(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板の周縁部の四方のうち、三方を支持することで該基板を立てた状態で収容し、該基板の残りの一方から当該基板を出し入れする収容部を、収容される該基板の板面と交差する交差方向に所定ピッチで複数設けた基板収容体への基板の収容を補助する基板収容体への基板収容補助装置であって、
螺旋状の溝部が外周面に形成され、正逆回転駆動されることにより上記基板収容体の一方の側から交差方向に沿って前進後進可能に設けられたシャフトを備え、
上記シャフトは、上記基板が上記収容部に順次収容されるときに回転しつつ前進して、該基板を上記溝部で保持することを特徴とする基板収容体への基板収容補助装置。
上記基板収容体は、上記基板の残りの一方の周縁部を着脱自在に保持する保持部材を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の基板収容体への基板収容補助装置。
上記シャフトは、上記基板の板面に沿う方向に互いに間隔を隔てて複数設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載の基板収容体への基板収容補助装置。
【背景技術】
【0002】
従来、薄板やガラス板等の基板を運搬する際には、カセットやマガジン、コンテナ等が用いられている。この種の技術として、特許文献1〜7が公知である。特許文献1の「基板収納カセット」は、複数種類の基板を収容することができる基板収納カセットを提供することを課題とし、カセットの左右一対の側板に等間隔に複数の孔部を設け、ガイド部材の凸部を挿入可能に設け、収納したい基板のサイズに応じてガイド部材の位置を変更できるようにしている。
【0003】
特許文献2の「基板用カセット」は、ほぼ直方体形状を有し、一定の間隔を有して垂直に相対面して配された一対の側板と、これら側板を両端部にて連結する一対の連結板から構成されている。側板は、断面略L字状を有し、立設面と、立設面の下端部に延出形成された延出面とから構成されている。側板の内側には、基板を垂直状に支持する断面コ字状の複数の溝部が形成されており、これら溝部は、立設面に形成され、溝幅の広い縦溝と、延出面に形成され、溝幅の狭い横溝からなっている。
【0004】
特許文献3の「プリント基板の搬送用マガジンの構造」は、上面を開放したボックス体と、この上面に対する開閉自在な蓋体とから成り、前記ボックス体内に、複数枚のプリント基板を、その左右両端縁がボックス体の左右両内側面に設けた縦溝に嵌まるように収納する搬送用マガジンにおいて、その搬送中に前記各プリント基板が縦溝から外れることを防止することを課題とし、前記ボックス体内の底面、及び、前記蓋体の下面に、スポンジ体を装着して、この両スポンジ体に、前記各プリント基板の上下両端縁が食い込むようにしている。
【0005】
特許文献4の「温度感性の品目を輸送するための貨物専用コンテナ」は、貨物専用コンテナが、側壁、後壁、底壁、上壁及び一対の蝶番扉突きの前開口部を有するアルミニウムの外側ハウジングを備える。このハウジングは、成形された箱形の合成外殻を収容する。この外殻は、成形された箱形で貨物格納室を定める合成内殻を収容する。内殻、外殻及び扉の対応する壁が、断熱カセットを閉じ込める。各カセットは、発泡シートによって分離され、浸漬された塑性シートによって被覆された層を形成する真空断熱パネルを有し、これらの全ての真空断熱パネルは、塑性膜で被覆されている。空気が、冷却蒸発器及び電気加熱要素を通じて貨物格納室内で循環される。ハウジングの後部分が、冷却圧縮器、蓄電池及び制御システムを包囲する。この制御システムは、貨物格納室内の温度を検知し、バッテリ又は外部電源から圧縮器及び加熱要素を操作して、貨物格納室内のプリセットされたほぼ一定の温度に維持するようになっている。
【0006】
特許文献5の「基板移載方法および装置」は、基板の品質を損なうことなくカセット間で基板の移替えを自動的に行うことができる基板移載方法と基板移載装置を提供することを課題とし、基板が縦方向となる第1のカセットの載置ステージと基板が縦方向となる第2のカセットの載置ステージと基板側面の挟持手段と基板搬送手段を具備している。
