【文献】
Parle-McDermott A et al.,Serial analysis of gene expression identifies putative metastasis-associated transcripts in colon tumour cell lines.,Br J Cancer,2000年 9月,Vol.83, No.6,725-728
【文献】
Isemura S et al.,Characterization of a new cysteine proteinase inhibitor of human saliva, cystatin SN, which is immunologically related to cystatin S.,FEBS Lett. ,1986年 3月17日,Vol.198, No.1,145-149
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記診断キットを介して測定される結腸直腸癌マーカーの発現レベルまたは含有量が健常者の結腸直腸癌マーカーの発現レベルまたは含有量と比較して、その結果が陽性であるか否かを決定し、またはその結果がカットオフ値より高ければ陽性と決定する請求項1に記載の診断キットであって、前記カットオフ値は、結腸直腸癌患者および健常者の体液または組織サンプル中の結腸直腸癌マーカー発現/レベルの比較を通して得られ、前記カットオフ値は統計的に有意であり、前記サンプルが血液、尿、骨髄、結腸直腸癌細胞株、結腸直腸癌腫瘍および腫瘍隣接組織ならびにリンパ節組織よりなる群から選択される1以上を含有する、請求項1に記載の診断キット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の1つは、結腸直腸癌診断用の新しいツールとして、CST4遺伝子、CST4のmRNA、CST4スプライスのcDNA、CST4特異的プライマーの増幅産物、シスタチンSタンパク質およびそのエピトープの新規な利用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の技術は以下に記載されている。CST4遺伝子、CST4のmRNA、CST4スプライスのcDNA、CST4特異的プライマーの増幅産物、シスタチンSタンパク質およびそのエピトープは、結腸直腸癌診断および予測のためのバイオマーカとして利用される。CST4遺伝子の配列は配列番号42中に示されている。
【0007】
CST4遺伝子、CST4のmRNA、およびCST4スプライスのcDNAの検出用のプローブのために好ましい配列は、配列番号3中に存在している。
【0008】
好ましくは、増幅産物の特異的プライマーは、配列番号1、4、6、8、10、12、14、16、18、20(プライマー1)および配列番号2、5、7、9、11、13、15、17、19、21(プライマー2)において示される配列を有する。配列番号1における配列は配列番号2における配列と対になる。配列番号4における配列は配列番号5における配列と対になる。配列番号6における配列は配列番号7における配列と対になる。配列番号8における配列は配列番号9における配列と対になる。配列番号10における配列は配列番号11における配列と対になる。配列番号12における配列は配列番号13における配列と対になる。配列番号14における配列は配列番号15における配列と対になる。配列番号16における配列は配列番号17における配列と対になる。配列番号18における配列は配列番号19における配列と対になる。配列番号20における配列は配列番号21における配列と対になる。
【0009】
シスタチンSエピトープペプチド用の好ましい配列は、配列番号50中に存在する。
【0010】
診断および予測は、結腸直腸癌の治療および進行予測の間に転移、微小転移巣、pTNMステージ判定、動的モニタリングとして好ましく定義される。
【0011】
本発明の第二目的は、結腸直腸癌バイオマーカーへの特異親和性を有するいくつかのキャプチャーを提供することである。
【0012】
上述の目的の実現のための技術的な詳細は以下に記載されている。
【0013】
結腸直腸癌バイオマーカー用キャプチャーは、結腸直腸癌の診断用および予測用である。結腸直腸癌バイオマーカーは、CST4遺伝子、CST4のmRNA、CST4スプライスのcDNA、CST4特異的プライマーの増幅産物、CST4によってコードされるシスタチンSおよびそのエピトープペプチドである。
【0014】
CST4
特異的プライマーの配
列は、配列番号1〜2に示されている。
【0015】
CST4、CST4のmRNA、およびCST4スプライスのcDNAの検出用プローブの配列は、配列番号3中に存在している。
【0016】
上
述の増幅産物の配
列は、配列番号43に示されている。
【0017】
述べられているキャプチャーは、シスタチンSまたはそのエピトープを特異的に認識する抗体である。
【0018】
シスタチンSエピトープペプチドの配列は、配列番号50中に示されている。
【0019】
別の目的は、キャプチャーの新規な用途を提供することである。これらの用途に基づく検査キットおよびプロトコルも提供されるだろう。当該用途および検査キットは、高い精度での結腸直腸癌の検出、シンプルな操作および適した高度な診療のため、新しい。
【0020】
上記目的を実現するための技術的な詳細は以下に記載されている。
【0021】
このセクションは、結腸直腸癌検出用の検査試薬および検査キットにおけるキャプチャーおよび上述のキャプチャーを包含する診断キットの利用を包含する。
【0022】
検査キットは、以下に記載されている。
【0023】
1)加水分解性Taqmanプローブに基づくCST4のmRNAの定量的かつリアルタイムの検出のための検査キット。プライマー配列は配列番号1〜2中に存在し、プローブの配列は、配列番号3中に存在する。
【0024】
2)蛍光色素に基づくCST4のmRNAの定量的かつリアルタイム検出用の検査キット。プライマー配列は配列番号1〜2中に存在する。内部校正プライマー用の配列は、配列番号30〜31中に示される。
【0025】
3)核酸ベース増幅(NASBA)または転写媒介増幅(transcription−median amplification: TMA)に基づくCST4のmRNAの定量的かつリアルタイム検出用の検査キット。両方のキットは、CST4用のプライマーおよびプローブを包含し、その配列は、配列番号2、32(プライマー用)および3(プローブ用)中に示されている。
【0026】
4)リガーゼ連鎖反応(LCR)に基づくCST4のmRNAの定量的かつリアルタイム検出用の検査キット。4つのプローブは、その配列が配列番号33〜36中に示されて包含されている。
【0027】
5)好熱性鎖置換増幅(tSDA)に基づくCST4のmRNAの定量的かつリアルタイム検出用の検査キット。プライマー(配列番号37〜40中に示される配列)およびプローブ(配列番号41)は包含される。
【0028】
診断キットは以下のように好ましい。
【0029】
1)固体基質、固体基質に固定されたキャプチャー、ビオチン化キャプチャーおよび酵素基質(比色分析用)を包含している、二重抗体サンドイッチELISAキット。固定されたキャプチャーは、モノクローナル抗体であり、ビオチン化キャプチャーはポリクローナル抗体である。
【0030】
2)固体基質、キャプチャー、酵素標識化二次抗体および比色検出用酵素基質を包含しているブロッティングキット。キャプチャーはモノクローナル抗体であり、ビオチン化キャプチャーはポリクローナル抗体である。
【0031】
3)固体基質、固定されたアンチゲン、ビオチン化キャプチャー、比色検出用酵素基質および特異的モノクローナル抗体を包含している競合ELISAキット。ビオチン化キャプチャーはポリクローナル抗体である。
【0032】
