガ4の振れ止めとしての機能を備えると共に、オーガ4を回転もスライドもできない状態として、オーガ4とリーダ2をつないで一体化する機能を備えている。
【0054】
図1乃至図4を参照して、杭打ち機Aの作用、及び杭打ち機Aを使用した地盤改良における杭打ち方法について説明する。
【0055】
(杭打ち機Aの作用)
杭打ち機Aは、地盤改良を行う所定の場所の地盤Gに定置される。施工時において、リーダ2は、鉛直方向に設定される。ドリフター3は、駆動チェーン機構により、リーダ2に沿って鉛直方向(上下方向)に移動が可能である。
【0056】
ドリフター3には、オーガ4の軸部が通し部31に通された状態で、チャック部32でチャッキングして取り付けられる。つまり、オーガ4はドリフター3に対し着脱可能である。このチャッキングによって、オーガ4には、回転駆動部の回転力が伝わる。そして、ドリフター3がオーガ4を回転させながら下降することにより、地盤Gに案内孔5を削孔することができる。
【0057】
また、ドリフター3は、オーガ4のチャック部32によるチャック状態を解除した状態で、オーガ4のそのまま立った状態を維持しながら、自身はリーダ2に沿って移動することができる。オーガ4の先部が地盤Gに固定された状態で、ドリフター3の移動が行われる場合は、オーガ4の上部が実質的にドリフター3のガイドとなるので、ドリフター3の安定的な移動が可能である。
【0058】
オーガ4で案内孔5を削孔した後、オーガ4を案内孔5から抜き取り、運転台10を所要角度で旋回させれば、オーガ4を案内孔5からずらすと共に、杭キャップ34を案内孔5の上方の位置に合わせることができる。
【0059】
この状態で、ウインチ21で杭6を吊り込んで杭キャップ34にセットし、杭6を垂下することにより、その先端部を案内孔5に合わせることができる。そして、オーガ4のチャック部32によるチャック状態を解除し、ドリフター3を下降させることにより、杭6を杭キャップ34で押圧して、案内孔5に圧入することができる。
【0060】
また、杭打ち機Aは、掘進機構部であるドリフター3に杭キャップ34を設けることで、ドリフター3に圧入機構としての機能も付与した構成となっている。これにより、従来の杭打装置より簡易な構造となっており、軽量化されているので、作業において装置にかかる負荷を、従来のものより軽減することができる。したがって、杭打ち機Aによれば、より低重心で、安定的な作業が可能になる。
【0061】
(杭打ち機Aを使用した杭打ち方法)
主に図4を参照する。
【0062】
(1)図4(1)を参照する。
杭打ち機Aを地盤Gに定置する。オーガ4は、リーダ2の所要の高さに上昇しているドリフター3のチャック部32でチャッキングされ、鉛直方向に設定されている。
【0063】
(2)図4(2)を参照する。
オーガ4を回転させながら、ドリフター3を所要高さまで下降させ、オーガ4により、地盤Gに所要深さの案内孔5を削孔する。
【0064】
(3)図4(3)を参照する。
オーガ4を、上記(2)と同じ方向に回転させながらドリフター3を上昇させ、オーガ4を案内孔5から抜き取る。そして、運転台10を、所要角度だけ旋回させてオーガ4を案内孔5からずらすことにより、杭キャップ34が案内孔5の上方、すなわち案内孔5の中心を通る鉛直線上における上方に自動的に位置する。
【0065】
(4)図4(4)を参照する。
杭6をウインチ21のワイヤ210で吊り込み、杭6のヘッド部を杭キャップ34の凹部340に嵌め入れて、杭6を鉛直方向に垂下した状態でセットし、杭6からワイヤ210を外す。これにより、杭6の先端が、案内孔5の孔口の中心に位置する。
【0066】
(5)図4(5)を参照する。
