特許第6192178号(P6192178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 佐藤 靖の特許一覧

特許6192178チケット販売システムおよびプレゼントコンテンツ配信システム
<>
  • 特許6192178-チケット販売システムおよびプレゼントコンテンツ配信システム 図000002
  • 特許6192178-チケット販売システムおよびプレゼントコンテンツ配信システム 図000003
  • 特許6192178-チケット販売システムおよびプレゼントコンテンツ配信システム 図000004
  • 特許6192178-チケット販売システムおよびプレゼントコンテンツ配信システム 図000005
  • 特許6192178-チケット販売システムおよびプレゼントコンテンツ配信システム 図000006
  • 特許6192178-チケット販売システムおよびプレゼントコンテンツ配信システム 図000007
  • 特許6192178-チケット販売システムおよびプレゼントコンテンツ配信システム 図000008
  • 特許6192178-チケット販売システムおよびプレゼントコンテンツ配信システム 図000009
  • 特許6192178-チケット販売システムおよびプレゼントコンテンツ配信システム 図000010
  • 特許6192178-チケット販売システムおよびプレゼントコンテンツ配信システム 図000011
  • 特許6192178-チケット販売システムおよびプレゼントコンテンツ配信システム 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192178
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】チケット販売システムおよびプレゼントコンテンツ配信システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/02 20120101AFI20170828BHJP
   G06Q 30/08 20120101ALI20170828BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   G06Q10/02
   G06Q30/08
   G06F13/00 540A
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-172559(P2015-172559)
(22)【出願日】2015年9月2日
(65)【公開番号】特開2017-49808(P2017-49808A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2017年3月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508197468
【氏名又は名称】佐藤 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100120916
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 壽見子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 靖
【審査官】 渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/016094(WO,A1)
【文献】 特開2005−141349(JP,A)
【文献】 特開2014−120146(JP,A)
【文献】 特表2008−529185(JP,A)
【文献】 特開2002−092390(JP,A)
【文献】 特開2001−283071(JP,A)
【文献】 特開2015−099510(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0153511(US,A1)
【文献】 板越 ジョージ,”6 リターンを設定する”,クラウドファンディングで夢をかなえる本,日本,ダイヤモンド社,2014年12月11日,第1刷,p.195-202
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して各種イベントのチケットを販売するシステムであって、