上述の全診断キットは、陽性対照サンプルおよび陰性対照サンプルならびに対照サンプルを包含する。
【0033】
二重抗体サンドイッチELISAキットに基づく検査キットは、特異的抗体としてラット抗シスタチンSモノクローナル抗体を用いる。固体基質はELISAプレートである。ビオチン化特異的ポリクローナル抗体は、ビオチン化ウサギ抗シスタチンSポリクローナル抗体である。
【0034】
二重抗体サンドイッチELISAキットに基づく検査キットの固体基質は、ELISAプレートである。固体基質に固定されたキャプチャーはラット抗シスタチンSモノクローナル抗体(R&D、MAB1296、5μg/mL)である。ビオチン化キャプチャーは、ウサギ抗シスタチンSポリクローナル抗体(価数1:1000)である。比色検出の基質はアルカリホスファターゼである。
【0035】
競合ELISAに基づく検査キットの固体基質は、ELISAプレートである。シスタチンSの濃度は5μg/mLである。特異的モノクローナル抗体は、ラット抗シスタチンSモノクローナル抗体(価数1:2000、MAB1296(R&D))である。酵素標識化二次抗体はALP標識化ヤギ抗マウスIgG(3%のBSAを含むTBSに溶解され、価数1:2000(Jackson))である。酵素基質はALP基質である。シスタチンS、酵素標識化二次抗体および酵素基質の体積比は1:2である。
【0036】
免疫プロットに基づく検査キットの固体基質はニトロセルロース膜である。キャプチャーはラット抗シスタチンS(価数1:1000)抗体である。酵素標識化二次抗体はペルオキシダーゼ標識化ヤギ抗ウサギIgG(Jackson)である。酵素基質は市販のTMB溶液である(Kirkegaard and Perry Laboratories Inc.(ゲイザースバーグ,メリーランド)、「TMB peroxidase substrate solution(TMBペルオキシダーゼ基質溶液)」、カタログ番号50−76−01)。
【0037】
検査キットのプロトコルは以下に詳細に記載されている。
【0038】
ELISAプレート(Corning)は、シスタチンS(Abnova、カタログ番号H00001472−P01)溶液(5μg/mL)で被覆され、3%BSA溶液でバックフィル(裏込め)される。ラット抗シスタチンSモノクローナル抗体(R&D、カタログ番号MAB1296,(価数1:2000)および血清(8倍希釈)は、混合され、4℃で一晩、プレートとともにインキュベートされ、その後、37℃で1時間、プレート中の混合物からインキュベートされる。プレートの穴は、その後、TBS緩衝液(10mMのTris−HCl、154mMNaCl、pH7.5)で洗浄される。ALP標識ヤギ抗マウスIgG(Jackson、価数1:2000、0.3%のBSAを有するTBS緩衝液に溶解)は、プレートに添加され、37℃で1時間インキュベートされる。ALP基質(Kirkegaard and Perry Laboratories Inc.(ゲイザースバーグ、メリーランド)、blue Phos Solution、カタログ番号508805、穴ごとに100μL)、OD値は最後にマイクロプレートリーダーを用いて読まれる。
【0039】
第4目的は、インビトロ診断ツールならびに簡易操作、高感度および特異性を有するキットを提供することである。
【0040】
本発明の目的を実現するための技術の詳細な説明は以下のとおりである。
【0041】
結腸直腸癌は、上記の診断キットによって検出され得または予測され得る。より詳細な語において、検査キットを介して測定された結腸直腸癌マーカーの発現レベルまたは定量的な含有量は、健常者の発現レベルと比較して、その結果が陽性であるか否かを決定する。または当該結果は、含有量(カットオフ値)より高い場合に陽性と解読される。カットオフ値は結腸直腸癌患者および健常者の体液または組織サンプルにおける結腸直腸癌マーカー発現/レベルの比較を通して得られる。カットオフ値は統計的に有意である。サンプルは以下を1以上包含する:血液、尿、骨髄、結腸直腸癌細胞株、結腸直腸癌細(colorecatal cancer)腫瘍および腫瘍に隣接する組織およびリンパ節組織。例えば、シスタチンSのカットオフ値は、この場合3.434ng/mLである。
【0042】
結腸直腸癌の予測および診断のための検査キットは、シスタチンSタンパク質発現の測定用のキットである。当該キットは、固体基質、固体基質に固定されたキャプチャー、ビオチン化キャプチャーおよび比色検出用酵素基質を包含する。固定化キャプチャーは、モノクローナル抗体であり、ビオチン化キャプチャーはポリクローナル抗体である。
【0043】
または、シスタチンSタンパク質発現測定用の検査キットは、固体基質、プレートに被覆されたシスタチンSタンパク質、ラット抗シスタチンSモノクローナル抗体、酵素標識化二次抗体および比色検出用酵素基質を包含する。
【0044】
または、シスタチンSタンパク質発現測定用の検査キットは、固体基質、キャプチャー、酵素標識化二次抗体および比色検出用酵素基質を包含する。キャプチャーはモノクローナル抗体であり、ビオチン化キャプチャーはポリクローナル抗体である。
【0045】
検査キットは、二重抗体サンドイッチELISAに基づき、アッセイの固体基質は、ELISAプレートであり、固定化キャプチャーは、ラット抗シスタチンSモノクローナル抗体であり、ビオチン化キャプチャーは、価数1:1000を有するウサギ抗シスタチンSポリクローナル抗体である。酵素基質はALPである。
【0046】
または、キットは競合ELISAに基づき、アッセイの固体基質はELISAプレートであり、シスタチンSの濃度は5μg/mLであり、モノクローナル抗体は価数1:2000を有するラット抗シスタチンS抗体であり、酵素標識化二次抗体は価数1:2000を有するALP標識化ヤギ抗マウスIgGである。酵素基質はALPである。シスタチンS、酵素標識化二次抗体およびその基質の体積比は1:2である。
【0047】
または、検査キットは免疫ブロット法に基づき、固体基質はニトロセルロース膜であり、キャプチャーは価数1:1000を有するラット抗シスタチンSモノクローナル抗体であり、酵素標識化二次抗体はHRP標識ヤギ抗ウサギIgGであり、比色検出用酵素基質はTMB溶液である。
【0048】
本発明の利点は、1)結腸直腸癌の診断における発現CST4遺伝子およびシスタチンSタンパク質の利用であり、癌の成長および結腸直腸癌の進行予測のリアルタイムモニタリングは、本発明の大規模試験で変動する。当該結果は、かなりの精度であり、本発明は、結腸直腸癌の予後予測だけでなく結腸直腸癌診断およびリアルタイムモニタリングの新規な方法の開発において用いられ、2)結腸直腸癌診断およびリアルタイムモニタリングに高い感度を有する検査試薬と検査キットは結腸直腸癌進行予測と同様、本発明に包含され得る。
【発明を実施するための形態】
【0050】
(パートI)分子検出
上記されている分子生物学的技術は、以下の実施例に記載されている。これらの実施例は本発明の利用を限定する代わりに本発明を明確にしていることに留意されたい。Molecular Cloning: A Laboratory Manual(分子クローニング:実習マニュアル)(J.Sambrookら編)におけるプロトコルは、もし示されていなければ、実験手順に厳密に従った。または取扱説明書を以下に示した。記載されていない場合、百分率および割合は、重量に基づく。
【0051】
物質および方法
全臨床サンプルを、Beijing Friendship Hospital(北京友情医院)から得、病院の厳しい検査法規と患者の同意書を有した。
【0052】
腫瘍またはその隣接組織と疑われていた生検サンプルを比較した。リンパ節サンプルと同様これらのサンプル中のRNAをサンプルの必要な時にすぐに抽出し、液体窒素中に貯蔵し、またはRNAlater(Ambion社)に保管している。
【0053】
