特許第6192093号(P6192093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192093
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】ノンリニアバンクシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/21 20110101AFI20170828BHJP
   H04N 21/233 20110101ALI20170828BHJP
【FI】
   H04N21/21
   H04N21/233
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-94005(P2013-94005)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2014-216918(P2014-216918A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】田西 智和
【審査官】 後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−210489(JP,A)
【文献】 特開2005−210490(JP,A)
【文献】 特開2005−159932(JP,A)
【文献】 特開2010−239400(JP,A)
【文献】 特開2000−57748(JP,A)
【文献】 特開2007−194709(JP,A)
【文献】 特開2009−130426(JP,A)
【文献】 特開2000−83192(JP,A)
【文献】 特開2004−221666(JP,A)
【文献】 田中ほか,ラウドネスレベルコントローラの開発,放送技術,兼六館出版株式会社,2013年 2月 1日,第66巻第2号,p.136−138
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 −21/858
H04N 5/222− 5/28
H04N 5/91 − 5/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の放送素材を記録及び再生する映像信号記録再生装置と、前記放送素材の映像信号をエンコードして映像ファイルデータとして収録すると共に、再生した映像ファイルデータをデコードして映像信号として出力するビデオサーバと、前記映像信号記録再生装置と前記ビデオサーバとを接続するマトリクススイッチャと、前記ビデオサーバの収録及び再生と前記映像信号記録再生装置並びに前記マトリクススイッチャを制御する制御装置とを有し、前記放送素材を映像ファイルデータとして収録し再生するノンリニアバンクシステムにおいて、
前記マトリクススイッチャの登録系統及びプレビュー系統からの前記放送素材のラウドネス値を測定するラウドネスメータと、
前記プレビュー系統に設けられ、前記ラウドネスメータによってラウドネス値を測定される前に前記放送素材の音声レベル調整を行う第1レベルコントローラと
前記ビデオサーバの出力であるオンエアー系統に設けられ、前記放送素材の音声レベル調整を行う第2レベルコントローラとを有し、
前記放送素材を前記ビデオサーバに収録する際に、前記制御装置が前記ラウドネスメータに前記登録系統から前記放送素材を測定させ、測定されたラウドネス測定値を前記放送素材毎に記憶部に記憶しておき、
前記放送素材をプレビューする際に、前記制御装置が、前記ビデオサーバからの出力を前記プレビュー系統に出力できるよう前記マトリックススイッチャを制御するとともに、記記憶したラウドネス測定値を前記第1レベルコントローラに出力し、前記第1レベルコントローラに、前記ラウドネス測定値を基に前記プレビュー系統の前記放送素材の音声レベル調整を行わせるとともに、前記ラウドネスメータに、前記第1レベルコントローラから入力されたプレビュー用の前記放送素材のラウドネス値を測定させ、前記記憶したラウドネス測定値を更新し、
前記放送素材をオンエアーする際に、前記制御装置が前記記憶したラウドネス測定値を前記第2レベルコントローラに出力し、前記第2レベルコントローラは、入力されたラウドネス測定値を基にオンエアー系統の前記放送素材の音声レベル調整を行い、オンエアー用に出力することを特徴とするノンリニアバンクシステム。
【請求項2】
請求項1記載のノンリニアバンクシステムにおいて、前記マトリクススイッチャの一本化系統に設けられ、前記放送素材の音声レベル調整を行う第3レベルコントローラを更に有し、
