(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、地中にタンクを設置する場合、例えば特許文献1,2に示すように、横置きとすることが主流であった。
【0003】
一般に、地中にタンクを設置する場合、当該タンクを例えば鋼材などの金属で形成していると、経年変化などにより腐蝕や孔蝕が生じて液漏れにつながることが知られている。
【0004】
このようなタンクからの液漏れを防止するために、上記特許文献1の場合、鋼製のタンクの内部にFRP(繊維強化複合材)を貼着するようにしており、また、上記特許文献2の場合、鋼製のタンクの内部にFRP(繊維強化複合材)を塗布するようにしている。
【0005】
ところで、横型地下タンクの場合、その平面的な占有面積が大きくなるため、狭小敷地の地中に設置するには適していないと言える。これに対し、狭小敷地の地中にタンクを設置する場合には、当該タンクを縦置きにすることが好ましい。
【0006】
このような竪型地下タンクとして、例えば特許文献3がある。この特許文献3には、円形ケーシングで掘削した立坑を利用して直立円筒形の水タンクを地下に設置するということが記載されている。なお、この特許文献3には、前記液漏れに関する記載ならびに当該液漏れ対策に関する記載はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献3では、タンクを設置するための構造が煩雑でかつ手間がかかることが懸念される。
【0009】
この他にも、地中にタンクを縦置きで設置する例としては、
図9に示すように、一重殻構造のタンク100の下部に円筒形の支持脚102を接合しておいて、この支持脚102を地中の凹状空間からなる格納部101の内底部(コンクリート構造物で形成されている)上に設置することが知られている。なお、支持脚102は、前記格納部101の内底部に埋め込み設置したアンカーボルト103に固定される。支持脚102とタンク100の内底部とには、補強部材104が取り付けられている。
【0010】
このようなタンク100の支持構造では、タンク100を設置するときの作業が煩雑で手間がかかることが指摘される。つまり、予めタンク100の下部に支持脚102を接合しておく一方で、タンク100を格納部101に運び入れる前に、アンカーボルト103を格納部101の内底部に設置しておく。そして、タンク100を格納部101内に運び入れながら、タンク100の下部に予め接合した支持脚102をアンカーボルト103に取り付ける。
【0011】
そのとき、現場ではアンカーボルト103の位置とタンク100の支持脚102のボルト挿通孔(不図示)の位置とがずれることが往々にして発生する。特に、タンク100が大貯蔵量のものになる場合には、外径が大きくなることに伴い前記位置ずれが大きくなってしまい、その位置ずれを補正するための調整作業がきわめて面倒になることが指摘される。このようなことから、タンク100の設置作業が煩雑で手間がかかるのであり、ここに改良の余地がある。
【0012】
このような事情に鑑み、本発明は、地中に筒形のタンクを縦置きで比較的簡易に設置可能とする構造の提供を目的としている。
【0013】
ところで、前記一重殻構造のタンク100に貯蔵する液体を燃料などの危険物とする場合には、消防法に基づき設立された危険物保安技術協会により、液漏れ検知設備を装備しなければならないと規定されている。
【0014】
ちなみに、一重殻構造のタンク用の液漏れ検知設備としては、東京消防庁により監修されて東京法令出版株式会社から発行された「図解、危険物施設基準の早わかり2」に、当該タンクの周囲の4箇所以上に漏えい検知管を設けることにより液漏れを検知するというもの、あるいは前記タンク内の液体貯蔵量の変化を常時監視することにより液漏れを検知するというものなどが記載されている。
【0015】
