特許第6192102号(P6192102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192102
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】レフィル容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 8/06 20060101AFI20170828BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20170828BHJP
   B65D 8/04 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   B65D8/06 ABRG
   B65D77/04 A
   B65D8/04 M
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-158770(P2013-158770)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-30459(P2015-30459A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 英芳
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−046331(JP,U)
【文献】 実開平06−012324(JP,U)
【文献】 実開平05−065828(JP,U)
【文献】 特開平07−277335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 8/06
B65D 8/04
B65D 77/04
A45D 34/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁及びこの周壁の下端に一体連結する底壁によってその内側に内容物の充填空間を区画形成するとともに該周壁の上部開放端を内容物の取り出し口とする内装体と、この内装体を付替え可能に収納、保持する外装体と、この外装体の上端部に着脱自在に連係して該外装体に収納された内装体の取り出し口を開閉する蓋体とを備えたレフィル容器であって、
前記外装体は、前記内装体の取り出し口を露出させる上端開口と、該内装体の出し入れを行う下端開口とを備え、該内装体をその内壁面に係合させて保持するものであり、
前記内装体は、前記底壁の下面外縁部に一体連結してその内側に下向きに開放された凹所を形成する袴壁を有し、
前記外装体は、その内壁面のうち下部のみにねじ部を有し、前記袴壁は、その外壁面に、該外装体の内壁面に設けられたねじ部に係合可能なねじ部を有し、
前記外装体は、前記上端開口の内側縁部に設けられたフランジ状をなすストッパーを有し、
前記内装体は、その上部開放端の外縁部を全周にわたって切り欠いて形成された段下がり形状をなし、前記ストッパーに接触することによって内装体の、外装体に対する位置決めがなされる当接面を有することを特徴とするレフィル容器。
【請求項2】
前記袴壁の凹所に、前記底壁および前記袴壁の少なくとも一方に固定保持される一枚もしくは複数枚の摘み片を設けたことを特徴とする請求項1に記載したレフィル容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を充填する中皿や内容器等を内装体とし、内容物を使い切ったのちに新たな内装体を付替えすることによって外装体(外容器)の再利用を図るレフィル容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クリームや整髪料等の化粧料を入れる容器としては、従来、スパチュラ等を使用して適量の内容物を適宜掬い取るジャータイプの容器が使用されている。
【0003】
この種の容器は、容器一つ当たりの原料(樹脂)の使用量が他の容器(例えば、チューブ容器等)に比較して多くなることから、近年では、特許文献1にみられるように、内容物を直接充填する内容器(内装体)と、この内容器を着脱可能に保持する外容器(外装体)で構成し、内容物を使い切った後は、内容器のみを新規なものに交換するレフィル容器としたものが適用されるようになってきており、これにより容器の製造際して使用される原料の使用量を削減して資源の有効活用を図るようにしている。
【0004】
しかしながら、かかるレフィル容器は、内容器の付替えを、外容器の上部開口端を通して行うのが普通であり、新規な内容器に付替えるとき、蓋体を一旦取り外す面倒な作業が必要であり、また、内容器の取替えに際して内容物が手指に付着して不快感を与えるとともに、とくに、新規な内容器にあっては、手指が内容物に触れた場合に不衛生になりかねないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−195484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、内容物に手指が触れたり、蓋体の開閉操作を行うことなしに簡便かつ確実に内装体を外装体に着脱できるレフィル容器を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、周壁及びこの周壁の下端に一体連結する底壁によってその内側に内容物の充填空間を区画形成するとともに該周壁の上部開放端を内容物の取り出し口とする内装体と、この内装体を付替え可能に収納、保持する外装体と、この外装体の上端部に着脱自在に連係して該外装体に収納された内装体の取り出し口を開閉する蓋体とを備えたレフィル容器であって、前記外装体は、前記内装体の取り出し口を露出させる上端開口と、該内装体の出し入れを行う下端開口とを備え、該内装体をその内壁面に係合させて保持するものであることを特徴とするレフィル容器である。