【0007】
特許文献6の「縦収納型カセット及びそれを備えた基板収納システム」は、複数の基板を高密度に収納することが可能で、かつ、垂直搬送方式の基板搬送装置との間での基板の出し入れも容易に行うことが可能な縦収納型カセットを提供することを課題とし、基板収納システムは、基板を起立状態で収納する縦収納型カセットを備えている。縦収納型カセットの正面側壁、背面側壁及び底面壁には各基板支持基板が配設され、基板の正面側背面部、背面側周縁部及び下側周縁部が支持されている。縦収納型カセットから基板を搬出する場合には、正面側壁は開放状態をとり、底面壁に配設された各底面側基板支持機構の各コロとともに、正面側壁に配設された各正面側基板支持機構の各コロにより、基板の下側周縁部がガイドされ、縦収納型カセットの一対の側面側壁の平面方向に沿うように正面側へ向けて起立状態で基板が搬送されるようになっている。
【0008】
特許文献7の「容器溝へのガラス板の挿入方法および装置」は、矩形状でフラットなガラス板をエッジ部だけの支持でガラス板面を非接触として箱状容器内の左右両溝内に1枚づつ離隔して縦姿勢で挿入する方法及び装置を提供することを課題とし、前工程の移載装置により受け渡された矩形状のガラス板の左右両縦辺エッジ部の左右両辺を挟持手段によりガラス板を昇降自在に挟持し、該ガラス板の下端辺を進退自在な爪状支持部材によってガラス板面と非接触で支持した状態で、ガラス昇降手段によってガラス板のみを昇降自在とし、左右の溝部の位置ずれを検出してガラス板の位置のずれを補正し、左右側端辺と下端辺の各エッジ部だけの支持でガラス板を箱状容器の左右両溝内に1枚づつ離隔して挿入し、溝状部内にガラス板を1枚挿入する毎に、箱状容器を次の溝部位置まで1ピッチ分移動させるようにしている。
【0009】
特許文献1及び2には、基板の周縁部の四方のうち、三方を支持することで、基板を立てた状態で収容するカセットが示されている。特許文献3及び4には、運搬時における基板への振動や基板の位置ずれを防止するために、残りの一方も含めて、基板の四方を支持するカセットが示されている。特許文献5〜7には、カセット等に基板を自動で収容する場合に、基板の取り回し及び作業性の良さから、基板の上端部を掴み、上方が開放されているカセットへ上方から挿入して基板を収容する装置が示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
大型の薄板状の基板を、カセット等に、上方を除く三方だけを支持して起立した状態で収容する場合、基板に、それ自体の自重によって撓みや波打ちが生じ、これにより基板が支持部から離脱して倒れてしまうおそれがある。また、基板がガラス製であった場合には、支持部から外れた衝撃によって、基板が破損してしまうおそれがあるという課題がある。
【0012】
他方、上方を除く三方が支持されてカセット等に収容された複数の基板を、より安定した状態で収容するために、残りの一方を保持するためのアタッチメントを取り付ける場合がある。この場合に、基板が撓んで波打っていると、互いの間隔が不規則となって、当該アタッチメントを取り付けることができないおそれがあるという課題がある。
【0013】
これらの課題は、PDP用やタッチパネル用のガラス基板が近年さらに大型化・薄型化するにつれて、大きな問題となってきている。
【0014】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、複数の基板を立てた状態で基板収容体に収容する際、板面と交差する方向に互いに所定の間隔を隔てて支持することが可能な基板収容体への基板収容補助装置及び基板収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明にかかる基板収容体への基板収容補助装置は、基板の周縁部の四方のうち、三方を支持することで該基板を立てた状態で収容し、該基板の残りの一方から当該基板を出し入れする収容部を、収容される該基板の板面と交差する交差方向に所定ピッチで複数設けた基板収容体への基板の収容を補助する基板収容体への基板収容補助装置であって、螺旋状の溝部が外周面に形成され、正逆回転駆動されることにより上記基板収容体の一方の側から交差方向に沿って前進後進可能に設けられたシャフトを備え、上記シャフトは、上記基板が上記収容部に順次収容されるときに回転しつつ前進して、該基板を上記溝部で保持することを特徴とする。