チケット購入申込者(以下、「ユーザ」)に配信するためのコンテンツを格納するコンテンツデータベースと、
ユーザに関する個人情報およびチケット購入申込を含む該システムの利用履歴情報を格納するユーザ情報データベースと、
ユーザが使用するユーザ端末から送信された入力情報を受け付けるユーザ入力受付手段と、
ユーザを入札者とするオークションによって、出演者にプレゼントリクエストをできるユーザを選定するリクエスト権利者選定手段と、
ユーザからのプレゼントリクエストに応じて、イベント会場で出演者によって読み上げられたメッセージや演奏からなるプレゼントコンテンツを配信するコンテンツ配信手段と、
を備えることを特徴とするチケット販売システム。
【請求項2】
前記リクエスト権利者選定手段は、オークションを選定方法に採用した結果、入札額が所定金額以上になった場合は、選定方法を抽選に変更することを特徴とする請求項1に記載のチケット販売システム。
【請求項3】
各種イベントのチケットを購入したユーザがイベントの出演者にプレゼントリクエストをし、イベント会場で出演者によって読み上げられたメッセージや演奏からなるプレゼントコンテンツの配信を受けるシステムであって、
ユーザに配信するためのコンテンツを格納するコンテンツデータベースと、
ユーザに関する個人情報およびプレゼントリクエストの履歴を含む情報を格納するユーザ情報データベースと、
ユーザが使用するユーザ端末から送信された入力情報を受け付けるユーザ入力受付手段と、
ユーザを入札者とするオークションによって、出演者にプレゼントリクエストができるユーザを選定するリクエスト権利者選定手段と、
前記選定されたユーザによって指定されたプレゼント受取人にプレゼントコンテンツを配信するコンテンツ配信手段と、
を備えることを特徴とするプレゼントコンテンツ配信システム。
【請求項4】
前記リクエスト権利者選定手段は、オークションを選定方法に採用した結果、入札額が所定金額以上になった場合は、選定方法を抽選に変更することを特徴とする請求項3に記載のプレゼントコンテンツ配信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオンラインでチケットを購入した人に対して、特典として各種のコンテンツを配信するチケット販売システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種イベントのチケットをオンラインで予約したり購入したりできるシステムは広く知られている。単にユーザにチケットを販売するだけでなく、付加的な機能を持たせたシステムもある。
例えば、特許文献1には、イベントの観客に対し、有意義な特典(金品に限らず、イベントに関する詳細な情報も含む)を提供する「イベント参加者への特典提供方法、イベント支援システム」に関する発明が開示されている。
この発明によれば、イベントに参加したことの記念となるような特典や、リアルタイムのイベント情報などがその場で提供されるので、イベントに参加することへのインセンティブを広く一般に付与することができる。
【0003】
また、特許文献2には、アーティストのプロモーションを行ったり、アーティストの楽曲配信を行ったり、アーティストに関連するチケットやグッズの販売を行ったりする「アーティスト支援システム」に関する発明が開示されている。
この発明は、従来の多くのシステムのように、楽曲配信、プロモーション等の機能を個別にもつのではなく、アーティスト支援をトータルに行うことを目的としている。
【0004】
さらに、特許文献3には、ネットワークを介してチケットの申込をした消費者に対して特典を配信することにより、チケットの販売を促進しようとする「チケット販売システム」に関する発明が開示されている。
この発明によれば、チケットの申込情報に基づいて抽選を行い、抽選にもれた人には今回はチケットを販売できないが、抽選にもれた場合に限定の特典(ライブ中継の配信、次回申込時の優先予約など)を付与することによって、チケット販売を促進できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−141349号公報
【特許文献2】特開2014−120146号公報
【特許文献3】特開2002−92237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明が提供する特典は、イベント参加者に共通の内容であって、特定の参加者にとってのユニークな内容を有するものではない。イベントに出演するアーティストはあくまで参加者とは離れた距離にいる存在である。