ところで、前記一重殻構造のタンクに対し、従来、液漏れが発生しても地中への液漏れを防止できるという点で優れたSF二重殻タンクが知られている。このSF二重殻タンクとは、金属内殻の外周をFRP(繊維強化プラスチック)外殻で覆った二重殻構造になったもののことを言う。
【0016】
このようなSF二重殻タンクを用いる場合には、前記書籍に記載されているSF二重殻タンク用の液漏れ検知設備を装備することが要請されている。
【0017】
この液漏れ検知設備は、前記SF二重殻タンクの金属内殻内に液漏れ検知管を配置し、当該金属内殻の下部とFRP外殻との間の間隙に漏れ出た液体が前記液漏れ検知管に流入することによって前記液漏れ検知管内の液面高さが所定値以上になると液体漏れの警報を行うというものである。
【0018】
このようなことから、本願発明者らは、地中に縦置きで設置するタンクとしては前記SF二重殻タンクが好ましいと考えているが、現状において実現したものはない。
【0019】
その理由を説明する。仮に、前記SF二重殻タンクの縦置き設置に際し、例えば
図9に示した一重殻構造のタンク100の縦置き設置構造を適用することを想定すると、図示していないが、前記SF二重殻タンクの下部に前記支持脚を接合する必要がある。
【0020】
その場合、前記SF二重殻タンクの金属内殻に前記支持脚を接合することになるが、そのようにすると、当該SF二重殻タンクにおける金属内殻とFRP外殻との対向間の隙間が前記支持脚の接合部分によって前記タンクの周部に形成される隙間と前記タンクの下部に形成される隙間とを縁切りして不連続にせざるを得ない。
【0021】
そのため、前記液漏れ対策を施したSF二重殻タンクに、上記したSF二重殻タンク用の液漏れ検知設備を採用することができなくなる。このようなことから、本願発明者らは、地中への液漏れを防止することが可能なSF二重殻タンクを地中に縦置きで設置したうえで、上記したSF二重殻タンク用の液漏れ検知設備を採用できるようにすることも鋭意研究している。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明に係るタンクの地下設置構造は、
円筒形
でかつ下部が丸みを帯びた形状のタンクと、地中に設けられかつ内部に前記タンクが縦置きで収納配置される格納部と、この格納部の内底部上に設置されかつ前記タンクが搭載される支持台と、この支持台の上面と前記タンクの下部との間に介在される緩衝部材と、前記タンクの横方向の動きを規制するように前記タンクの肩部と前記格納部の内側壁部との間に架設される振れ止め部材と、を備え、前記支持台の上面は、前記タンクの下部が嵌まるような凹状に形成されて
おり、前記緩衝部材は、複数の扇形のシートを互いに所定隙間を介して円形となるように配置されるものであり、当該隙間によって、前記支持台の凹状の上面と前記タンクの下部との間に前記タンクの周部から最深位置に至る間隙が確保されている、ことを特徴としている。
【0023】
この構成では、地中に設置される前記格納部の内底部上に設置した前記支持台の凹状の上面に、前記タンクの下部を嵌めるようにして縦置きに載せたうえで、前記振れ止め部材によって前記タンクの上部の横方向の動きを規制するようにしているから、地中に前記タンクを縦置きに安定した状態で設置することが可能になる。
【0024】
しかも、前記支持台は、前記タンクが搭載されるものであるから、それを前記格納部の内底部上に設置する作業は、前記タンクを前記格納部内に運び入れる前に行える。また、前記振れ止め部材は、前記タンクの上部に設置されているので、その設置作業は前記タンクを前記格納部内に運び入れた後で行える。これらのことから、前記タンクの設置作業は、
図9に示す場合のように格納部101内にタンク100を運び入れながら、タンク100の下部に予め接合した円筒形の支持脚102をアンカーボルト103に取り付けるような場合に比べると、本発明におけるタンクの設置作業のほうが遥かに簡易になる。
【0025】