末梢血、骨髄または尿サンプルを20分間(4000rpm、4℃)遠心分離した。その上清を、別に10分間(13000rpm,4℃)遠心分離した。上清および沈殿を分離する。RNA抽出をすぐに続いて行い、またはそのサンプルを−20℃未満または−80℃未満で貯蔵する。
【0054】
TaqManプローブを用いるリアルタイムPCR:
サンプルから市販キットを用いて核酸を抽出した。限定を意図しない例は、フェノール−クロロホルム抽出である。サンプル中のRNAを、Invitrogenにより製造したトリゾールキット(Trizol kit)を続けて用いて得られた。抽出したRNAの品質を、Molecular Biology Experiments(分子生物学実験)(J.Liによる)などの参考文献中のプロトコルに従って分析した。mRNAの逆転写を市販キットにより行い、その指針は以下に従った。cDNA溶液を適切な濃度勾配で調製した。生化学反応用のプライマーを最適化した。CST4用のプライマーをエクソン1に基づき設計した。CST4増幅産物を含む組み換えプラスミドは、Pegm−T(Promega(
図1に示されている))から市販されている。プライマーをエクソン1および3に基づき設計した。PCRプロセスをTaqManプローブの加水分解により観測した。
【0055】
CST4のプライマー用に最適化された配列は、
【化1】
である。プローブの配列は、
【化2】
である。増幅産物の部分は142bpである。
【0056】
CST4増幅産物を含有する組み換えプラスミドのプライマー用に最適化された配列は、
【化3】
である。
【0057】
典型的に試験において、サンプル、陽性対照および陰性対照ならびに組み換えプラスミド標準は同時に増幅される。組み換えプラスミド標準と濃度に対する適当な濃度勾配との交差点(CP)をプロットし、校正曲線を得る。サンプルおよび対照サンプル中の遺伝子発現のコピーを、当該校正曲線を用いて定量化する。
【0058】
プローブとして蛍光色素を用いるリアルタイムPCR:
サンプルの前処理は、TaqManプローブを用いるリアルタイムPCRのセクションに記載されているものと同じである。同時に増幅されるCST1、CST2およびCST4の増幅用のプライマーの配列は、
【化4】
である。CST4増幅用のプライマーの配列は
【化5】
である。CST2増幅用のプライマーの配列は、
【化6】
である。CST1増幅用のプライマーの配列は、
【化7】
である。β−アクチンは内部基準として用いられる。β−アクチン増幅用のプライマーの配列は、
【化8】
である。癌性腫瘍、腫瘍隣接組織(TAT)および内部基準遺伝子中の遺伝子を同時に増幅する。遺伝子のコピーは以下の等式によって定量化され、ここで、蛍光シグナルがバックグラウンドを超える時、ctはサイクル数である。SYBR Greenk、Eve Green、LC Greenなどはアプライ(付与)する蛍光色素に含まれる。
【0060】
核酸ベース増幅(NASBA)によるインビトロでのRNA増幅:キットは、T7 RNAポリメラーゼ、リボヌクレアーゼH、鳥骨髄性白血病ウイルス(AMV)逆転写酵素、リボヌクレオチド三リン酸(NTP)、デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)、「TaqManプローブを用いるリアルタイムPCR」の区分に述べられていたCST4増幅用プライマー、(Ribo−Green蛍光色素)を観測するRNA増幅用蛍光色素を包含する。RNAテンプレートは、42℃で2時間のインキュベートした後、2
9〜2
12倍に増幅される。増幅された製品の蛍光を増幅前のテンプレート濃度の定量化のために測定した。
【0061】
実施例1.CST4およびCSTスーパーファミリーの他のメンバーの発現
1.種々のヒト組織中のCST4
全組織サンプルを、Beijing Friendship Hospital(BFH)から得られる結腸組織を除いて購入した。種々のヒト組織サンプル中のCST4のmRNA発現をHG−U95AV Human GeneChip Array(Affymetirx)上で測定し、比較した(使用マニュアルからのプロトコルは以下の通りであった)。CST1 mRNA発現の定量化を、β−アクチン蛍光校正曲線により実現した。
【0062】
図2に示されているように、CST4発現は、唾液腺中のものを除いて、全サンプルにおいて低い。CST4発現は、試験されている他の組織において全く観察されなかった。当該結果は、CST4発現の低いバックグラウンドシグナルのせいで、CST4は有望な病理診断であることを示す。CST4は、SW480およびCaco2(結腸直腸癌細胞株である)中に過剰発現であり、HNIEC(普通の結腸組織細胞株である)において発現しない。CST4は結腸直腸癌診断用の有望なマーカーであると結論付けられている。
【0063】
結腸直腸癌腫瘍とそれらの個々の隣接組織の20の組み合わせ(C1、C2...C20と番号づけられた)におけるCST4、CST124、CST1およびCST2のmRNAの発現を比較した。腫瘍およびそれらの隣接組織におけるCST4のmRNA発現差異は、CST1を除いて全遺伝子より大きい(
図3)。全サンプルを結腸直腸癌について病理学的に診断した。プローブとして蛍光色素を用いるリアルタイムPCRを、遺伝子発現を定量化するために用い、そのリアルタイムPCRは陽性対照サンプルおよび陰性対照サンプルの同時に生じる増幅により変動した。当該対照の結果は予測と合致していた。
【0064】
2.mRNA発現の定量化用のプローブとして蛍光色素を有するリアルタイムPCRに基づく検査キットは、以下を含有する。
【0065】
1)CST4増幅用プライマー(その配列は以下に示される):
【化9】
内部基準としてのβ−アクチンの増幅用プライマー
【化10】
2)核酸抽出用試料および逆転写用試料、SYBR Green蛍光色素、dNTP、Taqポリメラーゼ、リボヌクレアーゼを含まない水、標準溶液、陽性対照サンプルおよび陰性対照サンプル、10倍緩衝液および塩化マグネシウム溶液。
【0066】
3.結腸直腸癌腫瘍および腫瘍隣接組織におけるCST4発現
TaqManプローブを有するリアルタイムPCRに基づくCST4のmRNA発現用検査キット。当該キットは以下を含有する。
【0067】
1)プライマーおよびプローブ:
【化11】
2)核酸抽出用試料および逆転写用試料、dNTP、Taqポリメラーゼ、リボヌクレアーゼを含まない水、標準溶液、陽性対照サンプルおよび陰性対照サンプル、CST4遺伝子を含む組み換えプラスミドサンプル、10倍緩衝液および塩化マグネシウム溶液。
【0068】
全サンプルは、cDNAが得られることで、RNA抽出および逆転写の前に結腸直腸癌と診断された。リアルタイムPCRは、結腸直腸癌腫瘍およびそれらの個々の隣接組織におけるCST4の発現の定量化に用いた。100個のサンプルがこの試験において試験された。
【0069】
図4において示されるように、CST4のmRNA発現は、病理学上診断される悪性結腸直腸癌腫瘍において特に高く、それらは個々の隣接組織において低い。腫瘍におけるCST4発現は、隣接組織におけるCSTt発現よりおよそ100倍高く、このことは、CST4のmRNAが結腸直腸癌のために優れたマーカーであるということを示す。13.89がCST4コピーのためのカットオフ値である場合、癌性組織は正常組織と区別され得る。したがって、13.89は結腸直腸癌の臨床診断用の参照として提案される。
【0070】
4.結腸直腸癌患者および腸炎患者からの結腸鏡検査サンプルにおけるCST4発現
結腸鏡検査サンプルは、腫瘍細胞の百分率が変動する外科サンプルと大きく異なる。癌性組織はときどき、結腸鏡検査サンプル全体の非常に小さな一部であり、または癌性組織は結腸鏡検査サンプル中に包含されない。発明者らは試験し、結腸直腸癌患者からの36個の結腸鏡検査サンプルと腸炎患者からの36個の結腸鏡検査サンプルにおけるCST4発現を比較した。癌性サンプルにおけるCST4発現の中央値は、腸炎サンプル中でのカットオフ値より14.3倍大きい。もし60.5がカットオフ値である場合、癌性腫瘍は炎症と区別され得、結腸鏡検査サンプルを用いる結腸直腸癌診断用のレファレンスを提供する。