CM一本化VTRを作成する際に、前記制御装置が、前記ビデオサーバからの出力を前記一本化系統に出力できるよう前記マトリックススイッチャを制御し、前記ビデオサーバに、番組のプレイリストに従って複数のCM素材及び放送素材を連続出力させるとともに、前記記憶部に記憶した前記CM素材及び前記放送素材のラウドネス測定値を前記第3レベルコントローラに出力し、前記第3レベルコントローラに音声レベル調整を行わせ前記第3レベルコントローラの出力を前記映像信号記録再生装置に記録させることを特徴とするノンリニアバンクシステム。
【請求項3】
請求項1記載のノンリニアバンクシステムにおいて、前記制御装置は、
映像信号記録再生装置及びマトリックススイッチャの動作と、ビデオサーバの収録並びに再生を制御するバンク登録コントローラと、
放送する番組のプレイリストに基づいて前記ビデオサーバからのオンエアー用の放送素材の出力制御を行うバンク送出コントローラと、
前記記憶部を構成し、前記ラウドネス測定値に加えてラウドネス補正値を管理して保持するデータベースと、
を有し、前記バンク登録コントローラと前記バンク送出コントローラと前記データベースは互いにネットワークで接続され、
前記バンク登録コントローラが前記測定されたラウドネス測定値を前記データベースに登録することにより、前記バンク送出コントローラが、前記データベースから前記ラウドネス測定値を呼び出せるように構成したことを特徴とするノンリニアバンクシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送素材プレビュー・送出時及びCM一本化VTR作成時のラウドネス自動調整機能を有するノンリニアバンクシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルテレビ放送において、人の聴覚で感じる音の大きさが、番組とコマーシャル(CM)とでばらつくことが問題となり、「デジタルテレビ放送番組におけるラウドネス運用規定」(非特許文献1参照)が策定された。この規定が定めるラウドネス値は、人の聴覚特性を模したアルゴリズムにより測定され、単位にLKFS(Loudness K-weighting Full-Scale)を用いる。平均ラウドネス値としては目標値を−24LKFSとし、運用上の許容範囲は目標値の±1dBとされている。そのため、放送事業者等は、平均ラウドネス値が規定を満たしているか確認し、適宜レベル調整等が必要となる。
【0003】
ここで、従来のラウドネスメータを備えたノンリニアバンクシステムについて、図7及び図8を参照して説明する。図7は、従来のノンリニアバンクシステムにおいて、事前にラウドネス測定を行う際の系統を示す図であり、また、図8は、従来のノンリニアバンクシステムにおいて、素材収録/プレビューを行う際の系統を示す図である。
従来のノンリニアバンクシステム100は、映像信号記録再生装置(VTR)10と、マトリックススイッチャ20と、登録/プレビュー端末30と、ビデオサーバ40と、バンク登録コントローラ50と、バンク送出コントローラ60と、バンクDB70と、ラウドネスメータ80とを含んで構成され、それぞれがLAN(Local Area Network)を介して接続されている。
【0004】
映像信号記録再生装置(VTR)10は、放送素材の映像信号を記録及び再生し、再生した映像信号をマトリックススイッチャ20に出力する。
マトリックススイッチャ20は、映像信号記録再生装置(VTR)10またはビデオサーバ40から入力された放送素材の切り替え或いは分配を行う。
登録/プレビュー端末30は、ユーザーが操作する端末であり、ユーザーからの入力操作によって、各装置に対して制御信号を送信する。
ビデオサーバ40は、映像信号記録再生装置(VTR)10からマトリックススイッチャ20を介して入力された放送素材をエンコードして映像ファイルデータとして収録すると共に、再生した映像ファイルデータをデコードして映像信号として出力する。
バンク登録コントローラ50は、映像信号記録再生装置(VTR)10及びマトリックススイッチャ20の動作制御と、ビデオサーバ40の収録並びに再生を制御する。
バンク送出コントローラ60は、放送する番組のプレイリストに基づいてビデオサーバ40からOA(ON AIR)用の放送素材の出力制御を行う。
バンクDB70は、ノンリニアバンクシステム100での様々な情報を記憶するためのデータベースである。
ラウドネスメータ80は、放送素材のラウドネス値を測定するための測定器である。