特許文献2に記載の発明には、イベントへの参加を促すことを通じてアーティストを支援するという観点が見受けられない。CDが売れない現在の状況ではアーティストにとってライブやコンサートの比重が高まっているにもかかわらずである。
特許文献3に記載の発明は、チケットのオンライン販売の促進が目的であって、イベントに出演するアーティストとファンとの交流の促進を目的とはしていない。
【0007】
ところで、オンラインでの楽曲のダウンロード販売の普及などが原因でCDが売れなくなり、音楽関係のアーティストはライブやコンサートなどに注力せざるを得なくなってきている。一方、身の回り品のように携行しているスマートフォン、携帯電話を介してチケット販売サイトにアクセスしてチケットを入手できるようになってきた。そこで、オンラインによるチケット販売の促進という目的と、ライブなどの観客の増加という目的とを兼ね備えたシステムの出現が望まれる。
イベントへの集客に関していえば、アーティスト本人の魅力が左右するのは言うまでもないが、加えて何らかの特典があると効果的である。その特典も、入手が容易なグッズや誰でもダウンロード可能な楽曲データの配信では希少性の観点から魅力が薄い。
【0008】
本発明は、上記の先行文献に記載の発明の問題点に鑑み、且つイベントへの集客の観点から、従来にない魅力を備えたチケット販売システムの提供を課題とする。
【0009】
なお、音楽が実演されるイベント(以下、「ライブ」という)へ多数の観客を誘引することの本質的な意義について述べる。
学校や仕事の行き帰りに、イヤホンを耳にあてて携帯端末で音楽を聴く人は多い。
しかし、音楽は「聴く」もの、「見る」ものではなく「体感する」ものである。
身の回りに音楽が在る場合、聴覚だけに作用するのではない。五感全体に作用するのである。例えば、生演奏には、高周波成分や低周波成分が含まれ、これも臨場感をかもし出す要因となっていることは疑いない。しかし、本出願時(平成27年)には、ハイレゾ対応のスピーカを携帯端末に付属させて音楽を聴くことは未だ一般的ではない。つまり、現在のところ携帯端末では、高周波成分や低周波成分がカットされ、本来の音楽を楽しむことはできないのである。ライブへ足を運ぶことによってこそ、音楽の真の素晴らしさを実感できるというものである。
また、ライブに出かけるときは、着て行く服やアクセサリを選ぶ。そして、何らかの交通手段を使って、人で混み合う中を会場入り口まで行く。会場に着いてからは、アーティストによる演奏だけでなく、アーティストとの、そして他の観客との感情の共有や、照明や舞台装置にも日常を忘れる。ライブが終わり、高揚した気分で会場を後にし、余韻を噛み締めながら帰途につく。このように、ライブでは、携帯端末で音楽を聴くこととは比べ物にならない豊かな経験が得られる。ただ単に聴く、見るに留まらず、まさしく体感するという表現がふさわしいのである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達するために、請求項1に記載のチケット販売システムは、
通信ネットワークを介して各種イベントのチケットを販売するシステムであって、
チケット購入申込者(以下、「ユーザ」)に配信するためのコンテンツを格納するコンテンツデータベースと、
ユーザに関する個人情報およびチケット購入申込を含む該システムの利用履歴情報を格納するユーザ情報データベースと、
ユーザが使用するユーザ端末から送信された入力情報を受け付けるユーザ入力受付手段と、
ユーザを入札者とするオークションによって、出演者にプレゼントリクエストをできるユーザを選定するリクエスト権利者選定手段と、
ユーザからのプレゼントリクエストに応じて、イベント会場で出演者によって読み上げられたメッセージや演奏からなるプレゼントコンテンツを配信するコンテンツ配信手段とを備えることを特徴とする。
このように、チケット販売の機能に加えて、個々のユーザに適した内容のプレゼントコンテンツ配信する機能も備えているので、このチケット販売システム自体のユーザ増加とイベントへの来場者の増加とを同時に実現できる。
イベントには、音楽をはじめ各種芸能の興行やスポーツの試合などが含まれる。
ユーザには、チケットを実際に購入した人だけでなく、購入申込をしたが購入できなかった人も含まれる。
【0011】
本発明のチケット販売システムは
オークションを選定方法に採用した結果、入札額が所定金額以上になった場合は、選定方法を抽選に変更してもよい。