【0071】
当該結果を、
図5にまとめている。リアルタイムPCRを遺伝子発現の定量化に用いた。
【0072】
5.結腸直腸癌転移を伴うまたは伴わないリンパ節サンプル中のCST4発現
異なるサイズの薬理学的診断された結腸直腸癌転移を含むリンパ節の20個の外科サンプルおよび初期段階の非転移性結腸直腸癌を伴う患者からの15個のリンパ節サンプルを得た。初期段階の癌患者を、検出できないリンパ節転移および得られたアーチファクトを避けるために選択した。リアルタイムPCRをCST4の発現の定量化に用い、詳細な実験手順は実施例2に記載しているようなものと同じである。
図6に示されているように、CST4発現は、結腸直腸癌転移を伴うサンプルにおいて高く、癌転移を伴わないサンプルにおいて比較的ひくい。転移を伴うサンプル中のCST4発現の中央値は、乳癌の転移を伴わないサンプル中のCST4発現の中央値より23.6倍高い。もしカットオフ値が23.9のコピーである場合、癌転移を区別するのは可能である。CST4発現の2つの陽性の場合を非転移グループにおいて報告した。これらのサンプルを、注意深く研究し、そして微小転移巣を両方において発見した。これらの2つの例を転移サンプルとして考える場合、CST4のmRNA発現試験は、検査においてすべての転移性の場合を区別することができる。伝統的な薬理学的研究の可能性を超えている微小転移巣は発見され、より高い感度を示すとわかった。
【0073】
6.リアルタイムPCRと末梢血中に循環している結腸直腸癌細胞の発見のための細胞学的研究による CST4発現測定の精度比較
【0074】
RNAは、赤血球および血小板を含まない末梢血から抽出され、CST4のmRNA発現をリアルタイムPCRで定量化し、腸炎患者および健常者からのサンプルと比較して、循環する結腸直腸癌細胞の存在を決定した。得られた結果を細胞学的研究と比較した。
【0075】
図7にまとめるように、CST4発現方法は、細胞学的研究により診断される全ての癌の例を検出することができる。癌転移は薬理学的に転移していないと診断された結腸直腸癌患者において発見され、本発明で述べられる方法は細胞学的な方法よりも感度がよく、細胞学的な方法がし得るものを超えている微小転移巣も検出され得る。
【0076】
7.リアルタイムPCRおよび細胞学的研究により検出される骨髄転移
結腸直腸癌患者からの生検骨髄サンプルのCST4のmRNAをリアルタイムPCRにより定量化した。得られた結果を検出用の健常な骨髄サンプルと比較した。これらの試験の結論を細胞学的研究と比較した。
【0077】
図8に示されるように、骨髄転移、転移または微小転移を伴う95%のサンプル(細胞学的研究に基づく)はCST4のmRNA検査により検出され得る。細胞学的研究より高い陽性の割合はより高い感度を示す。
【0079】
9.結腸直腸癌患者、腸炎患者および健常者の無細胞RNA
結腸直腸癌患者(50例)、腸炎患者(30例)および健常者(30例)の血漿サンプルを集めた。無細胞RNAを市販キットを通して抽出した:リアルタイムPCRをCST4発現の定量化のために用いた。
【0080】
癌性のグループのCST4発現の中央値は、炎症グループおよび正常グループのおよそ6倍(
図9A)である。59.48のカットオフ値により、非癌性サンプルから癌性サンプルを分離することができる。乳癌診断のための方法としてCST4発現検査の受信者動作特性(ROC)曲線は
図9Bに示す。高感度および特異性をその曲線から結論付けた。CST4は、血漿サンプルによる非浸潤性の結腸直腸癌診断用の特異的なマーカーである。
【0081】
10.リガーゼ連鎖反応(LCR)により検査された結腸直腸癌患者、腸炎患者および健常者の血漿の無細胞RNAにおけるCST4発現
CST4のmRNA発現用の検査キットは以下を含有する。
【0082】
1)ハプテン標識化したプローブ:
【化12】
2)市販の核酸抽出用試料および逆転写用試料。他の試薬は、LCxキット(Abbott Laboratories)と同一である。
【0083】
無細胞RNAを結腸直腸癌患者(50例)、腸炎患者(30例)および健常者(30例)の血漿から抽出した。CST4のmRNAの発現をLCR方法により検査した。
【0084】
図10に示されるように、癌性サンプルの相対発光量(RLU)の中央値は、炎症を伴うサンプルや正常サンプルのそれぞれとの9.96倍および32.29倍高い。結腸直腸癌サンプルを17.85 RLUのカットオフ値と区別し得る。
【0085】
10.逆転写ストランド変位増幅(rtSDA)により検査された結腸直腸癌患者、腸炎患者および健常者の血清無細胞RNAにおけるCST4発現
rtSDAに基づくCST4mRNA発現の定量化用の検査キットは以下を含有する:
1)
【化13】
2)核酸抽出用試料および逆転写用試料、dCTPαS、dATP、dGTP dTTP、Bsob Iおよびexo−Bca。
【0086】
無細胞RNAを、結腸直腸癌患者(50例)、乳腺炎患者(30例)および健常者(30例)の血漿サンプルから抽出した。CST4のmRNAからの発現を好熱性鎖置換増幅(tSDA)により検査した。
図11に示されているように、癌性サンプルの相対発光量(RLU)の中央値は、炎症および正常サンプルをそれぞれを含むサンプルより、20.73倍および21.51倍高い。結腸直腸癌サンプルは、23.09 RLUのカットオフ値と区別され得る。
【0087】
11.結腸直腸癌患者、腸炎患者および健常者の尿無細胞RNAにおけるCST4発現
核酸ベース増幅(NASBA)に基づくCST4のmRNA発現定量化用の検査キットは、以下を含有する。
【0088】
1)CST4用のプライマーおよびプローブ:
【化14】
2)RNA抽出用および逆転写用試薬、T7 RNAポリメラーゼ、リボヌクレアーゼH、鳥骨髄性白血病ウイルス(AMV)逆転写酵素、リボヌクレオチド三リン酸(NTP)、デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)およびRNA蛍光色素(リボグリーン蛍光色素)。
【0089】
無細胞RNAを結腸直腸癌患者(30例)、腸炎患者(20例)および健常者(20例)の尿サンプルから抽出した。CST4のmRNAの発現をNASBAにより検査した。
図12に示されているように、癌性サンプルの相対発光量(RLU)の中央値は、炎症および正常サンプルを伴うサンプルより約13.2倍高い。結腸直腸癌サンプルは、15.02 RLUのカットオフ値と区別され得る。それゆえ、CST4は、結腸直腸癌診断用の非浸潤性の尿検査において優れたマーカーである。
【0090】
実施例2 結腸直腸癌の予測および診断のためのCST4の利用
転写増幅法(TMA)に基づくCST4のmRNA発現の定量化用検査キットは以下を含有する。
【0091】
1)増幅用のプライマーおよびプローブ:
【化15】
2)プライマーおよびプローブ以外のGen−プローブTMAアッセイに包含されている任意の試薬。
【0092】
1.CST4発現および結腸直腸癌pTNMステージ判定
80人の結腸直腸癌患者(I+IIステージの30例およびIII+IVステージの50例)からの血漿サンプル中の無細胞RNAを市販キットによって抽出した。CST4発現を、TMA(転写増幅)方法を用いて測定した。
【0093】
図13に示すように、末期患者(ステージIII+IV)のRLUの中央値は、初期患者(ステージI+II)より8.9倍高い。当該結果は、CST4は結腸直腸癌ステージの良好な指標であり、ステージの決定のために用いられうる。
【0094】
2.結腸直腸癌治療におけるリアルタイムモニタリングにおけるCST4発現の利用