【0005】
従来のノンリニアバンクシステム100では、放送素材をビデオサーバ40に収録する際に、図7の太い破線で示すように、事前に映像信号記録再生装置(VTR)10からの出力信号を、登録系統を使用して放送素材(番組)の始点から終点までのラウドネス値をラウドネスメータ80で実時間かけて測定する。
その後、図8の太い破線で示すように、放送素材全体の平均ラウドネス値が−24LKFSの基準レベルになるよう映像信号記録再生装置(VTR)10側で音声レベル調整を行い、登録/プレビュー端末30及びバンク登録コントローラ50を使用してビデオサーバ40への素材収録処理を行う。ビデオサーバ40に収録された放送素材は、登録/プレビュー端末30及びバンク登録コントローラ50を使用しプレビュー系統のラウドネスメータ80を介して放送素材全体の平均ラウドネス値が基準値となっているかの再確認を行う。なお、ビデオサーバ40は、登録系統などから受取った放送素材の映像信号をプレビュー系統にそのまま出力することもできる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ARIB TR−B32 デジタルテレビ放送番組におけるラウドネス運用規定、社団法人電波産業会、1.0版、平成23年3月28日策定、[平成25年2月4日検索]、インターネット<URL:http://www.arib.or.jp/english/html/overview/doc/4-TR-B32v1_0.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来のノンリニアバンクシステム100では、放送素材をビデオサーバ40に登録する前に実時間掛けてラウドネスチェックを行い、さらに実時間掛けてビデオサーバ40に登録するという二重の実時間が掛ることとなる。CMのような短尺素材もさることながら、番組のような長尺素材に関しては大幅な時間を費やすこととなり、放送局の運用面から見ても作業量大及び時間コスト大となっていた。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、従来のシステム系統にノンリニアバンクシステムから制御可能なラウドネスのレベルコントローラを組み込むことにより、ラウドネスメータで測定したラウドネス測定値を基にレベルコントローラで音声レベル調整を行い、放送素材のプレビュー及び送出時のラウドネス自動調整を可能とし、更には、CM一本化VTR作成時においてもラウドネス自動調整を可能とするノンリニアバンクシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の一態様のノンリニアバンクシステムは、放送素材を記録及び再生する映像信号記録再生装置と、前記放送素材の映像信号をエンコードして映像ファイルデータとして収録すると共に、再生した映像ファイルデータをデコードして映像信号として出力するビデオサーバと、前記ビデオサーバの収録及び再生と前記映像信号記録再生装置を制御する制御装置とを有し、前記放送素材を映像ファイルデータとして収録し再生するノンリニアバンクシステムにおいて、前記放送素材のラウドネス値を測定するラウドネスメータと、前記放送素材の音声レベル調整を行うレベルコントローラとを有し、前記放送素材を前記ビデオサーバに収録する際に、前記制御装置が前記ラウドネスメータで測定した前記放送素材のラウドネス測定値を記憶部に記憶しておき、前記放送素材をプレビューする際に、前記制御装置が前記記憶部に記憶した前記ラウドネス測定値を前記レベルコントローラに出力し、前記レベルコントローラが前記ラウドネス測定値を基に前記放送素材の音声レベル調整を行った後、前記放送素材を前記制御装置に出力することを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するための本発明の一態様のノンリニアバンクシステムは、上記のノンリニアバンクシステムにおいて、CM一本化VTRを作成する際に、前記制御装置が予め前記ラウドネスメータで測定し、前記記憶部に記憶したCM素材及び放送素材のラウドネス測定値を前記レベルコントローラに出力し、前記レベルコントローラが前記CM素材及び放送素材の前記ラウドネス測定値を基に前記ビデオサーバから出力された前記CM素材及び放送素材の音声レベル調整を行った後、前記映像信号記録再生装置に記録させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、従来のシステム系統にノンリニアバンクシステムから制御可能なラウドネスのレベルコントローラを組み込むことにより、ラウドネスメータで測定したラウドネス測定値を基にレベルコントローラで音声レベル調整を行い、放送素材のプレビュー及び送出時のラウドネス自動調整を可能とし、更には、CM一本化VTR作成時においてもラウドネス自動調整を可能とするノンリニアバンクシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態1に係るノンリニアバンクシステムの全体構成の一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態1に係るノンリニアバンクシステムにおいて、素材登録する際の自動ラウドネス機能の流れを示す系統図である。
図3】本発明の実施形態1に係るノンリニアバンクシステムにおいて、素材プレビューする際の自動ラウドネス機能の流れを示す系統図である。
図4】本発明の実施形態1に係るノンリニアバンクシステムにおいて、素材OAする際の自動ラウドネス機能の流れを示す系統図である。
図5】本発明の実施形態1に係るノンリニアバンクシステムにおいて、CM一本化VTRを作成する際の自動ラウドネス機能の流れを示す系統図である。
図6】CM一本化VTR作成時のプレイリスト画面にラウドネス測定値及びラウドネス補正値を表示した一例を示す図である。
図7】従来のノンリニアバンクシステムにおいて、事前にラウドネス測定を行う際の系統を示す図である。
図8】従来のノンリニアバンクシステムにおいて、素材収録/プレビューを行う際の系統を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
(ノンリニアバンクシステムの構成)
以下、本発明の実施形態1に係るノンリニアバンクシステムについて、図1〜5を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係るノンリニアバンクシステムの全体構成の一例を示す図である。図2は、本発明の実施形態1に係るノンリニアバンクシステムにおいて、素材登録する際の自動ラウドネス機能の流れを示す系統図である。図3は、本発明の実施形態1に係るノンリニアバンクシステムにおいて、素材プレビューする際の自動ラウドネス機能の流れを示す系統図である。図4は、本発明の実施形態1に係るノンリニアバンクシステムにおいて、素材OAする際の自動ラウドネス機能の流れを示す系統図である。また、図5は、本発明の実施形態1に係るノンリニアバンクシステムにおいて、CM一本化VTRを作成する際の自動ラウドネス機能の流れを示す系統図である。
本発明の実施形態1に係るノンリニアバンクシステム1は、図1に示すように、映像信号記録再生装置(VTR)10と、マトリックススイッチャ20と、登録/プレビュー端末30と、ビデオサーバ40と、バンク登録コントローラ50と、バンク送出コントローラ60と、バンクDB70と、ラウドネスメータ80と、レベルコントローラ90とを含んで構成され、それぞれがLAN(Local Area Network)を介して接続されている。なお、図1図5中、図7及び図8と同一構成部分には同一符号を付している。
【0014】
映像信号記録再生装置(VTR)10は、放送素材の映像信号を記録及び再生し、再生した映像信号をマトリックススイッチャ20に出力する。
マトリックススイッチャ20は、映像信号記録再生装置(VTR)10またはビデオサーバ40から入力された放送素材の切り替え或いは分配を行う。
登録/プレビュー端末30は、ユーザーが操作する端末であり、ユーザーからの入力操作によって、各装置に対して制御信号を送信する。
ビデオサーバ40は、映像信号記録再生装置(VTR)10からマトリックススイッチャ20を介して入力された放送素材をエンコードして映像ファイルデータとして収録すると共に、再生した映像ファイルデータをデコードして映像信号として出力する。
バンク登録コントローラ50は、映像信号記録再生装置(VTR)10及びマトリックススイッチャ20の動作制御と、ビデオサーバ40の収録並びに再生を制御する。
バンク送出コントローラ60は、放送する番組のプレイリストに基づいてビデオサーバ40からOA(ON AIR)用の放送素材の出力制御を行う。
バンクDB70は、ノンリニアバンクシステム1での様々な情報を記憶するためのデータベースであり、ラウドネスメータ80で測定した放送素材のラウドネス測定値も記憶する。