これによりユーザは、オークション等によって、アーティストにプレゼントリクエストをする権利(以下、「リクエスト権」という)を取得できるかもしれず、もしこの権利を取得できたのであれば、ユーザ本人あるいはリクエストプレゼントの受取人にとってのみ価値があるコンテンツを入手できる。
【0012】
請求項3に記載のプレゼントコンテンツ配信システムは、
各種イベントのチケットを購入したユーザがイベントの出演者にプレゼントリクエストし、該出演者によるメッセージや演奏からなるプレゼントコンテンツの配信を受けるシステムであって、
ユーザに配信するためのコンテンツを格納するコンテンツデータベースと、
ユーザに関する個人情報およびプレゼントリクエストの履歴を含む情報を格納するユーザ情報データベースと、
ユーザが使用するユーザ端末から送信された入力情報を受け付けるユーザ入力受付手段と、
ユーザを入札者とするオークションによって、出演者にプレゼントリクエストできるユーザを選定するリクエスト権利者選定手段と、
前記選定されたユーザによって指定されたプレゼント受取人にプレゼントコンテンツを配信するコンテンツ配信手段と、
を備えることを特徴とする。
請求項1に係る発明は、チケット販売機能にコンテンツ配信機能を付加したのであるが、請求項3に係る発明は、ユーザからのリクエストに対応したプレゼントコンテンツを配信する機能に特化した点で相違する。コンビニやチケット販売窓口で紙のチケットを入手した人でもイベント開催前にプレゼントリクエストができるようにすることを目的とする。

【発明の効果】
【0013】
チケット購入者に対し、従来にないコンテンツを提供できる。他では入手できないので、このコンテンツの入手がインセンティブになってチケットの購入者が増加すると期待できる。
いずれのコンテンツもアーティストに親近感を持てるような内容を有するので、アーティスト本人にとってもファンの増加を期待できる。つまり、アーティストとユーザとシステム運営者のいずれにとっても利点がある発明なのである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施の形態のシステム構成図である。
図2】第1の実施の形態のチケット販売装置の機能ブロック図である。
図3】第1の実施の形態のユーザ情報データベースに記憶する情報の例を示す図である。
図4】第1の実施の形態のチケット情報データベースに記憶する情報の例を示す図である。
図5】第1の実施の形態のコンテンツデータベースに記憶する情報の例を示す図である。
図6】第1の実施の形態のユーザ端末の機能ブロック図である。
図7】第1の実施の形態のチケット申込とそれに伴う処理手順を示すフロー図である。
図8】第1の実施の形態のチケット申込から販売までのユーザ端末側の画面表示例を示す図である。
図9】第1の実施の形態のリクエスト権申込とリクエスト申込事項の入力画面を例示する図である。
図10】第1の実施の形態のリクエスト権を付与される人を選定する処理のフロー図である。
図11】第2の実施の形態のシステム構成および機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の実施の形態のシステム(以下、「本システム」)について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本システムのシステム構成を示す図であり、インターネットNを介して本システムのサーバ(チケット販売装置1)とユーザ端末2とが接続する。
チケット販売装置1は、チケット販売及びコンテンツ配信を行う情報処理装置であり、1台あるいは複数台からなる。チケット販売装置1は、イベント録音録画システム3のサーバと、プレゼントリクエストが贈られる人(以下、「プレゼント受取人」)が使用するユーザ端末4にも接続する。
ユーザ端末2は、本システムを利用してチケットを購入しようとする人(ユーザ)が利用する端末装置であり、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末あるいはパソコンなどである。
【0017】
チケット販売装置1の機能ブロック構成について、図2を参照しながら説明する。チケット販売装置1は、制御部11、記憶部12、通信インターフェース部13、入出力部14を備える。
【0018】
制御部11は、CPUによって構成され、記憶部12に格納されたプログラムに従った処理を実行することにより、チケット販売装置1の各種機能を制御する。