治療を受ける結腸直腸癌患者の血清CST4発現(化学療法での6人の患者および放射線療法での4人の患者)は、リアルタイムPCRにより観測された。腫瘍成長を血液中のCST4発現レベルと比較および対応させた。
【0095】
表1にまとめるように、CST4発現は効果的な治療をする患者で減少し、これは、腫瘍の減少した大きさからも明らかであった。CST4発現は、効果的でない治療をする患者の治療の継続を増加し、腫瘍の増加した大きさからも明らかであった。したがって、CST4を治療の有効性のリアルタイムモニタリング用のマーカーとして提案する。
【0097】
3.結腸直腸癌の予後予測用CST4発現
5人の処置後結腸直腸癌患者の血液CST4発現を定量的リアルタイムPCRによる治療後1月後、3月後および1年後に観測した。表2に示されているように、患者は癌が再発した。CST4発現の増加はこれらの2人の患者で観測された。癌の再発は、CSTT4発現がおよそ1000のコピーに達するまで検出されなかった。他の3人の患者は癌が再発せず、あまりCST4発現の増加は彼らに観測されなかった。したがって、CST4は癌の予後予測に良好なマーカーである。
【0099】
実施例3 結腸直腸癌の予測用および診断用キット
1.CST4のmRNA発現のリアルタイム定量化のためのTaqmanプローブに基づく検査キット
【0100】
1)プライマーおよびプローブ
【化16】
2)核酸抽出用試料および逆転写用試料、dNTP、Taqポリメラーゼ、リボヌクレアーゼを含まない水、標準溶液、陽性対照サンプルおよび陰性対照サンプル、10倍緩衝液および塩化マグネシウム溶液。
【0101】
2.CST4のmRNA発現のリアルタイム定量化のための蛍光色素に基づく検査キット
1)CST4用プライマー
【化17】
β−アクチン用プライマー
【化18】
2)核酸抽出用試料および逆転写用試料、SYBR Green蛍光色素、dNTP、Taqポリメラーゼ、リボヌクレアーゼを含まない水、標準溶液、陽性対照サンプルおよび陰性対照サンプル、10倍緩衝液および塩化マグネシウム溶液。
【0102】
3.CST4のmRNA発現のリアルタイム定量化のための核酸配列ベース増幅(NASBA)に基づく検査キット
当該キットは以下を含有する。
1)プライマーおよびプローブ
【化19】
2)RNA抽出用および逆転写用試薬、T7 RNAポリメラーゼ、リボヌクレアーゼH、鳥骨髄性白血病ウイルス(AMV)逆転写酵素、リボヌクレオチド三リン酸(NTP)、デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)およびRNA蛍光色素(リボグリーン蛍光色素)。
【0103】
4.CST4のmRNA発現のリアルタイム定量化のための転写増幅法(TMA)に基づく検査キット
キットは以下を含有する。
1)プライマーおよびプローブ
【化20】
2)プライマーおよびプローブ以外のGen(ジェン)−プローブTMAアッセイに包含される任意の試薬
【0104】
5.CST4のmRNA発現のリアルタイム定量化のためのリガーゼ連鎖反応(LCR)に基づく検査キット
当該キットは、以下を含有する。
1)ハプテン標識化した4つのプローブ:
【化21】
2)核酸抽出用および逆転写用の市販の試料。他の試薬はLCxキット(Abbott Laboratories)と全く同一である。
【0105】
6.CST4のmRNA発現のリアルタイム定量化のための好熱性鎖置換増幅(tSDA)に基づく検査キット
当該キットは、以下を含有する。
1)
【化22】
3)核酸抽出用試料および逆転写用試料、dCTPαS、dATP、dGTP、dTTP、Bsob Iおよびexo−Bca。
【0106】
(パートII)タンパク検出
本発明を以下の実施例に示す。これらの実施例は、本発明の利用を制限する代わりに本発明を明確にすることに留意されたい。Molecular Cloning: A Laboratory Manual(J.Sambrookら編)は、記載されていない場合、実験工程に厳密に続けられた。または、取扱説明書に従った。言及されない場合、百分率および割合は重量に基づく。
【0107】
このセクションにおいて、結腸直腸疾患検出用のタンパク質バイオマーカーの検出を述べる。抗体、検査キットおよびプロトコルを詳細に述べる。結腸直腸疾患診断の利用およびモニタリング、ならびに有効性評価も記載する。
【0108】
組み換えシスタチンSタンパク質をAbnovaから購入した(0.06μg/μL、カタログ番号H00001472−P01)。価数1:2000であるラット抗シスタチンSモノクローナル抗体をR&Dから購入した(カタログ番号MAB1296)。価数1:1800であるウサギ抗シスタチンSポリクローナル抗体をAbcamから購入した(カタログ番号ab58515)。
【0109】
本発明は、結腸直腸組織状態の決定および結腸直腸癌の再発および転移の予測のための方法を提供する。治療の評価は本発明に記載されている方法により実現され得る。この方法は、患者に与えられるサンプルにおける少なくとも1つのタンパク質の濃度を測定する。サンプル内ののシスタチンSタンパク質およびその定量的なまたは半定量的な決定は非常に好ましい。種々の分子は、タンパク質検出のために繰り返されたが、シスタチンの特定の抗体またはそれらのフラグメントは、本発明において好ましい。方法検出プロトコルおよび検査キットは、癌の兆候のないヒトの結腸直腸癌検診に用いられうる。
【0110】
少なくとも1つの(好ましい)抗体またはシスタチンSの少なくとも1つのエピトープに特異的に結合するフラグメントは本願明細書に述べられている検出において利用される。抗体はモノクローナルまたはポリクローナルであり得る。好ましいモノクローナル抗体は、シスタチンSを配列番号50に示される配列と結合する。抗体はシスタチンSを免疫原とともに得られる。免疫原濃度は好ましい成分である。それゆえ、本発明は、シスタチンSの存在に対する抗体の免疫応答によるシスタチンSの定量化方法を提供する。
【0111】
本発明における検体はヒトであり、ここで、試験における免疫応答は抗体およびヒトペプチドを特徴づける。免疫反応は任意の好ましい方法によって測定されてよく、これらに限定されないが、ELISA、免疫ブロット法または両方の組み合わせ、競合ELISAおよび二重抗体サンドイッチELISAキットを包含する。
【0112】
結腸直腸組織状態のモニタリングおよび診断ならびに結腸直腸疾患用の治療の有効性のモニタリングは、シスタチンS発現の定量化を介する免疫反応により定量化され得る。
【0113】
我々は、サンプル中のマーカー(シスタチンSおよびその本願明細書におけるエピトープ)の検出のための全ての検査キットを本願において主張する。結腸直腸組織および結腸直腸疾患の状況は上記キットを介して診断され得る。結腸直腸疾患の治療のモニタリングならびに癌の再発および転移の予測もキットの利用の範囲内である。抗シスタチンS抗体またはそれらのフラグメントはキットに包含される。これらの抗体またはそれらのフラグメントは、血清のような流体サンプル中のシスタチンSと結合する。抗体またはそのフラグメントとシスタチンSとの結合事象はモニタリングされ、報告単位によって検出される。
【0114】
好ましいまたは最適化されたキットの報告単位は抗体またはそれらの機能を標識化したフラグメントであり得る。ここで、報告単位は、適切なIgGまたはIgM抗体として好ましい。当該標識は、ペルオキシダーゼによるなど基質の色の変化を伴う反応を触媒する酵素としてあり得、好ましい。当該標識は二次抗体にコンジュゲイトしているのが好ましい。または、当該標識は蛍光色素であり得る。
【0115】
ELISAに基づく検査キットは本発明において好ましい。
【0116】