【0016】
上記収容部の上記所定ピッチは、上記シャフトの
上記溝部のピッチの正の整数倍であることを特徴とする。
【0017】
上記基板収容体は、上記基板の残りの一方の周縁部を着脱自在に保持する保持部材を備えることを特徴とする。
【0018】
上記シャフトは、上記基板の板面に沿う方向に互いに間隔を隔てて複数設けられていることを特徴とする。
【0019】
本発明にかかる基板収容装置は、上記基板収容体への基板収容補助装置が上記基板収容体に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる基板収容体への基板収容補助装置及び基板収容装置にあっては、複数の基板を立てた状態で基板収容体に収容する際、板面と交差する方向に互いに所定の間隔を隔てて支持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明にかかる基板収容体への基板収容補助装置及び基板収容装置の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る基板収容体への基板収容補助装置を示す斜視図である。
【0023】
本実施形態にかかる基板収容体への基板収容補助装置1は、基板2を、基板収容体としてのカセット3に収容する際に用いられる。カセット3は例えば、薄板やガラス板等の基板2の周縁部の四方のうち、下方と左右との三方を支持することにより、基板2を起立した状態で収容する。カセット3は、収容される基板2の撓みを抑えたり、基板2を整列するのに役立つ。カセット3には、基板2を上方から出し入れする収容部3aが、収容される基板2の板面と交差する方向(以下、「交差方向」という)に所定ピッチで複数設けられる。
【0024】
基板収容補助装置1は、
図1に示すように、カセット3が搬送されるベルトコンベヤー4に隣接して、ベルトコンベヤー4の搬送方向と直交する方向(交差方向)に配置される。カセット3への基板2の収容作業は、ベルトコンベヤー4により搬送されたカセット3が基板収容補助装置1の前に停止した状態で行われる。
【0025】
カセット3は、上方が開放された箱体であり、搬送方向に対向するカセット3の側壁面には、互いに向かい合う配置で鉛直方向に沿って、基板2を板面がベルトコンベヤー4の搬送方向に沿うように案内する縦溝が形成され、カセット3の底面には、縦溝の下端同士を接続して、縦溝で案内された基板2の下方の周縁部を受容する受け溝(図示せず)が形成される。収容部3aは、これら縦溝と受け溝によって構成される。収容部3aを構成するこれら縦溝及び受け溝は、基板2の収容部3aへの挿入操作性と保持性を兼備するために、カセット3の内側から外側に向けて溝幅が漸次狭くなるように形成される。
【0026】
カセット3は、収容された複数の基板2が、搬送時等に収容部3aから外れないように、また基板2同士が接触しないように、基板2の上方の周縁部を保持する保持部材として、上部ホルダー5を備える。
【0027】
上部ホルダー5は、交差方向におけるカセット3の長さ寸法と同じ長さ寸法を有し、当該交差方向に沿ってカセット3の側壁部3c間に架け渡される部材であり、搬送方向の幅は狭く、ほぼ板状に形成される。上部ホルダー5には、側壁部3c間に架け渡されたときに当該側壁部3c上に位置する部位を除き、下面側に、カセット3内側の側壁面及び底面に設けられるものと同様の複数の受け溝5aが設けられる。上部ホルダー5は、各受け溝5aが各基板2の上方の周縁部を受容するように、基板2が収容されたカセット3に上方から装着される。
【0028】
上部ホルダー5には、側壁部3c間に架け渡されたときに、側壁部3c上に位置する部位に、ピン5bが下方へ突出させて設けられる。これらピン5bは、上部ホルダー5を側壁部3c間に架け渡したときに、側壁部3cの上面に設けられた凹部3dに挿入され、上部ホルダー5をカセット3に取付固定できるようになっている。
【0029】