記憶部12は、ユーザ情報データベース(以下、「ユーザ情報DB」)121、チケット情報データベース(以下、「チケット情報DB」)122、コンテンツデータベース(以下、「コンテンツDB」)123を備えるとともに、チケット販売装置1が各種処理を実行するために必要となるコンピュータプログラムやデータを記憶する。また、各種処理の実行中にデータを一時的に記憶するための作業領域としても用いられる。記憶部12は、ROM、RAM、ハードディスクなどから構成される。
通信インターフェース部13は、インターネットNを介してユーザ端末2、イベント録音録画システム3、ユーザ端末4とデータの送受信を行う。 入出力部14は、マウス、キーボード、ディスプレイなどの操作手段であり、適宜印刷装置なども含む。
【0019】
次に、制御部11の機能的構成について説明する。 制御部11は、ユーザ入力受付部111、チケット発券部112、リクエスト権利者選定部113、配信コンテンツ決定部114、コンテンツ配信部115、として機能する。
【0020】
ユーザ入力受付部111は、ユーザ端末2から送信される各種データを取得する。これらのデータには、チケット購入申込とそれに必要な個人情報、リクエスト権の申込、リクエスト権を取得した場合のプレゼント受取人へのメッセージなどが含まれる。
【0021】
チケット発券部112は、ユーザ端末2からチケット購入申込があると、チケット情報DB122を参照して残り枚数があれば発券処理をし、必要な情報をユーザ情報DB121とチケット情報DB122に記憶させる。なお、チケット発券部112は、所定フォーマットの画像データをユーザ端末2に送信したり、図示しない印刷装置で印刷し、郵送したりする。
【0022】
リクエスト権利者選定部113は、他人(あるいはユーザ本人)へのメッセージなどをイベントの出演者であるアーティストに読み上げてもらったりする権利(リクエスト権)を付与するユーザを選定する。
【0023】
配信コンテンツ決定部114は、どのユーザに対し、どのような内容のコンテンツを、どのタイミングで配信するかを決定する。
【0024】
ここで、本システムがユーザへの配信を想定しているコンテンツについて説明する。 第1に、「完売案内コンテンツ」がある。 ユーザがチケットの購入を申し込んだ時点ですでに完売していることがある。完売した旨を表示するだけではユーザにとって味気ない。そこで完売時のお詫び用にメッセージ動画(例えば、「ごめんなさい。チケットは完売しました。また来月15日にライブをやりますので、そのときに申し込んでくださいね」といった内容のメッセージを含む。)からなるコンテンツを予め作成してコンテンツDB123に格納しておく。 配信コンテンツ決定部114は、申し込んできたユーザが完売のため購入できなかった時点で、完売案内コンテンツの配信をコンテンツ配信部115に指示する。
【0025】
第2のコンテンツ種類は、「リピータ御礼コンテンツ」である。 チケットの購入を申し込んできたユーザが発券を受けた時点で、ユーザ情報DB121を参照して当該ユーザのチケット購入回数を調べる。もし同一アーティストのチケットを所定回数以上購入した場合は、予め作成してコンテンツDB123に格納しておいた非売品のコンテンツを配信する。このリピータ御礼コンテンツとして、例えば、「チケットを買ってくださってありがとう。当日楽しんでいただけることと思います」といった内容のメッセージを当該アーティストの映像とともに流すコンテンツが考えられる。 配信コンテンツ決定部114は、リピータユーザが再びチケットを購入した時点で、リピータ御礼コンテンツの配信をコンテンツ配信部115に指示する。
【0026】
第3のコンテンツ種類は、「プレゼントコンテンツ」である。 これは、イベント進行中にイベント録音録画システム3によって作成されるコンテンツである。イベントが終了し且つコンテンツがチケット販売装置1のコンテンツDB123に格納された後、配信コンテンツ決定部114は、プレゼント受取人の端末4への配信をコンテンツ配信部115に指示する。プレゼントコンテンツについては後に詳しく説明する。
【0027】
コンテンツ配信部115は、配信コンテンツ決定部114による決定を受けて、ユーザ端末2あるいはユーザ端末4に該当するコンテンツを配信する。
【0028】
次に、記憶部12に格納されている各データベースについて説明する。