述べられるELISA検査キットは、競合ELISAキットまたは二重抗体サンドイッチELISAキットであり、その詳細は以下に記載されている。少なくとも1つの抗体またはそのフラグメントは、検体とインキュベートされる。抗体はモノクローナル抗体であり、上述したモノクローナル抗体として好ましい。抗シスタチンS抗体の製造用の免疫源であるシスタチンSタンパク質を、マイクロプレート(本願明細書の固体基質)とコンジュゲイトさせている。事前にインキュベートした混合物をELISAプレート上でアプライし、その後コンジュゲイトされていない抗体をプレート上に固定されているタンパク質にコンジュゲイトさせる。報告単位は、免疫グロブリン、とりわけIgGおよびIgMであり、プレート上で抗体を検出することができる。抗体は、酵素または検出用の蛍光標識とコンジュゲイトされている。
【0117】
本発明の別の方法論は免疫ブロット法またはウエスタンブロット法であり、ここで、サンプル中のタンパク質を、PAGEなどのゲル電気泳動によって分離し、次いでニトロセルロース膜などの固体基質に移す。当該移す方法の1つは電気移動である。当該検体は、特定の抗体(モノクローナル抗体または好ましくはそのフラグメント)と関係する。免疫反応は、酵素/フルオロフォア標識化抗体などの適切な方法で観測され得る。
【0118】
本発明における別の好ましい方法論は親和性カラムに基づく検査キットである。典型的なプロセスにおいて、抗体またはそのフラグメントはカラム上で固定され、サンプル溶液はカラムをゆっくり通過する。本願明細書において、抗体はモノクローナルまたはポリクローナルである。上述されている抗体は好ましい。
【0119】
サンプル溶液はカラムを通過する。検体のタンパク質が固定された抗体と接触するとき、そのタンパク質はカラム中に残る。その後、検体のタンパク質は、抗体用の競合アンチゲンを利用することにより、またはランニングバッファー条件を変更することにより溶出される。複数のタンパク質を分析する場合、異なるときにタンパク質を溶出するのが好ましい。タンパク質は、UV吸光度検出など、周知の種々の補法により定量化され得る。
【0120】
シスタチンS検査キットは本発明において提供される。2つのチャネルシスタチンS指標は、シスタチンSレベルが通常より高いかどうかを正確に示す。流体サンプルは前記試験に好ましい。キットはサンプル、抗体およびそれらのフラグメントならびに指示薬のための容器を包含する。モノクローナル抗体、とりわけ、上述した抗体は好ましい。試験および操作やデータ解釈に必要な全溶液および緩衝液は、キットに包含されるだろう。キットは病院、診療所および家などの任意の場所において専門家により行われるだろう。
【0121】
本発明に用いるサンプルは、これらに限定されないが、全血液またはその画分を包含する血清、血漿、尿および血液を包含する。
【0122】
上記のように、本発明における抗体は、結腸直腸癌の診断ならびに結腸直腸癌の再発および転移の予測のために用いられうる。この出願において周知の方法は、キットと組み合され得る。例えば、蛍光方法は、血漿、血清または尿、次いで、特定の疾患の存在におけるシスタチンSの量を試験するためのキットと組み合され得る。
【0123】
本発明の目的、利点および特徴部は、以下の限定を意図しない実施例において明らかとなる。その上、請求項および上記になされる結論を支持する実験の詳細も、以下の実施例に包含される。
【0124】
材料および方法
組み換えシスタチンSタンパク質をAbnovaから購入した(0.06μg/μL、カタログ番号H00001472−P01)。
【0125】
抗体:価数1:2000であるラット抗シスタチンSモノクローナル抗体をR&Dから購入した(カタログ番号MAB1296)。価数1:1800であるウサギ抗シスタチンSポリクローナル抗体をAbcamから購入した(カタログ番号ab58515)。
【0126】
免疫沈澱:2mMフッ化フェニルメタンスルホニル(PMSF)、ブドウ球菌タンパク質Aの固定されたアガロースゲルおよびシスタチンS抗体を、サンプル中に添加する。混合物を、4℃で一晩穏やかに撹拌する。ジメチルピメルイミドエステルを、アガロースゲルに抗シスタチンS抗体をコンジュゲイトするために用いる。その沈殿を、N−グリコシダーゼFで洗浄かつ処理し、タンパク質をSDS−PAGEによって精製する。
【0127】
要するに、N−グリコシダーゼFの利用前に、沈殿物を10μLのクエン酸塩緩衝液(50mM、pH6.0、0.5%のSDS)中で沸騰する。10μLのリン酸塩緩衝液(200mM、pH8.0(40mMのEDTAを含む))およびN−オクチルグルコシド(3%)およびN−キシラナーゼを混合物(40mU)に添加し、一晩(37℃)培養する。加える緩衝液を、その後添加し、SDS−PAGE精製のために沸騰させる。他に示されない限り、15%ポリアクリルアミドゲルはPAGEに用いられる。ゲルは20%の2,5−ジフェニルオキサゾール溶液にイメージ化する。
【0128】
タンパク質の電気移動および免疫ブロット法:タンパク質を、5%の脱脂粉乳および0.1%Brij−35を含むPBS緩衝液中に2時間(常温)インキュベートしたニトロセルロース膜に移す。その後、当該膜をウサギ抗シスタチンS抗シスタチンSポリクローナル抗体溶液中で一晩(4℃)インキュベートする。当該膜をPBS緩衝液(0.1%のBrij−35を含む)で3回洗浄する。それをペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギIgG溶液(0.27μL、Jackson)で1時間(37℃)インキュベートし、続いて、PBS緩衝液(0.1%Brij−35)で4回、PBSの洗浄を1回行った。膜は、市販のTMB溶液(TMB Peroxidase Substrate、Kirkegaard and Perry Laboratories Inc.(ゲイザースバーグ、メリーランド)カタログ番号50−76−01)によりイメージ化される。または、膜が5.4mMの過酸化水素溶液、2.5nMのluminolおよび400mMp−クマル酸(100mMのTris−HClに溶解され、pH8.5)溶液に浸されている間、ELC方法によって試験し、Agfa CP−BU−foil上にイメージ化される。
【0129】
競合ELISA:
ELISAプレート(コーニング)をシスタチンS溶液(5μg/mL)で被覆し、3%のBSA溶液によってバックフィルする。8つの血清サンプル(2倍希釈物)およびポリクローナルラット抗シスタチンS抗体(価数1:1000である)を一晩(4℃)でインキュベートし、および前処理したELISAプレート上にアプライする。プレートは1時間37℃でインキュベートする。サンプルの穴をTBS緩衝液(10mMのTris−HCl、154mMのNaCl、pH7.5)によって洗浄する。添加したアルカリのホスファターゼ(ALP)標識ヤギ抗マウスIgG(価数1:2000であるJacksonwi ImmunoResearch)溶液を添加し、1時間(37℃)の間インキュベートした。TMB溶液(TMB Peroxidase Substrate、Kirkegaard and Perry Laboratories Inc.(ゲイザースバーグ、メリーランド)カタログ番号50−76−01)を添加し、405nmにおけるODをマイクロプレートリーダーにより定量化する。
【0130】
二重抗体サンドイッチELISA:
ELISAプレート(コーニング)をモノクローナルラット抗シスタチンS溶液(5μg/mL)により被覆し、3%BSA溶液によりバックフィルした。8個の血清サンプル(2倍希釈)を1時間(37℃)プレートの穴にインキュベートした。プレートをTBS緩衝液(10mMのTris−HCl、154mMのNaCl、pH7.5)で洗浄する。ビオチン化ウサギ抗シスタチンSポリクローナル抗体(価数:1:1000)を穴にアプライし、1時間(37℃)インキュベートする。当該穴をTBS緩衝液で洗浄し、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体(ABCコンプレックス)を加える。プレートを1時間37℃でインキュベートし、穴をTBS緩衝液で洗浄する。TMB溶液(TMB Peroxidase Substrate, Kirkegaard and Perry Laboratories Inc.(ゲイザースバーグ、メリーランド)カタログ番号50−76−01)を添加し、405nmにおけるODをマイクロプレートリーダーにより定量化する。