【0008】
上記の構成からなるレフィル容器においては、内装体に、前記底壁の下面外縁部に一体連結してその内側に下向きに開放された凹所を形成する袴壁を設け、該袴壁の凹所に、前記底壁および前記袴壁の少なくとも一方に固定保持される一枚もしくは複数枚の摘み片を形成したものとするのが好ましい。
【0009】
また、外装体は、その内壁面にねじ部を有するものとし、前記袴壁は、その外壁面に、該外装体の内壁面に設けられたねじ部に係合可能なねじ部を有するものとすることが、さらに、外装体は、上端開口の縁部に、内装体の上部開放端の少なくとも外縁部に当接して該内装体の、該外装体に対する位置決めを行うストッパーを有するものとするのが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成からなる本発明のレフィル容器によれば、外装体を、内装体の取り出し口を露出させる上端開口と該内装体を交換可能に出し入れする下端開口とを備えたもので構成したため、外装体の下端開口を通して内装体をその内側に収納することが可能となり、蓋体を開放することなしに内装体を交換することができる。
【0011】
また、内装体の底壁の下面外縁部に、その内側に下向きに開放された凹所を形成する袴壁を設け、この袴壁の凹所に摘み片を形成するようにしたため、該摘み片を把持して内装体を外装体の内側に収納することが可能となり、内装体の交換時に内容物が手指に付着するのを避けることができる。このため、内容物の付着による不快感を生じることもないし、内容物が不衛生になるおそれもない。
【0012】
また、本発明に従うレフィル容器によれば、外装体の内壁面にねじ部を設け、袴壁の外壁面に、該外装体の内壁面に設けられたねじ部に係合可能なねじ部を設けるようにしたため、外装体の下端開口を通して内装体を回動させるだけの簡単な操作で内装体の着脱が可能となる。
【0013】
さらに、本発明に従うレフィル容器によれば、外装体の上端開口の縁部に、内装体の上部開放端の少なくとも外縁部に当接して該内装体の、該外装体に対する位置決めを行うストッパーを設けるようにしたことにより、内装体の付替えに際して、内装体の、外装体に対する正確な位置決めが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明に従うレフィル容器の実施の形態を模式的に示した図(断面図)である。
図2図1に示したレフィル容器の内装体の外観斜視図である。
図3図3は、図1に示したレフィル容器において、内装体の取り付け、取り外し要領の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明に従うレフィル容器の実施の形態を模式的に示した図(断面表示)であり、図2は、図1に示したレフィル容器の内装体を反転姿勢で示した外観斜視図である。
【0016】
なお、本発明に従うレフィル容器は、基本的には、合成樹脂を原料としてこれを射出成形法等の成形手法を適用して所望の形状に成形されるものであって、ここでは、ジャータイプの容器を例として示したが、本発明のレフィル容器は、内装体とこの内装体を保持する外装体の二重構造からなり内装体を着脱できる容器であれば何れの容器においても適用可能であり、図示したジャータイプの容器に限定されるものではない。
【0017】
図1、2における符号1は、内装体(内容器)である。この内装体1は、環状の周壁1aと、この周壁1aの下端に一体連結する底壁1bから構成されており、その内側に内容物の充填空間Mを区画形成している。内装体1において周壁1aの上部開放端が内容物の取り出し口1cとなる。
【0018】
また、2は、内装体1を収納、保持する外装体(ケース)である。この外装体2は、内装体1の取り出し口1cを露出させる上端開口2aと、該内装体1を付替え可能(交換可能)に出し入れする下端開口2bとを備えたもので構成されている。なお、図示の外装体2は、環状体(筒体)を例として示したが、内装体1の取り出し口1cを露出させる上端開口2aおよび内装体1を出し入れする下端開口2bを有するものであればどのような形態のものでも適用可能であり、図示のものに限定されることはない。
【0019】
また、3は、外装体2の上端部に着脱自在に連係する蓋体である。この蓋体3の取付け、取り外しによって外装体1の内側に収納された内装体1の取り出し口1cを開閉する。
【0020】
蓋体3は、外装体2の上端開口2aを塞ぐ天板3aと、この天板3aの縁部に一体連結して外装体2の上端部を取り囲む垂下壁3bから構成されている。