ラウドネスメータ80は、放送素材のラウドネス値を測定するための測定器であり、バンク登録コントローラ50からの指示により、放送素材のラウドネス値を測定し、測定したラウドネス測定値をバンク登録コントローラ50に通知する。
レベルコントローラ90は、バンク登録コントローラ50からの指示により、放送素材のラウドネス測定値を基にして音声レベル調整を行う。
【0015】
次に、本発明の実施形態1に係るノンリニアバンクシステム1において、放送素材をビデオサーバ40に収録する際の動作について、図2を参照して説明する。
放送素材をビデオサーバ40に収録する際に、通常ユーザーは登録/プレビュー端末30を使用して放送素材の収録を行うが、本発明のノンリニアバンクシステム1では、図2の太い破線で示すように、そのシーケンス部分にビデオサーバ40へ入力する映像信号(SDI:Serial Digital Interface)と同信号をマトリックススイッチャ20を介してラウドネスメータ80の系統にも入力する制御とビデオサーバ40への素材収録と同時に素材始点から終点までラウドネスメータ80で測定する制御を加える。
つまり、ユーザーが登録/プレビュー端末30を使用してバンク登録コントローラ50に放送素材の収録指示を送信すると、バンク登録コントローラ50は、マトリックススイッチャ20に対し、映像信号記録再生装置(VTR)10から出力された放送素材(SDI信号)をビデオサーバ40並びにラウドネスメータ80へ入力するよう指示する。また、バンク登録コントローラ50は、ラウドネスメータ80に対し、入力された放送素材のラウドネス値を測定するよう指示する。ラウドネスメータ80は、測定した放送素材のラウドネス値の測定結果をバンク登録コントローラ50に通知する。バンク登録コントローラ50は、ラウドネスメータ80から取得したラウドネス測定値をバンクDB70に登録する。これにより、ノンリニアバンクシステム1として放送素材毎にラウドネス測定値をバンクDB70上で管理することが可能となる。
【0016】
次に、本発明の実施形態1に係るノンリニアバンクシステム1において、放送素材をプレビューする際の動作について、図3を参照して説明する。
放送素材をプレビューする際には、図3の太い破線で示すように、ユーザーは登録/プレビュー端末30を使用してマトリックススイッチャ20でビデオサーバ40からの出力をプレビュー系統に出力出来るようクロスポイント制御を行う。本発明のノンリニアバンクシステム1では、プレビュー系統にレベルコントローラ90を組み込み、実際の放送素材プレビューシーケンス部分にバンクDB70から当該放送素材のラウドネス測定結果を呼び出し、それに応じた音声レベルコントロール制御を加える。
つまり、ユーザーが登録/プレビュー端末30を使用してバンク登録コントローラ50に放送素材のプレビューを指示すると、バンク登録コントローラ50は、マトリックススイッチャ20に対し、ビデオサーバ40からの出力をプレビュー系統に出力するよう指示する。また、バンク登録コントローラ50は、バンクDB70から当該放送素材のラウドネス測定値を呼び出してレベルコントローラ90に出力する。レベルコントローラ90は、バンク登録コントローラ50から入力されたラウドネス測定値を基にプレビューによる放送素材の音声レベルが規準レベル(−24LKFS)になるよう制御して、ラウドネスメータ80に出力する。バンク登録コントローラ50は、ラウドネスメータ80に対し、レベルコントローラ90から入力されたプレビュー用の放送素材のラウドネス値を測定するよう指示する。ラウドネスメータ80は、測定したプレビュー用の放送素材のラウドネス値の測定結果をバンク登録コントローラ50に通知する。バンク登録コントローラ50は、ラウドネスメータ80から取得したプレビュー用の放送素材の音声レベル調整後のラウドネス測定値をバンクDB70に登録する。これにより、プレビューシーケンス内でラウドネス調整された音声プレビューを行うことができる。さらに、プレビュー時においても放送素材の始点から終点までラウドネスメータ80の自動測定制御を行うことで放送素材のラウドネス値の再確認を行うことができる。再確認において放送素材のラウドネス測定値を変更したい場合は、再度測定結果取得を行いバンクDB70へ測定結果の更新を行う。
【0017】
次に、本発明の実施形態1に係るノンリニアバンクシステム1において、放送素材のOAを行う際の動作について、図4を参照して説明する。
放送素材のOAを行う際には、図4の太い破線で示すように、バンク送出コントローラ60は、バンクDB70から当該放送素材のラウドネス測定値を呼び出してレベルコントローラ90に出力する。レベルコントローラ90は、入力されたラウドネス測定値を基にOA系統の放送素材の音声レベル調整を行い、OA用に出力する。これにより、ノンリニアバンクシステム1において、OA時の自動ラウドネスコントロールが可能となる。