ところで、前記タンクの地下設置構造では、前記格納部の内底部および前記支持台が、共にコンクリート構造物とされ、前記支持台が前記内底部に同体化される、ことが好ましい。なお、前記コンクリート構造物からなる支持台は、タンクを格納部内に運び入れる前に、前記コンクリート構造物からなる内底部の施工と連続して積層するように施工されることによって、当該支持台が前記内底部に同体化されることになる。
【0026】
この場合、前記支持台を前記格納部の内底部上に設置するにあたって、
図9に示すようなアンカーボルトを用いていないことが明らかになる。
【0027】
また、前記タンクの地下設置構造では、前記格納部と前記タンクとの間の空間に、多量の粒状部材を充填することが好ましい。
【0028】
この場合、万一の液体漏れに起因した火災が発生したときに前記多量の粒状部材が消炎剤として役立つことになる。
【0029】
また、前記タンクの地下設置構造では、前記タンクからの液体漏れを検知するための液漏れ検知装置をさらに備え、前記タンクは、前記液体が貯留される金属製の内殻と、この内殻の外側に当該内殻の少なくとも肩部から下部までの領域に非接着となるように被覆される合成樹脂製の外殻とを含む二重殻構造とされ、前記液漏れ検知装置は、前記タンク内に鉛直方向に沿って挿入されるとともに上側が前記タンクの上部から外側に突出されかつ下側開口が前記内殻の最深位置と前記外殻との対向間に露呈するように配置される液漏れ検知管と、この液漏れ検知管内に設けられて当該液漏れ検知管内に流入する液体の液面高さに基づいて前記内殻から液体が漏れているか否かを判定する検知部と、を備える、構成とすることが好ましい。
【0030】
この構成では、2重殻構造のタンクを用いることを前提にしている。そして、仮に、経年変化などによって前記2重殻構造のタンクの内殻から液体が漏れる状態になった場合に、当該液体が前記内殻と前記外殻との間において非接着とされている領域を通って前記内殻の最深位置に配置されている前記液漏れ検知管の下側開口に流入しやすくなる。
【0032】
さらに、上記構成のように、緩衝部材として扇形の複数のシートを互いに所定隙間を介して円形となるように配置することによって前記間隙を確保
している場合には、前記タンクの最深位置での前記内殻に対する前記外殻の接触圧力が他の部位に比べて弱くなる。これにより、仮に
前記タンクを2重殻構造とする場合において、万一、経年変化などによって前記2重殻構造のタンクの内殻から液体が
当該内殻と外殻との間に漏れる状態になった
ときに、当該液体が前記内殻と前記外殻との間において非接着とされている領域を通って前記内殻の最深位置に配置されている前記液漏れ検知管の下側開口に到達しやすくなる。
【0033】
このようなことから、前記2重殻構造のタンク用の液漏れ検知装置による検知動作が確実に担保されるようになる。その結果、地中への液漏れ防止対策を施した前記2重殻構造のタンクを狭小敷地の地中に設置することが可能になる。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係るタンクの地下設置構造は、地中に筒形のタンクを縦置きで比較的簡易に設置することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
図1から
図6に、本発明の一実施形態を示している。図において、1はタンク、2は格納部、3は支持台、4は緩衝部材、5は振れ止め部材、6は多量の粒状部材、7は液漏れ検知装置を示している。
【0038】
タンク1は、例えば各種の燃料、水などの液体が貯留される内殻1aと、この内殻1aの外側に被覆される外殻1bとを含む二重殻構造とされている。
【0039】
このタンク1は、軸方向寸法が径方向寸法よりも大きい円筒形に形成されているとともに、その上部および下部が丸みを帯びた形状に形成されている。
【0040】
このタンク1の上部には、液体を導入するための供給口1c、内部の液体を外側へ取り出すための取り出し口1d、空気口1e、タンク1内に設置される液体貯蔵量の検知センサ(不図示)の配線をタンク1の内外に通すための貯蔵量検知口1f、点検口1gなどが設けられている。