【0131】
実施例1 シスタチンSの検出
1.結腸直腸癌細胞株培養上清におけるシスタチンS検出
CST4のmRNAを上で論じたように結腸直腸癌腫瘍において過剰発現する。分泌タンパク質として、シスタチンSは種々の体液および分泌物中に見られうる。結腸直腸癌のマーカーとしてシスタチンSを樹立するため、CST4のmRNAの高発現を伴うSW480およびCaCO2の上清を15%ポリアクリルアミドゲル(レーン5〜6、レーン7〜8のそれぞれ、
図14)に充填し、対照サンプル(健常者の血清)をゲル(レーン1〜2、レーン3〜4のそれぞれ、
図14)に充填した。電気泳動の後、タンパク質をニトロセルロース膜に移し、ペルオキシダーゼ標識抗シスタチンS抗体およびヤギ抗ウサギIgGと反応させた。TMBをタンパク質イメージ化に用いた。上記方法に従った。
【0132】
図14に示されているように、β−アクチン(内部基準)はゲルのボトムにある。16kDaタンパク質を伴うバンドをレーン5〜8で観測し、レーン1〜4では、バンドが非常に薄かった。
【0133】
2.結腸直腸癌患者の血清におけるシスタチンS検出
セクション「1」に記載されているプロトコルは以下の通りであった。
図15に示されているように、β−アクチン(内部基準)は、ゲルのボトムにある。16kDaタンパク質を有するバンドはレーン3〜6(癌性サンプル)に観測され、レーン1〜2(対照サンプル)のバンドは極めてかすかであった。
【0134】
3.モノクローナル抗体を用いたELISAによる血清シスタチンSレベルの測定
実験:シスタチンS(5μg/mL)をELISAプレートにアプライし、一晩(4℃)インキュベートした。血清サンプル(結腸直腸癌患者から30個および健常者から20個)を抗シスタチンSモノクローナル抗体(価数1:2000、3%のBSAをTBSに溶解させた)と混合し、一晩インキュベートした、当該サンプル混合物を前処理したELISAプレートにアプライし、1時間(常温)インキュベートした。当該ELISAプレートをTBS緩衝液で洗浄し、ヤギ抗ウサギ抗体(0.08μg/mL,TBSに溶解させた)でインキュベートした。プレートをp−ニトロフェニルホスフェート(p−NPP、CHEMICON International)と反応させた。マイクロプレートリーダーを定量化のために用いた。
【0135】
図16に示されているように、健常な血清中のシスタチンSレベルの中央値は1.55ng/mLであり、結腸直腸ガン血清中で3.75ng/mLである。3.179ng/mLのカットオフ値は、癌性サンプルおよび健常サンプルを区別するのが可能である。
【0136】
4.結腸直腸癌診断および予測のためにシスタチンSおよびCEAの感度および特異性の比較
シスタチンSをセクション「3」に記載されている方法に従って測定した。CEAを市販キット(DRG、ドイツ,カタログ番号EIA5071)を用いて測定し、取扱説明書に従っている。
【0137】
表3に示されているように、受信動作特性(ROC)曲線(AUC)の値の下の面積は、シスタチンSが0.698およびCEAが0.573であり、前者はより感度と選択性が良いことを意味する。
【0139】
5.方法、検査キットおよびプロトコル
限定を意図せず、例証的な方法、検査キットおよびプロトコル
【0140】
結腸直腸癌の検出方法は以下を包含する。シスタチンSアンチゲンを基板上に固定する。R&D抗体(MAB1296)を前処理した基板にアプライする。当該基板を洗浄し、ALP標識ヤギ抗ウサギIgG(Beyotime Inc.、カタログ番号A239)などの二次抗体をアプライする。当該基板を洗浄し、直接的または間接的に標識(例におけるALP)からの応答からタンパク質の量を測定および検出する。
【0141】
基板は、これに限定されないが、セルロースシート、プラスティックプレートおよび粒子などのセルロースベース材料である樹脂粒子を包含する。
【0142】
アンチゲンを共有結合でまたは非共有結合で固定し得る。試験用サンプルはヒト血清である。選択されまたは好ましい基板は、血清および基板中の他の成分間の非特異的相互作用を最小化するために、サンプルの添加前にBSAによってバックフィルすべきである。その後、当該基板を界面活性剤を含むリン酸緩衝液などの適切な緩衝液によって洗浄する。
【0143】
標識二次抗体の限定を意図しない例は標識抗マウスポリクローナル抗体である。当該標識は、ALP、ルシフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼおよび蛍光色素(フルオロセイン(fluorocein)など)などの酵素を包含するが、これらに限定されない。ビオチン、 アビジン、ストレプトアビジンおよびジギタリス配糖体などの分子は、抗体およびその標識の結合のために用いられてよい。
【0144】
酵素が標識である場合、その定性的検出および/または定量的検出は、酵素基質の添加および酵素による比色反応および/または発光反応により実現され得る。蛍光色素が標識である場合、その定性的検出および/または定量的検出は、UV露光および蛍光測定/検出により実現され得る。感光薬が必要に応じて用いられる。
【0145】
本発明の応用として、シスタチンSまたはそのエピトープ(配列番号50)に結合する分子は、必要に応じて、抗シスタチンS抗体またはそれらのフラグメント、二次抗体および固体基質、および1つまたは複数の補助供給品である。これらの必要な試薬または任意の試薬は検査キット内に供給される。上述した試薬は結腸直腸癌診断、pTNMステージ判定、転移検出および治療の有効性の評価に用いられてよい。
【0146】
例えば、検査キットは、特異的抗体またはそのフラグメントとなる。また、検査キットは、サンプル中のターゲットタンパク質の検出のため任意にまたは好ましくは報告単位となる。報告単位は好ましくは適切な二次抗体であり、任意にまたは好ましくは(必要に応じて)検出のための標識化を含む。キットは任意にまたは好ましくは、タンパク質の基板インキュベート用およびサンプル中のタンパク質の非特異的相互作用の除去用のタンパク質のバックフィル用ならびに基板に固定されたタンパク質用の緩衝液などの1以上の緩衝液やサンプル、二次抗体および/または上述された試薬をインキュベートした後の基板の洗浄用緩衝液を包含する。
【0147】
任意に、キットは、競合方法用のコントロールタンパク質の固定化のための固体基質を提供する。この場合、抗体およびサンプルは事前にインキュベートされ、その後、その混合物は、基板にアプライされる。報告単位は抗体および基板の検出に用いられる。専門家は、抗体が血清サンプルからエピトープと結合するかどうかを決定し、血清エピトープと結合する抗体の量を定量的に測定するかもしれない。したがって、当該ターゲットタンパク質の量は決定され得る。
【0148】
任意に、キットは、二重抗体サンドイッチ法において用い得、抗シスタチンS抗体を基板上に固定する。シスタチンS標準溶液および前処理したサンプル血清を基板にアプライする。報告単位標識(reporting−unit−labeling)を有する抗シスタチンSポリクローナル抗体を基板にアプライする。専門家は、抗体が血清サンプルからのエピトープと結合しているかどうか確かめ、血清エピトープに結合する抗体の量を定量的に測定できる。このようにして、ターゲットタンパク質の量は決定され得る。
【0149】
検査試薬および/または検査キット、ならびに/または測定器具および/またはキットおよび器具の組み合わせの必要条件の選択は検出に用いる方法に依存する。上述のように、これらの方法はタンパク質ブロッティングおよびフローサイトメトリを包含するが、これに限定されない。ELISA方法は上述されており、ブロッティングはより正しいが、さらなる設備および/または操作時間を必要とする。