ユーザ情報DB121は、図3に例示するようにユーザ端末2から受信した個人情報をユーザIDと対応づけて記憶する。個人情報には、氏名、住所、携帯電話番号、メールアドレスなどのほかに、クレジットカードで支払をする場合はクレジットカード情報も含まれる。また、ユーザ情報DB121は、チケット購入履歴(イベントのIDやアーティスト名、購入枚数、その他リクエスト権の有無など)も記憶する。リクエスト権を取得した場合は、受取人名や受取人へのメッセージと曲名なども記憶する。
【0029】
チケット情報DB122は、図4に例示するようにイベントの主催者などから受信したチケットに関する情報(販売総数、発券金額、販売期間、現在の残り枚数など)をイベントIDと対応づけて記憶する。あわせて、イベントに関する情報(イベント名称、アーティスト名、開催日時、会場など)も記憶する。
【0030】
コンテンツDB123は、図5に例示するようにコンテンツIDと対応づけてコンテンツ種類をはじめ必要な情報を記憶する。コンテンツの内容とは、配信する音声・映像データそのものに限らず、格納場所でもよい。
【0031】
ユーザ端末2は、図6に示すように、記憶部21、制御部22、入出力部23、通信インターフェース部24を備える。
【0032】
記憶部21は、ROM、RAMやハードディスクなどから構成され、制御部22が各種処理を実行するために必要なプログラムやデータを記憶したり、各種処理の実行中にデータを一時的に記憶するための作業領域として用いられたりする。特に、本システムはWebベースで処理が進められるのでウェブブラウザと呼ばれるプログラムが必須である。 制御部22は、例えばCPUによって構成され、記憶部21に格納されたプログラムを実行することにより、チケット販売装置1とデータを送受信して画面表示する機能などを実現する。 入出力部23には、入力部231、表示部232、音声再生部233などが含まれる。入力部231はキーボードやマウスなどの操作手段である。表示部232はディスプレイ画面であり、チケット販売装置1から受信したHTMLで記述された情報などを画面表示する。音声再生部233はスピーカであり、チケット販売装置1からダウンロードしたコンテンツに含まれる音声データを再生する。 通信インターフェース部24は、インターネットNを介してチケット販売装置1とデータの送受信を行う。
【0033】
イベント録音録画システム3は、イベントの進行中に会場で録音録画し、収集した音声データ及び画像(動画と静止画のいずれも含む)データをスマートフォン等で再生できる形式に変換する。この作業を終えたならば、変換後のデータをチケット販売装置1にアップロードする。チケット販売装置1は、これをコンテンツDB123に格納する。
【0034】
ユーザ端末4は、プレゼント受取人が使用する端末装置である。ユーザ端末2と同様に携帯電話、スマートフォン、タブレット端末あるいはパソコンなどであり、その機能ブロックは図6に示すユーザ端末2と変わらないので、説明は省略する。
【0035】
続いて、図7のフローチャートを参照しながら、本システムのチケット販売処理について説明する。
ユーザ端末2が本システムを立ち上げると、図8の(a)に例示する画面が表示される。
ユーザは例えば、画面(a)の「イベント1」ボタンB1をクリックする。チケット販売装置1は、「イベント1」のチケット購入申込情報を受信する(ステップS1)。
【0036】
チケット販売装置1は、チケット情報DB122を参照して、「イベント1」のチケットの販売状況を参照する。もし、完売しているならば(ステップS2でYes)、図8(b)に例示する画面データをユーザ端末2に送信する。もし、ユーザが「メッセージ」ボタンB2をクリックしたならば、コンテンツDB123から完売案内コンテンツを取り出し、ユーザ端末2に配信する(ステップS3)。
【0037】
まだ販売可能であれば(ステップS2でNo),図8(c)に例示する画面をユーザ端末2に表示させ、ユーザが入力した内容にしたがって発券する(ステップS4)。この例では、図8の(d)に例示する画面をユーザ端末2に送信し、ユーザ本人に印刷をさせるが、チケット販売装置1側で印刷し、ユーザに郵送してもよい。勿論他の方法でチケットを届けてもよい。
【0038】
発券が完了すると、ユーザ情報DB121を参照して、このユーザが同一アーティストが出演する過去のイベントのチケット購入履歴を取り出す。もし、所定回数以上購入していれば(ステップS5でYes),図8の(d)に代わって(e)に例示する画面を送信する。「メッセージ」ボタンB3がクリックされると、ユーザにリピータ御礼コンテンツを配信する(ステップS6)。