【0041】
内殻1aは、例えば鋼材などの金属で形成されている。外殻1bは、例えばFRP(繊維強化プラスチック)などの合成樹脂で形成されている。この説明から明らかなように、この実施形態で例示するタンク1は、SF二重殻タンクとされている。
【0042】
図4および
図5に示すように、外殻1bは、内殻1aの上部から肩部までの領域に対して接着されているが、内殻1aの肩部から下部までの領域に対しては非接着とされている。なお、
図5では前記非接着領域を誇張して記載している。
【0043】
また、タンク1内に貯留される液体の最高液面は、
図5に示すように、内殻1aの肩部(内殻1aの上部において曲率半径の最も小さい領域、または下記振れ止め部材5の第2ブラケット52の固定部分の下端位置からタンク1の円筒形の周部の上端位置までの領域)の任意位置に設定される。
【0044】
格納部2は、地中に掘られた凹状空間とされていて、その鉛直方向に沿う断面および水平方向に沿う断面は共に矩形に形成されている。
【0045】
この凹状空間からなる格納部2の内底部および内側壁部はコンクリート構造物などの固形材料とされており、さらに前記凹状空間からなる格納部2の上側開口もコンクリート構造物などの固形材料により閉塞されている。
【0046】
格納部2の上側開口のコンクリート構造物などの固形材料は、格納部2の天井部となるものである。この天井部には、3つの孔(符号省略)が設けられていて、これら3つの孔には、それぞれ円筒形の管2a,2b,2cが嵌入設置されている。
【0047】
第1の管2aはタンク1の供給口1cおよび空気口1eを囲むように配置されており、第2の管2bは取り出し口1d、貯蔵量検知口1fならびに液漏れ検知管7aを囲むように配置されており、第3の管2aは点検口1gを囲むように配置されている。第1、第2の管2a,2bは、適宜の作業スペースを確保するために設けられており、第3の管2cは、点検口1gに作業者が出入りするときの通路スペースを確保するために設けられている。そして、第1〜第3の管2a〜2cの上側開口には、それぞれ蓋2d,2e,2fが開閉可能に取り付けられている。
【0048】
そして、格納部2の内部には、タンク1が縦置きで収納配置されるようになっていて、格納部2とタンク1との間の空間には、多量の粒状部材6(例えば乾燥砂など)が充填されている。前記縦置きとは、円筒形のタンク1の中心軸線が鉛直方向に沿う姿勢のことである。
【0049】
支持台3は、格納部2に収納配置されたタンク1を搭載する形態で支持するものであって、格納部2の内底部上に設置されている。
【0050】
この支持台3は、コンクリート構造物などの固形材料によって平面視で円形に形成されており、その上面はお椀形状またはすり鉢形状のような凹状に形成されている。
【0051】
なお、支持台3の直径寸法は、タンク1の外径寸法よりも大きく設定されている。支持台3において凹状の上面の曲率は、タンク1の下部の曲率と実質的に同一に設定されていて、支持台3の凹状の上面にタンク1の下部がジャストフィット状態で嵌まるようになっている。ここで、前記実質的に同一とは、同一の場合だけでなく、製造
公差などの誤差を含むことを意味している。
【0052】
そして、このコンクリート構造物などの固形材料からなる支持台3は、格納部2の前記コンクリート構造物などの固形材料からなる内底部の施工と連続して積層するように施工されることによって、当該支持台3が格納部2の内底部に同体化されることになる。
【0053】
緩衝部材4は、支持台3の上面とタンク1の下部との間に介在されるものであって、タンク1の荷重を受けるとともに、例えば地震などにより振動が発生したときに当該振動を減衰、吸収してタンク1に伝達しにくくする。
【0054】
この緩衝部材4は、
図3に示すように、4つ用いられていて、それぞれが扇形に形成されている。この扇形の緩衝部材4は、例えばゴムシートなどで円形に形成されたものを4分割したような形状になっている。