【0150】
6.実証的検査キットおよびそのプロトコル
取得物をサンプリングし貯蔵する。血清について、血液サンプルを2時間室温で保存しまたは一晩4℃で保存する。当該サンプルを20分間(1000g)遠心分離し、上清を血清として収集する。得られた血清サンプルを−20℃または−80℃で保存かつ繰り返して解凍し、凍結しないようにすべきである。血漿について、抗凝固薬としてEDTAまたはヘパリンを用いる。当該サンプルを、血液の収集後30分未満の、15分間(2〜8℃、1000×g)遠心分離する。得られた血漿サンプルを−20℃または−80℃で保存し、解凍を繰り返して、凍結しないようにすべきである。
【0151】
前処理物をサンプルする。血清または血漿サンプルを10倍に薄めることを勧める。例えば、100μL血清または血漿サンプルを900μLのPBS緩衝液と混ぜる。得られたサンプルを0.1MのPBS緩衝液(pH7.0〜7.2)で希薄する。
【0152】
検査キットは以下を包含するだろう:1)プラスチック箔で閉じたELISAプレート、2)シスタチンS標準溶液。シスタチンS溶液を1%BSAを含むPBS緩衝液を用いて10ng/mLの濃度で調製する。当該原液を薄めて、5ng/mL、2.5ng/mL、1ng/mLおよび0.5ng/mLの濃度の一連の溶液を調製する。1%BSAを含むPBS緩衝液を0ng/mLシスタチンSを含む溶液として用いる。得られた溶液を試験前に15分以内に調製すべきである。例えば、4ng/mLシスタチンSの調製を、エッペンドルフチューブ中、0.5mL(0.5mLも)シスタチンS溶液(8ng/mL)および0.5mLの希釈緩衝液を混合して行うことができる。他の濃度を同様にして実現し得る。3)バックフィル用の3%BSAを含むPBST緩衝液。4)コーティング用抗体:5μg/mLのラット抗シスタチンSモノクローナル抗体および希釈用緩衝液(0.05M NaHCO
3溶液、pH9.0)。5)ビオチン化ウサギ抗シスタチンS(価数1:200)および希釈緩衝液(1%BSAを含むPBST)。6)ABC(ストレプトアビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ複合体)。7)比色検出用TMB溶液。8)BST緩衝液(PBS中、0.05%トゥイーン−20)。9)停止液:2NH
2SO
4。
【0153】
詳細な操作プロトコルを以下に記載する。
【0154】
1)コーティング.ラット抗シスタチンS溶液を炭酸水素ナトリウム緩衝液(0.05M、pH9.0)を用いて5μg/mLに希釈する。得られた溶液をポリスチレンプレート上の穴(0.1mL/1つの穴)にアプライする。当該プレートを一晩インキュベートする。穴の中の溶液を廃棄し、その穴を各3分間かけて3回洗浄する。
【0155】
2)バックフィル.上記穴に3%BSAを含む200μLPBST緩衝液を加える。当該プレートを1時間(37℃)または一晩(4℃)でインキュベートする。その穴の中の溶液を廃棄し、当該穴を洗浄緩衝液を用いて3回、各回3分間洗浄する。
【0156】
3)サンプル充填.穴にブランク、標準溶液およびサンプル溶液を割り当てる。希釈緩衝液100μL、標準溶液およびサンプル溶液をブランクの穴、標準穴およびサンプル穴のそれぞれに添加する。気泡をできないようにする。上記溶液を当該穴のボトムで充填し、溶液が穴の壁と接しないようにする。プレートを緩やかに振り、蓋またはプラスチック箔によって穴を閉じる。プレートを120分間(37℃)インキュベートする。標準溶液を新たに調製し、結果物の精度を確かめる。
【0157】
4)穴の残留溶液を廃棄し、プレートを乾燥する。プレートを洗浄しない。ビオチン化ウサギ抗シスタチンSポリクローナル抗体溶液(1%BSAを含むPBSTで200倍に希釈する)を加える。蓋またはプラスチック箔によって穴を閉じる。60分間(37℃)、プレートをインキュベートする。
【0158】
5)60分間、プレートをインキュベートし、穴の中の残留液体を廃棄する。当該プレートを乾燥した後に、プレートを3回、各回1〜2分間、300μL洗浄緩衝液に浸して洗浄する。プレートを乾燥し、プレートをシェイクして、穴の中の残留液体を除去する。
【0159】
6)100μLのABC溶液を穴に加える。箔によって穴を閉じ、60分間(37℃)、プレートをインキュベートする。
【0160】
7)60分間、プレートをインキュベートし、穴の中の液体を廃棄し、プレートを乾燥する。プレートを5回、各回1〜2分間、300μL洗浄緩衝液を浸して洗浄する。プレートを乾燥し、プレートを振盪して、穴の中の残留液体を除去する。
【0161】
8)続けて、穴の中に50μL酵素基質溶液を加え、プレートを箔で閉じ、プレートを15分未満、暗闇(37℃)でインキュベートする。標準穴の中の溶液が濃度に対応して青色であり、ブランクの穴において無色であるときに反応を止める。
【0162】
9)反応を50μL停止溶液を加えて止める。溶液は青から黄に変化する。停止溶液の添加の順番は、酵素基質の添加の順番と同一である。停止溶液を、反応が、終了しかけているときに、すぐに添加し、試験の精度を確認する。
【0163】
10)酵素反応の停止後すぐに生じる穴の中の溶液のOD値の測定(405nm)
【0164】
計算:OD値に対して個々の溶液の濃度をプロットする。校正方程式を、データ調整を通して得、R
2を計算し、それは効果的試験用の0.95より高いはずである。検体を、サンプルおよび校正方程式のOD値を用いて計算する。
【0165】
7.結腸直腸癌pTNMステージ判定用のシスタチンS発現
実験の詳細は、セクション6と同一である。結腸直腸癌患者(20個のTステージの例、30個のNステージの例および30個のMステージの例)サンプルを細胞的に80人診断する。癌の成長を表4にまとめるように、シスタチンS発現は増加し、シスタチンSタンパク質発現はpTNMステージ判定のために用いられうることを示す。
【0167】
8.
結腸直腸癌転移診断用のシスタチンS発現
実験の詳細は、セクション6と同一である。結腸直腸癌患者50人のサンプルを細胞的に診断し、そのうち30人の患者は癌転移している。表5にまとめるように、シスタチンS発現は、癌転移をしていない患者より転移する患者において高く、シスタチンS発現が結腸直腸癌転移診断用のマーカーであることを示している。
【0169】
9.結腸直腸癌の治療のために化学療法と組み合わせられる内分泌セラピーの評価用シスタチンS発現
実験の詳細は、セクション6と同一である。1000人の
結腸直腸癌(N0−1ステージ)を研究した。患者を5−FU/LV(レバミゾール)レジメで4回治療した。全患者は24月続けた。シスタチンS発現を上記セラピーの最終サイクルの後測定した。当該研究において364人の場合に有効であり、シスタチンS発現の中央値は2.56ng/mLだった。
図18に示されているように、中央値より高いシスタチンS発現を有する患者の疾患を有しない生存率(DFS)は30%であり、中央値より低いシスタチンS発現を有する患者の疾患を有しない生存率(50%)より低かった。
【0170】
全実施例は本発明のいくつかの特徴部をよりよくかつより明らかに説明することに留意されたい。それは、一つの特徴部と組み合わせられうる。全特徴部またはそれに隣接する特徴部を必要に応じて組み合わせ得る。
【0171】
本発明における方法は実施例により例示され提供された。多くの置換、改良および変更がこの分野での専門家に進められている。これらの置換、改良および変更の任意の効果は請求項およびそれらの妥当な拡張の部分である。本特許において参照されている任意の出版物、特許および特許出願は、実施工程および本発明に包含されていないプロトコルの詳細を説明するために用いられるべきである。本発明に述べられている任意の参照は本発明の技術の代替として認知されていない。