【0018】
次に、本発明の実施形態1に係るノンリニアバンクシステム1において、CM一本化VTRを作成する際の動作について、図5を参照して説明する。
収録している放送素材がCM素材であり、ユーザーがCM一本化VTRを作成する際には、図5の太い破線で示すように、まず、登録/プレビュー端末30を使用してマトリックススイッチャ20でビデオサーバ40からの出力をCM一本化系統に出力できるようクロスポイント制御を行う。番組のプレイリストに従って複数のCM素材を連続出力しCM一本化VTRを作成するシーケンスの中でバンクDB70から当該CM素材及び放送素材のラウドネス測定値を呼び出し、それに応じた音声レベルコントロール制御を加える。
つまり、ユーザーが登録/プレビュー端末30を使用してバンク登録コントローラ50にCM一本化を指示すると、バンク登録コントローラ50は、マトリックススイッチャ20に対し、ビデオサーバ40からの出力をCM一本化系統に出力するよう指示する。また、バンク登録コントローラ50は、バンクDB70からCM素材と放送素材のラウドネス測定値を呼び出してレベルコントローラ90に出力する。レベルコントローラ90は、バンク登録コントローラ50から入力されたラウドネス測定値を基にCM一本化系統から入力されたCM素材と放送素材の音声レベルが規準レベル(−24LKFS)になるよう制御して、映像信号記録再生装置(VTR)10に出力する。これにより、ノンリニアバンクシステム1において、ラウドネスメータ80で測定したCM素材及び放送素材のラウドネス測定値を基にレベルコントローラ90で音声レベル調整を行うことで、CM一本化VTR作成時のラウドネス自動調整を可能とする。
【0019】
なお、ユーザーは、CM一本化VTR作成時、登録/プレビュー端末30を使って、所望する日付の番組プレイリストに各放送素材のラウドネス測定値とラウドネス補正値を同時に表示させることが可能である。
登録/プレビュー端末30は、バンク送出コントローラ60から所望する日付の番組素材のプレイリストを呼び出し、バンクDB70から当該番組素材のラウドネス測定値を呼び出し、また、レベルコントローラ90から当該番組素材のラウドネス補正値を呼び出して、モニタ画面に一覧表示する。例えば、図6は、CM一本化VTR作成時のプレイリスト画面にラウドネス測定値及びラウドネス補正値を表示した一例を示す図である。番組のプレイリストを表示した画面500には、選択された日付の番組内容が表示されており、例えば、開始時間「10:00:00」,終了時間「10:00:15」の番組素材「G00000AA01」のラウドネス測定値501は「−26LKFS」、ラウドネス補正値502は「0LKFS」であり、また、開始時間「10:00:15」,終了時間「10:00:30」のCM素材「CM00001G」のラウドネス測定値501は「−20LKFS」、ラウドネス補正値502は「0LKFS」であることがわかる。因みに、ラウドネス測定値501が規準レベル(−24LKFS)より低い場合は、補正する必要がないため、補正値502はすべて「0LKFS」となっている。
【0020】
以上説明したように、本発明の実施形態1に係るノンリニアバンクシステム1によれば、従来のシステム系統にノンリニアバンクシステムから制御可能なラウドネスのレベルコントローラを組み込むことにより、ラウドネスメータで測定したラウドネス測定値を基にレベルコントローラで音声レベル調整を行い、放送素材のプレビュー及び送出時のラウドネス自動調整を可能とし、更には、CM一本化VTR作成時においてもラウドネス自動調整を可能とするノンリニアバンクシステムを提供することができる。
【0021】
なお、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0022】
1:ノンリニアバンクシステム、10:映像信号記録再生装置(VTR)、20:マトリックススイッチャ、30:登録/プレビュー端末、40:ビデオサーバ、50:バンク登録コントローラ、60:バンク送出コントローラ、70:バンクDB、80:ラウドネスメータ、90:レベルコントローラ、100:ノンリニアバンクシステム、500:画面、501:ラウドネス測定値、502:ラウドネス補正値。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8