【0039】
次に、チケットを購入済みのユーザは、リクエスト権の申し込みができる。
もし、申込があれば(ステップS7でYes),チケット販売装置1は、リクエスト権を付与されるユーザを選定する(ステップS8)。
リクエスト権を希望するユーザは、図9(a)に例示する画面を介して入札に参加する。
まだ締め切られていなければ、現在の入札人数などを参考にして入札金額を入力し、送信する。
【0040】
ステップS8の処理について、図10を参照しながら、詳しく説明する。
ここで、リクエスト権を付与する人数の上限はM人、入札額の上限はP円とする。
【0041】
人数のカウンタ変数Nを0で初期化する(ステップF1)。
リクエスト権の申込があれば(ステップF2でYes)、入札額とユーザ情報を記録し、変数Nに1を加算する(ステップF3)。
入札期限の締め切り前であれば(ステップF4でYes),ステップF2に戻り、申込者が現れるのを待つ。
入札期限が経過したならば(ステップF4でNo)、申込者数Nが上限人数Mを超えているか判定する(ステップF5)。M人以内であれば(ステップF5でNo)、申込者全員にリクエスト権を付与する(ステップF6)。
上限のM人を上回ったならば(ステップF5でYes),申込者を選定しなくてはならない。入札額の最高額が上限値P円以下であれば(ステップF7でNo)、入札金額の上位M人にリクエスト権を付与する(ステップF8)。もし上限値P円を超えていれば(ステップF7でYes)、抽選を行い当選者にリクエスト権を付与する(ステップF9)。抽選方法は、チケットの購入順でも乱数を発生させる方法でも何でもよい。
ここで上限を設けないオークションで選定してもよいが、中学生や高校生のファンなどがお小遣いの範囲でリクエストできるようにするためには上限値を設けることが望ましい。一方で、入札額の下限値を設けてもかまわない。
【0042】
図7のステップS8でリクエスト権者に選定されたならば(ステップS9でYes)、ユーザは図9(b)に例示する画面を介して、リクエスト申込情報を送信する(ステップS10)。ユーザ入力受付部111は、この申込情報を受信するとユーザ情報DB121に記憶する。
申込情報には、リクエストプレゼントの贈呈人(たいていユーザ本人)と受取人の名前、アーティストに読み上げてもらいたいメッセージ、プレゼントしたい楽曲名などが含まれる。名前はニックネームでもよい。楽曲名は予め指定された数曲の中から選んでもよい。イベントで演奏される曲目は事前に公表されないことが多いので、ユーザが自由に指定すると演奏されない楽曲を選ぶことになりかねないからである。
【0043】
次に、リクエストに応じたプレゼントコンテンツの配信について説明する。 リクエスト権を取得した人が希望する事項は、イベント開始前にアーティストに伝えられる。通常アーティストは、例えば、「横浜の○○さんから、妹のお子さんへのプレゼントリクエストがあります。タロウ君、3歳のお誕生日おめでとう。それでは、タロウ君のために、ハッピーバースデイを歌います。」といったメッセージを言ってから、楽曲を演奏する。このとき、“Happy birthday dear TARO-kun”のように相手に合わせて歌詞を一部変更してもよい。
【0044】
イベント録音録画システム3はリクエストに応じたメッセージと楽曲の対を録音し、プレゼントコンテンツを作成する。これはチケット販売装置1に送信され、コンテンツDB123に格納される。 チケット販売装置1は、プレゼント受取人の端末4に、当該コンテンツが格納されている場所の情報(URLなど)を記載したメールを送信する。これにより、プレゼント受取人は、自分一人だけのコンテンツを手に入れることができる。なお、プレゼント贈呈人であるユーザの端末2にも同じ内容のメールを送信してもよい。 本システムがプレゼントリクエストをできる機能を有することには、次の効果もある。すなわち、プレゼント贈呈人とプレゼント受取人の名前を読み上げることは、転売業者によるチケットの買占め、さらにそれによる本来のファンへチケットが届かないことを防止できる。
【0045】
本システムでは、他所では販売されていないコンテンツを配信する点に特徴がある。完売時と所定回数購入時にもタイムリーにコンテンツを配信しているが、これはオンラインでチケットを販売するからこそ可能となる機能である。