オーガ4のチャック部32によるチャック状態を解除し、ドリフター3を下降させ、杭6を杭キャップ34で押圧して、案内孔5に圧入する。なお、杭打ち機Aは、ドリフター3に杭キャップ34を設けることで、全体に簡易な構造となっており、軽量化されているので、作業において装置にかかる負荷を、従来のものより軽減することができる。したがって、杭打ち機Aによれば、より低重心で、安定的な作業が可能になる。また、このときの圧入状態では、杭6のヘッド部は、案内孔5からやや上方へ突出した状態となっている。
【0067】
なお、杭6の圧入において、必要な押圧力が比較的小さい場合、例えば地盤Gがやや軟らかかったり、杭6の径がやや小さかったりする場合等は、上記のようにして地盤Gに杭6を圧入することができる。一方、杭6の圧入に必要な押圧力が比較的大きい場合、例えば地盤Gがやや固かったり、杭6の径がやや大きかったりする場合、あるいは杭を接ぎ足してより深く圧入する場合等は、杭打ち機Aが杭6の圧入の際の反力で浮き上がることがないようにする。以下、杭6に追い杭8を接ぎ足して、より深く圧入する場合で説明する。
【0068】
(6)図4(6)を参照する。
ドリフター3が所要高さまで上昇し、チャック部32でオーガ4の軸部をチャッキングする。その後、オーガ4を回転させながらドリフター3を下降させ、オーガ4により、案内孔5の隣に案内孔5より浅い(短い)固定用孔7を削孔し、地盤Gにオーガ4を固定する。この削孔作業は、オーガ4のスクリュー40が地盤Gに噛み込み、噛み込みが利いてオーガ4が容易に抜けない状態となるように、オーガ4の回転力を調節して行う。
【0069】
そして、オーガ4が地盤Gに固定されたら、リーダ2の下部に設けられ、オーガ4を通しているオーガ保持部22が、オーガ4の軸部を掴んで保持する。これにより、地盤Gに固定されているオーガ4は、オーガ保持部22に対し、回転もスライドもできない状態となり、オーガ4とリーダ2は、オーガ保持部22を介してつながった状態となって一体化する。また、チャック部32によるオーガ4のチャック状態を解除し、ドリフター3を所要の高さまで上昇させる。次に、杭6より短く形成した追い杭8をウインチ21で杭キャップ34に鉛直方向に垂下させるようにセットし、その先端(下端)を杭6のヘッド部に当てる。
【0070】
(7)図4(7)を参照する。
ドリフター3を下降させ、杭キャップ34により追い杭8を押圧し、先に圧入した杭6と共に、案内孔5に圧入する。このとき、杭キャップ34を介して、ドリフター3に作用する押圧力の反力は、オーガ4に作用する引っ張り力によって相殺され、作用・反作用の力のバランスをとることができる。これにより、杭打ち機Aのリーダ側が浮き上がることを抑止することができ、杭に作用するドリフター3による押圧力が無駄なく有効に利用されるので、杭6の圧入を円滑に行うことができる。
【0071】
本明細書及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0072】
A 杭打ち機
1 作業機本体
10 運転台
100 旋回軸
11 油圧シリンダー
12 ガイド体
13 アウトリガー
14 油圧シリンダー
2 リーダ
20 ガイド部
21 ウインチ
210 ワイヤ
22 オーガ保持部
3 ドリフター
31 通し部
32 チャック部
33 油圧モーター
34 杭キャップ
340 アーム
341 凹部
4 オーガ
40 スクリュー
【要約】
【課題】掘進機構と圧入機構を、より簡易的に構成すると共に、軽量化することで、作業において装置にかかる負荷を、従来のものより軽減することができ、より低重心で、安定的な作業が可能な杭打ち機を提供する。
【解決手段】杭打ち機Aは、作業機本体1と、作業機本体1に設けられているリーダ2と、リーダ2に対して移動可能に換装されており、オーガ4をチャッキングするチャック部32、チャック部32によるチャック状態を解除してオーガ4をスライド可能に通すことができる通し部31、及び杭をセットして圧入するための杭キャップ34を有するドリフター3と、ドリフター3に取り付けられているオーガ4を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5