基板2の収容作業は、製造工程に設置された基板搬送装置(図示せず)の搬送保持具6によって、上方の周縁部が把持されて吊り下げられた基板2をカセット3上に移動し、カセット3内の収容部3aに吊り降ろすことで行われる。基板2は、交差方向に沿って、カセット3の一方の側である基板収容補助装置1に近い側の収容部3aから、他方の側である基板収容補助装置1から遠く離れた側の収容部3aに向けて順次収容されていく。
【0030】
基板2は薄板状なので、カセット3内で収容部3aにより三方から支持しているだけでは、基板2に撓み変形が生じてしまうおそれがある。カセット3内で、複数の基板2がバラバラに撓み変形してしまうと、基板2間の間隔が上部ホルダー5の受け溝5aのピッチと合わなくなってしまうため、上部ホルダー5の装着が困難になってしまうおそれがある。本実施形態では、その対策として、基板収容補助装置1を用いて、基板2をカセット3に収容するようにしている。
【0031】
また、基板2が薄板状なので、基板2の移動中にも、撓みや震動が生じるおそれがあるため、基板2の上方の周縁部を把持する上記搬送保持具6に代えて、
図7に示すように、基板2の側面を吸着する真空チャック23を備えた搬送保持具6を使用するようにしてもよい。
【0032】
図2は、本実施形態にかかる基板収容体への基板収容補助装置を示す縦断面図である。本実施形態の基板収容補助装置1は主に、ケーシング7(
図1参照)に交差方向に沿って架け渡された本体フレーム8と、本体フレーム8の下面に固定されたリニアガイド9と、リニアガイド9が有するリニアブロック9aに設けられた台座10と、台座10に固定されたモーター11と、本体フレーム8のカセット3側の端部に固定金具12を介して固定されたボールナット13a及びこのボールナット13aに一端が螺合されたシャフトとしてのボールねじ軸13bからなるボールねじ13と、ボールねじ軸13bの他端とモーター11のモーター軸11aとを連結するカップリング14とを備える。
【0033】
本体フレーム8は、水平をなすようにケーシング7に設けられる。本体フレーム8は、下面が平坦に形成された部材で、当該下面には、リニアガイド9のリニアレール9bとボールナット13aの固定金具12とが交差方向に並べて設けられる。リニアガイド9のリニアレール9bに沿ってスライドするリニアブロック9aと、ボールナット13aに螺合されたボールねじ軸13bの前進後進方向は、一致されている。
【0034】
ボールナット13aに螺合されたボールねじ軸13bにカップリング14を介して連結されたモーター11が正逆回転駆動されると、ボールねじ軸13bが交差方向に前進・後進される。モーター11は、台座10を介してリニアブロック9aに固定されているので、モーター11もボールねじ軸13bとともに、交差方向に前進・後進される。
【0035】
図3(a)は、基板2がボールねじ軸13bに保持された状態を、軸に沿う方向から見た正面図であり、
図3(b)は、基板2がボールねじ軸13bに保持された状態を下方から見上げた図、
図3(c)は、側面図である。
【0036】
本実施形態にかかる基板収容補助装置1では、ボールねじ軸13bに設けられたねじ溝13cのピッチは、カセット3に設けられた収容部3a及び上部ホルダー5の受け溝5aのピッチの正の整数倍に設定される。これにより、ボールねじ軸13bの前進後進動作により、ボールねじ軸13bがケーシング7からカセット3の上方に回転しながら突出したときに、
図3に示すように、収容されている基板2の上方の周縁部と、ボールねじ軸13bの外周面に設けられた螺旋状の溝部としてのねじ溝13cとが合致し、基板2の上方の周縁部がねじ溝13c内に案内されて保持される。
【0037】
基板収容補助装置1は、
図1に示すように、リニアガイド9及びボールねじ13を含む基板保持機構15が搬送方向に2つ並べて、対をなして用いられる。各基板保持機構15が有する2本のボールねじ軸13bの間隔は、基板2の収容後に上方から装着される上部ホルダー5によって基板2が保持される幅よりも広く形成される。
【0038】
本実施形態にかかる基板収容補助装置1では