【0055】
この緩衝部材4上ではタンク1の下部が圧接することになるが、支持台3の上面に4つの扇形の緩衝部材4を互いに所定隙間を介して円形となるように配置することによって支持台3の凹状の上面とタンク1の下部との間にタンク1の周部から最深位置に至る間隙(8a,8b)を確保するようになっている。
【0056】
この間隙(8a,8b)としては、
図3に示すように、上から見て十字形状に形成されており、2つの交差する直線状間隙8aと、当該2つの直線状間隙8aが交差する領域に設けられる円形状間隙8bとを有している。なお、円形状間隙8bの直径寸法は、下記する液漏れ検知管7aの下側開口の外径寸法よりも大きく設定されている。
【0057】
この間隙8a,8bを設けた理由は、タンク1の内殻1aと外殻1bとを非接着としている領域におけるタンク1の最深位置に下記液漏れ検知管7aの下側開口を配置させることを考慮し、タンク1の最深位置での前記内殻1aに対する外殻1bの一部(前記間隙8a,8b)における接触圧力を弱めることにより、液漏れ検知管7aの下側開口へ漏れ液体を到達させやすくするためである。
【0058】
さらに、仮に、緩衝部材4を1枚物の円形ゴムシートとする場合では、タンク1を載せたときに皺が発生するおそれがあるが、前記しているように複数(4つ)の扇形の緩衝部材4を用いる場合には、前記のような皺の発生を抑制または防止できるようになる点で有利となる。
【0059】
振れ止め部材5は、タンク1の横方向の動き(横揺れ)を規制するものであって、
図1および
図2に示すように、タンク1の肩部の円周方向における例えば4ヶ所と格納部2の4つの内側壁部との間にそれぞれ架設されている。
【0060】
この振れ止め部材5は、第1ブラケット51、第2ブラケット52、連結板53、締結部材(ボルト54およびナット55)などを含んでいる。
【0061】
第1ブラケット51は格納部2の内側壁部に固定されるものであり、第2ブラケット52はタンク1の内殻1aの肩部に固定されるものであり、連結板53は第1ブラケット51と第2ブラケット52とを連結するものである。第1ブラケット51、第2ブラケット52ならびに連結板53は、適宜の金属材料で形成されている。
【0062】
そして、
図6に示すように、第1ブラケット51に第2ブラケット52を一直線上に所定間隔をあけて向き合わせておき、それら両方に跨るように連結板53をあてがい、第1ブラケット51に設けられるボルト挿通孔51aと連結板53に設けられる第1ブラケット用ボルト挿通孔53aとにボルト54を挿入するとともに、第2ブラケット52に設けられるボルト挿通孔52aと連結板53に設けられる第2ブラケット用ボルト挿通孔53bとにボルト54を挿入し、各ボルト54にナット55をそれぞれ螺合装着する。これにより、第1ブラケット51と第2ブラケット52とが連結される。
【0063】
液漏れ検知装置7は、タンク1の内殻1aからの液体の漏れを検知するものであって、液漏れ検知管7a、検知部7bなどを含む構成とされている。
【0064】
液漏れ検知管7aは、タンク1内に鉛直方向に沿って挿入されるとともに上側がタンク1の上部から外側に突出されかつ下側開口が内殻1aの最深位置と外殻1bとの対向間(前記円形状間隙8b)に露呈するように配置されている。この液漏れ検知管7aの下側開口には、
図4に示すように、多数の貫通孔を有する蓋体7cが設けられている。
【0065】
検知部7bは、液漏れ検知管7a内に流入する液体の液面高さに基づいて内殻1aから液体が漏れているか否かを判定するものであって、前記液面高さが予め規定される閾値未満のときにはタンク1の修復または交換が必要となる液体漏れが発生していないと判定する一方、前記閾値以上になったときにはタンク1の修復または交換が必要となる液体漏れが発生していると判定して警報を行う。なお、前記閾値は、任意に設定される。
【0066】
次に、タンク1の設置手順を説明する。
【0067】