【0021】
また、4は、蓋体3の垂下壁3bの内壁面に設けられ、外装体2の上端部の外壁面に設けられたねじ部に係合可能なねじ部である。
【0022】
なお、この例では、ねじ部4を適用して蓋体3を外装体2の上端開口2aに着脱自在に連係させるものを例として示したが、蓋体3あるいは外装体2の何れか一方に環状凹部を設け、もう一方に環状凸部を設けて該環状凸部を該環状凹部に嵌合させる、いわゆるアンダーカット係合させる構造のものを適用することも可能であり、ねじ部を設ける場合に限定されることはない。
【0023】
また、5は、内装体1の底壁1bの下面外縁部に一体連結してその内側に下向きに開放された凹所を形成する環状の袴壁である。この袴壁5は、底壁1bの外縁部に沿い間隔をおいて配列される複数枚の板状片で構成することもできる。
【0024】
また、6は、袴壁5によって形成された凹所に設けられ、底壁1bおよび袴壁6の少なくとも一方に固定保持される摘み片である。
【0025】
摘み片6は、内装体1の底壁1bの径方向中央部に設けられ、そこを起点に該底壁1bを二分する一枚の縦リブ(縦リブの上片は底壁1bに一体連結しており、両端部は、袴壁5の内側壁に一体連結している)を例として示したが、例えば、複数枚の縦リブを組み合せて十字状としたものや底壁1bにのみ一体連結したものを適用することができる。また、この摘み片6としては、袴壁5の内側壁にのみ一体連結する突起あるいは凸部を適用してもよい。とくに、袴壁5の内側壁にのみ一体連結する突起あるいは凸部を設けてそれを摘み片6とする場合には、内装体1の容易な回動を実現するため、該突起片あるいは凸部を袴壁5の対向位置にそれぞれ設けるのが好ましい。
【0026】
なお、図示したような縦リブを摘み片6として適用する場合、その高さは、袴壁5による内装体1の自立を可能とする観点から、袴壁5の高さと同等とするか、もしくは、それよりも低くなるように設定する。
【0027】
さらに、符号7は、外装体2の内壁面の下部に設けられたねじ部、8は、袴壁5の外壁面に設けられ、ねじ部7に係合可能なねじ部である。ねじ部8をねじ部7に係合させることによって内装体1は、外装体2の内側に保持されることになる。9は、外装体2の上端開口2aの縁部(内側縁部)に設けられたフランジ状をなすストッパー、10は、内装体1の上部開放端の外縁部をその全周にわたって切り欠いて形成された段下がり形状をなす当接面である。内装体1を外装体2の内側に収納するに当たり、当接面10をストッパー9に接触させることによって内装体1の、外装体2に対する位置決めがなされる。
【0028】
また、11は、蓋体3の内側に配置され、蓋体3の天板3aと内装体1の上部開放端との相互間で挟持されるシール用のパッキンである。
【0029】
上記の構成からなるレフィル容器においては、図3に示すように、蓋体3を取付けた状態にあっても、摘み片6を把持して内装体1を適宜、時計周り、あるいは反時計周りに回動させるだけの簡単な操作で外装体2における内装体1の取付け、取り外しが可能となる。
【0030】
このとき、手指が、内装体1の取り出し口1cに近づくことがないため内容物が付着するのを確実に回避することができるとともに内容物がこぼれ落ちることもない。また、取り出し口1cに合成樹脂製のシートやアルミのシートが貼着され、これによって密封状態に保持された新規な内装体1にあっては、合成樹脂のシートやアルミのシートを引き剥がす(開封)ことなしに付替え可能(合成樹脂のシートやアルミのシートは蓋体3を開けた状態で引き剥がすことが可能)となる。
【0031】
本発明においては、外装体1に係合させるねじ部7を設け、袴壁5の外壁面に設けた構造のものを例として示したが、ねじ部7は、内装体1の周壁1aに設けてもよく、袴壁5に設ける場合に限定されることはない。
【0032】
内装体1に、周壁1aの周りを周回する環状凹部あるいは環状凸部を設け、外装体2の内壁面に環状凸部あるいは環状凹部を設け、内装体1の周壁1aに設けた環状凹部あるいは環状凸部に、外装体2の内壁面に設けた環状凸部あるいは環状凹部を着脱自在にアンダーカット嵌合させることにより内装体1を外装体2の内側に収納することも可能であり、この場合、内装体1の着脱に際して該内装体1を回動させる手間がかからず、内装体1のより一層簡便な取り付け、取り外しを行うことができる。
【0033】
本発明に従うレフィル容器は、内装体1については、安価なものを適用し、外装体2、蓋体3については加飾を施して見栄え(豪華絢爛)をよくして繰り返し使用することが可能であるため、資源の有効活用を図る点において有益である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、内容物に手指が触れたり、蓋体の開閉操作を伴うことなしに内装体を簡便に交換し得るレフィル容器が提供できる。
【符号の説明】
【0035】
1 内装体(内容器)
1a 周壁
1b 底壁
1c 取り出し口
2 外装体(外容器)
2a 上端開口
2b 下端開口
3 蓋体
3a 天板
3b 垂下壁
4 ねじ部
5 袴壁
6 摘み片
7 ねじ部
8 ねじ部
9 ストッパー
10 切り欠き部
11 パッキン
図1
図2
図3