図1に示すように、対をなす基板保持機構15が、搬送方向に間隔を隔てて、ケーシング7からカセット3の上方に突出するように二組設けられている。基板保持機構15が有する各ボールねじ軸13bは、カセット3内に基板2が吊り降ろされた状態で、吊り降ろされた基板2上方にボールねじ軸13bを前進させたときに、基板2を吊り下げている搬送保持具6と干渉しない位置に配置される(
図4(b)参照)。
【0039】
次に、本実施形態に係る基板収容体への基板収容補助装置1を用いた基板2の収容動作について説明する。カセット3への基板2の収容動作は、各基板保持機構15で同じである。
図4〜
図5は、基板収容体への基板収容補助装置1を用いた基板2のカセット3への収容動作を説明する図である。
【0040】
カセット3に基板2を収容する場合、まずベルトコンベヤー4により、基板収容補助装置1と交差方向に並ぶ位置にカセット3が搬送され停止される。このとき、基板保持機構15のボールねじ軸13bは、ケーシング7内に収容されており、
図4(a)に示すように、カセット3上には突出していない。
【0041】
次に、カセット3の複数の収容部3aのうち、基板収容補助装置1に近い側の収容部3aから順に、基板搬送装置の搬送保持具6に吊り下げられた基板2が収容されていく。ここでは、既に7枚の基板2が収容されて、8枚目の基板2を収容する収容動作について説明する。以下の説明では、交差方向をボールねじ軸13bの前進後進方向とし、基板収容補助装置1から遠い側を前方側、基板収容補助装置1に近い側を後方側として説明する。
【0042】
7枚の基板2が収容された状態では、基板保持機構15のボールねじ軸13bに設けられたねじ溝13cのうち、最も前方側のねじ溝13cにより、7番目の基板2が保持されるとともに、6番目以前に収容された基板2はそれぞれ、ボールねじ軸13bの後方側のねじ溝13cに適宜に保持されている。
【0043】
8枚目の基板2が搬送される際、まず
図4(b)に示すように、基板搬送装置により、基板2上部の幅方向における両端の周縁部を搬送保持具6で吊り下げて、カセット3の上方に基板2を移動し、カセット3の8番目の収容部3aに吊り降ろして収容する。
【0044】
次に、基板保持機構15のモーター11を正転駆動して、ボールねじ軸13bを回転しつつ前進させ、
図4(c)に示すように、8枚目の基板2の上方の周縁部を、ボールねじ軸13bの最も前方側のねじ溝13cで保持する。基板2を当該ねじ溝13cで保持した後、
図5(d)に示すように、8枚目の基板2から搬送保持具6を外し、9枚目の基板2の搬送に移る。
【0045】
このように基板2のカセット3への収容と、ボールねじ軸13bを回転しつつ前進させることによる基板2の保持とを交互に行い、順次基板2を収容して、カセット3の各収容部3aに基板2を収容していく。
【0046】
そして、全ての基板2が収容され、ボールねじ軸13bのねじ溝13cで各基板2を保持している状態で、
図5(e)に示すように、ボールねじ軸13bの間に上部ホルダー5を挿入する。上部ホルダー5のピン5bをカセット3の凹部3dに挿入することで、上部ホルダー5がカセット3に装着されると共に、基板2の上方の周縁部を保持する。
【0047】
最後に、基板保持機構15のボールねじ軸13bを、モーター11を逆転駆動して回転しつつ後進させることにより、ボールねじ軸13bをカセット3上から退避させることができ、
図5(f)に示すように、基板2の収容作業が完了する。
【0048】
上述した基板2の収容動作を反対方向の手順で行うことにより、カセット3に収容している基板2を抽出することができる。
【0049】
本実施形態の基板収容補助装置1によれば、カセット3に、三方の周縁部が支持されて立てた状態で収容された基板2の上方に、基板2の上方の周端部を保持する螺旋状のねじ溝13cを備えたボールねじ軸13bが前進後進可能に設けられているので、収容された基板2を四方から保持して、基板2を安定した状態でカセット3に収容することができる。ボールねじ軸13bのねじ溝13cは螺旋状なので、ボールねじ軸13bをボールナット13aに螺合して、回転しつつ前進させることにより、基板2の上部の周縁部を保持しながら、基板2を連続で自動的にカセット3に整然と収容することができ、作業時間を短縮することができる。
【0050】