まず、格納部2内にタンク1を運び入れる前に、格納部2の内底部上に支持台3を形成する。このとき、格納部2のコンクリート構造物などの固形材料からなる内底部上に、同じコンクリート構造物などの固形材料からなる支持台3を積層するように形成する。
【0068】
この後、支持台3上に緩衝部材4を敷設してから、その上にタンク1を載せる。そして、振れ止め部材5によりタンク1を格納部2の内側壁部に支持させる。
【0069】
このとき、振れ止め部材5の第2ブラケット52を予めタンク1の内殻1aの肩部に固定しておく。一方、振れ止め部材5の第1ブラケット51を、第2ブラケット52の位置に合わせて、図示していないが、格納部2の内側壁部に予め埋設してあるアンカーボルトにナットを螺合装着することにより固定する。これにより、
図6に示すように、第1ブラケット51に対して第2ブラケット52を一直線上に向き合わせることができるようになるので、上記しているような手順により第1ブラケット51と第2ブラケット52とを連結板53およびボルト54およびナット55などの連結部材で簡単に連結できるようになる。
【0070】
なお、第1ブラケット51のボルト挿通孔51aおよび第2ブラケット52のボルト挿通孔52aと、連結板53の第1ブラケット用ボルト挿通孔53aおよび第2ブラケット用ボルト挿通孔53bとのいずれか一方を、ボルト54のねじ軸の直径寸法よりも長い長孔としておけば、仮に、第1ブラケット51のボルト挿通孔51aと連結板53の第1ブラケット用ボルト挿通孔53aとが位置ずれしたり、第2ブラケット52のボルト挿通孔52aと連結板53の第2ブラケット用ボルト挿通孔53bとが位置ずれしたりすることがあっても、連結板53を動かすなどの調整を行うだけで、前記ボルト54の挿入が簡単に行えるようになる。
【0071】
以上説明したように、この実施形態のタンク1の地下設置構造は、地中に設置される格納部2の内底部上に設置した支持台3の凹状の上面に、筒形のタンク1を縦長姿勢にしてその下部を嵌めることにより載せたうえで、振れ止め部材5によってタンク1の上部の横方向の動きを規制するようにしている。
【0072】
これにより、地中にタンク1を縦置きに安定した状態で設置することが可能になる。
【0073】
しかも、支持台3は、コンクリート構造物などの固形材料として、タンク1を格納部2内に運び入れる前に、格納部2のコンクリート構造物などの固形材料からなる内底部上に積層施工することによって固定設置しているだけである。また、振れ止め部材5は、タンク1の上部に設置されているので、当該振れ止め部材5を設置するときの作業はタンク1を格納部2内に運び入れた後で行えるようになる。
【0074】
これらのことから、
図9に示す場合のように格納部101内にタンク100を運び入れながら、タンク100の下部に予め接合した円筒形の支持脚102をアンカーボルト103に取り付けるような場合に比べると、この実施形態におけるタンク1の設置作業のほうが遥かに簡易になる。
【0075】
したがって、比較的簡素な構成でかつ比較的簡易な作業でもって格納部2内にタンク1を縦置きで安定した状態で設置することが可能になる。
【0076】
特に、この実施形態では、タンク1として地中への液漏れ防止に優れたSF2重殻タンクを採用したうえで、このSF2重殻タンクの内殻1aからの液漏れを検知するための液漏れ検知装置7による検知動作が確実に担保されるようになっている。
【0077】
つまり、仮に、経年変化などによってタンク1の内殻1aから液体が漏れる状態になった場合には、当該液体が内殻1aと外殻1bとの非接着領域(タンク1の周部や下部)を通って内殻1aの最深位置に配置されている液漏れ検知管7aの下側開口に流入するようになる。
【0078】
なお、内殻1aの周部と外殻1bとの非接着領域は、格納部2に対する多量の粒状部材6の充填に伴い内殻1aの周部に対して外殻1bが押圧されるものの、前記したように仮に内殻1aの周部から液体が漏れ出た場合には、当該液体が毛細管現象によって前記押圧される非接着領域を流動することになって液漏れ検知管7a内にまで到達するようになる。