ただし、リクエストに応じたプレゼントコンテンツはイベントの開催後に配信される。そこでオフライン、あるいはオンラインとオフラインが混在したチケット販売においてもリクエストは可能である。次に説明する第2の実施の形態は、オフラインによる販売態様も想定している。
【0046】
〔第2の実施の形態〕
図11に、この実施の形態のシステム構成および機能ブロック構成を示す。
以下の説明および図11において、第1の実施の形態と同一の機能については同一の符号を付し、且つ説明を省略する。
この実施の形態では、システムのサーバ(プレゼントコンテンツ配信装置5)は、チケット販売の機能を有することを前提としていない。チケットTはコンビニで購入することもあれば、チケット販売の窓口で購入することもある。購入方法は複数あるとしても、チケットTにはリクエスト権取得のためにプレゼントコンテンツ配信装置5へアクセス可能とするコードCが印刷されているものとする。ユーザ端末2を介して、このアクセスコードCをキー入力したり、カメラ機能で読み取ったりすると、ユーザはプレゼントコンテンツ配信装置5にアクセスできる。
【0047】
プレゼントコンテンツ配信装置5は、制御部51と記憶部52と通信インターフェース部13と入出力部14を備える。
制御部51は、ユーザ入力受付部511とリクエスト権利者選定部113とコンテンツ配信部115を備える。
ユーザ入力受付部511は、ユーザ端末2からチケットに印刷されているチケットに固有な情報Iとリクエスト権申込情報とを受信する。このユーザがリクエスト権利者選定部113によって選定されると、ユーザ入力受付部511がリクエスト情報(図9の(b)参照)を受信し、これをイベント主催者側に伝える。イベント録音録画システム3によって、リクエスト情報に基づくコンテンツが作成されると、コンテンツ配信部115がプレゼント受取人の端末4に配信する。
【0048】
記憶部52は、ユーザ情報DB521とコンテンツDB522を含む。
ユーザ情報DB521には、ユーザの個人情報とリクエスト権の申込に関連する情報が記憶される。コンテンツDB522には、プレゼントコンテンツが格納される。
このように、プレゼントコンテンツ配信装置5は、第1の実施の形態のチケット販売装置1からプレゼントリクエストに関する機能を取り出して実行するものである。
【0049】
以上、2つの実施の形態について説明したが、これらのシステム構成、機能ブロック構成、処理フロー、そしてデータベースの構成などは例示にすぎない。
例えば、図7のフロー図では、チケットを購入した人のみがリクエスト権を申し込んでいるが、チケットを申し込んで購入できなかった人もリクエスト権の申込ができるようにしてもよい。あるいは、販売時点で通常チケットと高額なプレミアムチケットを分け、プレミアムチケットを購入した人全員にリクエスト権を付与したり、リクエスト権のオークション或は抽選に参加可能としたりしてもよい。
【0050】
また、チケットは2人以上のグループで申し込むこともできる。このグループがリクエスト権を取得した場合は、グループ全員を対象にしたメッセージ(例:「○○高校のサッカー部の皆さん、インターハイ出場決定おめでとうございます」)を読み上げてもらい、そのコンテンツはグループの代表者が受信して、仲間にはLINE(登録商標)で送信してもよい。
【0051】
さらに、本発明のシステムを介して、通常イベント会場で販売されるグッズ(Tシャツ、マグカップ、CDやDVDなど)を購入したり、購入予約をしたりすることも可能である。物品の購入履歴もユーザ情報DB121に記憶させておき、リクエスト権者の選定の際に考慮に入れてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
オンラインでイベントのチケットを購入した人に対し、非売品のコンテンツを入手可能とすることにより、オンラインでのチケット販売の普及と、出演者と観客との親密化と、観客の増加と、転売業者の防止とが期待できる。
【符号の説明】
【0053】
1:チケット販売装置
11:制御部
111:ユーザ入力受付部
112:チケット発券部
113:リクエスト権利者選定部
114:配信コンテンツ決定部
115:コンテンツ配信部
12:記憶部
121:ユーザ情報DB
122:チケット情報DB
123:コンテンツDB
2:ユーザ端末
3:イベント録音録画システム
4:プレゼント受取人の端末
5:プレゼントコンテンツ配信装置
N:インターネット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11