ボールねじ軸13bは市販のものが利用でき、カセット3で基板2を収容しているピッチに適したものを選定すればよい。
図3(b)に示すように、ねじ溝13cは、基板2に対して斜めに配置されるが、
図3(c)に示すように、側方から見ると、ねじ溝13cは、基板2の表裏に対して微小隙間Cが形成される状態を基本に設計される。この調整は、基板2とボールねじ軸13bとが重なる高さ(
図3(a)中、寸法H参照)を調節することで行われる。微小隙間Cがないと、基板2を強く挟み付けることになるので、回動によって前進・後進するボールねじ軸13bの動きに支障が生じたり、基板2がガラス製であれば、基板2を損傷してしまうおそれがある。また、微小隙間Cが大きすぎると、基板2の揺れが大きくなり、同様に損傷のおそれがある。そこで、ボールねじ軸13bが、スムーズに基板2を挟みながら、回動できるように調節を行う。また、ボールねじ軸13bの実際の回動時には、基板2は、表裏の何れかがねじ溝13cに点接触しながら動作される。そのため、ボールねじ軸13bの材質としては、基板2に傷が付きにくく、滑りやすいように、合成樹脂など樹脂製のものを採用することが好ましい。
【0051】
カセット3に収容された基板2は、ボールねじ軸13bのねじ溝13cにより常に保持されるので、基板2を常時四方から保持して安定した状態で収容することができ、一旦収容した基板2が収容部3aから外れるなど、収容状態が乱れることを防止することができる。収容された基板2は常に四方から保持されているので、四方から保持しないと自立できないような薄板であっても、自動挿入及び自動抽出が可能となる。
【0052】
ボールねじ軸13bは、基板2がカセット3に収容されていく方向と同じ方向に前進・後進可能なので、カセット3の端から効率よく整然と基板2を収容することができる。このように複数の基板2を立てた状態で、板面と交差する方向に所定の間隔を隔てて保持することができる。カセット3は上方が開放されているので、基板2を上方から吊り降ろして収容することができ、容易に収容作業を遂行できる。
【0053】
本実施形態では、ボールねじ軸13bを搬送方向に並べて2本ずつ、対をなすように配置し、各対の2本の間隔を、上部ホルダー5の幅よりも広く設定したので、上部ホルダー5をボールねじ軸13b間に上方から容易に装着することができる。
【0054】
しかし、各対の2本のボールねじ軸13bの間隔は、上部ホルダー5の幅を超えない範囲でより狭く設定した方が、ボールねじ軸13b間における基板2の撓みをさらに小さく抑えることができる。撓みを小さく抑えることができれば、上部ホルダー5の受け溝5aが差し込まれる基板2の上方の周縁部をより正確に配置することができ、上部ホルダー5をより容易に装着することができる。
【0055】
上記実施形態においては、各基板保持機構15に対し、ボールねじ軸13bを、対にして2本設けた例について説明したが、必ずしも対をなして設ける必要はなく、1本でもよい(
図5参照)。また、基板保持機構15を2組備えて、ボールねじ軸13bを二対4本備えた例について説明したが、ボールねじ軸13bは、収容する基板2のサイズに応じて、搬送方向に3本以上備えるようにしてもよい。ボールねじ軸13bが、搬送方向に間隔を隔てて複数設けられるので、基板2の全幅にわたって撓みの発生を抑えて、カセット3に整然と収容することができる。
【0056】
上記実施形態においては、カセット3の一方の側から交差方向に沿って前進後進可能に設けられたシャフトをボールねじ軸13bとし、シャフトの外周面に形成された螺旋状の溝部をねじ溝13cとしたが、これに限るものではない。外周面に形成された螺旋状の溝部を備え、回動しつつ前進して基板2を保持できる構成であれば、どのようなものであってもよい。
【0057】
また、上記実施形態においては、基板収容補助装置1とカセット3とが分離している例について説明したが、基板収容補助装置1とカセット3とを一体とした基板収容装置としても良い。この場合には、カセット3に常に基板収容補助装置1が付随しているので、カセット3をどこへ持ち運んでも、基板2を正しく収容することができる。
【0058】
上記実施形態においては、カセット3が開放されている一方を上方としたが、これに限らず、側方であっても良いことはもちろんである。