【0079】
また、内殻1aの下部と外殻1bとの非接着領域は、4つの緩衝部材4の存在によって内殻1aの下部に対して外殻1bが押圧されるものの、前記したように仮に内殻1aの下部から液体が漏れ出た場合には、当該液体が毛細管現象によって前記押圧される非接着領域を流動することになって液漏れ検知管7a内にまで到達するようになる。
【0080】
このようなことから、SF2重殻タンク用の液漏れ検知装置7による検知動作を確実に担保しながら、地中に縦置きのタンク1を安定した状態で設置することが可能になる。その結果、SF2重殻タンクからなるタンク1を狭小敷地の地中に設置することが可能になる。
【0081】
ところで、上記内殻1aの液漏れ検知は、常時において行われているものの、それ以外の方法で内殻1aおよび外殻1bの漏れ検査を定期的(例えば3年に一度)に行うことができる。この漏れ検査は、例えば液漏れ検知管7aから内殻1aと外殻1bとの間に所定の圧力を印加し、その圧力の変化を監視する形態である。そして、前記圧力が所定の閾値以下に低下したときに、内殻1aまたは外殻1bの修復または交換が必要となる漏れが発生していると判定する。
【0082】
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
【0083】
(1)上記実施形態では、支持台3をコンクリート構造物などの固形材料によって形成した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
【0084】
例えば
図7および
図8に示すように、支持台3を例えば金属、強化繊維を複合した合成樹脂あるいはカーボン繊維などの板材を用いて形成することが可能である。
【0085】
具体的に、支持台3は、湾曲板3aと、筒状枠3bと、複数の補強板3cとを含んだ構成とされている。
【0086】
湾曲板3aは、お椀形状またはすり鉢形状のように凹状に湾曲されたものであって、筒状枠3bの上側開口に例えば溶接、接着剤または締結部材(ボルト、ナットなど)を用いて固定されている。
【0087】
複数の補強板3cは、湾曲板3aの底面から筒状枠3bの内周面に跨って例えば溶接、接着剤または締結部材(ボルト、ナットなど)を用いて固定されている。
【0088】
そして、このような支持台3を格納部2の内底部上に設置するにあたっては、筒状枠3bの下部を前記コンクリート構造物などの固形材料内に埋め込むことにより固定して同体化するようになっている。
【0089】
この場合も、上記
図1から
図5に示す実施形態と同様に、タンク1と支持台3との間に緩衝部材4が配置されるようになっている。
【0090】
この実施形態の場合も、上記
図1から
図5に示す実施形態と遜色のない作用、効果が得られる。
【0091】
(2)上記実施形態では、タンク1としてSF2重殻タンクを採用した例を挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
【0092】
例えば図示していないが、上記実施形態に示すタンク1を1重殻構造のタンクとすることが可能である。この場合には、タンク1からの液漏れを検知するための設備については、東京消防庁により監修されて東京法令出版株式会社から発行された「図解、危険物施設基準の早わかり2」に記載されている1重殻構造のタンク用の液漏れ検知設備を装備することが好ましい。
【解決手段】地中に設置される格納部2の内底部上に設置した支持台3の凹状の上面に、筒形のタンク1の下部を嵌めるようにして縦置きに載せたうえで、振れ止め部材5でタンク1の横揺れを規制するようにしている。支持台3は、タンク1が搭載されるものであるから、それを格納部2の内底部上に設置する作業は、タンク1を格納部2内に運び入れる前に行える。また、振れ止め部材5は、タンク1の上部に設置されているので、その設置作業はタンク1を格納部2内に運び入れた後で行える。これらのことから、タンク1の設置作業が